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世界各国の社会保障制度

オランダ
為替レート:1.00米ドル=0.68ユーロ

老齢・障害・遺族

法的枠組み

最初の法制化:1901年

現行法:1957年(老齢年金)2003年改正、1959年(遺族年金)2003年改正、1966年(被用者向け障害年金)2003年改正、1998年(自営業者向け障害年金)2001年改正、1998年(若年向け障害扶助)2002年改正、2006年(被用者向け障害年金)

制度の種類:社会保険制度

適用範囲

老齢・遺族年金:オランダに居住するすべての者

障害年金:オランダに居住する被用者、2006年以前から給付を受給している者、幼少期から障害のある者、学生

財源

被保険者:老齢年金は対象所得の17.9%、遺族年金は対象所得の1.1%

保険料算定の基礎となる所得上限は、年31,589ユーロである。

自営業者:老齢年金は対象所得の17.9%、遺族年金は対象所得の1.1%

保険料算定の基礎となる所得上限は、年31,589ユーロである。

事業主:被用者の障害年金用として対象となる給与の5.65%に加え、2006年以前から障害給付を受給している者への変額保険料

保険料算定の基礎となる所得上限は、年46,205ユーロである。

政府:すべての給付を所定の社会的最低基準まで高めるための助成。この最低基準は最低賃金に対する一定割合として算定され、受給者の種別、幼少期から障害のある者や学生の年金費用によって異なる。

受給要件

老齢年金:15歳から65歳まで50年間オランダに居住し、所得者の場合15歳から65歳まで毎年保険料を支払ってきた被保険者は、65歳から年金が満額支給される。

部分年金:受給要件を完全に満たさない場合、減額年金が支給される(ただし被保険者が59歳を過ぎてから6年間オランダに居住するオランダ国民であれば、1957年以前の期間については減額対象とならない)。

家計をともにする2人の者が双方とも65歳を超える場合、夫婦年金の受給資格がある。どちらかが65歳未満の場合、年金受給者が補足手当を受給するには、若いほうのパートナーが所得審査基準を満たさなければならない。

退職は必要条件ではない。

欧州連合加盟国または互恵協定締結国に居住していれば、海外でも老齢年金が支給される。

障害年金:労働能力が低下している65歳未満の被用者に支給される。2年間経過後も完全な長期障害の被用者と一時的障害の被用者とは稼得能力低下の査定によって区別する。

長期障害年金:現行の稼得能力が以前の所得の20%に満たず、回復の見込みが皆無かほとんどない完全長期の就業不能と判定された障害のある労働者に支給される。

障害の程度は医学的見地から判定される。特定の場合は、医学的見地と労働関連の因子から判断される。

部分的障害:35%以上80%未満の障害と判定された労働者に支給される。被保険者は一部の労働の能力ありと見なされる。

また、オランダに居住する65歳未満の者で、17歳の時点で就業不能となったか、17歳を過ぎてから障害となり当該日の直前の年に6カ月以上学生だった者にも支給される。

受給権者が通常はオランダに居住している場合、互恵協定の下、海外でも障害給付が支給される。

遺族年金:寡婦(寡夫)、未婚の長期パートナー、16歳(障害者の場合は18歳、学生の場合は21歳)までの完全遺児に支給される。遺族年金は、1950年以前に生まれた遺族、18歳未満の子供がいる遺族、障害程度の判定が45%以上の生存パートナーの場合、所得審査がある。

欧州連合加盟国または互恵協定締結国に居住していれば、海外でも年金が支給される。

老齢給付

老齢年金:独身者は月984.86ユーロが支給される。婚姻関係にあるかどうかを問わず夫婦は双方とも65歳以上の場合にそれぞれ月673.84ユーロが支給される。18歳未満の子供を養育するひとり親が受給者の場合、月1,222.72ユーロが支給される。65歳未満のパートナーがいる65歳以上の者は、月673.84ユーロが支給され、さらに所得審査を伴う補足給付として最高673.84ユーロが支給される。

所得審査のある補足給付:婚姻関係にあるかどうかを問わず一方のパートナーが65歳未満の場合、特別な金額が適用される。年下のパートナーの雇用所得が1,211.01ユーロに満たない場合、補足給付は年長のパートナーの年金に加算される。パートナーの雇用所得が200.25ユーロに満たない場合、補足給付の最高額が支給される。雇用所得(失業給付、障害給付、疾病給付を含む)は、老齢年金から全額が差し引かれ、所得が673.84ユーロに満たない場合、補足給付が支給される。

