今後、相談支援事業者の業務と市町村支給決定プロセスとを連動させ、サービス利用計画作成費対象者に限らず全ケースについて相談支援を実施した場合、どの程度の業務が発生し、どの程度の規模の人的体制が必要となるか検討する際の基礎資料とするため、相談支援事業所における1 ケースあたりの業務量を把握する調査を実施した。 なお、本データは、国においてサービス利用計画作成費についての報酬や対象者の拡大を検討する際の基礎データとして活用されることも視野に入れている。
○地域性、障害種別に配慮して協力依頼した42 の相談支援事業所から以下の回答を得た。
調査票 | 記入者 | 記入部数 | 調査項目 | 回収数 |
①タイムスタディ調査票 | 相談支援専門員全員 | 専門員1 人につき1 部 | 12/1(月)~12/26(金)の4 週間の相談支援専門員の業務実態を把握。(20 個程度の業務コードに沿って、10 分単位で相談支援専門員が自記) | 230 件 |
② 事業所調査票 | 管理者 | 管理者1 事業所につき1部 | 事業所の経営主体、委託・指定の区分、担当ケース数、職員体制等を把握。 | 42 件 |
③ ケース調査票 | ースを担当する相談支援専門員 | 1 ケースにつき1部※貴事業所で5~10 件選定 | ケースの基本属性(年齢、障害種別、障害程度区分等)、利用しているサービス、相談支援の実施状況等を把握。 【タイムスタディ調査の対象となる利用者の選定基準】 ○障害程度区分1~3 の利用者を3 人程度選定すること ○障害程度区分4~6 の利用者を2 人程度選定すること ○合計で5~10 人を選定すること ○障害程度区分、障害種別にできるだけ偏りがないように選定すること |
238 件 |
平成20 年12 月
郵送配布・郵送回収
(1)事業所の概要
○ | 事業所種別は委託相談支援事業所が8 割と偏りがあったが、開設時期や活動圏域、主に対応する障害等にはほとんど偏りがなく、相談支援事業所の平均的な状況を把握できた。 |
○ | 事業所の規模は、継続的に相談支援を行っているケースが平均119.4 件、職員は平均4 人であった。 |
○ | 個別支援計画の作成やサービス担当者会議の開催状況には、事業所によって大きなばらつきがあり、事業所で実際に行われている相談支援の質については今後の課題と考えられる。 |
○ | 事業所種別は、委託相談支援事業所が83.3%で、市町村相談支援機能強化事業や住宅入居等支援事業、地域活動支援センター機能強化事業(Ⅰ型)、障害児等療育支援事業といった相談支援5関連の事業をあわせて受託している事業所が多かった。 |
○ | 開設時期は、開設後10 年以上、開設後5 年以上、開設後5 年以内の事業所がほぼ同割合であった。 |
○ | 活動圏域は複数市町村と単一市区町村がほぼ同割合であった。 |
○ | 主に対応する障害は、知的障害、精神障害、身体障害の順となっており、複数障害に対応する事業所が多かった。 |
○ | 開所曜日は、平日は9 割以上が開所している一方、土曜は54.8%、日曜は28.6%、祝祭日は21.5%であった。また、24 時間開所している事業所は各曜日とも4.8%にとどまっており、時間外については事業所職員の携帯電話によるオンコール対応が59.5%で最も多かった。 |
○ | 個別支援計画の作成割合は、7 割以上という事業所が4 割弱ある一方で、2 割以下の事業所も4割強あった。また、計画の本人・家族への交付割合はほぼ全数が54.8%と最も多い一方、ほとんどないが19%あった。さらに、関係機関への交付割合は、ほぼ全数が38.1%と最も多い一方、2 割以下と交付率の低い事業所も4 割強あった。 |
○ | 月1 回以上サービス担当者会議を開催しているケースの割合は2 割以下の事業所が76.2%を占めた。 |
