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第4節 フランス

(フランス共和国)
République français

1.障害者介護サービスに関する調査

2.モデルに関する調査

3.障害児に関する調査

添付資料
1/生活計画
2/補償給付又は補償手当更新申請書
3/健康診断書

永野 仁美 (東京大学大学院法学政治学研究科博士課程)

大曽根 寛 (放送大学教授)


1.障害者介護サービスに関する調査

(1)障害の定義、範囲、区分(制度別)

障害の定義は、社会福祉・家族法典L.114条にある。同条は、障害を「1つ又は複数の身体・感覚器官・知能・認識・精神に関する機能の実質的永続的決定的悪化、重複障害(polyhandicap)1)、あるいは、健康上のトラブルを理由として、障害者が、その環境において被る活動の制限あるいは社会生活への参加の制約のすべて」と定義している。

この定義は、2001年に世界保健機関(OMS;Organisation Mondiale de la Santé/英語ではWHO)が採択した国際生活機能分類(ICF)に着想を得たものと言われており、2005年2月11日の「障害者の権利と機会の平等、参加、市民権に関する法律」(以下、2005年法と記す)2)によって導入された。

なお、各制度の対象となる障害の範囲や程度は、それぞれの制度ごとに定められている。例えば、障害年金制度では、障害は労働・稼得能力の減退を意味し、労働・稼得能力が3分の2以上減退している場合に、障害年金の支給がある(補足情報:所得保障(5)支給対象者、受給者数a)障害年金 参照)。また、成人障害者手当(AAH;Allocation aux adultes handicapés)制度では、障害は障害率で示され、障害率が80%以上である場合や、障害率が50%以上80%未満であり、かつ、一定の条件を満たす場合に、AAHの支給が認められる(補足情報:所得保障(5)a)及び(6)b)参照)。さらに、障害補償給付(PCH;Prestation de compensation du handicap)制度では、障害は、活動(行為)の実現における困難のことを指す(「(2)要介護者の定義、範囲、区分」及び「(12)認定基準」参照)。

(2)要介護者の定義、範囲、区分

障害補償給付(PCH)は、以下の2つの類型に当てはまる者に支給される。第1に、障害の結果、生活の基本的活動(行為)の1つを行うことが極めて困難である者、第2に、基本的活動(行為)の少なくとも2つを行うことに重大な困難がある者、である(社会福祉・家族法典Annexe2-5 1)(詳細は「(10)給付対象者」「(12)認定基準」を参照)。

PCHは、障害の種類や原因、年齢3)、在宅か施設入所か4)を問わず、以上のような困難を基準として認められる権利である。

(3)制度の名称、根拠法

障害の結果生じる超過費用(福祉サービスの利用や装具の購入等)を補償するものとして、障害補償給付(PCH)の制度が用意されている。PCHは、社会福祉・家族法典L.145-1条~L.145-14条に規定されている。

(参考)歴史的経緯

障害補償給付(PCH)は、2000年11月の破毀院判決(原告の名前をとってペリュシュ判決と呼ばれる)5)により喚起された障害者問題への関心の高まりの中で6)、2005年法により創設された新しい給付である。

ペリュシュ判決は、風疹への罹患の有無に関する医師・検査機関の誤診のために先天性障害を持って生まれてきた子の医師・検査機関に対する損害賠償請求を認めたものであるが、これは、いわゆるロングフルライフ(Wrongful Life)訴訟7)を認めたもので、フランス社会に大きな衝撃を与えた。同判決への立法による対応として、まず、反ペリュシュ判決法が制定され8)、ペリュシュ判決の効果に終止符を打つと同時に、「全ての障害者は、その障害の原因に関わらず、国民集合体の連帯に対する権利を有する」ことが確認された。また、同時期に国会で審議されていた社会現代化法では、障害者は、機能障害の原因・性質、年齢、生活様式が何であれ障害の結果を補償される権利、そして、日常生活における基本的ニーズ全体をカバーできる最低所得保障への権利、を有することが確認された。前者の権利を具体化したものが、2005年法によって創設されたPCHである。

PCHは、従来型の第三者補足手当(ACTP)9)に代わるとものとして導入されたが、支給対象者は、PCHのほうが広い。

(4)運営主体

障害補償給付(PCH)の運営主体は県である。PCHに関する手続きは、各県に設置された県障害者センター(MDPH;Maison départementale des personnes handicapées)で行われる。MDPHは、障害者の障害に関連する手続きを容易にするために、唯一の窓口として2005年法によって導入された機関であり10)、PCHの支給決定も、このMDPH内に設置された障害者権利自立委員会(CDAPH;Commission des droits et de l’autonomie des personneshandicapées)(「(11)認定主体」参照)で行われる。

他方、PCH にかかる予算は、全国自立連帯金庫(CNSA;Caisse nationale de solidarité pour l’autonomie)が負担する。同金庫は、2004年6月30日の法律により創設された新しい公的機関であり、高齢者と障害者への支援の予算を負担する。

CNSAの財源の1つは、自立連帯負担金である。これは、高齢者・障害者の自立支援のための予算を捻出するために、CNSAの創設と同時に、上記2004年法により創設されたもので、それまで休日であった1日を労働日とし(この労働日は「連帯の日」と呼ばれる)、その日に生じた収益を自立連帯負担金として企業から徴収し、高齢者・障害者の自立支援費にあてるというものである。企業は、自立連帯分担金として、疾病保険の使用者負担保険料と同じ賦課基礎に0.3%を乗じた額を納めなければならない(社会福祉・家族法典L.14-10-4条1o)。

この自立連帯負担金により、2007年には、22億ユーロの収入がCNSAにもたらされ、5億3,000万ユーロが、PCHのために支出された。

なお、CNSAの財源には、他に、一般社会拠出金(CSG;Contribution sociale généralisée)の0.1%(10億8,000万ユーロ)、年金金庫からの分担金(6,450万ユーロ)、高齢者にあてられる疾病保険予算からの移転分(48億ユーロ)、障害者にあてられる疾病保険予算からの移転分(70億ユーロ)がある(いずれも、2007年の数値)11)

(5)制度の体系・相互の位置づけ

a)社会保障制度との関係

社会保障制度から同じ性格の給付がなされる場合、その給付の分だけ、障害補償給付(PCH)は減額される(社会福祉・家族法典R.245-40条)。例えば、カテゴリー3の障害年金を受給している場合(すなわち、第三者による介護を必要とする障害者に支給される第三者介護加算を受給している場合)、この加算分だけ、PCHの1つである人的支援の支給額は減額される。

その他、PCHの1つである技術的支援は、疾病保険の払戻対象製品・給付リスト(LPPR;Liste de produits et prestations remboursables)に掲載されているもの(すなわち、疾病保険からの償還があるもの)については、疾病保険で償還されない部分について、費用の補償を行うこととしている(詳細は「(7)給付内容/B.支給限度額b)技術的支援」を参照)。

b)高齢を理由とする給付との関係

(8)障害者のみの付加給付」を参照のこと。

(6)加入対象者、加入者数

障害補償給付(PCH)は、無拠出制の給付であり、社会保険の形態をとっていないため、加入の概念はない。

受給者数についてみれば、2007年12月には、2万8,600人がPCHを受給した。2007年6月の数値は1万7,700人であり、半年で1万人以上受給者が伸びたことになる。ただし、従来型の第三者補足手当(ACTP)を受給している者も多く(11万8,000人)12)、これを含めると、受給者は、14万6,000人に及ぶ(受給者の推移については、図表1を参照)13)。PCHのほうがACTPより支給対象者が広いため、合計数は増大しつつある(詳細は「(13)認定者数」を参照のこと)。

図表1 ACTP及びPCHの受給者数の推移
グラフ ACTP及びPCHの受給者数の推移拡大図・テキスト

(7)給付内容

A.給付の内容

給付には、a)人的支援(aides humaines)、b)技術的支援(aides techniques)、c)住宅・自動車の改修費支援・交通にかかる超過費用(aménagement du logement, du véhicule et surcoûts resultant du transport)、d)特別・例外的負担(charges spécifiques ou exceptionnelles)、e)動物による支援(aides animalières)の5種類がある。

a)人的支援

人的支援は、生存のための基本的活動(行為)14)に第三者の支援、あるいは、定期的な訪問(surveillance)15)が必要な場合、さらには、職業活動や公選の職務の遂行に追加的費用16)がかかる場合に支給される(社会福祉・家族法典L.245-4条。以下、法典名は省略)17)。なお、職業活動や公選の職務の遂行にかかる追加費用に、労働ポストでの付き添いの費用(frais liésà l’accompagnement de la personne sur son poste de travail)は含まれないとされる(R.245-6条)。また、個別自立手当(APA;Allocation personnalisées d’autonomie,高齢者の福祉サービスの利用を補償する金銭給付)では認められる家事支援(日常の用足し、食事の準備、掃除、選択、アイロン等)は、障害補償給付(PCH)では負担されない。家事支援に対するニーズは、1ヶ月に30時間の範囲内で、県の社会扶助(l’aide sociale départementale)によって負担される(ただし、所得制限あり)18)

人的支援は、障害者の選択に基づき、直接雇用した1人又は複数の被用者(家族の場合もある)に直接報酬を支払うため、又は、承認された在宅支援サービスに利用料を支払うために使用される。障害者の状態が、必要不可欠な行為のほとんどについて支援を必要としている場合には、配偶者(事実婚、民事連帯契約(PACS)19)を含む)や一親等の扶養義務者による介護にも、この人的支援が支給される点に特徴がある。(L.245-12条1・2項、D.245-8条)

b)技術的支援

技術的支援は、障害者の活動の制限を補う器具(instrument)、設備(équipement)、そして、特別仕様の技術システムの購入・レンタルにかかる費用に対する支援である(D.245-10条)。

2005年12月28日のアレテ(省令)20)に記されたリスト(AnnexeI-2)にあるもの、及び、疾病保険の払戻対象製品・給付リスト(LPPR)にあるものが、技術的支援で負担される21)

技術的支援は、第1に、1つ又は複数の活動(行為)について障害者の自立を維持・改善する場合、第2に、障害者の安全を保障する場合、第3に、又は支援者の介入を容易にするために必要な手段を実施する場合、に支給される。また、技術的支援は、障害者の生活習慣や環境も考慮に入れた障害者のニーズに適合していること、また、そのニーズを満たすものであることが求められる22)

c)住宅・自動車の改修費支援・交通にかかる超過費用

住宅に対する支援には、障害者の自立の維持・改善のために行われる住宅の改修やアクセシビリティの確保された住宅への引越しにかかる費用等が含まれる(D.245-14条)。

住宅の改修は、日常生活で使用する場所(寝室、居間、台所、トイレ、浴室)だけでなく、場合によっては、就労活動や余暇に当てている部屋についても行われうる。また、必要な場合には、教育や育児を保障するための改修も行われうる。改修は、障害者の活動の制限に直接関係するニーズに対応したものでなければならない。このニーズは、一時的なものであっても良いが、その場合には、活動の制限が少なくとも1年なければならない。両親が離婚(別居)している場合には、養育をしていない親の家の改修に対しても、障害補償給付(PCH)は支給される。また、施設入所している場合にも、1年間に30日以上自宅に戻る場合には、PCHの支給がある。住宅の改修が不可能な場合や、コストがかかりすぎる場合には、障害者は、アクセシビリティの確保された住宅への引越しを選択することができ、その引越しの費用が、PCHにより補償される23)

交通に対する支援としては、第1に、自動車(障害者自身が運転する車、又は、同乗する車)の改修費用への支援、第2に、又は交通にかかる超過費用に対する支援がある(D.245-18条)。後者の交通にかかる超過費用には、日常的に必要な交通費だけでなくバカンス(départ annuelen congés)にかかる費用も含まれるとされる(D.245-20条)。

d)特別・例外的負担

特別負担には、障害に起因する恒久的・予見可能な費用で、他の項目でカバーされない費用が含まれる24)。他方、例外的負担には、一時的な費用で、他の項目でカバーされない費用が含まれる25)。(D.245-23条)

e)動物による支援(盲導犬・介助犬)

動物による支援は、それが障害者の自立生活の維持・改善に貢献する場合に限り、認められる(D.245-24条)。盲導犬や介助犬にかかる費用の支給を受けるには、盲導犬・介助犬が、品質を保証された機関で、資格ある指導員によって訓練されていなければならない(L.245-3条5o)。

B.支給限度額

それぞれの支給限度額を、以下に記す。

a)人的支援

在宅支援者を直接雇用する場合、1時間11.57ユーロの支給がある。契約の締結方法26)として委任方式(service mandataire)を利用する場合は、1時間12.73ユーロ、派遣方式(service prestataire)を利用する場合は、1時間17.19ユーロの支給となる(ただし、別途県議会が価格を定めている場合はこの限りではない)。家族支援者への報酬とする場合には、1ヶ月865.05ユーロの範囲内で、1時間3.36ユーロが支払われる(職業活動を全部又は一部停止している場合には、1時間5.05ユーロ)。図表2に、人的支援の種類及び単価を記しておく。

図表2 人的支援の種類及び単価

支援の種類   時間単価 上限(月額)
家族支援者(1) 就労しておらず、就労にいかなる影響もない者 3.36€ 865.05€
家族支援者(2) 介護のために、就労活動の全部又は一部を停止している者 5.05€ 865.05€
直接雇用 1人の被用者につき週40時間まで 11.57€
(*)
被用者1人につき1,851.20€
(4.2人の被用者で7775.04€)
委任方式 使用者としての事務は非営利組織(association)が行う。障害者自身が、使用者。 12.73€ 9,165.06€
(30日の給付に対して)
派遣方式 非営利組織が全ての事務を行い、非営利組織が使用者。 17.19€ 12,376.08€
(30日の給付に対して)

(*)直接雇用の場合、サービスを利用する障害者は労働契約上の使用者となる。この単価には、障害者が使用者として負担する社会保険料分も含まれている。

出典;MDPH77作成資料(2009年2月現在)

b)技術的支援

疾病保険の払戻対象製品・給付リスト(LPPR)に掲載されているものについては、疾病保険でカバーされない部分が、障害補償給付(PCH)により補償される。他方、LPPRに掲載されていないものについては、価格の75%までがPCHにより補償される。

技術的支援は、原則として3年間で3960ユーロまで支給される27)。

c)住宅・自動車の改修費支援・交通にかかる超過費用

住宅の改修費としては、10年間で最高1万ユーロ28)が支給される。また、引越しの費用としては、10年間で3,000ユーロまでが支給される。

自動車の改修費としては、5年間で最高5,000ユーロ29)が支給される。交通費の支援は、自家用車での移動については、1キロメートルにつき0.50ユーロの支給がある。他の交通手段の利用については、費用の75%までが障害補償給付(PCH)により補償される。上限は、5年間で5,000ユーロである。ただし、自宅と職場との間、及び、自宅と病院や社会福祉施設との間の移動を第三者に頼んでいる場合、あるいは、その距離が往復50キロメートル以上の場合には、上限は1万2,000ユーロに引き上げられる。

d)特別・例外的負担

特別負担としては、費用の75%まで、1ヶ月最大100ユーロが、例外的負担としては、3年間で最大1,800ユーロが支給される。

e)動物による支援(盲導犬・介助犬)

