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約束を達成するために
アメリカにおけるメンタルヘルスケアの変革
(要旨)

深刻な健康不安を引き起こす精神病

精神病は、アメリカ合衆国、カナダ及び西ヨーロッパにおいて、障害の原因となる疾病の第一位にあげられている参考文献12。しかし、国民の健康に関わるこの深刻な疾病を、健康保険負担とするべきだとの認識は低い。更に、診断を受けていない、そして治療も受けていない、もしくは十分な治療を受けていない精神病患者の末路としては最も悲惨な、しかし予防可能なものの一つに自殺があり、世界保健機関(WHO)は、毎年世界全体で殺人や戦争が原因で亡くなる人々よりも、自殺によって死ぬ人々の方が多いという報告書を最近提出した参考文献13

命が失われる悲劇に加え、精神病には圧倒的に高い財政負担が伴う。アメリカ合衆国では、精神病に関わる間接的な経済損失は年間790億ドルと推定されており、その大部分にあたるおよそ630億ドルは、疾病の結果失われた生産力を反映している。また間接的な費用には、死亡による損失(早死の結果失われた生産力)に当たる約120億ドルと、施設に収容されている人々の生産力の損失と家族を介護している人々の時間に当たる約40億ドルも含まれている参考文献14

最新の比較データが入手できる1997年の資料によれば、アメリカ合衆国は1兆ドル以上をヘルスケアに費やしており、そのうち約710億ドルが精神病の治療に当てられた。メンタルヘルスに関わる費用は、主として公共資金によってまかなわれており、その割合は、ヘルスケア全体では46%であるのに対し、57%となっている。1987年から1997年までは、マネージドケアの下で個人医療費が落ち込んだことと、病院による経費削減とを受け、メンタルヘルスに関わる費用の伸びは一般のヘルスケアにかかる費用の伸びほどは大きくなかった参考文献15

1997年、アメリカ合衆国は1兆ドル以上をヘルスケアに費やし、そのうち約710億ドルは精神病の治療に当てられた。

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