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世界各国の社会保障制度

デンマーク
為替レート:1.00米ドル=5.07クローネ

老齢・障害・遺族

法的枠組み

最初の法制化:1891年(老齢)、1921年(障害)

現行法:2005年(部分的早期退職年金)、2006年(ATP年金)、2007年(国民皆年金)

制度の種類:国民皆・社会保険、強制的個人勘定制度

適用範囲

国民年金:デンマーク居住の国民と、最低居住要件を満たすか互恵協定の対象となる非市民

労働市場付加年金(ATP):疾病現金給付・出産現金給付・失業現金給付・社会扶助現金給付の受給者を含む16歳から65歳までの被用者

除外:労働時間が週9時間未満の被用者

過去に3年以上の加入期間があり、無給活動または自営業を開始した者、障害年金または早期退職年金の受給者は任意加入(後述の「失業」の項を参照)

特別貯蓄制度(SP):育児休暇中の者、現金疾病給付・現金失業給付の受給者、自営業者を含む16歳から65歳までの被用者

財源

被保険者

国民基礎年金:なし

ATP:常勤労働者に年に最高975クローネが支給される。疾病・出産給付、失業給付、特定の職業訓練給付の受給者は倍額の保険料を支払う。

被保険者は月払いか四半期払いの保険料を支払う。

SP:総所得の1%(2009年まで保険料は停止)

自営業者

国民基礎年金:なし

ATP:年最高2,925クローネ

SP:総所得の1%(2009年まで保険料は停止)

事業主

国民基礎年金:なし

ATP:被用者1人につき年最高1,951クローネ(常勤労働者)

保険料は四半期ごとに支払う。

SP:なし

政府

国民基礎年金:総費用

ATP:社会扶助給付の受給者の場合、年最高1,951クローネ(常勤労働者)

疾病・出産給付、失業給付、特定の成人教育給付の受給者向けに倍額の保険料を支払う。

保険料は月払いか四半期払いとする。

SP:なし

受給要件

老齢年金

国民基礎年金(所得審査あり):15歳から65歳までの間に3年以上の居住期間があるデンマーク国籍の者は65歳から受給。外国籍の者は、年金受給年齢直前の5年間を含む10年以上の居住期間があること。

満額年金:被保険者は15歳から65歳までの40年間以上の居住期間があること(居住年数が少ない場合は、その分に応じて減額される)。

給付は海外でも受給できる。

国民年金補足給付(所得審査あり):15歳から65歳までの間に3年以上の居住期間があるデンマーク国籍の者は65歳から受給。外国籍の者は、年金受給年齢直前の5年間を含む10年以上の居住期間があること。

部分的早期退職年金:デンマークに居住する60歳から65歳の者で、過去20年間のうち10年以上の常勤労働があり、週12~30時間の労働を継続していること。被用者は、過去20年のうち10年以上ATP制度に加入していて、過去24カ月のうち18カ月以上をデンマークで就業していなければならない。自営業者は、過去5年間にわたる常勤労働があり、過去5年間のうち4年以上(過去12カ月中の9カ月を含む)デンマークで自営業を営んできた者で、平均労働時間を週18.5時間に削減しなければならない。

ATP:65歳。給付額は、個人の保険料と拠出記録と数理的に関連がある。ATP年金の満額支給には、1964年の制度開始以降(その後は16歳から)、加入に関する完全で継続的な記録が必須である。

ATP年金の繰り下げ支給:70歳(2009年からは75歳)まで繰り下げ支給が可能である。

給付は海外でも受給できる。

SP:65歳。個人勘定で確定している総額に基づく。

給付は海外でも受給できる。

補足年金給付(所得審査あり):困窮する年金受給者に支給される。

障害年金

障害(事前)年金(所得審査あり):被保険者は、いかなる有給労働をもってしても自身の必要最低限の生活を確立できない程度に恒久的に労働能力が低下していると判定されること(被保険者の労働能力がリハビリその他の措置で改善可能と見込まれる場合は支給されない)。

デンマーク国籍を持ち、15歳から65歳までの間に3年以上の居住期間があること。外国籍の者は、10年以上の居住期間があるか、互恵協定の対象となっていること。支給の翌月から初めて支払い可能となる。