○ | 事業所が継続的に相談支援を行っているケース数合計は平均119.4 件であった。また、平成20年4 月から11 月の新規ケースは平均31.4 件、終結ケースは平均5.4 件であり、事業所の抱えるケース数は増加傾向であることがうかがえた。 |
○ | Ⅰ事業所あたりの職員数は平均4 人であり、うち常勤専任2.1 人、常勤兼任1.1 人であった。 |
○ | 職員一人当たりの担当ケース数は平均30.7 人だったが、ケース数分布をみると、20 人以下が約半数を占め、ついで、50 人以上が多かった。 |
(2)タイムスタディ対象ケースの概要
○ | 対象ケースの年齢、障害程度区分、障害種別、事業所がかかわってからの期間、ケースの業務負担等には大きな偏りがなく、相談支援の対象となるケースの全体的な状況を把握できた。なお、生活場所は、自宅が9 割を占め、家族と同居と単身がほぼ同割合であった。 |
○ | 現在の相談体制は主担当1 人で対応と複数の相談支援専門員で対応がほぼ同割合で、現在かかわっている事業所数は平均2.8 ヶ所であった。また、サービス利用計画作成費の受給者は全体の2 割であった。 |
○ | 個別支援計画の作成率は63.4%であり、平成20 年4 月~11月のサービス担当者会議の開催回数は平均3.7 回であった。 |
○ | 年齢は、20 歳代以下27.7%%、30 歳代20.6%、40 歳代25.6%、50 歳代以上25.6%と満遍なく分布していた。 |
○ | 障害程度区分は、区分1 ~3が36.9%、区分4~6が24.7%、未認定が31.1%と満遍なく分布していた。また、障害種別は、知的障害44.1%、精神障害39.1%、身体障害26.5%であった。 |
○ | 生活場所は、自宅が9 割を占め、家族と同居が50%、単身が37%であった。これと関連して、介護者がいる割合は49.6%であった。 |
○ | 利用しているサービスは、居宅介護が47.1%で最も多く、地域活動支援センター30.3%、移動支援事業21%が続いており、現在かかわっている施設・事業所数は平均2.8 ヶ所であった。 |
○ | サービス利用計画作成費の支給があったケースは20.2%、その支給理由は「単身(家族が障害・疾病等を含む)で自らサービス事業者等との連絡調整等が困難」が75%で最も多かった。 |
○ | 初回相談受付は、1 年以内が37%で最も多いが、かかわりから3 年以上、6 年以上のケースも一定割合あった。 |
○ | 現在の相談体制は、主担当の相談支援専門員1 人で対応と複数の相談支援専門員で対応がほぼ同割合であった。 |
○ | 1 ヶ月あたり相談実績延べ件数平均(平成20 年4 月~11 月。本人・家族・関係機関等の連絡調整の合計)は、「来所」1.7 回、「訪問」1.9 回、「電話」5.7 回、「FAX・メール・手紙」1.3 回、「サービス担当者会議(事業所内部職員のみ)」は平均0.5 回、「サービス担当者会議(事業所外職員を含む)」は平均0.5 回であった。 |
○ | 個別支援計画の作成率は63.4%で、平成20 年4 月~11 月の個別支援計画の見直し回数は平均1.9 回であった。 |
○ | 平成20 年4 月~11 月のサービス担当者会議の開催回数は平均3.7 回であった。 |
○ | 相談支援領域は、「福祉サービス等の利用援助」が74.8%で最も多く、「障害や病気に関するこ と」が67.2%、「制度・法律に関する情報提供」53.8%と続いていた。 |
○ | ケースの業務負担の程度は、「普通」が46.6%で最も多く、「業務負担がやや大きい」が37%、 「業務負担が非常に大きい」が10.9%で続いていた。 |
○ | ケースにおいて特に業務負担を感じる項目は、「利用者の心身の状態変化が著しい」が40.8% で最も多く、「家族にキーパーソンがいない」が29%、「利用者本人との意思疎通が難しい」が 27.7%と続いていた。 |
