第5章 取り組み事例「自立生活支援センター・ウイリー」
第3節 考察
(1)ケースに見る支援の流れ
ここまで示した5ケースにもとづき、当事業所の支援フローを第1章の支援フレームに合わせて整理すると次のようになる。
枠組み | 内容 | |
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利用の契機 |
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生活訓練 | 個別支援計画 |
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カンファレンス |
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モニタリング |
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地域資源との接点 |
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支援・訓練内容 |
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地域生活開始に向けた支援 |
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利用終了後のフォロー |
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地域生活のための相談サポート |
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(2)まとめ
①レインボーネットを通じた支援
レインボーネットという地域全体で障害のある人の豊かな暮らしの実現を支援する仕組みの中で、病院や孤立した生活から、地域での生活へ移行する前の通過施設として、宿泊型と通所型の両方を組み合わせた「短期滞在型(通過型)自立訓練」の事業所として機能していきたいという方針で運営している。
利用中に、地域生活移行のための課題解決の対処方法を身につけるだけでなく、事業所が、地域移行後も課題が発生したときの相談相手となっていることが、自立訓練(生活訓練)宿泊型を経ないで直接地域に移行する場合に比べて地域生活を継続させるために有効である、との考えのもとに運営されている。
②自立訓練(生活訓練)事業
5ケースを振り返ると、支援する職員は利用者の病状をきちんと観察(見守り)し、必要な支援を本人との話し合いを通じて理解を求めながら実践しているといえる。本人が支援方針に納得しないと、日常生活が不安定になるためと考えられる。たとえば、服薬管理に関して、自己管理を原則としつつも、怠薬や誤薬などがあった場合には本人との話し合いの下、職員管理を行い、生活の安定を図っている。観察(見守り)にもとづく情報により、適切な支援を、優先順位をつけて実践しているといえる。
事業の課題としては、「2年間(最大3年間)の自立訓練期間」という縛りの中で、どのように次のステップにつないでいくかということがあげられる。2年間で社会生活力を身につけて地域へ移行するというのは、ハードルが高いという。レインボーネットによって、自立訓練(生活訓練)事業の後の地域の受け皿としてのグループホーム・ケアホームは他地域にくらべて整っているとはいうものの、地域での自立生活が十分にできるかは個人差もある。自立訓練を次々と修了していく利用者を、レインボーネットとうまく連携しながら、2年間で自立した生活に移行できるような支援体制をどのように構築していくか、期待されている。