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DAISY浦河共同プロジェクト憲章

監修:ジョージ・カーシャー
DAISYコンソーシアム 事務局長

項目 内容
備考 最終修正日:2005年7月31日、GK
状態:公開草案1

抜粋

DAISYコンソーシアム、INRIA、CWI、NRCDは、障害者が十分にアクセスできる、誰にでも使う事のできるオープンなマルチメディア標準規格を世界中に提案するために、マルチメディアオーサリングソフトの枠組み開発に携わる。この枠組みには、オブジェクト指向の抽象データモデル、アプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)、コードライブラリ、少なくとも1つのアプリケーション・サンプルが含まれるものとする。

本プロジェクトは2~3年に渡るもので、1年目に最初のアプリケーション・サンプルを作成する予定である。成果物はオープンソースで、ロイヤルティーフリーとし、営利非営利を問わず、企業に対し、APIとコードライブラリを基盤に構築することを奨励するライセンス条件に従い利用できるものになる。

同期マルチメディア統合言語(SMIL)とDAISY/NISO標準規格(これもSMILに基づいている)は、アプリケーションドメイン内で対象となっている主要な仕様書である。創立メンバーは、作業を支援してくれる団体を歓迎し、成果物を拡大・強化するために、外部からの資金提供を求めていく。

背景

1999年、SMIL1.0はワールドワイド・ウェブ・コンソーシアム(W3C)の勧告となった。本プロジェクトの創立メンバーは、SMILおよび関連したマルチメディアのアプリケーションの実装に関与していた。最近、SMIL 2.1がW3Cの勧告となり、今度のSMILに関する作業が開始された。

他のアプリケーションドメインにおいて、いわゆるソフトウェア開発キット(SDK)(コードライブラリとそれに関連したAPIドキュメンテーションを含む特定のドメインに限定した枠組み)を利用できることが、開発時間とコストを削減し、成果物の安定性と質を高め、その結果ドメイン内のアプリケーションを普及させる最高の方法であることが知られている。この過程の例として、XML仕様をサポートするために開発されたドキュメントオブジェクトモデル(DOM)およびXML用シンプルAPI(SAX)API/SDKが挙げられる。

現在、SMILの成果物またはプレゼンテーションのアプリケーションを開発する各企業または団体は、独自のデータモデルをゼロから開発しなければならない。データモデルを次世代のSMILに再利用できることもあるが、頻繁に中核のデータモデルが変わり、アプリケーションを作り直さなければならなくなる。本プロジェクトの創立メンバーである4団体は、マルチメディアのアプリケーション開発で豊富な経験を持っている。その知識基盤を合わせれば、強固で、将来も十分に使えるオブジェクト指向の抽象データモデル、API、コードライブラリを含む総合的なオーサリング・ソフトの枠組みを作成することができるであろう。

要旨

目的

世界は、高品質のマルチメディア・オーサリング・ソフトを作成するより良い方法を必要としている。本プロジェクトは、誰でもマルチメディア・オーサリング・アプリケーションの構築のために使用することができるソフトウェア開発の枠組みを作成するものである。この枠組みには、オブジェクト指向の抽象データモデル、そのデータモデルのためのアプリケーション・プログラム・インターフェース(API)、データモデルとAPIを実装するコード・ライブラリ(「プロセッサ実装」)が含まれる。次にこの枠組みは、作成ツール、オーサリング環境、場合により再生アプリケーション、インテリジェント・リーディング・システムその他必要なあらゆる種類のマルチメディア・アプリケーションを作成に用いることができる。

高い水準の成果物

  • 次世代SMIL(NG)及びDAISY/NISO Z39.86を実装するためのオブジェクト指向抽象データモデル(最終的な名称:未定):1
  • オブジェクト指向抽象データモデルのためのAPI仕様書:1
  • データモデルとAPIの実装(マルチメディアのデータ処理のために直接使えるコードライブラリに匹敵する):1
  • この枠組みを使用して作成される基本アプリケーション:1
    注:基本アプリケーションは拡張されると予想され、開発者は他のアプリケーションを作成するためにこのコードと枠組みを使用することができる。

標準規格

本プロジェクトの創設者は、誰にでも使う事のできるオープンな標準規格をサポートする努力を重視している。W3CはSMILを作成し、次世代SMILのための要求事項に取り組んでいる。我々は、この枠組みが現在および将来のSMIL勧告の実装をサポートすることを保証するために努力していく。

重要性

コスト時間のために、企業も団体も、障害者が十分にアクセスできる強力なマルチメディアのアプリケーションを構築することができない。強力なソフトウェアが不足しているため、仕様と標準規格を実装する開発も実施されていない。本プロジェクトは、マルチメディアの発達を世界的に加速するために貢献することができる主要関係者をまとめる素晴らしい機会となる。最終的に、この枠組みによって、マルチメディア・ソフトウェアの幅広い選択肢が生まれる。