最大支援額は、5年の期間ごとに3,000ユーロ、あるいは、1ヶ月につき50ユーロである。

(8)障害者のみの付加給付

障害補償給付(PCH)は障害者を対象とする給付である。高齢者に対しては、個別自立手当(APA,高齢者の福祉サービスの利用を補償する金銭給付)が支給されることとなっている。

(参考)高齢者を対象とする給付との関係

障害補償給付(PCH)は、2008年の段階では、原則として、60歳前に支給申請がなされなければならない(社会福祉・家族法典D.245-3条1項)。60歳を超えると、一般的には、個別自立手当(APA)が支給されることになる。しかしながら、これには、一定の例外が認められている。

まず、60歳以上75歳未満の者で、60歳以前にPCHの支給基準を満たしていた者は、PCHの支給を申請することができる(D.245-3条1項)。次に、第三者補足手当(ACTP)の受給者は、年齢制限なく(つまり、75歳以上でも)、PCHの支給を申請することができる(ただし、ACTPとPCHの併給は不可能)(D.245-3条2項)。

また、60歳前にPCHの権利を獲得していた者は、60歳に達したとき、又は更新に際して、PCHの受給かAPAの受給かを選択することができる(L.245-9条1項)。受給者が、選択を行わなかった場合には、PCHを選択したものとされる(L.245-9条2項)。また、更新についての年齢上限は設定されていない。

(9)ケアマネジメント

ケアマネジメントは、県障害者センター(MDPH)内に設置された学際チーム(équipe pluridisciplinaire)30)が行う。学際チームは、障害者本人が作成した生活計画(projet de vie)(添付資料1参照)を基に、障害者本人の意見を聴取し、話し合いを行いつつ、障害者の持つ補償のニーズに関する評価を行い、個別補償プラン(plan personnalisé de compensation)を作成する。この個別補償プランに、上記の人的支援や技術的支援等の内容が書き込まれることとなる(最終的な支給内容の決定は「(15)要否判定方法」参照)。

具体的な障害者のニーズの評価にあたっては、GEVA(Guide d’EVAluation,評価ガイド)が参照される(社会福祉・家族法典L.146-8条)31)。GEVAには8つの側面が含まれており、これにより、障害者のおかれた状況全体を考慮することが可能とされている。8つの側面とは、1.家族や社会的身分、収入に関する側面、財政的側面、2.住居や生活環境に関する側面、3.教育や職業に関する側面、4.医学的側面、5.心理学的側面、6.活動(行為)や機能に関する側面、7.実施されている支援に関する側面、8.総合的観点から見た側面、である。特に、活動(行為)や機能に関する側面では、活動(行為)の遂行における困難の有無、実際に活動(行為)を実現している程度、活動(行為)の実現を容易にする要因、さらには、困難にする要因等が詳細に検討されることとなっている32)

(10)給付対象者

障害補償給付(PCH)の給付対象者は、障害の結果、生活の基本的活動の1つを行うことが極めて困難である者、及び、基本的活動の少なくとも2つ33)を行うことに重大な困難がある者、である(社会福祉・家族法典Annexe2-5 1)。

困難は、決定的なもの、又は、1年以上継続することが予測されるものでなければならないが、障害者の状態が安定している必要はない(Annexe2-5 1(b))。

(11)認定主体

障害補償給付(PCH)の支給決定は、県障害者センター(MDPH)内に設置された障害者権利自立委員会(CDAPH)が行う。

CDAPHは23名で構成され、委員には、県の代表、国の代表(医師を含む)、労使代表、障害者施設の運営機関の代表、障害者団体の代表等が含まれる。なお、委員の少なくとも3分の1は、障害者団体の代表でなければならない。(社会福祉・家族法典L.241-5条、R.241-24条)

CDAPHは、PCHに限らず、各種社会給付(AAH(成人障害者手当)等)の支給決定や障害労働者認定等、障害者の権利に関するあらゆる決定を行う委員会である(L.241-6条)。

(12)認定基準

障害補償給付(PCH)の支給基準は、生活の基本的活動(行為)の1つを行うことが極めて困難であること、及び、基本的活動(行為)の少なくとも2つを行うことに重大な困難があること、である(社会福祉・家族法典Annexe2-5 1)。

「極めて困難である」とは、自分の力ではある行為を全くできない場合を指し、「重大な困難がある」とは、ある行為を行うことが辛うじてできる、あるいは、通常よりも損なわれた方法でしかできない場合を言う。

困難の水準は、健康に問題のない同年齢の者の活動(行為)の実現を参照しつつ、障害者の機能上の能力、支援がない場合の能力を分析して決定される。さらに、決定に際しては、長期に進行し、困難を悪化させうる症状(痛み、不快、疲労、緩慢等)も考慮される。(Annexe2-5 2)

(13)認定者数

障害補償給付(PCH)の受給者数は、「(6)加入対象者、加入者数」で示したように、2007年12月の段階で、2万8,600人であった34)。従来型の第三者補足手当(ACTP)を受給している者(11万8,000人)を含めると、受給者は、14万6,000人に及ぶ(2006年12月末との比で+5.5%)。

上記のPCH受給者のうち、人的支援35)の支払いを受けた者は、全体の88%であった。技術的支援を受けた者が4%、住宅又は自動車の改修のための支援を受けた者が10%、そして、特別・例外的負担に対する支援を受けた者が16%であった。

男女比について見ると、PCH受給者に占める男性の割合は48%、女性の割合は52%であった。また、年齢層別に見ると、45歳~59歳の者が全受給者の47%を占め、60歳以上の者の割合は12%であった36)

(14)利用手続き、所管窓口

障害補償給付(PCH)の申請は、県障害者センター(MDPH)の窓口に行う。MDPHで申請が受け付けられると、「(15)要否判定方法」に記す手順で、PCHの支給が決定される(申請に際して必要な書類の書式については、添付資料(1/生活計画2/補償給付又は補償手当更新申請書3/健康診断書)を参照のこと)。

(15)要否判定方法

障害者本人が作成した生活計画(projet de vie)を基に、県障害者センター(MDPH)内に設置された学際チームが、障害者本人の意見を聴取し、話し合いを行いつつ、障害者の補償ニーズの評価を行い、個別補償プラン(plan personnalisé de compensation)を作成する(例えば、人的支援に必要な時間数が、ここに書き込まれる/ここまで、「(9)ケアマネジメント」と同じ)。

プランが確定すると、その内容が、本人又は法定代理人に通知され、プランに対する意見表明のために、本人又は法定代理人には15日間が与えられる。その後、同プランと意見書が障害者権利自立委員会(CDAPH)に送られ、CDAPHが補償給付の支給に関する最終的な決定を行うこととなっている。

(16)利用者負担額

障害補償給付(PCH)の支給には、受給者の収入に応じて異なる負担率が課せられている。すなわち、収入が2万4,259.88ユーロ(2008年1月1日現在)以下の者の自己負担率は0%であるが、収入がこれを超える者には、20%の自己負担率が課せられる(R.245-46条、2005年12月28日のアレテ1条37))。ただし、上記のように支給には上限があるため、自己負担率0%の者でも、完全に自己負担がないわけではない。

なお、負担率の決定に際し考慮される所得には、以下のものは含まれない(L.245-6条2項)。

  • 本人の就労所得
  • 労災被害者及びその被扶養者に支給される一時金や給付、終身年金
  • 一定の代替所得(法令又は協約に基づく高齢・障害に対する給付)
  • 配偶者(事実婚、民事連帯契約(PACS)を含む)、同居し実際に支援を行っている家族支援者、両親(同居の場合)の就労所得
  • 終身年金(障害貯蓄契約や遺族年金/本人、又は、両親・法定代理人・祖父母・兄弟姉妹・子が本人のために設定したもの)
  • 固有の目的を有する一定の社会給付(例:家族給付、住宅手当、参入最低所得(RMI:Revenu minimum d’insertion)等)

加えて、PCHについては、所得が増大した場合や受給者の遺産を相続した場合等に、他の社会扶助給付で行われるような「費用の返還」の対象にもならない(L.245-7条2・3項)。

【低所得者への配慮】

上記のように、障害補償給付(PCH)には支給上限があるため、自己負担率0%の者でも完全に自己負担がないわけではない。そこで低所得者に対しては、PCHの支給に加え、各県の県障害者センター(MDPH)が管理運営する県補償基金(FDC;Fonds Départmental de Compensation)より支援がなされることとなっている(L.146-5条)。ただし、支給のルールは、各FDCが決定するため、全国的に統一ではない。また、支援の額はケースにより異なる。

この県からの支援は、生活計画(projet de vie)の内容が何であれ(電動車椅子の購入、バスルームの改修等)、計画の実現が金銭的に困難な者全てに提供される。

なお、市町村が、さらなる金銭的支援をすることもある38)

■補足情報(所得保障)

障害者に対する所得保障制度は、福祉サービスの利用料負担のあり方とも絡んで重要である。そこで、以下で、フランスにおける障害者所得保障制度について概観しておく。

(1)制度名、準拠法

所得保障の制度としては、第1に、疾病保険から支給される障害年金39)、第2に、障害年金の支給要件を満たさない障害率80%以上の者に支給される成人障害者手当(AAH)、そして、第3に、AAHを補足する自立生活加算(MVA;majoration pour la vie autonome)及び所得補足手当(complément de ressources)がある。障害年金が、保険料の拠出を前提とする社会保険給付であるのに対し、AAH及びこれを補足する手当は、税を財源とする非拠出制の給付である。

障害年金は社会保障法典第3編第4部に、成人障害者手当(AAH)及びAAHを補足する手当は、社会保障法典第8編第2部及び社会福祉・家族法典第2編第4部第4章(社会保障法典の規定への言及)に規定がある。

(2)支援内容

a)障害年金(l’assurance invalidité)(社会保障法典第3編第4部)

フランスでは、障害は疾病の延長と見なされ、障害年金は、疾病保険制度から支給される。

年金額は、被保険者期間のうちで賃金の高かった10年40)の平均賃金を基に計算されるが、就労を継続しているか否か、第三者による介護が必要か否かによって異なっている。また、最低保障額がデクレ(政令)で設定されることとなっている。(社会保障法典L.341-5条、以下法典名は省略)41)

まず、就労が可能な者(カテゴリー1)には、被保険者期間のうちで最も賃金の高かった10年の平均賃金42)の30%が支給される(L.341-4条、R.341-4条)。

次に、就労は不可能だが、第三者の介護を必要としない者(カテゴリー2)には、同平均賃金の50%が支給される(L.341-4条、R.341-5条)。

最後に、就労が不可能で、かつ、第三者の介護を必要とする者(カテゴリー3)には、同平均賃金の50%に加え、第三者介護加算として+40%が支給される(L.341-4条、R.341-6条)。

就労所得が期待できない者についてはより高い額の年金が支給され、さらに、第三者による介護が必要な者には、それにかかる費用を考慮して加算がなされることとなっている。

b)成人障害者手当(AAH)(社会保障法典第8編第2章)

他方で、障害年金の支給条件を満たさず、障害年金を受給できない者に対しては、成人障害者手当(AAH)が支給される。AAHは、国による障害者への最低所得保障の制度として性格づけられ、他の給付を補足して支給される点に特徴がある。

なお、サルコジ(Sarkozy)大統領は、2012年までにAAHの水準を25%引き上げることを掲げており、その第1段階として、2008年9月に3.9%の引き上げがなされたところである43)

AAHの月額は、満額で652.60ユーロである(2009年1月1日現在)44)。他の年金・手当や所得(上記、計算後の所得)がある場合には、満額のAAHとこれらの差額分が支給される(D.821-2条3項)。つまり、AAHと他の所得との合計が、AAHの額を超える場合には、超えた部分について、AAHが減額される。

なお、医療施設や福祉施設に入所して60日が経過すると、原則として、その月の1日からAAHの支給額は30%に減額される(L.821-6条1項、R.821-8条)。

また、AAH受給者という資格を利用して、将来契約(CA;Contrat d’avenir)や就業最低所得参入契約(CI-RMA;Contrat insertion - revenu d’activité)といった支援付労働契約を締結する場合には、使用者に支給される補助金の分だけ(=参入最低所得(RMI)の額)、AAHは減額される(L.821-7-2条)45)

c)成人障害者手当(AAH)を補足する手当

以上のAAHに加えて、2005年法では、障害者の自立生活の促進を目的として、新たに2つの手当が導入された。1つめが、所得補足手当(complément de ressources)であり、もう1つが、自立生活加算(MVA)である46)

【所得補足手当(complément de ressources)】(L.821-1-1条)

1つめの所得補足手当は、働くことのできない障害者に支給されるもので、永続的な就労所得の不在を補う機能を持つ。月額は、179.31ユーロ(2009年1月1日現在)である。

所得補足手当とAAHとの合計は、831.91ユーロとなり、これが、働くことのできない障害者への所得保障として機能している。この額は、税等控除後の法定最低賃金(SMIC;Salaireminimum interprofessionnel de croissance)47)月額の約80%に相当する。

【自立生活加算(MVA)】(L.821-1-2条)

他方、MVAは、働くことはできるが働いていない障害者の自立生活の促進を目的として支給されるものである。上記の所得補足手当との併給はできない。月額は、104.77ユーロ(2009年1月1日現在)である。

(3)財源、保険料負担

a)障害年金

障害年金は、保険料の拠出を前提として、疾病保険から支給される社会保険給付である。疾病保険は、使用者及び被用者が拠出する保険料を主たる財源としてきたが、1997年には、一般社会拠出金(CSG)が疾病保険財政に投入されることとなり、その後、CSGが医療財政に占める割合は増加してきている(租税代替化)。

2008年現在、保険料率は、使用者負担分が12.8%、被用者負担分が0.75%である48)

支出について見ると、2007年に一般制度から障害年金給付のために支払われた額は、43億9,780万ユーロであった49)。他の制度から支給される障害年金もあるため、それらを含めると、障害年金として支給された額はより大きい。

b)成人障害者手当(AAH)及びAAH補足手当

他方、AAH及びAAHを補足する手当は、保険料の拠出を前提としない無拠出制の給付である。支払いは、家族手当金庫(CAF;Caisse d’allocations familiales)が行う。CAFからは、家族政策に関連する給付と貧困対策(lutte contre précarité)に関連する給付とが支給されるが、前者が、社会保険料及び一般社会拠出金(CSG)を主たる財源とするのに対し、後者は、国や自治体からの分担金を財源とする。AAHは後者に属し、国が、全国家族手当金庫(CNAF;Caissenationale d’allocations familiales)に対し、AAH及びその補足手当の支給分を出資する構造になっている。(社会保障法典L.821-5条)

2007年には、55億500万ユーロがAAHの支給にあてられた50)

