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II.基本的理念

1.障害者の自立と社会経済活動への参画の支援

・障害者施策の基本は、障害者が生涯のあらゆる段階において能力を最大限発揮し、自立した生活を目指すことを支援すること及ぴ障害者が障害のない者と同様に生活し、活動する社会を築くことである。
・障害者が生活者として暮らしていく上では、地域での自立が必要である。障害の重度化・重複化によって自らの努カだけでは自立が困難な者が増加してきている。これまでの施策の進展により、重度・重複障害者の自立も次第に可能になってきているが、これらの者の自立に向けた施策の一層の推進が必要である。
・リハビリテーションは、障害者の側において自らの能カを高めるものであるが、必ずしも職業復帰や経済的自立のみを目標とするのではなく、生活の自立をはじめとするあらゆる意味での自立、社会活動への参画、主体性の確立等広範な領域にわたる目標設定が可能であり、障害者の状態によって様々な目標の持ち方があると考えることが必要である。このためには、障害者の障害の特性や程度に見合ったリハビリテーションを支える地域の人的、物的な社会資源や施策の・充実を図ることが必要である。
・また、物理的、制度的、社会的な障壁をなくすこと(バリアフリー化)により、様々な仕組みや社会資源をすべての人々に利用可能とする機会均等化を図っていかなけれぱならない。これらが相まって全人間的復権が図られ、ノーマライゼーションが実現される社会を目指して、「障害者の機会均等化に関する標準規則」(平成5年12月20目国連総会決議)、「精神疾患を有する者の保護及ぴメンタルヘルスケアの改善のための諸原則」(平成3年12月17目国連総会決議)等を尊重しながら、障害者があらゆる社会経済活動へ参画する「完全参加と平等」に向けた取組みを進めていくことが必要である。

2.主体性・遺択性の尊重

・障害者が保護の対象としてではなく、1人の生活者として自らの生活を自らの意思で選択・決定し、築いていきたいという考え方は、特に成人した者にとっては当然のことである。
・このことを踏まえ、障害者ができる限り、主体的に自立生活を送れるようにするための選択肢を広げ、生活の質(QOL)の向上を実現できるように施策を推進することが必要である。
・介護保険制度においては利用者の権利性、選択性が確保されることとなっ ているが、公費による障害者施策においても障害の状況に応じた適切なサービスを用意し、十分な情報提供を行うとともに、福祉サービスを有料で購入することも含め、障害者が権利としてサービスを選択できるような仕組みにしていくことが必要である。また、障害者は、様々な面で不利な条件下に置かれており、人権尊重の観点から、生活支援、権利擁護等の様々な面で、社会全体の取組みが必要である。
・一方では、障害者も社会を構成する個人としての権利と責任を自覚し、社会の構成員としての役割を担い、社会に寄与していくことが求められている。

3.地域での支え合い

・障害者に対する支援は、各種の行政サーピスや機会の提供、障害者に配応したまちづくりなどの地域環境の整備を行うことがまず必要である。この場合、地域の中で生活していく上では保健福祉サービスも身近な市町村で受けられるようにすることが必要である。
・また、心の通いあう地域社会の支援や障害者同士の支え合い、ポランティア活動などの幅広い支援活動が重要である。
・特に障害の特性から人間関係をつくり、社会に適応していくことが困難な者については、社会の理解、受け入れを進めるため、行政や障害者福祉関係者は、地域に広く働きかけを行っていくべきである。
・さらに地域の様々な施設の活用、住民参加の促進、民間事業者の参加によるサービス提供主体の拡大により、障害者の住む地域の福祉基盤を厚くすることが必要である。


主題:
今後の障害者保健福祉施策の在り方について(中間報告)

発行者:
身体障害者福祉審議会
中央児童福祉審議会障害福祉部会
公衆衛生審議会精神保健福祉部会
合同企画分科会

発行年月日:
平成9年12月9日

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