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平成17年度 マルチメディアDAISY図書製作普及事業 総括報告書

【パネルディスカッション】

【パネリスト】
加藤醇子(クリニックかとう)
城達也(手織適塾さをり)
藤澤和子(京都府立向日が丘養護学校)
撹上久子(社団法人 日本国際児童図書評議会)
河村宏(国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所)
石川准(静岡県立大学)
【司会】
野村美佐子(財団法人 日本障害者リハビリテーション協会)

○司会
河村さんと石川さんの発表では、DAISYの開発について意見が分かれていたように思いますのでこのことについてお二人にもう一度うかがってみようと思います。これからその調整を始めたいと思います。これから皆様のご質問をお受けしつつ、今後どのようにDAISYを発展させるかについて討議をしていきたいと思います。 講師の方々には、それぞれの立場からマルチメディアDAISYについてお話をいただいたのですが、講師のプレゼンテーションに対してご質問がある方、お願いしたいと思います。

○会場から
石川さんのお話で、DAISYではアクセシビリティを追求しているということでした。私は日々、公共図書館でDAISY図書編集者の養成や製作に携っている視覚障害を持つ職員です。
今日の皆さんのお話では、DAISYの製作者は健常者で利用者は障害者というお話がほとんどでした。私は視覚障害者としてDAISY図書の製作に携っているわけですが、現在、マルチメディアDAISY製作のソフトウェアは視覚障害者に使えない状態にあって、私のような公共図書館で働く視覚障害職員がマルチメディアDAISY製作に関わることが、ちょっと阻害されているような状態にあります。その辺のアクセシビリティの今後の発展について、どのように考えていらっしゃるかお尋ねしたいと思います。

○司会
ありがとうございました。タイの視覚障害者でモンティエン・ブンタンさんという方がいるのですが、その方はマルチメディアDAISYを製作しているのです。
ということは、JAWSの中にスクリプトを書けば、マルチメディアDAISYのソフトが使えるということがあります。その辺のところをまず石川先生からお話いただけますか。JAWSの開発をしていますよね。

○石川 
いま、英語版のSigtunaDARと英語版のJAWSというスクリーンリーダーを使えば、

○司会 
はい、そういうことです。

○石川 
私はモンティエンさんからちゃんと聞いたわけではありませんが、どのくらい使いやすく効率的にやっているかについてはコメントを留保したいなと思います。
ということは、ユーザビリティがあるかどうかというところまで突っ込んで考えたときに、本当に障害を持った職員が作るということを、徹底的に追い込んで開発しているかどうかについては私は未検証なのでなんとも言い難い。
つまり、カスタマーを選ばないというコンセプトは、利用者だけではなくて、製作者についてもそうだというのがDAISYの哲学、思想であるはずですから、その思想からしてスクリプトまで書かなければいけないスクリーンリーダー、しかも特定のスクリーンリーダーに依存しているという状態は、不完全だと言わざるを得ないのではないか。今後の課題としてやはり、オーサリングツールのアクセシビリティというのを追求していくべきだと思います。

○司会
今後の課題ということで、いま河村さんのほうで新しいエンジンを作ると言うのでしょうか、DAISYのエンジンを作っていらっしゃいますが、その中でアクセシビリティということが考えられ、あるいは、ユーザーの障害を問わない、製作者の障害を問わない、といった点からは河村さんはどのように考えていらっしゃいますか。

○河村 
これまでにDAISYの製作ツールはいくつか手掛けてきているのですが、SigtunaDARというのはスウェーデンのダブリンテンという会社で作っていて、それが今、イギリスのドルフィンという会社で作っているEasy Publisherに継承されているのですね。これは最初から、アクセシビリティをスクリーンリーダーで実現するというコンセプトで作られているという限界が1つあって、もう1つは、ソースコードを公開しないということで契約されて作られているのです。
それで結局アクセシビリティに関しては、私は不十分なものだと考えています。
それを視覚障害者用の、マルチメディアではなくて録音図書製作に限定して開発したのが、今、PTR1に内蔵されている録音のMy StudioPCというソフトウェアです。
これはシナノケンシに委託して、日本リハビリテーション協会が開発してきた延長にあります。
これはむしろ視覚障害者が録音図書を製作するのに便利なように、そちらを中心に作って、デフォルトでは音声プロンプトがオンになっています。
そして、音声プロンプトが要らない人は、オプションで消してくださいということになっている訳です。 これからどうすべきかということで、特に視覚障害でも弱視の方には、自分で字を見たいというニーズが非常に強いわけです。また、ボイスシンセサイザーなどと併用して字を確認したい、音声だけではなくて字を確認したいという全盲の方たち、あるいは盲ろうの方の要求もあります。
そういう全部のニーズを満たしながら製作できるものというコンセプトで作っていかないと、問題は解決しないだろう。したがっていま、エンジンの設計から始まっている新しいツールの開発を、国際的な共同作業でやっています。これは国際的に共同してやらないと、それぞれの都合がぶつかり合って本当に良いものができないのですね、あとで、解釈が違うとかいろいろなことがありまして。  

