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第7節 イギリス

(グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国)
United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland

1.障害者介護サービスに関する調査

2.モデルに関する調査

3.障害児に関する調査

添付資料
1/単一評価プロセス(Single Assessment Process;SAP)
2/「障害者生活手当」の申請内容
3/「所得補助」「求職者手当」「就労不能給付」の申請内容
4/ドーセット・カウンティカウンシル全域 単一評価 総合査定

本節では、イギリス全体を概観しながら、調査員が在住するドーセット・カウンティカウンシルを中心に述べる。

ヘンダーソン 直子 (OT Department,St.Leonard's Community Hospital)


1.障害者介護サービスに関する調査

(1)障害の定義、範囲、区分(制度別)

イギリス(UK)1)では、障害者差別禁止法(Disability Discrimination Act;DDA)において障害者(Disabled Person)を「日常生活を送ることを阻む重大で長期的な身体的、または精神的な障害を持つ人々のこと」と定義している。

定義中の「重大で」というのは、“たいしたことではない(Minor)”や“ささいな(Trivial)”ということは含まない。「長期的な」というのは、影響を及ぼしている障害がこれまでに12ヶ月以上続いた、もしくはこの先少なくとも12ヶ月以上続くと予想されることを指す。「日常生活」には、食事をすること、体を洗うこと、歩くこと、買い物に行くことなどが含まれる。「日常生活を送ることを阻む」というのは、移動能力、手の巧緻性、発話、聴力、視力や記憶力などの能力(障害者差別禁止法,DDA中にリストアップされている)などが阻害されていることを指す(放火癖があるとか、花粉症などの状態は除外されている)。

この定義に見合う障害を過去に持ったことのある人も、この制度に包含される。また、進行性の疾患を持った人も、重度に日常生活に支障をきたすようになると、この制度のもとにおいて障害者と定義される。

2005年障害者差別禁止法(DDA)の法改正では障害の定義が変更され、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ガンや多発性硬化症を持つ人々は、「日常生活に支障をきたすようになってから」ではなく、「診断が下された時点から」障害者の定義に含まれるとみなされるようになった。

精神障害の範囲については、以前は知的障害(Learning Disability)2)も精神障害に含まれると考えられていたが、2007年に精神保健法(Mental Health Act 2007)が改正され、精神障害の定義づけがなくなった。また「知的障害者は、異常な攻撃性や無責任な行動を取らない限り精神障害者とはみなされない」と変更されている。

なお、障害の度合いや範囲を分けるような法律はなく、障害者差別禁止法(DDA)では、障害者が障害のない人と同様の機会が与えられることを保障している。

(2)要介護者の定義、範囲、区分(制度別)

「一見して明らかに障害があるとわかる人は誰でも、そのニーズの査定をしてもらう権利がある」と、1990年国民保健サービス及びコミュニティケア法(National Health Servicesand Community Care Act 1990)で規定している。しかし、ケアサービスを提供する必要があるかどうかは、地方自治体の社会サービス部がニーズのアセスメントを行い、その結果に基づいて決定をする。

アセスメントのプロセスで要介護者を決定するには、国のケア(介護)基準である「ケアサービスへの公正なアクセス:成人社会ケアの受給資格基準に関する指針」(Fair Access to Care Services:Guidance on Eligibility Criteria for Adult Social Care)を利用する(対象は18歳以上)。

この指針では、対象者の自立性を脅かす危険性や、ニーズが満たされなかった場合に起こる結果を視野に入れ、「緊急(Critical)」「重度(Substantial)」「中度(Moderate)」「軽度(Low)」の4つのグループに段階分けがされている。一般的には「緊急」と「重度」のニーズのある人にサービスが提供されている。

「ケアサービスへの公正なアクセス指針」は、イギリス保健省(Department of Health)により、地方自治体の社会サービス部が成人ソーシャルケア(Adult Social care)において公平で一貫した判断を下すことができるような枠組みを提供するために、1970年、地方自治体社会サービス法(Local Authority Social Services Act 1970)第7条1項に基づいて2002年に作成された。

この指針では、地方自治体は対象者が社会サービス(ソーシャルケア)による地域ケアサービスを受けることができるかどうかの受給資格基準を、地方自治体の財原、地域住民の期待、そして地域の物価を鑑みて設定するべきである、とされている。また、病院から地域でのケアへの移行や、病院からの退院などを考慮し、その受給資格基準はNHS(National Health Service,国民保健サービス)との同意を得たうえで決められるべきであり、その自治体内で、地方自治体レベルや国レベルの他の機関を通して一貫して用いられるべきである、とある。

つまり、この指針は要介護者を4段階に分けて定義しているが、どの段階の要介護者にサービスを提供するかどうかは、地方自体によって決められるということである。

例えば、調査員の住むドーセット・カウンティカウンシル(イギリスの自治体の1つ)では、「緊急」と「重度」が対象とされている(ただし、サービスの受けられない「中度」と「軽度」と査定された人についても、他のしかるべき提供団体からサービスを受けるための支援や情報が提供される)。

ケアサービスへの公正なアクセス指針」による4段階の定義
1.緊急(Critical)
  • 生命が脅かされる状態にある、もしくは将来そういった状態になる
  • 重大な健康の問題が発生した、もしくは将来発生する
  • 生命維持のために必要な環境のコントロールや選択肢を持たないか制限されている、もしくは将来そういった状態になる
  • 深刻な虐待やネグレクトが起こっている、もしくは将来起こる
  • 生命維持に必要な身辺処理や家事を含む日常生活活動が行えない、もしくは将来行えなくなる
  • 非常に重要な仕事や教育、学習活動への従事を持続させることができない、もしくは将来できなくなる
  • 非常に重要な社会的機能や関係を維持できない、もしくは将来できなくなる
  • 非常に重要な家族としての、または社会的役割や責任を維持できない、もしくは将来できなくなる
2.重度(Substantial)
  • 生命維持のために必要な環境のコントロールや選択肢を部分的に持つのみである、もしくは将来そういった状態になる
  • 虐待やネグレクトが起こった、もしくは将来起こる
  • 生命維持に必要な身辺処理や家事を含む日常生活活動の大部分が行えない、もしくは将来行えなくなる
  • 仕事や教育、学習活動への従事を多くの局面で持続させることができない、もしくは将来できなくなる
  • 大部分の社会的機能や関係を維持できない、もしくは将来できなくなる
  • 大部分の家族としての、または社会的役割や責任を維持できない、もしくは将来できなくなる
3.中度(Moderate)
  • 身辺処理や家事を含む日常生活活動のいくつかが行えない、もしくは将来行えなくなる
  • 仕事や教育、学習活動への従事をいくつかの局面で持続させることができない、もしくは将来できなくなる
  • いくつかの社会的機能や関係を維持できない、もしくは将来できなくなる
  • いくつかの家族としての、または社会的役割や責任を維持できない、もしくは将来できなくなる
4.軽度(Low)
  • 身辺処理や家事を含む日常生活活動の1つか2つかが行えない、もしくは将来行えなくなる
  • 仕事や教育、学習活動への従事を1つか2つかの局面で持続させることができない、もしくは将来できなくなる
  • 1つか2つかの社会的機能や関係を維持できない、もしくは将来できなくなる
  • 1つか2つかの家族としての、または社会的役割や責任を維持できない、もしくは将来できなくなる

上記に関連して地方自治体は、一般的に身体障害、感覚障害、知的障害もしくは精神障害によって起こるニーズを持った成人(18歳以上)に対して、地域ケアサービスを提供する。この点で、そのようなサービスを提供する自治体の責任は、主に次の法令で規定されている。(図表1参照)。

図表1 地域ケアサービスにおける自治体の責任を規定する主な法律

1948年 年国民援助法/National Assistance Act 1948.
1968年 年保健サービス及び公共保健法/Health Services and Public Health Act 1968.
1970年 年慢性疾患・障害者法/Chronically Sick and Disabled Persons Act 1970.
1977年 年国民保健サービス法/National Health Service Act 1977.
1983年 年精神保健法/Mental Health Act 1983.
1986年 年障害者(サービス、協議、参画)法/Disabled Persons(Services,Consultation and Representation)Act 1986.

出典;(LAC(2002)13:Fair access to care services:guidance on eligibility criteria for adult social care)
http://www.dh.gov.uk/en/Publicationsandstatistics/Publications/PublicationsPolicyAndGuidance/DH_4009653
ケアサービスへの公正なアクセス:成人社会ケアの受給資格基準に関するガイダンス(佐藤久夫訳)
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/resource/ea/071124_sato_DH2002/index.html

(3)制度の名称、根拠法

A.成人向けサービスについて

イギリス(UK)では、NHS(国民保健サービス/医療を提供)、社会サービス(ソーシャルケア/福祉を提供)、ジョブセンタープラス(Jobcentre Plus/給付金や就労援助を提供)の大きく3つのサービス(制度)に分かれる。

a)NHS(国民保健サービス)

1946年国民保健サービス法(National Health Service Act 1946)に基づいて設立され、その後1990年国民保健サービス及びコミュニティケア法(National Health Service andCommunity Care Act 1990)、1999年保健法(Health Act 1999)によって変更が加えられた。予防やリハビリテーションを含む、包括的な医療サービスを提供する。

b)社会サービス(ソーシャルケア)

社会サービス(介護だけではなく、広い意味での社会サービスを行う)は、当初は1948年国民援助法(National Assistance Act 1948)のもとに設置された。その義務は1970年地方自治体社会サービス法(Local Authorities Social Services Act 1970)によって地方自治体に置かれ、その範囲は1970年に慢性疾患及び障害者法(Chronically Sick and Disabled PersonsAct 1970)によって拡大された。

また、1990年国民保健サービス及びコミュニティケア法では、

  • 地方自治体が在宅介護の包括的責任を持つ
  • 地方自治体は介護計画を作成する
  • 地方自治体は適正な在宅介護のサービスを受ける必要があると思われる人を評価しなければならない
  • 地方自治体は社会サービス部により提供される在宅介護サービスを調整しなければならない
  • 地方自治体は民間またはボランティアによる介護サービスを購入することによって、その発展を奨励・促進しなければならない
  • 地方自治体は苦情処理のシステムを設置しなければならない

といった内容が盛り込まれ、地方自治体の責任が明確になった。

また、ケアサービスのための直接現金支給については、1996年コミュニティケア(直接支払い)法(Community Care(Direct Payment)1996)で促進され、2003年には義務化されている。

c)ジョブセンタープラス

1909年に議案、職業紹介所設置法(Labour Exchange Bill)により形づくられ、1911年国民保険法(National Insurance Act 1911)により建設業やエンジニア、造船業といった限られた職業を対象に疾病や失業に対して補償するシステムがつくられた。1946年国民援助法により、その補償システムは全職業を対象に広げられた。2002年4月1日より、雇用サービスと給付金事務局が合併し、正式に労働・年金省(Department of Work and Pension)の執行機関として位置づけられた。

B.子供向けサービスについて

18歳未満の者に対してのケアサービスについては、中央政府が決めた適性基準はなく、地方自治体は1989年児童法(Children Act 1989)に基づいて独自のサービスとそれに対する適性基準を作成することが求められている。

児童法では、特別なニーズを持った子供のための、適切なサービスとアドバイスの提供、必要な住居の提供、障害のインパクトを最小限に収めるためのサービスの提供、虐待の防止、非行防止、ファミリーセンター3)の設置を義務づけている。

(4)運営主体

主に医療を提供するNHS(国民保健サービス)と福祉を提供する社会サービス(ソーシャルケア)は保健省(Department of Health)が管轄し、それぞれの業務執行機関は、NHSはNHS執行部(NHS Executive,保健省の一部署)に、社会サービス(ソーシャルケア)は地方自治体の社会サービス部に置かれている。また給付金や就労援助を提供するジョブセンタープラスは、労働・年金省(Department for Work and Pension)により管轄・運営されている。

(5)制度の体系・相互の位置づけ

前述の「(2)要介護者の定義、範囲、区分(制度別)」と「(3)制度の名称、根拠法」を参照。

(6)加入対象者、加入者数

NHS(国民保健サービス)、社会サービス(ソーシャルケア)、ジョブセンタープラスともに加入する必要はない。イギリス(UK)国内の住民であれば利用できる。

(7)給付内容

A.NHSから提供されるサービス

NHS(国民保健サービス)が提供するサービスには、プライマリケア(Primary Care)、二次的ケア(Secondary Care)、中間ケア(Intermediate Care)、継続するケア(Continuing Care)、統合ケア(Integrated Care)などがある。

これらには、医師による医療、薬剤サービス、地域の看護師等による保健サービス(訪問看護など)が含まれる。

a)プライマリケア(Primary Care)

地域に基盤を置いたケアを指し、人々が最初に受けることができるケアサービスであり、かかりつけ医(General Practitioner;GP)4)や歯科医、看護師、他の専門家たちなどが担当する。

プライマリケアによる主なサービスは図表2の通り。

図表2 プライマリケアに含まれるサービス

サービス 内容
診療所によるサービス 健康に関連する問題についてアドバイス、予防注射の接種、検査・治療、薬の処方や他の医療機関や自治体の社会サービス部への紹介などを行っている。
訪問看護サービス 自宅等で看護師による医療サービスを必要としている人を対象に提供される。サービス内容は、包帯の交換、注射、医療機器(吸入器、注射器やインシュリン値測定器具、褥瘡防止クッションなど)の提供・使用指導など。訪問看護は、診療所や病院、自治体の社会サービス部と密接に連携し、病院から退院した後のフォローアップなども行っている。

出典;Turner,A.Foster,M.Johnson,S.2002.Occupational Therapy and Physical Dysfunction:Principles,Skills and Practice.p.216.、Primary care
http://www.dh.gov.uk/en/Healthcare/Primarycare/DH_288をもとに作成。

b)二次的ケア(Secondary Care)

主に、病院を基盤としたケア(入院治療)、または理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、栄養士、手術担当医、義肢装具士、放射線技師、などを含む専門家によるケアのことを指す。二次的ケアを利用するためには、かかりつけ医(GP)や救急外来(Accident and EmergencyDepartment)からの紹介状などが必要である。手術や移植、放射線治療、リハビリテーションなどが行われている。具体的なサービスは図表3の通り。

図表3 二次的ケアに含まれるサービス

サービス 内容
作業療法 身体もしくは精神的問題、健康・医療に関連する問題や知的障害を持った人たちが日常生活をより円滑に送れるように、日常生活や仕事に関連するアドバイスを提供したり、リハビリテーションを行ったり、日常生活活動を別の方法で実施できるかどうかを検討したり、他の専門家に紹介したりするなどして援助する。家屋の改造や福祉機器の提供なども行う。
理学療法 心肺機能、痛みなど身体的困難により生じた問題の解決を図る。理学療法士は対象者の移動能力を改善、より自立した生活が送れるように援助する。
言語療法 知的障害、脳血管障害、頭部外傷、神経学的障害などによる、言語・発話に問題のある人を対象に援助している。また摂食や嚥下に問題がある人への治療も行っている。
難聴のためのサービス 補聴器を無期限・無料で貸し出しをしている。また、補聴器の維持・管理も無料で行われている。
視覚に関するサービス 検眼士などが視力テストを行い、コンタクトレンズや眼鏡を調整する。また検眼士が眼病などを見つけた場合は、他の機関への紹介を行っている。
皮膚科でのサービス がん治療や脱毛症の結果、頭髪を失った人に対してかつらや布の処方を行っている。
技師装具のサービス 人工の四肢や、体の一部をコントロールしたりするスプリントを提供している。リハビリテーションのアドバイスも行っている。

出典;Secondary care
http://www.dh.gov.uk/en/Healthcare/Secondarycare/index.htmをもとに作成。

c)中間ケア(Intermediate Care)

プライマリケアのみのサポートでは不十分であるが、二次的ケアの必要性が認められない人のために、一時的に治療やリハビリテーションなどを提供する。

中間ケアチームは看護師、理学療法士、作業療法士、薬剤師、地方自治体の社会サービス部から出張してきているケアマネジャー、リハビリテーションアシスタントなどの多職種から成り立つチームで、ケアプランに沿って患者さんの自宅等を訪問し、二次的ケアへの移行(入院治療)を防いだり、退院してきた患者さんがスムーズに元の生活に戻れるように援助をしたりする。

このサービスは最長6週間を目処に提供されるが、1~2週間で終了する人もいれば、骨折がなかなか治癒しないなどの理由で6週間以上提供される場合もある。

d)継続するケア(Continuing Care)

病の急性期とリハビリテーションの時期を過ぎた(つまり慢性期の)患者さんのために提供されるケアのことである。一般的に病院以外でも継続される医療サービスを指すもので、病院のほか、ケアホーム、もしくは患者さんの自宅など、適切でさえあれば施設を問わず提供される。

この「継続するケア」を受けるための基準は、対象者が「連続して、もしくは頻繁に医療または専門分野を担当する看護師の介入を必要としている」ことである。NHSの多職種チームのスタッフが、行動面、認知面、心理的ニーズ、コミュニケーション、移動能力、摂食状態、排泄、皮膚の状態、呼吸、薬物療法、意識状態、その他のケアニーズについて評価する。このサービスには、図表4の2種類がある。

図表4 継続するケアによるサービス

サービス 内容
継続する保健ケア
(Continuing Health Care)
NHS単独により準備、提供、出資される医療ケアサービスのことである。提供される場所は問わず、例えば、もし対象者が看護付きケアホーム5)に入居している場合はその入居費と看護費を、もし対象者が24時間在宅介護を利用している場合はその費用をNHSが支払うことになる。
NHSが助成する(ケアホームにおける)看護サービス
(NHS Funded Nursing Care)
2001年10月より始まったシステムである。看護付きケアホームの利用料は生活型ケアホームの利用料に看護(医療)の利用料を加えたものだが、NHS所属の登録看護師によって看護ケアを必要としていると認定されると、ケアホームの費用のうち、看護費はNHSにより支払われることになる(NHS FundedNursing Care = NHS出資の看護ケア)。給付金は一律週当たり103.80ポンド(2008年4月)6)で、NHSからケアホームに直接支払われる。

出典;NHS Funded Nursing Care in Nursing Homes What it means for you
http://www1.dorsetforyou.com/caring/Leaflets.nsf/-/468A56C4303DAFE680256B1300387F07/$FILE/NHS%20Funded%20Nursing%20Care%20in%20Nursing%20Homes%20-%20What%20it%20means%20for%20you.pdf

e)その他

前述のほか、以下のサービスがNHSより提供される。

  • 緊急時の医療対応(Emergency Care)
  • 薬の処方
  • 妊娠・出産の援助
2006-07年NHS予算は843億8,300万ポンドで、内訳は税金が76.2%、国民保険からの収入が18.4%、基本的収入(Capital Receipts)が0.2%、患者の自己負担が2.6%、利子などの収入が2.6%であった。2008-09年予算は国から925億ポンドである。

出典;Department of Health Departmental Report 2006 Chapter3 P41
http://www.dh.gov.uk/en/Publicationsandstatistics/Publications/AnnualReports/DH_4134613
Budget 2008 Stability and opportunity: building a strong, sustainable future
http://www.hm-treasury.gov.uk/d/bud08_corrections.pdf