創立パートナー

2005年5月、以下の団体は、東京で3日間の会合を持ち、その後、2日間の会議のために浦河へ移動した。30人以上の代表が会議に参加し、この共同プロジェクトが生まれた。参加した団体は、以下の通りである。

国立身体障害者リハビリテーションセンター(NRCD)研究所

NRCDのウェブサイト
本プロジェクトに関するNRCDの連絡先:障害福祉研究部長河村宏

Institut National de Recherche en Informatique et en Automatique (INRIA)

英語:フランス国立情報・自動制御研究所(英語でもINRIA)
INRIAのウェブサイト(フランス語)
英語:INRIAのウェブサイト
本プロジェクトに関するINRIAの連絡先:Vincent Quint

Centrum voor Wiskunde en Informatica (CWI)

オランダ国立情報工学・数学研究所(CWI)
CWIのウェブサイト
本プロジェクトに関するCWIの連絡先:Dr. Dick Bulterman、コンバージェント・メディア部長

DAISYコンソーシアム

DAISYコンソーシアムのウェブサイト
本プロジェクトに関するDAISYコンソーシアムの連絡先:George Kerscher、事務総長

幅広い参加

他の多くの団体や企業が、本プロジェクトについて知りたがるだろう。我々は幅広く発表を行うつもりであり、ごく初期の段階で直接に貢献したいと考える企業も2、3社あることを期待している。しかし、アプリケーションレベルでは、さらに多くの企業が参加を希望すると予想している。本プロジェクトは、構造上、オブジェクト指向抽象データモデルとAPIやコードライブラリの開発グループで受け入れることができるのは後わずか2、3名であるが、アプリケーションレベルでの参加はほぼ無制限である。大きな成長を期待しているのはアプリケーションレベルである。

知的財産権(IP)とロイヤルティ

この作業では、W3Cと同じIP方針を使用する。全ての成果物はロイヤルティフリー(RF)で利用可能で、商業目的でも非商業目的でも他の製品への本ソフトの再利用を奨励するライセンス方法を導入する。厳密なライセンス条件はまだ設定されないが、劣等一般公衆利用許諾契約書(LGPL)が基礎となる。

戦略的/政治的な問題

  • 我々は共同で、直ちに本プロジェクトを開始するための資源を有している。
  • 創立メンバーの名声によって、マルチメディア界が必ずこの作業に注目するだろう。
  • 共同で学んだことは、SMIL(NG)の要求仕様に、そして、前進するDAISYコンソーシアムの作業に提供することができる。
  • この画期的で社会を変える可能性のあるプロジェクトは、外部からの追加資金を得るために魅力的なものにしなければならない。

団体、プロセス、作業チーム、管理

開発プロセスは反復型とする。つまり、多数のパスまたはサイクルが繰り返されることを意味する。それぞれの反復によって、成果物は洗練される。反復型開発プロセスが主流ソフトウェア開発の効果的取り組み方法であることが証明されているためにこの方法を採用した。反復型開発プロセスには、頻繁な修正に対応してかなり迅速に、機能するアプリケーションを配布できるという付加された利点がある。

作業は別々の部門に分かれている。これによって、その作業に最も適した才能を持つメンバーのいる独立した作業グループをつくることができる。各作業グループには、各グループの団体、報告、最終的な提出物に責任を持つリーダーを置く。

管理と報告

プロジェクトの中心の管理は、作業グループのリーダーと管理者グループとの間の緊密な協力に基づいている。プロジェクトマネージャー(PM)すなわち管理者グループのメンバーは、グループ・リーダーから定期報告を集めて、プロジェクトの進捗について明確に記載した報告書を提出する責任を負う。さまざまな作業グループを高レベルから見るのが、PMの責任である。PMは各グループの管理の責任は負わない。それはグループのリーダーの責任である。管理者グループは、作業グループが必要とする高レベルな判断を下し、作業グループが必要とする資源を提供する責任を負う。

予算/資金のまとめ

各関係団体は、創立メンバー4団体も、その後に参加する団体も、各自の予算の責任を負う。浦河プロジェクトに関連する包括的予算はない。しかし、各団体は、それぞれの団体から資源を提供する約束をする。各自の予算を維持し、開発を継続するための資源を見つけることは、各団体の責任である。

作業の範囲を継続および拡大する資金源を明らかにしなければならない。各団体は、この画期的で社会を変える可能性のある作業のための資金源を自由に明らかにし、接近することができる。

貢献に関するまとめ

創立メンバー4団体には、開発を開始するために利用できる資金がある。各団体は、以下のスタッフの貢献(フルタイム換算(FTE))を約束しており、将来の追加資源の提供も期待される。

スタッフの貢献
団体 FTE
INRIA 1.25
CWI .25
NRCD 1.5
DAISY-DFA 1.25
DAISY-コア 1.5

注:実際に顔を合わせる会議は、通常、団体のうちの1つが主催することになる。各出席者は、各自の団体に旅費、宿泊費などを負担させることが期待される。

参考文献

上に述べた創立メンバー4団体に加えて、他の関連リンクは以下の通り: