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第5節 スウェーデン

(スウェーデン王国)
Konungariket Sverige

1.障害者介護サービスに関する調査

2.モデルに関する調査

3.障害児に関する調査

添付資料
1/介護サービスの申請から決定及び提供までの概ねの流れ
2/LSS下での介護サービスの申請書
3/LSSの調査書
4/SoLの調査書
5/ホームヘルプサービスに関するガイドライン(マルメ市)
6/LASS(アシスタンス補償法)査定のステップ
7/アシスタンス補償金の申請

河東田 博 (立教大学コミュニティ福祉学部教授/ウプサラ大学客員研究員)

ボーレグレーン-松井 芳子 (ルンド大学)


1.障害者介護サービスに関する調査

(1)障害の定義、範囲、区分(制度別)

障害の定義、範囲、区分等は、概ね「一定の機能的な障害のある人々に対する援助とサービスに関する法律」1)(LSS)に明示されているため、LSSを基に整理を行う。なお、LSSには「伝統的な障害観」(障害のある個人が社会的役割を果たせるように未整備な環境に介入することが必要だという考え方)があり、「特別なサービスの提供による環境改善・完全参加と平等」政策が進められてきたことを付記しておく。

スウェーデンの障害者は、法制度上「機能障害者」(personer med funktionsnedsättning)と呼ばれ、一般的にもこの名称が定着しつつある。LSSによると、機能障害者とは次のような人々を指し、それぞれ3つの区分に分けて援助とサービスを提供している。

区分1:
発達遅滞者、自閉症または自閉症的症状を示す人々
区分2:
成人に達してからの外傷または身体的疾患に起因する脳障害により、重篤かつ恒久的な知的機能障害のある人々
区分3:
明らかに通常の高齢化にはよらない、他の恒久的な身体的または精神的機能障害のある人々。つまり、障害の程度が重く、日常の生活を送る上で著しい困難さが見られるため、広範な援助とサービスを必要とする人々。

したがって、LSSは、全ての身体・知的・精神障害者に適用されていることが分かる。LSS以外に「(2)要介護者の定義、範囲、区分」に示す(総合立法)社会サービス法(SoL)2)があるが、具体的な障害の定義・範囲・区分は見当たらない。したがって、障害者福祉サービスの基幹となる法制度はLSSと考えてよい。

もし介護サービス利用の申請があった場合には、申請者の申請内容をLSS査定員が査定し、必要なケアの種類・量・内容などが決定される。なお、その際、知能検査などは原則として行われていない。そのため、例えば、知的障害の場合、これまで、臨床場面ではグンナル・シリェーン(Gunnar Kylén)の定義(知的障害とは、思考プロセスの抽象レベルの発達が障害を受けたために、成人の一般的知的レベルよりも遅れているか滞っている状態のことをいう。したがって、知的障害とは、明らかに、記憶力が乏しく、思考プロセスの抽象レベルが低く、空間・時間・質・量・原因の構造化が単純かつ具体的で、行動の形態や思考操作が単純で、象徴的機能の抽象的レベルが低い状態のことをさしている3))に基づき、Aレベル(重度:IQ10未満)・Bレベル(中度:IQ10~45)・Cレベル(軽度:IQ45~70)という3つの区分4)を用いられることが多かった(図表1参照)。また、研究レベルでは、国際比較のために、WHOの定義(精神遅滞とは、発達期間中に引き起こされ、適応行動に障害を伴う一般的知的機能が平均的レベル以下の状態をさす5))に基づく最重度(IQ20以下)重度(IQ20~35)中度(IQ35~50)・軽度(IQ50~70)という4つの区分6)(IQ70~85を「境界線」とし、5区分が使われる場合もある7))が用いられることが多かった(図表1参照)。古い資料だが、1982年当時の分布割合は軽度24%、中度34%、重度41%8)であった。

図表1 シリェーン(GK)モデルとWHOモデルとの関係 9)

GK A B C
IQ 10 20 30 40 50 60 70
WHO 最重度 重度 中度 軽度

出典;Abelin, P. m.fl., 2009, Öka elevens kommunikation genom datorns möjligheter.ITiS i Kristianstad - Fröknegårdens Träningsskola

(2)要介護者の定義、範囲、区分(制度別)

(1)障害の定義、範囲、区分」からも分かるように、「一定の機能的な障害のある人々に対する援助とサービスに関する法律」(LSS)で規定される全ての障害者が要介護者の対象者となる。では、福祉全般のサービスについて規定している社会サービス法(SoL)ではどうか。

SoLには、第1章第1条に目的が、第5章に要介護者の定義・範囲等が示されている。

第1章第1条の目的には、次のように記されている。

「社会サービスは、民主主義と連帯の観点から、国民の経済的・社会的保障、生活条件の平等及び地域社会生活への積極的な参加を促進するために提供されるべきである。また、社会サービスは、自己の及び社会的な責任に配慮しながら、個人的・社会的資質の向上と発達のために提供されるべきである。さらに、社会サービス活動は、個人の自己決定とプライバシーの尊重を基礎としてなされるべきである。」

同様に、第5章には、要介護(被援助)の対象者を次のように明示している。

「児童・青少年、高齢者、機能障害者、麻薬乱用者、長期療養者・高齢者・機能障害者の世話をしている親族、犯罪被害者」

また、第5章第7条の障害者の項には、次のように記されている。

「身体または精神的に障害のある人々は、地域社会の生活に参加をし、可能な限り普通に生活をする機会が与えられるべきである。」

以上のことから、SoLにおける要介護者とは「経済的・社会的保障がなされず、生活条件の平等も保障されず、地域社会生活への積極的な参加がしにくい人」で、具体的には「児童・青少年、高齢者、機能障害者、麻薬乱用者、長期療養者・高齢者・機能障害者の世話をしている親族、犯罪被害者」、つまり、社会サービスを必要とする人たちが全て要介護者の対象となっていることが分かる。

(3)制度の名称、根拠法

社会サービス法(SoL)の下に数多くの障害者関連補足法が存在しているが、ここでは、SoLとともに、主要な2つの障害者福祉サービスに関する法律「一定の機能的な障害のある人々に対する援助とサービスに関する法律」(LSS)とアシスタンス補償法(LASS)10)を取り上げ、その関係を見ていく。

SoLは、社会サービスを必要とする人々のための総合立法かつ基幹法で、地域生活支援に関わるあらゆるサービス(在宅介護、施設介護、現金給付等)が各自治体によって提供されることが明示されている。障害者に対しては、同法第5章第7条及び第8条でその詳細が明記されている。

LSSは障害者権利法とも言えるもので、全ての障害者に対する福祉サービス受給の権利とその具体策が明示されている。第7条及び第8条には特別な援助とサービスを受ける権利が、第9条から第13条には特別な援助やサービスの具体策が明示されている。特に第9条では、相談・個別援助、さらには、パーソナルアシスタント(ディスアビリティを補うために、障害者のニーズに応じて日常生活の代行を行う個別介護者のこと)等による具体的な特別な援助やサービスについて明示している。

LASSでは、パーソナルアシスタント制度に係る現金給付の取り扱い内容が示されている。具体的には、LSSで示されているパーソナルアシスタント費用については、週20時間を目安とし(第3条)、その利用が週20時間を超える場合、20時間までは各コミューン(市)から給付され(第19条)、それ以上の場合は社会保険庁(事務所)から給付される(第20条)旨の内容が記されている。

なお、保健医療サービスについては、保健医療法(HSL)11)に基づき提供されており、2008年6月現在、24,850人の障害者が利用している。

(4)運営主体

各法に基づくサービス提供の主体は、社会サービス法(SoL)及び「一定の機能的な障害のある人々に対する援助とサービスに関する法律」(LSS)が各コミューン、アシスタンス補償法(LASS)が各コミューンまたは社会保険庁(社会保険事務所)、保健医療法(HSL)についてはランスティング(landsting)となっている。ランスティングとは保健医療担当(ハビリテーション、リハビリテーション及び補助器具の貸与など)の県相当の組織であり、各コミューンと緊密に連携を取りながら保健医療の充実に努めている12)。なお、障害者を対象とした特別な住居・デイケア・サービス付き住居における保健医療、リハビリ、補助器具の貸与等についてはコミューンの責務であり、在宅訪問看護についてはランスティングとの合意のもとにコミューンが提供の主体となることができるようなランスティングとコミューンとの相互協力がなされている13)。全国コミュン・ランスティング連合(Sveriges Kommuner och Lanstingt)を作り、緊密な相互協力体制を維持している。これとは別に、福祉・労働・教育・文化等の行政一般を担当しているレーン(県)、がある14)。ランスティング、レーン共に県相当の組織だが、両者の地理的区画は若干異なっている。

LSS第16条には、転居に関する内容が明示されており、各コミューンからの事前通達(6ヶ月間有効)があれば、どこのコミューンに転居しようとも同じ権利を保持し、同じ特別なサービスが受けられることになっている。なお、県民への情報提供・指導助言、コミューンへの指導助言等を行う権限をランスティングが持ち(第26条)、LSSの特別なサービスの全てを監督し、業務内容の調査・援助・評価・情報の提供・業務進展への働きかけを行う権限は社会庁(Socialstyrelsen)が持っている(第25条)。

(5)制度の体系・相互の位置づけ

社会サービス法(SoL)は、総合立法として社会サービスのあり方や大枠を定めている。SoLを補完・補強する補足法として「一定の機能的な障害のある人々に対する援助とサービスに関する法律」(LSS)やアシスタンス補償法(LASS)などの特定の分野のサービス(LSS、LASSともに障害者福祉サービス)に関する法律が策定されている。以上のことを図示すると図表2のようになる。

図表2 SoL、LSS、LASSの相互関係
図 SoL、LSS、LASSの相互関係拡大図・テキスト

SoLはコミューンに大きな自由裁量を与える形で社会サービスに関する枠組みを規定している。また、ある一定の機能障害をもつ人には、SoLに加え、LSSの下での福祉サービスが提供される。したがって、障害者が介護サービスを受けるまでのプロセスは、抱える障害がLSS対象の機能障害であるかどうかの振り分けから始まる。

なお、LSS第4条で「本法律は、対象者が他の法律により得た諸権利を何ら侵害するものではない」と規定している。これは、LSS対象者の場合、SoLとLSSは互いに排他的ではなく、LSSが適用されないニーズをSoLが対応するという形で、必要な支援・サービスが提供される。したがって、介護サービスは、LSSの下での介護サービスとSoLの下での介護サービスに大きく分けられる。

また、LSSの下での介護サービスの一つ、パーソナルアシスタンスについては、基本ニーズの介護に要する時間が週20時間を超える場合、LASSが適用される。

(6)加入対象者、加入者数

保険制度では対応していないためこのような概念はなく、個人番号(国籍の有無に関わらず1年以上の滞在許可証を持っている者が税務署Skatteverketに住民登録をすると、自動的に取得できる。個人番号を取得後は社会保険も自動的に取得できる。手数料等はかからず全て無料)を持っている者は、国籍を問わず利用できる。

(7)給付内容

A.SoLに基づくもの

a)在宅介護

社会サービス法(SoL)には、図表3 のような障害者に対する在宅介護サービスがある。

図表3 SoLに基づく在宅サービス一覧

種類/原語 サービス概要
ホームヘルプサービス
hemtjänst
在宅障害者等に対し、援助が必要と認定された場合、家事援助や対人介護などによって、自立生活を支援するサービス。
訪問看護
hemsjukvård
介護や看護が必要な人が自宅に住み続けられるように、地域看護師の責務において提供される。
訪問リハビリ
hemrehabilitering
作業療法士等が訪問してリハビリを行うサービス。
日中活動
dagverksamhet
日中活動が必要な人を対象に、日中活動センターなどで受けるサービス。特別住宅の居住者も補完的サービスとして利用可能。
ショートケア・ショートステイ
korttidsvård och korttidsboende
短期間リハビリや在宅医療を特別住宅で受けるサービス。家族の負担軽減、入居待ちケア、退院後すぐの中間的利用のために利用される。短期のものをショートケア、やや期間の長いものをショートステイと言う。
夜間巡回サービス
nattpatrull
夕方から夜間、朝にかけ、必要に応じ、主に対人介護的ケアを供給するサービス。
緊急通報アラーム配布
trygghetsalarm
在宅障害者等に対して支給される腕時計型などの緊急アラーム装置。呼出ボタンを押し、助けを求めるためのもの。
移送サービス
färdtjänst
通常の公共交通機関が利用できない障害者等の移動を支援するサービス。タクシーの利用が多いが、特別車の利用もできる。
福祉機器貸与
hjälpmedel
日常生活が困難な人に、福祉機器を貸与することにより、本人の自立生活を支援するサービス。
住宅改修手当
bostads-anpassningsbidrag
自宅で自立生活を送るために必要な住宅改造の資金を給付する制度。例えば、段差をなくしたり、入口にスロープをつけたりするために利用される。
住宅付加手当
bostadstillägg
低所得者でも標準的な水準の住宅に住めるように、その収入に応じて家賃の一部が住宅手当として国から支給されるサービス。
雪かきサービス
snöskottningsservice
雪深い地域で生活する障害者等に対して提供される社会サービスの一つ。

