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日本における英語点字の表記について

2015年9月1日
日本点字委員会

《html版への注》

 点字の符号を表すには、点の番号を1マスずつ角カッコに囲んで示す。例えば、仮名の「ガ」は「[5] [16]」。マスあけは「□」で示す。
 II. 4.の(4)と(5)では、語例にオリジナル版にはない説明を付記したところがある。

はじめに

 英米を含む英語圏8カ国では、点字の表記法を統一英語点字(Unified English Braille: UEB)へ移行する取り組みが進んでいる。日本の英語点字は、長年アメリカ式の表記(English Braille American Edition: EBAE)に準拠してきた経緯から、日本での扱いが課題となった。
 日本点字委員会は、2014年5月31日・6月1日の第50回総会において、UEBの日本への導入に関わる問題点を討議し、その後1年間、日本での表記をどのようにするかの詳細を検討するため、英語点字特別委員会を設置した。同委員会は、2014年11月30日と2015年3月30日の2度に分けて答申を提出し、その内容は2014年12月16日告示の日点委委員による書面表決と、2015年6月6日・7日の日点委第51回総会において承認された。この冊子は、その決定内容を周知するため、日点委が編集・発行するものである。
 視覚障害教育や点字による情報提供等に携わる皆様には、この趣旨をご理解の上、今後の活動に生かしていただくよう願うものである。

概要

 UEBは、従来の英語点字の表記(EBAE)と比べ、多くの点で差異が見られる。縮約(略字)のうち9つが廃止されたほか、カッコなど記号類の一部も変更され、数符や二重大文字符など指示符類の有効範囲に関する規則も一部変更された。
 日本においては、英語の教科書等に英語点字が不可欠なことはいうまでもないが、一般の日本語文章中にも略称、英単語、ローマ字書きされた日本語、造語など、アルファベットが溢れている。これらにUEBを無条件に導入すれば、大きな混乱を招きかねない。特に、すでに学校を卒業し、英語とはほとんど無縁の生活を送っている多くの点字使用者への影響は、できるだけ小さくすべきである。
 そこで、日本における英語点字の扱いを大きく2つに分け、「英語の教科書・試験問題等」には原則としてしかるべき時期よりUEBを導入するが、「一般日本語文章」にはUEBを原則として導入しないこととする。
 『日本点字表記法 2001年版』1編2章3節14.の一部と、4章5節4.の一部は、以下のI.・II.それぞれにおいて変更が必要となる。また、I.に関連して『試験問題の点字表記 第2版』の一部の項目にも変更が必要となる。
 なお、『日本点字表記法 2001年版』1編2章3節9.・10.・11.・12.・13.の各項に記述されている、外字符に導かれるアルファベットや記号の表記については、以下のI.・II.いずれにおいても、まったく変更されるところはない。

I. 英語の教科書試験問題等へのUEBの導入について

1.導入範囲

 英語圏各国のUEB採用の動きに対応するため、日本においても、英語を学び英語で読むための点字資料については、しかるべき時期からUEBを導入する。具体的には、英語の教科書や参考書、英語の試験問題、専門書中に引用される英語の論文や英語の文献リストなどが対象となる。
 ただし、UEBは従来の英語点字の表記(EBAE)と様々な点で差異があるので、特に学校教育において生徒が試験などで不利にならないよう配慮が必要である。