もう1つ大きいのは、動画を取り込みたいというニーズがあるのです。

視覚障害の方の最初の議論では、動画は要らないという議論が一部あったのですが、やはりTVなどの動画の情報を副音声、あるいは副音声をテキスト化したものを通じてアクセスしたい、というニーズが確認できました。
次の世代のDAISYには動画を取込もうとすると、今までにない新しいデータのモデルを作らないといけないので、大変な作業になっています。したがって今そのモデルをしっかり作って、DAISYグループが世界中に、これでどうだと提案できるようなものを、エンジンから作ろうということで始まっています。  
そのプロジェクトの名前は「浦河共同プロジェクト」と言います。北海道の地震の多い浦河には認知症の方も大勢いますし、もちろん視覚障害の方や精神障害の方などさまざまな障害の方が暮らしている。その方たちが、地震や津波にいつ襲われるかということで、災害への備えという緊急のニーズにきちんと応えられるよう、世界中の技術者が集まって技術としての回答を出すというのが、浦河共同プロジェクトという名前の起源です。
そんな感じで作っていくので当然、最大限のアクセシビリティを確保しよう、製作ツールについても確保しようということで、オープンソース、そしてそのあと、ソースコードをどのようにでも発展させられる、そういうエンジンを作っていくということになっています。
その中に、作業はいろいろ大変なのですが、皆さんで参加していって、こういうニーズを実現していくのだということを明確にしていけば、ソースは公開されているわけですから、これからのプラットホームとしては非常に展望がある、ニーズがそこに実現できるチャンスが大きいプロジェクトとして今、DAISYの新しいツール作りが始まっているということをご紹介しておきたいと思います。

○司会
ありがとうございました。新しい動きの中で、しかし私たちは、今あるソフトウェアでマルチメディアDAISYの普及をしていかなければならないという使命があります。先ほど、いろいろなマルチメディアDAISYの利用方法というのが出てきました。大きなところを挙げると教科書としての使い方、読書を楽しむという利用方法、災害などに対しての緊急避難的な使い方、といったようなものについていろいろな方からお話いただいたと思います。また、知的障害者の場合、学習障害者の場合にはこういった使い方ができる、あるいは、こういったニーズがあるというお話をいただきました。その中で課題として、著作権というものがどうしても出てきてしまう。その中をクリアしてこれから普及していくためには、どういう戦略を使ったらいいのかなと思うのですが、加藤醇子さんいかがですか?

○加藤 
戦略というのはないのですが、ただ、やって悪いことではないわけですよね。
ですから、変な言い方ですが、どの程度の罪になるのかということで、もっとバンとやってしまってもいいのかしらという気もするのです、その辺はいかがでしょうか。

○司会
罪の話になってしまったのですが、そういうところではなくてやれる方法もあるのではないかと思うのです。藤澤さんいかがですか?

○藤澤 
言いましたように、学校でいろいろ積み上げてあるものをDAISYにしていくというのが1つの方法だと思うのです。結構あるものです。今回、ある助成に応募しているのです。それは養護学校で作られてきたものをDAISYにできないかなということで、お金が取れたら進むのですが。ですから、そういうものも1つの方法だと思います。

○司会 
そうですね。そういう身近なところから始めていくというやり方もあると思いますし、そういったところに、例えば製作者側が支援をしてあげるというのも1つの方法だと思います。  
撹上さんは読書の楽しみというところから、マルチメディアDAISYを使いたいとおっしゃっていましたが、そこでの戦略というのはどうでしょうか?出版会社は動くでしょうか?