所得審査:独身の場合、62,200クローネを超える所得の30%相当額が減額される。独身者の年間所得が656,200クローネを超える場合、年金は支給されない。

婚姻関係または同居の夫婦の年金は、98,600クローネを超える所得の30%が減額される。ただし、年金の20%相当額を上限とする。婚姻関係または同居の夫婦の年間所得が1,108,400クローネを超える場合、年金は支給されない。

労働能力は医学的判定の後、地方自治体の非医療スタッフによって判定される。被保険者の労働能力が改善する場合、医学的審査が必要となる。

障害補足給付:障害と判定された結果生じる超過費用をまかなうために支給される。見込まれる超過費用は、年間6,000クローネまたは月500クローネを超えていること。所得審査はない。

給付は海外でも受給できる。

ATP:給付の支給なし

SP:給付の支給なし

遺族年金

国民年金:生存配偶者に法定給付は支給されない。生存配偶者自身の受給権があれば、老齢年金または障害年金として生存配偶者に給付が支給される。

18歳未満の遺児は、後述の「家族手当」の給付受給権がある。

死亡手当:後述の「疾病・出産」の給付として一時金が支給される。

扶養遺族年金:同居の配偶者またはパートナー(同性のパートナーを含む)の一方が死亡し、双方が社会年金を受給していた場合に支給される。

扶養遺族手当(所得審査あり):故人と3年以上生活をともにしていた生存配偶者または同居者(同性パートナーを含む)に一時金が支給される。

所得審査:一時金給付を満額受給するためには、生存配偶者または同居パートナーの所得が197,419クローネを超えてはならない。年間所得が308,464クローネを超える場合は給付は支給されない。

ATP:故人が2002年以降、2年間保険料を全額納めている場合、生存配偶者(同性パートナーを含む)と21歳未満の各子供に一時金が支給される。故人の保険料負担が2003年以前にしかない場合、生存配偶者(登録された同性パートナーを含む)と19歳未満の各子供に一時金が支給される。

SP:故人の個人勘定で確定している総額は、故人の遺産に移される。

老齢給付

老齢年金

国民基礎年金(所得審査あり):年金受給開始年齢より前にデンマークに40年間居住している独身、既婚、同居の年金受給者には、月5,096クローネが支給される。デンマークでの居住年数が40年に満たない場合、1年少ないごとに満額から40分の1ずつ減額される。

所得審査:独身の年金受給者の場合、年間所得が259,700クローネを超えると年金が減額されることがある。配偶者またはパートナーと同居の場合、年間所得が179,400クローネを超えると年金が減額されることがある。

国民年金補足給付(所得審査あり):独身の年金受給者には月5,130クローネが支給される。配偶者またはパートナーと同居の場合、月2,396クローネが支給される。

所得審査:年間所得が259,700クローネを超える場合、補足給付が30%減額される。婚姻関係のある夫婦の年間所得がそれぞれ115,000クローネを超える場合、補足給付が30%減額される(被保険者の配偶者が年金を受給していない場合、当該配偶者の所得は210,000クローネまで考慮されない)。独身者で[年間]所得が57,300クローネを超える場合、補足給付が30%減額される。

コメント[作成者1]:原文にはありませんが、補足しました。

部分的早期退職年金:労働時間が週12時間に削減される場合、年金の最高年額は98,392クローネである。自営業者の年金の最低年額は27,555クローネである。年金は月ごとの支給である。

給付額調整:給付額は賃金の変動に応じて毎年調整される。

ATP:年金受給権は、個人の拠出記録によって決まる。勘定残高の少ない年金受給者には一時金が支給される。

年金の最高年額は23,000クローネである。

年金の最低年額は1,240クローネである。

ATP年金の繰り下げ支給:65歳から70歳(2009年からは75歳)まで繰り下げることができ、1カ月繰り下げるごとに増額される。

給付額調整:ATP制度での確定済み年金権と現金年金は、同制度の財源に応じて調整される。

SP:保険料と純収益で構成される年金である。給付は10年間にわたって分割払いされる。勘定残高が少ない年金受給者には一時金が支給される。

補足年金給付(所得審査あり):困窮する年金受給者に支給される(老齢年金受給者は日常の生活費・住宅費をまかなう追加給付も請求できる)。

長期障害給付

障害年金

障害(事前)年金(所得審査あり):課税対象となる手当で、失業給付最高額に対応する。独身者には年182,780クローネが支給される。婚姻関係または同居の者には155,364クローネが支給される。支給期間は最大4年間で、その後は社会扶助が支給される。