2.導入時期

 具体的な導入時期については、中学校・高等学校の教科書の改訂時期に合わせ、次のようにする。

  • 中学校1~3年用教科書等―2016年4月から
  • 高等学校用教科書等―2017年4月から学年進行で
  • 大学入学試験―2020年4月入学の試験から

 上記以外の資料についても、読み手の状況等を勘案し、上記の各導入時期に準じて導入時期を判断する。

《注意》

 中学校の教科書は1~3年用が一斉に改訂されるが、高等学校の教科書は「学年進行」で改訂が行われる。すなわち、高校1年用は2017年4月から、2年用は2018年4月から、3年用は2019年4月からとなる。
 2016年4月に高校に入学する生徒は、2019年3月の卒業までずっと改訂前の教科書で学習することになるので、本人が意識的に勉強しないかぎりUEBを知る機会がないことになる。すでに社会人になっている人たちも同様で、これら「UEB以前の世代」の人たちへの配慮は特に重要である。例えば、4年制大学卒業者を対象とする就職試験の場合、2023年4月入社の試験までは原則としてUEBの導入は避けるべきである。
 また、各種資格試験等、受験者の学年(年齢)が特定しにくいものに関しては、上記の教科書の改訂時期等を参考に導入時期を判断するとともに、UEB導入の告知を実施の1年以上前から行い、受験者に十分な準備期間を与えること、そしてUEB導入後一定期間は、UEBとEBAEのいずれも受験者が選択しうる体制を可能なかぎり整えることが強く望まれる。
 UEBの導入対象となる点字図書・資料を製作している出版所・施設・団体等においては、読み手の多様な状況に鑑みEBAEのニーズも相当期間なくならないことを念頭に置きながら、人材育成や仕事の分担などをご検討願いたい。UEBについて読み手への情報提供を行いつつ、EBAEとUEBが並行して使われる時期を経て、無理のないペースでUEBに移行していくのが望ましい。

3.読み手になじみの薄い記号類の使用は慎重に

 UEBには書体に関する記号、矢印記号、図形記号、数学・理科記号など、多種多様な記号が定められているが、それらを無制限に使用するのではなく、読み手の知識や必要性などを考慮し、シンプルで分かりやすい表記を心がける。また、読み手にとってなじみの薄い記号を用いるときは、巻頭の凡例で解説するなどの配慮を行う。特に、UEB移行後当分の間は、図書・資料の巻頭に、その図書・資料中に現れる記号類のうちUEBで変更されたものの一覧を掲載するなどの配慮が大切である。

4.試験問題等に用いるカッコ

 UEBでは、カッコ類の点字記号が大きく変わり、丸カッコは[5] [126]~[5] [345]となった。従来は英語でも日本語でも[2356]~[2356]という共通の記号であったが、UEBではまったく違う記号のため、日本独自の規則として次のように表記する。
 日本語の交じった英語の教科書や参考書、試験問題においては、(1)、(2)……、(a)、(b)……、(ア)、(イ)……などのナンバリングのカッコにUEB中でも[2356]~[2356]を使用できることとする。これは、日本語と英語の両方に共通に使えるカッコの記号が必要なためである。このカッコ内は点字仮名体系とし、アルファベットには外字符を前置する。
 また、英文中の日本語を囲むカッコとしても、[2356]~[2356]が使用できるものとする。
 [2356]はUEBではプライム(′)を表すが、前後の文脈から誤読のおそれはまずない。
 なお、英文中のナンバリング以外のカッコについては、UEBの記号をそのまま用いるものとする。

5.試験問題等に用いる指示符、空欄符号

 教科書や参考書、試験問題で下線部等を表すには、これまで第3指示符の変形[56] [36] [3]~[6] [36] [23]または第2指示符の変形[5] [36] [3]~[6] [36] [2]を用いることとされていたが、UEBでは語頭の縮約部(略字)comが廃止されたこと、UEBのダッシュ(―)[6] [36]がこれらの指示符の閉じ符号の1・2マス目と同形であることから、普通の第3指示符[56] [36] [36]~[36] [36] [23]または第2指示符[5] [36] [36]~[36] [36] [2]を使用するよう規則を変更する。
 一方、空欄符号については、これまでどおり[456] [1346] [1346] [123]を使用して差し支えない。