○撹上 
マルチメディアDAISYだけでなく絵本が抱えている課題は非常に大きいので、本当に、日々それを考えながら絵本展を巡回してきましたが、やはり出版社というのは、利益が出なかったら維持していけない所なので、個々の出版社の努力に委ねるというよりは、新しい出版のシステムの構築というのが、一方でなくてはいけないのではないかと考えています。  
それから、出版の側ではなくて、購買する側に何か働きかけられないかということも考えております。これはやはり学校図書館などです。図書館が購買層としてきちんと確保できれば出版社も動くのではないか。ですからマルチメディアDAISYとか、こうしたバリアフリー絵本をまず図書館の人たち、学校の人たちに知っていただくということをいま大事に考えています。

○司会  
公共図書館の方々に知っていただいて、そのニーズを把握して、DAISYを使いたいという声をあげていただければという方法でした。それから、知的障害児の方と多く接していて、どういった戦略でいけば、マルチメディアDAISYを知的障害者に使っていただけるか。その辺のところを城さんいかがですか。

○城 
私が特に関わる部分というのは、学校でやっているわけでもなく、単に布を織ってもらうだけですので、その方たちの作品発表の場としてDAISYが、自ら出版するという形でやっていってもらえれば。
その1つを作ってもらえれば、そこからどんどん真似してというか、作っていく人が出てくると思います。

○司会
と言いますと、発信の方法ですね。
ということでマルチメディアDAISYを、絵だけでもいいわけですよね。
それで自分の言いたいことが言えるという方法があると思います。
では最後になりますが、2つ、河村さんと石川さんで議論をしていただきたいことがあります。
片やオープンスタンダード、オープンソース、片やビジネスモデルの上に社会的規範をつくろうではないかというところで、多少は似ているのですが、やはり根本的に違っているものはある。
その辺のところをお二人にもう一度お話いただければと思います。

○石川 
90%一致している、10%程度の違いでしかないのです。
だから方法論、戦略の問題で、何が違うかと言うと、人々の利益追求、企業の利益追求、あるいは、自分が作ったという行為が報われる社会でありつつ、しかしユニバーサルデザイン。あるいは、誰もがそれにアクセスできるような社会をつくっていくためには、どういう現実的な工夫が必要かということについて、河村さんのほうはより理想主義的であり、私のほうはより現実主義的だといった程度の違いでしかないと認識しています。

○司会
現実を越えられるのでしょうか。

○河村 
私もあまり違っていないと思っています。
だから、見かけほどには違っていないと言ったほうがいいのかもしれません。
例えば私がやっていることは、どちらかと言うと、あまり商品を作らない。ただで配る。そして、オープンソースでソフトウェアを作っても、ソースコードは全部公開してしまうというやり方です。

石川さんはどちらかと言うと、きちんと商品にする。そしてその売上げでその次の商品、より良いものの開発をするという、ビジネスモデルとしてちゃんと回っていくイメージを持って仕事をするところを中心にしておられるのだろう。
私は、それも大事だと思うけれども同時に、ある意味無償で、あるいは、公的な資金でやらなければいけないところをきちんとやるべきだというところに、力点を置いているという違いだと思います。  
実は両者は、ある種のオープンソースの扱い方で一致できるのです。
オープンソースと言うと、作ったものをただインターネットで公表して、あとは野となれ山となれというのが多いですよね。でもそうではなくて、ある時期、例えばAMISというソフトウェアがいちばんいい例です。日本障害者リハビリテーション協会がAMISを、テクノエイド協会の助成を得て開発しました。これは素晴らしいソフトだと思います。だけど、助成金はいつまでもくれない。
だけど、ソフトはメンテナンスをしなくてはいけない、それをさらにもっと良くしていかないと誰も使わないものになってしまう、技術がどんどん新しくなりますからね。
それをバトンタッチするときに、オープンソースだと、誰でもバトンタッチできるのです。自分の所でこれを足すよということができるのです。

今はDAISYコンソーシアムがそれをバトンタッチして、さらに、AMISの2.0というのを開発しました。AMISの2.0は英語でしかできていないのです。それをさらに日本語でも使えるように、あるいは、日本で普通に手に入るピンディスプレイでも動くようにしたい。
そこはいま私のおります国立身体障害者日本リハビリテーションセンターの研究所が受け継いで、その部分は私たちのほうでやりましょうと、資産を足すわけです。
みんながやったものが足される、そして誰もがその次にそれを使うときに使える。そしてそれをビジネスモデルとして、商品にして売りたいというときにはLGPL、専門的になりますがLGPLというライセンス方式によって、これはここまでの部分はこれこれのものを活用しましたという宣言をすれば、商品にしてもいいのです。
その代わり商品にした上で、その自分たちで継ぎ足した部分は、またみんなで使う所に出してもらうということなのです。ですからこれはやはり1つの、ちゃんと回転するビジネスモデルにしていくというところにもつながるのです。  
ですから一見、議論は違うように見えますが、私もそのソフトウェアとかシステムというのはサスティーナブル(持続的)でなければ意味がないと思います。
その意味でビジネスモデルも大事だと思います。でも、例えば国家公務員であれば、同時に商売はできないわけですから、私がいまいる立場としては、公的な資金でやらなければいけないところに力点を置いて、その部分をしっかりやりましょう。
石川さんは、地方公務員でもありますが、国家公務員よりはより自由な立場で活動できますから、例えばコンサルタント的なことも可能なのだと思います、大学におられるということもありますから。