年金最低額は年金最高額の40分の3相当額である。

年金受給開始年齢から老齢年金に切り替わる。

障害補足給付:予想超過費用を考慮し、個別事情に応じて金額が設定される。見込まれる超過費用は、年間6,000クローネまたは月500クローネを超えていること。補足給付の最低月額は1,500クローネである。所得審査はない。

給付額調整:給付額は賃金の変動に応じて毎年調整される。

ATP:ATP制度の下では、障害年金は支給されない。

SP:SP制度の下では、障害年金は支給されない。

遺族給付

遺族年金

国民年金:年金は支給されない。

死亡手当(資力審査あり):個人の資産・負債に応じて、後述の「疾病・出産」の給付として一時金(最高8,850クローネ、遺族が18歳未満の場合は7,400クローネ)が支給される。

給付額調整:手当は賃金の変動に応じて毎年調整される。

扶養遺族年金:故人と遺族の社会年金の総額が遺族に3カ月間支給される。

扶養遺族手当(所得審査あり):故人と3年以上生活をともにしていた生存配偶者または同居者は、12,339クローネの一時金満額を受給できる。

所得審査:一時金給付を満額受給するためには、生存配偶者または同居パートナーの所得が197,419クローネを超えてはならない。年間所得が308,464クローネを超える場合は給付は支給されない。

ATP:45,000クローネの一時金が生存配偶者と21歳未満の子供1人ずつに支給される(故人が65歳を超えていた場合、66歳から70歳まで1歳増えるごとに支給額が5分の1ずつ減額される)。

SP:故人の勘定の総額は、故人の財産に移される。

運営管理主体

国民年金:社会福祉省(http://www.social.dk)は、総合的な監督と全国的な運営管理にあたる。

地方自治体は年金の運営管理にあたる。

社会保障庁は、海外で支給する国民年金の運営管理にあたる。

ATP:2者共同の理事会が統括する独立機関の労働市場付加年金基金(http://www.atp.dk)がATP制度の運営管理にあたる。

SP:2者共同の理事会が統括する独立機関の労働市場付加年金基金(http://www.atp.dk)がSP制度の運営管理にあたる。

デンマーク金融監督庁はSPとATPの両制度の監督にあたる。

疾病・出産

法的枠組み

最初の法制化:1892年

現行法:2005年(保健)改正あり、2006年(出産)

制度の種類:国民皆(医療給付)、雇用関連(現金給付)制度

適用範囲

疾病・出産現金給付:すべての被用者・自営業者

被用者集団ごとの特別な制度はない。

医療給付:デンマークに居住するすべての者

財源

被保険者:なし

自営業者:就業不能になって最初の2週間の現金給付の財源となる任意加入保険料

事業主:被用者が就業不能になるまでに同一事業主の下で8週間就労していた場合は、就業不能になって最初の2週間の現金給付の総費用。医療給付の保険料なし。

事業主の保険料は後述の「労働災害」の項の一時的障害給付の財源となる。

政府:地方政府(地方自治体)は、第3週目から(被保険者が事業主から2週間分の給付を支給される資格がない場合は第1日目から)現金給付の総費用をまかなう。地方政府(地方自治体)は、中央政府から第4週末まで全額償還を受ける。その後は地方政府と中央政府の間で費用を均等に折半する。地方政府(県レベル)は医療給付の総費用をまかまう。

政府の拠出金は、後述の「労働災害」の項の一時的障害給付の財源にもなる。

受給要件

疾病・出産現金給付:事業主負担の疾病給付の場合、被保険者は直前8週間に74時間の雇用がなければならない。地方政府負担の疾病・出産給付の場合、被保険者は就業不能状態が始まるまでの13週間に120時間以上の労働があり、有給の職業訓練中か、公共部門もしくは民間部門の事業主の下でフレックス制で雇用されているか、失業給付を受給しているか、18カ月間の職業訓練を修了したばかりかのいずれかでなければならない。自営業者は、就業不能状態が始まる前の月を含む過去12カ月間に、6カ月の労働がなければならない。