出典;医療経済研究機構『スウェーデン医療関連データ集2004年版』(2005)、奥村芳孝『新・スウェーデンの高齢者福祉最前線』(2000)、
Svenska Kommuner och Landsting, Care of the Elderly in Sweden Today 2005、
河東田博『スウェーデンの知的しょうがい者とノーマライゼーション』(資料2LSS訳)2001年 をもとに作成。

b)施設介護

SoLには、障害者に対する施設介護サービスとして、特別住宅がある。各コミューンが管轄し、医療や介護、24時間の支援が必要な人々が利用している。特別住宅には、障害者用グループホームも含まれる。

c)現金給付

親族や親しい友人などが障害者を介護している場合、親族雇用(親族ヘルパー;anhörigvårdare)という制度がある。また、一人親が障害者を介護している場合も同じように適用される。基本的には親族ヘルパーをコミューンが雇用し、ヘルパーと同じ給料や手当てを支払う形態である。今日、障害者の場合、介護を他人に委ねるパーソナルアシスタンス制度の利用が多くなってきている。

B.LSS、LASSに基づくもの

65歳までの障害者には、「一定の機能的な障害のある人々に対する援助とサービスに関する法律」(LSS)に基づいて、SoLで提供されるサービス以外に、図表4のような特別サービスが提供される。

図表4 LSS、LASSに基づく給付内容

給付項目 内容
相談・個別援助
rådgivning/stöd
専門的な技術に加え、機能障害に関する特別な知識を有するスタッフからの支援。
パーソナルアシスタンス
ersonlig assistans
生活上多くの援助が必要な者に対する1人または複数の個別介助者援助。週20時間まではコミューンが、週20時間以上は社会保険事務所が給付。
ガイドヘルプサービス
ledsagarservice
パーソナルアシスタンス制度を利用しない者に対する付き添いサービス。社会生活に参加するために必要な支援を提供。
コンタクトパーソン
kontaktperson(KP)
主に知的障害者への相談・余暇等の個別援助サービス。友人のような存在で、社会との橋渡し役となる。KPには手当てが支払われる。
レスパイトサービス
avlösarservice
介護者の介護負担を軽減するために定期的あるいは一時的に利用できる在宅での介護サービス。終日利用できる。
ショートステイ
korttidsvistelse
レクリエーション、気分転換、介護者の休息のために、ある特定の施設などで提供される短期滞在サービス。
延長学童保育
mer korttidstillsyn
通常の学童保育サービスでは給付されない12歳以上の学童に対して、授業前、放課後、休日に提供されるサービス。
児童青少年用特別住宅
familjehem m.fl.
親と同居困難な児童・青少年に対して、養育家庭または学童グループホームで生活できるサービス。ショートステイ利用も可能。
成人用特別住宅
vuen särskild bostad
グループホームを含む特別住宅、ケア付き住居で生活できるサービス。住宅法が適用され、一般国民と同じ住まいが提供されている。
日中活動
daglig verksamhet
就労可能な年齢にある人々で、職業を持たず学業にもついていない人々のための日中活動。LSS区分1及び2に相当する者のみ。

出典;Socialstyrelsen Swedish disability policy;Measures under the Act Concerning Support and Service for Persons with Certain Functional Impairments(LSS)、
現代書館『スウェーデンの障害者政策-法律・報告書』、
Grunnewald,K.& Leczinsky,C.,2008,Handikapplagen LSS.Norstedts Juridik.
LSS訳(ハンソン友子他訳):河東田博『スウェーデンの知的しょうがい者とノーマライゼーション』2001年(資料2として所収)をもとに作成。

児童・青少年用特別住宅は、20歳まで利用できるが、その後は成人用特別住宅に移行する。成人用特別住宅には、65歳まで入居することができる。65歳以降は、原則として(基本的には障害者本人の意向が尊重される)高齢者用サービスハウス等に併設されているグループホーム等に移行する。

パーソナルアシスタントについては、その利用が週20時間を超える場合、アシスタンス補償法(LASS)に基づき、コミューンではなく社会保険事務所から給付される。個別管理の場合は現金給付されるため、用途が緩やかで、応用範囲も広く、自立生活者には自己決定可能なサービスとして歓迎されている。

なお、成人用特別住宅には障害者用グループホームが含まれており、様々なタイプのものが用意されている。例えば、1人用住宅や2人用住宅を組み合わせてグループホームとしているものや、4人用グループ(各自が広い占有空間を有す)などである。グループホームには原則として24時間介護の必要な重度の人たちが住んでおり、近年よほどのことがない限り、各自が機能的な広い空間(40㎡前後のスペースに台所(食堂)・居間・寝室・トイレ・浴室・WCを有する「家」的機能を持った住まいのことを指す)に住むことができるようになってきている(図表5参照)。

図表5 「家」的機能を持ったグループホームの一室15)
図 「家」的機能を持ったグループホームの一室拡大図・テキスト
出典;Bakk & Grunewald,1993,Omsorgsboken.Liber.

(8)障害者のみの付加給付

障害者のみの付加給付には、「社会参加支援」「就労支援」「所得保障」に関するものがあり、介護だけには限定されず、社会への参画、生活上の平等を考えた幅の広いものとなっている。

社会参加支援

保健医療法(HSL)、「一定の機能的な障害のある人々に対する援助とサービスに関する法律」(LSS)、その他個別法令により、ハビリテーション(障害を負った機能の発達促進)、リハビリテーション(失われた機能の回復)、補装具の支給(必要な期間無料で貸与)、手話等通訳サービス(異文化言語通訳にも使用可)、カウンセリング・助言・個別相談、レクリエーション(文化活動へのアクセス保障)、交通サービス(国内旅行の送迎サービスも可能)、自動車購入・改造サービス(児童の親にも給付)といった社会参加支援サービスが用意されている16)

就労支援

障害者の就業支援は、賃金補助法、保護雇用法、社会サービス法(SoL)、LSS等に基づいてなされている17)。障害者の生活全般にわたる支援策は、LSSに集約されているため、以下LSSを通して障害者雇用・労働政策がどのように考えられているのかを見ていくことにする18)

LSSの中で雇用に関して触れているのは、第9条の10と第15条の4である。第9条の10には「就労可能な年齢にある人々で、職業をもたず学業にもついていない人々のための日中活動」と記されている。ここで対象となっているのは日中を有意義に過ごすための諸活動を行っている人たちで、生産性をそれほど重視せずに創作活動などを行って過ごしている人たちのことを指している。つまり、日中活動はデイ・アクティビティ・センターのような福祉施設のことを指している。また、第15条4にある「第1条に該当する人々が、職業や教育の機会を得られるように積極的に務めること」とあるが、この記述は保護的機能を持つ労働施設「サムハル(SAMHALL)」や一般企業で(何らかの支援を受けながらまたは可能な限り自力で)働けるようになることを意味している。さらに、LSS第7条、第9条には、「特別な援助とサービスを受ける権利」に関する規定が明記されている。第15条では、良い生活条件を保障するために、「公共の余暇および文化活動に参加できるように」するための自治体の役割にも言及している。

LSSに明記されている内容から分かることは、障害のある人には、一般の人と同じように良い社会生活を送るために、自治体から様々な特別な援助とサービスが提供されることになっており、その前提の下に「日中活動」(多くが重度・最重度の身体・知的障害者、重複障害者。2004年10月時点で24,100人19))や「職業(雇用)」(職業安定法に基づく一般就労を目指す特別プログラム:自営助成金・援助付雇用・雇用助成金・公的保護雇用等がある。約11万人が適用されている20))の機会が得られる。

所得保障

賃金補助法、SoL等により、傷病手当(傷病で労働能力が4分の1以下に低下した者。国民保険に加入し、就労所得が一定額以上の場合。被用者の場合、最初の14日間は雇用主から傷病賃金が支給される)、労働災害手当(職場あるいは通勤途中の事故など労働環境に起因する全ての健康障害・労働災害が生じた場合に支給)、失業手当(失業者)、活動/疾病補償(傷病により労働低下が4分の1以下に低下し1年間続くことが予想される場合。19歳から支給。19~29歳には活動補償、30~64歳には疾病補償。給付は所得比例だが、低所得者は定額)、障害手当(65歳前に障害や病気になり、要介護状態が1年以上続いている場合。19歳から64歳まで給付)、病児・障害児介護手当(介護にあたる親が対象。子どもが障害のために少なくとも6ヶ月間特別ケアを必要とするか、相当の費用負担を伴う場合。子どもが19歳になるまで支給される)、特別年金加算(介護のために6年以上就業できない状態が続いたために年金ポイントを確保できなかった年金者に支給)などの所得または所得加算が保障されている21)。また、これらの所得保障の対象者には子どものいる一人親対策も含まれており、長期にわたる対応の必要性とリスクの軽減、人間としての余裕を取り戻すために、半日労働+半日ケアを柱とする支援策が取られている。障害の有無に関わらず、社会生活を送る上で何らかのハンディを負っている人たちに対する幅の広い労働支援策の一つであることがわかる22)

(9)ケアマネジメント

社会サービス法(SoL)、「一定の機能的な障害のある人々に対する援助とサービスに関する法律」(LSS)、アシスタンス補償法(LASS)とも、ケアマネジメントの手法(申請、訪問調査、査定、プランニング、サービス実施、サービス評価、フィードバック)を支援の基本にしている(ケアマネジメントの流れは添付資料1を参照)。

(10)給付対象者

社会サービス法(SoL)に基づくサービスの給付対象者は、社会サービスを必要とする障害者である。最も申請の多いホームヘルプサービスは、SoLに基づいて認定手続きがなされる。

日常的に多くの障害者が求める特別なサービスは、「一定の機能的な障害のある人々に対する援助とサービスに関する法律」(LSS)に基づいて給付される。その際、「(1)障害の定義、範囲、区分」で示した区分1~3で整理されている。なお、給付されるサービスにより給付対象者が次のように制限されている23)

LSSに準拠するもの

  • パーソナルアシスタント:65歳以上の者は受給できない。65歳以前に受けていた場合は、65歳以降も引き続き受けることができるが、サービスを受ける時間数を65歳以降に増やすことはできない。
  • ガイドヘルパー:パーソナルアシスタンス制度を受けていない人
  • 延長学童保育:12歳以上の学童で、通常の学童保育サービスの対象となっていない者。
  • 児童・青少年用特別住宅:親と同居困難な児童・青少年(多くが学童)
  • 成人用特別住宅:成人
  • 日中活動:就労可能な年齢にある者。LSS区分1及び2に相当する者。

LASSに準拠するもの

  • パーソナルアシスタント雇用費用の補償(週20時間未満の利用はコミューンより、週20時間以上は社会保険事務所より給付):65歳未満の者。日常生活を送るために週20時間以上の個別介護を必要とする者。施設入所者及びグループホーム入居者は除く。

(11)認定主体

介護サービスはコミューンの責任範疇である。コミューンはランスティングや社会保険事務所と連携を取りながら、障害者への介護サービスの整備に務める。

また、「一定の機能的な障害のある人々に対する援助とサービスに関する法律」(LSS)下の介護サービスであるパーソナルアシスタンスについては、一定の介護程度を超える場合、週20時間まではコミューンが負担し、残りの介護費用(アシスタンス補償金)はアシスタンス補償法(LASS)に基づいて、社会保険事務所から支給される。したがって、そのケースでは、社会保険事務所が介護ニーズ及び、介護時間の査定を行う。

コミューン毎に組織は異なり、障害福祉課が単独で設けられているところもあれば、高齢者・障害者福祉課のように組織されているところもある。障害者への福祉サービスは社会サービス法(SoL)とLSSの下で提供され、高齢者への福祉サービスはSoLの下で提供されるので、このような組織体制のところもある。サービスの査定は対応する法律に基づいて行われる。申請に基づいて調査及び査定を行いサービスの認定に関する決定を下す査定員の名称もコミューンによって多少違いがあるが、SoLに基づいた査定を行う福祉サービス査定員24)とLSSに基づいた査定を行うLSS査定員25)と呼ばれていることが多い26)

(12)認定基準

査定にあたって、詳細な基準や判断の拠り所となる判定表のようなものはない。コミューンでガイドラインを設けている介護サービスもあるが、基本は社会サービス法(SoL)、「一定の機能的な障害のある人々に対する援助とサービスに関する法律」(LSS)及びアシスタンス補償法(LASS)の規定である。法文をどのように解釈するかで、査定に違いが生じることもある。また、細かい査定基準を設けていないので、同一コミューン内でも査定員間で査定に違いが生じることがある。

LSS査定員が査定の拠り所にしているのは、LSS条文のほかに、下記のようなLSS策定時の政府刊行文献と、LSS及びLASSの解説本である。

  • Regeringens proposition (1993).Stöd och service till vissa funktionshindrade.1992/93:159.
  • Bergstrand,Bengt Olof (2007).LSS och LASS - stöd och service till vissa funktionshindrade 2007.Höganäs:Bokförlaget Kommunlitteratur AB.
  • Norström,Carl & Thunved,Anders (2007).Nya sociallagarna:med kommentarer,lagar och författningar som de lyder den 1 januari 2007.Stockholm:Norstedts Juridik AB.