(3)タイムスタディ調査結果(業務量の概要)
○ | 相談支援専門員1 人1 日当たりの業務量は、週休2 日と仮定した常勤専従の場合10.5 時間であった。また、業務の内容構成をみると、常勤・非常勤とも専従では利用者に対する個別の相談支援業務の割合が高くなっていた。 |
○ | 今回調査対象となったケース1 件1 週間あたりの業務量平均は2.8 時間であった。なお、障害程度区分が重いケース、サービス利用計画作成費の支給がないケース、サービス担当者会議の開催回数が多いケース、業務負担の程度が重いケースでは、そうでないケースに比べて業務量が多い傾向があった。 |
○ | 相談支援専門員1 人1 日当たりの業務量(週休2 日と仮定)を勤務形態別にみると、常勤専従10.5 時間、常勤兼務11.1 時間、非常勤専従8.3 時間、非常勤兼務10.9 時間であった。また、業務の内容構成をみると、常勤・非常勤とも専従では利用者に対する個別の相談支援業務の割合が高くなっていた。 |
○ | 今回調査対象となったケース1 件1 週間あたりの業務量平均は2.8 時間であった。また、これらのケースの属性と業務量との関連について検定を行ったところ、統計的に有意であったのは、障害程度区分、サービス利用計画作成費支給の有無、サービス担当者会議の開催回数、業務負担の程度であった。 |
ここでは、今回タイムスタディに協力いただいた事業所の概要を取りまとめる。
今回は委託相談支援事業所が大半を占めるものの、経営主体、開設年、受託事業や併設施設・事業所の状況、活動圏域、主に対応する障害等については大きな偏りがなく、今回の調査は、全国的な委託相談支援事業所の業務実態を反映した調査結果であると考えることができる。
○ | 事業所の種別は、「委託相談支援事業所」が83.3%で最も多かった。 |
○ | 事業所の受託事業は、「市町村相談支援機能強化事業」が52.4%で最も多く、「住宅入居等支援事業」が31%、「地域活動支援センター機能強化事業(Ⅰ型)」「障害児等療育支援事業」がそれぞれ26.2%と続いており、相談支援関連の事業をあわせて受託している事業所が多かった。 |
○ | 経営主体は、「社会福祉法人(社協以外)」が64.3%で最も多く、「市区町村」が19%で続いていた。 |
○ | 開設年は、「~1999 年(開設後10 年以上)」「2000~2004 年(開設後5 年以上)」「2005~2009年(開設後5 年以内)」がほぼ同程度であった。 |
○ | 併設施設・事業所は、「居宅介護」と「地域活動支援センター」が31%で最も多く、「生活介護」が26.2%、「短期入所」が21.4%と続いていた。 |
図表2-1 事業所の種別
図表2-2 事業所の受託事業
図表2-3 事業所の経営主体
図表2-4 事業所の開設年
図表2-5 事業所の併設施設・事業所
(1)活動圏域・主に対応する障害
○ | 活動圏域は、「複数市町村」と「事業所が所在する単一市区町村」がほぼ半々であった。 |
○ | 主に対応する障害は、「知的障害」61.9%、「精神障害」59.5%、「身体障害」45.2%の順となっており、「特に決まっていない」が16.7%であった。全体に単一障害のみの対応の事業所は少ないことがうかがえる。 |
図表2-6 事業所の活動圏域
図表2-7 事業所で主に対応する障害
(2)開所時間と受付方法
○ | 開所曜日・時間をみると、「月曜」から「金曜」までの平日は9 割以上が開所している一方で、「土曜」は54.8%、「日曜」は28.6%、「祝祭日」は21.5%が開所していた。うち、24 時間開所しているのは各曜日とも4.8%とわずかであった。 |
図表2-8 開所曜日・時間