○石川 
議論を補整させてください。両者の違いは最後の話とは関係ないと思うのです。私が言いたいのはこういうことです。
つまり、一方にユニバーサルデザイン指向でやっていくという活動があり、他方に、カスタマーを限定してやっていくというような活動があって、一緒に競争したら後者が勝つに決まっているだろうということを言いたいのです。  それから、オープンな規格で勝負する所と、クローズな規格で勝負する所があったときに、後者が勝ってしまう可能性も否定できないということも言いたい。
すべての分野について、すべての財やサービスについてそういうことが言えるかどうかわかりませんが、極めて重要なものについてはオープンな規格であるべきであるとかユニバーサルデザイン、つまり、カスタマーを限定しないようなサービスの供給や財の供給を、規範として社会が合意して、みんながそのルールに従って競争するというようになっていないと。つまり、一緒にやるとDAISYは負けてしまうのではないかという心配を述べただけです。  
そうではなくて同じルールの下で、つまり、一方は平等ということを背負っているわけだから、競争しようとするときにハンディがあるわけです。他方は平等なんていうことは考えていない。
どこかのビジネスホテル・チェーンの話をしましたが、そちらのほうが効率的だっりして、勝っていったりするわけです。
障害者用の部屋を全部潰してしまうほうが、ビジネスとしては合理的かもしれない。
だけども、それはやってはいけないというルールを合意した上で勝負をして、それで勝ち負けを決めていくことにしないといけないのではないかということを強調しただけで、それは河村さんも同じ意見だと思います。ですからほとんど違いはない。  
違いがあるとしたら、プロテクトをかけるかかけないか。DAISYにプロテクトをかけた形での商品化することを、DAISYコンソーシアムが認めるのか認めないのか。それはDAISYとは言わないというように言うのか。それとも、それでもいいから、それでビジネスとしていってくれると言うのだったら、それは歓迎するということなのかというところに、違いがあるのではないかなとちょっと思いましたが、どうでしょうか。

○河村 
一言。いまDAISYコンソーシアムの中では、実は論争があります。
それはいま石川さんが言った最後のことです。はっきり言って北米、特にアメリカとデンマークは、プロテクトをかけたいと言っています。ある種のものにはプロテクトをかけたい。
そしてDAISYコンソーシアムとして、かけるのだったらこのプロテクトにしようという候補を作っています。それがもうすぐ、パブリックコメントを募集します。

それでもう1つの議論は、障害のある人は、世界的に見たら途上国のほうに圧倒的に多い、それを先進国だけの都合で、プロテクトをかけたものばかりが増えたらどうなるか、という懸念がもう一方であります。そこをどういうように調和させて、よりたくさんのタイトルがすぐに、手に入った途端にアクセシブルであるという状態をつくるのか。
メインストリーム化を目指すということは、いまのプロテクトの問題は避けて通れないので、おそらくこれからプロテクトされたDAISYと、プロテクトされていないオープンなDAISYとが混在します。現にアメリカのものはプロテクトされています。
ですから、多くのアメリカのDAISYタイトルをCDで持ってきても日本ではかかりません。
この問題については非常に深刻なものがあって、なお論争中ですので、皆さんのご意見をこれからもいただきながら一緒に考えていきたいと思います。

○司会
どうもありがとうございました。
河村さんと石川さんで、最終的には折り合いがついた部分があるのですが、社会的な規範をつくるというところに、解決法があるのではないかなと思います。DAISYをさらに発展させていくためには、著作権の問題を解決するとか、そういったところでの社会的なシステムの転換、あるいは修正をお願いしてもらうことになるのかなと思いますし、そしてそれが、例えば国に対して、こういったニーズがあるということで、国からの支援もしていただきたいなと思っております。
最後に一言ずつお話をしていただいて終わりにしたいと思います。加藤さんからいいですか。どうすれば社会的なシステムが変わるのか、変えていけるのか、一言お話をしていただければと思います。

