第2章 調査手法
第2節 調査方法
調査は「事前調査」「事業所・ケース調査」「深堀調査」により調査を実施した。それぞれの調査を実施することにより、より詳細な調査ができることを想定した。
(1)事前調査
事前調査はあらかじめ調査対象となる事業所や調査対象者の状況をドキュメントにより確認をする調査である。事業所及び調査対象者に関する以下のドキュメントを、各事業所より収集することで、実際に訪問する前に必要な情報を収集しようとするものである。
加えて、事業所及びケースに関する簡便な質問紙調査を行った。質問紙調査も事前に事業所やケースに関する情報収集を行うことを目的として実施した13。
内容について不明な点がある場合は調査対象となる事業所と相談をし、必要な範囲で調査に協力していただいた。また、ケース調査に関しては固有名詞などの情報を匿名にしてもらい、情報提供していただいた(図表2-3)。
調査方法 | 調査対象 | |
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事業所 | ケース | |
ドキュメントの提示 | 事業所概要 標準的な支援の流れを開設した資料 日常生活スキルアップ支援プログラム表 |
個別支援計画 ケースカンファレンス資料 (議事録、会議録等) インテーク資料 |
質問紙 | 事業所利用者数、登録者数 連携している社会資源状況 サービス利用者の予後等概況 |
利用者プロフィール(性別、年齢、障害状態、疾病、家族状況、経済状況等) 支援プログラム概況 紹介経路 個別支援計画の目標、個別支援会議開催頻度、支援計画見直し頻度・時期 支援終了後の予後 |
(2)事業所・ケース調査
「事前調査」の内容を整理した上で、事業所を訪問し、あらかじめ設定された調査枠組みにもとづき、半構造化面接法による聞き取り調査を実施した。主な内容は下表のとおりである(図表2-4)。なお、調査実施時には、各調査対象者のケース記録等を準備していただき、ケース記録にもとづく聞き取りを実施した。
調査対象 | |
---|---|
事業所 | 調査対象者(各事業所5名) |
標準的な支援プログラム 利用者像 連携する社会資源状況 (連携内容及び紐帯の強さ等) |
ケース記録にもとづき、支援内容に関する実態と支援内容が変化するポイントを確認 変化の原因を確認するとともに、支援による影響を把握する。 個別支援計画の見直しの原因と内容 |
ケースカンファレンス等の支援の変化のポイントを明らかにするために、行動結果インタビュー(調査対象に関する支援の在り方を時系列で確認していく方法)により実施することで、かかわった専門職員、支援エリア、支援頻度(概数)、支援手法及び期間について整理した。
時系列で支援の変化を追い、社会生活に向けて変化が生じたポイントを抽出する。その上で、その変化が生じた原因や利用者の状況、及び、支援内容を明らかにし、時系列でどのような支援がなされていたかを整理した。
(3)深堀調査
「事業所・ケース調査」のまとめ内容について確認する。特に各ケースの支援内容について確認するとともに、変化のポイントとその原因について、聞き取りを行い、内容の補強を行った。検討は後述する検討委員会で行い、追加で調査しなければいけない内容を抽出した。
深堀調査は、原則、電話調査により実施し、必要に.じて再度の訪問調査を行った。再訪問の必要については検討委員会により協議の上、決定した。
次章より、実際に5事業所の調査結果を記す。
13詳細は後述する資料編を参照