(4)運営主体

a)障害年金

障害年金の運営主体は、疾病保険金庫である。疾病保険金庫は、国、地方圏及び県レベルの組織を有している。

b)成人障害者手当(AAH)及びAAH補足手当

他方、AAH及びその補足手当は、県障害者センター(MDPH)内に設置された障害者権利自立委員会(CDAPH)が支給決定を行い、支払いは、家族手当金庫(CAF)が行うという構造になっている。

(5)支給対象者(年齢・障害による区分)、受給者数

A.支給対象者

a)障害年金

障害年金は、支給が認められると、老齢年金の受給が開始されるまで支給される。支給要件等は、以下の通りである。

【支給要件】

障害年金で言うところの障害(invalidité)は、労働・稼得能力の減退として定義される。したがって、障害年金の支給には、労働・稼得能力の減退に関する条件が課せられている。支給条件は、稼得能力の減退に関する条件も含めて、以下の通りである。

  • 疾病保険の被保険者であること(L.341-1条)。
  • 私傷病の結果51)、労働・稼得能力が3分の2以上減退していること(L.341-1条、R.341-2条)。
  • 労働の停止又は障害の確認があった月の1日に12ヶ月以上の被保険者期間があること(L.341-2条、R.313-5条)。
  • 直前の12ヶ月に800時間の労働時間がある、又は、法定最低賃金(SMIC)の2,030倍にあたる賃金に課せられる保険料を納付していること(同上)。

社会保険給付であることから、労働の停止・障害の確認の時点において、一定の被保険者期間を持ち、保険料納入に関する条件を満たすことが求められている。そのため、障害年金による所得保障を得られるのは、被保険者資格を取得してから1年を経た後に障害を負った者に限られ、それ以前に障害を負った者は、保障の対象外となる。

【支給の停止・廃止】

障害年金は、一定の条件にあてはまると支給を停止・廃止される。

まず、障害年金受給者の稼得能力が50%以上となった場合には、支給が停止又は廃止される(L.341-13条、R.341-14条)。次に、障害年金と賃金の合計が、2四半期にわたり、労働の停止の前年における四半期ごとの平均賃金を超えた場合にも、支給の一部又は全部の停止がなされる(L.341-12条、R.341-15条1項)。さらに、年金と賃金以外の職業活動による所得52)の合計が、1年につき単身で6,117.10ユーロ、世帯で8,469.86ユーロ(2008年1月1日現在)を超える場合にも、支給は廃止される(L.341-10条、R.341-16条、D.341-2条、L.341-6条)53)

なお、年金の支給が停止・廃止される場合であっても、再配置や職業再教育の観点から講習や研修等を受けている場合には、所得の多寡に関わらず、年金の50%までを受給し続けることができる(L.341-14条、R.341-18条)。

障害年金は、労働・稼得能力の減退に対する保障であるため、稼得能力が回復した場合には、支給の停止・廃止がある。

b)成人障害者手当(AAH)

AAHの支給要件は、以下の通りである。

  • 20歳以上の成人54)
    ただし、家族手当の受給条件を満たさなくなった場合には、16歳以上20歳未満の者にも支給がある(R.821-1条)。
  • 障害率80%以上(D.821-1条1項)
    ただし、障害率が50~80%の者であっても、1年以上にわたり雇用につけておらず雇用へのアクセスが実質的永続的に困難な者に対しては、支給がある(L.821-2条、D.821-1条2項)。

所得(等)要件は、以下の通りである。

  • AAHと同額以上の高齢・障害を対象とする給付を受給していないこと
  • AAHの12ヶ月分55)を超える他の収入(ressources)を持っていないこと(L.821-3条1項、D.821-2条1項)

なお、この収入として考慮されるのは、フランス国内で受け取った課税所得、疾病・出産・労災の場合の傷病手当金(indemnités journalières)、及び、場合によっては、フランス国外で受け取った所得、国際機関から支払われた所得、である(R.532-3条1項)。これらに0.8の係数を掛けたものが、収入とされる(R.821-4条1項)56)。また、カップルの場合には、カップルの所得が考慮される。

他方、障害者のために積み立てられた終身年金(1,830ユーロ未満,2009年1月1日現在)、家族が介護した場合に補償給付(人的支援)により支払われる賃金、将来契約(CA)や就業最低所得参入契約(CI-RMA)の締結により生じた収入等は、この計算から排除される(R.821-4条2項以下)。

また、通常の労働市場での就労により得た所得も、その一部が控除される(L.821-3条2項)。就労による課税所得が、法定最低賃金(SMIC)の300倍未満のときは40%、300倍以上700倍未満のときは30%、700倍以上1,100倍未満のときは20%、1,100倍以上1,500倍未満のときには10%が差し引かれることになっている(D.821-9条)57)

c)成人障害者手当(AAH)を補足する自立支援手当

所得補足手当(complément de ressources)(L.821-1-1条)の支給要件は、下記の通りである。

  • 障害率80%以上
  • 労働能力が5%未満(D.821-4条)
  • 1年以上にわたり就労所得を得ておらず、就労活動をしていない(同上)
  • 独立した住居を持っている
  • 満額のAAH又は他の年金等を補足するAAHを受給している

ただし、医療施設や福祉施設に入所して60日が経過すると、原則として、支給は停止される(R.821-8条II)。

自立生活加算(MVA)(L.821-1-2条)の支給要件は、下記の通りである。

  • 障害率80%以上
  • 個別住宅支援を受ける独立した住居を持っている
  • 満額のAAH又は他の年金等を補足するAAHを受給している
  • 就労活動による所得を得ていない

ただし、自立生活加算(MVA)も所得補足手当と同様に、医療施設や福祉施設に入所して60日が経過すると、原則として、支給は停止される(R.821-8条II)。

B.受給者数

a)障害年金

2006年に、一般制度から障害年金を支給された者の数は、約58万人であった58)。受給者のうち、カテゴリー1に属する者(就労可能)が全体の26%、カテゴリー2に属する者(就労不可能)が71%、そして、カテゴリー3に属する者(就労不可能かつ第三者による介護が必要)が3%を占めた。

2006年に新たに障害年金を受給し始めた者の数は、約7万5,000人であった。障害年金を受給する原因となった疾病原因の上位は、精神疾患、骨関節疾患、腫瘍で、それぞれ、全体の28.1%、23.8%、13.2%を占めた。精神疾患の中では、鬱性・反応性・神経症性のトラブルが第一の原因となっている。数にすると、1万2,902人であり、全体の17.4%を占めた。また、骨関節疾患の中では、脊椎及び椎間板の疾患が一番多く、数にして7,540人、全体の10.1%を占めた59)

b)成人障害者手当(AAH)及びAAH補足手当

他方、AAHの受給者は、81万2,991人、所得補足手当の受給者は、5万1,992人、自立生活加算(MVA)の受給者は、12万4,239人であった(2007年)60)

(6)認定の実施主体と認定基準

a)障害年金

障害年金の支給決定は、初級疾病保険金庫(CPAM;Caisseprimaire d’assurancemaladie)が行う(L.341-7条)。

障害年金は、労働・稼得能力の3分の2以上の減退を支給要件の1つとしているが、このような障害の状態は、被保険者の残された労働能力、一般的状況、年齢、身体的精神的能力、及び、その適性や職業訓練を考慮して判定されることとなっている(L.341-3条)。そして、そのうえで、1.就労が可能な者(カテゴリー1)、2.就労が不可能な者(カテゴリー2)、3.就労が不可能で、かつ、通常の生活上の行為を行うのに第三者の介護を必要とする者(カテゴリー3)に分類され、受給できる年金額が決まることとなっている(L.341-4条)(補足情報:所得保障(2)a)及び(5)a)参照)。

b)成人障害者手当(AAH)及びその補足手当

他方、AAHやその補足手当については、障害者権利自立委員会(CDAPH)が、その支給決定を行い、認定基準としては、障害者の機能障害及び不能(incapacités)の評価のための基準(社会福祉・家族法典Annex2-4,以下、評価基準と記す)が用いられる。

評価基準は、序文と障害の種類に対応した8つの章で構成されている(各章のタイトルは、下記の通り。すなわち、第1章:知的障害及び行動困難、第2章:精神障害、第3章:聴覚障害、第4章:言語障害、第5章:視覚障害、第6章:内部障害、第7章:運動機能障害、第8章:審美障害)。

評価基準は、機能障害、不能(incapacité)、不利(désavantage)の3つの側面から障害を判定することとしている。

第1の機能障害は、身体的精神的機能の喪失又は悪化を言い、損傷の側面に対応する。第2の不能は、機能障害に起因して生じる諸活動の実現能力の部分的又は全体的減退を言い、諸活動の制限という概念に対応する。第3の不利は、通常の社会的役割の遂行に制限がある、さらには、その遂行が不可能である状態を言う。不利は、機能障害を持ち、不能の状態に置かれた者と環境との間の相互作用の結果生じるものとされている。これら3つの側面は、緊密に結びついているが、他方で、それぞれの強さは、必ずしも比較できるものではなく、障害者ごとに大きく異なりうるものとされている。

以上の3つの側面から判定される障害の程度は、以下のような障害率の幅で示される。すなわち、軽度:障害率1~15%、中度:障害率20~40%、中重度(important):障害率50~75%、重度(sévére ou majeure):障害率80~90%である61)。障害率が50%や80%に達すると、AAHを含む様々な給付の受給が認められることになる。

なお、障害率50%とは、社会生活における顕著な不自由を引き起こす中重度(important)の障害を指す。障害は、生活の中で具体的に見つけられうるもので、社会生活の維持のために補い得るものであるが、それには、大きな努力と特別な補償が必要である状態を言う。さらに、自立については、日常生活の基本的行為において維持されている状態を言う。他方、障害率80%は、日常生活に重大な支障を引き起こし、個人の自立を侵害するような重大な障害を指す。障害者が、日常生活において自分ですべき活動(行為)を行うにあたり、全部又は一部について、支援もしくは監視を必要とする場合、あるいは、重大な困難がある場合には、障害率は80%に達しているとされる62)

1.障害者介護サービスに関する調査 脚注

1)重複障害(polyhandicap)は、重度の知的障害及び運動機能障害により、知覚や表現、関係構築の可能性及び自立が極めて制限されている状態を言う(社会福祉・家族法典D.312-83条を参照)。

2)Loi n°2005-102 du 11 février 2005 pour l’égalité des droits et des chances,la participation et la citoyenneté des personnes handicapées,JO n°36 du 12 février 2005 p.2353.

3)2008年4月の段階で、年齢要件(原則として60歳未満)があるが、この年齢要件は、法施行後5年以内に撤廃される予定である。(2005年法13条)

4)医療施設や福祉施設に入所している場合の支給条件・支給額については、別途、デクレ(政令)で定められる。(L.245-11条)

5)Cass.Ass.plén.,17 nov.2000:Bulletin 2000 A.P.N°9 p.15.

6)関心の高まりは、シラク(Chirac)元大統領が、自身の2期目の優先課題として障害者の問題を掲げたほどであった。http://www.elysee.fr/elysee/elysee.fr/francais/les_chantiers_prioritaires/les_chantiers_prioritaires.26693.html

7)ロングフルライフ(Wrongful Life)訴訟は、子が先天性障害を持って出生した場合に、「子自身が、医師の過失がなければ、障害を伴う自分の出生は回避できたはずである、と主張して提起する損害賠償請求訴訟」を言う。(丸山英二「アメリカにおける先天性障害児の出生と不法行為責任:Wrongful Birth訴訟とWrongful Life訴訟の近況」、唄孝一・石川稔編『家族と医療:その法学的考察』弘文堂(1995年)171頁)

8)ペリュシュ判決に終止符を打つための条文は、同じく国会で審議中であった「患者の権利と医療制度の質に関する2002年3月4日の法律」(Loi n°2002-303 du 4 mars 2002 relative aux droits des malades et à la qualité du systéme de santé,JORF du 5 mars 2002 p.4118)の第1編に挿入された。この第1編が、一般に「反ペリュシュ判決法」と呼ばれている。

9)第三者補足手当(ACTP)は、生活の基本的部分について第三者の支援を必要とする者に支給される給付であった。(改正前社会福祉・家族法典L.245-1条)

10)県障害者センター(MDPH)は、障害者にとっての唯一の窓口として、障害者及びその家族の受け入れ、支援、相談、情報提供といった活動を行う。また、市民に対し、障害に関する啓発活動も行う。

11) http://www.cnsa.fr/article.php3?id_article=70

12)現在は、従来型の第三者補足手当(ACTP)を受給することも可能である。ただし、ACTPと障害補償給付(PCH)を同時に受給することはできず、ACTPの受給者は次第に減少している。

13)Drees,L’allocation personnalisée d’autonomie et la prestation de compensation du handicap au décembre 2007(2007年12月の個別自立手当(APA)及び障害補償給付(PCH)),études et résultats no637,mai 2008.

14)生存のための基本的活動(行為)としては、1.入浴、着衣、食事、排泄といった個人の行為、2.住宅内の移動(移動、歩行、階段の昇り下り、車椅子の操作)、又は、障害に関連し、障害者の立ち会いを必要とする手続きを行うための外出、3.社会生活への参加(外出、余暇・文化等にアクセスするためのコミュニケーション)があげられる。(Code du Handicap 2009(障害者法典2009年版),Dalloz,2008,p.44.)

15)定期的な訪問は、障害者の安全が危険にさらされることがないよう、障害者に気を配る(veiller)ことを指す。1つ又は複数の知的、精神的機能、認知機能の実質的、永続的、又は決定的な悪化により危険にさらされている者がこの対象となる。また、基本的行為の大部分についてのトータル支援、及び、治療や日常生活の運営への支援に対するニーズのために(ほぼ)恒常的に他者の存在を必要とする者も対象となる。(Code du Handicap 2009(障害者法典2009年版),op.cit.,p.44.)

16)例えば、手話通訳者による支援等、コミュニケーションを保障するための支援が個々に含まれる。(Code du Handicap 2009(障害者法典2009年版),op.cit.,p.44.)

17)人的支援は、噛み砕いて言えば、「介護サービスの利用にかかる費用に対する支援」である。

18)Code du Handicap 2009(障害者法典2009年版),op.cit.,p.44.

19)PACS(民事連帯契約)は、1999年11月15日の法律により創設された「異性又は同性の、成年に達した2人の自然人によって締結される契約」であり、法律婚をしていないカップルの共同生活を公認する意義を持つ。PACSを締結したカップルは、税制や社会保障制度、賃貸借において一定のメリットを享受することができる。(サビーヌ・マゾー=ルヴヌール/大村敦志(訳)「個人主義と家族法」ジュリスト1205号(2001年)79-83頁)

20)社会福祉・家族法典L.245-3条2°、3°、4°及び5°に定める補償給付の諸要素の料金を定める2005年12月28日のアレテ(省令)(Arrêté du 28 décembre 2005 fixant les tarifs des éléments de la prestation de compensation mentionnés aux 2°,3°,4° et 5° de l'article L.245-3 du code de l'action sociale et des familles,JO n°303 du 30 décembre 2005 p.20533)

21)複数の同等の選択肢がある場合には、個別補償プランで最も安価なものが選ばれる。(Guide des personnes handicapées(édition 2008)(障害者ガイド2008年版),La documentation Française,2008,pp.106-107.)

