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第2回国連障害者の権利条約特別委員会

仮訳 デイリー・サマリー第2巻第4号 2003年6月19日(木)

NGO 地雷生存者ネットワーク
翻訳:長瀬修・川島聡

午前のセッション

開始時刻:午前10:09

終了時刻:午後12:25

一般的討議

議題7に関する一般的討議が継続された。このセッションは、フィリピンのステートメントをもって開始された。このステートメントは、条約を支援する作業に取り組むことを再確認し、フィリピンの貢献(情報コミュニケーション・テクノロジー(ICT)会議の主催を含む)を強調したものである。フィリピンは、障害者が非常に貧しい状況に置かれる危険性が高いことを認めて、健康、教育、生計、機会および雇用へのアクセスを妨げる障壁を緊急に除去する必要があるとした。フィリピンは、来る第58回国連総会において更新されるべき、「障害者に関する世界行動計画の実施:21世紀における万人のための社会に向けて」に関する国連総会決議56/115の主たる提案国であることを繰り返し述べた。また、フィリピンは、この条約が、障害者、障害者差別および合理的配慮について定義する際に、障害者に対する態度に関する障壁を含むべきであるように勧めた。そして次のように述べた。いかなる障害であっても、別の障害に対して優先権を与えるべきではない。情報およびテクノロジーへのアクセシビリティを保障する条文を含めるべきである。重要なものとして、障害者の健康状態についてのカウンセリング、および障害に関するジェンダーの問題が挙げられるべきである。

ブラジルは、特別委員会を設置した国連総会決議56/168の共同提案国であることに言及し、この審議に積極的に参加するつもりであると述べた。ブラジルによれば、「国際的な法的文書は、注意を喚起し、障害者をエンパワーし、かつ、障害者の社会への完全参加を妨げる多数の障壁を除去するための強力な手段を提供するものであろう」。貧困と障害との連関は認めなければならず、特別の注意が途上国の状況に与えられなければならないとした。

カタールは、この条約を作成することを歓迎し、それに関する実際的かつ現実的なアプローチに基づくことが必要であると強調した。障害の定義が論争を引き起こす問題であるという事実に注意を引き付けて、「国際的に受け入れられると同時に、ある程度の柔軟性をもった定義に到達する」必要があると提案した。

韓国は、同国において、障害者に関する特別措置を含む第1次5ヵ年プランが成功裡に実施された後、今年になって第2次5ヵ年プランが始まったことを述べた。韓国代表は、自国が人権分野の文書を作成する際には国連総会決議41/120を支持することを再確認し、また、条約の規定に関する創造的な提案を表明し、かつ、第2回特別委員会がこの条約をつくるための具体的な活動をある程度まで行うところまで達することを希望した。

オーストラリアは、この分野において障害者と共に作業するとの同国の取組みを表明し、国連人権委員会の最近の会合における障害者関連決議の共同提案国であることを述べた。オーストラリア代表は、「特別委員会において形成されるいかなる文書も、人権に焦点を合わせた法的拘束力のある文書とすべきであると信じている」と強く主張した。この条約を作成する過程においては、地方的、国内的および国際的レベルの利害関係者と協議することが重要であるとした。

インドネシア共和国は、障害者の尊厳を保護し促進するための同国政府のコミットメントを表明した。インドネシア政府は、「この条約の諸原則が、広範囲の政治的、社会的、経済的および文化的問題を扱い、国家の発展段階あるいは技術的能力を問わず、あらゆる国家に適用されるべきである」と主張した。インドネシア政府は、この条約の起草にあらゆる利害関係者が参加することを基礎として、この条約に関して「ハイブリッド・モデル(混成モデル)」を選択することに賛成した。この条約が起草され採択されれば、モニタリング・メカニズム(監視の仕組み)が確保されるであろうとし、また、研修や国民の意識を高めるキャンペーンその他の能力構築措置を通じて、この条約に含まれる諸勧告を実行するための国内的能力が積極的に支援される必要があるとした。この分野の社会開発を改善するために、途上国に配分される資源が増加される必要があると述べた。

