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高齢者の労働と生きがいに関する研究

No.4

3 結果

2 高齢者の労働感

仕事の満足度については表4-1に示すとおりで、調査前に予想したより多数の人が就業の評価を示している。70歳代前半までは、各層とも90%以上の人が「満足」、「まあ満足」と回答し、70歳代後半でも89%の人が同様の評価をしている。

表4-1 仕事の満足度(問7-1)

評価
項目
満足 まあ
満足
不満 わから
ない
無回答 合計
仕事の内容 (149) (187) (9) (5) (13) (363)
41.0 51.5 2.5 1.4 3.6 100
勤務時間 (156) (150) (23) (1) (33) (363)
43.0 41.3 6.3 0.2 9.1 100
やりがい (143) (155) (19) (14) (32) (363)
39.4 42.7 5.2 3.9 8.8 100
賃金 (83) (164) (78) (15) (23) (363)
22.9 45.2 21.5 4.1 6.3 100
人間関係 (147) (175) (20) (5) (16) (363)
40.5 48.2 5.5 1.4 4.4 100
作業環境 (147) (168) (25) (2) (21) (363)
40.5 46.3 6.9 0.5 5.8 100
通勤時間 (144) (159) (21) (4) (35) (363)
39.7 43.8 5.8 1.1 9.6 100

注 上段括弧内数字は人数

職種は臨時、パートの労務系が多い(表3-3)が、高齢者向きの労働条件が整えば、高齢まで労働を苦痛とせず、楽しみと感じている高齢者が多い事がわかる。これを項目別にみると

(1) 仕事のやりがい
 「満足」39%、「まあ満足」43%と全体の8割以上が仕事のやりがいを認めている。これは、前問の「仕事の満足度」と概ね一致する。
 「満足」、「まあ満足」の合計を年代別に観察すると60歳代後半80%、70歳代前半84%、80歳以上100%と、各層とも平均して高いことがわかる。
(2) 労働条件、労働環境
 勤務時間は「満足」43%、「まあ満足」41%。作業環境は「満足」41%、「まあ満足」46%。職場の人間関係は「満足」41%、「まあ満足」48%。通勤時間の不満は6%と少ない。
 以上のように、労働条件、労働環境は、概ね働きやすい状況にあることが窺える。
 賃金についてのみ「満足」(23%)、「不満」(22%)が半ばするが、「まあ満足」が45%で、最も多く、消極的満足(しかたがない)と考えている層が大勢を占めていると考えられる。賃金への「不満」は60歳代後半で22%、70歳代前半で25%と高齢者ほどやや強くなっている。
 総合的にみれば、高齢者の労働の満足は賃金の満足だけでなく、生きがいに通ずる仕事のやりがいを重視している事が窺える。
 また、仕事の疲労度については、表-5に示す通りで、疲労感は「多少感ずる」(39%)、「かなり感ずる」(6%)と約半数の人が持っている。年代別では、65歳以上の各層とも同程度の疲労度で、年齢差による落差は感じられなかった。労働環境、労働条件により疲労はかなり防げると思われる。ただ、加齢にともなう疲労は避けがたく、健康管理の重要性が増してこよう。
表-5 仕事の疲労度(問5-2)
区分
仕事の内容
全体 男女別内訳 年齢別内訳 回答者割合%
件数 比率 60
~64歳
65
~69歳
70
~74歳
75
~79歳
80歳
以上
60

64
65

69
70

74
74

79
80


(1)感じない
63
17.3
60
36
20
50 17 17 18 33
(2)あまり感じない
116
32.0
108
66
39
11
31 33 40
(3)多少感ずる
140
38.6
124
16
84
44
11
40 37 40 33
(4)かなり感ずる
21
5.8
19
14
6 6
(5)疲れが翌日に残る
10
2.8
2 4 2 33
(6)健康によくない
0.5
1
(7)無回答
11
3.0
10
50 3 3
合計
363
100
331
32
211
119
28

主題・副題:
高齢者の労働と生きがいに関する研究 89~90頁