22)Code du Handicap 2009(障害者法典2009年版),op.cit.,pp.48・49.

23)ibid.,pp107-108.

24)例えば、栄養剤の購入や車椅子等の維持費。

25)例えば、医療用ベッドの修理費。

26)居宅サービスを利用する場合、契約の締結方法には、委任(mandataire)方式と派遣(prestataire)方式とがある。委任方式では、利用者、サービス提供団体又は市町村社会福祉センター(CCAS)、そして、ホームヘルパーの3者が関わる。この場合、利用者とホームヘルパーとの間で、利用者を使用者、ホームヘルパーを被用者とする労働契約が締結されるが、利用者は、ホームヘルパーの使用者としての行為及び管理事務をサービス提供団体に委任する。そして、その委任に基づき、当該団体は、ホームヘルパーの使用者としての義務を代行すると同時に、派遣するホームヘルパーを決定する。他方、派遣方式は、利用者が、サービス提供団体やCCASとホームヘルパーの派遣契約を締結するものである。この契約に基づき、当該団体は、使用しているホームヘルパーを利用者に派遣する。(嵩さやか「フランスにおける社会福祉サービスと契約への規制」、岩村正彦編『福祉サービス契約の法的研究』信山社(2007年)158-159頁)

27)支給額については、人的支援の場合を除き、Guide des personnes handicapées(édition 2008)(障害者ガイド2008年版),La documentation Française,2008, pp.105-111を参照した。

28)住宅改修費が1,500ユーロまでは、費用の100%、1,500ユーロを超えると、費用の50%が障害補償給付(PCH)により支給される。

29)自動車の改修費が1,500ユーロまでは、費用の100%、1,500ユーロを超えると、費用の75%が障害補償給付(PCH)により支給される。

30)学際チームは、医師及び医療補助職、そして、心理学、ソーシャルワーク、学校及び大学教育、雇用及び職業訓練の分野の専門家で構成される。この学際的なチーム編成によって、障害者の要求が何であれ、また、障害の種類が何であれ、障害者の補償給付に対するニーズを評価することが可能になるとされている。(社会福祉・家族法典R.146-27条)

31)GEVA(評価ガイド)のモデルは、「社会福祉・家族法典R.146-28条に定められた、障害者の補償ニーズの評価ガイドに適用される基準及び目録に関する2008年2月6日のアレテ(省令)」(Arrêté du 6 février 2008 relatif aux références et nomenclatures applicables au guide d'évaluation des besoins de compensation des personnes handicapées prévu à l'article R.146-28 du code de l'action sociale et des familles,JORF n°0106 du 6 mai 2008,p.7489)のAnnexe2で示されている。

32)これは、社会福祉・家族法典Annexe2-5 3が、障害者の補償ニーズの決定に際して、障害者本人が作成した生活計画の他に、以下のものを考慮することとしていることに対応する。すなわち、Annexe2-5 3は、第1に、活動(行為)や参加を制限している要素として、機能障害や関連するトラブル、不能(incapacité)及び環境を、第2に、活動(行為)や参加を容易にしている要素として、障害者自身の能力(capacités,潜在的能力・適性)、獲得能力(compétences,過去の経験や獲得した知識)、環境(家族環境、社会的環境、文化的環境を含む)、そして、既に実施されているあらゆる種類の支援(人的支援、技術的支援、住宅の改修等)を考慮することとしている。

33)障害補償給付(PCH)の支給に際し考慮される行為は、以下の4つに分類される。すなわち、1.可動性(起立・歩行・住宅内の移動・外出等)、2.セルフケア(着衣・食事・排泄・入浴)、3.コミュニケーション(発話、聞く、見る、コミュニケーションツールの利用)、4.一般的責務と要請(tâches et exigences gébérales)・他者との関係(時間の把握、空間の把握、安全の確保、他者との関係において行動を抑制できる)の4つである。(社会福祉・家族法典Annexe2-5 1(a))

34)2007年第4四半期について見ると、1人当たりの平均支給額(月額)は、1,150ユーロであった。

35)人的支援の支給のあった介護時間の中では、家族介護によるものが69%を占めた(支給総額の29%)。その他については、派遣方式によるものが10%、直接雇用によるものが15%、委任方式によるものが5%強であった。

36)Drees,L’allocation personnalisée d’autonomie et la prestation de compensation du handicap au décembre 2007(2007年12月の個別自立手当(APA)及び障害補償給付(PCH)),études et résultats no637,mai 2008.

37)社会福祉・家族法典L.245-6条に定められた負担率を決定する2005年12月28日のアレテ(省令)(Arrêté du 28 décembre 2005 fixant les taux de prise en charge mentionnés à l'article L. 245-6 du code de l'action sociale et des familles, JORF n°303 du 30 décembre 2005 p.20544)

38)セーヌ-エ-マルヌ(Seine et Marne)県障害者センター(MDPH77)での聞き取り調査(2009年2月27日実施)により得た回答。

39)本報告書では、被用者が加入する一般制度が提供する障害年金の概要を紹介する。

40)被保険者期間が10年に満たない場合には、被保険者期間中の平均賃金。

41)最低保障額は、月額258.10ユーロ(2008年1月1日現在)。

42)保険料の計算の基礎になった賃金。

43) http://www.travail-solidarite.gouv.fr/actualite-presse/breves/aah-est-revalorisee-3-9-partir-ce-moisseptembre.html.

44)成人障害者手当(AAH)の引き上げは、「成人障害者手当及びその補足手当の引上げに関する2008年9月18日のデクレ(政令)」(Décret n° 2008-988 du 18 septembre 2008 relatif à la revalorisation de l'allocation aux adultes handicapés et de ses complements, JORF n° 0221 du 21 septembre 2008 p.14637)により行われた。

45)成人障害者手当(AAH)を含む最低所得保障の受給者の雇用への復帰を促進することを目指す支援付き労働契約。将来契約(CA)(労働法典L.5134-35条以下)は、非営利企業や公的部門の使用者と締結できる原則2年の有期契約で、AAH受給者らのパートタイムでの就労を可能にするものである。使用者には、一定額の助成金(月額454.63ユーロ(=単身者に支払われる参入最低所得(RMI)の額:2009年1月1日現在)や社会保険料の使用者負担分の免除等が認められる。他方、就業最低所得参入契約(CI-RMA)(労働法典L.5134-74以下)は、失業保険に加入している全使用者と締結できる契約で、契約形態としては、無期契約、6ヶ月以上の有期契約、派遣契約が認められている。AAH受給者らのパートタイム(週20時間以上)又はフルタイムでの就労を可能とし、使用者には、一定額の助成金(CAの場合と同額)が与えられる。なお、CA及びCI-RMAは、2010年1月より、「就業連帯所得を一般化し、参入政策の改革を行う2008年12月1日の法律」(Loi n° 2008-1249 du 1er décembre 2008 généralisant le revenu de solidarité active et réformant les politiques d’ insertion,JORF n°0281 du 3 décembre 2008,p.18424)が創設した「統一参入契約(contrat unique d’ insertion)」制度に移行する。http://www.travail-solidarite.gouv.fr/ を参照。

46)これらは、従来のAAH補足手当(complément d’AAH)に代わるものと位置づけられている。

47)フランスの最低賃金には、全国の全被用者に一律に適用される法定最低賃金(SMIC,全職域成長最低賃金(時間当たり最低賃金))と、産業別に労働協約で定められる協約最低賃金とがある。協約最低賃金は、協約の拡張適用により、当該産業の全ての被用者に適用される。また、SMICの改定等によって協約最低賃金がSMICを下回る場合は、SMICが保障される(高津洋平「第3章 フランスの最低賃金制度」『欧米諸国における最低賃金制度』JILPT資料シリーズNo.50(2008年)32-47頁)。SMICは、毎年7月1日に改定され、2008年7月改定後の時間当たりSMICは、8.71ユーロである。

48)租税代替化の過程で、被用者負担分は、6.8%から0.75%へと段階的に引き下げられた。(江口隆裕「医療保険制度と医療供給体制」藤井良治・塩野谷祐一『先進諸国の社会保障6フランス』東京大学出版会(1999年)217-218頁)

49)Rapport d’activité Cnamts 2007(Cnamts(全国労働者疾病保険金庫)活動報告書2007年版),p.51.

50)Notre activité en 2007(Rapport annuel 2007)(我々の活動2007年版(年次報告書2007年版),CNAF,pp.40-43.

51)労働災害・職業病に起因する障害は、労災補償制度により保障される(社会保障法典第4編)。なお、被保険者の故意に起因する障害に対しては、障害年金の支給はない(社会保障法典L.375-1条)。

52)自営等による所得。

53)これらの数値よりも年金額のほうが大きい場合には、当該年金額が上限となる。(社会保障法典R.341-16条3項)

54)60歳になると、原則として、成人障害者手当(AAH)に代えて老齢給付(avantage vieillesse)が支給される。しかし、本人の障害率や状態がAAHの支給を正当化する場合、老齢手当と満額のAAHの差額分が、差額手当としてCAF(家族手当金庫)から支給される(社会保障法典L.821-1条6項)。差額手当を受け取りたい場合には、県障害者センター(MDPH)に請求し、障害者権利自立委員会(CDAPH)の決定を受けなければならない。

55)上限は、カップル(法律婚・事実婚・民事連帯契約(PACS))の場合は2倍となる。また、扶養すべき子供1人につき、この上限の0.5倍が加算される。(社会保障法典D.821-2条2項)

56)「家族給付及び住宅手当の支給に際して考慮される収入に関する、社会保障法典を修正する2007年7月10のデクレ(政令)」(Décret n° 2007-1080 du 10 juillet 2007 relatif aux ressources prises en compte pour les prestations familiales et les aides au logement et modifiant le code de la sécurité sociale, JORF n°160 du 12 juillet 2007,p.11802)3条により挿入。

57)就労支援機関・サービス(ESAT;Etablissement et service d’aide par le travail)での就労に対し支払われる保障報酬(rémunération garantie)と成人障害者手当(AAH)の併給調整の方法:保障報酬は、ESATで働く障害者に対し、最低賃金の55~110%を保障するものである。保障報酬は、ESATが直接支払う部分と国からの助成による部分とから成り、ESATの最低負担分はSMIC(法定最低賃金)の5%、国の最高負担分はSMICの50%となっている。この保障報酬とAAHとの合計が、SMICの151.67時間分を超える場合には、超えた分につき、AAHの減額がなされる(社会保障法典D.821-5条1項)。この上限は、同居する配偶者がいる場合(事実婚、民事連帯契約(PACS)を含む)には+30%、扶養すべき子がいる場合には、子1人につき+15%となる(社会保障法典D.821-5条2項)。ただし、この計算において考慮される保障報酬については、ESATが直接支払う額に応じて、一定の控除がなされる。すなわち、ESATが支払う額が、SMICの5%以上10%未満の場合3.5%、SMICの10%以上15%未満の場合4%、SMICの15%以上20%未満の場合4.5%、SMICの20%以上50%以下の場合5%の控除がある。以降の控除は、就労所得の場合と同じである(D.821-10条)。

58)一般制度以外の制度から障害年金を支給される者を含めると、受給者数は、より多くなる。

59)Les causes médicales de l’invalidité en 2006(2006年における障害の医学的原因),Points de repére no16, juillet 2008,l’Assurance Maladie Caisse Nationale,pp.1・2.

60)Le Compte social du handicap en 2007(2007年における障害関連の社会会計),études et résultats no677,février 2009,p.6.

61)章ごとに、3ないし5段階の区分が用意されている。通常、4段階に区分される。

62)障害率100%は、例えば、植物状態や昏睡状態のような完全な不能の状態を指す。

2.モデルに関する調査

第2部では、モデルとして示された4つの事例において、フランスで、いかなるサービスが提供されるのかについて、具体的に紹介する。記述は、主として2009年2月27日にセーヌ-エ-マルヌ(Seine et Marne)県障害者センター(MDPH77)で行ったインタビュー調査に基づいている。インタビューに応じてくれたのは、下記の3名である。

●インタビュー参加者

  • Christine DUPRE所長
  • René CAMELOT(調整の任を負う)医師
  • Céline TANNIER在宅生活計画部 責任者

(1)モデル1/全盲

モデル1の男性は、全盲で、食事、衣服の着脱、排泄、入浴等の屋内の活動には、介助を必要としていない。しかし、銀行口座の管理等視力を必要とする活動については、支援が必要である。また、病院への通院や慣れない場所への移動について、支援者を必要としている。

このような場合、疾病保険制度及び障害補償給付(PCH)制度から、以下のような支援給付が提供される。

a)人的支援

まず、人的支援として、月額578.50ユーロ(2008年9月1日現在)が支給される。重度の視覚障害及び聴覚障害以外のケースでは、個別具体的に、支援に必要な時間が見積もられる。しかし、重度の視覚障害及び聴覚障害の場合には、1ヶ月に人的支援として支給される額が決まっている(定額支給)。本件男性のような全盲(又は、通常の視力の20分の1)の場合は、1ヶ月につき50時間分(*)の人的支援が必要であるとされ、月額578.50ユーロが支給される。

本件男性が必要としている銀行預金の管理や慣れない場所への移動等に対する支援にかかる費用(介助費用)は、この定額支給によって補償される。なお、この定額支給分については、県議会による支援の有効性に関するコントロールは受けないこととなっている。

本件では、支援に必要な時間が1ヶ月につき50時間を超えることはないと予測されるが、仮に50時間を超える場合には、超えた時間分について、人的支援が追加して支給されることになる。

(*)重度聴覚障害者の場合は、1ヶ月につき30時間分

b)技術的支援

次に、銀行口座の管理を可能にする機器を購入する場合には、その購入にかかる費用が、技術的支援によって補償される。例えば、音声合成機器(synthèse vocale)、情報ツールの点字化又は音声化システムの購入にかかる費用が、ここに含まれる。また、これら機器やソフトウェアの利用方法に関する講習費用についても、支援が支給される。

ただし、技術的支援によって補償されるのは、これら機器の価格の75%までである。

C)疾病保険による交通費負担

さらに、病院への通院にかかる費用については、疾病保険からの支給がある(利用者負担はない)。

d)その他

その他、モデル1の男性は、ニーズを示していないが、視覚障害者に適した住宅の確保のために住宅の改修を行う場合には、それにかかる費用の補償が障害補償給付(PCH)によって行われうる。また、移動等のために、盲導犬を必要とする場合には、盲導犬にかかる費用についてもPCHから補償がなされうる。

e)所得保障について

モデル1の男性は、中途障害者であることから、障害年金の支給条件を満たしている可能性がある。仮に、障害年金の支給要件を満たしていれば、障害年金を支給される。他方、障害年金の支給要件を満たしていなければ、月額652.60ユーロの成人障害者手当(AAH)が支給されることになる。また、本件男性は、就労活動を行っていないことから、AAHを補足する所得補足手当(月額179.31ユーロ)又は自立生活加算(MVA)(月額104.77ユーロ)のいずれかを受給することもできる(働くことができるのか否かにより、所得補足手当の受給かMVAの受給かが決まる)。