○ | 土日に開所していない事業所、24 時間開所していない事業所が多いため、開所時間外の相談受方法をみると、「事業所職員の携帯電話」が59.5%で最も多く、「電子メールの受信」47.6%、FAX の受信」が38.1%と続いていた。なお、電子メール受信の場合95%が「受信のみ」であり、FAX 受信の場合100%が「受信のみ」であった。 |
○ | 開所時間外の対応者は「事務所の全員で対応」が21.4%で最も多く、「事務所の管理者が対応と「事務所の管理者と常勤職員で対応」がそれぞれ16.7%で続いていた。 |
(3)個別支援計画の状況
○ | 個別支援計画の作成割合は、「ほぼ全数(9 割以上)」23.8%、「7~8 割程度」14.3%と作成率が高い事業所が4 割弱ある一方で、「1~2 割程度」23.8%、「ほとんどない」19%と作成率が低い事業所も4 割強あった。 |
○ | 計画の見直し頻度は、「1年に1回以上」が26.2%で最も多く、「6ヶ月に1回以上」が21.4%、それより頻回の事業所が23.8%であった。 |
○ | 本人・家族への計画の交付割合は、「ほぼ全数(9 割以上)」が54.8%で最も多い一方、「ほとんどない」も19%あった。 |
○ | 関係機関への計画の交付の割合は、「ほぼ全数(9 割以上)」が38.1%で最も多い一方、「ほとんどない」26.2%、「1~2 割程度」16.7%と4 割強では交付率が低かった。 |
○ | 個別支援計画作成は、相談支援の方針を関係者間で共有し、計画的に業務を進めていくために不可欠なプロセスであるが、作成比率や計画の見直し頻度、本人・家族や関係機関との情報共有が不十分な事業所も一定割合で存在している。この点は、相談支援の質の向上という観点か らみると、大きな課題である。 |
図表2-11 個別支援計画の作成割合
図表2-12 個別支援計画の見直し頻度
図表2-13 個別支援計画の本人・家族への交付割合
図表2-14 個別支援計画の関係機関への交付割合
(4)サービス担当者会議の状況
○月1回以上サービス担当者会議を開催しているケースの割合は、「1~2 割程度」が54.8%で最も多く、「ほとんどない」が21.4%で続いており、頻回にサービス担当者会議を開催するケース数は多くなかった。
○サービス担当者会議への出席者(必要に応じて出席する人を含む)は、利用者に直接関わる相談支援事業者や関係事業所の職員以外にも多岐にわたっている。高齢者関係では、行政職員(高齢者関係)42.9%、地域包括支援センター45.2%、児童関係では、行政職員(乳幼児・児童分野)59.5%、学校・教育委員会57.1%、児童相談所50%であった。また、障害者の地域生活支援という視点から、民生委員・児童委員が52.4%あった。
○サービス担当者会議に利用者・家族が出席する割合は、「ほぼ全数(9 割以上)」14.3%、「7~8割程度」が28.6%である一方、「1~2割程度」14.3%、「ほとんどない」9.5%と低調な事業所も一定数あった。
○サービス担当者会議は、相談支援の方針を関係者間で共有し、一貫した支援を行うために不可欠な会議であるが、月1回以上開催するケースの比率はきわめて低い。この点は、相談支援の質の向上という観点からみると、大きな課題である。
図表2-15 月1 回以上サービス担当者会議を開催しているケースの割合
図表2-16 サービス担当者会議の出席者
図表2-17 サービス担当者会議に利用者・家族が出席する割合
(5)対象者宅訪問
○対象者宅訪問にかかる平均移動時間は、「20 分以上30 分未満」が42.9%で最も多く、「10 分以上20 分未満」が26.2%で続いていた。
○対象者宅での平均滞在時間は、「45 分以上1 時間未満」が38.1%で最も多く、「1 時間以上1 時
間半未満」33.3%、「30 分以上45 分」11.9%であり、30 分~1 時間半が全体の83.3%を占めた。
図表2-18 対象者宅訪問にかかる平均移動時間(片道)
図表2-19 対象者宅での平均滞在時間
(1)担当ケース数
