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第8章 自立訓練(生活訓練)事業のあり方

第2節 障害者権利条約における「リハビリテーション」

2006年(平成18年)に国連によって採択された「障害者権利条約」は、21世紀における初めての人権条約であり、障害のある人に対するあらゆる差別を禁止する重要な法的規定である。具体的な領域としては、あらゆる生活の場面、リハビリテーション、教育、保健、情報・公的施設・サービスの利用可能性(アクセス)などが含まれている。

今後の障害者福祉や障害者のリハビリテーションは、「障害者権利条約」を基底にして実施していくことが求められるので、以下に確認をしたい。

第1条に「目的」が規定されており、以下のとおりである。

第1条目的
第1条目的
この条約は、すべての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有を促進し、保護し、及び確保すること並びに障害者の固有の尊厳の尊重を促進することを目的とする。
障害者には、長期的な身体的、精神的、知的又は感覚的な障害を有する者であって、様々な障壁との相互作用により他の者と平等に社会に完全かつ効果的に参加することを妨げられることのあるものを含む。

第26条において、リハビリテーションが以下のように規定されている。

第26条リハビリテーション
第26条リハビリテーション
締約国は、障害者が、最大限の自立並びに十分な身体的、精神的、社会的及び職業的な能力を達成し、及び維持し、並びに生活のあらゆる側面に完全に受け入れられ、及び参加することを達成し、及び維持することを可能とするための効果的かつ適当な措置(障害者相互による支援を通じたものを含む。)をとる。このため、締約国は、特に、保健、雇用、教育及び社会に係るサービスの分野において、包括的なリハビリテーションのサービス及びプログラムを企画し、強化し、及び拡張する。この場合において、これらのサービス及びプログラムは、次のようなものとなる。
  • (a)可能な限り初期の段階において開始し、並びに個人のニーズ及び長所に関する総合的な評価を基礎とすること。
  • (b)地域社会及び社会のあらゆる側面への参加及び受入れを支援し、自発的なものとし、並びに障害者自身が属する地域社会(農村を含む。)の可能なかぎり近くにおいて利用可能なものとすること。
2締約国は、リハビリテーションのサービスに従事する専門家及び職員に対する初期研修及び継続的な研修の充実を促進する。
3締約国は、障害者のために設計された支援装置及び支援技術であって、リハビリテーションに関連するものの利用可能性、知識及び使用を促進する。

以上のように「リハビリテーション」が規定されており、リハビリテーションは様々な分野から構成される包括的(総合的)なものであり、総合的なリハビリテーションサービスとプログラムができるだけ早期に、総合的な評価を基に提供され、リハビリテーションは本人が自発的・主体的に取り組むものであり、地域社会において提供されなければならないと記述されている。

このようななかで、「自立訓練(生活訓練)事業」はまさにリハビリテーションの一つの事業であり、それはリハビリテーションの一分野である「社会リハビリテーション」に位置付けられることが明らかである。