AAH及びその補足手当の支給は、県障害者センター(MDPH)内の障害者権利自立委員会(CDAPH)によって決定され、家族手当金庫(CAF)により支払いがなされる。

(2)モデル2/頸髄損傷

モデル2の男性は、食事、衣服の着脱、排泄、入浴等について全介助を必要としている。また、移動に際しては、電動車椅子を利用している。バリアフリーであれば、電動車椅子で単独の移動も可能であるが、安全確保のために、移動時の見守りがあるほうが好ましい。

a)人的支援

このケースでは、24時間体制の人的支援が、障害補償給付(PCH)の枠内で提供される。2005年法は、1日12時間の人的支援の提供を定めているが、例外的に、これを超える提供も認められることがある(ただし、24時間体制の人的支援の事例は、実際にはあまりない)。

本件では、24時間体制の人的支援の枠内で、食事や衣服の着脱等の介助、及び、移動時の見守り等の支援にかかる費用が補償される。

なお、人的支援は、図表1の中から選ぶことができる。

図表1 人的支援の種類・単価(前掲)

支援の種類   時間単価 上限(月額)
家族支援者(1) 就労しておらず、就労にいかなる影響もない者 3.36€ 865.05€
家族支援者(2) 介護のために、就労活動の全部又は一部を停止している者 5.05€ 865.05€
直接雇用 1人の被用者につき週40時間まで 11.57€
(*)
被用者1人につき1,851.20€
(4.2人の被用者で7775.04€)
委任方式 使用者としての事務は非営利組織(association)が行う。障害者自身が、使用者。 12.73€ 9,165.06€
(30日の給付に対して)
派遣方式 非営利組織が全ての事務を行い、非営利組織が使用者。 17.19€ 12,376.08€
(30日の給付に対して)

(*)直接雇用の場合、サービスを利用する障害者は労働契約上の使用者となる。この単価には、障害者が使用者として負担する社会保険料分も含まれている。

出典;MDPH77作成資料(2009年2月現在)

b)技術的支援

次に、男性は、電動車椅子を利用していることから、この購入にかかる費用が、技術的支援により補償される。また、モデル2の男性は、特にそのニーズを示していないが、仮に介護用ベッドを購入するのであれば、その購入にかかる費用についても、技術的支援から補償されうる。ただし、技術的支援により補償されるのは、価格の75%までである。

c)電動車椅子の維持費に対する支援

さらに、電動車椅子や介護用ベッドの維持にかかる費用も、特別負担として障害補償給付(PCH)から補償されうる。

d)住宅・自動車の改修費

その他、電動車椅子での屋内の移動を可能にするために、住宅の改修が必要な場合には、その改修費についても障害補償給付(PCH)からの補償がある。また、電動車椅子を乗せるために自動車の改修が必要な場合にも、PCHから補償がある。補償される割合は、改修にかかる費用により異なる(住宅改修費が、1,500ユーロまでの場合は費用の100%、1,500ユーロを超える場合は費用の50%。自動車の改修費が、1,500ユーロまでの場合は費用の100%、1,500ユーロを超える場合は費用の75%)。

e)所得保障について

モデル2の男性は、中途障害者であることから、モデル1の男性と同様、障害年金の支給条件を満たしている可能性がある。仮に、障害年金の支給要件を満たしていれば、障害年金を支給される。他方、障害年金の支給要件を満たしていなければ、月額652.60ユーロの成人障害者手当(AAH)を受給することになる。また、このケースでは、働くことは不可能との認定を受ける蓋然性が高いことから、AAHを補足する手当として、所得補足手当(月額179.31ユーロ)を支給されることになろう。

AAH及びその補足手当の支給は、県障害者センター(MDPH)内の障害者権利自立委員会(CDAPH)によって決定され、家族手当金庫(CAF)により支払いがなされる。

(3)モデル3/知的障害

モデル3の男性は、福祉的就労の場での就労が可能な状態にある。また、月に25時間の介助を必要としている。

a)労働支援機関・サービス(ESAT)での就労

フランスでは、福祉的就労の場として、労働支援機関・サービス(ESAT;Etablissement et service d’aide par le travail)が設置されている。ESATは、労働法典ではなく、社会福祉・家族法典の規定に服する医療・社会福祉機関であり(社会福祉・家族法典L.312-1条I5項)、障害者に対して、様々な職業活動を提供すると同時に、医療・福祉的、教育的支援を提供している(社会福祉・家族法典L.344-2条)。ESATでの労働は、通常の労働環境との対比で、保護された環境下での労働とされている。モデル3の男性は、福祉的就労の場での就労が可能な状態にあることから、障害者権利自立委員会(CDAPH)によって、障害労働者認定がなされ、ESATでの就労に向けた方向づけがなされる。

ESATでの就労にあたっては、両親と住んでいる自宅からESATへと通所することも可能であるが、仮に、より独立した生活を望むのであれば、ESATに隣接するホームへの入所も可能である。その決定も、同じくCDAPHによってなされる。

b)人的支援

他方、男性は、月に25時間の介助を必要としている。この介助にかかる費用については、障害補償給付(PCH)の人的支援の枠内で補償がある。人的支援は、上記モデル2のケースで示した図表1の中から選ぶことができるが、このケースでは、両親が家族支援者として介助を行う可能性が高い。両親が、介助のために就労活動の全部又は一部を停止している場合には、より高い額の補償がなされる。

フランスでは、家族による介助(身支度、着衣等)に対しても、PCHからの補償がある。

c)所得保障

モデル3の男性は、成人障害者手当(AAH)と保障報酬とによって所得を保障される。

まず、労働支援機関・サービス(ESAT)で就労していることから、この就労に対する対価として保障報酬(rémunération garantie)を支払われる。保障報酬は、ESATで働く障害者に対して、最低賃金の55%から110%を保障するものであり、ESATが直接に支払う部分と、国からの助成による部分(ポストへの助成金)とで構成されている。ESATの最低負担分は法定最低賃金(SMIC)の5%であり、国の最高負担分はSMICの50%である。ESATの負担分が、SMICの5%~20%の場合、国からの助成は50%まで認められ、ESATの負担分がSMICの20%を超えると、1%増えるごとに国からの助成が50%~0.5%ずつ差し引かれることになる。(社会福祉・家族法典R.243-6条1~3項)

他方、男性は、障害者に対する最低所得保障給付たるAAHを受給することもできる(男性は、未成年時に障害を発症していることから、障害年金の受給の可能性はない)。AAHと保障報酬の間には、併給調整の仕組みが設けられており、AAHと保障報酬との合計がSMICの151.67時間分を超える場合には、超えた分につき、AAHが減額されることとなっている(社会保障法典D.821-5条1項)(ただし、実際にこの上限を超えることは、ほとんどないと言われている)。なお、この計算において考慮される保障報酬については、ESATが直接支払う額に応じて一定の控除がなされる。ESATが支払う額が、SMICの5%以上10%未満の場合は3.5%、SMICの10%以上15%未満の場合は4%、SMICの15%以上20%未満の場合は4.5%、SMICの20%以上50%以下の場合は5%の控除がある。また、以降の控除は、就労所得の場合と同じとされている(D.821-10条)。わずかではあるが、就労インセンティブが損なわれることがないよう、配慮がなされていると言える。

(4)モデル4/精神障害

モデル4の男性は、統合失調症に起因する幻聴・妄想着想等によって、生活に支障をきたす困難を抱えている。食事や衣服の着脱等の日常生活上の動作については介助の必要性はないが、幻聴・妄想着想のために、外出に際しては介助が必要な状態にある。また、ガスの利用が不可能で(調理・入浴が1人でできない)、洗濯物を干すこともできない状態にある。

a)人的支援

本件男性に対しては、定期的な訪問、障害に関係する諸手続き、外出、社会生活への参加支援のために、障害補償給付(PCH)の枠内で、一定の人的支援の時間が認められる。PCHが支給される人的支援の時間については、個々の評価が必要だが、このケースでは、1日につき約3~4時間が認められると予測される。人的支援の時間が決まると、上述のモデル2のケースで示した図表1の中から、支援のタイプを選択することができる。

b)技術的支援・住宅の改修

次に、統合失調症に起因する幻聴・妄想着想のために、ガスの使用に強い恐怖を感じ、調理ができないことを解決するために、障害補償給付(PCH)の枠内で、ガスコンロを電磁調理器に変更する費用が補償される。はめ込み式の電磁調理器を購入する場合には、住宅の改修が必要となってくることから、PCHの住宅改修費の枠内で、費用の補償がなされる。他方、単に電子レンジを購入する場合には、技術的支援の枠内で、これにかかる費用が補償される。

住宅を改修する場合には、費用が1,500ユーロまでの場合は費用の100%を、費用が1,500ユーロを超える場合には費用の50%を補償される。支給上限は10,000ユーロである。他方、電子レンジを購入する場合には、費用の75%までが補償される。

c)社会生活支援サービスの利用

その他、モデル4の男性に対しては、精神障害者のフォローを専門とする社会生活支援サービスの利用が、障害者権利自立委員会(CDAPH)によって決定されうる。この社会生活支援サービスでは、余暇や支援、日常の付き添い等、様々なサポートが提供される。

d)所得保障

男性の統合失調症の発症の時期は不明であるが、仮に、障害年金の支給要件を満たしていれば、障害年金の支給がある。障害年金の支給がなければ、月額652.60ユーロの成人障害者手当(AAH)が支給される。また、本ケースでは、統合失調症の急性期にある男性が働くことは不可能であるとの認定がなされる可能性が高いことから、月額179.31ユーロの所得保障手当が支給されることになろう。


3.障害児に関する調査

フランスにおける障害児に関連する制度について、以下で紹介する。本節の記述は、主として「Code du Handicap 2009(障害法典2009年版),Dalloz,2008」を参照して作成した。同書からの引用については、特に明記しない。

(1)障害児施設の種類、サービスの内容、及び、利用条件

フランスでは、主として障害の種類別に、障害児を受け入れる施設・サービスが設けられている(受入れの形態は、入所、半入所、通所、一時受入れ、救急対応、在宅サービス等、多様である)。以下、施設・サービスの種類とそこで提供されるサービスの内容、利用条件を確認していく。なお、フランスでは、障害児の受入れに際して、家族に対する支援も重視されている1)

A.1956年3月9日のデクレ(政令)2)が規定する施設

まず、被保険者の治療のための民間療養予防施設の許可条件を定める1946年8月20日の修正デクレ(政令)を補完する1956年3月9日のデクレ(政令)が定める機関として、早期医療福祉活動センター(CAMSP)及び医療心理学教育センター(CMPP)がある。

a)CAMSP(早期医療福祉活動センター)(同デクレ(政令)附則XXXIIの2)

早期医療福祉活動センター(CAMSP;Centres d’actions Médico-Sociale Précoce)は、6歳未満の児童を受け入れる機関である。CAMSPは、運動機能、知能、感覚器官に障害を有する6歳未満の児童を受け入れ、児童の自然な環境における社会的教育的適応を保障する観点から、検診や通院治療、リハビリテーションを提供する。また、在宅支援も実施し、さらに、障害児の家族等に対する助言・支援活動も行う。

CAMSPが受け入れるのは、病院、家庭医、母子保護機関、学校、さらには、学校医によってCAMSPへの入所を勧められた障害児である。児童の入所許可には、CAMSPの医師の合意が必要とされる。なお、提供されるケア(soins)は、無料である。

児童のケアは、学際チーム(医師、リハビリ指導員、看護師、心理学者、作業療法士、ソーシャルワーカー等)の介入によって行われる。場合によっては、幼児教育機関や6歳未満の児童を受け入れる施設・サービスとの連携により、サービスが提供される。

b)CMPP(医療心理学教育センター)(同デクレ(政令)附則XXXII)

医療心理学教育センター(CMPP;Centres medico-psycho-pédqgogiques)は、精神障害、精神運動障害、行動障害のために、学習に困難を抱える児童(場合に応じて20歳まで)を受け入れる機関である。CMPPでは、精神保健上のトラブルの検診、教育支援、リハビリテーション、治療が提供される。CMPPの目的は、家庭環境での生活の維持や通常の環境での就学に困難を示す障害児の再適応、及び、そのような障害児の普通の家庭環境又は就学環境での生活の維持の2つにある。

CMPPは通所施設であり、個別の相談や、医師の責任下で行われる治療のための個別検討会又はグループ検討会が提供される。なお、これらの検討会は、両親との緊密な連携のもと、学際チーム(看護師、心理学者、ソーシャルワーカー、教育従事者、リハビリ指導員、作業療法士、言語療法士)の協力を得て行われることとなっている。

CMPPへの通所にかかる費用は、社会保険の指導医の合意を得た後に、疾病保険から支払われる(CMPPへの通所にかかる交通費も含まれる)。ただし、障害者権利自立委員会(CDAPH)の事前の合意が必要である。

B.社会福祉・家族法典が規定する施設・サービス

次に、社会福祉・家族法典が規定する施設・サービスを確認する。

a)知的障害児施設・サービス(社会福祉・家族法典D.312-11条以下)

まず、6歳~18歳の知的障害児を受け入れる機関として、医療教育施設(IME;Institutsmédico-éducatif)がある(3歳以上20歳未満の障害児を受け入れることもある)。このIMEは、治療と同時に、教育活動を提供することを目的としている。

IMEが受け入れるのは、知的障害を持つ児童、知的障害に人格障害や運動機能障害、感覚器官の障害、コミュニケーション障害が合併している児童、さらには、知的障害に慢性疾患(施設での集団生活が可能な疾患)が合併している児童である。各障害児のニーズに応じて、治療や特別教育活動が個別に決定される。

なお、IMEには、以下のセクションが存在している。

  • 特別教育セクション:学校教育や人格の発展、児童の社会化を保障
  • 初期職業訓練セクション:知的障害を有する青少年が対象
  • 運動機能障害又は感覚器官障害を伴う知的障害児のためのセクション

また、IMEにより提供されるサービスには、以下のものがある。

  • 児童の家族や周囲の人々への支援
  • 治療、リハビリテーション
  • 医師による機能障害や障害の状況に関する定期的かつ一般的な監視
  • 知識の獲得や最良の文化的水準へのアクセスを可能にするための教育及び支援
  • 人格、コミュニケーション、社会化を発展させる活動

これらIMEでのサービスは、学際チームによって保障される。

【IMEに附属するサービス(特別教育在宅ケアサービス)】

IMEは、IMEに附属するサービスとして、特別教育在宅ケアサービス(SESSAD;Services d’éducation spéciale et de soins à domicile)を設けることができる(なお、SESSADは、独立したサービスとして設置することもできる)。SEESADは、統合教育や社会的統合、自立の分野で障害児の支援を行うために、学校やその他の特別機関において、家族に対する介入(助言や支援)を行う。

