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今後の障害者保健福祉施策の在り方について(中間報告)

平成9年12月9日

身体障害者福祉審議会
中央児童福祉審議会障害福祉部会
公衆衛生審議会精神保健福祉部会
合同企画分科会


はじめに

○ 我が国の障害者施策は、1981年の「国際障害者年」、1982年の「障害者に関する世界行動計画」、1983年から10年間の「国連・障害者の十年」、更に1993年から10年間の「アジア・太平洋障害者の十年」等の国際的な動向の中で大きな進展を見せてきた。
このような中で、「障害者に関する長期計画」(昭和57年3月決定)、「障害者対策に関する新長期針画」(平成5年3月決定)という基本となる計画が策定された。平成5年12月にはこれらの動きを背景として障害者の自立と社会参加の一層の促進を図るため「心身障害者対策基本法」が「障害者墓本法」に改められた。さらに、平成7年12月に決定された「障害者プラン~ノーマライゼーション7か年戦略~」においてこれらの具体化が図られている。

○ 厚生省においても、障害者の保健福祉施策を積極的に推進する体制づくりを行うため、従来、障害者の年齢及ぴ障害種別により社会・援護局、児童家庭局、保健医療局に分かれていた組織を見直し、平成8年7月に大臣官房に障害保健福祉部を設置し、総合的かつ横断的な保健福祉施策を推進する組織体制が構築された。

○ これらを踏まえ、障害者保健福祉施策全般について、総合的に見直しを行うため、平成8年10月に、身体障害者福祉審議会、中央児童福祉審議会障害福祉部会及び公衆衛生審議会精神保健福祉部会にそれぞれ企画分科会を設置し、同年11月から合同で審議を開始した。
当合同企画分科会においては、当面の目標として「障害者プラン」を強カに推進していくという前提に立ちつつ、主として以下の3つの視点に立って今後の障害保健福祉施策の在り方について検討を進めてきた。
第1に、身体障害、精神薄弱、精神障害の3つの障害類型に係る施策の総合化を図ることである。これまで3つの障害類型ごとに障害特性に応じた施策が講じられてきたが、一方では施策間の整合性の確保や障害の共通性に着目した施策も求められている。
第2に、介護保険制度の導入を踏まえ障害者施策の再整理を図ることである。介護保険制度は高齢者の介護を対象としているため、従来障害者施策で対応していた部分との整理や若年障害者への介護サービス水準との比較という問題を提起しているが、これだけではなく、保険制度の特性としての利用者の権利性、サービス受給の選択性、費用負担の在り方等といった点についても障害者施策における整理が必要である。
第3に、戦後50年を経て21世紀を迎えようとする中での社会経済の変化、国民意職の変化への対応を図ることである。戦後の経済成長を経る中で、国民の生活は一定水準の豊かさが確保され、医療の進歩等により感染症を原因とする障害が減少しているが、高齢化の中で慢性疾息を原因とする障害の増加、重度・重複化が見られるなど障害についての状況も大きく異なってきている。また、障害者の自立を求める意識が強まる一方で、社会全体にあっても障害者が地域の中で生活することは自然なことという意識に変わりつつある。
こうした中で、地方公共団体が主体となり、地域の実情にあった取組みが行われるようにするという地方分権の流れが強まり、障害者墓本法により市町村障害者計画の策定が求められるなど市町村の果たすべき役割が大きくなってきていることを踏まえ、市町村が障害者計画に基づき障害者施策を進めていくための方向を示すということについても留意しながら検討を行ってきた。
さらに、民間の活カを活かすための規制緩和等の行政改革、利用者本位で効率的にサービスを提供する制度への再編成を目指す社会保障構造改革、現下の厳しい財政状況の打開を目指す財政構造改革等の障害者施策全体を取り巻<情勢もにらみつつ、検討を行ってきた。

○ 以上のことを踏まえて、当合同企画分科会においては、14回にわたり鋭意審議を行い、中間的な報告の取りまとめを行った。 この取りまとめは3つの障害分野に共通する課題を中心に検討を行ったこともあり、精神障害者の保健・医療については踏み込んだ論議を行っていないが、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」については、平成5年の改正法附則において平成11年を目途として見直しを行うこととされてお り、公衆衛生審議会精神保健福祉部会において、この点を含め検討が行われる予定である。
また、中央社会福祉審議会においては、社会福祉事業の在り方等当合同企画分科会における審議事項と深く関連する事項について議論が開始されたところである。
当合同企画分科会としては、これらの検討と整合性を図ることにも留意しつつ、本中間報告に示した主要な論点についてさらに検討を深めていきたい。
こうした検討が一眉有意義なものとなるよう本中間報告をもとに各方面で活発な議論が行われ、当合同企画分科会に建設的な意見が寄せられることを期待するものである。


主題:
今後の障害者保健福祉施策の在り方について(中間報告)

発行者:
身体障害者福祉審議会
中央児童福祉審議会障害福祉部会
公衆衛生審議会精神保健福祉部会
合同企画分科会

発行年月日:
平成9年12月9日

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