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被災地からの報告

~2007年新潟県中越沖地震の経験

片桐 宣嗣((社)新潟県手をつなぐ育成会理事長)

 

A:地震の特性・特徴と体験

1.一般的特性・特徴=破壊と喪失

地震は「一瞬・同時・広範地域・多分野での破壊と喪失・日常性の破壊」の大災害で生活と生産の場の破壊と喪失をもたらします。中越沖地震の震源地・柏崎でも関東地方の消費電力の約3分の1を供給する原子力発電所が停止し、またピストンリング工場の稼働停止により、全国の自動車メーカーが操業中止に連動しました。被災地だけでなく、震源地外の広範地域・多分野での生活と生産の破壊・損害にも波及します。震源地では余震が頻発し、直接後遺症も甘受するのに対し、震源地外ではその余波・間接後遺症が発生するとも言えます。

2.個人的体験=対岸の出来事・他人事 ⇒ 当事者・自分事

2004年10月23日発生の「中越地震」では、支援者としてお見舞金や物資等を届ける立場でしたが、2007年7月16日発生の「中越沖地震」では被災者になりました。古い建物1棟が全壊し、4か月前に立て直した住宅は一部損傷に済み、避難所や仮設住宅の利用は免れました。耐震補強や建築基準法改正による対応は歴然の感がいたします。

3.ライフライン

電気・電話・ガス・水道が完全停止しました。電気・電話は順番待ちでも数日内に復旧しました。その状況下でも「災害伝言ダイヤル」は有効でした。ガス・水道は復旧1カ月~1ヶ月半を要し、不便・不自由の連日でしたが、雪国では「消雪パイプ」用の井戸を所有する家庭・事業所もあり、「もらい水」に助けられました。

4.支援物資

一般的に想定される必要物資は、地震当日だけが支給制限がありましたが、その後はあり余るほどにいただき、また食事も自衛隊等による「炊き出し」で滋養・変化に富んだもので、感謝一杯でした。入浴は自衛隊による仮設風呂が用意されましたが、地域別・時間制限があり、利用しませんでした。避難所ごとに仮設入浴施設・シャワー設備が設置されると、助かるのではないでしょうか。個人的に特に助かった・予期せぬ支援物資は、安全確保の「ヘルメット」とタンクローリーで運んでくださった温泉湯でした。

5.仮設住宅

「中越地震」では一か所集中・全村移動の大型仮設住宅群でしたが、「中越沖地震」では自宅・学校に近い分散・小規模グループが主流で、地域との接点が確保への配慮がなされていました。

6.情報伝達

柏崎市では防災行政無線が屋外と屋内に設置されており、また市の災害対策本部の情報は地域FM放送に連動し、情報の共有・迅速性は有効でした。ただ、障害によっては、所属の障がい者団体からのファクシミリが情報源という方もおられました。

B:国・自治体のガイドライン

1.課題1・・・情報伝達体制の整備

上述のように、各家庭にまで配置された防災行政無線と、地域FM放送の連動により、情報が

的確・迅速に伝達されていました。消防団も連絡網により素早い行動がなされました。また外国人には地域FM放送が時に5カ国で情報提供がなされました。ただ、聴覚障がい者は電話の不通によりファクシミリの利用が制限され、情報入手が困難な時があったと聞いております。雪国の気象状況、台風、交通機関の運行状況、行方不明者、悪徳商法への注意など、多岐にわたる情報提供は地方都市(柏崎=人口100,000人弱)では不可欠の情報伝達体制です。一人暮らしの高齢者や障がい者などの災害時要援護者については、日ごろから一層の連絡体制の設置・整備が必要でしょう(後述)。的確・迅速な情報伝達が住民の安心・安全・安定に重要、と思量します。大災害が発生しても暴動や略奪などが発生しないこの国の姿は、穏健な国民性だけでなく、情報伝達体制の整備に起因するのかもしれません。防災は防犯につながります。

2.課題2・・・災害時要援護者情報の共有

<1>要援護者情報の収集

2004年10月23日の「中越地震」以後、要援護者名簿を行政内部で共有していたが、柏崎市の要援護者は約10,000人(高齢者・9,000人、障がい者1,000人)ですが、大災害時は全市民・全職員が要援護者状態で、被災地の行政職員だけでの安否確認は、現実的には不可能。しかし市役所では1,075人の職員のうち4時間以内に950人が登庁し、安否確認作業などを実施。2010年4月より方式などを見直し、手上げ方式と同意方式の併用により、それぞれの手帳などを確認し、施設職員や民生委員との協働により整備を図る計画で、同意しない(しなくてよい・したくない)人には再度の確認も予定しているとのことです。