また、LASS査定で拠り所にしているのは、以下の文書である。

  • 判例資料
  • 社内回覧のインフォメーション文書
  • ガイダンス

http://forsakringskassan.se/filer/publikationer/pdf/vgl0306.pdf

なお、SoLには、コミューンが障害者の生活状況等を十分に把握すること、潜在的なニーズを掘り起こす訪問活動を通じて社会サービス活動に関する情報を提供することに努めなければならないことが明記されている(第2章)。一方、LSSには、「対象者が要求する場合にのみ提供される。対象者が15歳以下か明らかに自分で意思決定を下せない場合には、保護者や代理人・後見人・管財人が代わりに特別な援助やサービスを要求できる」(第8条)としている。

また、福祉・介護サービス(第9条の特別な援助やサービス、第11条の対象者以外の人への支払い、第12条の返済、第16条の事前通達、第23条の民間業務の許可、第24条の是正命令・認可取消)に対する判定結果に不服な場合は、行政裁判所に訴えることができるようにもなっている(第27条)。

(13)認定者数

障害者の数については統計局による生活状況調査で把握されているが、2006年度の社会庁(Socialstyrelsen)の資料27)でも、1996年~1999年の16~64歳の機能障害者数が生活状況調査の結果として示されている。この数値はこの10年間に多少変動があったと推測されるが、機能障害者数内訳を知る目安として図表6に示す。

図表6 16~64歳の機能障害者内訳(1996~1999年)

症状・機能 数(万人)
アレルギー 38.0
ぜんそく 27.0
糖尿病 8.5
支援の必要な人 4.5
心臓疾患 8.0
胃腸管系疾患 12.5
聴覚障害 43.5
視覚障害 2.5
乾癬 18.0
精神障害 15.0
身体障害 13.0
就労機能の減退 42.5
合計 233.0

出典;Socialstyrelsen,2006,Swedish disability policy - service and care for people with functional impairments.

A.SoLに基づくもの

2008年6月30日時点の社会サービス法(SoL)による65歳未満機能障害者のサービス受給者数を、サービス別に図表7 に示してある。なお、利用者総数は43,800人(複数サービス利用可)だった。

図表7 65歳未満機能障害者のサービス受給者数(2008年6月30日)

SoLに基づくサービス内容 数(人)
特別住宅 4,500
在宅ホームヘルプサービス 16,700
その他の在宅サービス 12,200
緊急通報アラーム配布 9,600
日中活動 5,100
ショートケア・ショートステイ 1,300
コンタクトパーソン・コンタクト家族 3,600
その他のサービス 3,400
(複数サービス利用可) (対象:43,800)

出典;Socialstyrelsen,2008,Personer med funktionsnedsättning/funktionshinder-vård och omsorg den 30 juni 2008.

B.LSS(一部LASS)に基づくもの

「一定の機能的な障害のある人々に対する援助とサービスに関する法律(LSS)の各区分に基づく年度別(2002年~2007年)LSS認定者概数(サービス受給者概数)は、図表8の通りで、区分3(2002年の8,900人から2007年の8,300人へ)が減少傾向にあるものの、区分1(2002年の38,500人から2007年の46,800人へ)及び区分2(2002年の1,300人から2007年の1,700人へ)は増加傾向にある。

サービス受給者数約56,800人の内訳を、性別、年齢構成別に記したものが図表9である。

図表8 2002年から2007年までの区分別LSS認定者概数(サービス受給者概数)

区分 年度別LSS対象者数
2002年 2003年 - 2007年
対象者数(人) 割合(%) 対象者数(人) 割合(%) - 対象者数(人) 割合(%)
区分1 38,500 79 40,900 79 - 46,800 82
区分2 1,300 3 1,400 3 - 1,700 3
区分3 8,900 18 9,200 18 - 8,300 15
合計 48,700 100 51,500 100 (2004-06調査なし) 56,800 100

出典;Socialstyrelsen,2008,Personer med funktionsnedsättning - insatser enligt LSS år 2007.Statistik socialtjänst 2008:2.

図表9 LSSによるサービス受給者数(人)(2007年10月1日)

年齢構成 女性 男性 合計
0~19歳 5,631 9,348 14,979
20~44歳 10,087 12,922 23,009
45~64歳 6,689 8,028 14,717
65~79歳 1,827 1,866 3,693
80歳以上 248 183 431
合計 24,482 32,347 56,829

1つ以上のサービス受給者数。カウンセリング等個別援助は除く。

出典;Socialstyrelsen,2008,Personer med funktionsnedsättning-insatser enligt LSS år 2007.Statistik socialtjänst 2008:2.

2007年のLSS関連サービス受給者約56,800人が、どんなサービスを受けていたかを年齢構成別に示したものが図表10である。

2007年のLSS関連サービス受給者22歳以下の人が、どんなサービスを受けていたかを年齢構成別に示したものが図表11である。

アシスタンス補償法(LASS)のアシスタンス補償費を受けている人数は、2006年現在で合計15,183人となっている。その内訳を図表12に示してある。

なお、参考までに、図表13に2003年度~2007年度のコミューンの支出額全体に占める障害者関連の支出(実額)を、図表14にコミューンからのSoL関連施策給付額、LSS関連施策給付額の概要を示しておく。

図表10 LSS各サービス別受給者数(人)(複数サービス利用可 2007年10月1日)

サービス内容 0~22歳 23~64歳 65歳以上 合計
相談・個別援助 2,126 5,926 523 8,575
パーソナルアシスタント 767 2,267 317 3,341
ガイドヘルパー 3,889 4,808 966 9,663
コンタクトパーソン 3,281 13,227 1,494 18,002
レスパイトサービス 3,159 161 53 3,373
ショートステイ 8,805 1,263 53 10,121
延長学童保育 5,078 0 0 5,078
児童・青少年用特別住宅 1,269 23 0 1,292
成人用特別住宅 926 18,275 2,398 21,599
日中活動 2,152 23,914 922 26,988

出典;Socialstyrelsen,2008,Personer med funktionsnedsättning - insatser enligt LSS år 2007.Statistik socialtjänst 2008:2.

図表11 LSS各サービス別受給者数(人)(22歳以下、複数サービス利用可 2007年10月1日)

サービス内容 0~6歳 7~12歳 13~22歳 合計
相談・個別援助 152 336 1,638 2,126
パーソナルアシスタント 96 213 458 767
ガイドヘルパー 24 491 3,374 3,889
コンタクトパーソン 5 115 3,161 3,281
レスパイトサービス 633 1,388 1,138 3,159
ショートステイ 527 2,468 5,810 8,805
延長学童保育 0 136 4,942 5,078
児童・青少年用特別住宅 17 101 1,151 1,269

出典;Socialstyrelsen,2008,Personer med funktionsnedsättning - insatser enligt LSS år 2007.Statistik socialtjänst 2008:2.

図表12 アシスタンス補償費年齢構成別受給者数(人)

年齢構成 女性 男性 合計
0~14歳 816 1,156 1,972
15~19歳 514 704 1,218
20~24歳 482 630 1,112
25~29歳 409 542 951
30~34歳 416 503 919
35~39歳 401 482 883
40~44歳 486 537 1,023
45~49歳 492 469 961
50~54歳 592 543 1,135
55~59歳 732 703 1,435
60~64歳 991 896 1,887
65歳以上 850 837 1,687
合計 7,181 8,002 15,183

出典;Försäkringskassan,2007,Social Insurance in Sweden 2006;On the fringe of Security.

図表13 2003年度~2007年度コミューン支出額全体に占める障害者関連の支出(実額)

支出内訳 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度
支出総額(10億SEK) 389.1 398.0 410.5 431.4 451.9
障害者関連支出(10億SEK) 38.0 40.1 42.4 45.0 48.1
比率(%) 9.8 10.1 10.3 10.4 10.6

出典;Sveruges officiella statistic,2008,Kommunernas hushållning med resurser 2007.

図表14 2007年度の市からの法令別関連施策給付額概要

分野 金額(10億SEK)
SoL・HSL関連施策 7.6 15.8
・在宅サービス 4.4 9.1
ホームヘルプサービス (3.0) (6.2)
・特別住宅 3.2 6.7
LSS、LASS関連施策 40.0 83.2
・ケア付き特別住宅 16.8 34.9
・パーソナルアシスタント 14.4 29.9
・他の事業(日中活動含) 8.8 18.3
野外活動 0.6 1.2
合計 48.1 100.0

(注)SoL:SoL、HSL:HSL
出典;Sveruges officiella statistic,2008,Kommunernas hushållning med resurser 2007.

(14)利用手続き、所管窓口

コミューンの申請窓口に電話あるいは直接訪問して介護サービスの申請を行う(コミューン毎に組織は異なり、障害福祉課が単独で設けられているところもあれば、高齢者・障害者福祉課のように組織されているところもある)。また、既に別な介護サービスを受けているなどで、担当の査定員がいる場合、直接その査定員に申請することもできる。申請したい介護サービスが何か分かっている場合は、その介護サービスを申請し、どんなサービスを申請したらよいのかが分からない場合は、何らかの介護サービスが必要だという申請の仕方もある。申請に際しては、医師の診断書を提出する。

なお、パーソナルアシスタンスについては、一定の介護程度を超える場合、週20時間まではコミューンが負担し、残りの介護費用(アシスタンス補償金)はアシスタンス補償法(LASS)に基づいて社会保険事務所から支給されるが、社会保険事務所に直接本人が申請するか、コミューンが本人に代わり申請する。

(15)要否判定方法

社会サービス法(Sol)及び「一定の機能的な障害のある人々に対する援助とサービスに関する法律」(LSS)とも、担当査定員によるニーズ調査と医師の診断書をもとに、まずなされるのが、申請内容がLSS対象の介護サービスなのかという振り分けである。申請内容が明らかにSoLの下での介護サービスであるとか、申請者28)の抱える障害が明らかにLSSの対象ではない場合、申請はSoL査定員のほうに回される。LSS下の介護サービスを申請しているとか、障害が明らかにLSSの対象である、あるいはその判断が窓口ではつきかねる場合、申請はLSS査定員のほうに回される。LSSの下での介護サービスを申請する場合、専用の申請書(添付資料2参照)に記入する。一方、SoLの介護サービスの申請には、記入する申請書はなく、口頭で申請し、SoL査定員が調査書のほうに記録する。

査定員は申請者の自宅を訪問し、申請者から詳細を聞き、また申請者の生活状況を観察する。さらに査定に必要と判断された場合、関連機関から申請者に関する個人情報を入手することもある。その場合、事前に申請者の承諾を得た上で行われる。それは各種行政機関間、及び他の関連機関との間にも守秘義務があり、当人の承諾なくしてはその個人に関する情報を外に持ち出してはならないからである。もし、申請者が承諾しない場合、査定に必要な情報が集まらないので、介護サービスの必要性が判断できないという理由で、申請を却下することになる。

LSS下の介護サービスについては、ニーズの査定の前にまず、申請者がLSSの対象であるかどうかの査定が行われる。LSSの対象にならないという査定がなされた場合は、SoLの下での介護サービスの検討がなされる。

上述のプロセスで調査が行われ、収集した情報に基づいてニーズの査定が行われ、申請に対する決定が下される。査定の段階で調査書(添付資料34参照、調査書の詳細についてはモデル3を参照のこと)が作成され、決定については決定書が作成され、申請者に通知される。介護サービスの提供が決定されると、サービス提供部門に決定内容が通達され、当該部門はそれに応じたサービスを提供する。介護サービスの提供は期限付きで決定されるので、査定員は、介護サービスの種類や状況などによって異なるが、一定期間をおいて介護サービスのフォローアップを行う。決定に対して納得が行かない場合、申請者はランスティング(県)レベルの行政裁判所29)に不服の申し立てをすることができる。

(16)利用者負担

社会サービス法(SoL)に基づくサービス提供に対してはサービスによって利用者負担があるが、「一定の機能的な障害のある人々に対する援助とサービスに関する法律」(LSS)及びアシスタンス補償法(LASS)に基づくサービス提供に対して利用者負担はない。SoLが提供している特別住宅の利用料金はコミューンによって異なり、利用者は家賃・食費と介護費の一部を負担する。ホームヘルプサービスの利用者負担もコミューンによって異なるが、利用の頻度と利用者の収入レベルにより決定している30)。なお、2002年7月より、SoL第8章が改定され、第5条・第7条として次のような最高負担額・最低保障額が定められることになった。その結果、その範囲を超える利用者負担は求められないことになった。

a)ホームヘルプサービス、日中活動費用、コミューンの保健医療費は、合計で物価基礎額の48%を超えてはならない(SoL第8章第5条)。

b)特別住宅など賃貸法が適用されない住居の場合、その家賃は物価基礎額の50%を超えてはならない(同法第8章第5条)。

c)上記を徴収するにあたっては、最低額を手元に残さなければならない。この最低額に含まれるのは、食費、衣服費、衛生品代、消耗品代、新聞・電話・電気代、テレビ権、家具・台所用品代、家庭保険料、旅費、余暇費、歯科費、外来診療・保健費、医薬品代である。単身者の最低額は物価基礎額の129.4%、同居している夫婦の場合は、一人当たり108.4%である。さらに、障害の程度により追加補助がある。これに住居費を加えた額が最低保証額になる(同法第8章第7条)。31)

この制度とともに、本人収入は1年間のみなし収入(年金や住宅手当、預貯金の利子収入などが含まれるが、財産や子どもの収入は加味されない)とし、夫婦の場合は世帯収入を半分にしたものが本人の収入(家賃についても折半したものが本人の支出)となるなど、本人負担可能額を決定する際に根拠とされる本人収入の定義も国として統一された32)

1.障害者介護サービスに関する調査 脚注

1)Lag om stöd och service till vissa funktionshindrade,1993:387.は今日までSoL(2001:453)等の成立を受け数多くの加筆・修正が行われてきているが、大筋は変わらないため、LSS訳は、下記文献を利用した。
ハンソン友子・河東田博(訳)「一定の機能的な障害のある人々に対する援助とサービスに関する法律(LSS)」(資料2 222~229頁)河東田博『スウェーデンの知的しょうがい者とノーマライゼーション』(第3版第2刷)2001年
なお、LSSの区分1~3は、下記文献から引用した。
Socialstyrelsen,2008,Personer med funktionsnedsättning - insatser enligt LSS år 2007.Sveriges officiella statistic:Statistik socialtjänst 2008:2.