B.自治体の社会サービス部から提供されるサービス

中央政府は基準や法律は提供するが、具体的な組織づくりや提供されるサービスは地方自治体に決定権がゆだねられているため、サービス内容は地方自治体で異なる。そこでドーセット・カウンティカウンシルの例を以下に記す。

ドーセット・カウンティカウンシルの社会サービス部は、18歳以上の成人を対象とした社会サービス(ソーシャルケア)を扱う「アダルト&コミュニティサービス(Adult andCommunity Services)」と、18歳未満を対象とした社会サービスを扱う「チルドレンズサービス(Children’s Services)に分かれる。

アダルト&コミュニティサービスでは成人のための健康やケアに関するサービス、商業基準(Trading Standards)、図書館の管理や成人のための学習の機会などの提供を行い、チルドレンズサービスでは学校の運営や、チャイルドケア、子供の保護、子供の養子縁組、障害や非行の問題がある子供のサポートなどを行う。

a)在宅サービスについて

図表5図表6に、ドーセット・カウンティカウンシルの社会サービス部により提供される在宅サービスを記す。対象者については、基本的に要介護高齢者と障害者(若年)の区別はない。

図表5 在宅介護で提供される主なサービス(要介護者向け)

サービス 内容 対象
訪問介護 利用者の健康、衛生、安全性を保つために、起床・就寝の援助、清潔の維持、衣類の着脱、食べ物の準備、トイレに行くことなどの介助が行われる。家事や買い物は対象ではない。 ケアサービスへの公正なアクセス(FACS)の「緊急(Critical)と「重度(Substantial)」のニーズを持つ人。
福祉機器の貸し出し 福祉機器の貸し出し福祉機器(室内トイレ、褥瘡防止マットレス・クッション、多機能ベッドなど)が無料で貸し出しされる。貸与される機器については、作業療法士の評価によって決定される。 FACSの「緊急」と「重度」のニーズを持つ人。
作業療法(住宅改修を含む) できるだけ自立して生活できるように、問題解決などが図られる。作業療法士は、トイレの移乗動作、ベッドからの起居動作、衣類の着脱、階段の使用、摂食動作、家への出入り、家の中の移動、入浴動作などの援助・指導を行う(住宅改修、福祉機器の提供を含む)。また、理学療法士や登録かかりつけ医等と協業することも含まれる。 FACSの「緊急」と「重度」のニーズを持つ人。障害者である場合が多い。なお、適正基準に見合えば、手すりなどの小さな改造(1,000ポンド以下)は無料となる。
家屋改善エージェンシー 高齢者や障害のある住宅所有者や賃借人に対して、家屋の修繕や改造に関してアドバイスやサポートを提供する。また必要な家屋改造のための資金が足りないときなどに、チャリティー団体からの援助を取り付けたりなどもする。 地方自治体やボランティア団体などの協力により成り立っているもので、FACSにある適正基準は適用せず、希望すればサービスを受けられる。
給食宅配サービス(Meals on Wheels) 1日に1回、冷凍食品を地域のコミュニティーセンター等で温めたものを自宅に配送するという過程をとっている。より自立した人には冷凍食品をそのまま宅配し、利用者が自宅で温めるというケースもある。食事の宅配サービスのほとんどはWoman’s Royal VoluntaryServiceというボランティア団体により提供され、ドーセットでは年間およそ300人の利用者に45,000食を宅配している。 FACSの「緊急」と「重度」のニーズを持ち、高齢のため、もしくは障害のために、自分で食事を準備できない人。
コミュニティーアラームシステム(緊急通報) 一般的によく知られているのが緊急時連絡用ボタンで、利用者はボタンを押すことで助けをより早く呼ぶことができる。また、例えば煙やガス漏れなどを探知したり、薬を飲むように促したりもする。このシステムは24時間のオペレーターシステムにつながっている。 FACSの「緊急」と「重度」のニーズを持つ人。
コミュニティでの移動 公共交通機関をより簡単に利用できるようにする。地域によって利用できる交通手段の詳細は異なり、自宅の前で停まるバスや、僻地に住む人々のためのボランティアによる車の提供体制など、様々である。 移動能力が障害された人。
ナショナルバスパス 割引金額で利用できるバスチケットのこと。バスパスは地方自治体で申請できる。 イギリス国内に住んでおり、60歳以上、もしくは全盲、部分的に視覚が欠損している、聴覚障害がある、発話障害がある、歩行能力が重大で長期にわたり障害されている、腕がない、両腕の機能が長期にわたり障害されている、知的障害がある、薬物やアルコール類の誤使用を省く身体的障害のために運転免許の発行を拒否されることがあげられている。
直接支払い(Direct Payments) 地方自治体から利用者の銀行口座などに直接お金が振り込まれるシステム。地方自治体から介護サービスを受けるのではなく現金給付を受け、自分で介護サービスを購入する。このシステムを利用することで、自由に民間の介護エージェンシーと契約できる。 16歳以上で、この金銭の支払い方法に同意でき、金銭管理のできる者。地方自治体によっては、16歳以上の障害を持つ子供の養育者も含むとしている場合がある。

出典;Health and social care(Dorse)
http://www.dorsetforyou.com/index.jsp?articleid=385020)をもとに作成。

図表6 介護者に関連するサービス

サービス 内容 対象
介護者のためのサポートグループと組織 成人の介護者と、介護者の相互援助グループをサポートするためのチャリティー団体があり、ヘルプラインの設置や、秘密厳守のうえでの相談、介護に関する情報や介護の訓練の機会の提供、介護者のための休息時間の提供、他の組織への紹介などを行っている。 ドーセット・カウンティカウンシルに納税している介護者。このサポートグループを通してシッティングサービス7)を利用することができるが、その場合は、納税している介護者で18歳以上の者を対象としている。
成人介護者に対するサポート 社会サービス部が評価を実施し、その評価に基づいて、介護者のための休息期間の提供につなげたり、介護者のためのサポートグループを紹介したりする。 介護者は、週に15時間以上の定期的でかつ重要な介護を提供する人を指し、介護される側にとって在宅生活を維持するために欠かすことのできない者でなければならない。介護はボランティアとして提供されていることが基本である。
介護者のための休息期間の提供 介護者が数時間のシッティングサービスを利用することができる。また、要介護者がデイケアに通うことで、介護者に休息期間を提供する方法もある。必要であれば、デイケアに通うための移動手段(車の手配)も提供される。
さらに長い休息が必要な介護者のためには要介護者が生活型ケアホームや看護付きケアホームなどでショートステイを利用する方法もある。ショートステイは、ケアアシスタントが自宅に来て“住む”ことにより、介護者に代わって介護を提供する場合もある。
FACSの「緊急」と「重度」のニーズに見合い、さらに介護者(機会均等)法(Carers(Equal Opportunity)Act2004)に基づいて、介護者が仕事を続けることや介護者としての訓練に参加することを希望しているかどうか、介護者の健康と安寧が満たされているかどうか、介護者がレジャーのための時間を妥当に有しているかどうかを検討したうえで決定される。
若年介護者のためのサポート 若年介護者(18歳未満)のために、グループでのレクリエーション、カウンセリング、アドバイスなどを提供している。 若年介護者とは、家事や身辺処理などの実質的な援助をすることを求められていたり、医療的な援助、例えば、薬を管理したり、移乗を援助したり、要介護者を精神的にサポートしたりすることを行っている者である。
障害のある子供に対する支援 ピアカウンセリングなどのサポートグループの提供や、必要に応じてショートステイなどのサービスを提供する。 障害のある子供の養育者。

出典;Health and social care (Dorset)
http://www.dorsetforyou.com/index.jsp?articleid=385020
Respite Care
http://www.nhs.uk/Conditions/Respite-care/Pages/How-it-is-performed.aspx?url=Pages/What-is-it.aspx
Young Carers Projects
http://www.youngcarers.net/who_can_help_me/86/92 をもとに作成。

b)施設サービスについて

ケアホームには、生活型ケアホーム(Residential Care Home)と看護付きケアホーム(Residential Home with Nursing Care)の2種類があり、ドーセット・カウンティカウンシルは、この両方を運営している。加えて、ケアや設備の質が一定の基準を満たした民間により運営されているケアホームと契約を結び、身体障害、知的障害、精神疾患もしくは薬物・アルコール依存の問題を抱えた人にサービスを提供している。対象者はケアホームに入居する前に慎重に評価され、ケアプランが作成されなければならない。

生活型ケアホームに入居する前には、まず、対象者がNHSにより提供される「継続する保健ケア」の適正基準に見合うかどうか検討することが推奨されている。生活型ケアホームでは食事とパーソナルケア(例えば、清潔保持やトイレの利用、就寝の準備など)に対する援助が行われ、看護付きケアホームでは、食事とパーソナルケアの援助に加えて、所属の看護師より医療を受けることができるようになっている。ケアホームに生活主体を移すことが必要かどうかの評価を受けるためには、地方自治体に申請をする。

利用者は入居6週間後にケアマネジャーからの再評価を受け、状況の確認が行われる。その後は1年ごとに再評価が実施され、ニーズの確認が行われる8)

c)精神障害者へのサービスについて

サービス提供に、精神・身体の線引きはない。

d)その他のサービスについて

登録してあるソーシャルワーカーが地域の警察と協業して、例えば虐待されている弱い立場にある成人(18歳以上の成人)を保護する。対象者は、障害や疾病のために、地域ケアの必要がある人、自己ケアの困難な人、または自己を著しい危険にさらしてしまう人などを含む。

地方自治体の社会サービス部の財源は、国、地方交付税と利用者負担からなる。利用者負担はおよそ20億ポンドで、予算の14%を占める。予算の使い方は地方自治体に任されており、2005-06年の社会サービス部の総予算は137億ポンドであった。

出典;Funding Department of Health
http://www.dh.gov.uk/en/SocialCare/Funding/index.htm

C.ジョブセンタープラスで提供されるサービス

ジョブセンタープラスは、労働年齢にある人々を福祉援助から就労へ移行させること、また企業の欠員を埋めるなどの援助を行っている、労働・年金省(Department of Work andPension)の執行機関である。

a)給付金に関するサービス

ジョブセンタープラスでは、失業者、低所得者、子育て中の者、退職者へのサポートのほか、介護者や疾病や障害を持つ人に対してのサポートも行っている。

年金に関しては、退職を計画している人、すでに退職した人、雇用主、年金提供者・アドバイザーに対してサービスを提供している。また子育て中の養育者、障害を持った人や介護者に対しても給付金に対するアドバイスを行っている。

具体的なサービスは、以下の通り。

【年金給付】

現在、男性で65歳、女性で60歳以上を対象に年金の給付が行われている。1950~1955年の間に生まれた女性の年金給付時期は2010年より65歳に引き上げられ、2024~2046年の間には、年金給付の年齢が男女ともに68歳に引き上げられる予定である。基本の国民年金は現在のところ、週当たり90.70ポンドである。

労働・年金省からグレートブリテンGreat Britain(北アイルランドを除いた連合王国)を対象とした2007-08年経費は489億400万ポンドで、2008-09年には500億500万ポンドが計上されている。

出典;Table 4:Benefit expenditure,Great Britain,1991/92 to 2010/11(real terms,2008/09 prices)(1-4,18)
http://www.dwp.gov.uk/asd/asd4/Alltables_PBR2008_rounded.xls?x=1

【年金保障】

男女とも60歳以上、低所得者を対象に支払われる給付金。

【暖房対策スキーム(Warm Front Scheme)】

ある一定の給付金を受給している人に対して支払われる、家屋の暖房対策に対する給付金。

【寒冷手当(Cold Weather Payment)】

低所得者で、気温が氷点下の日が7日以上続いた地域に住んでいる人を対象に、25ポンドが支払われる。気温についての情報は地方気象台で得られる。

【冬季燃料手当(Winter Fuel Payment)】

60歳以上を対象に冬にかかる燃料に対する補助金制度。

労働・年金省からグレートブリテンを対象とした2007-08年経費は21億3,800万ポンド、2008-09年予算は26億6,800万ポンドである。

出典;Table 4:Benefit expenditure,Great Britain,1991/92 to 2010/11(real terms,2008/09 prices)(1-4,18)
http://www.dwp.gov.uk/asd/asd4/Alltables_PBR2008_rounded.xls?x=1

【戦傷病者年金受給者のための医療費(War Pensioners)】

戦傷病者年金受給者で、軍隊での勤務が原因で障害を負った場合、戦傷病者福利厚生サービスがアドバイスを提供、また医療費にかかる金額への援助を提供することがある。

【地域ケア手当(Community Care Grants)】

対象は、低所得者や失業者のための補助金を得ている人、もしくは給付金の受給を6週間以内に始めるだろうと思われる人のうち、これまで住んでいたケアホームや施設を引越し、新たに自立した生活を始めようとしている人、地方自治体やボランティア団体の援助を受けながら新しい家に入居しようとしている人、病院やケアホームに行かずに自宅で生活を営もうとしている人、病気や家族関係などにより家族崩壊をきたす恐れがあるために援助を必要としている人、障害や疾病を抱えた人や刑務所などから一時釈放になった人の面倒をみている人、他者を訪ねていく、例えば親類の葬式などに出席するためなどの費用を必要としている人、に対して補助金が出される。

補助金の金額は個人の状況により異なる。貯金が単身で500ポンド以上ある場合などは、補助金は全額支払われないことがある。

【就労不能給付(Incapacity Benefit;IB)】

年金受給年齢未満の、仕事に就くことができない人を対象に支払われる補助金。所得・資産審査(Means Test)は必要とされていない。就労不能給付は2008年10月以降、新たに申請できなくなった。

労働・年金省からグレートブリテンを対象とした2007-08年経費は68億700万ポンド、2008-09年予算は63億4,100万ポンドである。

出典;Table 2:Benefit expenditure by Departmental Strategic Objective,Great Britain 1991/92 to 2010/11(real terms,2008/09 prices)(1-4,18)
http://www.dwp.gov.uk/asd/asd4/Alltables_PBR2008_rounded.xls?x=1

【雇用および生活補助手当(Employment and Support Allowance)】

2008年10月27日より始まった新しい給付金制度で、就労不能給付に代替するものである。以前より就労不能給付を受給していた者は適性に見合う限りそれを継続する。

対象者は法定の傷病手当が終了し、それを再度受け取ることができない者、自営業もしくは失業中、法定の妊産婦手当を受けていたが、疾病や障害のために仕事に復帰できていない者で年金受給年齢以下にある者のうち、4日以上連続して疾病や障害が働く能力に影響を及ぼしている、連続した7日のうち2日もしくはそれ以上働くことができない、特別な治療を受けている者が対象である。16歳~20歳の間である場合、疾病や障害のために少なくとも28週にわたり仕事ができないでいるなどの場合に対象とされる。

この給付金を受給している人は、担当アドバイザー(Personal Adviser)との仕事に焦点を当てた面接(Work-Focused-Interviews)などを通して、仕事に復帰することが求められている。疾病や障害のために労働する能力が阻害されている場合は、仕事に復帰することは求められず、より多くの金銭的援助がなされる。なお、就労は無理と判断された場合でも、受給者はボランティア活動に参加することができる。

この給付金は非課税である。労働・年金省からグレートブリテンを対象とした2008-09年予算は1億9,900万ポンド、所得別支給(Income-Based)の場合は2億2,400万ポンドである。

出典;Table 4:Benefit expenditure,Great Britain,1991/92 to 2010/11(real terms,2008/09 prices)(1-4,18)
http://www.dwp.gov.uk/asd/asd4/Alltables_PBR2008_rounded.xls?x=1

【求職者手当(Jobseeker’s Allowance)】

就労していない人のための主となる給付金である。もし、利用者が就労していないか16時間以下の就労の場合、この対象となることがある。この対象となるには仕事をする能力があること、仕事ができる状態にあること、年金受給の年齢未満であることである。求職者手当は、国民保険制度(National Insurance Scheme)9)の支払いをしたことがある人が受給する利用者負担に基づく求職者手当(Contribution-Based Jobseeker’s Allowance)と、国民保険制度の支払いをしたことがない人で、利用者の収入と貯蓄を基準として給付される所得に基づく求職者手当(Income-Based Jobseeker’s Allowance)に分かれている。

労働・年金省からグレートブリテンを対象とした国民保険制度利用者のための求職者手当(Contribution based)の場合、2007-08年経費は4億3,400万ポンド、2008-09年予算は5億6,400万ポンド、所得に基づく求職者手当(Income based)の場合、2007-08年経費は18億4,800万ポンド、2008-09年予算は20億6,700万ポンドである。

出典;Table 4:Benefit expenditure,Great Britain,1991/92 to 2010/11(real terms,2008/09 prices)(1-4,18)
http://www.dwp.gov.uk/asd/asd4/Alltables_PBR2008_rounded.xls?x=1

【所得補助(Income Support)】

これは低所得者に対するサポートである。所得・資産調査が行われる。

「失業者」としての登録をせずに受けられる補助金で、対象者が病気や障害を持っている場合、12歳以下の子供の養育をする必要のあるひとり親、介護者や登録視覚障害者のうち、16歳~59歳の低所得者、週に16時間以下の労働時間で、フルタイムの学生ではなく、求職者手当を受け取っておらず、貯蓄が16,000ポンド未満の、国内在住の者が対象である(図表7参照)。

労働・年金省からグレートブリテンを対象とした2007-08年経費は60歳以下対象の所得補助は90億7,900万ポンド、2008-09年予算は80億3,200万ポンドである。60歳以上については、他の統計に包含されていて内訳が不明なため、明らかでない。

出典;Table 4:Benefit expenditure,Great Britain,1991/92 to 2010/11(real terms,2008/09 prices)(1-4,18)
http://www.dwp.gov.uk/asd/asd4/Alltables_PBR2008_rounded.xls?x=1

【テレビ権】

75歳以上の人に対してはテレビ権の支払い義務が免除される。また、ケアホームに住んでいる場合や、利用者が視覚障害者である場合は、割引される。視覚障害者としての登録書のコピーをテレビ権を取り扱う機関に送ると半額に割引される。

労働・年金省からグレートブリテンを対象とした2007-08年経費は5億2,600万ポンド、2008-09年予算は5億2,800万ポンドである。

出典;Table 2:Benefit expenditure by Departmental Strategic Objective,Great Britain 1991/92 to 2010/11(real terms,2008/09 prices)(1-4,18)
http://www.dwp.gov.uk/asd/asd4/Alltables_PBR2008_rounded.xls?x=1

図表7 所得補助の週当たりのレート 単位:ポンド

基礎控除(Personal Allowances)
単身者(Single Person) 25歳未満 47.95
25歳以上 60.50
ひとり親(Lone Parent) 18歳未満 47.95
18歳以上 60.50
カップル(Couple) 2人とも18歳以上 94.95
加算(Premiums)
年金受給者加算(Pensioner Premium) カップル 94.40
障害加算(Disability Premium) 単身者 25.85
カップル 36.85
追加障害加算(Enhanced Disability Premium) 単身者 12.60
カップル 18.15
重度障害加算(Severe Disability Premium) 単身者 50.35
カップル(1人が対象者) 50.35
カップル(2人とも対象者) 100.70
介護者加算(Carer's Premium)   27.75