部分年金:1957年以降に、被保険者に所得があったにもかかわらず保険料を支払っていなかった場合、未払い1年ごとに年金が2%減額される。

給付額調整:給付額は、正味最低賃金の変動に応じて年2回調整される。

長期障害給付

障害年金:就業不能の被用者は、障害の最初の2年間に自身の法定賃金の70%以上が支給される。

長期障害年金:被保険者の賃金日額の75%が支給される。通常は、法定賃金が支給される2年間の疾病休暇後に、この年金が支給される。完全長期障害と判定された場合、2年を待たずに受給資格が得られることがある。

部分的障害:被保険者の賃金日額の75%が支給される。以前の雇用年数に応じて、5年間を限度に6カ月以上支給される。

常時介護手当:年金満額の30%が支給される。

医学的検査で完全長期障害と判定された場合、部分的障害給付が支給されることがある。それ以外の場合、完全長期障害の給付が65歳まで支給される。

補足給付(資力審査あり):世帯収入が所定の社会的最低基準に満たない場合、補足給付が支給されることがある。

給付額調整:給付額は、正味最低賃金の変動に応じて年2回調整される。

賃金比例障害給付:最初は(最高)賃金日額の70%に相当し、個人の雇用歴に応じて一定期間支給される賃金比例給付となる(給付支給期間は雇用期間5年未満の場合で最短6カ月、雇用期間40年の場合で最大5年である)。

最初の給付支給期間が終了後、障害程度の判定に応じて、部分的障害のある失業者は法定最低賃金の70%相当の給付の受給資格がある。

最初の給付支給期間が終了後、残余稼得能力判定50%以上に相当する賃金比例所得を得ている部分的障害の被用者は、賃金補足給付を申請できる。賃金補足給付は、被用者の(最高)賃金日額と労働比例所得または残余稼得能力(労働比例所得より高額の場合)の差額の70%相当額である。この条件を満たさない部分的障害者は、法定最低賃金の70%に障害程度割合を乗じた結果に相当する継続手当の受給資格を得る。

給付最高額は日額172.48ユーロである。

常時介護手当:年金満額の30%が支給される。

補足給付(資力審査あり):世帯収入が所定の社会的最低基準に満たない場合、補足給付が支給されることがある。

給付額調整:正味最低賃金の変動に応じて年2回給付額が調整される。

障害年金(自営業者):1998年の自営業者向けの法令が2004年8月1日に廃止された。この日以前に障害が始まったか、すでに障害年金を受給していた自営業者は、受給条件を満たす限り給付を継続して受給できる。

障害年金(若年者・学生):80%以上の稼得能力低下の場合、最低(若年)賃金総額1,335.00ユーロの最高70%が毎月支給される。稼得能力の低下が25%から79%の場合、52週間の待機期間の後、最低賃金の21%から50.75%が支給される。支給期間の制限はない。

常時介護手当:年金満額の30%が支給される。

補足給付(資力審査あり):世帯収入が所定の社会的最低基準に満たない場合、補足給付が支給されることがある。

給付額調整:正味最低賃金の変動に応じて年2回給付額が調整される。

遺族給付

遺族年金:寡婦(寡夫)または受給資格のある未婚のパートナーに月1,042.88ユーロが支給される。遺族の所得額が給付から差し引かれる。

遺族給付は結婚またはパートナーシップ登録または同居をもって停止する。

所得審査:最低賃金の50%までの雇用所得(月667.50ユーロ)に加え、この額を超える所得全体の3分の1は無視される。月間所得が2,232.83ユーロ以上の場合、給付は支給されない。雇用所得(失業給付、障害給付、疾病給付を含む)は、遺族年金から全額が差し引かれる。

遺族年金は65歳で停止し、老齢年金に切り替わることがある。

扶養児童手当:世帯内の最年少の子供が18歳に達するまで、世帯当たり子供1人に240.23ユーロの手当が支給される。所得審査はない。

遺児年金:10歳未満の完全遺児1人につき月333.72ユーロ、10歳から15歳までの場合は月500.58ユーロ、16歳から18歳(学生は21歳)までの場合は月667.44ユーロが支給される。

給付額調整:正味最低賃金の変動に応じて年2回給付額が調整される。

死亡給付:雇用労働者が死亡した場合、月間所得(日額最高172.48ユーロ)の100%に相当する一時金が支給される。失業中の労働者の場合の最高額は最低賃金(月1,335ユーロ)とする。疾病給付または障害給付の受給権者が死亡した場合、1カ月の給付額相当の一時金が支給される。老齢年金受給者が死亡した場合、故人のパートナーに老齢年金月額の100%相当額の一時金が支給される。遺族年金受給権者が死亡した場合、遺族年金月額の100%が扶養児童に支給される。