2)socialtjänstlag,2001:453.

3)Gunnar K., 1983,The Intellect and Intellectual Handicaps.Handikappinstitutet 5211,Bromma.

4)Bakk,A.&Grunewald,K.,2004,Omsorgsboken.Liber.(26頁)

5)WHO(World Health Organization),1978,Mental disorders - Glossary and guide to their classification in accordance with the Ninth Revision of the International Classification of Diseases.Geneva.

6)前掲書(Bakk&Grunewald),26頁。

7)同上。

8)同上、55頁。

9)Abelin,P.,Ericson,M.,Isling-Karlsson,K.,Green,U.S.&W-Rannek,I.,2009,Öka elevens kommunikation genom datorns möjligheter.ITiS i Kristianstad - Fröknegårdens Träningsskola

10)Lag om assistansersättning,1993:389.

11)Hälso- och sjukvårdslag,1982:763.

12)下記webサイト情報を参考にした。
http://www.sweden.se (The Swedish System of Government)
http://www.skl.se
http://sv.wikipedia.org/wiki/Sveriges_l
なお、2009年1月1日から、スコーネ(南スウェーデンのランスティング)では、LSSの対象(第1及び第2カテゴリーのみ)で、LSSの支援・サービスである介護付き住宅あるいは日中活動プログラムを受けている場合、その人のハビリテーション・リハビリテーションはコミューンの管轄となった。

13)財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会医療経済研究機構 平成18年度老人保健健康増進等事業による研究報告書『介護保険の被保険者・受給者の範囲に関する外国調査報告書』2007年3月。(147-148頁)

14)前掲12による情報を参考にした。

15)Bakk,A.& Grunewald,K.,1993,Omsorgsboken.Liber.241頁の図を修正の上、引用した。

16)前掲書(医療経済研究機構、2007年)、168頁の表より引用・要約した。

17)同上、171頁を参考にした。

18)以下のパラグラフは、下記文献より引用した。
河東田博「スウェーデンの障害者雇用・労働政策の実態と新差別禁止法」『季刊 福祉労働』121号、2008年、52頁。

19)日本障害者リハビリテーション協会主催国際セミナー「知的障害者の自立、社会参加及び就労-スウェーデンから学ぶ」(2005年10月23日、於全社協・灘尾ホール)インガー・メスタトン(ヴェスタブロプラン・デイ・センター所長)の講演録より。

20)同上国際セミナーのレイフ・アルム(サムハル社次長)の講演録より。

21)前掲書(医療経済研究機構、2007年)、178頁の表より引用・要約した。

22)前掲書(河東田、2008年)、51頁。

23)以下のパラグラフに示したサービス内容は、前掲書(医療経済研究機構、2007年)、157頁の表、LSS第9条関連用語の邦訳(ハンソン友子・河東田博訳、河東田博「ノーマライゼーション理念の法的具体化をめざしたスウェーデンのLSS」四国学院大学論集第91号、1996年に所収)をもとに作成した。
なお、次のような解釈の下に、下記の用語を使用した。
①LSS第9条第7項は、「12歳以上の学童を対象とした放課後や休暇中の家庭外における短期学童保育」となっている。通常の学童保育が12歳未満であることや説明にも類似の表現があることから「延長学童保育」と表記することにした。
②「日中活動」はdaglig verksamhetの直訳である。わが国のスウェーデン障害福祉研究者の間では「福祉的就労」に相当する用語として「日中活動」という邦訳が使われることが多い。したがって、先行研究の中で使われている「デイセンター」「日常活動サービス」という用語を本報告書では「日中活動」として統一表記することにした。」

24)(Biståndshandläggare)。SoLの下での福祉サービスの査定を行うので、ここでは便宜上、SoL査定員とする。

25)LSShandläggare

26)小規模なコミューンなどでは、一人の査定員が両種の査定を行う場合もある。

27)Socialstyrelsen,2006,Swedish disability policy - service and care for people with functional impairments.

28)障害者本人が申請するのが基本であるが、未成年であるとか、障害の種類あるいは程度によって申請が困難な障害者に代わって親や他の代理人が申請することもある。ここでいう申請者は、申請対象の障害者という意味合いで、今述べたようなケースの障害者も含む。

29)County Administrative Court(Länsrätt)

30)前掲書(医療経済研究機構、2007年)、153頁より引用・要約した。

31)前掲書(医療経済研究機構、2007年)、155頁よりSoL条文の翻訳を引用した。

32)前掲書(医療経済研究機構、2007年)、155頁より引用・要約した。

2.モデルに関する調査

(1)モデル1/全盲

LSS査定

Berti(l便宜上、障害モデルに名前を付ける)がLSS下での介護サービスを申請したと想定すると、まず、LSS対象かどうかの査定が行われる。Bertilの機能障害はその種類からしてLSS区分3の障害者カテゴリーに関係するので、医師の診断書とあわせて、機能障害の性質と生活上の困難さなどからBertilが第3カテゴリーに属するかどうかの査定が行われる。

LSS区分3の障害者カテゴリーは査定の厳しいカテゴリーである。4つの条件が法文に明記されてあり、それら全てを満たさなければならない。

1.障害が永続的・継続的である、2.重度の障害である、3.それが日常生活に相当程度の困難をもたらす、4.それゆえ広範囲にわたる援助及びサービスを必要とする。

Bertilは身の回りのことや家事もある程度まで介助を必要としないので、上述の条件3及び4を満たすとは言えない。したがって、LSSの対象にはならないと査定する。

申請書類には機能障害についての記述のほか、どのような介護・支援・サービスを必要としているかについても記述する。これに医師の診断書が添付される。これらの情報から、LSSの対象にはならないと判断できる場合には、家庭訪問にSoL査定員にも同行してもらい、SoLの下でどのような介護サービスが考えられるか検討してもらう。LSSの介護サービスの申請は却下されるが、SoLに基づいてニーズの査定が行われ、それに応じて必要な介護サービスが提供されうることになる。

SoL査定

Bertilのニーズを査定した結果、買い物サービス、通院時の付き添いサービス、セキュリティ警報機、ガイドヘルプサービスの4つの介護サービスが挙げられた。

【買い物サービス】

日常生活に必要な物品(食品や日常雑貨)の買い出し。ホームヘルパーが行うが、Bertil自身も希望があれば買い物に同行できる。コミューンが定めたガイドライン(添付資料5)によると、このサービスは週1~2回提供される。Bertilはホームヘルプサービス部門と買い出しの曜日や時間、買い物方法などについて取り決めをする。基本的には毎週同じ曜日と時刻に買い出しが行われる。

【通院時の付き添いサービス】

ホームヘルプサービスとして提供される。

【セキュリティ警報機】1)

ホームヘルプサービスとして提供される。緊急時あるいは予期せぬことが起こり助けを必要とする場合に備えるものである。

【ガイドヘルプサービス】

Bertilの余暇の時間を有意義に過ごすために、また余暇活動に参加できるように、ガイドヘルプサービスが提供される。例えば、街中へショッピングに出かけたり、喫茶に出かけたり、あるいはコンサートに出かけたりするときなどに利用できる。また、定期的な余暇活動などに参加していれば、その際に利用することもできる。

このサービスは1ヶ月当たりの時間数が障害当事者の希望や興味などから割り出され、許可される。不当に多い時間数にならないよう、また逆に少ない時間数で当事者の余暇活動が制限されることのないように、適度な時間数を査定する。例えば、ショッピングや喫茶に出かけたりする程度の利用であれば、週に2時間程度で充分と考えられるし、他にも興味があり、コンサートに出かけたり、他の余暇活動にも参加したいと希望していれば、その分上乗せした時間数を割り出すという具合である。時間数に関する規定はなく、査定の基準となるのは、Bertilのニーズから見て、何が「適度」かを一般の市民に当てて検討することである。その際、低所得者層ではなく、一般の中間層の市民を考える。SoLでは市民一人一人の「適度」な生活レベルの保障が謳われている。これがSoLでの介護サービスを査定する際の基準になっている。

ガイドヘルプサービスは無料で提供され、ガイドヘルパーにかかる諸費用はコミューンが負担する。ガイドヘルパーは領収書をガイドヘルプサービス業務の窓口に提出する。諸費用が高額な場合(150クローナを超える場合)は、ガイドヘルパーは常に、ガイドヘルプサービス業務のスタッフに尋ねなければならない。

一方、ホームヘルプサービスから提供される介護サービスは利用者が利用料金を支払う。料金は利用者の収入額に応じて計算され、また介護サービスの種類によって収入に対する割合が異なる。しかし上限があり、総額で収入の6.8%までが利用者の負担で、それを超える分はコミューンが負担する。

Bertilが清掃サービスを必要とするか否かは、障害モデルの記述からは判断しかねるが、清掃が行き届かない部分が出てくるだろうと予想されるので、当人が希望すれば、このサービスの提供も考えられる。その場合、ホームヘルプサービスから提供される。

【視覚インストラクター】

視覚障害者が障害を克服して自立生活が送れるように、手助けをする。コミューンが提供するサービスであるが、サービスのニーズについて査定し決定を下す必要がない。また、費用はかからない。

自宅に必要な補助器具の検討や備え付け、そして利用の仕方をサポートしたり、室内・室外での移動訓練を指導したり、眼科訪問や図書館のトーキングブック利用の手助け、視覚障害に関するセミナーなどの情報提供などを行っている。

全盲者の話

提供される介護サービスはSoL査定員が列挙したものと変わりはなかった。だが、SoLとLSSのどちらにもガイドヘルプサービスがあるが、その提供には違いが見られる。本調査で面接した査定員が勤務する区では、ガイドヘルプサービスはそれがSoLの下であってもLSSの下であっても違いが見られないように思われた。同一部門でサービス業務が行われ、共通のパンフレットが配布され、利用者の費用負担はどちらもない。しかし、視覚障害者の組織でオンブズマンを務める全盲者の話によると、コミューンによっては、SoL下でのガイドヘルプサービスには利用者の費用負担があり、中には全額負担のところもあるという。また、LSSのサービスでは利用者の意見・希望が反映できるシステムになっており、利用者が希望する人をガイドヘルパーにすることができるのに対し、SoLではコミューンが用意するガイドヘルパーで、しばしばホームヘルパーがガイドヘルパーを兼務している。

以上のような理由で、BertilにはLSSのガイドヘルプサービスを申請するように勧めるが、全盲で他には機能障害をもたない場合、LSS対象と査定されるのはたいへん難しいのが現状である。だが、LSSの適用を認めているコミューンもある。

ガイドヘルプサービスは視覚障害者にとっては当然必要なサービスであるから、視覚障害者の全国組織としては、LSSの下でのガイドヘルプサービスが視覚障害者にも適用されるよう、強く働きかけている。

SoLでは「適度」な生活レベルを保障することが謳われ、LSSでは「良い」生活状況を保障すると謳われている。しかし、現実は各コミューンの財政状況に大きく左右されており、LSSの下でのガイドヘルプサービスが許可されるかどうかもどれだけ財政に余力があるかに大きく影響されているということであった。

(2)モデル2/頚髄損傷

LSS査定

Rudolf(便宜上、障害モデルに名前を付ける)の機能障害はその種類からしてLSS区分3の障害者カテゴリーに関係するので、医師の診断書とあわせて、機能障害の性質と生活上の困難さなどからRudolfが第3カテゴリーに属するかどうかの査定が行われる。Rudolfの状況は第3カテゴリーの4つの条件(モデル1参照)を全て満たすと判断されるので、LSS対象であると査定できる。したがって、Rudolfからの介護サービスの申請については、まずLSSに基づいてそのニーズの査定が行われる。

Rudolfは抱える機能障害ゆえに日常生活に相当な困難があり、かなりの介護が必要であるので、パーソナルアシスタンスを必要としていることは明らかである。パーソナルアシスタンスは基本的なニーズの介護に必要な時間が週20時間を超えると査定された場合、LASS(アシスタンス補償法)に基づいて社会保険事務所に介護全体の査定が委ねられる。そして、コミューンは初めの20時間の介護費用を負担し、残りはアシスタンス補償金が社会保険事務所から支払われる。

