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6.その他


(1)障害者関係審議会の在り方
・ 障害保健福祉施策についての総合的な施策を引き続き検討するため、障害関係3審議会・部会については「障害保健福祉審議会」(仮称)として統合すぺきである。
・ また、新たな審議会は、施策の総合性と障害特性に応じた検討が行えるような体制とすぺきである。
・ この場合、中央障害者施策推進協議会、中央児童福祉審議会及び中央社会福祉審議会との関係の整理等についても十分留意すぺきである。

(2)障害者の保健福祉サービスに関する総合法制
・ 障害者施策の不均衡の是正、いわゆる谷間の障害への対応等の観点から、総合法制の制定を求める声があるが、法の内容が必ずしも明確になっておらず、また、各制度の中でも充実強化すぺき課題も多く、制度体系の在り方の検討、関係者の合意には時間を要することから、中長期的な検討課題とすべきである。
・ この場合、総合法制の長所とされる点については、当面、現行法制度の中で可能な限り取り込んで行くべきである。

(3)障害認定・範囲についての整理
・機能障害に着目した障害認定から、生活障害やサーピスの必要性に着目した障害認定とするという考え方については、認定手法に関する知見の集積や現行の手帳制度との整合性の確保等に関し十分な検討が必要であり、慢性疾患との概念整理、等級の見直しも含めさらに検討が必要である。
・ 自閉症、てんかん及び高次脳機能障害については、以下の整理が考えられる。
ア. 自閉症
自閉症については、精神薄弱者福祉施策の中でサービスが提供されており、さらに医療の必要性に応じ精神保健福祉法で対応しているが、知的能力の障害というより人間関係の障害のために生活適応ができないという自閉症の特性を踏まえつつ、自閉症に関する処遇方法の研究・開発等施策の充実を図るべきである。
イ.てんかん
てんかんについては、精神保健福祉法において需要に応じた福祉施策の充実を図るべきである。この場合、例えぱ日常生活用具の交付等が考えられる。
ウ.高次脳機能障害
身体障害を伴わない高次脳機能障害(若年性痴呆等)については、精神保健福祉法において必要な福祉サービスを充実すべきである。ただし、当面、精神薄弱者に類似した障害の状態にある者については、精神薄弱者施設等の利用を行えるようにする方途も検討すべきである。
・さらに、障害者に係る各種施策における認定の在り方に関し、それぞれの目的・趣旨を踏まえつつ、その整合性について研究すぺきである。

(4)難病を有する者への対応
・ 難病を有する者に対して、関連施策として訪問看護事業、訪問介護事業等適切な在宅サービスの提供を推進すべきである。また、難病による障害を有する者のうち、入院治療は必要ないが在宅での介護が困難な者に対しては、障害者施設への入所による適切な介護サービスの提供を推進すぺきである。
・また、在宅福祉サービスの実施に当たっては、保健所が行う専門的保健サービスとの連携を図ることが必要である。

(5)障害保健福祉研究の促進
・ 身体障害者、精神薄弱者、精神障害者に関する研究を、国立更生援護施設等を活用しつつ、保健、福祉等の領域に偏らず学際的かつ総合的に推進すべきである。
・ 科学的な調査及び情報に則った障害保健福祉施策を遂行するために必要な調査研究を行い、特に、三障害共通の課題を対象とした横断的な研究を積極的に推進すぺきである。
・ 福祉機器、リハビリテーション技術等を含め、障害に関する研究情報システムの整備充実を図り、研究情報の伝達が円滑に行われるようにすべきである。
・ 身体障害者手帳等は各種サービスの対象者としての証明としてだけではなく、多様な情報を記録して広く活用できるようにするため、カード化について研究すべきである。

(6)障害者の所得保障
・ 障害者の所得保障の水準とサービスの利用者負担の関係について検討すべきである。
・ 障害無年金の問題については、幅広い観点から検討すべきである。

(7)関連施策との連携
・ 養護学校に通学する障害を有する学童等の重度化・重複化、学校外での障害児の健全育成への対応、学校と医療機関との連携等の課題等について文部省と連携をとりながら検討を行うべきである。なお、学校の余裕教室に係る障害者サービスヘの活用に関する指導の徹底や手続きの簡素化、養護学校義務化前に学齢期を終えたために不就学となっている者や中途退学者への教育の機会の提供、障害者への高等教育の機会の拡大等についても、文部省において検討が行われることが望まれる。
・ 更生施設・授産施設・福祉工場における就労と一般企業における雇用との間の円滑な移行や、通勤寮、グループホーム利用者に対する生活面での支援と職場定着のための支援との連携を図るべきである。また、障害者の雇用促進や就労している障害者の権利擁護を図るための福祉・労働関係機関の緊密な連絡の確保を図るべきである。今後、精神障害者の就労促進が大きな課題となるが、その推進方策について、厚生省と労働省において連携をとりながら検討すべきである。
・ 建設省と連携をとりながら、障害者プランに沿って公営住宅の優先入居枠の拡大、バリアフリー住宅の建設促進及ぴ歩道の段差解消や広い歩道の整備促進等が図られるようにすぺきである。
・ 災害に対して脆弱な障害者に対し、関係省庁とも連携をとりながら、安否確認の実施、緊急時の情報提供及ぴ避難・安全対策等の整備を図るぺきである。


主題:
今後の障害者保健福祉施策の在り方について(中間報告)

発行者:
身体障害者福祉審議会
中央児童福祉審議会障害福祉部会
公衆衛生審議会精神保健福祉部会
合同企画分科会

発行年月日:
平成9年12月9日

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