管理運営主体

労働・所得検査局(http://www.iwiweb.nl)は、保険料と現金給付の総合監督にあたる。

社会保険銀行(http://www.svb.nl)は、老齢年金・遺族年金の運営管理にあたる。

事業主は、障害と判定された被用者に最初の2年間、障害給付を支給する。

被用者給付制度機構(http://www.uwv.nl)は、障害給付の運営管理にあたる。

税務・関税管理国家歳入局(http://www.belastingdienst.nl)は、雇用労働者に代わり障害給付の保険料を徴収する。

国家歳入局(http://www.minfin.nl)は、老齢年金・遺族年金の保険料と失業労働者の障害年金の保険料の徴収にあたる。

疾病・出産

法的枠組み

最初の法制化:1931年

現行法:1964年(医療給付)、1966年(疾病・出産給付)、1968年(特別医療費)、1998年(失業労働者の出産給付)施行は2001年、2005年(健康保険)

制度の種類:社会保険制度

適用範囲

疾病・出産現金給付:保障はほとんどが民間保険による(民法では、事業主は疾病休暇期間中、最大104週間にわたって賃金の70%を支給しなければならない)。

社会保障制度は、就業不能の最初の2年間に失職した被用者、就業不能になった失業者、疾病休暇中の長期雇用のない派遣労働者、任意保険加入者、見習い、臓器提供者、職業リハビリ中の者、妊娠・出産によって就業不能の女性など、事業主のいない被用者または事業主がいなくなった被用者(ごく一部の特殊な条件下では賃金労働者と給与所得者も含む)を保護対象とする。

医療給付:すべてのオランダ居住者と、オランダ国外に居住しているがオランダで専門活動に従事する者

特別医療費:すべてのオランダ居住者と、オランダ国外に居住しているがオランダで専門活動に従事する者

財源

被保険者:民間保険会社が設定する定額保険料、老齢年金の7.2%を年金受給者が負担、31,231ユーロを超える医療給付には他の年金収入の5.1%を年金受給者が負担(医療給付には障害年金の7.2%を障害年金受給者に代わって年金機関が負担)、特別医療費保険には31,589ユーロまでの所得の12.15%を負担

保険料算定の基礎となる所得上限は、1日113ユーロ(医療給付)、年31,589ユーロ(特別医療費)、年38,117ユーロ(失業労働者の疾病・出産現金給付)である。

疾病・出産給付の保険料は、後述の失業給付の保険料に含まれる。

自営業者:民間保険会社が設定する定額保険料のほか、医療給付には31,231ユーロまでの課税所得の4.4%、特別医療費保険には31,589ユーロまでの所得の12.15%を負担

保険料算定の基礎となる所得上限は、1日113ユーロ(医療給付)、年31,589ユーロ(特別医療費)である。

事業主:対象となる給与の7.2%を医療給付に拠出

疾病・出産給付の保険料は、後述の失業給付の保険料に含まれる。

保険料算定の基礎となる所得上限は、1日113ユーロ(医療給付)、年31,231ユーロ(特別医療費)、年38,117ユーロ(失業労働者の疾病・出産現金給付)である。

政府:毎年決定する拠出額を医療給付に拠出

受給要件

疾病現金給付:被保険者は通常の労働を遂行不能であること。

出産現金給付:被保険者は被用者であること。

医療給付:民間保険会社の保険の対象

疾病・出産給付

疾病給付:給付額は、1日177.03ユーロを所得日額の上限として、所得の70%相当額である。最大104週間にわたって支給され、156週間まで延長可能。

出産給付:給付額は、1日177.03ユーロを所得日額の上限として、所得の100%相当額である。最大16週間にわたって支給される。

死亡給付:給付額は、1日177.03ユーロを所得日額の上限として、所得の100%相当額である。最大1カ月にわたって支給される。

労働者医療給付

医療保険者と被保険者の契約によって、医療保険者と契約する医師、病院、薬剤師がサービス給付を提供する。保険者は被保険者に医療費を払い戻す。

給付には、一般医療・専門医療、入院、臨床検査サービス、医薬品、特定の歯科医療、出産、医療器具、リハビリ、交通費が含まれる。

費用分担:長期入院、義肢、交通費については、専用の費用分担規定がある。

支給期間に制限はない(理学療法を除く)。

特別医療費保険は、入院366日目から入院費用を支給する。

扶養家族医療給付

すべての個人が自分自身で保険加入する。

管理運営主体

労働・所得検査局(http://www.iwiweb.nl)は、現金給付の総合監督にあたる。

被用者給付制度機構は、医療給付の保険料徴収と疾病・出産現金給付の運営管理にあたる。

オランダ医療サービス庁(http://www.nza.nl)は、医療給付と特別医療費給付の総合的な監督にあたる。

国家歳入局(http://www.minfin.nl)は、失業労働者に代わり出産現金給付の保険料を徴収するとともに、特別医療費保険の保険料の徴収にあたる。

労働災害

法的枠組み

最初の法制化:1901年

注:1967年以来、具体的な労働災害制度はない。疾病・出産給付と障害年金の制度(前述の該当項目参照)の下、労働関連かどうかを問わず、1966年と1968年の法令の規定がすべての就業不能に適用される。