○継続的に相談支援を行っているケース数合計は平均119.4 件であった。
図表2-20 継続的に相談支援を行っているケース数
平均 | |
区分1 | 5.6 |
区分2 | 10.3 |
区分3 | 12.2 |
区分4 | 10.0 |
区分5 | 5.2 |
区分6 | 10.2 |
非該当・未認定 | 31.1 |
児童 | 34.9 |
合計 | 119.4 |
○平成20 年4 月~11 月の新規ケース数は平均31.4 人である一方、終結ケース数は平均5.4 人であり、新規ケースに比べて終結ケースは少なく、事業所の抱えるケース数は増加傾向にあることがうかがえる。
図表2-21 平成20 年4 月~11 月の新規・終結ケース数
(2)職員体制
○1 事業所あたりの平均職員数は4.0 人であり、勤務形態別にみると、常勤・専任2.1 人、常勤・兼任1.1 人、非常勤・専任0.3 人、非常勤・兼任0.3 人であった。
○障害分野の相談員としての経験年数は、5 年未満が32.7%と最も多く、「5~10 年未満」が23.8%で続いていた。
○職員の相談支援従事者研修修了割合は69.6%であった。
○保有資格は、「社会福祉士」が29.8%で最も多く、「精神保健福祉士」が24.4%で続いていた。
図表2-22 障害分野の相談員としての経験年数
図表2-23 相談支援従事者研修の受講状況
図表2-24 保有資格
○職員一人あたりの担当ケース数は平均30.7 人であり、そのうちサービス利用計画作成費の対象者は平均2.3 人であった。
図表2-25 担当ケース数
ここでは、今回タイムスタディ調査の対象となったケースの概要を取りまとめる。
(1)基本情報
○年齢は、20 歳未満10.9%、「20 歳代」16.8%、「30 歳代」20.6%、「40 歳代」25.6%、「50歳代」17.2%、60 歳以上8.4%と満遍なく分布していた。
○性別は、「男性」が53.8%、「女性」が41.6%であった。
図表2-1 年齢
図表2-2 性別
(2)障害程度区分・障害種別・手帳の状況
○障害程度区分は、「未認定」が31.1%で最も多く、区分1 ~3が36.9%、区分4~6が24.7%であり、満遍なく分布していた。
○障害種別は、「知的障害」が44.1%で最も多く、「精神障害」39.1%、「身体障害」26.5%であった。
○身体障害の種類は、「肢体」が81%で最も多く、「視覚」「聴覚」が12.7%で続いていた。
図表2-3 障害程度区分
図表2-4 障害種別
○身体障害者手帳保持者は、「1級」が16.8%で最も多かった。
○療育手帳保持者は、「中度・B・B1・3 度」が16%、「軽度・C・B2・4度」が13.4%と続いていた。
○精神保健福祉手帳保持者は、「2 級」が21%で最も多かった。
図表2-5 身体障害者手帳
図表2-6 療育手帳
図表2-7 精神保健福祉手帳
(3)生活の状況
○生活場所は、「自宅(家族と同居)」が50%で最も多く、「自宅(単身)」が37%で続いていた。
○生活場所が「自宅(家族と同居)」の場合の同居家族は、「父母」が70.6%で最も多く、「兄弟姉妹」が34.5%で続いていた。
図表2-8 生活場所
図表2-9 同居家族(自宅(家族等と同居の場合)
○平成20 年4 月~平成20 年11 月の入院・入所回数は平均0.5 回であった。
図表2-10 平成20 年4 月~平成20 年11 月の入院・入所回数
(4)利用しているサービス・施設数
○現在利用しているサービスは、「居宅介護」が47.1%で最も多く、「地域活動支援センター」が30.3%、「移動支援事業」が21%と続いていた。
○現在関わっている施設・事業所数は平均2.8 ヶ所で、「2 ヶ所」が26.1%で最も多く、「3 ヶ所」が20.6%、「1 ヶ所」が17.2%と続いていた。
図表2-11 現在利用しているサービス