6.『日本点字表記法』で読み替えを要する箇所

 英語の教科書・試験問題等にUEBを導入するのに伴い、『日本点字表記法 2001年版』の次の箇所は読み替えが必要となる。(EBAEで表記している間は、読み替えは不要である。)
 1編2章3節14.(アルファベットで書き表された語句や文の引用) 〈引用される語句や符号が英語の場合にはその原語の表記法に従って書き表す。〉
 →〈英語の教科書・試験問題等の英語の表記は、統一英語点字(UEB)による。〉
 〈ドイツ語やフランス語などの場合にも英語の表記法に従うことを原則とし、変母音やアクセント符が付いた文字を含む語句が文中に出てきた場合には、該当する文字にアクセント符を前置して書き表すが、目的と必要に応じてその原語の表記法に従って書き表してもよい。〉
 →〈英文中のドイツ語やフランス語などもUEBの表記法に従うことを原則とし、変母音やアクセント符が付いた文字を含む語句が文中に出てきた場合には、該当する文字に修飾符(modifier)を前置して書き表す。ドイツ語やフランス語などの教科書や専門書等は、その原語の表記法に従って書き表してもよい。〉
 〈また、日本語をローマ字で書き表す場合にも外国語引用符で前後ろを囲み、長音は該当する母音にアクセント符を前置して書き表す。〉
 →〈また、英文中に日本語をローマ字で書き表す場合にも、UEBの表記法に従う。〉
 [例]のうち3・4番目を、次のように変更。
 [236] [6]karl□[6]b[45] [25]ohm[356] (Karl Böhm)(Karl Bohm、oにウムラウト)
(ドイツ語点字では [236] [46]karl□[46]b[246]hm[356])
 [236]fianc[45] [34]ee[356] (fiancée)(fiancee、1番目のeにアクサンテギュ)
(フランス語点字では [236]fianc[123456]e[356])
 【注意1】の文章に変更はないが、[例]の英語の表記は、UEBのグレード1では 
[236] [6]t[256]□[6]s[256]□[6]eliot[356]、グレード2では [236] [56] [6]t[256]□[56] [6]s[256]□[6]eliot[356] となる。
 【注意2】・【注意3】には変更を要する部分はない。
 4章5節4.(点字仮名体系における外国語)【注意】 〈また、第2指示符や第3指示符は、アンダーラインを表す符号としてこれらの英文中に用いてもよいが、略字との混同を避けるために、開き符号の最後の[6]の点と閉じ符号の最初の[3]の点を取って、英文との間を半マスだけあけることが必要である。これらは第2指示符や第3指示符の変形などと呼ばれている。〉
 →〈また、第2指示符や第3指示符は、アンダーラインを表す符号としてこれらの英文中に用いてもよい。〉
 [例1]のうち2番目を次のように変更。
□□[236]from□[256] [256] [256]□to□[6] [36]□[46] [126]preposi- tion[46] [345] [356]□[2356] [2] [2] [2]□カラ□[25] [25]□エ[5] [2356]ゼンチシ[2356] [2] [2356]
(from . . . to ― 〔preposition〕 (…から―へ〔前置詞〕))
 [例2]および[例3]の [56] [36] [3]~[6] [36] [23] を [56] [36] [36]~[36] [36] [23] に変更。
 2編III 5.「英語(グレード1)」の表は、UEB表記では該当しない。

7.『試験問題の点字表記』で変更を要する箇所

 UEBの導入に伴い、『試験問題の点字表記 第2版』は、次の項目に変更が必要となる。(EBAEで表記している間は、変更は不要である。)
(1)点字表記の基本原則を示した1部1章1節の(5)は、準拠する表記法をEBAEからUEBに変更。
(2)第3指示符の変形について記述した1部1章5節1.(1)b.の後段と、1部2章2節2.を削除。
(3)英文中の仮名文字の記号に関する1部2章2節4.の記述は、記号を[2356]~[2356]で囲む「原則」のみを残し、「仮名にピリオドを付けるだけで用いてもよい」とする例外は、UEB中では仮名をアルファベットと誤読するおそれが高いため削除。
(4)英文中の注記号に関する1部2章2節5.の記述は、UEBの規則に従い、アステリスクを[35] [35]から[5] [35]に変更。また、「注記号がダッシュを除く句読符の前にある場合には、句読符の後に書く」とする記述を削除。
(5)コーテーションマークに関する1部2章2節6.の記述は、UEBの規則に従い、最も使用頻度の高いコーテーションを形にかかわらず[356]~[356]で表し、それ以外のコーテーションはシングルを[6] [236]~[6] [356]、ダブルを[45] [236]~[45] [356]で表す旨変更。
(6)to, into, byの縮約語(略語)の廃止に伴い、1部2章2節7.の一部と8.を削除。
(7)単語の一部に付された下線などに関する1部2章2節10.は、[2356]~[2356]をナンバリングまたは日本語を囲むカッコとしたことに伴い、下線などを表す記号は[36]~[36]のみとする旨変更。

II. 一般日本語文章中の英語の語句や文の表記について

1.基本的考え方

 現在、日本の点字使用者の大多数はUEBの知識を持たず、従来のアメリカ式英語点字表記(EBAE)に慣れ親しんでいる。今後、中学校・高等学校用の英語の教科書等にUEBが順次導入されていくとしても、当分の間この状況に大きな変化はないと考えられる。
 また、使用頻度の比較的高い記号のうち丸カッコやドル記号、イタリック符などは、EBAEとUEBで形態が大きく異なっており、たとえ外国語引用符中であってもこのようなUEBの記号を一般日本語文章中に用いることは、多くの読者に混乱をもたらす懸念がある。
 このような事情に鑑み、一般日本語文章中の英語の語句や文については、原則としてUEBは導入せず、EBAE(2008年版)に準じた表記とする。
 ただ、EBAEの記号類も数が多く、中にはアットマーク(@)[4] [1]がアクセント符の付いたaと同形というように、文脈での読み分けが必要なものもある。そこで、一般日本語文章中で使用できる英語の記号類は基本的なものにしぼることとする。
 また、二重大文字符や数符の用法については、UEBの方がEBAEより明確に整理されており、日本語点字の書き方にやや近い部分もあるので、これらはUEBの規則を準用することとする。
 一方、英語を学び英語を使う点字使用者は、今後UEBを徐々に習得していくことになる。このような人たちにとって、使用できる記号類の制限や二重大文字符・数符の用法に関する特例は、UEBの表記と一般日本語文章中の英語の表記との差異をあまり大きくしないという意味で利点がある。