失業

法的枠組み

最初の法制化:1949年

現行法:1987年

制度の種類:社会保険・社会扶助制度

適用範囲

被用者

財源

被保険者:産業に応じて総合失業金庫に変額保険料を支払う。平均保険料は対象所得の3.5%である。余剰労働者退職手当金庫への負担なし。

保険料算定の基礎となる所得上限は、月3,850.40ユーロである。

被保険者の保険料は疾病・出産給付の財源にも充てられる。

自営業者:該当せず

事業主:総合失業金庫に対象給与の4.75%。変額保険料を余剰労働者退職手当金庫に支払う。平均拠出額は対象給与の1.02%。

保険料算定の基礎となる所得上限は、月3,850.40ユーロである。

事業主の保険料は疾病・出産給付の財源にも充てられる。

政府:なし

受給要件

失業給付:最低でも週5時間の労働時間の損失がなければならない(週10時間未満の雇用の場合は週当たり労働時間の半分であること)。被保険者は公共職業安定所に登録し、労働の能力を有し、就労可能な状態にあり、適職を拒否しないこと。

給与比例給付:被保険者は過去36週間のうち26週間以上の有給雇用があり、過去5年間のうちの4年以上で有給雇用が52日以上なければならない。

継続給付:給与比例給付の受給権が終了後も失業が続く場合、継続給付が支給される(2003年8月11日以降に失業した者の新規請求については、継続給付が廃止された)。

補足給付(資力審査あり):失業給付が社会的最低基準に満たない場合、資力審査を伴う補足給付が支給されることがある。

失業給付

失業給付

給与比例給付:給付額は最後の給与の75%相当額で、所得日額177.04ユーロを上限とする。被保険者は過去36週間のうち26週間以上の有給雇用がある場合、3カ月間にわたって給付が支給される。被保険者が失業した年の前に有給雇用が年52日以上ある場合、雇用のあった年が1年あるごとに1カ月の給付が最大38カ月分支給される。

継続給付:給付額は法定最低賃金の70%相当額(法定最低賃金を下回る場合は賃金日額の70%)である。失業が始まった時点で57.5歳以上の者は、65歳まで給付を受給できる(2003年8月11日以降に失業した者については、継続給付が廃止された)。

補足給付(資力審査あり):資力審査を伴う補足給付が支給される。

管理運営主体

労働・所得検査局(http://www.iwiweb.nl)は、総合監督にあたる。

税務・関税管理国家歳入局(http://www.belastingdienst.nl)は、保険料を徴収する。

被用者給付制度機構(http://www.uwv.nl)は、別制度を実施する。

社会保障機関は、加入契約に基づく給付を実施する。

家族手当

法的枠組み

最初の法制化:1939年

現行法:1963年(児童給付)改正あり

制度の種類:国民皆制度

適用範囲

子供を持つ対象者すべて

財源

被保険者:なし

自営業者:なし

事業主:なし

政府:総費用

受給要件

家族手当

16歳未満の子供:対象となる子供は、被保険者の世帯の構成員でなければならない。世帯の構成員でない場合、特定条件の下で給付が支給されることがある。

欧州連合加盟国または互恵協定締結国に居住していれば、海外でも年金が支給される。

16歳または17歳の子供:学校に在籍する子供は、1四半期当たり213時間以上の指導を受けていること(宿題、通学時間を除く)。この条件を満たさない子供でも、1学年で1,680時間以上の課程のある高等職業教育または大学教育に在籍する場合か、1学年に1,600時間以上を費やす他の種類の教育に在籍する場合、受給資格が与えられることがある。オランダ学生融資法の下で学生援助または融資を受けている子供には支給されない。

雇用時間が週19時間を超える子供または失業給付を受給する子供には支給されない(失業中の子供は週19時間以上の労働を求め、労働・所得センターに登録しなければならない)。

障害のある子供は、稼得能力が同一年齢層の健康な子供の通常稼得能力の55%以下相当であること。

欧州連合加盟国または互恵協定締結国に居住していれば、海外でも年金が支給される。

家族手当給付

家族手当:1995年以前に生まれた子供の給付は、家族構成によって四半期当たり子供1人につき271.70ユーロから366.40ユーロまでの範囲で支給される。1995年1月1日以降に生まれた子供は、6歳まで190.19ユーロ、7歳から12歳まで230.95ユーロ、13歳から18歳まで271.70ユーロが支給される。

給付額調整:物価指数の変動に応じて年2回給付額が調整される。

管理運営主体

労働・所得検査局(http://www.iwiweb.nl)は、総合監督にあたる。

社会保険銀行(http://www.svb.nl)は、児童手当の運営管理にあたる。