図表2-12 関わっている施設・事業所数
(5)介護者の状況
○介護者は、「あり」が49.6%、「なし」が49.2%でほぼ同数であった。
○介護者の状況は、「介護する人が病弱、障害等、心身に問題がある」が33.9%で最も多く、「介護する人が高齢である(65 歳以上)」が28.8%、「介護を必要とする人が複数いる」が20.3%で続いていた。
図表2-13 介護者の有無
図表2-14 介護者の状況
(6)サービス利用計画作成費の支給状況
○サービス利用計画作成費は、「支給あり」が20.2%、「支給なし」が77.7%であった。
○サービス利用計画作成費支給の理由は、「単身(家族が障害・疾病等を含む)で自らサービス事業者等との連絡調整等が困難」が75%で最も多かった。
図表2-15 サービス利用計画作成費支給の有無
図表2-16 サービス利用計画作成費支給の理由
(1)相談支援の状況
○初回相談受付は、「平成20 年(かかわりから1 年以内)」が37%で最も多く、「平成16~18 年(かかわりから3 年以上)」が23.1%、「平成15 年以前(かかわりから6 年以上)」が18.9%と満遍なく分布していた。
○現在の相談体制は、「主担当の相談支援専門員1 人で対応」が51.3%、「複数の相談支援専門員で対応」が46.2%であり、複数で対応する時の人数は、「2 人」が58.2%、「3 人以上」が39.1%であった。
図表2-17 初回相談受付時期
図表2-18 現在の相談体制
(2)相談実績
○相談実績延べ件数(平成20 年4 月~11 月。本人・家族・関係機関等の連絡調整の合計)は、「来所」は平均11.6 回、「訪問」は平均13.3 回、「電話」は平均40 回、「FAX・メール・手紙」は平均9.4 回、「サービス担当者会議(事業所内部職員のみ)」は平均3.7 回、「サービス担当者会議(事業所外職員を含む)」は平均3.2 回であった。
図表2-19 相談実績延べ件数(平成20 年4 月~11 月。本人・家族・関係機関等の連絡調整の合計)
期間合計 | 1ヶ月あたり | |
---|---|---|
来所 | 11.6 | 1.7 |
訪問 | 13.3 | 1.9 |
電話 | 40.0 | 5.7 |
FAX・メール・手紙 | 9.4 | 1.3 |
サービス担当者会議(事業所内部職員のみ) | 3.7 | 0.5 |
サービス担当者会議(事業所外職員を含む) | 3.2 | 0.5 |
(3)個別支援計画の状況
○個別支援計画の作成状況は、「作成あり」が63.4%、「作成なし」が36.1%であった。
○初回作成年は、「平成20 年(1 年以内)」が43%で最も多く、「平成18 年以前(3 年以上経過)」が30.5%で続いていた。
○平成20 年4 月~11 月の個別支援計画の見直し回数は平均1.9 回であった。(見直し頻度は4.2
ヶ月に1回)
○個別支援計画の見直し内容は、「利用しているサービスの内容及び結果」が48.3%で最も多く、「新たな生活課題」が44.4%で続いていた。
○個別支援計画の本人・家族への交付は、「毎回交付している」が58.9%、「一部交付している」が17.9%、「交付していない」が19.2%であった。
○
個別支援計画の関係機関への交付は、「全機関に交付している」が57%で最も多く、「交付していない」が25.2%で続いていた。
図表2-20 個別支援計画の作成有無
図表2-21 個別支援計画の初回作成年
図表2-22 個別支援計画の見直し回数(平成20 年4 月~11 月)
図表2-23 個別支援計画の見直し内容
図表2-24 個別支援計画の本人・家族への交付
図表2-25 個別支援計画の関係機関への交付割合
(4)サービス担当者会議
○平成20 年4 月~11 月のサービス担当者会議の開催回数は平均3.7 回であった。(開催頻度は2.2ヶ月に1回)