2.対象となる文章の範囲

 いわゆる一般日本語文章がその範囲となる。これは、前記I.の「英語の教科書・試験問題等」以外のものということになる。具体的には、娯楽のために読む図書・雑誌に出てくる英単語、アーティスト名や曲名、イベント名、ブランド名など、教養書・実用書中の用語に添えられる英単語や著者が参考にした文献名、小・中・高校の教科書のうち英語以外の科目のものに出てくる英語の語句や人名、ローマ字で書かれた日本語などは、下記4.に従って書き表す。

3.実施時期

 この表記規則の一部変更は、中学校用の英語の教科書等にUEBを導入する時期に合わせ、2016年4月から実施する。

4.表記の実際

 一般日本語文章中に改行または外国語引用符により挿入される英語の語句や文は、次のように表記する。

(1)アルファベット(a~z)と数字(1~0)は、従来どおり[1]~[1356]、[3456] [1]~[3456] [245]を使用する。一般日本語文章中はグレード1(フルスペル)のみとし、グレード2は用いない。

(2)使用できる記号類は、原則として次のものとする。

◆句読符類

  • [2] , コンマ
  • [23] ; セミコロン
  • [25] : コロン
  • [256] . ピリオド
  • [235] ! 感嘆符
  • [236] ? 疑問符
  • [3] ’ アポストロフィ
  • [36] - ハイフン
  • [36] [36] ― ダッシュ
  • [3] [3] [3] . . . 点線
  • [456] [34] / 斜線
  • [2356]~[2356] ( ) 丸カッコ
  • [6] [2356]~[2356] [3] [ ] 角カッコ
  • [236]~[356] “ ” コーテーション
  • [6] [236]~[356] [3] ‘ ’ シングルコーテーション
  • [4] [12346] & アンドマーク

◆点字に特有の記号

  • [3456] 数符
  • [6] 大文字符
  • [6] [6] 二重大文字符
  • [56] 文字符
  • [4] アクセント符
  • [6] [3] 終止符

 なお、小数点については(5)を参照。

(3)上記(2)以外の例えば単位記号等を用いる必要があると思われる場合(点訳で墨字原本にそのような記号が使われている場合など)には、まずその記号を適切な英語の語句に置き換える方法や、その部分を日本語点字体系で表記する方法などを検討する。それでもなお、(2)以外の記号が必要と判断される場合には、EBAEまたはUEBの該当する記号を、巻頭の凡例や点訳注で説明した上で、使用することができる。
 書体に関する符号(イタリック符等)も使用しないことを原則とするが、書体の違いを表すことが意味の理解に不可欠と判断される場合には、上記同様、巻頭の凡例や点訳注で説明した上で、書体に関する符号を使用することができる。

(4)二重大文字符の用法に関してはUEBの規則を準用する。すなわち、二重大文字符の効力はアルファベットが連続する間継続し、ハイフン・アポストロフィなどの記号やマスあけで終わるものとする。UEBの規則の方が明確で、曖昧さをなくせるからである。
 (以下の例で、→の前が従来の表記、後が新表記)

[例]

  • FIR-TREE (ハイフンの後、二重大文字符は不要だったが、必要になる)
    [6] [6]fir-tree → [6] [6]fir-[6] [6]tree
  • SELF-made (終止符が必要だったが、不要になる)
    [6] [6]self[6] [3]-made → [6] [6]self-made
  • TOM’S HOME (アポストロフィの後、大文字符が不要だったが、必要になる)
    [6] [6]tom’s□[6] [6]home → [6] [6]tom’[6]s□[6] [6]home
  • VIP’s (終止符が必要だったが、不要になる)
    [6] [6]vip[6] [3]’s → [6] [6]vip’s