基本ニーズとは、身体の衛生、衣服の着脱、食事のことである。したがって基本ニーズはADLの項目よりも限定されている。これらのニーズを満たすのに必要な介護時間の査定をまず行う。Rudolfの場合、明らかに20時間を超えている。この時点で、LSS査定員が、あるいはRudolf自身が社会保険事務所にアシスタンス補償金の申請を行う。なお、基本ニーズには、アシスタンスを受ける人の特定な機能障害に関しての詳細な知識を要するかどうかということも含まれる。これは例えば、医療的な介護を施す上で特別な知識を要するので、誰でも介護にあたるわけにはいかないとか、意思疎通が難しく、その人物をよく知り、その人とのコミュニケーションの取り方を知り得ている(その人が送るシグナルを解釈できるなど)人が介護する必要があるなどである。

LASS査定(流れ図は添付資料6を参照のこと)

社会保険事務所は申請(申請書は添付資料7を参照)を受けて、独自の査定(便宜上、LASS査定とする)を行う。つまり、LASS査定員も家庭訪問を行い調査をするわけである。その際、医師の診断書と申請書も参考にする。Rudolfの場合、LASSに関わるだろうと思われるので、LSS査定員はLASS査定員と一緒に家庭訪問を行い、それぞれに査定が行われる。

LASS査定員もまず、RudolfがLSSの対象かどうかの査定を行う。Rudolfが障害カテゴリー3に属すると査定されると、続いてニーズの査定に進む。まず、基本的なニーズ(身体の衛生、衣服の着脱、食事)の査定である。

【身体の衛生】

身体の洗浄、排泄(トイレ)。例えば、洗髪に介護が必要だが、体のほかの部分は自分で洗うことができ、排泄にも介護が必要ないとすると、洗髪のニーズだけでは基本的なニーズの介護が必要とはみなさない。逆に排泄に介護が必要であるとか、身体の洗浄に介護が必要である場合には、洗髪の時間も基本的なニーズの介護の時間に加算される。

【衣服の着脱】

衣服の着脱の全行程を計算する。

【食事】

自分で食事を摂ることができる場合、食事のセッティング(テーブルに食事を用意するとか、食器の用意や片付けなど)の時間などは基本的なニーズの介護時間とはみなさないので、この場合、食事に関しては計算しない。食事を口に運ぶのに介護が必要な場合は、食事全体の時間を基本的なニーズの介護時間とみなす。

【その他の個人的なニーズ】

基本的なニーズの査定からそれに必要な介護時間が20時間を超える場合、続いて、その他の個人的なニーズを満たすための介護の必要性の査定とそれにかかる時間の査定が行われる。その際、理学療法士が行った、主にはADLの判定結果も参考にされる。例えば、移動(ベッドから車いすへの移動など)、家事、買い物、散歩、通院、あるいは余暇活動などである。介護者からの動的な介護を必要とする時間が計算される。しかし、見守りは動的な介護とはみなさない。Rudolfの場合、バリアフリーであれば電動車いすでの移動は自力でできるので、安全のため見守りが必要であるのは、介護時間に加算しないケースもありうる。だが、買い物に出かける場合、店までは移動に介護が必要でなくとも、買い物自体には介護を必要とするだろうから、移動の時間も加算する。

【夜間の介護】

深夜の介護体制は、利用者の深夜の状態によって変わってくるが、深夜の時間帯8時間は待機の介護者をつけるケースが多い。これは利用者の近くに待機し(たいてい、隣室に待機)、必要があるときに呼ばれて介護を施すものである。この場合、この8時間は動的な介護の時間とみなされず、4時間ごとに1時間の介護時間として加算される。だが、例えば、利用者が深夜にトイレ介助や体の向きを変える介助が必要だとすると、その時間は動的な介護時間となる。したがって、深夜の待機時間はそれを差し引いた時間で計算される。

また、Rudolfは24時間介護を希望しているが、LASS査定では、日中のどこかで動的な介護が発生しない空きの時間があると判断されるという。したがって、介護時間は総計で24時間に満たないことになる。Rudolfはこの決定に不服の申し立てをすることができる。また、例えば計算上30分の空き時間が日中のところどころにあってもその時間だけ介護者が抜けてまた戻ってくるというのは非現実的である。その場合、LSS査定員はその空き時間を埋めるパーソナルアシスタンスを許可し、その分はコミューンが負担する形をとるかもしれない。

さらに、Rudolfのケースで考えるべきことは、介護の種類によっては、介護者2名体制が必要になるかもしれないことである。2名体制を検討する前に例えばリフトなどの補助器具の設置が可能かどうかの検討がなされ、補助器具が取り付けられない場合に、2名体制の査定が行われる。

Rudolfの場合、パーソナルアシスタンスがガイドヘルプサービスやホームヘルプサービスも兼ねることになる。

(3)モデル3/知的障害

LSS査定

Ivar(便宜上、障害モデルに名前を付ける)がLSS対象であるかは医師の診断書をもって明らかで、LSS区分1の障害者カテゴリーに属すると査定できる。したがって、Ivarと両親からの介護サービスの申請については、まずLSSに基づいてそのニーズの査定が行われる。

【グループホームあるいはショートステイ】

Ivarは親元に暮らし、両親がIvarの介護をしている状況は申請書及び家庭訪問から把握できる。また、家庭訪問時のIvarとの面会で、Ivarの様子や人柄、また介護の様子などもある程度把握できる。Ivarが親元で暮らし続けるならば、Ivarにとっては時々に親元を離れ違った環境で生活する体験の必要性と、両親にとっては介護の負担を軽減するために休息とリフレッシュの機会をもつ必要性とから、何らかの形の代行介護が必要であると見られる。しかし、その一方で、Ivarの年齢を考えると、親元から独立し、何らかの形の介護付き住宅で生活を始めることが妥当だと考えられる。Ivarには身の回りの介護が相当必要だと考えられ、したがって、介護付き住宅として、グループホームへの入居をまず提案するだろう。その際、Ivarは長く親元で暮らしてきているので、親元を離れて生活を始めるということに大きな不安を抱くかもしれないので、Ivarにグループホームがどういうところか見せるだろう。

Ivarが親元に残るのであれば、ショートステイサービスを提案し、月に4~6日の利用頻度を許可するだろう。

【日常活動プログラム】

Ivarには日常活動プログラムのニーズがあると判断される。想定ケースではすでに日常活動プログラムに参加しているので、Ivarに別な希望がないのであれば、継続する方向で考え、定期的なフォローアップを行う。

【ガイドヘルプサービス】

Ivarの年齢を考えると、親同伴でなく街に出かけたり、映画を観たりしたいのではないだろうか。親から離れ、自立した生活時間をもつことも大事なことであるし、本人も望んでいるかもしれない。その手助けになるのがガイドヘルプサービスであるので、このサービスは間違いなく勧めているだろう。また、Ivarはダンス教室に定期的に通っており、ダンス教室への往復の付き添いにも利用することができる。

このサービスでは、月に利用できる時間数を査定して、サービスの許可を出すのであるが、利用者のニーズや興味、活動の度合いなどを考慮して適度な時間数を査定する。Ivarの場合、定期的に参加している余暇活動もあるので、それが週ベースの活動であると想定すると、月20時間ぐらいが適度ではないかと判断する。この時間数は不変ではなく、必要に応じて申請すればよく、LSS査定員は新たに査定を行い、申請が妥当だと判断されれば、時間数が増加される。

ガイドヘルプサービスはグループホームに居住する人は基本的に利用できない。その場合、グループホームのスタッフがそのサービスを施す。したがって、Ivarがグループホームに居住することになれば、ガイドヘルプサービスの提供は打ち切ることになる。

サービスの利用が許可されると、ガイドヘルプサービス業務部門に通知され、Ivarはガイドヘルプサービスの列に置かれる。当該部門の責任者がIvarと面接し、利用の目的や、興味のほか、ガイドヘルパーへの希望などを聞き、なるべくそれに沿った人物を探すように努める。適切な人物が見つかると、責任者、ガイドヘルパー候補とIvarの3者で会い、良さそうであれば利用が開始される。利用の形態はIvar次第である。

ガイドヘルプサービスは無料で提供され、ガイドヘルパーにかかる諸費用はコミューンが負担する。利用者は自身にかかる費用だけを支払えばよい。ガイドヘルパーは領収書をガイドヘルプサービス業務の窓口に提出する。諸費用が高額な場合(150クローナを超える場合)は、ガイドヘルパーは常に、ガイドヘルプサービス業務のスタッフに尋ねなければならない。

【コンタクトパーソン】

コンタクトパーソンは、障害をもつ人と一緒に余暇活動に参加したり、障害をもつ人の日常生活への一般的なアドバイスを行う人で、その目的は、障害をもつ人と一緒に時間を過ごし、その人の余暇活動を手助けすることを通して、その人が障害ゆえに孤立するのを防ぐことにある。このサービスは重度の障害をもつ人の社会参加に貢献している。おおよそ月に8時間程度(約2時間/週)を上述の活動内容にあてることが期待され、コンタクトパーソンには月単位で一定の報酬と一定の費用補償が支払われる2)

コンタクトパーソンはガイドヘルパーとは違って、互いの家を訪ねることもできるし、電話での交流も可能で、友人同士のようなコンタクトの取り方になる。ガイドヘルパーは基本的に移動の付き添いと考えられる。

Ivarには一緒に何かをしたり、余暇活動に参加できる人がいることはたいへん有意義だと考えられるので、このサービスを勧めるだろう。

コンタクトパーソンが許可されると、該当業務部門にその決定が通達される。Ivarに合いそうな人物が見つかると、両者が会い、お互いを知る機会をもつ。いい関係が保てそうだと思われたら、LSS査定員と両者は契約を結び、このサービスが開始される。

【個別支援計画】

LSSの下での支援サービスを一つでも受けている人は、本人の参加のもとで個別支援計画を作成することができる。これはLSSの支援サービス利用者が生活上何らかの目標をもち、その達成に向けて、受けている支援サービスをどのように有効に利用していくのがよいかなどを、組織的に考え取り組んでいくためのものである。その際、必要であれば、関連する機関とも連携を取り、本人在席のもとで、関係者がミーティングをもち、支援計画を作成する。

例えば、Ivarが何らかの支援を受けながら就労を希望しているとする。LSS査定員は関係者、関連機関を呼び集め、Ivarとともに、可能性があるかどうか話し合うことができるだろう。何かがあるとなれば、それに向けてどのような取り組みが必要かなど、各関係部所が連携しながら、Ivarとともに考えていくことができるだろう。

これは直接の介護サービスではないが、上述したように、介護サービスも含めた支援計画の作成なので、本レポートに紹介することとした。

(4)モデル4/精神障害

LSS査定

Petter(便宜上、障害モデルに名前を付ける)がLSS下での介護サービスを申請したと想定すると、まず、LSS対象かどうかの査定が行われる。Petterの機能障害はその種類からしてLSS区分3の障害者カテゴリーに関係するので、医師の診断書とあわせて、機能障害の性質と生活上の困難さなどからPetterが第3カテゴリーに属するかどうかの査定が行われる。

Petterは基本的なニーズ(身体の衛生、衣服の着脱、食事)には介助を必要としないので、第3カテゴリーの4つの条件(モデル1を参照)の内、条件3及び4を満たすとは言えない。したがって、LSSの対象にはならないと査定する。

面接者が勤務する区では、精神障害者のケースはLSS査定員が取り扱っている。したがって、Petterの場合、LSSの介護サービスの申請は却下されるが、継続してLSS査定員が、今度はSoL(社会サービス法)に基づいてニーズの査定を行い、それに応じて必要な介護サービスが提供されうることになる。

SoL査定

Petterのニーズを査定した結果、在宅生活支援3)、ガイドヘルプサービス、コンタクトパーソン、日常活動の4つの介護サービスが挙げられた。申請を受けて家庭訪問を行う際に、この4つの介護サービスを提案し、本人が利用を希望すれば、これらの介護サービスの提供を許可するだろう。

【在宅生活支援】

このサービスは、精神障害者が日常生活を組み立て、自立した良質な生活を営むことができるように、在宅での実用的な支援や、孤立しがちな生活パターンの改善や外部とのコンタクトの構築を手助けするものである。対象者は18~65歳の独立して生活をしている精神障害者である(例えば、親元ではなく、アパートを借りて一人暮らしをしているなど)。

Petterが希望するなら、在宅生活支援サービスのスタッフを伴って再度家庭訪問をすることも考えられる。その際には、Petterを担当することになるであろうスタッフを同伴するようにする。Petterのニーズによるが、大概のケースでは週に1~3日、中には週5日、サービスの提供を許可する。このサービスは、面接者が勤務する区では平日のみに提供されている。許可された範囲で、Petterとサービスのスタッフとの間で利用の仕方を決めていく。サービスは無料で提供される。サービス提供のフォローアップは3ヶ月を目処に行われる。