サービスの内容としては、以下のものがある。

  • 0歳児から6歳児のための早期支援。ここには、児童の家族や周囲の人々への助言及び支援、徹底的な検診、児童の初期の精神運動的発達に対する支援、そして、その後の集団生活への準備が含まれる
  • 統合教育、又は、自立獲得への支援。ここには、医学的、医療補助的、心理社会的、教育的な諸手段が全て含まれる。

SESSADによる介入は、児童のあらゆる生活の場や活動の場で実施される(自宅、保育所、学校等)。SESSADは、包括的で一貫した支援を行うと同時に、学校や医療社会福祉セクター、家族と連携して、必要なフォローを保障する。また、SESSADは、小児精神保健セクター、病院サービス、母子保護機関、早期医療福祉活動センター(CAMSP)と緊密な関係を持ち、一定の必要な給付を行うために、これらの機関と協定を締結することもある。

b)治療教育機関(ITEP)(D.321-59-1条以下)

次に、統合教育や社会的統合に支障を生じさせる心理学的困難を有する6歳~18歳の児童を受け入れる機関として、治療教育機関(ITEP:Instituts thérapeutiques, éducatifs et pédagogiques)がある。具体的には、その潜在的な知能や認識能力にもかかわらず、重度の心理学的困難により障害の状態に置かれている児童で、一時的に、又は状況に応じて、反応的に混乱の状態に陥っており、様々な組み合わせによる活動や個別の支援を必要とする児童が、ITEPで受け入れられる。ITEPへの入所決定が検討されるのは、児童と接触する専門家やサービス(例えば、母子保護機関(PMI)、早期医療福祉活動センター(CAMSP)、支援ネットワーク、医療心理学教育センター(CMPP)、小児精神保健サービス、小児科医、小児精神科医)が、児童の心理学的困難の解決を事前にできなかった場合である。

ITEPで提供されるサービスには、以下のものがある。

  • 相互学際的な介入による児童の発達支援。この支援は、児童の自立促進を目的とする
  • 治療及びリハビリテーションの提供
  • 家族や社会との関係の維持促進
  • 生活の様々な分野への統合(特に、一般教育や職業教育への統合)。このために、ITEPは、学校や、通常又は適応した制度内に障害児を維持する活動、及び、それらへの受け入れ準備を行う
  • 行動障害の予防と発見、及び、障害児に適応した解決策の探求。これらは、権限を有する他の機関との連携で行われる

支援が終了した後も3年の範囲内で、一定期間フォローが行われる。

なお、ITEPでは、相互学際的なチームがITEPの使命を実施する。同チームは、精神医療チーム、国民教育機関・サービス、場合によっては、児童社会扶助サービスや青少年の法的保護サービスとの連携により相互学際的な介入を行いつつ、各児童の状況や成長の度合いに適応した個別の支援計画の枠内で、その活動を実行する。

c)身体障害児施設・サービス(D.312-60条以下)

運動機能に障害を持つ6歳~18歳の児童を受け入れる機関として、運動機能障害児教育機関(IEM:Instituts d’éducation motrice)がある(3歳以上20歳未満の障害児を受け入れることもある)。

IEMでは、障害の程度や性質に応じて、以下のようなサービスが提供される。

  • 障害児の家族や周囲の人々への支援
  • 医学的監視、治療、マザリング療法、必要な機器の提供
  • 運動機能教育、又は、必要な機能リハビリテーション
  • 児童と周囲の人々との間の関係の発展。特に、移動やコミュニケーションの分野で、教育技術や対症療法を利用した個別戦略が実施される
  • 知識の獲得、最良の文化的水準へのアクセス、体育やスポーツのための教育や支援
  • 人格や社会的自立を発展させる特別教育活動

なお、IEMには、以下のセクションが存在する。

  • 特別教育セクション。このセクションでは、一時的又は永続的に特別教育サービスや在宅ケアでは対応できない障害児に対し、適応した教育を保障する。同セクションは、学校やその他の協定を締結した機関との連携により、活動を行うことも可能である
  • 初期職業訓練セクション。同セクションでは、国民教育省や農林水産省のプログラムに応じて、国が交付する資格(diplômes)の1つに対する準備を行うことが可能である。必要な場合には、教育の進度の調整がなされる。
  • 運動機能障害の他にも障害(視覚障害、聴覚障害、軽中度の知的障害、行動障害)を有する若年者のための教育セクション
  • 社会生活準備セクション。同セクションでは、重度の運動機能障害のために、保護された環境下における職業的参入を検討することも難しい青少年を受け入れる

【IEMに附属するサービス】

IEMでも、附属するサービスとして、医療教育施設(IME)と同様の特別教育在宅ケアサービス(SESSAD)を設置することができる。IEMに附属するSESSADは、IMEに附属するSESSADとほぼ同じである(前述IEMの項目を参照)。

d)重複障害児施設・サービス(D.312-83条以下)

複数の重度障害を持つ3歳~18歳まで(場合によっては20歳まで)の児童を受け入れる機関として、重度障害児機関(IPEAP:Instituts pour enfants ou adolescents plyhandicapés)がある。なお、重複障害児とは、運動機能障害と重度の知的障害とをあわせ持ち、認知や表現、他者との関係の可能性、及び、自立が大きく制限されている児童のことを言う。このように定義される重複障害児が、IPEAPで引き受けられる。

重複障害児の支援には、医学的なフォロー、他者との関係やコミュニケーション手段の学習、さらには、感覚器官や運動機能、知能を呼び起こす能力の発展のために、専門的技術が必要である。

IPEAPによって提供されるサービスには、以下のものがある。

  • 障害児の家族や周囲の人々への支援。特に、機能障害や不能、及び、それらの結果を明らかにする作業、そして、他者との関係やコミュニケーション手段の学習に対する支援が行われる
  • 個別の戦略に応じた、潜在能力の覚醒と発展
  • 知識の獲得のための適応した教育
  • 潜在的な運動機能の改善と予防。特に、運動療法や精神運動療法といった適応した技術や技術的支援が利用される
  • 医学的監視、及び、治療
  • 人工装具等の適合に関する医学的・技術的監視
  • 最大限の自立を獲得する観点から行われる、日常生活における様々な活動に関する教育
  • コミュニケーションを発展させる観点から必要な教育
  • 外の世界の発見
  • 人格や集団で生きる能力を見い出し、発展させることを目的とする活動

【重複障害児施設に附属するサービス】

重複障害児施設は、附属するサービスとして、在宅ケア支援サービス(service de soins et d’aide à domicile)を設けることができる。その活動は、0歳~6歳の児童の早期引受け、及び、全ての児童を対象とする自立獲得支援に分類される。前者の児童の早期引受けには、児童の家族や周囲の人々への助言や支援、徹底した検診、児童の初期段階での精神運動的発展、そして、コミュニケーションの発展といった活動が含まれる。他方、後者の自立獲得支援には、医学的、医療補助的、心理社会的な諸手段が含まれる。

在宅ケア・支援サービスによるサービスの提供は、児童の生活や活動の様々な場所(特に、在宅、保育園)、及び、サービスの場所で行われる。

在宅ケア支援サービスは、病院サービス、小児精神保健セクター、検診・診断サービス、早期医療福祉活動センター(CAMSP)、医療心理学教育センター(CMPP)、その他の特別教育施設・サービス、専門機関との緊密な関係のもとで実施される。一定の必要な給付のために、これらサービスや専門機関との間で、協定が締結されることもある。

e)重度聴覚障害児施設・サービス(D.312-98条以下)

重度聴覚障害児施設(Etablissements prenant en charge des enfants ou adolescentsatteints de déficience auditive grave)は、3歳~18歳(場合によっては20歳まで)の聴覚障害児に対し、その聴覚障害に適応した教育を保障する機関である。

具体的には、コミュニケーションに問題を抱える聴覚障害児で、医学的フォロー、コミュニケーション手段の学習、そして、学校での知識の獲得、職業訓練、及び、社会的自立へのアクセスのために、専門的な技術を必要とする聴覚障害児が、この施設の受入れ対象となる。重度聴覚障害児施設では、医師、看護師、社会心理学者からなる特別チームによるサービスが確保されなければならない。

提供されるサービスの内容は、以下の通りである。

  • コミュニケーション手段の学習に関する障害児の家族及び周囲の人々への支援
  • 定期的一般的な障害の医学的監視
  • 人工装具の適合に関する医学的技術的監視
  • 聴覚障害者と周囲の人々との間のコミュニケーションの活性化と発展。これは、聴覚訓練、読唇術とその支援、話し言葉の学習と訂正、さらには、フランス語手話等を内容とする個別の戦略に応じて実施される
  • 知識及び最良の文化的水準の獲得のための教育と支援
  • 人格及び社会的参入を発展させるための活動

同施設は、通所施設としても、入所施設・半入所施設としても機能しうる。しかし、可能な限り、児童は自宅での家庭生活を送る。

重度聴覚障害児施設には、以下のセクションが用意されている

  • 特別教育セクション。同セクションでは、認知及びコミュニケーションに関する特別学習、さらに必要ならば、適応した進度での国民教育プログラムに対応した学校教育が提供される
  • 聴覚障害とその他の障害とを有する児童のための教育セクション。同セクションでは、治療、特別教育活動が行われる。個々のケースごとに、視覚障害や、人格障害、行動障害、知的障害、運動機能障害、その他が考慮され、障害に応じた活動が提供される
  • 聴覚障害の青少年のための理論的実践的初期職業訓練セクション。適応した進度により、特に、専門的な技術教育プログラムが提供される

【重度聴覚障害児施設に附属するサービス】

重度聴覚障害児施設は、附属するサービスとして、家族支援早期教育サービス(Services d’accompagnement familial et d’éducation précoce)、及び、家族教育統合教育支援サービス(Services de soutien à l’éducation familiale et à l’intégration scolaire)を創設することができる。

前者は、0歳~3歳の児童に対して、児童の家族や周囲の人々への助言や支援、徹底的な検診、人工装具の適合、児童のコミュニケーションの発達等のサービスを提供するものである。これらは、サービスの場でも、在宅でも提供される。他方、後者は、通常の学校で就学する3歳以上の児童、及び、そのような就学ができない3歳~6歳の児童に対して、家庭教育や統合教育への支援を提供するものである。

なお、一定の必要な給付のために、補聴器センター、ORL(検診・診断)サービス、早期医療福祉活動センター(CAMSP)、あるいは、専門機関との間で協定が締結されることがある。

f)重度視覚障害児施設・サービス(D.312-111条以下)

重度視覚障害児施設(Etablissements prenant an charge des enfants ou adolescents atteints de déficience visuelle grave ou de cécité)は、3歳~18歳(場合によっては20歳まで)の視覚障害児に対して、視覚障害に適応した教育的支援を提供する機関である。

視覚障害のために、医学的フォロー、障害の補償、そして、学校での知識の獲得及び職業訓練に関する特別な支援を必要とする児童が、ここでは受け入れられる。同施設の目的は、家庭への統合、社会的職業的統合を実現することにある。また、同施設では、特別教育者と連携しつつ働く学際チーム(医学、看護学、社会心理学)の協力が確保されなければならない。

提供されるサービスの内容は、以下の通りである。

  • 医学的監視。特に、視覚の状態(性質、重度、進行、場合によっては矯正)、児童の成長に対する影響、関連する機能障害について
  • (交友)関係の活性化と発展。これは、1.視覚障害を補う諸手段の発展、2.視力に可能性がある場合には視覚機能の刺激及び発展、3.対症療法的な技術の獲得(特に、移動、書き言葉によるコミュニケーション(点字、タイピング、手書き文字)、日々の活動に関して)、4.各児童に適応した様々な技術的電子的機器の使い方の指導、によって実現される
  • 知識及び最良の文化的水準の獲得のための教育・支援
  • 児童の家族及び周囲の人々への支援
  • 人格の発展、社会的参入の容易化を目的とする活動

同施設・サービスは、通所施設としても、入所施設・半入所施設としても機能しうる。しかし、可能な限り、児童は自宅での家庭生活を送る。

同施設・サービスには、下記のセクションがある。

  • 特別教育セクション。同セクションは、児童に対する総体的支援を行う。また、家族と連携しつつ、一時的又は永続的に、自立獲得統合教育支援サービス(下記)では引き受けられない児童に対し、適応した教育を保障する
  • 視覚障害とその他の重大な障害とをあわせ持つ若年者のための教育セクション。その他の重大な障害には、例えば、人格障害や行動障害、知的障害、運動機能障害、聴覚障害が含まれる。同セクションでは、障害に応じて、場合によっては、他の専門機関・サービスとの連携によって、治療活動や教育活動が提供される
  • 理論的実践的初期職業教育セクション。視覚障害のある青少年を対象として、適応した進度で、特に、専門技術教育プログラムを行う。

なお、その活動の一環として、特別教育セクションが、学校や他の機関に協力を要請する場合には、協定が締結される。

【重度視覚障害児施設附属するサービス】

重度視覚障害児施設は、附属するサービスとして、家族支援早期教育サービス(Services d’accompagnement familial et d’éducation précoce)、及び、自立獲得統合教育支援サービス(Services d’aide à l’acquisition de l’autonomie et à l’intégration scolaire)を創設することができる。

前者は、0歳~3歳の児童に対して、児童の家族や周囲の人々への助言や支援、徹底的な検診、児童の初期段階での精神運動的発展等のサービスを提供するものである。これらは、サービスの場でも、在宅でも提供される。他方、後者は、障害を補う手段、視覚機能を発展させる手段、対症療法的技術の学習手段、さらには、適応した教育支援を提供するものである。

一定の必要な給付のために、眼科学検診センター、早期医療福祉活動センター(CAMSP)、あるいは、専門機関との間で協定が締結されることもある。

g)特別家族受入センター(D.321-41条以下)

特別家族受入センター(Centre d’accueil familial spécialisé)は、障害児のための入所施設である。同センターの目的は、障害児に対して、周囲の人々との間で見い出せる環境を補足する心理学的、教育的、情緒的環境を提供することにある。同センターは、知的障害、運動機能障害、重度の視覚・聴覚障害、重複障害を持つ児童の受け入れについて承認を受けた機関、及び、治療教育機関(ITEP)、医療心理学教育センター(CMPP)、早期医療福祉活動センター(CAMSP)によって、創設・管理運営される。

特別家族受入センターは、受入家族(famille d’accueil)に対して、障害児の受け入れを依頼することもある。その場合には、同センターは、監督機関に対して、児童の受入を依頼した受入家族の名前と住所、そして、受入家族に受け入れられた児童の数を通知しなければならない。なお、受入家族の選択は、医学・教育チームの意見を聴取した上で、新たな環境におかれる児童の諸々の関係を観察した後に、所長によって言いわたされることとなっている。その選択に際しては、可能な限り、児童の家庭環境についての意見や信条が考慮されなければならない。当該児童の受入家族での引受けについては、児童の両親は、センターに対して合意を与える。そして、センターは、障害児の実の家族と受入家族との間の関係について気を配ることとなっている。

