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第1章 本研究事業の目的と仮説

第3節 自立訓練(生活訓練)事業の実施プロセスとその課題

(1)自立訓練(生活訓練)事業の実情

ここまで、自立訓練(生活訓練)事業のプロセスを整理してきた。これらの内容は法令やその施行令、厚生労働省令等を活用し、整理してきたものであり、大まかな自立訓練(生活訓練)事業に係るフレームは示されているといえる。しかし、自立訓練(生活訓練)事業の実施状況を見ると、事業の活用が十分に広がっていないのが現状であると推察される(図表1-5)。

図表1-5 自立訓練(生活訓練)事業の事業所数の推移10
  2007年(平成19年)12月 2008年(平成20年)12月 2009年(平成21年)12月通所型 2010年(平成22年)12月
通所型
439
655
760
826
宿泊型
5
9
19
36

この原因の一つとして、自立訓練(生活訓練)事業の実施内容が事業者側に十分に把握されていないということがあると想定される11。そこで、本研究事業の目的に添い、先進的な自立訓練(生活訓練)事業の実施状況を調査し、その内容を整理した。

(2)実態把握の視点

自立訓練(生活訓練)事業のここまでの整理から、自立訓練(生活訓練)事業の実施状況を把握する上でのポイントは次の点にあると考えられる(図表1-6)。これらのポイントを先進的な事業所ごとに整理し、その実態を明らかにすることで、本研究事業の目的は達成できると想定される。また、実際の事業展開を考える事業所にとっても参考になると想定される。

図表1-6 自立訓練(生活訓練)事業の実施状況の整理
整理のポイント 内容
①利用の必要性判断
  • 対象としている利用者像
②自立訓練(生活訓練)事業での支援・訓練
  • 支援開始時のニーズ
  • 支援終了時のゴール
  • ゴールに到達するための支援プロセス
    ※プロセスの整理の視点としてのSFA
  • 他事業所(特に相談支援機能)との連携
③地域生活開始に向けた支援
  • ②と平行した実施内容
  • 他事業所(特に相談支援機能)との連携
④地域生活定着に向けたフォロー
  • 実施内容
  • 他事業所(特に相談支援機能)との連携
⑤地域生活持続のための相談サポート
  • 実施内容
  • 他事業所(特に相談支援機能)との連携

なお、本研究事業では、社会生活力(Social Functioning Abilities; SFA)に着目した分析を行う12。ここで定義された視点にもとづいて、どのような支援が行われ、どのような変化が生じたかを明らかにすることで、支援の時間的経過を明らかにするとともに、具体的な支援方法の一助となることを期待している。


10WAM-net障害福祉サービス事業者情報 全国集計結果 各年の12月31日時点の数字を掲載している。同日サービス提供中の指定事業所の数を掲載。

11この他にも、障害福祉サービス報酬等の経営上の問題、有期限であることの問題などがあると想定される。

12詳細は第8章で述べる