 なお、UEBには全部大文字の単語が連続することを示す符号[6] [6] [6](capitalised passage indicator)があるが、これは一般日本語文章中では原則として使用しない。

(5)数符の用法に関してはUEBの規則を準用する。すなわち、数符の効力は数字およびコンマ・ピリオドが連続する間継続し、それ以外の記号やマスあけで終わるものとする。UEBの規則の方が明確で、曖昧さをなくせるからである。小数点は、UEBの書き方に従い、ピリオド[256]を用いる。

[例]

  • 35-40 (ハイフンの後、数符は不要だったが、必要になる)
    [3456]35-40 → [3456]35-[3456]40
  • 9:15 (コロンの後、数符は不要だったが、必要になる)
    [3456]9:15 → [3456]9:[3456]15
  • 1/2 (分数は分数線で書いていたが、普通の斜線で書くようになる)
    [3456]1[34]2 → [3456]1[456] [34] [3456]2
  • 2015/2016 (斜線の後、数符は不要だったが、必要になる)
    [3456]2015[34] [34]2016 → [3456]2015[456] [34] [3456]2016
  • ’15 (アポストロフィは数符の後だったが、前になる)
    [3456]’15 → ’[3456]15
  • 15,000 (変更なし)
    [3456]15,000 → [3456]15,000
  • 3.14 (小数点の記号変更)
    [3456]3[46]14 → [3456]3[256]14

 数符の効力は、数字に読めない文字やコンマ・ピリオド以外の記号が表れたところで終わることとなるので、数字から文字への切り替えを示す文字符は、数字の直後(あるいは数字の後のコンマまたはピリオドの直後)に小文字のa~jが続く場合にのみ必要となる。

[例]

  • 8cm (文字符が必要、変更なし)
    [3456]8[56]cm → [3456]8[56]cm
  • 8km (文字符が必要だったが、不要になる)
    [3456]8[56]km → [3456]8km
  • 8B (文字符が必要だったが、不要になる)
    [3456]8[56] [6]b → [3456]8[6]b
  • 8-cab (文字符が必要だったが、不要になる)
    [3456]8-[56]cab → [3456]8-cab
  • 8.a (文字符が不要だったが、必要になる)
    [3456]8[256]a → [3456]8[256] [56]a

(6)一般日本語文章中にドイツ語やフランス語などの語句や文を書く場合も、英語に準じ上記により表記することを原則とし、変母音やアクセントの付いた文字はアクセント符[4]を前置して示す。ローマ字書きされた日本語も同様で、長音にはアクセント符を用いる。

5.『日本点字表記法』で変更を要する箇所

 一般日本語文章中の英語の語句や文の表記については、上記4.に述べたようになるため、『日本点字表記法 2001年版』の次の箇所は、大幅な変更が必要となる。
 1編2章3節14.(アルファベットで書き表された語句や文の引用) 〈引用される語句や符号が英語の場合には……長音は該当する母音にアクセント符を前置して書き表す。〉
 また、[例]のうち3・4番目は、一般日本語文章中ではアクセント符を用いた書き方 [236] [6]karl□[6]b[4]ohm[356]、[236]fianc[4]ee[356] のみ該当し、ドイツ語点字・フランス語点字の表記は該当しない。
 【注意1】から【注意3】については、変更を要する部分はない。
 4章5節4.(点字仮名体系における外国語)の項は、本文の記述はそのまま生きるが、【注意】については一般日本語文章中の英語の語句や文には該当しない。
 2編III 5.「英語(グレード1)」の表は、本資料II.4.(2)の表と差し替える。

《参考文献》

 UEBについては、次の資料が参考となる。
 The Rules of Unified English Braille Second Edition 2013. Edited by Christine Simpson, International Council on English Braille (www.iceb.orgよりダウンロード可)
 『エッセンシャルガイド 統一英語点字UEBで何が変わるか』福井哲也著、日本ライトハウス、2015年
 『統一英語点字(Unified English Braille)について』東京点字出版所編、2015年(筑波技術大学点訳ネットワークのウェブサイト www.ntut-braille-net.org/topics/H26_braille_training.php からダウンロード可)


出典

日本点字委員会.「日本における英語点字の表記について」のデータをアップしました
http://www.braille.jp/news/20150909.html (参照 2016-04-25)

上記に掲載されているダウンロードページに(http://www.braille.jp/data/eigohyoki.html)に「日本における英語点字の表記について」のBES版とPDF版が掲載されています。

DINFでは、福井哲也氏にHTML用にリライトをしていただき、掲載しています。