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5.障害者の権利擁護
(1)障害者の権利擁護の方策
・ 近年、精神薄弱者等障害者に対する人権侵害事件が頻発している。精神薄弱者等は、自己の権利を主張、行使することが困難な場合が多く、自己の財産についても、これを適切に保管し、有効に活用することが困難である。また、他者からの権利侵害を受けやすく、また自らが侵害された権利の回復を図ることも困難な場合が多い。
・ このため、労働行政や文部行政との連携を強化するとともに、福祉事務所等における対応要領を整備する必要がある。また、障害者の入所施設についても、入所者の権利を尊重する生活支援の指針や入所者預り金の管理に関する指針の策定を行う必要がある。
・ また、人権侵害事件の未然防止や早期発見のため、障害者やその家族等の相談に随時対応する相談事業の実施や関係機関の連携を進めるとともに、関係施設職員の研修を各都道府県で実施することが必要である。
・ さらに、法務省で検討中の「成年後見制度」の動向を見ながら、都道府県等における先駆的な取り組みも参考としつつ、身近な所で手軽に総合的な相談や財産管理支援サービスをすみやかに提供できる機関の設置や相談に応じる人材の確保等こついて検討を進めるべきである。
・ 障害者の権利擁護のための基盤として、聴覚障害者に対する手話通訳者、要約筆記者の養成・派遣など、意志伝達手段が保障されるようにすべきである。
・ なお、施設に入所している障害者等の権利擁護を図るため、施設内の処遇について苦情の申し立てを受け付ける機関の設置についても、今後の検討課題である。

(2)用語と資格欠格条項の見直し
・ 「精神薄弱」の用語については、関係者の意見を踏まえ、早急に見直しを行うべきである。
・ 「寮母」等の施設職員の名称等についても見直しを検討すぺきである。
・ 精神障害者、聴覚障害者等障害者に係る各種資格制度等における欠格条項については、その実態調査を行い、見直しを推進すべきである。
・ 障害者に対する誤解や偏見を除去し、障害者の自立と社会参加の促進を図るため、地域住民に対する正しい知識の啓発普及や施設と地域住民との交流等を一層推進することが必要である。


主題:
今後の障害者保健福祉施策の在り方について(中間報告)

発行者:
身体障害者福祉審議会
中央児童福祉審議会障害福祉部会
公衆衛生審議会精神保健福祉部会
合同企画分科会

発行年月日:
平成9年12月9日

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