写真 沼祐一


原始芸術の風格

ぬま ゆういち
沼 祐一
1925〜1943(享年18歳)

10歳のとき、重度知的障害で対応に困るとのことで他の施設より入園してきました。衣服を裂いたり、ボタンを引きちぎったり、時には爆発的に憤怒し、無意味な語を連発したり、人を呼び何か執拗に要請します。

入園当時この祐一君に絵が描けるなどとは誰も想像しませんでした。その野生ぶりは依然変化しないが、クレヨンや色紙をちぎって絵を描くのです。なかなかどうして面白いもので、祐一君の絵には原始芸術の風格があり、ある意味では山下清君以上の、その何倍かも不思議であり、奇跡的でもあります。