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Ⅰ.障害別のニーズと配慮事項

1.視覚障害

視覚障害者について

情報の80パーセントが目から入るといわれていますが、その情報を得ることの出来ない視覚障害者は災害時には大きな影響を受けます。

テレビの画面に文字が書かれても音声で内容を伝えないと確認ができません。

周囲の状況が自分では確認できません。

視覚に障害があるということは移動歩行も困難です。

視覚障害者のイラスト

災害時に困ること

●災害の状況やお知らせなどが、テレビで伝えられても、映像や文字だけでは確認が出来ません。

●そのため災害情報を受け取ることが遅れるか、受け取ることがまったく出来ません。

●周囲の災害状況が判断できず、対応が遅くなります。

●移動が困難になり、単独では避難出来なくなります。歩きなれた場所でも、状況が変わると移動が出来なくなるからです。

(1)日ごろの備え

本人の備え

●日ごろの周囲とのコミニケーションが大切です。特に一人暮らしの場合、過去の災害の例をみると、まず支援してくれたのは、行政やヘルパーではなく「向こう3軒両隣」の人でした。

●ラジオなど音声で災害情報を得る手段を備えておきましょう。ラジオは日ごろから携帯しておくと、いざというとき役立ちます。

●あらかじめ指定されている避難所や避難経路を確認しておきましょう。地域の防災訓練には積極的に参加しましょう。

●指定の避難所のほか、臨時の避難場所になる学校、公共施設などの場所も確認しておくとよいです。

●携帯電話でのメールを使えるようにしておくと、大変役立ちます。

●災害時の要援護者支援制度があれば、積極的に登録し、避難をするときなど支援を受けましょう。

●非常持ち出し品の中に、携帯ラジオ、白杖、点字盤、その他の日常生活用具を含めておきましょう。

●糖尿病、緑内障などで常備薬がある場合など、医療機関の連絡先や薬の名前などを控えておきましょう。

●ご自分の名前、血液型、緊急連絡先などを書いた「防災カード」の携帯も、大変役立ちます。

周囲の備え

●本人を交え、家族や、周囲の支援者と、防災会議を開き、災害時の行動や備え、必要な支援について話し合っておきましょう。

●家具の転倒防止や、非常持ち出し品の準備など、身の回りの防災対策でも、視覚障害者は支援を必要としています。

●地域の避難訓練などに、視覚障害者に声をかけ、参加してもらいましょう。

●また、地域の行事などにも、視覚障害者に声をかけ、日ごろから交流の輪を広げておくとよいでしょう。

●また、指定された避難所では、障害のある人が使い易いよう、バリアフリー設計に特に配慮する必要があります。

(2)災害が起きたとき

本人の対応

●地震が起きた場合、テーブルや机の下に身を隠し、体を保護しましょう。揺れが収まったら、電気や火の元について、家族や近所の人に確認してもらいましょう。

●地震直後は落下物やガラスの破片などが飛び散り、危険な場合があり、慌てて行動しないようにしましょう。

消防車のイラスト

●災害が起きたあとは、近所の人に情報を聞くか、携帯電話やメールで正確な情報を確認しましょう。

●家族や近所の人に支援を頼み、避難所へ向かうなどの行動をしましょう。

周囲の対応

周囲の人は、視覚障害者を支援する場合は、移動などを支援するほか、周囲の状況や、知りうる正確な情報についても、伝えるようにしてください。

(3)避難しているとき(避難行動・避難生活)

避難所などでは、視覚障害者本人から、周囲の人に視覚障害の状況を話し、支援を要請することが大切です。

 

避難所などにおける配慮事項としては、避難所内の連絡事項や生活情報を、紙に書いて張り出しても、視覚障害者は見ることはできません。このため、配給や、仮設住宅の申し込みなど、必要な情報を知らずに過ごす事例もありました。読み上げるなど、音声で情報が確実に伝わるように配慮してください。

また、必要な介助が得られないため移動がますます困難になり、仮設トイレや風呂などの利用を控えてしまう例もありました。災害時には、ヘルパーなどの依頼は困難なことから、周囲の人の配慮が必要ですが、このためにも、避難所には、要援護者支援の窓口が必要です。また、体育館など広いところは、位置の確認が難しいので、視覚障害者には小さな部屋を割り当てたり、間仕切りの利用や、移動しやすい場所、トイレに行きやすい場所などを優先的に確保するなどの工夫も必要です。

 

一般の避難所は、多くの視覚障害者にとって過ごしづらく、不便があっても自宅で過ごしたという例も少なくありません。二次避難所・福祉避難所は、障害者が日頃使用している施設などが指定されれば、安心感があります。

 

避難所以外の自宅などで被災生活を送っている場合、援助物資や情報が避難所に集中するため、水や食料、電池などの必需品が手に入らないケースもあります。自治会や障害者団体などのネットワークを活用、連携しつつ、自宅にいる視覚障害者へ支援が届くよう配慮が必要です。

被災生活のイラスト