サービス内容は、在宅生活が上手く機能するように働きかけをすることで、掃除、洗濯、買い物などがなかなか始められない、またベッドに入ったまま1日の活動が始められないでいる利用者の後押しをしたり、時には何かを一緒に取り組んだりして、利用者が日常生活を組み立て、上手く営んでいける手助けをするものである。

在宅生活支援はホームヘルプサービスとは異なる。ホームヘルプサービスは身辺介護や家事の一部を代行するもので、Petterにはそのニーズは見られない。Petterは身の回りのことに介助を必要としないし、家事を執り行うこと自体に困難があるのではなく、取りかかるのに後押しが必要だろうと判断される。したがって、在宅生活支援がPetterに必要な支援だと査定する。

【ガイドヘルプサービス】

Petterは幻聴を有するので、安心して定期的に外出できるよう、あるいは余暇活動などに参加できるよう、ガイドヘルプサービスを許可するだろう(詳細はモデル1を参照のこと)。許可された月毎の時間数をPetterは自分のニーズに応じて利用できる。利用の際にはPetterがガイドヘルパーに連絡を取る。サービス提供のフォローアップは利用者のニーズによって半年から1年を目処に設定されている。無料で提供される。

【コンタクトパーソン】

SoLの下でのコンタクトパーソンは社会との接触を確立するあるいは取り戻す必要のある人に提供される支援サービスで、社会との接触を確立する・取り戻すために目標を設定し、それに向けて一緒に取り組んでいくものである。精神障害をもつ人々には社会から孤立しがちで家にこもりがちになる傾向があるので、それを打破するために、外出する後押しをし、社会との接触を増やしていけるよう段階的に目標を設定し、例えば、一緒に近所を散歩することから始め、次の段階では外で喫茶をする、さらにはレストランで食事ができるようにするなど、コンタクトパーソンは利用者が社会との接触を確立する・取り戻すことを手助けする。

利用者のニーズと立てる目標によって、サービス提供のフォローアップのタイミングは変わってくるが、半年から1年を目処に設定されることが多い。無料で提供される。

目標を設定して社会との接触の確立あるいは回復を目指す目的を有するという点で、LSSの下でのコンタクトパーソン(モデル3参照)とは異なる。

【日常活動】

面接者が勤務する区には現在、精神障害者のための日常活動の場がない。査定員はPetterには日常活動の必要があると査定しているが、区から提供できるものがない。行政外でNPOによる日常活動の場が提供されている。一部はマルメ市と協力して運営しており、そこへは査定員の利用許可(SoLに基づく決定)が必要となるが、それ以外は障害当事者が直接コンタクトを取ることになり、行政からの許可も必要ない。その一つがクラブハウス形式のファウンテンハウスである。Petterにはファウンテンハウスを勧めているだろう。また、その際、Petterのファウンテンハウスへの見学訪問を在宅生活支援の一環としてとらえ、スタッフがPetterに付き添うのがいいと考えられる。

また、行政の業務として「出会いの場」4)というのがある。面接者が勤務する区にも以前はあったが、数年前に止めている。これは住民一般に公開されているので、行政からの許可は必要ない。「出会いの場」業務を展開している区もあり、Petterが希望すればそこに出かけることもできる。その目的の一つは、同じ場を共有することを通して社会からの孤立を打破することである。そこでは様々なプログラムや行事が用意されている――食事作り、菓子作り、編み物、陶芸、体力づくり、ゲーム、遠足・見学訪問など、また、おしゃべりや喫茶、新聞を読みに来るなど、人が集まり、交流をもつ場として提供されている。

■調査にあたって

障害モデルを想定ケースとして査定員に提示し、どのような介護サービスが提供されるかを査定してもらった。まずLSS査定員1名に全4ケースを査定してもらい、LSS対象にならないケースについてはSoL査定員1名にその査定をお願いした。また、モデル2(頚髄損傷)では、LASS査定員1名にも査定をお願いした。

LSS査定員及びSoL査定員は、南スウェーデン(スコーネ地方)にあるスウェーデン第3の都市マルメ市の某区に勤務、LASS査定員はスコーネ地方ルンド周辺地区(マルメ市の北郊外地区)の社会保険事務所5)に勤務。

各査定員に対するの面接調査を進める傍ら、モデルに近い障害をもつ当事者探しを進めた。結果、全盲の方1名から面接調査の協力を仰ぐことができたが、時間の関係で他の障害モデルについては協力者を探すことはできなかった。全盲の当事者は視覚障害者の組織でオンブズマンとして勤務している。

したがって、本調査の収集データは、各種査定員計3名及び障害当事者1名の総計4名との面接調査の記録、及び面接時に入手した資料とインターネットから取り出した資料である。なお、面接は協力者の了解を得て録音し、面接終了後、録音データを文書化した。入手した資料の中には実際のケースレポートも含まれているが、個人情報に関わる部分は全て架空のものに変更された形で受け取っている。

なお、スウェーデンでは、福祉サービスの整備はコミューンにその責任が置かれ、大きな自由裁量が与えられている。そのため、コミューン間でサービスの提供に差が生じているのが実態である。また、細かい査定基準を設けていないので、同一コミューン内でも査定員間で査定に違いが生じることがある。以上のことを踏まえて、調査結果は面接者が勤務するコミューンでの状況であることを明記しておく。

2.モデルに関する調査 脚注

1)これ自体が介護サービスとは言い難いが、種々の介護サービスを提供するホームヘルプサービスの業務に含まれるので、ここでも取り上げておく。

2)面接者が勤務する区のあるマルメ市では、報酬515クローナ/月、費用補償475クローナ/月。

3)Housing support(boendestöd)

4)Träffpunkt

5)社会保険事務所は国の管轄で、その業務単位はコミューン毎に設定されているわけではない。例えば、マルメ市の郊外地区では、幾つかの周辺コミューンにわたって一つの社会保険事務所がその業務を管轄している。だが、分署は概ね各コミューンに設置されており、市民は地元の事務所・分署を利用すればよい。また、各種社会保険の申請は社会保険処理センターに一旦一括して集められ、そこから各担当地区に回される。

3.障害児に関する調査

(1)障害児施設の種別と数(または利用人数)

A.SoLに基づく障害児(0~24歳)へのサービスと施設

図表1~4に、社会サービス法(SoL)及び保健医療法(HSL)に基づく各コミューンから報告があった対象児童のサービス一覧(2007年10月1日付、一部9月付)を示す1)。なお、後述する特別諸学校への在籍が24歳まで可能となっているため、障害児の範囲を0~24歳として報告する。

図表1 障害児向けサービス利用概数(全体、人)(2007年10月1日)

SoL関連サービス内容 0~19歳 20~24歳
特別住宅 16 22 25 48 111
ホームヘルプサービス 138 213 173 154 678
在宅日中生活援助 55 72 308 322 757
緊急通報アラーム配布 6 9 55 40 110
日中活動 12 8 74 82 176
ショートケア・ステイ 54 116 20 23 213
親族・在宅介護手当 35 49 16 29 129
コンタクトパーソン家族 172 220 116 91 599
その他のサービス 57 97 95 87 336

図表2 在宅障害児向けサービス利用数(人)(2007年10月1日)

SoL関連サービス内容 0~19歳 20~24歳
ホームヘルプサービス 138 213 173 154 678
在宅日中生活援助 53 68 284 309 714
緊急通報アラーム配布 6 9 55 40 110
日中活動 10 7 62 74 153
ショートケア・ステイ 53 112 18 14 197
親族・在宅介護手当 35 49 16 29 129
コンタクトパーソン家族 168 219 112 83 582
その他のサービス 54 83 58 50 245

図表3 特別住宅居住障害児向けサービス利用数(人)(2007年10月1日)

SoL関連サービス内容 0~19歳 20~24歳
ホームヘルプサービス 3 7 6 13 29
日中生活援助 1 1 5 1 8
日中活動 1 0 6 3 10
ショートケア・ステイ 0 1 0 6 7
コンタクトパーソン家族 0 0 3 3 6
その他のサービス 3 6 5 7 21

図表4 その他の住宅居住障害児向けサービス利用数(人)(2007年10月1日)

SoL関連サービス内容 0~19歳 20~24歳
ホームヘルプサービス 9 4 5 3 21
在宅日中生活援助 1 3 19 12 35
日中活動 1 1 6 5 13
ショートケア・ステイ 1 3 2 3 8
親族・在宅介護手当 0 0 0 0 0
コンタクトパーソン家族 4 1 1 5 11
その他のサービス 0 8 32 30 70

図表1~4から、SoLの場合、障害児施設に相当するものは、特別住宅(särskilda boendeformer)、日中活動(dagverksamhet)、ショートケア・ショートステイ(korttidsvård/korttidsboende)であることが分かる。

特別住宅とは、SoL第5章第7条に規定されているもので、身体、精神、または、その他の理由で重度の障害者が居住する住まいのことを指している。なお、最大でも4人と小規模のものが多く、設置数は不明である。

日中活動とは、日中住まいを離れて意義のある活動に従事する日中活動の場のことで、在宅のみならず特別住宅の居住者も補完的サービスとして利用可能なものを指す。なお、設置数は不明である。

ショートケア・ショートステイとは、短期間のリハビリや在宅医療を特別住宅で受けるサービスのことを指しており、家族の負担軽減、入居待ちケア、退院後すぐの中間的利用のために利用される。短期のものをショートケア、やや期間の長いものをショートステイと言う2)。なお、1~複数で参加していることが多いため設置数は不明である。

特別住宅に関連し、児童から成人に至るまで(0~64歳)の特別住宅の形態とその割合を図表5に示しておく3)。0~24歳までの障害児もこのタイプの特別住宅に居住していることになる。

図表5 特別住宅の形態とその割合

特別住宅のタイプ 割合(%)
1室に複数のベッド 1
1室のみ(台所・WC・浴室は共有) 5
1室のみ(台所のみ共有) 14
1~1.5室と占有の台所・WC・浴室 47
2室と占有の台所・WC・浴室 28
3室以上と占有の台所・WC・浴室 1
その他のタイプ 3

施設設置数は「一定の機能的な障害のある人々に対する援助とサービスに関する法律」(LSS)のサービスと重なり合う部分が相当あると思われるため、下記の「B.LSSに基づく障害児へのサービスと施設」で示す数から推測していただきたい。なお、スウェーデンの障害児用特別住宅は、LSSに基づく養育家庭と児童用グループホーム(特別住宅)からなっていることが多く、児童用グループホーム(特別住宅)のように24時間介護体制を取っている場合でもグールプの人数は原則として最大4人までとされており、最低でも6人以上(利用者の障害の程度により加算されていく)の職員が配置されることになっている。

B.LSSに基づく障害児(0~22歳)へのサービスと施設

図表6に、LSSに基づく各コミューンから報告があった障害児が利用しているサービス一覧(2007年10月1日付)を示す4)。なお、LSSで児童認定されているのは22歳までのため、障害児の範囲を0~22歳として報告する。

図表6 LSSに基づく障害児用サービス利用一覧(2007年10月1日)

LSSサービス内容 0~6歳 7~12歳 13~22歳 合計
相談・個別援助 65 87 152 122 214 336 659 979 1,638 846 1,280 2,126
PA 45 51 96 79 134 213 187 271 458 311 456 767
LSサービス 9 15 24 176 315 491 1,320 2,054 3,374 1,505 2,384 3,889
KP 1 4 5 45 70 115 1,422 1,739 3,161 1,468 1,813 3,281
ALサービス 228 405 633 472 916 1,388 405 733 1,138 1,105 2,054 3,159
ショートステイ 217 310 527 863 1,605 2,468 2,345 3,465 5,810 3,425 5,380 8,805
延長学童保育 0 0 0 52 84 136 1,932 3,010 4,942 1,984 3,094 5,078
学童用特別住宅 10 7 17 21 80 101 422 729 1,151 453 816 1,269

PA:パーソナルアシスタンス
LSサービス:ガイドヘルプサービス
KP:コンタクトパーソン
ALサービス:レスパイトサービス
学童用特別住宅:児童・青少年用特別住宅

図表6から、LSSに基づく障害児施設に相当するのは、延長学童保育(Korttidstillsyn)、学童(児童・青少年)用特別住宅(養育家庭も含む/Boende i familehem eller i bostad med särskild service för barn eller ungdomar)、の2種類であることが分かる。

延長学童保育とは、通常の学童保育サービスでは給付されない12歳以上の学童に対して、授業前、放課後、休日に提供されるサービスのことを指している。なお、1~複数で参加しているため設置数は不明である。

児童・青少年用特別住宅とは、親と同居困難な障害児童・青少年に対して、養育家庭または児童用グループホームで生活できるサービスのことを指している5)。ショートステイとしての利用も可能となっている。かつては児童養護施設としての位置づけがなされていたが、今日では一般家庭で養育を受ける養育家庭(familehem)と家庭的な雰囲気を持つ小規模(集団規模が4人以下で児童用グループホームとも呼ばれている)の特別住宅(bostad med särskild service)で構成されている。なお、最大でも4人と小規模のものが多く、設置数は不明である。

C.学校教育法6)に基づく障害児(0~24歳)へのサービスと施設

学校教育法に基づいて障害児も利用していると思われる施設は、就学前学校型活動(förskoleverksamhet)、学童援護活動(skolbarnsomsorg)、各種特別学校、その他の特別教育、である。統合保育・教育が推進されているため、就学前学校や通常学校(9年生基礎学校、高等学校)にも多くの障害児が数多く通っているが、障害児数の算出は困難である。