疾病現金給付は、14歳未満の重症の子供を介護する親にも支給される。

医療給付:被保険者はデンマーク居住者でなければならない。他国からデンマークに移住した場合、受給資格に必要な期間は6週間である。

疾病・出産給付

疾病給付:被保険者の時間賃金に基づき、週に最高3,515クローネが支給される。被用者の場合、就業不能になった初日から給付が支給される。自営業者の場合、就業不能第3週目から給付が支給される(最初の2週間分は任意加入保険が利用できる)。

事業主は、被用者に直接支給した疾病給付の費用が地方政府から払い戻される(就業不能初日に支給した給付については払い戻されない)。

国の現金給付制度の下、18カ月の期間中に52週にわたって週払い給付が支給される。特定の事情に該当すれば延長されることもある。

地方政府は8週間ごとに障害程度を判定する。

部分的給付:部分的就業不能の場合には減額給付が支給される。

死亡手当(資力審査あり):個人の資産・負債に応じて一時金(最高8,100クローネ、遺族が18歳未満の場合は6,750クローネ)が支給される。

給付額調整:手当は賃金の変動に応じて毎年調整される。

出産給付:週に最高3,515クローネが支給される。被用者の場合、出産予定日の4週間前から14週間後までを含む最大52週間にわたって母親に支給される。同時に、父親には2週間の有給休暇が与えられる。第14週目から父親と母親は32週間の休暇を共同利用でき、両者間で分割して取ることも可能。休暇取得は延期できるが、子供が9歳の誕生日を迎えるまでに消化しなければならない。

養子縁組の際には、養子を迎え入れた日から46週間の休暇中、給付が支給される。第14週目から父親と母親は32週間の休暇を共同利用でき、両者間で分割して取ることも可能。休暇取得は延期できるが、子供が9歳の誕生日を迎えるまでに消化しなければならない。

出産に伴って罹患した疾患のために子供が入院している場合、最大3カ月の追加休暇が与えられる。

労働者医療給付

一定の範囲から選択可能な医師による無料医療給付が支給されるか、患者が一部費用を負担して医師を自由選択することもできる。給付内容には、一般開業医の医療、専門医の医療、特殊条件下での精神分析医による治療、公立病院での入院、ほとんどの処方薬を対象に年445クローネを超える費用の50~85%、助産師または医師による無料出産、在宅看護、指圧療法、理学療法、一部歯科医療の費用、年金受給者の交通費が含まれる。

期間に制限はない(精神分析医、指圧療法士、理学療法士による処置を除く)。

扶養家族医療給付

一定の範囲から選択可能な医師による無料医療給付が支給されるか、患者が一部費用を負担して医師を自由選択することもできる。給付内容には、一般開業医の医療、専門医の医療、特殊条件下での精神分析医による治療、公立病院での入院、ほとんどの処方薬を対象に年445クローネを超える費用の50~85%、助産師または医師による無料出産、在宅看護、指圧療法、理学療法、一部歯科医療の費用、年金受給者の交通費が含まれる。

期間に制限はない(精神分析医、指圧療法士、理学療法士による処置を除く)。

運営管理主体

疾病・出産給付:社会福祉省(http://www.social.dk)が総合的な監督と全国的な運営管理にあたる。

地方政府(自治体)は地方レベルの疾病・出産給付の運営管理にあたる。

医療給付:厚生省が総合的な監督と全国的な運営管理にあたる。

地域・地方政府(自治体)は地方レベルの疾病・出産給付の運営管理にあたる。

労働災害

法的枠組み

最初の法制化:1898年

現行法:2006年(業務災害)

制度の種類:国民皆(医療給付)・直接支給(現金給付)制度に加えて、民間保険(災害)と労働市場職業疾病金庫(職業病)による強制加入の所得保障支給

適用範囲

すべての被用者、職業訓練中の者、両親のどちらかの労働歴・職歴の結果として先天性障害のある者、

すべての自営業者とその配偶者は任意加入

軍人は特別な制度がある。

財源

被保険者:なし

自営業者:就業不能の最初の2週間の給付は任意加入

事業主:一時的障害給付については、前述「疾病・出産」の項の疾病給付の財源を参照。長期障害給付については、民間保険(労働災害)と労働市場職業疾病金庫(職業病)による強制加入の所得保障支給。