<2>関係機関との連携

措置制度のプラス面(障害者自立支援法によるマイナス面)として、措置権者の自治体はケースワーク職務として、障がい者の現況・家庭・生活・顔をよく承知していたが、障害者自立支援法により障がい当事者もそれぞれにサービス事業所との関係が優先する傾向が強い。このことは

災害時対応に自治体が従来のような直接関与に比較して、情報伝達にワンクッション置いた状況になり得、自治体・事業所・障がい当事者間で名前・顔・現況が一致する総合・相互・相補の関係構築・情報の共有が必要とされるのではないでしょうか。個人情報か、災害時の安心・安全か-をも問いかける法制度の変革です。当事者側の一層の社会参加が求められます。

<3>3障がいの一元化

一方、障害者自立支援法のプラス面(措置制度になかったもの)として、3障がい一元化の対応が災害時の対応に大きく寄与しました。従来は3障がい別々の対応がなされました(2004年の中越沖地震時も)が、中越沖地震時には相談支援センターが新潟県を中心にすばやく一本化され、障がい当事者はワンストップでの対応がなされました。中越地震の際には、立ち上げに日数を要したとのことですが、中越沖地震の際には3日で活動開始し、地震後の2週間はニーズを支援につなげる作業(緊急災害対応)がなされ、その後は個別支援と平常の支援体制に移行しました。また保健師・看護師・社会福祉士・介護福祉士などの専門職チームによる各家庭もなされました。関係機関連携のより行き届いて協働サービスが提供されていました。情報の共有が相談・支援に連動してこそ、「情報=情けの報せ」が具現化していることになるのではないでしょうか。ニーズ把握により、重度障がい者への特殊入浴風呂のサービス、聴覚障がい者へは手話通訳者による訪問、視覚障がい者へ点訳・音訳の支援もなされました。

措置制度→支援費制度→障害者自立支援法への制度改革により、防災に関する行政の情報の質は低下したかもしれませんが、それを上回る支援が展開された、と評価いたします。

3.課題3・・・避難支援計画の具現化

 

 課題4・・・避難所における支援

 

 課題5・・・関係機関の連携

 

 

<1>福祉避難所

福祉避難所(小学校1、高等学校1、特養2、高齢デイサービス2)が地震の3日後から設置

され、105人=高齢者86人、障害者7、乳幼児1人、その他9人(延べ1,368人)が利

用しましたが、サービス事業者が運営主体になりました。その他、一般避難所に福祉避難室を用意し、乳幼児の家族がに利用しました。また障がいによっては他市の施設利用も行われました。

<2>福祉施設との協定

災害時の対応として、要援護者の災害時の一時対応・緊急対応として、第1に施設において利用者の安否確認とその結果報告、第2に施設を福祉避難的施設とし、避難者の受け入れを行うことが、市と福祉法人・施設間で協定されました。(安否確認=9法人20施設、避難受け入れ=3法人4施設)

<3>医療救護活動

DMAT(災害派遣医療チーム)は48時間以内に40病院から42チームが派遣されました。

(県内5病院・5チーム、県外35病院・37チーム)都道府県の枠を超えた支援・救護活動が

展開されました。また、県外からの保健師は1か月半で80自治体から延べ3,547人が活動してくださいました。2009年の宮城県での地震に際しても、新潟県のDMATも発生から3~4時間で出発したとの報道がありました。「いの一番」=『医の一番』です。

<4>自主防災組織

2007年の中越沖地震発生時の組織率は45%でしたが、現在は95%に達しています。

地域単位・事業所単位がありますが、災害発生時間帯により、地域・職域の対応がそれぞれに想定されます。また地域でも、市の中心部と郊外、意識の高い地域、ニーズの強い地域など、違いがありますが、一般的に高齢(幸齢)化率の高い地域や郊外の集落で熱心に取り組んでおります。

地区・集落独自で地区災害対策本部を組織し、災害時要援護者登録申請書兼台帳を作成し、継続的活動として、自主防災組織の整備、災害時要援護者台帳と防災福祉マップの整備、防災訓練、コミュニティー総菜屋(炊き出しから進化)が実施され、防災携帯無線整備を取り組む計画も