就学前学校型活動には、就学前学校(förskola,保育園daghem、時間制グループ活動deltidsgruppを含む)、家庭(保育ママ)保育(familjedaghem)、オープン就学前学校(öppen förskola)がある。オープン就学前学校とは、障害の有無に関わらず利用できる統合された就学前学校または保育の場である。また、6歳になると、学校に慣れるために、全員就学前学校に通うことになっている。これは、教育委員会の責任で行われることになっている。障害児数の算出は困難なため、参考までに障害児も含めた就学前学校型活動の施設数・利用数7)図表7に示す。

図表7 就学前学校型活動の施設数・利用数(障害児も含む)(2007年)

施設の種類 施設数 0歳 1歳 2歳 3歳 4歳 5歳 6歳 7歳 計(人)
就学前学校 9,716 11 49,326 88,217 92,057 93,954 91,441 1,591 344 416,941
家庭保育 0 3,590 5,869 5,932 5,469 4,728 25,588
オープン
就学前学校
455 (利用者数は不明)

学童援護活動には、学童保育(fritidshem)、家庭学童保育(familjedaghem)、オープン学童保育活動(öppen fritidsverksamhet)、がある。オープン学童保育活動とは、障害の有無に関わらず利用できる統合された学童保育の場である。いずれも障害児数の算出は困難なため、参考までに障害児も含めた学童援護の施設数・利用数8)図表8に示す。

図表8 学童援護の施設数・利用数(障害児も含む)(2007年)

施設の種類 施設数 5歳 6歳 7歳 8歳 9歳 10歳 11歳 12歳 計(人)
学童保育 4,426 808 79,407 79,344 74,281 64,519 22,932 8,838 4,434 338,989
家庭学童保育 649 534 428 335 183 116 54 2,299
オープン
学童保育
605 (利用者数は不明)

なお、就学前学校型活動でも、学童援護活動でも、特別な援助を必要とする子どもは、特別な援助を要求することができる。その際、各コミューンは、ランスティングのハビリテーションチームと共同で良いサービス(その子どもに合った活動、グループ構成、教育的支援、職員配置など)が提供できるように協議・検討を行うことになっている。

各種特別学校には、基礎特別学校(grundsärskola)、訓練学校(träningsskola)、高等特別学校(gymnasiesärskola,職業教育yrkesutbildningも含む)、(分離)特別学校(specialskola)がある。図表9には、2007年の特別諸学校の施設(学校)数・利用数9)を示してある。

基礎特別学校とは、9年制の義務教育課程で、原則として7~16歳の障害児が在籍しており、18歳まで在籍が可能となっている学校のことを指す。訓練学校とは、基礎特別学校と同様の位置づけにあり、比較的重度の障害児が通っている学校のことを指す。

高等特別学校とは、高校学校に相当する4年制課程の学校で、原則として17~20歳の障害青年が在籍しており、24歳まで在籍が可能となっている学校のことを指す。

(分離)特別学校とは、義務教育課程と高等部を持つ13年制の学校で、原則として7~20歳までの障害児が在籍しており、24歳まで在籍が可能である。上記特別諸学校が通常学校に敷地内統合されているのに対して、この(分離)特別学校は完全分離型の学校である。

その他の特別教育には、学校卒業後に教養を身に付けたり資格を得るためなどに通う国民高等学校(folkhögskolan)、就労をしていても日中活動に参加していても週1回は無料で参加できる知的障害者向け特別成人学校(särvux)がある(図表10参照)。特別成人学校とは、基礎特別学校レベル、訓練学校レベル、高等特別学校レベルに分けられている学校で、多くのコミューンに配置されている。これらの教育支援活動は、スウェーデンの福祉サービスを側面的に支える重要な社会参加活動と位置付けられていおり、わが国でも今後積極的に検討する余地のあるサービスである。

図表9 特別諸学校の施設(学校)数・利用数(2007年)

施設・学校の種類 施設・学校数 利用数(人)
基礎特別学校(訓練学校含) 722 13,884
高等特別学校 265 8,693
(分離)特別学校 8 514
  視覚障害校 (1) (10)
  聴覚障害・言語障害校 (7) (504)

図表10 学校卒業後の施設(学校)数・利用数(2007年)

施設・学校の種類 施設・学校数 利用数(人)
国民高等学校10) 16,483
 2007年秋期長期コース (8590)
 2007年秋期短期コース他 (7893)
特別成人学校(レベルの重複有) 222 4990
 基礎特別学校レベル (7) (504)
 訓練学校レベル (174) (1550)
 高等特別学校レベル (150) (1420)

D.HSLに基づく障害児(0~24歳)へのサービスと施設

HSLに基づき、各ランスティングは、ランスティング内に住む人たちに、平等に良い保健・医療サービスを提供しなければならないとされている(第2条)。また、障害のある人たちには、ハビリテーション、リハビリテーション、福祉機器を、さらには、通訳サービスを提供しなければならないことになっている(第3条b)。このうち、障害児施設に関わる機関は、ハビリテーションに限られているため、以下ハビリテーションに限定して報告をする。

ハビリテーションとは保健・医療的関わりによって障害児の新しい能力や可能性を発達させること11)を意味しているが、各自治体では医療機関を中心に、何らかの組織的な対応を行い、様々な機能障害(例えば、知的障害、身体障害、自閉症、アスペルガー症候群、自閉的傾向のある人、視覚障害、聾、重複障害、ADHD等の発達障害)のある人たちに、理学療法、作業療法、特別教育、社会福祉、心理学、医療、看護的な働きかけを行っている12)。ストックホルムランスティングのように、21のハビリテーションセンターを設置し、ハビリテーションチームをもって組織的に対応しているところもある。

全国にどのような施設がどのくらいあるのかを把握するのは難しいが、社会庁が2003年に行った調査結果から、ハビリテーションを行っている医療機関の種別・設置数・割合13)図表11として紹介する。

図表11 ハビリテーションを行っている医療機関種別・設置数・割合(2003年)

医療機関種別 設置数 割合(%)
子ども医療センターBarnmedicinsk klinik 20 10
児童精神医療センターBarnpsykiatrisk klinik 28 14
児童青少年ハビリテーションセンターBarn- och ungdomshabilitering 40 21
視覚障害センターSyncentral 28 14
聴覚障害センターHörcentral 4 2
言語治療センターLogoped 18 9
聴覚障害支援センターHörselvård 3 2
その他の医療機関 53 28
194 100

(2)利用の条件

A.SoLに基づく障害児施設の利用条件

社会サービス法(SoL)に基づく障害児施設に相当するのは、特別住宅、日中活動、ショートケア・ショートステイ、の3種類だが、いずれもニーズのある障害児で、認定された者が利用できる。

B.LSSに基づく障害児施設の利用条件

日常的に多くの障害児が求める特別なサービスは、「一定の機能的な障害のある人々に対する援助とサービスに関する法律」(LSS)に基づいて給付される。その際、「(1)障害の定義、範囲、区分」で示した区分1~3で整理されている。LSSに基づく障害児施設に相当するのは、延長学童保育、児童・青少年用特別住宅(養育家庭も含む)、の2種類だが、利用条件が次のように制限されている。

延長学童保育:12歳以上の学童で、通常の学童保育サービスの対象となっていない児童。

児童・青少年用特別住宅:親と同居困難な児童・青少年(多くが学童)。子どもや家庭の状況に応じて柔軟に利用されている。なお、養育家庭には、同じような年齢の子どもがいる家庭が望ましいとされている。

C.学校教育法に基づく障害児施設の利用条件

性差、地理的・社会的・経済的等の理由の如何に関わらず、全ての子ども・青少年は、教育を受ける権利を有している(第1章第2条)。どの就学前学校、通常の基礎学校、基礎特別学校、訓練学校、高等特別学校、(分離)特別学校へ行くかを決めるのは、本人または親族で、学校側は、本人が十分な教育が受けられるように学校をあげて支援しなければならない。公教育は全て無料で、学校教育を受けるための行き帰り、学校での介護・放課後の活動等は、公教育・教育生活の保障という観点から福祉サービスの併用で無料で行われることになっている(第2章)。したがって、就学前学校型活動、学童援護活動、各種特別学校、その他の特別教育に関わる施設設備等は、いずれもニーズのある障害児で、認定された者が利用できることになっている。

D.HSLに基づく障害児施設の利用条件

保健医療法(HSL)に基づく障害児施設に相当するのは、ハビリテーションセンターだが、いずれもニーズのある障害児で、認定された者が利用できることになっている。ただ、各ランスティングによりハビリテーションセンターの設置の仕方はまちまちで、医療機関毎に独自の方法で対応しているところもある。したがって、各ランスティングによって利用条件や質が若干異なっているのが実態だが、平等に良い保健・医療サービスを提供するために(HSL第2条)、各ランスティングの努力が続けられている。

(3)予算

2008年度の国家総予算額は9,570億クローナで、2007年度は9,380億クローナであった。また、各領域毎に振り分けられる予算は、2008年度7,570億クローナ、2007年度7,692億クローナであった。そのうち、社会保障・保健医療に占める予算は2008年度1,676億クローナ・2007年度1,662億クローナ、教育に占める予算(研究費等も含む)は2008年度447億クローナ・2007年度422億クローナであった14)。これらの国家予算を参考にしながら、障害児施設(教育施設も含む)関連の予算を見ていくことにする。

A.SoL、および

B.LSSに基づく障害児へのサービス

(特別住宅、日中活動、ショートケア・ショートステイ、延長学童保育、学童用特別住宅等)関連予算の詳細を把握することができなかった。そこで、障害児サービス関連の予算は既出の図表(1.障害者介護サービスに関する調査/図表1314)に示した障害者全体の予算の中に組み込まれていると解釈し、参考資料として再掲することにした。再掲するのは、2003年度~2007年度のコミューンの支出額全体に占める障害者関連の支出(実額)(図表12)とコミューンからのSoL関連施策給付額、LSS関連施策給付額の概要(図表13)である。

図表12 2003年度~2007年度コミューン支出額全体に占める障害者関連の支出(再掲)

支出内訳 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度
支出総額(10億SEK) 389.1 398.0 410.5 431.4 451.9
障害者関連支出(10億SEK) 38.0 40.1 42.4 45.0 48.1
比率(%) 9.8 10.1 10.3 10.4 10.6

出典;Sveruges officiella statistic,2008,Kommunernas hushållning med resurser 2007.

図表13 2007年度のコミューンからの法令別関連施策給付額概要(再掲)

分野 金額(10億SEK)
SoL・HSL関連施策 7.6 15.8
・在宅サービス 4.4 9.1
ホームヘルプサービス (3.0) (6.2)
・特別住宅 3.2 6.7
LSS、LASS関連施策 40.0 83.2
・ケア付き特別住宅 16.8 34.9
・パーソナルアシスタント 14.4 29.9
・他の事業(日中活動含) 8.8 18.3
野外活動 0.6 1.2
合計 48.1 100.0

(注)SoL:SoL、HSL:HSL
出典;Sveruges officiella statistic,2008,Kommunernas hushållning med resurser 2007.