C.CDAPHによる施設・サービスの決定

障害児のニーズに適応した施設・サービスの指名は、障害者、その両親又は法定代理人からの申請を受けて、障害者権利自立委員会(CDAPH)が行うことになっている(社会福祉・家族法典L.241-6条I2o)。このCDAPHの決定は、全ての施設・サービスにとって必要なものである。

CDAPHの決定には、理由が付されていなければならず、また、その決定は、定期的な見直しの対象にもなる(L.241-6条II)。加えて、CDAPHの決定は、調停の対象にもなる。

(3)障害児を対象とする施設・サービスの数

障害児を対象とする施設・サービスの数は、下記の表の通りである3)図表1参照)。上述の施設・サービスを網羅するものではないが、参考として示しておく。

図表1 障害児施設・サービスの数及び定員

施設の種類 2001年 2006年 増加率
施設数 定員 施設数 定員 施設数 定員
知的障害児施設 1,280 71,207 1,229 70,012 +2% -2%
治療教育機関(ITEP) 342 15,617 362 14,962 +6% -4%
重複障害児施設 159 4,387 189 5,030 +19% +15%
身体障害児施設 123 7,363 131 7,352 +70304 -0.20%
視覚・聴覚障害児施設 149 9,661 134 8,409 -10% -13%
障害児実験的施設4) 27 593
障害児一時受入施設5) 8 284
施設全体 1,981 108,235 2,080 106,642 5% -1%
特別教育在宅ケアサービス(SESSAD) 911 22,835 1,300 33,836 +43% +48%

範囲:障害児のための医療社会福祉施設・サービス

出典;ESアンケート(2001)及びESアンケート(2006)、DARES

2006年12月31日の段階で、障害児を対象とする医療社会福祉施設内に、約10万7,000の定員が確保されている。他方、児童に対して通常の生活の場でのケアを提供する特別教育在宅ケアサービス(SESSAD)には、約3万4,000の定員が確保されている。SESSADにおける定員の増大は著しく、2001年から2006年の間に+48%の増員が見られている。

施設を利用している児童の多くは、両親と共に暮らしているか、あるいは週末を両親の家で過ごしており、定期的に両親と面会している。また、就学していない児童の数も、減少しており、6歳から15歳児全体の12%となっている。


■補足情報

(1)障害児教育手当(AEEH)

20歳未満の障害児を扶養する者に対しては、障害児教育手当(AEEH;Allocation d’éducation de l’enfant handicapé)(2009年1月現在、月額124.54ユーロ)の支給がある(社会保障法典L.541-1条1項)。これは、障害児の教育やケアにかかる追加的費用の補償を目的とする給付である。

AEEHは、原則として、障害率が80%以上である障害児を扶養する者に支給されるが、障害率が50%以上80%未満の児童を扶養する者にも、以下の条件を満たす場合には支給が認められる。

  • 適応した措置や就学支援を必要とする状態にある場合
  • 適応教育機関に通っている、あるいは、教育在宅ケアサービスを受けている場合
  • 障害者権利自立委員会(CDAPH)により奨励されたケアを受けている場合

AEEHは、家族手当金庫(CAF)から支給される家族給付であり、義務教育終了年齢(16歳)まで支給される。義務教育の年齢を過ぎた後は、当該障害児が、租税等控除前の法定最低賃金の55%未満で働いている場合には、20歳まで支給される。なお、AEEHの支給決定は、障害者権利自立委員会(CDAPH)が行う。

AHHEは、子を実質的に常時扶養している者に支給される。子が、それぞれの親の元で交互に過ごしている場合、両親は、手当の受給者を指名しなければならない。

2007年におけるAEEH受給者は、15万2,545人であり、総額で約6億800万ユーロがAEEHとして支給された6)

(2)AEEH補足手当(Complément d’AEEH)

障害児が、その障害の性質や重度によって、特別の超過費用を必要とする場合、あるいは、頻繁な第三者による支援を必要とする場合には、障害児教育手当(AEEH)に加えて、AEEH補足手当が支給される(社会保障法典L.541-1条2項)。その額は、必要な追加的費用の額や、必要な支援の程度に応じて異なっている(図表2参照)。

AEEH補足手当の支給決定は、AEEHと同じく、障害者権利自立委員会(CDAPH)が行い、あわせて、当該児童の障害の性質・重度に応じた額(カテゴリー)の決定も行われる。額(カテゴリー)の決定にあたっては、両親の1人又は双方が、職業活動を縮小又は停止しているか、あるいは、職業活動を断念したか、どのぐらいの第三者介護の時間が必要か等が考慮される。

なお、2008年4月1日以降は、AEEH補足手当に代えて、障害補償給付(PCH)の受給を選択することも可能となっている。

図表2 AEEH補足手当の額、及び、1人親加算

カテゴリー区分 補足手当の額 1人親加算 7)
カテゴリー1 93.41€ -
カテゴリー2 252.98€ 50.60€
カテゴリー3 358.06€ 70.06€
カテゴリー4 554.88€ 221.84€
カテゴリー5 709.16€ 284.12€
カテゴリー6 1018.82€ 416.44€

出典;La MDPH de Seine & Marne en PRATIQUE
(セーヌ-エ-マルヌ県障害者センターにおける実践), Janvier 2009, p20.

3.障害児に関する調査 脚注

1)どのタイプの施設・サービスを利用する場合にも、児童の家族には、参加と情報提供の権利が認められている。したがって、施設・サービスは、障害児の家族に対して、定期的に(施設やサービスにより異なる。少なくとも3ヶ月又は6ヶ月に1回)、児童の成長の状況を詳細に伝えなければならない。また、両親には、毎年、児童の状況に関する完全な学際的報告書が提出される。全ての場合において(緊急時の治療について承認の署名をしていた場合にも)、両親は、親権に属する事項・決定について、訴訟を提起することができる。

2)Décret n°56-284 du 9 mars 1956 complétant le décret n°46-1834 du 20 août 1946 modifié fixant les conditions d'autorisation des établissements privés de cure et de prévention pour les soins aux assurés sociaux.

3)Les structures pour enfants handicapés en 2006:un développement croistyut des services à domicile(2006年における障害児のための施設・サービス:在宅サービスの発展),Résultats de l’enquête ES 2006 no669,novembre 2008,p.2.

4)新しい支援の形を促進するために創設された機関。

5)主として、一時的なニーズに対応し、家族支援者を支援する機関。

6)Le Compte social du handicap en 2007(2007年における障害関連の社会会計),études et résultats no677,février 2009,pp.3・6.

7)1人親加算は、障害児を扶養している1人親が、就労活動を止めた、もしくは、減らした場合、又は、障害児のために第三者介護を利用している場合に支給される。

■添付資料

1/生活計画

*添付資料として、PCH(障害補償給付)の申請に必要な書類の様式、及び、障害者の補償ニーズを評価する際に使用されるGEVAの全訳を掲載する。なお、添付資料の翻訳については、東京大学大学院総合文化研究科博士課程の野崎夏生さんに協力していただいた。

(資料1)

生活計画

姓:
名:
住所:
電話番号:
メールアドレス:

MPDHに本書類を提出する方へ:

  • 本書類は機密書類です。
  • ご自分の状況に関連する希望やニーズを自由に書き込んで下さい。修正は、いつでも可能です。
  • あなたの個別補償計画を作成するために、評価を行う学際チームが本書類を参考にします。
  • 申請を取り扱うに当たって、権利自立委員会はあなたが生活計画の作成を希望しているか否かを知る必要があります。この書類はその意思を表明するためのものです。

MPDHに申請書を提出するにあたり、私は:

日常生活に関する希望やニーズを表明することを望まない。(本書類の2ページ目に日付及び署名を必ず記入すること)。
日常生活に関する希望やニーズを表明することを望む(コミュニケーション、健康、学校教育、職業訓練、労働、住居、日常生活、感情面、家族生活、余暇など)。

1-どのような希望がありますか?

 

2-どのようなニーズがありますか?

 

3-他に指摘すべきことがあれば、以下に記入して下さい:

 

(紙面が足りない場合は、新たにページを追加してご記入下さい)。


日付及び署名:
書類作成時の付添い人の氏名及び身分:


(存在する場合は)法定代理人の氏名:
続柄:
住所:
電話番号:
法定代理人の署名:

申請を行う成人又は未成年に関する確認-1

1-申請に関する確認

MPDHへの申請書類は、本確認書類及びその他の添付書類で構成されます。添付書類としてMPDHに提出する予定のものに印をつけて下さい。
□障害児教育手当(AEEH)及びその補足手当の申請書。
□学校教育、訓練、あるいは、医療福祉施設又はサービスでのケアに関連する申請書。
□様々なカードの申請書。
□補償給付又は補償手当の更新のための申請書。
□成人障害者手当(AHH)及び所得補足手当の申請書。
□労働、雇用及び職業訓練に関連する申請書。
MPDH押印欄

2-申請を行う成人又は未成年に関する身元確認

申請書を行う成人本人又は申請書を行う未成年の保護者 申請書を行う未成年
□女性(未婚) □女性(既婚) □男性 □男性  □女性
旧姓:  
姓(結婚後の姓): 姓:
名: 名:
生年月日: 生年月日:
出生場所:     県 出生場所:     県
市町村: 市町村:
国: 国:
国籍: □フランス
□EEE*又はスイス
□その他
国籍: □フランス
□EEE*又はスイス
□その他
外国に居住していた場合、フランスに入国した日付を記入して下さい:
社会保障番号又はMSA番号:

*EU及び欧州経済領域の加盟国は以下の通り:ドイツ、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、キプロス、デンマーク、スペイン、エストニア、フィンランド、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、アイスランド、イタリア、ラトヴィア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、ノルウェー、オランダ、ポーランド、ポルトガル、チェコ、ルーマニア、イギリス、スロヴァキア、スロヴェニア、スウェーデン。

申請を行う成人又未成年に関する確認-2

3-法的保護下にある成人の場合

法的保護は誰によって行われていますか?  □家族の一員  □機関  □その他
□後見人  □保佐人 の連絡先:
姓:
名:
番地: 通り:
郵便番号: 市町村:
電話番号: 携帯番号:
メールアドレス:

4-未成年の子の場合

父親: 姓: 名:
住所:
郵便番号: 市町村:
電話番号: 携帯番号:
メールアドレス:
職業:
母親: 姓: 名:
住所:
郵便番号: 市町村:
電話番号: 携帯番号:
メールアドレス:
職業:
親権の持ち主(片親が持っている場合):
子供は親が交互に預かっていますか? □はい  □いいえ
その他の法定代理人又は児童社会扶助員(référent ASE):
姓: 名:
住所:
郵便番号: 市町村:
電話番号: 携帯番号:
メールアドレス:
職業:

申請を行う成人又は未成年に関する確認-3

5-支払い機関に関する確認

居住する県のCAF又はMSAに登録していますか?       □はい  □いいえ
「はい」と回答した場合、CAF受給番号を記入して下さい。 _________
SAに登録している場合は□にチェックをつけて下さい:   □
機関の名称及び住所:
名称: 
番地: 通り:
郵便番号: 市町村:

6-現住所

申請者の現住所 子の普段の住所
(申請者と異なる場合)
番地: 住所: 番地: 住所:
   
郵便番号: 郵便番号:
電話番号: 電話番号:
携帯番号:   
メールアドレス:               @
上記の住所の種類についてご記入下さい:
□1-自宅
□2-障害者あるいは高齢者のための入所施設
□3-有償での個人の自宅での受入れ
□4-受入機関又は受入家族、又は、児童社会扶助
連絡先:
□その他。詳しくご記入下さい:

2及び3の場合は、施設入所又は受入家族によって受け入れられる3ヶ月前の住所をご記入下さい。

施設又は受入家族の名称:
施設又は受入家族によって受け入れられる3ヶ月前のご自宅の住所:
番地: 通り:
郵便番号: 市町村:
非営利組織、認可組織、自治体又は自治体間の社会福祉センターへの入居を決めた場合、施設の名称をご記入ください:

申請を行う成人又は未成年に関する確認-4

7-申請者の家庭状況

あなたは:
□結婚している  □PACSを利用している □結婚しておらず、PACSも利用していないが、同棲している(事実婚)
同棲の開始日:
あなたは:
□別居している □離婚している □配偶者と死別している □独身である
一人暮らしの開始日:

8-同居する子又はその他の人

氏名 生年月日 現在の状態
(学校教育、見習い、職業など)
続柄
       

9-主治医(任意で記入)

資格:
氏名:
住所:
郵便番号: 市町村:
電話番号: 携帯番号:
メールアドレス:               @

申請を行う成人又は未成年に関する確認-5

10-社会的側面又は医療福祉の面の情報の提供ができるその他の専門家又は組織(任意記入)

資格:
氏名:
住所:
郵便番号: 市町村:
電話番号: 携帯番号:
メールアドレス:               @

11-申請書の記入を手助けした者(任意記入)

この申請書は、誰かに手助けしてもらって作成しましたか? □はい  □いいえ
「はい」と回答した場合、それは以下の誰ですか:□親戚  □介助者
   □その他、詳細:
希望する場合は、その連絡先もご記入下さい:

12-申請歴

CDESに書類を提出したことがありますか? □はい  □いいえ 県名:
「はい」と回答した場合、CDESの書類番号をご記入下さい:
COTOREPに書類を提出したことがありますか? □はい □いいえ 県名:
「はい」と回答した場合、COTOREPの書類番号をご記入下さい:
SVAに書類を提出したことがありますか? □はい  □いいえ 県名:
「はい」と回答した場合、SVAの書類番号をご記入下さい:
MPDHに書類を提出したことがありますか? □はい  □いいえ 県名:
「はい」と回答した場合、MPDHの書類番号をご記入下さい:

13-申請場所及び日付

  にて 日付:
署名: □本人           □法廷代理人


不正あるいは真実と異なる内容を申請した場合、法によって厳正に処罰されます(刑法典441‐1条)。
情報処理、データファイルと人権に関する1978年1月6日の法律(法律番号70-17)(修正版)が、本書類の回答に適用されます。MPDHにおいて、あなたに関するデータへのアクセスとデータの修正の権利を保障します。
本書類によって得られた回答はコンピュータで処理され、現行法を遵守した上で伝達されます

2/補償給付又は補償手当更新申請書

(資料2)

補償給付又は補償手当更新申請書

1-申請の確認

□第三者補償手当(ACTP)の更新手続き又は見直し
□職業コスト補償手当(ACFP)の更新手続き又は見直し
□補償給付(PC)


補償手当(AC)受給者である場合、補償給付(PC)も申請することができます。
同時に2つの給付を申請すれば、障害者権利自立委員会による決定の後に、どちらかを選ぶ権利が確保できます。
どちらかを選ばなかった場合は、補償給付(PC)が支払われます。