進行中です。-被災者にとっては、普段の顔が見え、気持がわかり、愚痴も聞いてくれる身近な地域の人の安心が大きいようです。

大規模地震の場合、全住民が要援護の状況です。自治体が大きいほどに、行政と連動・協働した地域の自主防災組織こそが迅速・的確な対応が可能、と思量したします。

<5>地震を経験しての教訓

*一時対応・避難は自助・共助が原則

自助=平時から近所や地域のキーパーソン(民生委員・町内会長・班長など)との日ごろの関係作りが大切で、自ら助けを求めることも必要です。

共助=地域住民の助け合いで、自主防災組織が果たす機能は大きい。

自立支援協議会などが日ごろからの地域の関係機関が関係構築・情報交換がされていると有効です。

*公助=普段あまり表に出ない障がい種別にも支援

視覚障がい・聴覚障がい・軽度の知的障がい・発達障がい・手帳のない精神障がい 

<6>今後の課題

*「要援護者名簿」とは何か・・・援護が平準化されるには、要援護者の把握の平準化  外国人等(情報要援護者)への援護・支援

*だれが主たる支援者なのか・・・支援が公平化・平等化されるために

*主たる支援者のネットワークは・行政-社協-自主防災組織の連携、職能団体の連携

*自助・共助・公助の役割の確認・

*外部(住民以外)ボランティア・緊急=専門職や専門知識・技能を有する人(医療・福祉・建築・土木など)

*簡易シャワー室の大幅な設置・整備

*災害につけ込む犯罪への対応(防犯)

 

(参考)さいたま市における研修会レジュメ

「大規模災害に備えて  ~家族・障害者・要援護者をどう守るか~」 ( 新潟中越地震、新潟中越沖地震を見て・経験して)

A:地震の特性・特徴

1.新潟中越地震  (2004年10月23日(土)17時56分ころ発生)

震源地・・新潟県の中央部(中越地方・長岡市・国道17号・上越新幹線・信濃川周辺)

震度・・・最大=7、マグニチュード=6.8、特徴=群発型・余震の長期化

2.新潟中越沖地震(2007年  7月16日(月)10時13分ころ発生)

震源地・・新潟県中越沖  (中越地方・柏崎市周辺・海岸部)

震度・・・最大=6、マグニチュード=6.8、特徴=直下型・ライフラインの損壊

3.地震の一般的特性=「一瞬・同時・広範地域・多分野での破壊と喪失・日常性の破壊」

 

4.生活と生産の場の破壊・喪失 ⇒ 水害・風害・地震・雪害の連続

 

5.対岸の出来事・他人事  ⇒  当事者

 

B:被災・被害状況  

1.人的被災・中越=68人、中越沖=15人(下敷き・ショック死・車中泊後・関連死)

2.負傷者・・中越=4,795人、  中越沖=1,278人

3.住家損害・中越=121,604棟、中越沖=28,167戸

4.避難所・・中越=10万人以上、  中越沖=1.2万人

5.被災状況・程度は、同一市町村・地域・集落・隣接家屋でも個別・千差万別

6.建物は雪国仕様であるが、年数を経た瓦屋根住宅の損傷が多い

7.ライフラインの損壊はあったが、火災はほとんどなし・少ない

(大都市のような住宅密集地域でない、防火・耐震設備の進歩、「阪神大震災」の教訓?)

C:福祉事業所・施設の状況

1.建物・敷地・ライフラインに損壊  ⇒  体育館に共同宿泊(避難所化)・利用不能施設

2.作業所・地域活動支援センターには強度不十分の建物あり

3.避難所化=安全・安心・QOL(生命・生活・人生)の質の担保・向上が課題

4.非常用の水・食料・電気の確保=3日間のサバイバル

5.入所施設=職員の非常招集が課題(職員の被災・道路の寸断・情報伝達手段の不能)

6.入所施設=復旧まで、給水・食事・入浴・洗濯・トイレットの確保が課題

7.通所施設=自宅待機は利用者の日常生活に大きな制限・制約

8.通所施設=通所できても、作業が減少  ⇒  日帰り温泉等を利用(余暇・QOLの一環)

9.余震への対応=いつでも・どこでも(中越地震では長期的に震度3~2~1)

D:地震直後の状況

1.障害者と家族の心理状況(恐怖・不安・不自由・不便・不利・不眠)

<1>安否確認の困難 ⇒ 電話の集中 ⇒ 不通状態

<2>ライフラインの損壊 ⇒ 長時間の停電 ⇒ 長期化の地域も

<3>余震の長期的継続 ⇒ 建物の倒壊(避難所も影響)

<4>身体的・精神的苦痛 ⇒ ショック死・エコノミークラス症候群

<5>障害児者 ⇒ 記憶にない・初めての経験・フラッシュバック

2.直後の行動

<1>安否・安全確認 ⇒ 家庭・入所施設との連絡不能

<2>防火 ⇒ 耐震装置の作動・ガス設備の閉栓

<3>水・乾電池の確保 ⇒ 直後は品不足(中越地震)