C.学校教育法に基づく障害児へのサービスと施設に対する予算

就学前学校型活動(就学前学校・家庭保育・オープン就学前学校)、学童援護活動(学童保育・家庭学童保育・オープン学童保育活動)ともに障害児数の算出は困難なため、参考までに障害児も含めた就学前学校型活動の予算概要15)図表14に示す。

各種特別学校については、2007年度の各種特別学校に属する基礎特別学校(訓練学校も含む)、(分離)特別学校の予算概要16)図表15に示す。なお、高等特別学校予算は高等学校予算に組み込まれているため、参考までに高等学校総予算額を示しておく。

図表14 障害児も含めた就学前学校型活動・学童援護活動の予算概要

活動の種類 国家予算(SEK) 市予算(SEK) (人件費SEK)
就学前学校型活動・学童援護活動 58,584,957
就学前学校 44,616,904 37,934,636 (27,971,981)
家庭保育 2,605,658 2,226,315 (1,882,937)
学童保育・家庭学童保育 10,909,251 10,025,812 (7,282,548)
オープン就学前学校・学童保育 273,526

予算単位:千クローナ

図表15 基礎特別学校(訓練学校も含む)、(分離)特別学校の予算概要(2007年度)

活動の種類 国家予算 市予算 (人件費)
基礎特別学校(訓練学校も含む) 3,623,333 1,907,572
高等特別学校
(参考 高等学校総予算額)
32,541,908 27,109,521 (12,788,492)
(分離)特別学校 418,254 145,876

予算単位:千クローナ

その他の特別教育については、2007年度の特別成人学校の予算概要17)図表16に示す。

図表16 特別成人学校の予算概要(2007年度)

活動の種類 国家予算 市予算 (人件費)
特別成人学校 不明 198,990 (115,826)

予算単位:千クローナ

D.HSLに基づく障害児へのサービスと施設に対する予算

ハビリテーションに要する国家予算、各コミューンの予算は不明だが、南ストックホルム医療区の2001年度の調査によると、同医療区の各病院を訪れハビリテーションを利用した障害児にかかった費用は2,099万7,000クローナであった(図表17参照)。これは、南ストックホルム医療区の0~19歳の子どもたちが医療に費やした費用総額(4億2,114万7,000クローナ)の5%に相当する額であった18)

図表17 南ストックホルム医療区の0~19歳児のハビリテーション費用(2001年)

費目 医療費(SEK) 割合(%)
ハビリテーション費 20,997,000  
(0~19歳児童の医療費総額) 421,147,000 5.0

■補足

図表18にスウェーデンの入所施設入居者数年次推移19)が示されている。この入所施設入所者数は1998年当時の社会庁調査によるもののため1999年度、2000年度の数値は予測値である。1997年の特別病院・入所施設解体法20)により2000年1月1日から入所施設は全廃された。具体的には、2000年度の統計一覧から入所施設の項が全てなくなり、86名の人たちは施設敷地跡の建物を利用して用意されたグループホームに措置替えになったり、地域のグループホームへと暫時移行していった。なお、1986年に施行された精神発達遅滞者等特別援護法により児童施設への新規入所は認められなくなり、残っていた子どもたちも1990年12月31日をもって全員施設を去り、ある子どもは親元へ、ある子どもはこの子どもたちにあった特別住宅などに移っていった。

図表18 スウェーデンの入所施設入居者数年次推移

入所施設入居者数(人)
成人施設 児童施設
1974 13,150 2,685
1983 9,504 712
1986   (受入停止)
1990 5,098 71
1992 3,640  
1993 2,500
1994 2,083
1995 1,785
1996 1,269
1997 959
1998 717
1999 631
2000 86

出典;1998年社会庁Meddelandeblad Nr/3/98

上記のことから、入所施設を中心とした障害児施設は、現在、スウェーデンには存在しない。代わりに存在しているのは、SoL(社会サービス法)やLSS(一定の機能的な障害のある人々に対する援助とサービスに関する法律)に基づく様々な種類の在宅サービスであり、障害児施設に相当すると思われるものを取り上げて調査結果を報告している。

3.障害児に関する調査 脚注

1)下記文献に基づき、調査者が一覧表化した。
Socialstyrelsen,2008,Personer med funktionsnedsättning år 2007.Sveriges officiella statistic:Statistik socialtjänst 2008:8.(40~43頁)
なお、統計の集約は、次の3つの方法で行われた(同上、9~10頁)。
①2007年10月1日付でサービス受給者本人(または親族)から報告があったSoL関連の機能障害児向サービス

  • 特別住宅(särskilda boendeformer)
  • (個人宅で利用した)ホームヘルプサービス(hemtjänst i ordinärt)利用数と時間
  • 在宅日中生活援助(noendestöd)
  • 緊急通報アラーム配布(trygghetslarm)
  • 日中活動(dagverksamhet)
  • ショートケア・ショートステイ(korttidsvård/korttidsboende)
  • 親族手当・在宅介護手当(anhörigbidrag/hemvårdsbidrag)
  • コンタクトパーソン・コンタクト家族(kontaktperson/kontaktfamilj)
  • その他のサービス(annat bistånd)

②2007年10月1日付で各コミューンから報告があったSoL関連の機能障害児向サービス

  • (個人宅で利用した)ホームヘルプサービスの運営形態(regiform av hemtjänst i ordinärt)
  • 特別住宅の運営形態(regiform av särskilda boende)
  • 特別住宅のタイプ(bostadstyp av särskilda boende)
  • 身近な人(配偶者等)以外の人との特別住宅の共同利用(boende som delade bostad med annan än maka/make/samboende/annan anhörig)
  • ショートケア・ショートステイの運営形態(regiform av korttidsvård/korttidsboende)
  • 24時間型ショートケア・ショートステイの運営形態(regiform av boendedygn Ikorttidsvård/korttidsboende)

③2007年9月付でサービス受給者本人(または親族)から報告があったHSL第18条関連の機能障害児向サービスで、各コミューンから報告があったもの

2)同上、16~17頁。

3)同上、20頁。

4)前掲書(Socialstyrelsen, 2008:2)、56頁。

5)同上、16頁。

6)Skollag, 1985:1100.

7)Skolverket, 2008, Sveriges officiella statistik om forskoleverksamhet, skolbarnsomsorg, skola och vuxenutbildning. Del 2 (Riksnivå), Skolverkets rapport 315。(24頁)

8)同上、24~25頁。

9)同上、87頁。

10)Sveriges officiella statistik statistiska meddelanden, 2007, Folkhögskolan vår- och höstterminen 2007 . Statistiska centralbyrån.(18頁)

11)Handikapp & Habilitering, 2006, Habilitering för barn med funktionsnedsättningar. Stockholms läns landsting.(2頁)

12)同上、5頁。

13)Socialstyrelsen, 2003, Tillgång till habilitering och rehabilitering för barn och ungdomar med funktionshinder - en kartläggning.(32頁)

14)Regeringskansliet, 2008, Vår pengar. Finansdepartmentet.(16頁)

15)Skolverket, 2008, Sveriges officiella statistik om forskoleverksamhet, skolbarnsomsorg, skola och vuxenutbildning - kostnader-rikesnivå. Del 3 , Skolverkets rapport 316。(18頁)

16)同上、(基礎特別学校:43頁、高等学校:46頁、(分離)特別学校:40頁)。

17)同上、60頁。

18)Södra Stockholms sjukvårdsomrade,2001,Hälso- och Sjukvård för Barn och Ungdomar

19)図表18は、1998年社会庁Meddelandblad Nr/3/98による。この入所施設入所者数は1998年当時の社会庁調査によるもののため1999年度、2000年度の数値は予測値である(調査者の2000年9月の現地調査によると、この予測値は実数値とさほど変わりがないことが確められている)。当時地方の2、3の入所施設にはまだ86名の人たちが入所していた。この86名は、地場産業の担い手として地元から必要とされていたり、高齢であったために、地元も施設側も入所施設解体に同意していないためだったという。入所施設完全解体までにはまだ多少時間がかかるものと思われるが、2000年度の統計一覧から入所施設の項が全てなくなり、86名の人たちは施設敷地跡の建物を利用して用意されたグループホームに措置替えになったり、地域のグループホームへと暫時移行していったりした。なお、1986年の新援護法により児童施設への新規入所は認められなくなった。

20)Lag om avveckling av specialsjukhus och vårdhem,1997:724.

■添付資料

1/介護サービスの申請から決定及び提供までの概ねの流れ

流れ図 介護サービスの申請から決定及び提供までの概ねの流れ拡大図・テキスト

2/LSS下での介護サービスの申請書

支援・サービス申請書
一定の機能障害をもつ人々に対する援助とサービスに関する法律
(LSS)

個人情報

氏名 パーソナル番号
住所 電話番号
郵便番号 サービス提供管轄区

記述

機能障害:


あなたが必要とする援助、支援およびサービスについて記述してください:

さらに知りたい場合は下記の人物に問い合わせてください:

氏名:
電話番号:

LSSに基づいて次に記す支援・サービスを申請します:

 □9.2  パーソナルアシスタンスあるいはそのような支援への経済的援助
□9.3  ガイドヘルプサービス
□9.4  コンタクトパーソン
□9.5  レスパイトサービス
□9.6  ショートステイ
□9.7  障害児(12歳以上)向け学童保育
□9.8  児童向けファミリーホーム(寄宿家庭)あるいは支援付き住宅
□9.9  成人対象の支援付き住宅
□9.10 就労年齢層対象の日常活動プログラム(LSS区分1及び2のみ)
□10§ 個別支援計画
□16§ 事前通知(申請者が他のコミューンに居住している場合)
9.1 助言及び他の個別支援を申請する場合は、別の申請書で行ってください。管轄はランスティングの医療地区になります。

あなたはこれまでにLSSの支援を申請あるいは受けたことがありますか?

□はい □いいえ

「はい」と答えた方は、どこの区ないしはコミューンか記入してください:

迅速な査定のために、医師の診断書を添付することが望ましいです。

署名

調査が行えるように、当局が私に関する個人情報を以下の関連機関から入手することに私は承諾します: 右の承諾は私が望む時にいつでも取り消すことができるということを了承しています。
□同コミューン内の他の行政区
□社会保険事務所
□医療機関
□その他の行政機関:…………………
はい
いいえ
はい
いいえ

以下に記す者が申請します:
□署名本人
□保護者
□特別代理後見人
□管理後見人
□その他
日付:
署名
名前を大文字で明確に

保護者/特別代理後見人/管理後見人の住所及び電話番号

住所  
電話番号  

3/LSSの調査書

調査書
2006-06-03
申請事由
LSS第9条の5 家庭におけるレスパイトサービス

調査理由

背景

現在の状況

機能障害

基本的な介護ニーズ

現在継続中の支援サービス

近隣の環境

ネットワーク及び社会的なつながり

コミュニケーション

申請者に伝えた情報

査定内容

調査中に連絡と取った人物及び関連機関

決定の動機付け

日付
(署名不要)

4/SoLの調査書

調査書
申請事由

SoL第11章第1条に基づくケース
調査理由

背景

現在の状況

健康状態

ADLステータス

現在継続中の支援サービス

近隣の環境

ネットワーク及び社会的なつながり

興味

申請者に伝えた情報

査定内容

決定の動機付け

日付
署名

5/ホームヘルプサービスに関するガイドライン(マルメ市)

清掃

ここに規定する清掃とは部屋全体の行き届いた清掃であり(掃除機をかけるだけではなく)、染みを拭き取るなどの継続して行われる掃除と混同しないこと。特に他に理由がなければ、清掃サービスは隔週に1回、清掃する広さは最大で2K家屋の規模とする。清掃用具はサービス利用者が用意する。

この提案は次のような考えに基づく:もし3週間に1回のペースで清掃サービスを行うとすると、各清掃がより大変になり、さらには、日があくので普段の簡易な掃除もより徹底して行わなければならなくなる。

窓拭き

年間に2回とする。しかし、交通量の多い道路に面した家屋に住んでいる場合、利用者が希望すれば、柔軟に対応する。このサービスは1回毎に利用料が請求され、150クローナ/回かかる。この料金は2K家屋の規模の窓拭きに対するもので、それ以上の規模の窓拭きを必要とする場合、追加料金がかかる(追加の部屋ごとに1回75クローナ)。

買い物

週に1~2回とする。そこそこの品揃えであれば、近隣の店を利用することとする。利用者は買い物をどのように行い、誰が買い物をするかについて選ぶことができる。

銀行及び郵便局の用事

支払いや現金の引き出しは第一に家族や親戚あるいは後見人が行うものとする。もしそれが可能でなければ、第2の可能性として、ホームヘルパーが代わりに行う。その際、支払いは郵便/銀行振替サービスを利用すること。

食事サービス

利用者は自宅での食事作りか食事配達のいずれかを選ぶことができる。

6/LASS(アシスタンス補償法)査定のステップ

流れ図 LASS(アシスタンス補償法)査定のステップ拡大図・テキスト

7/アシスタンス補償金の申請書

もし記述内容が多くなる場合は、申請書に直接記入する代わりに別紙に書いてくださってもかまいません。

1.個人情報

申請者の氏名 パーソナルナンバー
住所 郵便番号
電話番号(自宅) 電話番号(職場) 携帯電話

2.あなたはどのくらいパーソナルアシスタンスが必要ですか?

私はパーソナルアシスタンスが次のように必要です。 時間/週 X月X日から

3.現在あなたが利用しているパーソナル・アシスタンスはどのように手配しましたか?

現在、私はパーソナルアシスタンスを次のように手配している。
□コミューンのサービスを利用
□その他の形でパーソナルアシスタンスを手配(例えば、民間のアシスタンス会社)
□協同組合形式のパーソナルアシスタンスを利用 □私がパーソナルアシスタンスを雇用している
アシスタンス会社名称、または協同組合の名称
住所
□私は現在、パーソナルアシスタンスを利用していません。 注:もし社会保険事務所から決定通知書を受け取る前にパーソナルアシスタンスを利用する必要性が生じた場合は、社会保険事務所に連絡しなければならない。

4.どんな介護が必要ですか?

どんな介護が必要か詳しく書いて下さい。
1日、1週間、あるいは1ヶ月の様子を記述してください。
□資料を添付します
 
 
 

5.その他の情報

  □資料を添付します
 
 

6.振込先の情報

□Nordea銀行振替口座 Nordea銀行振替口座番号 □Nordea銀行個人口座
□銀行振替口 座銀行振替口座番号 □銀行口座 請求番号 口座番号
本人以外の場合は口座所有者の名前を書いて下さい。例えば、アシスタンス派遣事業所やコミューン。

7.署名

私は上記のことを全て正しく記載し、間違いがないことを証明します。もし上記の内容を変更する場合は、直ちに社会保険事務所に連絡いたします。
もし私が間違ったことを書いたり、必要事項を書いていなかったり、変更した内容を社会保険事務所に伝えなかった場合は、罰則が適用されることを承知しています。
日時 署名

これらの情報は、社会保険事務所のコンピューターシステムで管理されています。社会保険事務所の個人登録に関する説明書を読んで下さい。