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社会の中で働く自閉症者 -就労事例集-

池田輝子記念福祉基金障がい者ジョブコーチ支援事業

発刊に当たって

田中 徹二
社会福祉法人日本点字図書館理事長

障害者の就業は、非常に困難なのが現状です。特に視覚障害者をはじめ重度の身体障害者にとって、雇用がいかに多くの課題を抱えているかは言及するまでもありません。さらに発達障害者、知的障害者、精神障害者などになりますと、働く仲間とのコミュニケーションなど問題は複雑化し、雇用の継続に困難を来たすことが多くなります。

そうした状況に介入し、その人たちの雇用が継続するように助言、指導するのがジョブコーチです。この事例集にありますように、自閉症の人たちが就業するときに生じる課題を、一つひとつ解決して、雇用の安定を図っている様子をお読みになれば、いかにジョブコーチの存在が必要かがおわかりいただけると思います。

ところが、こうした試みはまだ始まったばかりです。必要性は充分わかっていても、実際にどういう形で係わればいいのか、どんな方策があるのかなど、ノウハウはまだ確立されていません。

日本点字図書館では、ご近所にお住まいの池田輝子様のご援助により、池田基金を創設しました。定款を改正し、公益事業として障害者自立支援事業を立ちあげ、このジョブコーチ事業を発足させることになりました。寺島彰浦和大学教授、小川浩大妻女子大学助教授にご尽力をいただき、平成17年度は、まず全国の事例集を作成することになりました。本書がその成果です。18年度も事業を継続させ、専門家でいらっしゃる小川先生やNPO法人ジョブコーチ・ネットワークのご協力を得て、新宿区内をはじめ、各地でジョブコーチ養成講習会等を開催してまいります。当館としましても、ジョブコーチに携わる人がふえ、雇用される障害者が一人でもふえますように努力してまいりたいと考えております。

最後になりましたが、この事業にご理解いただき、ご支援くださっています池田輝子様をはじめ基金発起人会の皆様、それに本書の編集にご尽力くださいました財団法人日本障害者リハビリテーション協会情報センターの皆様に深甚からのお礼を申しあげます。

平成18年3月