第5章 資料編

I.相談支援の現状と今後の方向性(厚生労働省資料)

障害者の地域生活と相談支援
サービス利用手続の見直し
モニタリングのイメージ例

II.社会保障審議会障害者部会報告書~障害者自立支援法施行後3年の見直しについて~(平 成20 年12 月16 日)抜粋

Ⅰ 相談支援

【基本的考え方】
障害者が地域で安心して自立生活を送っていくためには、障害者が日々の暮らしの中で抱えているニーズや課題にきめ細かく対応し、必要に応じて適切な障害福祉サービス等に結びつけていくための相談支援が重要である。
しかしながら、障害者の相談支援については、市町村等によって取組状況に差があるという指摘があるとともに、ケアマネジメントを行うために障害者自立支援法で導入されたサービス利用計画作成費については、平成20 年4 月現在で利用者が1,919 人に過ぎないなど、相談支援が十分に行われていない状況がある。
このため、障害者が、様々なサービスや地域資源等も活用しながら、地域で自立して安心して暮らしていけるよう、以下の観点から障害者の相談支援の充実を図るべきである。
① 地域における相談支援体制の強化
② ケアマネジメントの充実
③ 自立支援協議会の充実

(1)地域における相談支援体制
(地域における相談支援体制の強化)

○障害者の地域生活にとって相談支援は欠かせないものである一方、市町村ごとに取組状況に差があり、地域における相談支援体制について、相談支援の充実や地域生活支援事業費補助金の活用を促すなどにより、全国それぞれの市町村において、必要に応じ都道府県の支援を受けながら、十分な相談支援の事業が実施されるよう、強化を図っていくべきである。


(相談支援を担う人材の確保と質の向上)
○また、ケースワーカー、精神保健福祉相談員等の市町村・都道府県の職員や相談支援事業者の相談支援専門員等、相談支援を担う人材の確保を図るとともに、研修事業を充実するなど、質の向上を図っていくべきである。
○あわせて、障害者や家族が有している様々な経験・体験や情報を活かし、障害者同士や家族同士によるピアサポート、身体障害者相談員・知的障害者相談員による相談援助を活用するなどにより、厚みのある相談支援を実施していくべきである。

(総合的な相談支援を行う体制)
○地域における相談支援体制の整備を図るとともに、質の向上を図っていくために、拠点的な機関を設置するなど、総合的な相談支援体制を充実させていくべきである。
○例えば、市町村が、①一般的な相談支援のほか、障害者入所施設や精神科病院からの地域移行の相談、家族との同居から地域生活への移行の相談、地域生活における24時間の相談、権利擁護など、多様な相談支援や、②住民に身近な相談支援事業者に寄せられた相談を、他のより適した相談支援事業者につなぐ相談支援についての調整などを行う相談支援の拠点的な機関を設置することとすべきである。
○その際、画一的に設置することとするのではなく、①市町村の直営か委託か、②全障害か三障害別かなど対象者の範囲、③設置数や他の市町村との共同設置、などについて、個々の市町村の実情が異なることに配慮し、地域の実情に応じて柔軟に設置できるようにすべきである。
○あわせて、相談支援の拠点的な機関の設置のみならず、障害者が日頃接している者による相談支援など、住民に身近な場における相談支援を充実・活性化させていくことも重要である。
○こうした相談支援の拠点的な機関や、住民に身近な相談支援事業者など、地域における相談支援体制を有効に機能させていくとともに、医療を含む多様な相談支援に対応できるようにしていくためには、(3)で記す自立支援協議会を活用し、連携を図っていくことが重要と考えられる。
○さらに、地域における相談支援体制の充実を図っていくためには、都道府県の役割も重要である。障害者自立支援法の実施主体は市町村であり、相談支援についても第一義的には市町村における体制整備が必要となるが、都道府県は、特に町村部における体制整備について必要な支援を行ったり、広域的な調整を行ったり、引き続き、発達障害者支援センターや精神保健福祉センター等において専門的な相談支援を実施したりすることにより、その役割を果たしていくべきである。

(2)ケアマネジメントの在り方
(サービス利用計画作成費の対象者)
○障害者の自立した生活を支え、障害者の抱える課題の解決や適切なサービス利用に向けて、ケアマネジメントによりきめ細かく支援していけるようにするため、サービス利用計画作成費の対象者について、施設入所者や精神科病院に入院中の者を含め、原則としてサービスを利用するすべての障害者に拡大していくべきである。

(ケアマネジメントに当たっての視点)
○ケアマネジメントの充実に当たっては、障害者本人の意向を基に、自己選択、自己決定を支援していくという視点や、障害者自らの力で自立した生活を送っていけるよう障害者自身の力を引き出していく(エンパワメント)という視点が必要である。障害者が自らマネジメントできるようにしていく(セルフマネジメント)という視点も必要である。
あわせて、サービス利用計画の作成に当たりサービス担当者会議の開催等を通じ、障害者福祉、保健・医療、教育、就労、その他の地域の様々な関係者が連携して障害者の自立した生活を支えていくという視点が必要である。

(サービス利用手続の見直し)
○サービス利用の手続について、障害者の利用するサービスが適切なもの(必要かつ十分なもの)となるよう、そのプロセスにケアマネジメントの仕組みを導入すべきである。具体的には、サービス利用計画の作成が、市町村による支給決定の後(利用できるサービスが決まった後)となっていることを改め、障害者が抱える課題を分析し、どのようにサービス等を組み合わせて支援していくべきかを含むサービス利用計画案を作成し、支給決定の参考とするようにすべきである。