○サービス担当者会議の出席者は、「事業所の職員のうちケース担当者」が68.9%で最も多く、「行政職員(障害者関係)」が49.2%、「関係事業所のサービス管理責任者・サービス提供責任者」が46.6%と続いていた。
○サービス担当者会議に利用者・家族が出席した回数は平均1.8 回であった。
図表2-26 サービス担当者会議の開催回数(平成20 年4 月~11 月)
図表2-27 サービス担当者会議の出席者
図表2-28 サービス担当者会議に利用者・家族が出席した回数
(5)相談支援領域
図表2-29 相談支援領域
○ケースの業務負担の程度は、「普通」が46.6%で最も多く、「業務負担がやや大きい」が37%、「業務負担が非常に大きい」が10.9%で続いていた。
○ケースにおいて特に業務負担を感じる項目は、「利用者の心身の状態変化が著しい」が40.8%で最も多く、「家族にキーパーソンがいない」が29%、「利用者本人との意思疎通が難しい」が27.7%と続いていた。
図表2-30 ケースの業務負担の程度
図表2-31 ケースにおいて特に業務負担を感じる項目
ここでは、平成20 年12 月1 日~26 日の相談支援専門員に対する自記式タイムスタディ調査の結果概要を取りまとめる。
○相談支援専門員1 人1 週間当たりの業務量を勤務形態別にみると、常勤専従54.4 時間(週休2日と仮定すると1 日あたり10.5 時間。以下同様)、常勤兼務55.5 時間(1 日あたり11.1 時間)、非常勤専従41.7 時間(1 日あたり8.3 時間)、非常勤兼務54.7 時間(1 日あたり10.9 時間)であった。また、業務の内容構成をみると、常勤・非常勤とも専従では利用者に対する個別の相談支援業務の割合が高くなっていた。
○常勤専従職員の業務量を相談支援専門員の経験年数別にみると、経験年数が長くなるにつれ業務量が多くなり、10 年を越えると少なくなっていた。また、業務の内容構成をみると、1 年以上5 年未満の層では他に比べて利用者に対する個別の相談支援業務の割合が高くなっていた。
図表2-1 相談支援専門員1人1週間あたりの業務量;勤務形態別
図表2-2 相談支援専門員1人1週間あたりの業務量;経験年数別(常勤専従)
○今回調査対象となったケース1 件1 週間あたりの業務量平均は2.8 時間であった。
○これをケースの属性別に分析したところ、以下のような結果であった。
○なお、これらのケース属性とケース1件1週間あたりの業務量との関連についてKruskalWallis 検定を行ったところ、統計的に有意であったのは、障害程度区分、サービス利用計画作成費支給の有無、サービス担当者会議の開催回数、業務負担の程度であった。
ケース属性 | 結果概要 |
---|---|
年齢別 | 大きな差はみられなかった。 |
障害程度区分別 | 区分4-6 は他に比べて業務時間が多かった。区分4-6 で特に多い業務は利用者宅への訪問であった。 |
障害種別 | 身体障害の業務量が最も多く、知的障害、精神障害と続いていた。身体障害で特に多い業務は訪問全般であった。 |
生活場所別 | 自宅(単身)の場合、自宅(家族等と同居)に比べ業務量が多くなっていた。これは、単身では、家族等の他のキーパーソンが少なく、相談支援事業者に権利擁護・身上監護全般のかかわりが求められる場合が多いためと考えられる。 |
利用しているサービス数別 | 1 種類と3 種類以上の場合に業務量が多くなっていた。また利用しているサービス種類別に見ると居住系は他に比べて業務量が多くなっていた。さらにかかわっている事業所数別にみると、5ヶ所以上がかかわっている場合、他に比べて業務量が多くなっていた。これは、居住系は生活の基盤であるため、またサービスの種類や事業所数が多いと調整する相手方も増えるためと考えられる。 |