○加藤 
社会的システムについては、先ほどの著作権のことからすると、いま井上先生が色々やっていらっしゃるわけですが、やはり保護者の人たちの力がいちばん大きいかなと思いますし、そこからアプローチしていって変えていくということが1つかと思います。著作権ということに限ればそういう方法かなと思います。
井上先生がやっていらっしゃって、6年経ってもということだとなかなか難しいかなと思いますが、ただ、いま、世の中も変わろうとしていますし、情報化の技術というのはものすごく、目覚ましく社会に浸透しようとしていますので、その辺に期待するというように考えております。

○司会 
今後のDAISYの発展に関して、どうしたらいいのか、どうするのがいちばんいいのか?
著作権というのもなかなか変わらない。画期的な方法があれば一言。難しいですね。

○城 
これはまず使ってもらって、認知度を高めていくことが大事かなと思っています。
1つの案ですが、先ほど山本さんが自己紹介をするのにDAISYを使っていましたが、あのやり方はすごく普及しやすいのではないかなと思います。
まずテキストを作って自分の写真さえ持っていけば、誰でもその場ですぐ自己紹介ができる。
時間が長くなることもないですし、決まった時間で終わるので、そういったいろいろな使い方によって広めていくほうがいいと思います。

○藤澤 
やはり学校現場でいろいろ使われるとか親の会などでもっと、知的障害の人が本を読むということについて、意識を高めるような動きになっていけばと思います。
DAISYだけではなくて、スウェーデンでは知的障害のある成人の人に読みやすい本を制作している協会もつくられて,いろいろな出版も行われていますから、日本でも読みやすくわかりやすいそういう本が少しずつ広がって、それとともにDAISYの認知度も高めていければいいのではないかと思います

○撹上 
絵本や本、図書館というのは、知的活動の代表なのですね。
しかし、知的障害などの子どもたちに、こういう楽しみを届けられるアプローチというのは本当に少ないのです。ですから私はこのマルチメディアDAISYというものに、非常に期待というか、大きな可能性を感じています。どんな子どもたちにも絵本を届けられたかという、その1つの視点から見ただけでも、世の中がどれくらい豊かになっているかということがわかるし、社会がどのように子どもたちを受け止めてきているのかということの、1つの大きな物差しにもなっていると思います。
そういう意味で私はこれからも、知的障害がある子どもたちにも読書の楽しみを届けられるという視点で、マルチメディアDAISYの普及を考えていきたいと思っています。

○司会
ありがとうございました。石川さんもう一度お願いしてよろしいですか?

○石川 
DAISYの1つの有力な突破口としてはやはり特別支援教育と、そのためのDAISYによるマルチメディア教科書製作の、いわば義務化というか、保証というか、そういうところではないかなと思います。

○河村 
今日はあまり出なかったのですが、弱視の方と難聴の方、また、それを合わせ持っている方たちにはDAISYは非常に、すぐに手が届く情報手段だろうと思います。
そのような方も含めたDAISYの提供に、できるだけ多くの方が参加するチャンスができればいいなと考えています。

○司会 
ありがとうございました。最後は皆様へのご提言で終わりにしたいと思います。
私たち、日本障害者リハビリテーション協会としては、DAISYの普及においてできるだけの支援をしていきたいと思っております。
製作する側、あるいはマルチメディアDAISYを使用する利用者に対して、色々な支援の方法があると思っているのですが、その1つとしてネットワークを構築していろいろな情報交換が皆様とできればと思っております。その最初のステップとして、私どものサーバーにマルチメディアDAISYのサンプルを置きたいと思っております。皆様のほうで、著作権の問題がクリアされていて、それを共有しても構わないという方は、是非私どものほうにご連絡いただき、作られた作品を私どものサーバーの中に置いていただければと思います。、それらがインターネット上誰でも自由にでダウンロードできるようにいたします。昨日そういう話が出て、急遽その場所を設定いたしました。その場所はどこになっているのでしょうか。

○吉広(財団法人 日本障害者リハビリテーション協会)
DAISY研究センターのホームページと、リハビリテーション協会が行っているノーマネットのホームページにリンクが載っていますので、一度訪れてみてください。
(DAISYファクトリー:http://www.normanet.ne.jp/services/download/daisy.html

○司会
そしてまた皆様のお作りになったマルチメディアDAISY、是非私どものほうでインターネットに上げさせていただければと思います。その際には、一応チェックして、もし間違いがあるようでしたらこちらで直しもしますので、是非やってみていただければと思います。さらに河村さんのほうからのご提案で、これから製作をというお話もあります。これをきっかけにさらにDAISYの普及が推進されればと思います。今日は長時間ありがとうございました。