出典;Disability alliance.Disability Rights Handbook.33th edition.April 2008 - April 2009.,2008,をもとに作成。

b)就労に関するプログラムやサービス

ジョブセンタープラスが提供する就労に関するプログラムやサービスは、次のようなものがある。

【就労支援(Pathway to Work)】

低所得に関する給付金を受け取っている人を対象とした、仕事に復帰するための援助。

2007-08年経費は6,950万ポンドであった。

出典;Responsibilities for Contracted Employment Provision
http://www.dwp.gov.uk/publications/dwp/2008/res_acc/contracted-employment.pdf

【雇用ゾーン(Employment Zone)】

長期間にわたり失業状態にある、ある一定の地域に住む人々が仕事に復帰できるよう援助するサービスである。対象は25歳以上の過去21ヶ月中18ヶ月の間求職者手当を受給している者、18歳~24歳で求職者手当を6ヶ月以上受給し若年層のためのニューディール(NewDeal for Young People)を利用したことのある者、過去12ヶ月の間に雇用ゾーンを利用したが最後まで修了せずに終わった者、が対象になる。

【薬物依存者に対する支援(Progress2work)】

薬物の誤使用から回復しつつある人を対象とし、仕事を見つけたり、復職したりすることをサポートする。また住居や借金に関連する問題の解決の援助も行う。

【就労準備プログラム(Work Preparation Programme)】

失業や疾病が理由で長期間働いていない人を対象とするサービスである。どんな職種が合っているかを明らかにしたり、就労経験を積んだり、新しい知識・技能を身に付けたり、自信を回復させたりすることを目的としている。期間は6週~13週である。

2007-08年経費は1,070万ポンドであった。

出典;Responsibilities for Contracted Employment Provision
http://www.dwp.gov.uk/publications/dwp/2008/res_acc/contracted-employment.pdf

(8)障害者のみの付加給付

A.NHSから提供される障害者のみのサービス

NHS(国民保健サービス)の利用者は「障害者」として分類されるのではなく、症状や疾患により分類されため、「障害者のみを対象」という分類によるサービスは行われていない。しかし、車椅子があてはまると考えられるため、以下に記す。

【車椅子の提供】

車椅子クリニックにて、手動もしくは電動の、室内用、屋外用、両用の車椅子が提供される。提供の基準は、車椅子を頻繁に使用する必要がある、車椅子を長期間にわたり使用する必要がある、など。

B.自治体の社会サービス部から提供される障害者のみのサービス

ドーセット・カウンティカウンシルでは、障害を持つ子供の養育者への援助の提供、障害を持つ人のための駐車場の確保や福祉機器の処方、知的障害者へのサポート、特別なニーズを持つ子供たちへのサポート、視聴覚障害者へのサービスを提供している。

図表8に障害者に関する主なサービスを、図表9に家屋改造費用の目安を記す。

図表8 障害者に関する主なサービス

サービス 内容 対象
障害者用の駐車場の利用 全国で共通して展開されており、重度に歩行が困難な人が運転手もしくは同乗者として車を利用したときに、駐車場を無料、もしくは割引料金で利用できる。地方自治体に連絡をして申請する。 どの地域でも、ブルーバッジ(Blue Badge)10)が必要。
ステッピングストーン ドーセット内に住む人に、週16時間以下の就労につながる機会の提供を目的としており、趣味やレジャーの提供はこの限りにない。ドーセット・カウンティカウンシルでは2つの喫茶店を運営しており、ここで実際の就労訓練を行っている。また、ジョブコーチと呼ばれるスタッフが、1対1で大学や職場での必要な援助、通勤・通学方法の練習などを短期間、提供する。 知的障害、身体障害、感覚障害、精神障害のある人で、16歳以上、男性で65歳以下、女性で60歳以下の知的障害を持つ人。
ワークステップ 民間の企業において週16時間以上の就労機会の提供を目的とし、就労援助担当者(Vocational Services Officers)と呼ばれるスタッフが民間と利用者の橋渡しを行っている。また、ジョブコーチはステッピングストーンと同様の役割をワークステップでも担っている。 障害者差別禁止法の障害者の定義に当てはまる人のうち、ある一定の給付金を受給している者。
知的障害者のためのデイセンター 日中時間帯のサービスとしてリソースセンターでは、個人のニーズを満たす、実際的な生活スキルを学ぶ、スポーツやレジャーなどのサービスを提供している。 FACS(ケアサービスへの公正なアクセス)の「緊急」と「重度」のニーズを持つ知的障害者。
学習するうえで特別なニーズを持つ子供たちのために 就学前は学習サポートシステムがあり、必要に応じて養育者と専門家(言語療法士、心理療法士、理学療法士など)は協業で子供のニーズを満たすためのプランを立てる。就学後は、専門の教育を受けた先生が子供のニーズに合うように教えていく。また、13歳~19歳の若年者のためにコネクションサービス(Connexions Service)というシステムがあり、軽度発達障害(SEN)を持った人たちが社会に出るための準備の援助をする。より難しい問題を抱えた子供は必要に応じて地方自治体が交通手段を準備し、特別学校へ通うことになる。 知的障害者、視覚障害者など、学習するうえで特別なニーズを持つ子供たち。
成人プレイスメントスキーム 里親制度に似たものであるが、異なる点は、利用者が子供ではなく、成人(18歳以上)であること。プレイスメント提供者が1人~3人の利用者に対して必要とされる介護やサポートを提供し、利用者は普通の自立した生活を提供者と共有することができる。 知的障害者(利用者の70%を占める)、薬物・アルコール依存者など、さまざま。
障害者施設補助金 障害を持った人が在宅にて、より自立した生活を送ることができるように設備・施設を改修(家屋改造)するときに支払われる。1,000~30,000ポンドまでの家屋改造に対して補助金を出す制度で、30,000ポンドを超えた金額については、原則としてチャリティー団体などから援助を受けなければならない。 障害者として登録しているか、登録できること。ドーセット・カウンティカウンシルの適正基準は、FACSの「緊急」と「重度」のニーズを持つ場合である。作業療法士による評価に基づいて補助金担当者が審査し、資産審査も行われる(対象が19歳以下の場合、資産審査は行われない)。

出典;Health and social care(Dorset)
http://www.dorsetforyou.com/index.jsp?articleid=385020
Vocational Services Workstep - Helping people with disabilities into work
http://www1.dorsetforyou.com/CARING/Leaflets.nsf/-/F7F5860DC68524E5802573F60031DDA9/$FILE/Workstep%20-%20Helping%20people%20with%20disabilities%20into%20work.pdf
Disabled Facilities Grants ・introduction
http://www.direct.gov.uk/en/DisabledPeople/HomeAndHousingOptions/YourHome/DG_4000642をもとに作成。

図表9 頻繁に用いられる家屋改造の費用

種目 見積もりの原価の幅 平均金額
階段昇降機(直線) £1,500-£3,000 £1,965
1 階トイレ £947-£12,500 £4,068
段差のないシャワー £2,401-£7,000 £4,143
床の持ち上げ £4,500-£12,000 £8,965
1 階建ての、天井固定のホイストにシャワールームとトイレを敷設したダブルベッド用の部屋を増築した場合 £20,000-£50,000 £31,855

出典;Reviewing the grant programme P27
http://www.communities.gov.uk/documents/housing/pdf/138553.pdf

障害者施設補助金(Disabled Facilities Grants)について

2009年経費は国から1億5,600万ポンドが自治体に給付されている。この給付金の利用の際、地方自治体は、その費用のうち40%を自治体の費用から出さなければならないというルールがあるが、ある自治体は時に40%以上を出資するなどしており、国全体で家屋改造のために一体いくらの金額が費やされたかを知ることはかなり困難だとのことである。一件にかかる費用の平均はおよそ6,000ポンドである。

出典;調査員が出席したトレーニングコース「Occupational Therapy - Learning Event - Adapting the Environment」より

C.ジョブセンター・プラスから提供される障害者のみのサービス

a)給付金について

【障害者生活手当(Disability Living Allowance)】

このサービスは、「ケア要素」と「移動要素」に分かれている。

「ケア要素」は、病や障害があるために自己管理に他者からの何らかの援助が必要な65歳以下の人が対象。例えば、清潔の維持、衣類の着脱、摂食、排泄、もしくはコミュニケーションについて援助を必要としている人、他者からの監督がなければ自己または他者を危険に陥れてしまう可能性のある人、人工透析中に他者の付き添いを必要としている人、16歳以上で、食材があっても料理ができない人を対象としている。

「ケア要素」の評価は3段階に分かれており、低レートは週当たり17.75ポンドで、日常生活において監督を必要としている人、または料理ができない人、中レートは週当たり44.85ポンドで、日中において頻繁に自己管理について援助を必要としているか夜間のみ監督を必要としている人、もしくは人工透析の際に他者が付き添うことを必要としている人、高レートは67.00ポンドで、昼夜を通して援助や監督が必要な人を対象としている。

この給付金は、受給者に特に介護者が雇われていない場合や、一人暮らしの場合でも支払われる。

「移動要素」は、歩行が不可能もしくは事実上不可能な人、両足もしくは両下肢が欠損している人、100%視力欠損し80%以上聴力が障害されていると評価され外出の際に他者からの援助を必要としている人、重度の行動障害があり上記「ケア要素」の高レートを受給している重度の精神障害を持った人、歩行することが生命に影響を及ぼしたり健康に重篤な障害をもたらす人、見知らぬ土地を歩くのに他者からの監督を必要としている人を対象としている。

「移動要素」の評価は2段階に分かれており、低レートは週当たり17.75ポンドで、外を歩く際に他者からの監督を必要としている人、高レートは46.75ポンドで、より重度な歩行障害を持った人を対象としている。

利用者は「ケア要素」と「移動要素」のうち、どちらかのみを受給している場合もあれば、両方を受給している場合もある。

子供の「移動要素」受給の判断は、3歳の時点で歩行不能もしくは事実上歩行不能な場合、3歳の時点で100%視覚障害および80%以上聴覚障害があると評価された場合、子供が3歳の時点で重度の行動障害があり「ケア要素」の高レートを受給している重度の精神障害を持っている場合、5歳の時点で屋外を歩行するのにガイドや監督を必要としている場合に基づく。

申請者がこの給付金の適性に見合うかどうかは、ジョブセンタープラスに送られてきた申請書類を査定人(decision-maker)が見て判断する。この際に決定者が医師による診断書が必要になると判断した場合は、申請者は医師による検診を受けて提出することになる。

労働・年金省からグレートブリテンを対象とした給付に関する2007-08年経費は101億7,500万ポンド、2008-09年予算は105億1,400万ポンドである。

出典;Table 4:Benefit expenditure,Great Britain,1991/92 to 2010/11(real terms,2008/09 prices)(1-4,18)
http://www.dwp.gov.uk/asd/asd4/Alltables_PBR2008_rounded.xls?x=1

【介助手当(Attendance Allowance)】

非課税の給付金で、65歳以上を対象としており、身体もしくは精神的障害のために自己管理に他者からの援助を必要としている人に支払われる。

介助手当は、身体的か精神的障害、もしくはその両方を持っている場合、障害が重度のため自己管理をするのに他者の援助を必要としている、申請をしたときが65歳以上である場合を対象としている。清潔の維持、衣類の着脱、摂食、排泄、もしくはコミュニケーションについて援助を必要としている人、他者からの監督がなければ自己または他者を危険に陥れてしまう可能性のある人、人工透析中に他者の付き添いを必要としている人などが対象となる。

介助手当の評価は2段階に分かれており、低レートは週当たり4.85ポンドで、日中において頻繁に自己管理について援助を必要としているか夜間のみ監督を必要としている人、もしくは人工透析の際に他者が付き添うことを必要としている人、高レートは週当たり67.00ポンドで、昼夜を通して援助や監督が必要な人を対象としている。給付問い合わせライン(BenefitsEnquiry Line)に連絡をすれば、申請できる。

介助手当は被介護者のために特別に介護者が雇われていなくても給付の対象となる。

申請者がこの給付金の適性に見合うかどうかは、障害者生活手当と同様、ジョブセンタープラスに送られてきた申請書類を査定人が見て判断する。この際に査定人が医師による診断書が必要になると判断した場合は、申請者は医師による検診を受けて提出することになる。

労働・年金省からグレートブリテンを対象とした給付に関する2007-08年経費は45億8,600万ポンド、2008-09年予算は47億3,900万ポンドである。

出典;Table 4:Benefit expenditure,Great Britain,1991/92 to 2010/11(real terms,2008/09 prices)(1-4,18)
http://www.dwp.gov.uk/asd/asd4/Alltables_PBR2008_rounded.xls?x=1

【介護者手当(Care’s Allowance)】

介護者のための課税対象の補助金。対象は、16歳以上の少なくとも週に35時間以上を障害者生活手当や介助手当などを受給中の人の介護に費やしている人である。週に21時間以上就学をしている人、もしくは週当たりの収入がある一定の控除後、95ポンドを超える人は対象外である。

週当たりの基本レートは55.05ポンドであるが、他の給付金や国民年金などがあると、この基本レートは全額支払われないことがある。課税対象のため、受け取った給付金に対して税金を支払う必要がある。受給の介護者に独立していない子供がいる場合は、基本レートよりもさらに支払われることがある。給付問い合わせライン(Benefit Enquiry Line)等に連絡をすると受けられる。

労働・年金省からグレートブリテンを対象とした2007-08年経費は13億1,000万ポンド、2008-09年予算は13億5,700万ポンドである。

出典;Table 4:Benefit expenditure,Great Britain,1991/92 to 2010/11(real terms,2008/09 prices)(1-4,18)
http://www.dwp.gov.uk/asd/asd4/Alltables_PBR2008_rounded.xls?x=1

b)就労支援について

【障害者のためのニューディール(New Deal for Disabled People)】

様々な組織からの職業仲介人(Job Brokers)のネットワークによりもたらされるプログラムで、職業仲介人が低所得や障害に関連した給付金を受給している人を対象に、利用者の状況や職業の好みなどを話し合いで決定しながら、就労を援助する。援助内容は、職業適性を明らかにしたり、履歴書の書き方を指導したり、面接の準備をしたり、職業訓練のニーズが明らかになれば、どうすればその訓練を受けられるかなどを援助し、対象者が就職して最初の6ヶ月までサポートをする。このプログラムは、実施している地域と実施していない地域とがある。

対象者は、就労不能給付(Incapacity Benefit)、重度障害者手当(Severe DisablementAllowance)、障害者割増(所得補助、住宅給付金または自治体税給付金/A DisabilityPremium(with Income Support,Housing Benefit or Council Tax Benefit))、障害者生活手当(Disability Living Allowance)、失業補助金(Unemployability Supplement)または就労不能国民保健控除(National Insurance Credit for incapacity for work)のいずれかを受給している者である。

2007-08年経費は7,480万ポンドである。

出典;Responsibilities for Contracted Employment Provision
http://www.dwp.gov.uk/publications/dwp/2008/res_acc/contracted-employment.pdf

【仕事へのアクセス(Access to Work)】

疾病や障害のために仕事をすることが困難になっている(例えば、車椅子を使用しているが、ドアが狭いため通り抜けられないなど)場合の、職場へ通いやすくするためのアドバイスと補助金によるサポートサービスである。

2007-08年経費は7,580万ポンドである。

出典;Responsibilities for Contracted Employment Provision
http://www.dwp.gov.uk/publications/dwp/2008/res_acc/contracted-employment.pdf

【職業紹介スキーム(Job Introduction Scheme)】

できるであろう仕事をするのに妨げになっている障害を持つ人に対する援助で、対象者の雇用主に、雇用が始まってからの最初の6週間、補助金を出すシステムである。

2008年に発表されたレポートでは、財源は100万ポンドである。

出典;Welfare Form Green Paper.P.14
http://www.afse.org.uk/events/2008/conference2008/docs/4B.ppt

【ワークステップ(WORK STEP)】

障害を持った人が就職したり、仕事を継続したりするための援助を提供する。仕事の技能の発展・向上を図ること、訓練とサポートを通して発展と進歩の機会を持つこと、必要なときに必要な支持と励ましの提供をする。

2007-08年経費は6,670万ポンドである。

出典;Responsibilities for Contracted Employment Provision
http://www.dwp.gov.uk/publications/dwp/2008/res_acc/contracted-employment.pdf

c)その他

【自立生活基金(Independent Living Funds)】

適性基準に見合う、イギリス(UK)国内に終身的に住む、重度の障害者を援助する非政府組織である。自立生活基金は、ケアホームへの入居費用ではなく、在宅介護者を雇う費用などを助成する。介護者は、同居する親戚・家族を含まない。

対象者は、少なくとも年間16,640ポンド(週当たり320ポンド)を自治体の社会サービス部から現金直接支払いで受け取っており、16歳以上64歳以下で、障害者生活手当のケア要素の高レートを受給している、貯蓄が22,250ポンドを超えない(家屋の価値を含まない。パートナーの貯蓄を含む)人を対象としている。自立生活基金は週あたり445ポンドを最高額として出資するが、自治体の社会サービス部および利用者負担額(Contribution)と自立生活基金の合計金額は、週当たり785ポンドを超えないものとする。

労働・年金省からグレートブリテンを対象とした2007-08年経費は3億1,100万ポンド、2008-09年予算は3億4,300万ポンドである。

出典;Table 2:Benefit expenditure by Departmental Strategic Objective,Great Britain 1991/92 to 2010/11(real terms,2008/09 prices)(1-4,18)
http://www.dwp.gov.uk/asd/asd4/Alltables_PBR2008_rounded.xls?x=1

D.チャリティー団体からのサービス

主なサービスとして、図表10のようなものがあげられる。

図表10 チャリティー団体からのサービス

団体名 サービス内容
Hearing Dogs for Deaf People 聴覚が重度に障害されている18歳以上で、かつ犬の世話をすることができる人にガイド犬を提供する。
Blind Association
(盲人協会)
16歳以上で、重度の視覚障害を持ち、かつ犬の世話をすることができる人に盲導犬を提供する。
Supportdogs 自閉症の人をサポートする犬や、障害者のための介護犬を提供する。
Canine Partners 障害者のための介護犬を提供する。
Dogs for the Disabled 障害者のための介護犬を提供する。
British Red Cross
(赤十字)
短期間の車椅子の貸し出しを行っている。

出典;Hearing Dogs for Deaf People
http://www.hearingdogs.org.uk/
RNIB
http://www.rnib.org.uk/xpedio/images/RNIBInternetLook/rnib_tagline.jpg
Supportdogs
http://www.support-dogs.org.uk/
Canine Partners
http://www.caninepartners.co.uk/
Dogs for the Disabled
http://www.dogsforthedisabled.org/
British Red Cross
http://www.redcross.org.uk/index.asp?id=39992 をもとに作成。

(9)ケアマネジメント

ドーセット・カウンティカウンシルの場合、ケアマネジャーの介入が必要な人は、自治体に連絡すると評価などを受けることができ、担当のケアマネジャーが決められて介入が終了するまで、同一のケアマネジャーが利用者との接点を持つことになる。一旦ニーズが満たされると“ケース終了”とされ、利用者はケアマネジャーとの接点を失う。再度ケアマネジャーの介入が必要な場合は、自治体に連絡をする。

ケアマネジャーは、情報の提供、スクリーニングの実施、ニーズの評価、ケアプランの作成、ケアプランの実行、モニター、レビューの7段階を通して、ケアマネジメントを行っている。

(10)給付対象者

A.NHS(国民医療サービス)

NHSの場合、全住民が対象。

B.社会サービス(ソーシャルケア)

ドーセット・カウンティカウンシルの場合、FACS(ケアサービスへの公正なアクセス)の受給資格基準の「緊急(Critical)」および「重度(Substantial)」のニーズを持つ人が対象となる。

C.ジョブセンタープラス

ジョブセンタープラスの利用は、求職者などのために一般に公開されているが、給付金、就職サポートのシステムはそれぞれ対象が異なる。ジョブセンタープラスによるサービスの欄を参照。

(11)認定主体

医療サービスの利用はNHS(国民保健サービス)により、社会サービスの利用は地方自治体の社会サービス部により決定され、ジョブセンタープラスを通して提供されるサービス(給付金や就労支援)を利用できるかどうかは、ジョブセンタープラスにより決定される。

(12)認定基準

A.NHS(国民医療サービス)の認定基準

「プライマリケア」と「二次的ケア」は、病状に基づいてかかりつけ医(GP)や専門医・専門職の診断により決定され、認定という過程をとっていない。

「継続する保健ケア(Continuing Health Care)」や「NHSが助成する(ケアホームにおける)看護サービス(NHS Funded Nursing Care Home)」の認定基準は、「連続して、もしくは頻繁に医療または専門分野を担当する看護師の介入を必要としている」とされる。NHSの多職種チームのスタッフが、行動面、認知面、心理的ニーズ、コミュニケーション、移動能力、摂食状態、排泄、皮膚の状態、呼吸、薬物療法、意識状態、その他のケアニーズについて評価する。

a)「継続する保健ケア」の認定基準

上記のうち、行動面、呼吸、薬物療法は「優先すべき問題(Priority)」「重度(Severe)」「高い(High)」「中等度(Moderate)」「低度(Low)」「なし(None)」の6段階で、意識状態は「優先すべき問題」「高い」「中等度」「低度」「なし」の5段階で、認知面、移動能力、摂食状態、皮膚の状態は「重度」「高い」「中等度」「低度」「なし」の5段階で、心理的ニーズ、コミュニケーション、排泄は「高い」「中等度」「低度」「なし」の4段階で評価される(図表11を参照)。

評価は、かかりつけ医(GP)や専門医、看護師、他の医療専門職、ケアワーカーなどの多職種チームのスタッフが利用者を評価した後、継続する保健ケア委員会(CHC Panel)に「推薦書」を書いて、同委員会が給付の是非を決定する。

判定は、「優先すべき問題」を1つでも満たした場合、もしくは「重度」を2つ以上満たした場合、または「高い」や「中等度」の多くを満たし、評価者が必要と判断した場合には継続する保健ケアの適性に見合うとされ、利用者の、例えば在宅介護にかかる費用やケアホームの費用などがNHSにより支払われることになる。

評価の視点は、どのような援助が必要とされているか、そのニーズがどの程度複雑なものか、その症状や状態がどの程度緊張した状態、もしくは予測できない状態にあるか――、適切な援助がなかった場合のリスクにより、「優先すべき問題」「重度」「高い」「中等度」「低度」の順で評価する。

b)「NHSが助成する(ケアホームにおける)看護サービス」の認定基準

看護付きケアホームの利用費は、生活型ケアホームの利用費に看護(医療)の利用費を加えたものである。NHSの登録看護師によって認定されると、この看護の利用費はNHSにより支払われることになる。

評価は、「利用者は看護付きケアホームで提供しているレベルでの看護ニーズを持つか」、「利用者は住居型の環境を必要としているか」の視点で判断される。看護ニーズは継続して必要とされるものでなければならず、例えば、一時的な包帯の取替えなどは含まれない。生活型ケアホームの利用者が看護を一時的に必要としている場合は、地域看護師によりサービスが提供される。

図表11 継続する保健ケアを受けるための基準

ケアの領域
Care Domain
優先すべき問題 重度 高い 中等度 低度 なし
行動面
Behaviour
           
認知面
Cognition
           
心理的ニーズ
Psychological Needs
           
コミュニケーション
Communication
           
移動能力
Mobility
           
摂食状態(栄養)
Nutrition - Food & Drink
           
排泄
Continence
           
皮膚の状態
Skin(including tissue viability)
           
呼吸
Breathing
           
薬物療法Drug
Therapies&Medication
           
意識状態
Altered States of Consciousness
           
その他のケアニーズ
Other significant care need(see box above)
           
Totals            

出典;Decision-Support Tool for NHS Continuing Healthcare 20 September 2007
http://www.dh.gov.uk/en/SocialCare/Deliveringadultsocialcare/Continuingcare/DH_073912?IdcService=GET_FILE&dID=149112&Rendition=Web

B.社会サービス(ソーシャルケア)の認定基準

FACS(ケアサービスへの公正なアクセス)により設定されている「緊急(Critical)」「重度(Substantial)」「中度(Medium)」「低度(Low)」の4つの枠組のうち(図表1参照)、ドーセット・カウンティカウンシル(地方自治体の1つ)では「緊急」と「重度」の2つを対象としている。

C.ジョブセンタープラス

ジョブセンタープラスの利用は求職者などのために一般に公開されているが、給付金、就職サポートのシステムはそれぞれ対象が異なる。「(7)給付内容」の「C.ジョブセンタープラスで提供されるサービス」の欄を参照。生活補助手当や求職者手当などは、所得・資産審査を経たうえで給付される。

(13)認定者数

A.NHSによるサービスの利用者数

「プライマリケア」と「二次的ケア」の利用には認定という過程をとっていないため、認定者数は不明である。

なお、2007-08年にプライマリケアを利用した人は延べ2億240万人、入院治療を受けた人は延べ1,400万人、また外来と救急外来を利用した人は述べ6,400万人である。

出典;Qreserch report on trends in consultation rates in General Practices 1995-2008
http://www.ic.nhs.uk/statistics-and-data-collections/primary-care/general-practice/qresearch-reporton-trends-in-consultation-rates-in-general-practices-1995-2008

「継続する保健ケア(Continuing Health Care)」の認定を受けてイギリス(UK)で補助金を受けている人は、2008-09年の第1四半期11)(4~6月)では37,920人、第2四半期(7~9月)では40,449人である。

「NHSが助成する(ケアホームにおける)看護サービス(NHS Funded Nursing CareHome)」のイギリス(UK)での利用者は、2007年3月31日時点で123,452人である。

出典;Continuing Care:Information for the general public
http://www.dh.gov.uk/en/SocialCare/Deliveringadultsocialcare/Continuingcare/DH_079285
Health Continuing Care
http://www.theyworkforyou.com/wrans/?id=2009-01-20b.248339.h
NHS Funded Nursing Care:Care Homes:Finance(12 July 2007 Column 1659W)
http://www.publications.parliament.uk/pa/cm200607/cmhansrd/cm070712/text/70712w0016.htm

B.社会サービス(ソーシャルケア)の利用者数

およそ200万のケースが地方自治体の社会サービス部に依頼され、そのうち175万人の成人(18歳以上)が2004-05年の間に社会サービス部からのサービスを受給、18歳以上で2005-06年に介護サービス(Residential Care)を利用した人は25.9万人である。在宅介護の利用者数は38.6万人であった。

なお、イギリス(UK)で「障害者施設補助金(Disabled Facilities Grants)」(図表8参照)により補助金を得ている人は毎年3万人を超える。そのうち、70%は65歳以上の高齢者、25%は成人の就労年齢(受給者本人のため。また介護者・養育者である場合を含む)、5%が障害を持った19歳未満の若年者である。

出典;Social Care:The state of social care in England 2007-08 P168
http://www.cqc.org.uk/_db/_documents/SOSC08%20Report%2008_Web.pdf
DFG:Reviewing the disabled facilities grant programme P12
http://www.communities.gov.uk/documents/housing/pdf/138553.pdf

C.ジョブセンター・プラス

a)給付金に関するサービス

この項目は、すべてグレートブリテン(Great Britain)のデータである。

  • 障害者生活手当(Disability Living Allowance):2007年8月末で2,930,030人が受給
  • 介助手当(Attendance Allowance):2008年5月時点で1,546,680人が受給
  • 介護者手当(Carer’s Allowance):2008年8月時点で490,030人が受給
  • 就労不能給付(Incapacity Benefit):2008年5月時点で2,382,000人が受給
  • 所得補助(Income Support):2008年5月時点で2,102,260人が受給。

出典;Disability Living Allowance Claimants,August 2007
http://www.neighbourhood.statistics.gov.uk/dissemination/instanceSelection.do?JSAllowed=true&Function=&%24ph=61&CurrentPageId=61&step=2&datasetFamilyId=1355&instanceSelection=023616&Next.x=7&Next.y=9
Attendance Allowance - cases in payment Caseload(Thousands):Time Series by Gender of claimant
http://83.244.183.180/100pc/aa/ccdate/ccsex/a_carate_r_ccdate_c_ccsex.html
Carer's Allowance - cases in payment Caseload(Thousands):Government Office region by Gender of claimant
http://83.244.183.180/100pc/ca/ccgor/ccsex/a_carate_r_ccgor_c_ccsex_aug08.html
Incapacity Benefit Caseload(Thousands):Time Series by Gender of claimant
http://83.244.183.180/100pc/ib/ccdate/ccsex/a_carate_r_ccdate_c_ccsex.html
Income Support Caseload(Thousands):Gender of claimant by Government Office region
http://83.244.183.180/100pc/is/ccsex/ccgor/a_carate_r_ccsex_c_ccgor_may08.html

b)就労に関するサービス

この項目は、すべてイギリス(UK)のデータである。

  • 障害者のためのニューディール(New Deal for Disabled People):2001-08年8月までの間に271,180人が利用しており、これまでに189,410人が就労。2006-07年の間には60,940人が登録している。
  • ワークへのアクセス(Access to Work):2006-07年の間に28,500人が利用。
  • 就職紹介スキーム(Job Introduction Scheme:2008年、1,100人が利用。
  • ワークステップ(WORK STEP):2006-07年は12,800人を支援。
  • Pathway to Work:2003年の開始から2007年10月まで694,410人が支援を受けた。
  • 就労準備プログラム(Work Preparation Programme):006-07年には、8,100人がこのプログラムを開始。

出典;New Deal for Disabled People
http://83.244.183.180/new_deals/nddp/live/dp_j_i/i_jobyear/a_ccsex/a_stock_r_i_jobyear_c_a_ccsex_may08.html
Employment Schemes:Disabled(8 Oct 2007:Column 144W)
http://www.publications.parliament.uk/pa/cm200607/cmhansrd/cm071008/text/71008w0030.htm
John Dumelow.2008 Public consultation
http://www.kent.gov.uk/NR/rdonlyres/47A4655F-CA25-47F5-959C-34583AB4C0E2/13523/dwppresentation.pdf
Pathways to Work for new and repeat incapacity benefits claimants:Evaluation synthesis report.P.12
http://www.dwp.gov.uk/asd/asd5/rports2007-2008/rrep525.pdf

(14)利用手続き、所管窓口

A.NHSによるサービス

NHSからのサービスを希望する場合は、まず、自宅近くの診療所に登録をし、かかりつけ医(GP)による診察を受け、かかりつけ医が必要な機関・部署に紹介するというシステムがとられている。

診療所に新規に登録するためには、診療所にある書類に記入し、登録する(登録内容については図表12参照)。診療所の既存の登録者数が多すぎるために新規登録を受け付けられない場合は登録を断られ、別の近隣の診療所を探さないといけないこともある。

登録資格は、イギリス(UK)住民であることである。利用者が外国人で、所持されているビザが6ヶ月以下の場合は、登録はできるが、医療費を支払うことが求められる。

図表12 NHS登録時に質問される内容(抜粋)

氏名、住所、電話番号、生年月日、NHS番号等

イギリスにおける旧住所............旧住所での担当医の名前/旧住所での担当医の住所
海外出身の場合....................イギリスで最初にかかりつけ医(GP)登録をした住所
以前イギリスに住んでいた場合......居住目的で初めてイギリスに来た日/出国日
軍を退役する場合..................入隊前の住所

5歳未満の児童を登録する場合
私は、上記児童が、裏面に記載されている医師により登録され、乳幼児健診を受けることを希望します。

主治医に薬の調剤や器具の手配をしてもらう必要がある場合*
私は、最も近い薬局から直線距離にして1マイル以上離れた所に住んでいます。
私は、薬や器具を薬局から入手することが難しい、深刻な問題を抱えています。
*すべての医師が薬の調剤を認められているわけではありません。

NHS臓器提供者登録
私は、死後、臓器が移植に使用される可能性がある者として、NHS臓器提供者名簿に登録することを希望します。
提供を希望する臓器に印をつけてください。
腎臓 心臓 肝臓 角膜 肺 すい臓 身体のどの部分でも可

NHS献血者登録
私は、献血のために連絡を受け、これに応じる可能性がある者として、NHS献血者名簿に登録することを希望します。
過去3年以内に献血をしたことがある場合、ここに印をつけてください。

出典;Family doctor services registration
http://www.merton.ox.ac.uk/currentstudents/section_specific/NHS_GMS1.pdf

B.社会サービス(ソーシャルケア)

地方自治体の社会サービス部からのサービスを希望する人は、地方自治体に連絡をすると利用者受付担当者(Client Reception Officer;CRO)につなげられる。そして利用者受付担当者が大まかに情報収集し、どの職種のスタッフが利用者の希望に見合うか判断し、必要に応じてケアマネジャーや作業療法士に連絡をする(ドーセット・カウンティカウンシルの場合、新規のサービス希望者は地方自治体の中央オフィスに電話連絡をすることで介入が開始される。書類による申請は受け付けていない)。

依頼の内容が、主に介護などに関するものであればケアマネジャーに、主に福祉機器や家屋改造などに関するものであれば作業療法士に、それぞれ連絡が取られる。必要に応じて、ケアマネジャーや作業療法士が利用者の自宅等を訪問し、単一評価プロセス(Single AssessmentProcess;SAP12)添付資料1参照)を元にインタビューを実施して評価する。

利用者のニーズが明らかになった後、ケアプランを立てる。その際に大まかな貯蓄額も質問し、金銭援助についての情報提供を行い、利用者が財産審査を希望するかを確認しておく。ケアマネジャーが必要に応じて「財政審査と給付担当官(Financial Assessment and BenefitsOfficer;FABO)」に所得・資産の評価(Means Test)を依頼し、FABOがケアマネジャーの立てたケアプランに見合うよう、利用者負担額と社会サービス部による補助金額を決定する。住宅改修に関しては作業療法士が障害者施設補助金担当者(Disabled Facility Grants Officer;DFGO)に連絡し、DFGOが所得・資産審査を実施、利用者負担額と障害者施設補助金(DFG)からの金額を決定する。

C.ジョブセンター・プラスによるサービス

労働・年金省が、ほとんどの給付金に関してジョブセンタープラスを通して管理し、ある一定の給付金の新規申し込みや継続は電話やインターネットで受付がされている。

ジョブセンタープラスからのサービスを希望する人のうち、給付金の受給を希望する人はジョブセンタープラスのナショナルコールセンターに電話連絡(無料)をし、オペレーターに、国民保険制度番号(National Insurance Number)、家賃や住宅ローン、職歴や現在の就労状況および収入や貯蓄額についての詳細を告げる。書類申請ではなく、電話連絡により介入が開始されるようになっており、この電話でのインタビューはおよそ40分かかる。オペレーターは必要に応じて、担当アドバイザーによる面会をその電話連絡以降3~4日以内に設定し、利用者は担当アドバイザーから就労援助などについてのインタビューを受けることもある。添付資料2に「障害者生活手当」の申請内容を記す。

所得補助(Income Support)、求職者給付(Jobseeker’s Allowance)、就労不能給付(Incapacity Benefit)の新規・継続利用者は、電話のほかインターネットでも受給を申請できる。就労を希望する人は、就労援助のためのナショナルコールセンターに電話連絡をするか、インターネット、もしくはジョブセンタープラス内のジョブポイントと呼ばれるタッチパネルコンピュータを利用して求職することができる。添付資料3にインターネットで申し込むための内容を記す。

障害者の就労希望者は、地域のジョブセンタープラスに電話してサービスを希望し、障害者雇用アドバイザー(Disability Employment Advisors)によるインタビューを予約してインタビューを受けることになる。

(15)要否判定方法

自治体の社会サービス部からのサービスを受けられるかについては「単一評価プロセス(Single Assessment Process;SAP)」12)を使用し、対象者がどのような援助を必要としているか、そのニーズが地方自治体の社会サービス部からの援助の対象になるかどうかが決定される。

判定は、ケアマネジャーもしくは作業療法士による利用者中心の会話により行われる。その内容には、自分で何ができるか、もし他者からの援助があれば何ができるようになるか、どのようなニーズが満たされなければならないか、対象者がどんな援助を望んでいるか、もし介護者がすでに援助をしている場合は、その介護者は今の状況をどのように感じているか、対象者のニーズを満たすにはどういった方法が最善か、ということが含まれる。

また、介護者は別に介護者のための評価を受けることができる。介護者のための評価はケアマネジャーのインタビューにより行われ、介護者の健康、睡眠状況、介護内容、要介護者との関係、介護ニーズをどのように理解しているか、他の家族、仕事や従事していることへのプレッシャー、仕事復帰などについての情報、金銭的状況、実質的な援助のニーズ、住居の状況、余暇について、介護をするうえでの技能を持ち合わせているか、移動・移乗介護について不測の事態の場合のプラン、どのような援助があると良いかなどが情報収集される。必要に応じて、介護者のためのサポートグループなども紹介される。評価表は各自治体によって異なるので、インターネット上で得られたいくつかの情報のアドレスを以下に記す。

(16)利用者負担

A.NHSで発生する利用者負担

NHS(国民保健サービス)では、病院などに通うための交通費、歯科、眼科、薬、頭髪のサポート(かつらや布)に対して、一部を除いて利用者負担が発生する。これら以外のサービスについて利用者負担は発生しない。

a)NHSを利用するための通院費について

以下の場合は、NHSを利用するための交通費に対して補助や、交通手段が提供されるが、それ以外は自費でまかなう必要がある

【NHSの利用で補助金が出るケース】

  • 診察の時点で患者本人またはそのパートナー(配偶者や内縁関係を含む)が低所得者対象の給付金を受給している場合
  • プライマリケア以外で実施される医療や歯科診察で、かかりつけ医(GP)、歯科医もしくは病院専門医から紹介された場合
  • かかりつけ医(GP)もしくは歯科医からの紹介で、その診療が、その診療所以外の場所で別の日に行われなければならない場合
  • 生命にかかわるような重大な状況の場合は救急車を利用
  • 予約された治療・診療を受けるために病院に行く場合(主に二次的ケアの利用)に交通手段が確保できない、もしくは病院までが遠距離であり、医師、歯科医、助産師などが必要と判断した場合は、非緊急用傷病者運搬車が手配され、それを利用する。

b)歯科の利用について

以下の場合は無料で歯科治療が行われるが、それ以外は利用者負担が発生する。

【歯科治療が無料になる対象者】

  • 18歳以下である、妊娠しているか、治療が始まった時点が出産後12ヶ月以内にある者
  • 病院内の歯科医による治療を受けている入院患者
  • 病院の歯科医(二次的ケア)による治療を受けている者
  • 低所得者対象の給付金を受給している者

【利用者が負担する歯科治療費】

上記(歯科治療が無料になる対象者)に該当しない者は治療費を支払う必要がある。歯科治療費は、Band1~3に分かれており、Band1は検診、診断、歯石取りなどが含まれ、16.20ポンドである。Band2はBand1の内容に加えて、詰め物や歯根治療、1~2本の抜歯などが含まれ、44.60ポンドである。Band3はBand1~2の内容に加えて、被せ物(Crown)、義歯やブリッジの治療を含み、198.00ポンドである。その他、緊急治療の場合は16.20ポンドである。

出典;NHS dental charges: what you should pay
http://www.nhs.uk/AboutNHSservices/dentists/Documents/NHS%20Dental%20Charges.pdf

c)眼科の利用について

以下に該当しない者は、検眼や眼鏡などを自費でまかなわなければならない。

【視覚検査が無料になる対象者】

  • 16歳以下もしくは就学している18歳以下の者
  • 60歳もしくはそれ以上
  • 登録視覚障害者
  • 糖尿病や緑内障の診断を受けた者
  • 40歳以上で二等親以内の家族に緑内障の者がおり、医師や検眼士が罹患の危険にあると判断した者
  • ある一定の給付金を受給している者

【眼鏡を購入するクーポンについて】

上記「視覚検査が無料になる対象者」に該当する者は、NHSより眼鏡を購入するためのクーポンが発行される。クーポンは必要とされている眼鏡の強度によって値段が変わり、CodeAは35.50ポンド、CodeBは54.00ポンド、CodeEは61.40ポンド、CodeFは78.10ポンドとなっている。このクーポンを民間の眼鏡店に持っていき購入するが、クーポンの値段より高い金額の眼鏡を購入したい場合は自費でその差額を補い購入することができる。

出典; Are you paying with a GOS3 Optical Vouchers?
http://www.wantglasses.co.uk/nhs?contentId=26

d)薬の処方について

以下の者は無料で薬が処方される。それ以外は利用者負担が発生する。2008年4月1日時点で、基本の薬の処方費はイングランド(England)で7.10ポンドであり、処方費除外に該当しない者は、処方薬を購入するときにこれを支払わなければならない

出典;NHS Prescription Charges
http://www.politics.co.uk/briefings-guides/issue-briefs/health/nhs/nhs-prescription-services/nhsprescription-charges-$366605.htm

【無料で処方される対象者】

  • 60歳以上の者
  • 16歳以下もしくは18歳以下で就学中の者
  • 妊娠中の者
  • 過去12ヶ月以内に出産をした者で処方費除外の証明書を持つ者
  • ある一定の健康状態にあり、処方費除外の証明書を持つ者
  • 単独での外出ができないなどの身体障害を持ち、それに対して処方費除外の証明書を持つ者
  • 戦傷病者年金受給者で障害があるとされている者
  • NHSに入院中である者
  • 低所得に関連する給付金を受給している者

e)頭髪のサポートについて

一部の者を除いて利用者負担が発生する。

【かつらや布の処方】

16歳以下、もしくは就学している18歳以下の者、入院中の者、障害のためかつらや布の供給が受諾されており、医療費支払い免除になっている戦傷病者年金受給者にはNHSから無料でかつらや布が給付される。

これに該当しない者は、処方されたかつらを購入する際に一定の金額を支払わなければならない。この金額は毎年4月に改定されるが、2006-2007年では、カスタムメイドの人毛のかつらは212.85ポンド、人毛の部分かつらは145.55ポンド、規定サイズのモドアクリル繊維のかつらは55.10ポンドであった。ただしNHSではアレルギーがない限り、人毛のかつらは処方されない。

出典;Wigs and the NHS
http://www.alopeciaonline.org.uk/wigs/nhs.asp

B.社会サービス(ソーシャルケア)で発生する利用者負担

地方自治体の社会サービス部で提供されているサービスのうち、コミュニティーアラームシステム(緊急通報)、家屋改造、デイセンターの利用、ショートステイの利用、ボランティアによる交通手段の利用、在宅介護、ケアホームの利用、食事の宅配サービスには利用者負担が発生する。これら以外のサービスについて利用者負担は発生しない。

利用者負担がどの程度になるかどうかは、財政審査と給付担当官(Financial Assessment and Benefit Officer;FABO)が収入と貯蓄額に関する情報を収集するなどし、金銭関連評価(Financial Assessment)、所得・資産審査を実施する(図表13参照)。

貯蓄が22,250ポンド以上ある者は、介護に関連するサービスは全て自費でまかなうこととされている。在宅介護利用の際は、持ち家の価値は財産に含まない。

なお現在、政府は、収入が週当たり、60歳以下単身者で107.94ポンドを超えない者、60歳以上単身者で155.07ポンドを超えない者、60歳以下カップルで164.75ポンドを超えない者、60歳以上カップルで236.69ポンドを超えない者は、在宅介護について利用者負担は発生しないとしている。

図表13 利用者負担に関する評価に必要な書類・調査

  必要な書類・調査の内容
収入に関するもの 労働・年金省からの、退職年金、所得補助金、年金クレジット、障害者生活手当、介助手当や介護者手当、就労不能給付などを含む給付金に関する詳細を記した書類、個人年金の通知書、投資の年間配当金、その他収入関連の書類。
貯蓄に関するもの 住宅金融組合からの帳簿、銀行や郵便局などの帳簿、株式の証明書、養老保険の詳細、その他の貯蓄や投資の詳細について調査される。
出費に関するもの 過去4回分の水道・光熱費の請求書、住民税の請求書、電話(携帯電話を含む)の証明書、過去4回分の個人で契約を結んだ在宅介護や家事手伝いの雇用に関する費用、過去4回分のコミュニティーアラームシステム(緊急通報)の請求書、車椅子、電動ベッド、リクライニングチェア、階段昇降機やホイスト器具に関する購入・維持・修理の証拠、利用者の健康状態によりかかった費用(衣類、交通、洗濯代など特別にかかった費用)、NHSで処方されていない薬を購入するためにかかった費用の証拠などを調査する。

*貯蓄と収入から、出費を差し引いたものを自由になる金額(Disposable Income)とし、これが必要な在宅介護サービスを購入するために当てられるとみなされる。

出典;Who pays?
http://www.dorsetforyou.com/index.jsp?articleid=369707

a)在宅サービスの利用者負担

【コミュニティーアラームシステム(緊急通報)】

週当たり3.95ポンドがかかる。FACS(ケアサービスへの公正なアクセス)の「緊急」と「重度」のニーズがあり、資産調査によりこの費用を支払う能力がないと判断された場合は、自治体により補助金が出される。

【家屋改造】

作業療法士より評価を受け、FACSの「緊急」と「重度」のニーズがあると判断された場合は、障害者施設補助金担当者(Disability Facility Grants Officer;DFGO)が所得・資産審査を実施し、利用者の貯蓄が22,250ポンド未満の場合は補助が受けられる。

障害者施設補助金(DFG)は、1,000ポンド~最高30,000ポンドまでの改造費に対して補助をする。改造費用が30,000ポンドを超えた場合は家屋改善エージェンシー(図表5参照)などが介入し、チャリティー団体などからの援助を探索する。(利用者がどの程度、費用を負担しているのかを調査するためDFGOに連絡を取ったが、架空の利用者に対して費用を算出することはできないとのことで、詳しい情報は得られなかった)

【デイセンター】

デイセンター内での食費と自分で交通手段を確保できない人に利用者負担が発生する。費用は日中の2コース(メインとデザートの)3.25ポンド~(プレーンビスケットの)0.20ポンドまで様々である。交通手段が確保できない人のためにはデイセンターよりバスが配送されるが(片道2.50ポンド)、所得・資産審査を経て自由になる金額がある場合、交通費と自由になる金額のうち低いほうを支払う必要がある。

【ショートステイ】

利用者の貯蓄が22,250ポンド以上の場合は、全額利用者負担となる。利用者の貯蓄が22,250ポンド未満の場合は、週当たり130ポンドを負担金として支払う必要がある(ドーセット・カウンティカウンシルの場合)。

【ボランティアによる交通サポート】

利用する団体によって費用は異なるが、利用者は1マイルにつき0.25~0.35ポンドを支払う。利用は往復50マイルを超えないものとする。

【在宅介護】

介護者を雇用するには1時間当たり10~12ポンドかかるが、利用者の貯蓄が22,250ポンドを超える場合は、全額利用者負担となる。貯蓄が22,250ポンド未満の場合は、所得・資産調査を受け、自由になる金額がいくらあるかによって利用者負担額が決められる。自治体は、利用者負担額を含めて週当たり最高400ポンドまでを在宅介護提供の目安と考えており、それを超える場合は社会サービス委員会(Social Services Panel)というケアマネジャーレベルよりも上の“調査委員会”により、利用者負担額を含めて400ポンドを超える費用を自治体が支払うかどうかが検討される。基本的に、在宅介護とケアホームに入居した場合との両方を比較検討し、費用の安いほうが勧められることが多い。図表14図表16に在宅介護の利用負担について記す。

しかし、対象者が65歳以下の場合は、その不足分を「自立生活基金(Independent LivingFunds)」という非政府組織と自治体とで出資し合い、対象者の在宅生活を援助することもある。これについて明確な線引きはなく、対象者や環境を含めて話し合いをしながら決定される。

図表14 在宅介護の利用者負担の決定の仕方

(A)収入-(B)給付金&免除額=利用者負担額(最大)
(A)から(B)を引いたものが在宅介護の利用者負担額となる。
※(A)収入 (B)給付金&免除額
  • 国の給付金
  • 年金
  • 保険料収入
  • 家賃収入
  • 離婚相手からの慰謝料収入
  • 投資収入
  • タリフインカム
タリフインカムは、22,250~13,500ポンドの間の250ポンド毎を1ポンドと数え、それを毎週の収入であると換算する。つまり、貯金が22,000ポンドある人は、13,500ポンドとの差額8,500ポンドを250で割った数、つまり34×1ポンド=34ポンドを毎週の収入に加えることになる。貯蓄が15,750ポンドの人は、9ポンドが週当たりの収入に加えられる。
貯蓄が22,250ポンド以上ある場合は、在宅介護やケアホームにかかる費用は全額利用者負担である。
※収入には、働いて得られた賃金、障害者のための税金控除もしくは仕事上の税金控除は含まれない。
所得補助(年齢及び障害割増)に所得補助の25%を加えたもの、つまり所得補助の125%
これは現在、
60歳以下単身者  107.94ポンド
60歳以上単身者  155.07ポンド
60歳以下カップル 164.75ポンド
60歳以上カップル 236.69ポンド
  • 強化障害割増(注1)
  • 介護者割増(注2)
  • 介護手当の低レートもしくは障害者生活手当のケア要素の中レートの25%
  • 夜間の介護を利用していない場合の介助手当か障害者生活手当の夜間の要素
  • 障害者生活手当の移動給付/移動要素
  • 所得補助などを利用せずに支払われている住宅ローンの利息や家賃
  • 住民税補助を受けずに支払われている住民税
  • 戦争障害者や戦争未亡人年金のうち10ポンド
  • 戦争未亡人特別支払額
  • 家のタイプにより通常よりも高くつく光熱費
  • 障害に関連して生じた特別な出費。例えば、洗濯代、衣類や特別な医療
もし、カップルのうち1人が所得・資産審査を受けるのであれば、両方の評価を実施し、合計を2で割ったものを1人分と計算する。

(注1)強化障害割増(Enhanced Disability Premium)は、資産調査を経たうえで16歳以上60歳未満の障害を持つ人に対して、所得補助(年齢及び障害割増)に上乗せして支払われるもの。

(注2)介護者割増(Carers Premium)は、介護者を対象に、所得補助に上乗せして支払われるもの。

出典;Dorset County Council's Adult and Community Services factsheet:Paying for non residential care services
http://www1.dorsetforyou.com/CARING/Leaflets.nsf/-/5BACD2F74501430F80257003003BA4A2/$FILE/Paying%20for%20non%20residential%20care%20services.pdf

図表15 在宅介護の利用者負担額と自治体の補助金の関係を判りやすく示した例

週当たりの在宅介護の費用 利用者負担額 自治体の補助金 差額
252ポンド 100ポンド 152ポンド 0ポンド
600ポンド
(24時間ケアで、夜間の具体的な援助は必要とされていない場合のおよその費用)
100ポンド 300ポンド 200ポンド
(ここでケアホームに入居したほうが安いかどうか検討される。対象者が在宅を希望した場合は社会サービス委員会という“調査委員会”で、この差額を自治体が出すか、自立生活基金が出資してくれるか、話し合いで決定される)

図表16 在宅介護利用の利用者負担額決定の例

70歳、自宅(住宅ローン払い済み)に単身在住、1日に3回、1回につき1時間の介護者からの介入が毎日必要。貯蓄は15,750ポンド。介護者を雇い入れる費用は1時間12ポンド×3回×7日=1週間当たり252ポンドである。
収入 手当と免除額
国民年金 90.70ポンド 収入の最低保障 155.07ポンド
介助手当の低レート 44.85ポンド 介助手当の25% 11.21ポンド
タリフインカム 9.00ポンド 住民税(注1) 4.00ポンド
貯蓄保証金(Savings Credit) 19.71ポンド  
収入合計 164.26ポンド 支出合計 170.28ポンド
この場合、支出が収入を超えるので、自由になる金額(Disposable Income)は0ポンドとみなされる。もし、この利用者の収入が支出を超えていれば、その差額が在宅介護を雇い入れる費用に当てられることになる。この場合の在宅介護の費用252ポンドは地方自治体より「直接支払い(Direct Payments)」を通して支払われることになる。

(注1)本来は15ポンドのところ、住民税補助を11ポンド受けているので、4ポンドのみの支払い

b)施設サービスの利用者負担

【生活型ケアホーム(Residential Care Home)】

イングランド(England)での生活型ケアホームの平均費用は週当たりおよそ564ポンドである(2007-08年)。利用者の貯蓄が22,250ポンドを超える場合は利用者が費用の全額を負担し、貯蓄が22,250ポンド未満で利用者がFACSの「緊急」と「重度」のニーズを持つ場合は、地方自治体から金銭の補助を受けることになる。

援助を受ける場合、所得・資産審査にて収入額を計算し、その収入額からお小遣い(StatutoryPersonal Allowance)として21.15ポンド(利用者が65歳以上の場合は5.45ポンドをお小遣いに加えた合計26.60ポンド)を引いた金額を利用者負担(Contribution)という形で利用者が支払い、地方自治体は利用者負担だけでは生活型ケアホームの費用に満たない場合に差額を支払う。ただし、その合計金額は463ポンドまでである。

図表17図表19に、生活型ケアホームの利用者負担について記す。

出典; Care Homes: Fees and Charges: Written answers. Tuesday, 10 February 2009
http://www.theyworkforyou.com/wrans/?id=2009-02-10b.253236.h

【看護付きケアホーム(Residential Home with Nursing Care)】

イングランド(England)での看護付きケアホームの住居費の平均費用は週当たりおよそ499ポンドである(2007-2008年)。これに加えて、NHSが助成する看護ケア(NHS fundednursing care)で、看護・医療費を支払っている。このNHSが助成する看護ケアは2段階に分かれており、2008年4月からは一律スタンダードレートで週に103.80ポンドである。

なお、看護付きケアホームでは、生活型ケアホームと同様に、利用者の貯蓄が22,250ポンドを超える場合は利用者が住居費に当たる費用を全額負担し、貯蓄が22,250ポンド未満でFACSの「緊急」と「重度」のニーズに見合う場合は、地方自治体から金銭的補助を受けることができる。援助を受ける場合は、所得・資産審査にて収入額を計算し、その収入額からお小遣いとして21.15ポンド(利用者が65歳以上の場合は5.45ポンドをお小遣いに加えた合計26.60ポンド)引いた金額を利用者負担額(Contribution)という形で利用者が支払い、地方自治体は利用者の負担額が看護付きケアホームの住居費に満たない場合に、その差額を支払う。ただし、援助の合計金額は463ポンドまでである。

図表17図表20に、看護付きケアホームの利用者負担について記す。

出典;Care Homes:Fees and Charges:Written answers.Tuesday,10 February 2009
http://www.theyworkforyou.com/wrans/?id=2009-02-10b.253236.h

図表17 ケアホーム(看護付きを含む)の利用者負担(貯蓄が22,250ポンド未満の場合)

(A)収入-(B)個人で使える費用=利用者負担(最大)
(A)収入 (B)法律で保障されている、個人で使える費用
  • 国の給付金
  • 年金
  • 保険料収入
  • 家賃収入
  • 離婚相手からの慰謝料収入
  • 投資収入
  • タリフインカム(在宅介護の際に使用した計算方法と同じ)
  • お小遣い     21.15ポンド
  • 貯蓄非課税資産(Savings Disregards)
    (65歳以上対象) 5.45ポンド
利用者がケアホームに終身的に入居した場合、持ち家の価値は初めの12週間は換算されないが、12週間以降は貯蓄としてみなされるため、家を売るなどしてケアホームへの費用にあてることが必要となってくる。家の売却を希望しない人は、その家を担保としてお金を借り入れるなどの方法もある。もし、その家に他の人が住んでおり、その人が配偶者・パートナー、60歳以上の親戚もしくは障害を持った親戚、独立していない子供である場合は除外される。自治体は、ベーシックな機能を備えたケアホームへの補助を提供するため(つまり、費用の高いケアホームをまかなうために高い補助金は出ない)、利用者が自治体の補助金よりも高いケアホームへの入居を希望し、ケアマネジャーがそれに同意した場合は、利用者はその差額を捻出する必要がある。しかし「差額を埋める費用は利用者の貯蓄からではなく、他者(家族や第三者)から捻出されなければならない」というルールがあり、例えば、両親をやや質の良いケアホームに入居させたい家族が自分たちで費用を捻出できない場合、チャリティー団体に打診するなどして、資金調達に奔走することがある。

出典;Dorset County Council's Adult and Community Services factsheet:Care home provision for adults including charges(residential care and nursing care)
http://www1.dorsetforyou.com/caring/Leaflets.nsf/-/197B631D4444BAED0025665E0034C075/$FILE/Care%20home%20provision%20for%20adults%20including%20charges.pdf

図表18 生活型ケアホームの利用者負担額と自治体の補助金の関係を判りやすく示した例

生活型ケアホームの費用 利用者負担額 自治体の補助金 差額
400ポンド 200ポンド 200ポンド 0ポンド
500ポンド 300ポンド 163ポンド 37ポンド(これは家族やチャリティー団体など第三者により支払われなければならない)

図表19 生活型ケアホーム利用の例

70歳、生活型ケアホームに入居して2週間目。入居費は週に400ポンド。貯蓄は15,750ポンド。
収入 個人で使用できる金額
・国民年金 90.70ポンド ・お小遣い 21.15ポンド
・介助手当低額 44.85ポンド ・貯蓄非課税資産(Savings Disregards) 5.45ポンド
・タリフインカム 9.00ポンド  
・貯蓄保証金 19.71ポンド  
収入合計 164.26ポンド 個人用の金額合計 26.60ポンド
収入合計から個人用の金額を引いた金額137.66ポンドが利用者負担としてケアホームの費用の一部に支払われる。地方自治体からは262.34ポンドが補助され、合計400ポンドが支払われる。ケアホームに入居して最初の4週間は介助手当は支払われるが、その後は給付が停止する。すると利用者負担額が減るので、その分を地方自治体が支払う必要がある。

出典;Charging for residential care
http://www.dh.gov.uk/en/SocialCare/Chargingandassessment/ChargingforSocialCare/DH_079505
Paying for services in a care home (residential care and nursing care)
http://www1.dorsetforyou.com/CARING/Leaflets.nsf/-/D97D9594F17D19F3802571E80057B736/$FILE/Paying%20for%20services%20in%20a%20care%20home.pdf

図表20 看護付きケアホーム利用者負担額と自治体の補助金の関係をわかりやすく示した例

看護付きケアホームの住居費 看護・医療費のための「NHSが助成する看護ケア」による補助 利用者負担額 利用者負担額自治体からの補助 足りない費用 足りない費用看護付きケアホームが受け取る金額
400ポンド 103.80ポンド(スタンダードレート) 200ポンド 200ポンド 0ポンド 503.80ポンド
500ポンド 142.80ポンド(2007年より受給を開始した人で高レートが継続されている人) 300ポンド 163ポンド 37ポンド(これは家族や第三者により支払われなければならない) 642.80ポンド

C.ジョブセンタープラスで発生する利用者負担

ジョブセンタープラスの利用は無料である。

1.障害者介護サービスに関する調査 脚注

1)本調査では、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの4つの地域からなる「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)」をイギリス(UK)と表記し、北アイルランドを除いた3つの地域をグレートブリテン(Great Britain)と表記する。また、イングランドのみの調査の場合は、イングランド(England)と表記する。

2)イギリスでは知的障害を「Learning Disability」(直訳では学習障害)と記述するため、本書でも知的障害と訳している。知的障害とは、知性と社会性の著しい機能障害を含む心の発達の中断または不完全な状態を意味する(“learning disability” means a state of arrested or incomplete development of the mind whichincludes significant impairment of intelligence and social functioning.”-Mental Health Act 2000)。なお、学習障害は、聞く、話す、読む、書く、計算するなどの能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指し、知的発達に遅れはない。

3)ファミリーセンターとは、社会サービス、教育、訓練の要素をあわせ持つサービスで、例えば死別、離別や虐待、障害など特別なニーズを持つ子供やその養育者が対象とされている。

4)事前にかかりつけ医(GP)を登録し、その医師を受診した場合に、原則無料で保険医療サービスが受けられる。

5)ケアホームには、住居と身の回りの世話などの介護を提供するレジデンシャル・ケアホーム(Residential CareHome)と、さらに医療も同時に提供される看護(医療)付きレジデンシャル・ケアホーム(Residential Homewith Nursing Care)の2種類がある。現在はすべてケアホームと呼ばれているが、生活型(Residentia)と看護付き(Nursing)の区分は残っているため、本書では、それぞれ区別する場合は「生活型ケアホーム」「看護付きケアホーム」と記述する。なお、看護付きケアホームには、登録看護師(日本でいう正看護師)が常在している。

6)2008年4月からは、それまでの2段階のレート(スタンダードレート103.80ポンド、高レート142.80ポンド)に変わって、一律103.80ポンドが支払われることになった。しかし、2007年の改定以降、高レートの142.80ポンドを受給していた人にはそのまま142.80ポンドが支払われることがある。

7)シッティングサービス(Sitting Service)は、常時介護者を必要としている要介護者を介護している介護者ために提供される。その介護者が外出などのため家を空ける場合、介護エージェンシーなどから介護者が数時間にわたり家に来て、介護者に代わり要介護者に介助を提供する。

8)生活型ケアホームか看護付きケアホームかの評価は、「利用者は看護付きケアホームで提供しているレベルでの看護ニーズを持つか」、「利用者はケアホームの環境を必要としているか」の視点で判断される。看護ニーズは継続して必要とされるものでなければならず、例えば、一時的な包帯の交換などは含まれない。生活型のケアホームの利用者が看護を一時的に必要としている場合は、地域の看護師によりサービスが提供される。

9)国民保険制度は、年金保険、医療保険、労災保険など各種社会保険全般を包括する制度である。

10)ブルーバッジは、障害者生活手当(Disability Living Allowance)の高レートを受給している、戦傷病者年金の移動要素を受給している人に対しては自動的に発行される。政府から支給された障害者用の車を利用している、視覚障害者として登録されている、もしくは、両上肢に重篤な障害があるために駐車料金支払い機の利用が困難な場合や、2歳以下の障害を持った子供の親に対しても発行の対象となることがある。

11)NHSの年度は4月開始、3月終了。

12)単一評価プロセス(Single Assessment Process)は、利用者の見方、医療的背景、疾病の回避、身辺処理の方法や身体・精神機能などの情報をインタビューにより収集し、記入する書式で、社会サービス部およびNHSで共通に用いることで、より良いケアサービスの提供を促進することを目的としている。

2.モデルに関する調査

それぞれのケースは

(A)NHSから受けられるサービス
(B)自治体の社会サービス部から受けられるサービス
(C)ジョブセンタープラスから受けられるサービス

の3つの視点で、イギリス(UK)で受けられるサービスを説明している(自治体の社会サービス部から受けられるサービスはドーセットが中心)。

調査方法は、NHSに関してはNHS勤務の作業療法士からインタビュー、ソーシャルケアに関してはドーセット・カウンティカウンシルのケアマネジャーにインタビューを行った。ジョブセンタープラスからは協力が得られなかった。

(1)モデル1/全盲

A.NHSから受けられるサービス(糖尿病の管理)

NHS(国民保健サービス)からは医療サービスが受けられる。このケースの場合、最寄りの診療所のかかりつけ医(GP)より糖尿病のクリニックに紹介状が送られ、そこで糖尿病に関する治療・管理が行われる。このクリニックは主に糖尿病専門の看護師と専門医により運営されている。

必要と判断されれば、このケースは糖尿病のクリニックから足のクリニック(Foot Clinic)に依頼され、そこで手足治療師(Chiropodist)からのサービスを受けることになる。

クリニックに通うために、このケースが交通手段を確保できない場合は、クリニックにより非緊急用傷病者運搬車が手配される1)

B.自治体の社会サービス部から受けられるサービス(妥当な援助機関への橋渡し、視聴覚チームからの介入)

社会サービス部からは福祉(ソーシャルケア)が提供される。このケースが「銀行に行くことができない」などの理由で自治体の社会サービス部に連絡をした場合、まず、このケースはクライアント受付担当官により簡単に事情を聞かれる。そしてケアマネジャーにつながれ、ケアマネジャーが単一評価プロセス(Single Assessment Process;SAP)を利用して評価を行う。この評価を通して明らかにされた問題に対して、どういった介入が利用できるかをケースに伝える。

このケースが持つ問題、屋外での移動が困難であることと、収入がないことはケアサービスへの公正なアクセス(Fair Access to Care Services;FACS)の「緊急(Critical)」と「重度(Substantial)」のニーズに合わないため、自治体の社会サービス部が直接援助を提供することはないと判断される。

介入策を以下に記す。

【屋外での移動について】

  • 感覚障害の専門家が所属するチーム(Sensory Loss Team)へ紹介状が行き、このチームにより移動訓練が実施される2)
  • チャリティー団体の紹介。ケースはいくつかのチャリティー団体を紹介される。自分で電話するなどの能力がある場合、ケースは自分でこれらに連絡をし、自分のケア関連の問題を解決することを求められる。チャリティー団体からは、歩行の付き添い、書類・手紙の処理、ちょっとした片づけなどに対して協力が得られる。また、ケースに十分な能力があると判断された場合、盲導犬の提供も検討される。
  • 給付金などに関する情報提供。ケースが得られるであろう給付金である障害者生活手当(Disability Living Allowance;DLA)や障害者用バッジに関する情報提供がされ、必要であれば、書類記入のサポートが行われる。給付金を利用して、ガイドとなる人を雇うことも提案される。

【収入について】

収入がない場合は、ジョブセンタープラスの障害者雇用アドバイザーに連絡することを勧められる。

【その他】

このケースの場合、単一評価プロセス(SAP)で明らかにされるかもしれない問題(娯楽、家事、買い物など)を補う費用は地方自治体からは出されないため、自費で掃除人を雇うか、チャリティー団体、家族、近隣の人々に頼ることになる。また、音で知らせる時計などの機器も必要であれば、自費で購入しなければならない。

C.ジョブセンタープラスから提供されるサービス(就労と給付金への援助)

ジョブセンタープラスからは、給付金、就労支援に関するサービスが提供される。以下に考えられるサービスを記す。

【就労に関するサービス】

障害者雇用アドバイザー(Disability Employment Adviser)により評価を受け、ケースが適しているであろうサポートを担当する部署につなげられる。

【給付金に関するサービス】

まず雇用および生活補助手当(Employment and Support Allowance)、所得・資産審査(Means Test)を実施後に、所得補助(Income Support)、障害者生活手当(Disability LivingAllowance;DLA)の移動要素の低レート給付が検討される。

現在、視覚障害者は、障害者生活手当における移動要素の高レートの受給資格には含まれていないが、労働・年金省(Department for Work and Pensions)が、視覚障害者へのDLAにおける移動要素の高レートを2011年から支給できるように、適性資格を変更することを決定した、と発表した。
DLAでは「歩行が困難、もしくは歩くことで息が上がる等」の場合に移動要素の高レートが支給されるが、視覚障害者は歩行自体には問題がないので、これまで高レートの適性基準に見合わないとされてきた。これについて視覚障害者のチャリティー団体が、以前よりDLAの不公平さを指摘してきており、これに政府が応えるという結果になったようである。
現在の段階では「2011年の支給開始に向けて、適性基準を変更する」ことが明らかになっているだけで、具体的に適性基準をどのように変更するか、詳しくはこれから検討して決定される模様である。(2009年3月31日現在)

出典;18 March 2009-Cash boost for 20,000 blind peoplee
http://www.dwp.gov.uk/mediacentre/pressreleases/2009/mar/drc128-180309.asp

(2)モデル2/頚髄損傷

A.NHSから提供されるサービス(このケースが入院先から退院する際に必要とされる介入と想定して作成する)

【自宅退院】

入院から地域への引き継ぎは病院内の看護スタッフからケースが登録している診療所のかかりつけ医(GP)にされ、ケースが服用している現在の薬物のリストなどが連絡される。必要があれば、自宅患者を対象としている神経系疾患専門の看護師の介入も依頼される。医療サービスが必要な場合は、診療所のかかりつけ医(GP)に診察が要求される。また、例えば褥瘡やカテーテル、尿パッドなどはNHS(国民保健サービス)の訪問看護(District Nurses;DN)により管理されるが、かかりつけ医(GP)が必要と判断した場合はDNに訪問を要請し、介入が開始される。

【作業療法】

ケースが自身でできること、できないことを評価。生活をするのに、どういった援助が、何人の介護者が必要かどうか評価する。必要であれば、簡単な福祉機器の処方などを行う。

自宅退院するために病院用のベッドや移動式のホイストが必要な場合は、作業療法士が処方、配達を手配する。ケースがケアホームに退院する場合は、福祉機器はケアホームによって購入される。このケースは車椅子が必要なので、採寸などをし、書類を作成した後に医師によるサインをもらい、車椅子クリニックに依頼する。

【理学療法】

移動や移乗の方法の提案や訓練の提供をする。理学療法士は作業療法士と協業しながら、ケースが退院後どういった作業をしなければならないかを含めて評価し、治療にあたる。

B.ソーシャルケアから提供されるサービス(このケースが入院先から退院する際に必要とされる介入と想定して作成する)

まず、ケースは入院中から病院配属のケアマネジャーが担当となり、退院時に必要な介護などの調整等を行う。ケアマネジャーが単一評価プロセス(SAP)を利用してケースを評価する。このケースの場合、ニーズがFACS(ケアサービスへの公正なアクセス)の「緊急」に相当するので、自治体の社会サービス部からのサービス提供に妥当すると判断される。

解決されなければならない大きな問題は、在宅介護をどのように確保するか、住宅環境設定をケースのニーズに見合うようどのように変更するか、の2点である。在宅介護の確保については主にケアマネジャーが、住宅環境については主に作業療法士が取り組むことになる。

ケアマネジャーは、ケースが自宅退院をした際の必要な介護費用について検討する。必要な介護費用を仮に計算してみると、ケースはホイストを使用して移乗する必要があるため、その際には介護者が2人必要である。24時間介護(Live in Carer,週当たりおよそ600ポンド)とその他に、例えば朝と夜の2回に第2介護者(週当たりおよそ180ポンド)が必要とされた場合、このケースが自宅退院する場合に週当たり780ポンド(仮定)がかかることとなる。ケースに22,250ポンド以上の貯金がある場合は、この在宅介護費用は全て自己負担となる。

次に、このケースが生活型ケアホームに入居した場合の入居費用が計算される。生活型ケアホームが在宅介護よりも安く利用できる場合、ケースに、まずは生活型ケアホームへ入居する用意があるかどうかが尋ねられる。そのうえで、ケースが自宅退院を希望し、貯蓄が22,250ポンドに満たない場合は、費用をどのように確保するかが検討されなければならない。

ドーセット・カウンティカウンシルでは、利用者負担(Contribution)を含めて週当たり最高400ポンドまでを在宅介護提供の目安と考えており、それを超える場合は社会サービス委員会(Social Services Panel)というケアマネジャーレベルよりも上の“調査委員会”により、利用者負担を含めて400ポンドを超える費用を自治体が支払うかどうかが検討される。対象者が65歳以下の場合は、その不足分を「自立生活基金(Independent Living Funds)」という非政府組織と自治体とで出資し合い、対象者の在宅生活を援助することもある。これについて明確な線引きはなく、対象者や環境を含めて話し合いをしながら決定される。

自治体の社会サービス部と自立生活基金(可能であれば家族らも含む)が、共同で在宅介護の費用を負担する、と決定した場合、このケースは自宅退院を想定して自宅の家屋改造の過程に入る。この際に、作業療法士が必要な家屋改造を評価する。考えられる家屋改造は、トイレや浴室へのアクセス、天井固定のホイスト器具の設置、段差解消、電子環境制御(ElectricEnvironment Control)等で、もし、階下にケースの寝室となり得る部屋がなければ、ダブルベッドが入る程度の部屋を増築する必要がある。その場合の改造費用は平均31,855ポンドかかる。家を引っ越したほうが安く上がる場合は、その方法も検討される。

次に家屋改造を行うために、障害者施設補助金(Disabled Facilities Grants;DFG)と呼ばれる制度に補助金を要請することになる。1,000~30,000ポンドまでの家屋改造に対して補助金を出す制度である。DFGは所得・資産審査を経たうえで、利用者がいくらを負担しなければならないか決定する。30,000ポンドを超えた金額については、原則としてチャリティー団体などから援助を受けなければならない。

在宅介護と家屋改造も費用がまかなえると判断された場合、このケースは自宅退院できることになる。

C.ジョブセンタープラスから提供されるサービス(給付金への援助)

まず雇用および生活補助手当、所得・資産審査の実施後に所得補助金、障害者生活手当の移動要素の高レートおよびケア要素の高レートなどが検討される。

(3)モデル3/知的障害

A.NHSから提供されるサービス(地域精神保健チームからのサポート)

地域精神保健チーム(Community Mental Health Team)からのサポートが考えられる。精神症状が安定せず、ケースが危険な状態にあると判断された場合には入院なども検討される。

B.ソーシャルケアから提供されるサービス(このケースの養育者が「ケースの世話をするのが大変だ」などの理由で社会サービス部に連絡をしたと想定して作成する)

まず、ケースもしくは養育者はクライアント受付担当者により簡単に事情を聞かれる。そして、ケアマネジャーにつながれ、ケアマネジャーが単一評価プロセス(SAP)を利用して評価を行う。このケースが持っている問題をどのように解決していくかをケースと養育者を交えて決定していく。

【身辺処理や食事の準備】

これに対する援助が家族から望めない場合FACS(ケアサービスへの公正なアクセス)の「重度」のニーズに該当するため、自治体の社会サービス部からの介入が必要となる。家族がどの程度の援助を提供することができるか、家族と話し合いをしながら決定することになる。ケースや家族が介護者を雇い入れることを希望している場合は、その必要回数を話し合いで決定する。ケースの貯蓄が22,250ポンドに満たない場合(恐らくこの場合はそうであろうと思われる)、所得・資産審査を経て利用者負担が決定され、自治体が金銭補助をすることになる。モデル2でも記述した通り、在宅介護の場合、自治体は費用の利用者負担(contribution)も合わせて週当たり400ポンドを目安としており、在宅介護費用がそれよりもかかる場合、生活型ケアホームへの入居も選択肢として含まれるようになる。ちなみに1時間12ポンドの介護者を日に4回(4時間)、毎日雇った場合、かかる週当たりの費用は336ポンドで生活型ケアホームへの入居費よりは安くすむと見込まれる。

【家族負担が大きい場合】

家族が介護者としての評価を受けることになる。介護者が仕事を続けることや介護者としての訓練に参加することを希望しているかどうか、介護者の健康と安寧が満たされているかどうか、介護者がレジャーのための時間を妥当に有しているかの点と、この家族の援助がなくなった場合にどういった危険が起こるかという点を含めて考えられる。この場合、FACSの「重度」のニーズに該当するとされ、ケースには年間合計8週間のショートステイが提供される。費用はケースの貯蓄が22,250ポンドを超えない場合、ケースもしくは家族が1週間当たり130ポンドを負担し、生活型ケアホームに入居することになる。ドーセットには知的障害を対象とした生活型ケアホーム(Residential Home)があり、それらのうちの1つを利用することになる。

【ケースが独立したい場合】

養育者がケースに独立してほしいと思っている場合も含む。

調査員が探した限り、現在のところ、公立のグループホームのような施設はなく、ケースは自費でアパートを借りるか、もしくは公営住宅への入居希望のリストに名前を載せるかが選択肢として考えられる。しかし、このケースの場合、家族がケースの独立を強制すればホームレスとして公営住宅や保護住宅へ優先的に入居できるが、そうならない限り公営住宅へ入居できる可能性は低い。知的障害者を対象とした住居かつリハビリテーション機能を持ちあわせている施設は国内にいくつかあるが、ドーセット内では見当たらず、ケースは家族と同居もしくは一人暮らし、またはケアホームといった極端な選択肢しかないようである。

ドーセット内には知的障害対象の生活型ケアホームがあるが、そこでどの程度リハビリテーションが実施されているかは不明である。

【娯楽時間を上手に過ごすことができない】

これはFACSの「緊急」と「重度」のニーズに合わないため、自治体の社会サービス部からサービスは提供されない。チャリティー団体などによりサポートを受けることが勧められる。

C.ジョブセンタープラスからの援助(就労や給付金に関するサポートを提供する)

【就労援助】

ケースが障害者雇用アドバイザーに連絡をし、担当者がケースに適したプログラムなどの利用も含めて必要な機関につなぐ。

【給付金援助】

障害者生活手当のケア要素の中レートもしくは高レートが、また移動要素の低レートが検討される。雇用サポート給付、所得補助金の利用も検討される。

(4)モデル4/精神障害

A.NHSから提供されるサービス(地域精神保健チームからのサポート)

NHS(国民保健サービス)では、統合失調症の治療を薬物療法と、認知行動療法などの心理療法などで行っている。ケースが地域で生活している場合、地域精神保健チーム(CommunityMental Health Teams;CMHT)とかかわりを持ち、日常のサポートと治療の提供、できる限り可能な自立生活の奨励を行っている。CMHTはケアマネジャー、地域精神科看護師、薬剤師、カウンセラーや心理士、精神科医、作業療法士などで成り立っている。

CMHTの機能で補うことのできない急性の精神症状が起こった場合、危機解決チーム(Crisis Resolution Teams;CRT)が介入することになる。このCRTの連絡先は利用者本人もしくは家族に知らされており、緊急時に危機介入が行われる。CRTが介入することで入院が防止できることが期待されている。

CRTの機能で補うことのできない、より重症で急性の精神症状が出現した場合、入院治療が必要になることがある。ケースが希望して、精神科医が同意した場合、入院することができる。また、ケース本人の健康のために最善だと思われる場合やケース本人もしくは周囲の人の安全を守るために最善だと思われる場合、精神保健法(Mental Health Act 1983)下において、強制保護される場合もある。

B.ソーシャルケアから提供されるサービス(食事の問題に関しての援助と、他の機関の紹介)

このケースが「風呂に入れない」などの理由で社会サービス部に連絡をした場合、まず、このケースはクライアント受付担当者により簡単に事情を聞かれる。ケースはケアマネジャーにつながれ、単一評価プロセス(SAP)を利用して評価を行う。この評価を通して明らかにされた問題に対して、どういった介入が利用できるかをケースに伝える。

介入策を以下に記す。

【調理ができず、食事を確保できない】

FACS(ケアサービスへの公正なアクセス)の「重度」のニーズであると判断される。考えられる解決方法は、介護者を雇い入れる、食事の宅配サービスを利用する、ガスが使えるようにリハビリテーションをする、ガス台を使わずに食事を確保する(電子レンジの利用)、ガス台を電気調理器に変える等が考えられる。ケアマネジャーはケースと話し合いをして、お互いが合意する解決策を決定する。

【介護者を雇い入れる】

ケースの貯蓄が22,250ポンドを超える場合は、自己負担で介護者を雇う。貯蓄が22,250ポンドに満たない場合は、ケアマネジャーが財政審査と給付担当官(Financial Assessmentand Benefits Officer)に依頼し、所得・資産審査を経て負担額が決定され、自治体からの援助を受けながら介護者を雇い入れる。障害者生活手当の低レートが受給できれば、介護者を雇い入れる費用に当てることも提案される。

【宅配サービスを利用する】

配食(Meals on Wheels)の利用。ケースは1食4ポンドの負担。

【ガス台を使えるようにリハビリテーションをする、電子レンジを使った料理法を学ぶ】

ケアマネジャーがNHSの中間ケアチーム(Intermediate Care Team)に介入を依頼し、リハビリテーションが実施される。

【ガス台を電気調理器に変える】

ケアマネジャーが自治体の社会サービス部の作業療法士に依頼し、作業療法士が評価を実施する。この改造費用が1,000ポンド以下で実施できる場合は無料で提供される。1,000ポンドを超える場合は、貯蓄が22,250ポンド以上の場合は全額自己負担で、22,250ポンド未満の場合は障害者施設補助金担当者(Disabled Facility Grants Officer)に依頼し、所得・資産審査を経て自己負担額が決定される。

【入浴ができない】

ドーセットの社会サービス部では、入浴ができないことはFACSの「緊急」と「重度」のニーズには当てはまらず、ケースは入浴せずに清拭により清潔を保てると見なされる。ケースがどうしても入浴を希望した場合は、ガスが使えるようにリハビリテーションをする、ガス給湯器を電気湯沸し器に変えることが考えられる。

【ガスが使えるようにリハビリテーションをする】

ケアマネジャーがNHSの中間ケアチームに介入を依頼し、リハビリテーションが実施される。

【ガス給湯器を電気湯沸し器に変える】

ニーズが適性基準に合わないため、このケースでは、ボランティア団体を通じて、こういった工事を請け負う業者を探すようアドバイスされる。

【屋外の移動が困難】

状況にもよるが、ケースの精神症状が安定していないため、ケアマネジャーがNHSの危機管理チーム(Crisis Team)に、幻聴をうまくコントロールできるように介入を依頼する。

ケアマネジャーはケースが屋外を移動できないために起こりうるリスクを評価する。このケースは無職ということで当てはまらないが、例えば、屋外を移動することが通勤のためで、それが障害されているのならば、ジョブセンタープラスの「仕事へのアクセス(Access to Work)」の利用を勧めることになる。この移動が、例えば、親戚に会いに行くためであるなど、重要な用件であれば、ボランティアによる交通サポートの利用が提案される。

【給付金の利用の提案】

障害者生活手当の低レートを受給すると、その給付金を、介護者を雇うために利用することを提案する。

【洗濯物が干せない】

これはFACSの「緊急」と「重度」のニーズを満たさないため、自治体からの介入は行われない。これはケースが介護者を雇い入れるか、乾燥機を購入するか、家族や近隣の人に頼る必要がある。

C.ジョブセンタープラスからの援助(就労や給付金に関するサポートを提供する)

【就労援助】

ケースが障害者雇用アドバイザーに連絡をし、担当者より「仕事へのアクセス(Access toWork)」などの利用も含めて必要な機関につなぐ。

【給付金援助】

障害者生活手当のケア要素の低レート、移動要素の低レートが給付される。雇用および生活補助手当と所得補助の利用も検討される。

2.モデルに関する調査 脚注

1)糖尿病のクリニックは医療機関で実施されることが多く、そこまでの交通手段を確保できない場合に非緊急用傷病者運搬車が手配される。手足治療師からのサービスは、利用者がクリニックに通うことができない場合、手足治療師が自宅訪問をして治療を行う。

2)視聴覚障害の専門家が、対象者の状態、それが将来どのような影響をおよぼすか、などを含めたニーズを評価し、サポートを提供する。評価を希望する場合は、地方自治体に連絡する。

3.障害児に関する調査

(1)障害児施設の種別と数

新生児から16歳までの子供は、養育者に管理・監督と保護を提供する義務があるので、基本的に障害を持つ子供が利用する施設は自宅、普通学校とチャイルドケアで、養育者はできるだけ自宅で子供を養育することを奨励・サポートされる。これら以外の施設を以下に記す。

【チルドレンホーム(children’s Home)】

身寄りのない子供を保護するためのレジデンシャルケア(Residential Care)と、障害を持つ子供の養育者に休息を与えることを目的とするレジデンシャルケアの機能を持つ。イギリスで1,958ヶ所あり、11,382人が利用できる(2006-07年)。2007年3月31日時点、民間運営は1,198ヶ所、6,005人分、自治体運営は628ヶ所、3,990人分、ボランティア団体運営は118ヶ所、1,228人分、NHS(国民保健サービス)運営は3ヶ所、20人分、その他による運営は11ヶ所、139人分とされている。

【特別学校(Special Schools)】

普通学校では提供できない特別なニーズを持つ子供たちのための学校である。イギリスでは993校の公立特別学校、72校の非公立特別学校(民間運営であるが政府により承認されている学校/2007-08年)のほかに、200校の民間運営の特別学校(2004年)があり、2007-08年には105万9,000人の子供が特別学校を利用した。

【宿制特別学校(Residential Special Schools)】

特別学校の機能と住居機能をあわせ持つ。2007年3月31日時点で、イギリスで民間運営は61校1,918人分、自治体運営は115校1,585人分、ボランティア団体運営28校853人分、その他による運営19校715人分、合計223校5,071人が利用できるとされている。

出典;Children’s Homes at 31 March 2000,England(Department of Helth)
http://www.dcsf.gov.uk/rsgateway/DB/SBU/b000526/ch00findings.pdf
Education and Training Statistics for the United Kingdom:2008
http://www.dcsf.gov.uk/rsgateway/DB/VOL/v000823/
Special schools(Everything Child Matters)
http://www.everychildmatters.gov.uk/ete/agencies/specialschool/

(2)利用の条件

【チルドレンホームにおけるレスパイトケアの利用】

適性基準は地方自治体により異なる。子供のニーズと同時に介護提供者のニーズも評価され、その地方自治体の基準に合えばレスパイトサービスを利用することができる。

【特別学校】

障害を持つ子供はできる限り通常学校で就学できるようにされるが、養育者は子供を特別学校に通わせるように手配することもできる。子供の学校を選択する際に、その子供の年齢、能力、技能、その特別なニーズに見合っているか、その子供が出席することで他の子供に悪影響を及ぼさないかどうか、子供をその学校に通わせることが自治体の資源利用に妥当であるかどうか等の観点から、養育者は自治体と話し合いをしながら決定する。

ある学校は身体障害を持つ子供が利用しやすく、ある別の学校は感覚障害や失読症を持つ子供へのスタッフが充実しているなど、学校により提供できるサービスが異なる。その他、学校を決定する際、地元のボランティア団体や養育者のための連携サービス(Parent PartnershipServices:PPS)1)などに相談することもできる。

【宿制特別学校】

通常学校、もしくは他の特別学校でニーズが満たされない子供を対象とする。例として、ただ単純にニーズに見合う学校が自宅から遠方で通学できない子供や、行動障害を伴う重度の知的障害の子供、攻撃的行動や自傷行為がある子供、重度の言語障害を持つ子供などがあげられる。

(3)予算

予算が不明なため、明らかにされている支出に関する統計を利用した。

  • チルドレンホーム:2005-06年の支出は、9億4309万8,000ポンドであった。
    出典;http://www.csci.org.uk/PDF/20080128_SOSC_2006_07_Appendices.pdf P163
  • 特別学校および宿制特別学校:義務教育の支出の中に包含されており、内訳は不明。義務教育の支出は、地方自治体と中央政府とをあわせて2007-08年で453億9,100万ポンドであった。
    出典;Education and Training Statistics for the United Kingdom:2008
    http://www.dcsf.gov.uk/rsgateway/DB/VOL/v000823/V01-2008.pdf

3.障害児に関する調査 脚注

1)PPSは、特別なニーズを持つ子供や若年者を持つ親や養育者に情報やアドバイス、サポートを提供する法定のサービスであり、養育者のための他の自治体や国の機関への橋渡しも行っている。地方自治体や子供のための保護団体(Children’s Trust)などと協力して、ボランティアを基本として成り立っている組織である。

■補足情報

A.子供の養育・教育について

イギリスでは、義務教育は5歳~16歳が対象で、地域によっては3歳以上を対象に無料の保育所(託児所)を提供する場合がある。

養育者は、子供が18歳になるまで、管理・監督と保護を提供する義務を負う(つまり、養育者は子供を強制的に独立させることができない)。16歳以上の子供は、医療関係者がその子供が十分に理解していることを確認したうえで、自分の医療に関して決定権を持つことができる。一般的に、子供たちは16歳以上になるまで、常に養育者もしくはケアを提供する者の監督下に置かれていなければならないとされている。

つまり、子供の生誕から16歳まで、例えば養育者が働いている場合などで、養育者自身がその子供の面倒を見ることができない場合、養育者は子供のケアを提供する責任を負う。このケアをチャイルドケアと言う。

a)チャイルドケアの種類

働いている養育者等に代わって、子供のケアを提供するシステム。チャイルドケアは概ね有料であるが、養育者は税額控除を受けることができる。サービスの種類と提供される内容について、簡単に以下に記す。

【チルドレンセンター(Sure Start Children’s Centres)】

5歳以下の子供を対象に初期の学習などを提供する。現在、イギリスには3,000ほどのチルドレンセンターがあり、これらは2010年までには3,500に増加する予定である。

【クレシュ(Creche)/託児所】

8歳以下の子供に、臨時のケアを提供する。

【トドラーグループ(Toddler Groups)/幼児グループ】

通常5歳以下の子供を持つ養育者が地域の他の養育者と定期的に会合を持つグループ。

【プレスクールとプレイグループ(Pre-school and Playgroups)/幼稚園と保育園】

通常5歳以下の子供に遊びの時間や早期教育の提供をする。

【デイナーサリー(Day Nurseries)】

新生児~4、5歳の子供に他のサービスと統合された早期教育を含むケアを提供する。

【学校外保育またはキッズクラブ(Out-of-School or Kids’Clubs)】

学童を対象に、学校時間外に遊びと学習の機会を提供する。

【チャイルドマインダー(Child Minders)/家庭的保育】

通常12歳以下の子供を対象に、チャイルドマインダー(少人数保育の専門家)個人の家で、子供の世話をする。下校時の迎えも含まれることがある。

【ナニー(Nannies)/ベビーシッター】

子供の自宅で子供の世話をする。

b)チャイルドケアの費用

イギリスにおける2歳以下のフルタイムの保育所の利用は、週当たり平均159ポンド(2008年)で、チャイルドマインダーの利用は、週当たり平均で144ポンドである。チャイルドケアを利用している場合の税金控除は週当たり平均、48.45ポンド(2008年)である。

出典;CHILDCARE COSTS(Childcare Information Line for parents)
http://www.daycaretrust.org.uk/mod.php?mod=userpage&menu=1003&page_id=111
Childcare costs in 2008(Childcare Information Line for parents)
http://www.daycaretrust.org.uk/mod.php?mod=userpage&menu=1003&page_id=354

B.障害を持つ子供の介護や援助について

a)障害を持つ子供の評価からケアプランまで

障害を持つ子供は児童法(Children Act)のもとに、地方自治体の社会サービス部により評価を受けることになる。これは初期評価と、そして他の機関や専門職などによる、より徹底的な評価を含むコアアセスメント(Core Assessment)からなり、子供の健康状態、感情や社会的・行動的発達の評価を含む。

また「介護者として」の養育者について、家族全体の機能や安寧、住宅状況・雇用や金銭的状況などに関する評価も行われる。その評価を踏まえて、ケアプランが作成される。適性のある子供と家族が利用できる地方自治体からのサービスは、ショートブレーク、休暇期間の計画、在宅介護、福祉機器と住宅改修、ある一定の条件下での金銭的援助、レジャー施設利用の援助、洗濯の援助、公共交通機関の利用の際の割引やブルーバッジの提供などである。地方自治体が設定する適性に見合えば、養育者は直接支払い(Direct Payment)を通して地方自治体から補助金を受け、介護サービスなどを購入することができる。

b)チャイルドケアについて

障害を持つ持たないにかかわらず、前述したように、養育者は子供が18歳になるまで管理・監督と保護を提供する義務を負う。養育者は、その管理・監督と保護を提供できない場合にチャイルドケアを提供する責任があるという原理も共通している。

障害を持つ子供がチャイルドケアを利用する場合、養育者は、チャイルドケアの提供者が経験と知識を兼ね備えているかを吟味したうえで、どういったケアを利用するかを決定しなければならない。

障害者差別禁止法(Disability Discrimination Act)では、チャイルドケアの提供者は障害を持つ子供に対して差別をしてはならないとしている。チャイルドケアの提供者は、障害を持つ子供のために特別に職員を雇用しなければならないときなどに、増額した利用費の負担を利用者に求めることができる。

c)障害を持つ子供への補助金

障害を持つ子供に対して、養育者が子供に代わって補助金を申請することができる。補助金は障害者生活手当(Disability Living Allowance)でケア要素と移動要素に分かれている。金額はケア要素の高レートで67.00ポンド、移動要素の高レートで46.75ポンドである。養育者は条件に見合えば、介護手当(Care’s Allowance)を請求できる。

出典:Benefits,tax credits and other financial help
http://www.cafamily.org.uk/pdfs/benefits.pdf

d)障害を持つ子供のケアに関与する専門職

かかりつけ医(GP)、担当ワーカー(Key Worker)、小児科医(Paediatrician)、子供の作業療法士、コミュニケーションサポートワーカー(Communication Support Worker/学校や保育所などで教師と協業して、手話などでコミュニケーションの援助をする)、家庭訪問員(PortageHome Visitor/就学以前の子供に遊びやコミュニケーションなどを通して教育的援助を提供する)、特別な教育的ニーズ・コーディネーター(Special Educational Needs Co-ordinator;SENCO/保育所や学校などで、教育に関する特別な援助が必要な子供のための援助を提供する)、教育心理士等である。

医師や小児科医はNHS(国民保健サービス)から、子供の作業療法士はNHSと地方自治体の社会サービス部、コミュニケーションサポートワーカー、家庭訪問員、特別な教育的ニーズ・コーディネーター(SENCO)、教育心理士は地方自治体を通して、地元の学校から援助を仰ぐことができる。

――――――<参考資料>――――――

●参考ウェブサイト
(障害者介護サービスに関する調査)

(障害児に関する調査)

●参考文献(障害者介護サービスに関する調査)

Disability alliance.Disability Rights Handbook.34th edition .April 2009 - April 2010.,Disability alliance,2009,290p.

Disability alliance.Disability Rights Handbook.33th edition .April 2008 - April 2009.,2008,288p.

Turner,A.Foster,M.Johnson,S.Occupational Therapy and Physical Dysfunction:Principles,Skills and Practice.2002,688p.

(障害児に関する調査)

Great Britain Home Office.Life in the United Kingdom:A Journey to Citizenship.

Stationery Office Books,2004,120p.

■添付資料

1/単一評価プロセス(Single Assessment Process;SAP)

ファクトシート68-2008年3月19日

査定のタイプにはどのようなものがあるでしょうか?

■経歴に関する窓口査定
これは、皆様がこのサービスの申請のために初めて窓口を訪れるときに実施されますが、皆様自身で全ての項目に記入していただいて結構です。これは、皆様の名前、住所、かかりつけの医師、申請理由などの基本的な情報の収集に使用され、サービスや治療が提供できるかどうかを決定するのに、これだけで十分な場合もあります。また、これによって、皆様の状況についてさらに査定が必要かどうかも確認します。皆様はこのコピーを保存し、保健サービスあるいは社会サービスを申請する際にはいつでもそれを使用することができます。これをコンピュータに保存し、皆様の許可を得たうえで保健・社会サービスのスタッフがアクセスできるようにすることもあります。
さらにニーズ/リスクがありますか?
■総合査定
この査定では、皆様の健康と日常生活について、さらに詳しくさまざまな局面を検討し、皆様が経験している可能性がある問題や困難、また皆様と皆様の介護者を支援する方法の理解と、皆様への適切な保健サービスあるいは社会ケアサービスの提供に役立てます。総合査定に先立ち、皆様には’Personal View of Your Needs’(ニーズに関する個人的見解)の記入用紙が配布される場合がありますが、これは皆様に、査定の際に皆様や皆様の介護者がどのようなことについて話し合いたいかを記す機会を提供します。
 
特別なスキルを備えた保健/ソーシャルケアワーカーによる査定は必要ですか? これは全てのタイプの査定が必要な状況ですか?