(モニタリングの実施)
○また、サービス利用計画の作成後についても、サービスの利用が障害者の状況やニーズに適合しているかを確認するため、サービス利用計画作成費の活用により、一定期間ごとにモニタリングを実施し、サービス利用計画を見直すこととすべきである。

(ケアマネジメント・モニタリングを実施する体制)
○上記のケアマネジメント・モニタリングの実施については、
・市町村がその責任において統一的かつ総合的な判断により支給決定を行うという仕組みとの整合性を確保すること
・可能な限り中立的な者が、専門的な視点で一貫して行っていくこと
・様々なノウハウの蓄積や、専門的・専属的に対応できる人材の確保などにより、質の向上を図っていくことに留意することが必要と考えられる。
○このため、見直し後のサービス利用計画の作成については、上記の相談支援の拠点的な機関が指定事業者となって行うことが適当と考えられる。
その際、第一義的には相談支援の拠点的な機関が行うこととしつつ、既存の相談支援事業者など障害者に身近な相談支援事業者の活用を図るため、業務を相談支援事業者に委託できることとすることにより、市町村の実情に応じて、障害者が日頃接している者など、障害者に身近な相談支援事業者が積極的に携われるようにしていくべきである。
○このように、相談支援の充実を図り、ケアマネジメント・モニタリングを実施する体制を各地域で整備していくことが必要である。
○まず、人材の確保については、現在の相談支援従事者研修を更に充実させるなどにより、計画的に人材を養成していくことが必要である。
また、これまで相談支援を担ってきた者は既存の相談支援事業者等にいることからも、上記のとおり、一定の中立性を確保できるようにしつつ、既存の相談支援事業者等の幅広い活用を図っていくことが有効と考えられる。
○人材の確保に関しては、人材の量を確保し、多元的な相談支援体制を構築するため、現在の相談支援専門員に求められる実務経験の要件を緩和すべきという意見があった。
一方で、人材の質の向上を図るために、将来的に国家資格化することについても検討すべきという意見があった。
相談支援を担う人材を量的に拡充していくとともに、質の向上も図られるように、今後、検討が必要である。
○また、財源の確保については、一般的な相談支援については、現在、市町村の一般財源や地域生活支援事業費補助金により実施されているところであるが、Ⅱ-1「地域での生活の支援」に記すとおり、地域移行の支援や24時間の相談支援を行うことについて自立支援給付の対象とすることを検討するとともに、新たな制度で実施することになるケアマネジメント・モニタリングについては、サービス利用計画作成費を活用することにより、財源の確保を図ることを検討すべきである。その際、業務の内容に応じた報酬単価となるよう検討すべきである。
○なお、「ケア」の語は狭い意味の介護と捉えられることがあり、他の用語に置き換えていくことを検討してはどうかとの指摘があった。今後、様々な意見を踏まえ検討していくべきである。

(3)自立支援協議会の充実(自立支援協議会の法定化)
○相談支援事業をはじめとする地域の障害福祉に関するシステムづくりに関し、中核的な役割を果たす協議の場である自立支援協議会について、設置の促進や運営の活性化を図るため、市町村の実情に応じた設置・運営方法が可能になるように配慮しつつ、法律上の位置付けを明確にするべきである。

(自立支援協議会の運営の支援)
○あわせて、運営マニュアルや運営の好事例の周知など、国や都道府県において設置・運営の支援を図っていくべきである。その際、自立支援協議会への当事者の参画を促進すべきである。


III. 相談支援の業務実態把握調査の調査票・記入要領


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業務コード表 平成20年度障害者保健福祉推進事業 相談支援の実務実際把握調査【①タイムスディ調査票】 相談支援の実務実態把握調査【②事業所調査票】
相談支援の実務実態把握調査【②事業所調査票】 つづき 相談支援の実務実態把握調査【②事業所調査票】 つづき 相談支援の実務実態把握調査【③ケース調査票】
相談支援の実務実態把握調査【③ケース調査票】 つづき 相談支援の実務実態把握調査【③ケース調査票】 つづき 相談支援の実務実態把握調査【③ケース調査票】 つづき
相談支援の実務実態把握調査【実施の手引き】 表紙 相談支援の実務実態把握調査【実施の手引き】 目次 Ⅰ.調査の概要
調査の流れ 管理者に行っていただくこと 各相談支援専門員に行っていただくこと
Ⅱ.調査票等の記入事項 2.①タイムスタディ調査票【調査機関中に記入】 記入例と記入方法

調査票記入例 業務コードの説明 ①業務コード分類 ②業務コードの構成
③業務コード早見表 訪問 ③業務コード早見表 来所 ③業務コード早見表 電話
③業務コード早見表 デスクワーク ③業務コード早見表 会議 ④業務コードの詳細内容
④業務コードの詳細内容 つづき ④業務コードの詳細内容 つづき ⑤禁句の定義
3.②事業所調査票【調査期間中に記入】 Ⅲ.本件に関する問合せ先

平成20年度厚生労働省障害者保健福祉推進事業

「市町村の支給決定プロセスに着目した効果的な
相談支援のあり方に関する調査研究」報告書

発行:
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2009(平成21)年3月
三菱総合研究所人間・生活研究本部
ヒューマン・ケア研究グループ
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