政府:前述「疾病・出産」の項の財源を参照

受給要件

労働災害給付:受給に必要な最低限の加入期間はない。労働災害または職業病の給付請求は、1年以内に行わなければならない。特別な事情がある場合には1年を超えてもよい。

一時的障害給付

被保険者の時間賃金に基づき、週に最高3,515クローネが支給される。被用者は就業不能の初日から給付が支給される。自営業者は就業不能第3週目から給付が支給される(最初の2週間分は任意加入保険が利用できる)。

事業主は、被用者に直接支給した疾病給付の費用が地方政府から払い戻される(就業不能初日に支給した給付については払い戻されない)。

国の現金給付制度の下、18カ月の期間中に52週にわたって週払い給付が支給される。特定の事情に該当すれば延長されることもある。

地方政府は8週間ごとに障害程度を判定する。

部分的給付:部分的就業不能の場合には減額給付が支給される。

長期障害給付

長期障害年金:完全障害(100%)の場合、被保険者の前年の所得の80%相当額である。受給資格の障害程度判定の最低基準は15%である。

給付額算定の基礎となる所得下限は年157,000クローネ、所得上限は年419,000クローネである。所得の上限基準は毎年調整される。

稼得能力低下の判定が50%未満の場合、一時金が支給される。稼得能力の低下が50%以下の場合、被保険者は月払い給付か一時金かを選択できる。稼得能力の低下が50%を超える場合、月払いの年金が支給される(被保険者は、稼得能力の50%低下に基づいて算定した一時金として給付総額の一部を受給できる)。

障害程度は国の労災委員会が判定し、被保険者の状態が変化した場合、給付から最初の5年間に随時再審査されることがある。

この年金は65歳で停止する。

長期災害補償:完全障害(100%)の場合、699,000クローネの一時金が支給される。特別なケースでは838,000クローネを上限に、さらに高額が支給されることがある。

給付額調整:給付額は毎年調整される。

労働者医療給付

給付には、人工装具、義肢、整形外科用器具、車いす、一部の専門医による医療(通常の疾病保険でほとんどの医療が利用可能)が含まれる。

遺族給付

遺族年金:被保険者の年間所得の30%が最大10年間にわたって生存配偶者または故人と2年以上生活した同居パートナー(同性パートナーを含む)に支給される。遺族が再婚(結婚)している場合は年金が支給される。

給付額算定の基礎となる所得上限は、年419,000クローネである。

遺族年金は65歳で停止する。

遺児年金:各遺児は、18歳(学生の場合は21歳)まで故人の年間所得の10%が支給される。ただし、40%を上限とする。完全遺児は18歳(学生の場合は21歳)まで故人の年間所得の20%が支給される。ただし、50%を上限とする。

移行手当:被保険者の死亡原因が労働災害または職業病の場合、配偶者または同居パートナー(同性パートナーを含む)、事情によってはその他の者に131,500クローネの一時金が支給される。

給付額調整:給付額は毎年調整される。

運営管理主体

雇用省(http://www.bm.dk)は、総合的な監督にあたる。

デンマーク金融監督庁(http://www.ftnet.dk)は、労働災害に関わる民間保険と労働市場職業疾病金庫を直接監督する。

労災委員会(http://www.ask.dk)は、被保険者と遺族の受給資格を判定する。

労働市場職業疾病金庫(独立の自治機関)は、事業主が拠出する職業病補償制度の運営管理にあたる。

失業

法的枠組み

最初の法制化:1907年

現行法:2005年(失業保険)改正あり

制度の種類:助成付き任意加入保険制度

注:失業者に給付受給資格がなく、生活手段がない場合、地方政府(地方自治体)が社会扶助を与えることがある。

適用範囲

被用者(18歳から63歳まで)、自営業者、18カ月以上の職業訓練を修了した者、中央政府または地方政府で公職に就く者。対象となる者は、職能別組合が任意設立し、認可を受けている失業保険金庫に加入しなければならない。

財源

被保険者:失業保険金庫の加入保険料は、金庫の財源となる変額保険料(金庫により金額は異なる)、失業保険支給に用いられる強制固定保険料、早期退職給付に用いられる任意加入の固定保険料で構成される。