申請内容の詳細:
□日常生活における人的支援(成人の場合のみ)
□技術的支援、機材又は特殊設備(成人の場合のみ)
□住宅の改修(成人又は未成年)
□車両の改修又は交通に係る超過費用(成人又は未成年)
□特別な又は例外的費用(成人の場合のみ)
□動物による支援(成人の場合のみ)
□ニーズを明確にすることができないので、その特定のためにMPDHの手助けを求める

2-申請を行う成人又は未成年の確認

旧姓:
姓(結婚後の姓):
名:
社会保障番号:
□□□□□□□□□□□□□ □□
(ある場合は)相互保険会社の名称及び住所:
保険登録者番号:

補償給付又は補償手当更新申請書-2

3-申請者の状況

▶すでに第三者補償手当(ACTP)を受給していますか?
□はい  □いいえ
▶すでに職業コスト補償手当(ACFP)を受給していますか?
□はい  □いいえ
▶すでに障害児教育手当(AEEH)又は旧AESを受給していますか?
□はい  □いいえ
▶社会保障機関によって支払われる第三者加算(MTP)を受給していますか?
□はい  □いいえ
▶外国に一回又は複数回滞在しますか?
-全体で年間3ヶ月以上6ヶ月以下の滞在   □はい  □いいえ
-全体で年間6ヶ月以上の滞在        □はい  □いいえ
「はい」と回答した場合、外国での滞在が必要なのは:
□勉学の継続のため
□外国語を学ぶため
□職業訓練を完全なものにするため
▶60歳以上である場合のみ回答して下さい:働いていますか?
□はい  □いいえ
▶手当の自己負担率を決定するために、以下に収入額を申告して下さい:
不動産収入、有価証券収入及び動産収入、その他の収益の総額:
__________ユーロ


上記の欄で申告の対象となるのは、申請を行った年の前年度の収入の総額である。
収入の総額は、前年度の収入申告(様式2042)と同じものである。
子のために補償給付を申請する場合、ご自分の収入、又は、配偶者と生活している場合(法律婚、事実婚、PACSの場合)は世帯の収入を記入して下さい。

補償給付又は補償手当更新申請書-3

4-人的支援(成人の場合のみ)

申請の確認

□新規の申請
□再審査
□申請の更新-期限日:__/__/____
□視覚障害者用の定額申請
□聴覚障害者用の定額申請
更新や再審査の場合は、MPDHのファイル番号を記入して下さい:

申請者の状況

現在、自宅で一人又は複数の人からの支援を受けていますか?
□はい   □いいえ


  支援者又はサービスの連絡先
自宅介護  
看護師又は看護助手  
家族の一員又は知人  
その他、詳細に  


職業活動や公選の職務のために、あるいは、障害者団体や組織の代表が当然に出席する諮問機関や組織に関与するために、人的支援を必要としますか?
□はい   □いいえ

補償給付又は補償手当更新申請書-4

5-技術的支援(成人の場合のみ)

申請の確認

□新規の申請
□再審査
□申請の更新-期限日:  /  /
更新や再審査の場合は、MPDHのファイル番号を記入して下さい:

申請者の状況

現在、障害と関係する機材や設備を利用していますか?
□はい  □いいえ
「はい」と回答した場合、どのような機材・設備ですか?: いつからですか?
    /  /
    /  /
    /  /
    /  /
    /  /
    /  /
    /  /
障害と関係するその他の機材や設備が必要ですか?
□はい  □いいえ
「はい」と回答した場合、それはどのような機材・設備ですか?

補償給付又は補償手当更新申請書-5

6-住宅の改修(成人又は未成年)

申請の確認

□新規の申請
□新規の申請
□再審査
□申請の更新-期限日:  /  /
更新や再審査の場合は、MPDHのファイル番号を記入して下さい:

申請者の状況

障害者が子ある場合、障害児教育手当(AEEH)及び旧AESを受給していますか?
□はい  □いええ  □CDA(権利自立委員会)の返事待ち
「はい」と回答した場合、受給額は:__________ユーロ

申請者の住宅(主たる居所)

あなたは:□所有者
□賃借家人-家主の氏名:
□宿所を提供してもらっている-宿所提供者の氏名:
宿所提供者との続柄(親戚、子など)
住宅の改修を行ったことがありますか? □はい  □いいえ
「はい」の場合、どのような改修ですか?
 
改修実施日:  /  /
あなた、又は子の障害と関連して、現在の住宅にどのような種類の改修が必要ですか?
 
現在の住宅を改修することが不可能で、アクセシビリティのより良い住宅への引越しを決めた場合、引越し費用の支援を必要としますか?
□はい  □いええ

補償給付又は補償手当更新申請書-6

7-車両の改修又は交通に係る超過費用(成人又は未成年)

申請の確認

□新規の申請
□再審査
□申請の更新-期限日:  /  /
更新や再審査の場合は、MPDHのファイル番号を記入して下さい:

申請者の状況

障害者が子である場合、障害児教育手当(AEEH)及び旧AESを受給していますか?
□はい  □いいえ  □CDA(権利自立委員会)の返事待ち
「はい」と回答した場合、受給額は:__________ユーロ

車両

運転免許証を持っていますか?      □はい  □いいえ
改修する予定の車両を所有していますか? □はい  □いいえ
「いいえ」と回答した場合、その車両は誰のものですか?
その車両を運転していますか?     □はい  □いいえ
車両の改修を行ったことがありますか?  □はい  □いいえ
「はい」と回答した場合、それはどのような改修ですか?
□車両へのアクセスのための改修
□運転席の改修
□同乗者のための改修
□その他
いつからですか?  /  /
あなた又は子の障害に関連して、車両の新たな改修、又は、新車の改修を必要としますか?
□はい  □いいえ
「はい」と回答した場合、それはどのような改修ですか?

交通に係る超過費用

バカンスのための交通費を含め、定期的及び頻繁な移動により生じる交通に係る超過費用を支払っていますか?
□はい  □いいえ
「はい」と回答した場合、交通手段は?
□個人車両  年間走行距離:
□他の交通手段(タクシー、特殊交通機関、公共交通機関など)
移動の理由は? □仕事  □医療福祉施設への通所  □その他
どのくらいの頻度ですか?  

補償給付又は補償手当更新申請書-7

8-特別な又は例外的費用(成人の場合のみ)

申請の確認

□新規の申請
□再審査
□申請の更新-期限日:  /  /
更新や再審査の場合は、MPDHのファイル番号を記入して下さい:

申請者の状況

既出の項目では書かれなかった、障害に関係する特別な費用、例外的費用についてご記入下さい(例:保険、電気車椅子の維持費、オムツ代、衣服のための出費など)
 

補償給付又は補償手当更新申請書-8

9-動物による支援(成人の場合のみ)

申請の確認

□新規の申請
□再審査
□申請の更新-期限日:  /  /
更新や再審査の場合は、MPDHのファイル番号を記入して下さい:

申請者の状況

盲導犬又は介助犬を有していますか?  □はい  □いいえ
「はい」と回答した場合、犬をトレーニングした団体の名称は何ですか?
品質保証番号:
犬を自宅に迎え入れたのはいつからですか?   /  /
「いいえ」と回答した場合、トレーニングを受けた犬を手配する団体に問い合わせたことはありますか?
□はい   □いいえ
「はい」と回答した場合、犬を迎え入れる予定日はいつですか?   /  /

補償給付又は補償手当更新申請書-9

10-簡略手続き

簡略手続きにより、全員出席の権利自立委員会ではなく、同委員会の《出席者限定》委員会に本書類を提出することができます。出席者限定委員会は、委員の数は、全員出席の委員会よりも少ないですが、会議の回数は、全員出席の委員会よりも多いのが特徴です。

従って、よく見受けられるケースの場合、迅速な処理が可能になります。同時に、学際チームの研究の質も掘り下げたものとなります。しかし、申請をする際に面談するのは権利自立委員会の委員ではありません。

本書類が簡略手続きの対象にならないよう、反対することができます。

その場合は、以下の□欄にチェックをつけて下さい:

□私は本書類が簡略手続きの対象となることに反対する。

11-申請場所及び日付

  にて 日付:   /  /
署名: □本人  又は  □法定代理人


不正あるいは真実と異なる内容を申請した場合、法によって厳正に処罰されます(刑法典441‐1条)。

情報処理、データファイルと人権に関する1978年1月6日の法律(法律番号70-17)(修正版)が、本書類の回答に適用されます。MPDHにおいて、あなたに関するデータへのアクセスとデータの修正の権利を保障します。

本書類によって得られた回答はコンピュータで処理され、現行法を遵守した上で伝達されます。


補償給付又は補償手当更新申請書-9裏

12-添付書類

申請書類の素早い処理を可能にするために、本書類に日付を記入し、以下の書類を添付して下さい:

必須書類(書類の申請全体に共通のもの)
□医師の診断書、主治医による3ヶ月以内のもの
□あなたがフランス人又はEEE*出身者である場合、以下のコピーを添付して下さい:
□ナショナルアイデンティティ・カード
□又は、家族手帳
□又は、パスポート
□又は、出生証明書
□EEE外の国の出身者である場合: 有効な滞在許可証のコピー
□後見人又は保佐人がいる場合: 後見人又は保佐人の決定証明書‐司法による保護
□住所証明書(EDF-GDFの請求書、家賃の領収書など)
審査に必要な書類(本申請に固有のもの)
□前年度の収入の申告
□第三者雇用証明書(場合に応じて)
□公選役職の証明書(場合の応じて)
□第三者加算(MTP)の支給証明書(障害年金、老齢年金、労災年金)
□銀行口座証明書(RIB)又は郵便貯金口座証明書(RIP)

*EU及び欧州経済領域の加盟国は以下の通り:ドイツ、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、キプロス、デンマーク、スペイン、エストニア、フィンランド、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、アイスランド、イタリア、ラトヴィア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、ノルウェー、オランダ、ポーランド、ポルトガル、チェコ、ルーマニア、イギリス、スロヴァキア、スロヴェニア、スウェーデン。


3/健康診断書

(資料3)

健康診断

MPDH-セーヌエマルヌ県 書類番号
健康診断書
障害を持つ成人

拝啓

秘密保持のための封をした上で、この健康診断書を患者に渡して下さい。患者は、この健康診断書を申請書類に添付します。

県障害者センター(MPDH)の学際チームの医師らが、最短で書類を審査し、障害者権利自立委員会(CDA)に公正な決定を提案できるように、患者に関係する欄に記入し、有用と判断した補足書類を添付して下さい。

学際チームの構成員は、障害者の機能障害及び無能力を評価するにあたり、評価基準を使用します。

機能障害とは、器官や機能が損傷を受けている状態を指します。

無能力とは、日常生活上の基礎的な行動・行為における能力の制限を意味します。

以上の2つの結果生じる社会的不利は、年齢や性別、社会文化的ファクターを勘案して普通だと思われている役割の実現が、制限又は禁止される状態を意味します。

評価基準には、機能障害の度合いに応じて、無能力の比率が決められています。なお、無能力は、機能的な能力及び日常生活における自立への影響という観点から評価されます。

MPDHの学際チームやCDAのメンバー、サービスに従事する者全員に、患者に対する守秘義務があります(刑法典378条)。

補足説明が必要な場合は、MPDHの学際チームの医師にお問い合わせ下さい。

敬具

 


戸籍
社会保障登録番号:
□□□□□□□□□□□□□ □□
姓: 旧姓:
名: 生年月日: □□ □□ □□
住所:


身長: 体重:
本申請の理由となる主たる診断:
原因: 先天性疾患: 後天的疾患:    から
それは以下のものですか:
労働災害: IPP(労働能力の減退)率: 日付: 
職業病: IPP率: 日付: 
現在の無能力に影響した病歴、手術歴、及び産婦人科系の病歴:
アルコール中毒□ 麻薬中毒□ タバコ中毒□


障害の状況(患者に関係する欄にご記入下さい)
知的障害及び・又は精神障害及び・又は行動の困難
(記憶障害、時間的空間的把握の困難、気分障害、警戒、情緒感情障害、行動障害など): 
てんかんによる障害(最新のEEGの報告書を添付して下さい)
タイプ: 発作の頻度:
関連する人格障害:
聴覚障害(機器なしのOD-OGオーディオグラム(聴力図)を添付して下さい)
関連する障害(耳鳴り、めまいなど):
言語障害
構音障害、失読症、失語症、発話障害など:
発話障害の場合、コミュニケーションを取ることは可能ですか? 
「はい」と回答した場合、それはどのように可能ですか?
視覚障害(修正後の視力〔片目ずつ、遠くから、近くから、両目の視野など〕を記載した眼科の診断書を添付して下さい)
視力の改善が可能 不可能
医学的処置により    外科的処置により (日付)       に予定
その他の神経眼科系の障害(無水晶体眼など):
心血管呼吸障害(補足検査の結果を添付して下さい:心電図、呼吸機能検査、血液ガス分析など)
機能障害の兆候:
心臓補助:
呼吸器補助:
移植:             日付:  /  /    耐性:
消化機能障害(補足検査の結果を添付して下さい)
嚥下障害、食事内容、腸機能障害、人工肛門、肝臓障害、膵臓障害など:
排尿障害
排出障害(尿閉、昼間/夜間失禁、ゾンデ、保護機器):
透析療法:□はい  □いいえ 一週間の頻度:
移植:  □はい  □いいえ 日付:  /  /   耐性:
代謝、酵素障害(補足検査の結果を添付して下さい)
糖尿病の型、肥満、小人症、その他:
免疫、造血障害(補足検査の結果を添付して下さい)
健康全体と心理面への影響:
運動機能・移動機能障害(レントゲン写真やCTスキャンなどの結果を添付して下さい)
疾患のある部位、障害の種類、また、関連する感覚障害の有無を詳しく記入して下さい:
機器、技術的支援、耐性などを詳しく記入して下さい:
審美上の障害
社会生活や人間関係に影響する火傷の痕や傷跡、種類、部位:

障害の影響

自立
A:全てにおいて、通常、適切に一人でできる
B:部分的に1人で出来る。通常、適切にできるという程度にはいない。
C:一人でできない
A、B、又はC
首尾一貫性:会話する及び/又は論理的、常識的な態度を取る  
方向感覚:時間及び空間の把握  
身支度:洗面、整髪など  
着衣:着脱、身なり+ 調和  
食事:準備された食事を食べる  
排泄:排尿、排便を衛生的にできる  
体位移動:起きる、寝る、座る  
屋内移動:杖、歩行器、車椅子あり/なしで  
屋外移動:玄関から交通手段を使わずに  
通信:電話、呼び鈴、アラームなどの通信手段を使う  
家事:家事、料理など  
薬物療法
性質:
耐性(向精神薬、化学療法、免疫抑制剤の副作用を詳しく記入して下さい)
入院の頻度及び/又は専門のリハビリテーションの必要性:
現在の職業ポストに就く能力・適性に対する障害の影響
職業ポストの調整、労働時間、困難、異動、欠勤など:
労働医の氏名:
適性カードのコピーを添付して下さい


  にて
日付:
医師の署名(押印):