介護者の有無別 | 介護者がいないほうが業務量が多くなっていた。これは、介護者がいないと、キーパーソンが少なく、相談支援事業者に権利擁護・身上監護全般のかかわりが求められる場合が多いためと考えられる。 |
介護者の状況別 | 「介護する人が高齢」「介護する人が病弱、障害等、心身に問題がある」「介護を必要とする人が複数いる」「育児を行っている」等の場合の業務量が多くなっていた。 |
サービス利用計画作成費支給の有無別 | 支給がないほうが業務量が多くなっていた。これは、サービス利用計画作成費の対象となるある程度サービス利用状況等が整理されたケースに比べ、サービスになかなか結びつかないケース等のほうがさまざまなかかわりが必要となるためと考えられる。 |
初回相談受付時期別 | 平成20 年に受け付けた比較的新しいケースでは業務量が多くなっていた。 これは新しいケースが安定するまでにさまざまなかかわりが必要となるためと考えられる。 |
現在の相談体制別 | 複数の相談支援専門員で対応しているほうが1人で対応しているよりも業務量が多くなっていた。これは複数対応のほうが複雑困難事例である可能性が高いためと考えられる。 |
個別支援計画の作成状況別 | 計画を作成しているほうが業務量が多くなっていた。これは計画作成にかかる事務量の多さが影響していると考えられる。 |
サービス担当者会議の開催回数別 | 6 回以上開催している場合、それ以下に比べて業務量が多くなっていた。 |
相談支援領域別 | 「住まいの確保」「地域生活移行に関すること」「制度、法律に関する情報提供」の業務量が他に比べて多くなっていた。 |
相談支援領域の個数別 | 個数が多く相談支援領域が多岐にわたると業務量が多くなっていた。 |
業務負担の程度別 | 負担の大きいケースのほうが業務量が多くなっていた。 |
ケースにおいて負担を感じる項目別 | 「利用者・家族が相談支援事業所の介入を拒否する」「利用者・家族が相談支援専門員が必要と考えるサービスを受け入れない」といった介入拒否のケースや、「利用者に反社会的な行動や犯罪行動がある」「市町村行政が十分に相談に応じてくれない」「移動に時間がかかる」といったケースで業務量が多くなっていた。 |
負担を感じる項目数別 | 項目数が多く、負担が重くなるほど業務量が多くなっていた。 |
※網掛けは統計的に有意であった項目である。
図表2-3 ケース1 件1週間あたりの業務量;年齢別
図表2-4 ケース1 件1週間あたりの業務量;障害程度区分別
図表2-5 ケース1 件1週間あたりの業務量;障害種別
図表2-7 ケース1 件1週間あたりの業務量;利用しているサービス数
図表2-8 ケース1 件1週間あたりの業務量;利用サービス種類別
図表2-9 ケース1 件1週間あたりの業務量;かかわっている事業所数別
図表2-10 ケース1 件1週間あたりの業務量;介護者の有無別
図表2-11 ケース1 件1週間あたりの業務量;介護者の状況別(介護者ありの場合)
図表2-12 ケース1 件1週間あたりの業務量;サービス利用計画作成費支給の有無別
図表2-13 ケース1 件1週間あたりの業務量;初回相談受付時期別
図表2-14 ケース1 件1週間あたりの業務量;現在の相談体制別
図表2-15 ケース1 件1週間あたりの業務量;個別支援計画の作成有無別
図表2-16 ケース1 件1週間あたりの業務量;サービス担当者会議の開催回数別
図表2-17 ケース1 件1週間あたりの業務量;相談支援領域別
図表2-18 ケース1 件1週間あたりの業務量;相談支援領域の個数別
図表2-19 ケース1 件1週間あたりの業務量;業務負担の程度別
図表2-20 ケース1 件1週間あたりの業務量;ケースにおいて負担を感じる項目別
図表2-21 ケース1 件1週間あたりの業務量;ケースにおいて負担を感じる項目数別
図表2-22 ケース1 件1週間あたりの業務量とケース属性の関連(Kruskal Wallis 検定)