<4>医療器具 ⇒ タンの吸引器具(バッテリ切れ)、酸素吸入器具(ボンベ切れ)

<5>避難所へ ⇒ ミニFM放送の情報提供による(災害対策本部と連動=有効)

3.その他

<1>市町村の情報提供は円滑

<2>社会福祉協議会の対応(情報収集・ボランティアセンター・支援)は迅速

<3>自衛隊(陸海空)の支援=迅速・柔軟・広範囲

<4>鉄道・道路網の寸断・渋滞の長期化―新幹線・在来線・高速道路

<5>障害のある人=障害種別により情報伝達方法に差異・課題  ⇒  障害種別の情報機器

E:広域避難場所へ避難するまでの状況(特に中越地震の)

1.道路・橋・建物の損壊状況

<1>震源周辺は中山間地で、多くの道路の寸断・崩壊・閉鎖 ⇒ 孤立化

<2>谷地に土を盛った道路・橋の両端に損壊

<3>地すべり多発地域 + 豪雪  ⇒ 「池・ダム」化 ⇒ 土石流  住宅・道路の水没

<4>液状化現象・・地下水と天然ガスの豊富な地域 + もろい泥岩砂

<5>被害地域の偏在性=地下構造・地盤状況 + 地震波

2.近隣の人たちとの状況

<1>町村・集落部=お互いに顔見知り  ⇒  向こう三軒両隣の助け合い

<2>近所付き合いの薄い人           ⇒  孤独・孤立?

<3>地域により、学校・公民館・コミュニティセンターが避難先

<4>農村地域では広い屋敷内や倉庫・納屋にも避難、車中泊  ⇒  エコノミークラス症候群

 3.避難所

<1>中越地震・・・一箇所集中型の避難所  ⇒ 日常生活の場から遠距離(学区外)

<2>中越沖地震・・分散型(隣接町内など)⇒ 日常生活の場から近距離(学区内)

F:避難場所での生活

1.行政

<1>横断的な組織体制の確立と情報の一元的な収集・共有化・発信

<2>さまざまな緊急事態の設定と対応(リスクマネジメント  ⇒ クライシスマネジメント)

<3>定期的・定時的医療を要する高齢者・重度障害者などへの対応(例:人工透析)

2.要援護者への支援

<1>情報・・障害種別に対応した情報の保障の必要性

<2>衣・・・更衣室の確保

<3>食・・・健常者と同じ食事は大変(歯、糖尿)

<4>住・・・床での就寝の苦痛  ⇒  体調不良・不眠  ⇒  仕切り・プライバシーの確保

<5>医・保健衛生・環境・・・最悪の時季は?(梅雨・猛暑・台風期・冷え込み)

3.相談支援体制・内容

<1>中越地震・・・やや障害別の対応(フォーマル・インフォーマル)

<2>中越沖地震・・三障害一本化のワンストップの対応へ(障害者自立支援法の施行・志向)

<3>避難所生活・・自閉症児の避難場所の確保、障害児の仮設での入浴の困難

障害児連れで行列=飲料水・食事・救援物資の受け取りに困難

短期入所・利用施設の変更・移動  ⇒  身体・精神・経済的負担

在宅者=安否確認・情報収集の困難

<4>雇用・就労・・雇用中止・内定延期・就労・実習の延期

<5>心理・健康・・フラッシュバック・PTSD・施設移動による治療継続の困難

<6>作業所・通所施設の早期再開=日中活動の場の確保(在宅者の拠り所)

G:今後の課題

1.災害対応活動のポイント

<1>ライフラインの停止への対応(3日間のサバイバル→長期化への対応)

<2>自助(個人・家庭)-共助(向こう3軒両隣・町内会)-公助(行政)の確立

<3>災害時の個人情報の開示への取り決め・・・要援護者の支援

2.障害者と家族

<1>最悪季節・最悪時間帯の想定(個別?)

<2>緊急連絡網の整備(大切なのは・・・個人情報か?-安心・安全か?)