失業保険給付と任意早期退職給付の公的支出を補うため、被用者は、毎月の給与または所得の総額の8%を労働市場金庫に支払う。

保険料は、失業保険金庫によって月払い、四半期払い、年払いのいずれかである。

自営業者:失業保険金庫の加入保険料は、金庫の財源となる変額保険料(金庫により金額は異なる)、失業保険支給に用いられる強制固定保険料、早期退職給付に用いられる任意加入の固定保険料で構成される。

失業保険給付と任意早期退職給付の公的支出を補うため、自営業者は、報酬または所得の総額の8%を労働市場金庫に支払う。

保険料は、失業保険金庫によって月払い、四半期払い、年払いのいずれかである。

事業主:特定の事業主は保険料を支払う。

政府:助成を行う。

受給要件

失業給付:過去12カ月間(自営業者含む)失業金庫に加入し、過去3年間に保険加入の雇用が52週間(1,924時間)あること。

自己都合退職、違法行為、労働争議、適職求人の拒否による失業は認めない。申請者は、求職登録し、労働の能力と意志を有していること。

パートタイム失業給付:過去12カ月間(自営業者を含む)失業金庫に加入し、過去3年間に保険加入の雇用が34週間(1,258時間)あること。

任意早期退職給付制度:デンマークに居住する60歳から65歳の者(自営業者を含む)で、過去30年に失業金庫に25年間の加入(早期退職給付の拠出金支払いを含む)があること。ただし、1952年2月29日以降で1964年7月1日以前に生まれた者は過去25年に20年間の加入があること、1952年3月1日以前に生まれた者は過去15年に10年間の加入があること。

失業給付

失業給付:週3,200クローネを上限に、直前12週間の平均所得の90%相当額である(職業訓練期間または兵役期間を完了した若年失業者には、最高で週2,880クローネが支給される)。失業初日から最大4年間(週5日間)支給される。自営業者は3週間の待機期間がある。

55歳から59歳の失業者は、任意早期退職給付の受給権を獲得するため、60歳の誕生日まで給付を延長されることがある。

パートタイム失業給付:給付最高額は、失業給付最高額の3分の2相当額である。

任意早期退職給付制度:給付最高額は、失業給付最高額の91%相当額であるが、週3,200クローネを超えない。60歳を過ぎてから2年以上労働市場に残っている労働者には、特定の優遇条件が適用される。

運営管理主体

雇用省(http://www.bm.dk)と労働管理局は、総合的な監督にあたる。

認可失業金庫(加入者数10,000人以上)は、全国規模での制度の運営管理、保険料徴収、給付支給を担当する。

家族手当

法的枠組み

最初の法制化:1952年

現行法:2004年(児童給付)改正あり

制度の種類:国民皆制度

適用範囲

デンマーク居住の国民、1年(特別補足給付については3年)以上デンマークに居住する非市民、互恵協定の対象となる非市民、難民

財源

被保険者:なし

自営業者:なし

事業主:なし

政府:総費用

受給要件

家族手当:デンマークに居住する18歳未満の子供。親はデンマークで納税していること。

家族手当給付

家族手当:年間の基本手当は2歳までの子供1人当たり14,156クローネ、3歳から6歳までの子供1人当たり12,792クローネ、7歳から17歳までの子供1人当たり9,696クローネである。

ひとり親補足給付:子供1人当たり年4,556クローネが支給される(例えば稼ぎ手1人の家庭の場合)。受給資格は毎年判定される。

遺児補足給付:完全遺児は年24,000クローネが支給される。半遺児は年12,000クローネが支給される。

年金受給者子女補足給付:年金受給者の子供は年11,628クローネ(両親のどちらかが年金受給者の場合)または年13,128クローネ(両親とも年金受給者の場合)

学習補足給付:学業に取り組む親1人当たり年5,976クローネが支給される。

すべての給付・補足給付は、四半期ごとに支給される。

出産手当:多子出産の場合、第2子以降、子供1人当たり7,504クローネが支給される。

子供が7歳になるまで四半期ごとに支給される。

養子縁組手当:外国で生まれた子供との養子縁組の場合、43,225クローネの一時金が支給される。

給付額調整:給付額は賃金の変動に応じて毎年調整される。

さらに、育児・教育費用の一部と育児休暇期間が与えられる。

運営管理主体

社会福祉省(http://www.social.dk)は、総合的な監督と全国的な運営管理にあたる。

地方政府(自治体)は制度の運営管理にあたる。