相談支援事業者の業務と市町村支給決定プロセスとを連動させることの効果を明らかにするとともに、そのような仕組みを全国に普及させるために必要な方策を提示するための一貫として、既にそのような取組みを始めている先進自治体でどのような工夫が行われているか把握するために事例調査を行った。
調査対象 | 調査方法 |
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愛知県豊田市 | 訪問ヒアリング調査 |
兵庫県西宮市 | 訪問ヒアリング調査 |
長野県長野市 | 書面調査 |
大阪府大阪市 | 書面調査 |
平成20 年1 月~3 月
市町村名 | 基本情報 (H20.3.31 現在) |
相談支援事業者の業務と 市町村支給決定プロセスとの連動 |
特徴 |
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愛知県豊田市 | 人口:404,804 人 世帯数:152,995 世帯 面積:918.47 k㎡ |
○地域自立支援協議会の専門部会の下部組織である「サービス検討会議」において当該月に障害福祉サービスの利用申請があった全ケースについて支給決定の妥当性や検討すべき課題の有無について協議する。この場に相談支援事業者とサービス事業者が参画している。(参加費用は委託相談支援事業者に対する委託費で支弁) | ○相談支援事業者の業務を市町村支給決定プロセスに連動させる には、相談支援事業者の質の向上が喫緊の課題である。しかし、 行政(専門職でない事務官)がそれを主導するのは難しい。 ○そこで、地域自立支援協議会の「サービス検討会議」において、 複数の相談支援事業者が多角的に全てのケースの支給決定の妥 当性等を検討する場を設定することによって、支給決定の透明性と専門職相互での教育研修機能を確保している。 |
兵庫県西宮市 | 人口:465,951 人 世帯数:201,084 世帯 面積:99.96 k㎡ |
○相談支援事業者が必要と判断したケースについて、アセスメントを実施し、ケアプラン案を作成する。行政の支給決定では、ガイドラインの範囲内であれば相談支援事業者のケアプラン案をそのまま尊重し、超える場合は、行政と相談支援事業者の間で意見交換を行ったうえで、ケースワーカー会議で結論を出す。(結果は事業者・本人にフィードバック) ○相談支援事業者(あんしん相談窓口受託)は、地域自立支援協議会の運営委員会、事務局に参画しており、月1 回の連絡会で情報共有や市全体の方向性の確認を行っている。 |
○相談支援事業者は利用者本位の視点から、ガイドライン等に縛られず本来的なケアマネジメントプロセスにのっとってケアプラン案を作成する。行政はその専門性を尊重しながら、ガイドライン等の制約の中で最大源効率的・効果的なサービスを支給できるよう、検討した上で支給決定を行っている。○行政と相談支援事業者が一定の緊張関係をもって、それぞれの役割を効果的に発揮できる仕組みが構築されている。 |
長野県長野市 | 人口:378,163 人 世帯数:145,999 世帯 面積:730.83 k㎡ |
○障害福祉サービス利用者のうち、在宅、かつ相談支援事業所がケアマネジメントが必要と判断し、市が認めたケース(全体の約4割)について、ケアプラン作成1 回につき12,300 円、モニタリング1 回につき3,700円/回が支払われる。作成されたケアプランは支給決定にも反映される。 | ○国の制度見直しに先行して、利用計画原案の作成を相談支援事業者にゆだね、その費用について独自財源で担保している。 |
大阪府大阪市 | 人口:2,516,543 人 世帯数:1,257,650 世帯 面積:222.30 k㎡ |
○サービス利用計画案作成を、基準の客観化・透明性の担保の視点、行政職員の事務負担軽減の観点から全て外部委託している。原則は認定調査を実施している社協の調査員に引き続き計画案作成を依頼するが、サービス利用計画作成費対象者については指定相談支援事業者に委託している。計画案作成1 件につき、6,285 円が支払われる。なお、指定相談支援事業者75 ヶ所のうち、計画案作成を担当しているのは半数程度である。 |