■ケアプラン
これは、皆様のニーズに合わせて導入されたサービスや治療、危機管理計画、1週間の予定表をまとめたものです。皆様はこのコピーを受け取ります。
■専門家による査定あるいは詳しい査定
皆様には、熟練した専門家(理学療法士、看護師あるいは作業療法士など)の意見を必要とする特別なニーズがある場合があります。これらの専門家が、必要に応じて査定を実施します。
■見直し
実施されるケアプランは全て、サービスあるいは治療が確実に皆様のニーズに適したものであるようにするため、見直しをする日が設定されています。皆様はいつでも見直しを求めることができます。

*上記の図表はデボン市によるものだが、参考として掲載する。
出典;Single Assessment Process(SAP)Factsheet 68・19 March 2008
http://www.devon.gov.uk/fs68_sap_190308-2.pdf

2/「障害者生活手当」の申請内容

*調査員がインターネットで給付金申し込みについて問い合わせ、返信されてきた質問を以下に記す。

Q1 代理申請

あなたは別の成人の代理としてこの申請書に記入することができますが、以下の条件の1つまたはそれ以上が当てはまる場合を除き、申請者本人による署名が必要です。あなたは誰か他の人の代理としてこの申請書に記入していますか?

(代理人の条件)

  • 社会保障制度から受け取る給付を扱う委任状を有している。
  • 裁判所より判断能力が十分でない方の保護のために任命された代理人である。
  • スコットランドの法律に基づく、後見人、責任者である。
  • 英国労働年金省より任命され社会保障制度から受け取る給付と公文書を扱うことができる。

(本人の条件)

  • 精神または知的な障害があり、自分自身で処理することができない。
  • 障害または疾病が重度のため、自分自身でサインをすることができない。

Q2 あなたについて-あなたが誰か他の人の代理としてこの申請書に記入している場合は、あなた自身ではなく、申請者本人についてお答えください。

あなたについて

  • 称号
  • その他の名前すべて(フルネームで)
  • これまで知られていた、または現在使用している、その他の姓
  • 性別
  • 住所と郵便番号
  • 昼間連絡が取れるか、メッセ―ジを残すことができる電話番号と、電話番号の種類(自宅、携帯電話、ファクスなど)
  • 生年月日
  • 国籍

居住について

  • 普段はイギリスに住んでいますか?
  • 過去12ヶ月の間に4週間以上海外に滞在したことがありますか?

Q3 疾病および障害

疾病および障害

あなたの疾病あるいは障害は何ですか?主な疾病と障害についてのみお答えください。あなたの疾病あるいは障害があなたにどのような影響を与えているかについて、後で、この申請書の中でお尋ねします。綴り方がわからない言葉があっても、心配しないでください。

錠剤、薬剤、その他の治療薬

これまで医師から受け取った処方箋のリストを印刷した控えがあれば、お送りください。申請書を提出される際に、送付方法をご説明いたします。あなたの疾病あるいは障害のために、何の薬剤、錠剤、またはその他の治療薬が処方されてきましたか?

腎臓透析

こちらで連絡が取れるように、あなたの透析を実施している病院について教えてください。あなたは腎臓透析を受けていますか?

Q4 あなたの状態-当てはまるすべての回答欄に印をつけてください。以下について当てはまる場合、教えてください。

全盲または弱視である。

盲ろうである。

補聴器をつけても聞こえの問題がある。

話し言葉を聞くのにも問題があり、他の人とうまくコミュニケーションが取れない。これは、聞くことや話すことに問題があるか、言語障害の可能性がある。

知的障害がある。

重度の知的障害と重度の行動障害がある。

精神障害がある。

両足を足首より上または足首で切断したか、生まれつき足がない。

まったく歩くことができない。

このリストにない、他の障害がある。

ホームヘルプ、食事の宅配、または障害者支援などのための査定を受けたことがありますか、あるいはケアプランや作業療法報告書を持っていますか?

屋外での歩行

屋外での歩行とは、起伏のある丘や坂ではなく、かなり水平な地面の歩行を意味します。

あなたは歩行するうえで身体的な問題がありますか?これには以下のような原因が考えられます。

  • 歩行により強い不快感あるいは息切れが生じる
  • 心臓病
  • 知的障害あるいは行動障害
  • 切断
  • まひ
  • 生まれつき足がない
  • 体を支えてくれる人が必要
  • 立ち止まって錠剤を飲むことが必要
  • 息切れしやすい
  • バランスや歩き方に問題がある
  • その他

あなたは屋外にいるとき付き添いが必要ですか?

あなたは障害や薬の副作用が原因で、自分がよく知っているところでも、ときどき転んだりつまずいたりしますか?これは屋内でも屋外でも起こる可能性があります。

屋内での移動

あなたは屋内での移動に問題がありますか?いくつか例をあげます。椅子から立ち上がる、屋内を歩き回る、階段の昇降、車椅子の使用、車椅子から椅子等に移動する場合など。

誰かがあなたに屋内で移動するよう命じたり、促したりしなければなりませんか?

あなた自身の言葉で、屋内での移動に関する問題と必要な支援について説明してください。

あなたの屋内での移動を助けることを目的とした、自宅の改装方法や、使用機器について教えてください。あなたが機器を使用する際、誰かが手伝っているかどうかお答えください。

毎回の移動の支援に必要な時間は平均してどのくらいですか?

屋内での移動に支援が必要なのは週に何日間ですか?

1日に何回支援が必要ですか?

Q5 必要な支援

覚醒、起床および就寝

あなたは朝の起床や夜の就寝に問題がありますか?誰かが朝の起床や夜の就寝を命じたり、促したりする必要がありますか?

寝ているときあなたは寝ているときに問題がありますか?

排泄のニーズ

あなたは排泄に関して問題がありますか?誰かがあなたにトイレに行くよう命じたり、思い出させたり、促したりする必要がありますか?

体を洗うことと入浴

あなたは体を洗ったり、入浴したり、シャワーを浴びたり、身なりを整えたりすることに問題がありますか?誰かがあなたに、体を洗ったり、入浴したり、シャワーを浴びたりするよう命じたり、思い出させたり、促したりする必要がありますか?

着替え

あなたは衣服の着脱に問題がありますか?誰かがあなたに服を着たり脱いだりするよう命じたり、思い出させたり、促したりする必要がありますか?

料理

あなたが自分自身で3回の食事を料理する場合、疾病や障害が原因となる問題が生じますか?

飲食

あなたは食事の際、問題がありますか?誰かがあなたに、自分自身で食べたり飲んだりするよう命じたり、思い出させたり、促したりする必要がありますか?

服薬

あなたは薬物治療に関して問題がありますか?誰かがあなたに、服薬を命じたり、思い出させたり、促したりする必要がありますか?

監視者

あなたには誰か監視者が必要ですか?

失神、けいれん、あるいは発作

あなたは、めまいや失神、けいれん、発作、あるいはこれに似たことをおこすことがありますか?例)

  • てんかん
  • 低血糖症
  • 意識・集中力の喪失
  • 意識状態の変化

精神保健

あなたは精神保健上の問題がありますか?

他の人とのコミュニケーション

あなたは他の人とのコミュニケーションに問題がありますか?

Q6 外出時に必要な支援

昼間あるいは夜間の外出時に支援が必要な場合についてそれぞれ教えてください。ここでは、外出時に必要な他の人による支援についてお答えください。昼間あるいは夜間の外出時に、あなたが必要とする支援が得られた場合、あなたがすること、またはするであろうことを教えてください。1週間に何日支援が必要ですか?1日に何回必要ですか?通常、毎回どのくらいの時間、支援が必要ですか?他の人によるどのような支援が必要ですか?

Q7 自宅で必要な支援

ここでは、自宅で必要な他の人による支援について教えてください。自宅で必要な支援が得られた場合、あなたがすること、またはするであろうことをお答えください。1週間に何日支援が必要ですか?1日に何時間必要ですか?通常、毎回どのくらいの時間、支援が必要ですか?他の人によるどのような支援が必要ですか?

Q8 その他の情報

あなた自身の言葉で、あなたの疾病あるいは障害が与える影響について、この申請書の他の部分に書けなかったことを説明してください。

Q9 病院および入所施設による介護

入院

あなたは現在入院中ですか?

過去6週間

あなたは過去6週間以内に、病院または入所施設を退院・退所しましたか?

Q10 問題の発生時期

あなたが回答なさった問題がいつから発生したのかを教えてください。移動の問題と日常生活における介護の問題が異なる日に発生したのであれば、それについてお答えください。できれば正確な日付を教えてください。ただし、思い出せない場合は、だいたいいつであったかをお答えください。移動に問題がある場合、それがいつから始まったかを教えてください。日常生活における介護の問題がある場合、それがいつから始まったかを教えてください。

連絡先

あなたの疾病や障害について教えてくれる人は誰か他にいますか?

医師および専門家

あなたにはかかりつけ医(GP)がいますか?あなたは過去12ヶ月の間に、疾病や障害のために病院の医師または専門家の診察を受けましたか?

同意

あなたの申請に関する情報を得るために、あなたのかかりつけ医(GP)やあなたに関わりのある人物または機関に、こちらから連絡をとることを希望する場合があります。これには、あなたの申請に関わる医療情報も含みます。あなたは、私たちがそのような人物あるいは機関と連絡をとることに同意する必要はありません。しかし、そのような情報を私たちが入手することにあなたが同意しない場合、あなたの申請に関して、あなたが受給資格の条件を満たすと納得できる十分な情報を私たちが入手できない可能性があります。雇用年金局あるいはあなたのかかりつけ医(GP)を含む医師、または国務大臣によって承認された機関の代理として医療サービスを提供している医師は、以下のことに対処するために必要な、医療情報を含むすべての情報を、いかなる人物あるいは機関にも請求することが許されており、その情報は医師や当局に提供されます。

  • この給付金の申請
  • この申請に関わるすべての要請またはその他の決定の見直し

あなたを知る人

このページは自由記入です。あなたのことや、あなたの疾病または障害があなたにどのような影響を与えているかを最もよく知っている人物による記述を得たいと考えています。最適なのは、あなたの治療や介護に最も深くかかわっている人物です。これは、この申請書にすでに記載されている人物である場合もあります。あなたが障害者の代理としてこの申請書に記入している場合は、あなたではなく、別の人物について詳細を教えてください。以下の内容を記入してください。

  • 称号
  • その他すべての名前(フルネームで)
  • 住所/郵便番号

Q11 手当て、年金および税額控除

忘れないでください-あなたが誰か他の人のためにこの申請書に記入している場合は、申請者本人の手当てについてお答えください。あなたが現在これらの手当てのいずれかを受給している場合、あるいはこれらのいずれかについての通知を待っている場合、教えてください。障害者生活手当(Disability Living Allowance)を、他の手当てとまとめて支給することも可能です

  • 州退職年金(State Retirement Pension)
  • 遺族手当(Bereavement Benefits)
  • 就労不能給付(Incapacity Benefits)
  • 重度障害者手当(Severe Disablement Allowance)
  • 介護手当(Attendance Allowance)
  • 障害者生活手当(Disability Living Allowance)
  • 労災障害給付(Industrial Injuries Disablement)とともに支給される常時介護手当(Constant Allowance)

過去3年間の障害者手当(Disability Allowance)について

あなたが過去に申請したことがある障害者手当について知る必要があります。あなたが過去に申請した手当てについて教えてください。過去3年の間に、あなたがこれらの手当てのいずれかを受給していたが、現在は受給していない場合、あるいはこれらの手当てのいずれかを却下されたことがある場合は教えてください。

戦争年金について

あなたは戦争年金を受給していますか?あるいはこれに関する通知を待っているところですか?あなたの年金とあわせて受給している、あるいは通知を待っている、すべての補助金や手当てについても教えてください。

所得補助(Income Support)、求職者手当(Jobseekers allowance)または年金

あなたは所得補助、求職者手当または年金を受給しているか、あるいはこれらに関する通知を待っているところですか?

あなたの世帯の中で、所得補助、求職者手当または年金を受給している人、あるいはこれらに関する通知を待っている人は誰か他にいますか?

申請が認められた場合の支払いについて

通常、障害者生活手当は直接口座に入金されます。これはもっとも安全な支払い方法で、お金をいつ、どうやって受け取るかをあなたに選んでいただきます。銀行あるいは住宅金融組合がご利用いただけます。あなたの障害者生活手当は、4週間ごとに口座に入金されます。初回入金日と入金金額をお知らせします。初回以降、毎回の入金は、状況に変化がない限り、同じ金額となります。あなたの口座への入金金額が変わることがわかりましたらすぐにご連絡いたします。ご希望があれば、あなたに代わって定期的に障害者生活手当を取りに行くことを誰か他の人に頼むこともできます。この支援については、ご利用の銀行、住宅金融組合、また郵便局のカード勘定をお持ちの場合は郵便局にお問い合わせください。

3/「所得補助」「求職者手当」「就労不能給付」の申請内容

*調査員がインターネット上で給付金申し込みのサイトに申請し、返信されてきた質問を以下に記す。

下記の書類をご用意いただくとよいでしょう。

  • 国民保険番号
  • 代理請求の場合、本人に関する詳細情報
  • 退職日など、雇用に関する詳細情報
  • 罹患日など、疾病に関する詳細情報

Q1 何か言語に関する要望がありますか?

Q2 この申請はあなた自身のためですか、それとも誰か他の人のためですか、または第三者として行っているのですか?

Q3 あなたに関する詳細情報

  • 称号
  • 生年月日
  • 国民保険番号
  • 性別
  • 国籍
  • 結婚歴

Q4 パートナーはいますか?パートナーとは、次のような人です。

  • 結婚相手または結婚しているかのように同居している相手
  • 同性婚の相手(シビルパートナー)または同性婚であるかのように同居している相手
  • 同世帯員
  • 一時的に同じ住所には居住していない人も含めます。

Q5 あなたには同居している20歳未満の扶養児童がいますか?つまり、あなたの世帯に永久に住んでいる、あなたに扶養責任がある児童はいますか?

Q6 あなたには現在職がありますか?給与の支払いは受けていますか、それとも受けていませんか?これまで一時解雇されたり、短期雇用となったり、一時的に休職になったりしたことがありますか?あなたのために常に用意されている仕事がありますか?

Q7 あなたは永久的に、老人ホーム、養護施設、あるいは入所施設に滞在していますか?

Q8 あなたはどの手当てを請求する資格があるかを確認するために、あなたの貯蓄に関する詳細情報が必要です。あなたのジョブセンタープラスによる手当て受給資格の有無は、貯蓄額の影響を受ける場合があります。これには以下のものが含まれます。

  • 天引き貯金
  • 一時金
  • 投資金
  • 不動産-あなたが住んでいる家を除く
  • 信託受益権
  • 管理されていない財産

4/ドーセット・カウンティカウンシル全域 単一評価 総合査定

ドーセット・カウンティカウンシル全域 統一査定
総合査定

人口学的情報記入用紙(SS 0676)を添付してください。

査定の際には、その人物が自力でできること、利用できる支援または機器、そして必要な支援を検討してください。

病院ID: 社会サービス(SS)ID:
国民保健サービス(NHS)番号: 国民保険(NI)番号:
姓: 名:
生年月日:   /   /  
査定日:    /   / 査定地:
経歴および現在の社会的状況:(生い立ち、家庭生活、職業、趣味および関心事、人間関係および支援ネットワーク、介護内容(公式/非公式)、扶養責任/扶養家族、および必要に応じ、人生における重要な出来事に関する詳細を含む。)
専門家による査定が必要な場合具体的に記入:
身体的健康状態:(現在および過去における、循環器、呼吸器、痛み、床ずれ、排便および排尿、予防接種状況、アレルギーなどの医療保健上の問題を含む。)
(保健ケアに関する継続的な査定が必要かどうか検討してください。)
専門家による査定が必要な場合具体的に記入:
この記入用紙は、ドーセット全域の保健・社会サービスにおいて使用することで同意を得ている。 SS 0631(03/08) K
DL 2629


名前: 生年月日:      /     /
精神的健康状態:(情緒的健康、気分および記憶力、方向感覚、理解力および行動上の問題を検討してください。(短期記憶障害はあるか、時間と場所の感覚はあるか、簡単な指示が理解できるか、簡単なことが思い出せるか。)精神医学的診断を受けているか、精神保健チームの支援を受けているか。)
(保健ケアに関する継続的な査定が必要かどうか検討してください。)
専門家による査定が必要な場合具体的に記入: 
薬物治療:(薬物治療がどのように実施されているか、処方されたとおりに服薬できる/しているか、誰が投薬指示を出すのか、誰が処方箋を受け取るのか、どの薬局を使用するのか、薬は配達されるのか、もしそうでなければ誰が薬局から受け取ってくるのか。服薬支援を使用しているか。)
専門家による査定が必要な場合具体的に記入: 
専門家による査定が必要な場合は、地域の医薬品管理チームに連絡し、現在家庭で使用している薬について、薬品名、効力、服薬回数などを記載したリストを提供してください。
コミュニケーション能力:(視力、聴力、会話能力および筆記能力、機器の使用、電話、ケアライン、母国語、通訳や擁護者が必要かどうかなど。コミュニケーション能力が、資産へのアクセス制限に影響を与えているかどうかを検討してください。)
専門家による査定が必要な場合具体的に記入:


名前: 生年月日:      /     /
運動・移動能力:(ベッド、椅子、風呂、トイレ、体重を支える能力、屋内および屋外の歩行、階段および段差、転倒の危険および転倒の経歴、利用できる機器あるいは必要な機器、交通手段など全ての移動。夜間のニーズについても検討してください。)
専門家による査定が必要な場合具体的に記入: 
日常生活の介護および健康で快適な生活の促進:(体を洗ったり、シャワーを浴びたり、入浴したりする能力および衣服を着る能力、歯や足のケア、肌のケア、性に関わるニーズ、排泄およびその調節など。日常生活の介護および睡眠に関する現在の習慣。)
専門家による査定が必要な場合具体的に記入: 
栄養および食事の準備:(特別食の必要性、好み、食物アレルギー、最近の食欲や体重の変化、食事を準備する能力、飲み物、現在の食習慣、嚥下能力、自力で食事ができるかどうかなど。推定体重あるいは実際の体重を記録してください。)
専門家による査定が必要な場合具体的に記入: 
(栄養障害ユニバーサルスクリーニングツール(M.U.S.T.)による査定が必要かどうか検討してください。)


名前: 生年月日:      /     /
買い物・家事・ガーデニング:(地域の施設へのアクセス、家の手入れおよび家事などを含む。)
専門家による査定が必要な場合具体的に記入:
住宅:(アクセス、間取りおよび設備、持ち家か賃貸かなどの記述。部屋のタイプ、暖房器具、家主(わかっている場合)、不動産の状態、家の防犯および安全性。)
専門家による査定が必要な場合具体的に記入:
財政:(年金の受給方法、現金の供給方法、請求書の支払い方法。第三者(永続的な代理人や被指定人など)が関与しているのか。給付金に関するアドバイスが必要か。)
専門家による査定が必要な場合具体的に記入: 


名前: 生年月日:      /     /
介護者の意見:
介護者の査定が必要な介護者はいますか?      はい□  いいえ□
「はい」の場合、社会サービス部に照会しましたか? はい□  いいえ□
査定に引き続き必要な措置(査定者の行動および紹介先を含む):
被査定者は照会することについて知っていますか?  はい□  いいえ□
同意書に署名を得ましたか?            はい□  いいえ□
追加コメント(被査定者、介護者、査定者/マネジャーのコメント):
被査定者:私はこの査定に参加し、その措置に同意しました。 はい□  いいえ□
本用紙記入者氏名:
署名: 日付:   /   /
連絡先電話番号:  
マネジャーの署名(必要な場合):