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約束を達成するために
アメリカにおけるメンタルヘルスケアの変革
(要旨)

目標1 アメリカ国民は、メンタルヘルスが健康全般にとって極めて重要であることを理解する

変革後のメンタルヘルスシステムでは、アメリカ国民がメンタルヘルスケアを必要とするとき、他の健康上の問題について治療を求めるのと同じように、自信をもってケアを求めることができる。また国民全体が、自ら学習し、自己監視し、責任を担うことを通じて、自分たちの健康と幸福を確保するための行動を起こすようになる。そして、国民は健全なメンタルヘルスを達成し、維持する方法を学び続ける。

障壁となっている、精神病及び精神病の治療を求めることを取り巻くスティグマは軽減され、或いは撤廃される。国家教育の取り組みの中で、精神病についての間違った考え方は打ち砕かれ、より多くのアメリカ国民が事実を理解し、メンタルヘルスに関わる問題について進んで助けを求めるようになる。また、特に以下にあげる人々を対象として、教育現場においてキャンペーンが実施される。

  • これまでメンタルヘルスサービスシステムについてあまり知ることが無かった、地方に住むアメリカ国民
  • 現行のシステムでは治療を受けることをためらう可能性がある、少数派の人種・民族の人々
  • 英語を第一言語としない人々

人々が事実を理解するようになれば、精神病に対する偏見は無くなり、メンタルヘルスに関わる問題についてこれまでよりも助けを求めやすくなる。また、スティグマを軽減し、人々の意識を向上させ、治療を奨励する活動により、国民の健康が増進するという好循環が生まれる。国民も、メンタルヘルスの健康が、癌、心疾患、糖尿病などの他の疾病の経過にも好影響をもたらすことを理解する。

精神病患者に対するサービスの改善では、メンタルヘルスケアシステムと一般的な医療ケアシステムをどのように連携させるかについて、周到な注意を払う必要がある。精神の健康と身体の健康は明らかに関係があり、変革後のシステムでは、現在この両者の間に存在する溝を埋めた、連携に基づくケアが提供される。

効果的なメンタルヘルスの治療法は、一般的な精神障害のほとんどにこれまでよりも容易に適用され、またプライマリーケアの場面で、より活用されるようになる。プライマリーケア提供者にはメンタルヘルスに関わる問題に適切に対処するために必要な時間があり、研修を受けることができ、人材や資源もあるからである。メンタルヘルスサービスの利用者は、情報を入手することによって自分の症状を確認し、軽蔑されたり、白い目で見られたりするのではないかと恐れることなくケアを求めることができるようになる。また、高齢者や児童及び青少年、少数民族出身者や保険未加入者、或いは公的医療保障制度の下で治療を受けている低所得患者なども精神障害に関するケアを受けることができる。

メンタルヘルスが健康全般にとって極めて重要であると理解することが、身体的な疾病の治療と同等の緊急性をもって精神病を治療するヘルスシステムを設立する上で不可欠である。

変革後のメンタルヘルスシステムは、複数の財源に依存し、効果的なメンタルヘルスの治療及びサービスにかかる費用の払い戻しに柔軟に対応する。これは回復志向のケアシステムにおける基本原則である。

メンタルヘルスシステムの変革を支援するために、コミッションは以下の2点を勧告する。

1.1 メンタルヘルスケアを求めることに対するスティグマを軽減するための全国キャンペーンと、自殺予防のための国家戦略の実施を進める。
1.2 身体の健康に対する取り組みと同等の緊急性をもって、メンタルヘルスに取り組む。

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