<3>「ヘルプカード」(名前・住所・連絡先・血液型・利用医療機関等を記載)の携帯

<4>町内会役員・民生委員との接点・近所の人との日常の接触(遠い親戚―近い知人)

<5>親子参加の避難訓練(職域か?  -  地域か?)と父母協働の共育・日常生活

<6>住宅の安全点検・非常口・非常持ち出し品の点検

3.自治会・自治防災組織

<1>災害種別に対応した災害対策と災害支援(地震・風水害・火災等)

<2>地震=前触れなし・余震=終息の見通しが困難・危険 ⇒ 長期的な支援(被災者への「こころの支援」=成熟社会のしるし)

   (水害=天候状況・降雨量である程度の予測・余地が可能・短期集中の支援)

<3>防災・・・予防 ⇒ 被災 ⇒ 減災 ⇒ 復旧 ⇒ 回復 ⇒ 復興 ⇒ 日常

<4>外部ボランティア=非日常・短期・緊急

<5>恒常ボランティア=  日常・長期・地域

H:総括と提言

1.総括

<1>利用施設(入所・通所)で、毎月1回は避難訓練が実施され、職員の指示により、無事・整然と避難ができたとのことである。地震想定の避難訓練はより具体化される必要あり。

<2>グループホームでは、バックアップ施設の職員がすぐに駆けつけ、宿泊もあり、また施設が避難先となり、緊急対応がなされた。

<3>作業所のなかには建物の老朽化・耐久性・耐震性に問題ありも

<4>一部養護学校には障害児の緊急避難先として提供されたところもあり(特に、自閉症児には情緒安定にプラス―保護者にも支援となる)

<5>定期的・定時的な医療必要の障害者(人工透析など)への継続的医療の確保が重要

<6>在宅障害者の連絡網の整備=課題(個人情報保護との関連)・・・安全・危険の選択

<7>行政の取り組み=ワンストップの対応(たらい回しでなく) 

知識  ⇒ 知恵の対応(経験が実行・実効)

地域特性への対応

2.提言(緊急・将来的)

<1>地震や災害発生の迅速・正確な情報提供(災害放送=20分以内?)

<2>安全確保・安否確認・安心提供(こころの拠り所―3間=空間・時間・仲間)

<3>第一次段階=初期・3日間のサバイバル=医食住 ⇒「い(医)の一番」(DMATの活動)

<4>第二次段階=少人数で最大限の救援を可能にする柔軟な対応

<5>第三次段階=原状回復と生活・住宅の復旧・復興・再建

<6>女性・母親の視点からの災害対策

<7>最悪時間帯・最悪季節は?(埼玉県=梅雨・猛暑・台風、通学・通所・通勤時間帯?)

<8>リスク・マネジメント(危険想定)  ⇒  クライシス・マネジメント(危機管理)

<9>救急(First Aid)= 急救(Fast Aid) ・・・DMAT

<10>他人事 ⇒ 自分事

<質疑応答>

●会場 携帯電話を使った取り組みをする、ということですが、よくお正月などは、いっぺんにメールが集中するので通話を制限すると言います。災害時には携帯電話がうまく機能できるのでしょうか。

また、視覚障害者が家で閉じこもって外に出るのが怖いと思っているとき、視覚障害者に対してどんな声かけがなされたのでしょうか。

 

●片桐 携帯電話の問題は、おっしゃるとおりです。1つの方法として、災害伝言ダイヤルの活用が必要ではないかと思います。私自身も災害伝言ダイヤルに「どうしてる?」と伝言が来ていることがわかったので、それに応えることができました。

あとは時間差活用しかないのかなと思います。

もう一つ、視覚障害者の方に限らないと思いますが、同じ障害のある方同士の連絡網が非常に有効だったと伺いました。外側の人にはわからない状況というものがあります。失礼ですが、私も視覚障害者の方の状況についてはわかりかねますので、その点では、同じ障害のある方同士の連絡網の整理も必要ではないかと思います。

 

●会場 全盲の者です。災害中心地から近い、遠いによって情報の質に違いが生じるかと思います。また、時間経過によっても、緊急対応の段階から復旧・復興の段階につれて、情報の質が変化していく上で、何かこういうものがあればいいというものがありますか?

例えば、私のように目が見えないと、どうしても情報確認を何度もしがちです。遅れた情報なのか、その前か、後なのかわからないことがよくあります。漠然とした質問で申し訳ありません。

 

●片桐 先ほど申し上げましたが、柏崎の場合、防災行政無線が各家庭に整備されています。これが1番大きな情報源ですが、ここに、市役所の災害対策本部からの情報が流されます。例えば、支援物資は今日はこの地域に、こういうものが届いています、とか、お風呂はここで利用可能です、などの情報です。

もう1つは、行政無線と地元のローカルFMが連動していますので、それをつけていることで、常時必要な情報は同じように確保されます。しかも外国人のためには、必要なものは5カ国語で放送しておりました。