イスラエルは、同国において障害者に関してとられた特定の国内的措置を数えあげて、なぜ障害者権利条約をつくらなければならないか、また、その決定がなされる場合にはどのような規定が定められるべきか、といった点に言及した。イスラエルは、「社会保障は依然としてイスラエルの障害者(とりわけ重度障害者)の権利にとって一つの重要事項である。障害者権利運動は、あらゆる生活面における重要な社会変革について広い範囲に及ぶものである」と表明した。障害者の平等権に関する法律(1998)は、平等、アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)、自律および人間の尊厳に関する構造的性質がもつ重要な規定と、次のものを含む雇用に関する活動部門とを結合しているという。すなわち、差別の禁止、合理的配慮に関する雇用者の義務、私的および公的領域における積極的差別是正措置、公共交通機関へのアクセス、障害者権利委員会の設置である。イスラエルは、一般的な国連人権条約に謳われた理念と、数百万もの障害者の生活の実態との間には大きな隔たりがあるため、障害者の人権に関する条約を実現することがきわめて重要であると信じているとした。障害者は、そのあらゆる生活面において、著しい差別を被り、隔離され、恩着せがましい態度を受けて、低い社会的経済的地位に置かれ、苦しみ続けているとされた。イスラエルは、次のように要約して述べた。「このような条約の存在は、そこに謳われた権利を促進することを望む国内レベルにおけるあらゆる人々に強力な手段をもたらすであろう。このことは子どもの権利条約その他の多くの国連条約の下で我々が経験したことである」。この条約は、障害の医療モデルから、セルフ・エンパワーメント、つまり障害の社会的・法的モデルへの変更を反映すべきである。したがって、この条約は、社会の主流への完全で積極的な参加と権利の平等化についての障害者の権利を強調すべきである。イスラエル代表は、とりわけ2000年9月以来、パレスチナのテロリスト集団のテロ攻撃により影響を受けたイスラエル人の数を強調した。イスラエル市民のうち507人が殺害され、5585人が負傷しまたは障害を持ったという。イスラエルは、「次回の会議はもとより今回の会期も、このような条約の思想的および実用的な重要性をむしばむ特定の代表による逸脱した政治的非難ではなく、障害者の権利と尊厳の保護および促進に関する普遍的問題を前進させるものとすべきである」との希望を示した。

 ペルーは、「障害というものは、障害者が直面する周辺化と排除という状況をさらに悪化させ、健康、教育、労働その他の事柄へのアクセスの欠如に対して直接的な影響を及ぼす」と強く主張した。そして最後に次のように述べた。「障害者は、主として弱い立場にある集団あるいは危害を受けやすい集団の一つであり、貧困層の中で最も貧困な人々と見なすことができる。なかでも顕著なのが、女性と障害という二重の周辺化を被っている女性障害者である」。これらの理由から、ペルー政府は障害者が直面している状況が特別の重要性を持つものとして考えて、そのことをペルーが採択した障害者法に反映した。ペルー政府は、2003年を障害者権利年として宣言し、障害者の機会均等計画(2003年から2007年)を準備した。それは、インクルーシブネスと人間の能力開発という展望の下で、社会のあらゆる側面のあらゆる段階においてあらゆる人々の参加を促進することにより、とりわけ差別と闘い、機会均等化を実現することに適するように選定された公的政策を含む。ペルー代表は「準備されるべき条約案のテキストは、平等、連帯、コミットメント、完全統合および感受性という原則により指導されるべきである」と提案した。

ナイジェリアは、とりわけアフリカの状況下では、障害者が貧困層の中で最も貧困な人々であるゆえに、障害問題は貧困および開発の文脈で取り組まれなければならないという事実に注意を促した。この条約は、女性、高齢者、青年および子どものようなあらゆる弱い立場にある集団を包含し、障害者の権利を促進し保護するためのあらゆる努力においてジェンダーの視点を組み入れるべきであるとした。ナイジェリアは、貧困の問題と、社会において障害者が被るあらゆる偏見を解決するために、この条約の作成過程では開発アプローチが必要であると強調した。この条約は、障害者の適切な参加をもって起草されるべきであるという。

ロシア連邦は、その人口のほぼ1000万人が障害者であるゆえに、最近では、たとえば2003年を障害者年とするような施策をとり始めたと述べた。ロシアの障害者法は、国際的な規範と基準に根ざしている。したがって、ロシア連邦は、この分野を条約が改善することに関心を持っており、特別委員会の作業を支持するとした。ロシア連邦は、適切な戦略的な要素を選択することと、条約が広く普遍的に批准されることに重点を置く。その最大の価値は、非差別を強調して、既存の障壁を取り除くことを促進するための明瞭な基準をもった国際的な法的文書と見なされることにある。ロシアは、モニタリング・メカニズムの設置に特に関心を示した。しかしながら、二重の監視(dual-track monitoring)は、「過度に費用がかかり、きわめて官僚的」であるゆえに受け入れられないとした。ロシアは、既存の機関とすでに設置された人権報告の仕組みを最も有効に活用することを望んだ。

リヒテンシュタインは、障害について関心を持つ現行の国内構造メカニズム(数週間前に提出された障害者問題の実施に関する議会報告を含む)について述べた。法的な保護が障害者の実際的な生活で完全には実現されていないので、リヒテンシュタインは、同国において追加的な措置をとることが必要であると考えている。リヒテンシュタインは、国際条約が著しい数の国を排除するのではなく、多くの批准をもたらすのであれば、変革のための優良な手段として当該条約を起草することを支持すると表明した。リヒテンシュタインは、特別委員会が新たな文書を起草する際には、国家とNGOが提出した文書を反映すべきであると信じている。また、進むべき最良の方法として、ニュージーランドのアプローチを強調した。この条約実現過程への従来と将来の貢献に基づいて包括的な条約を起草することは、勢いを持続させる最良の方法と見なされるという。

 クウェートは、これらの会合に参加している障害者団体とNGOに対して心からの謝意を表明した。クウェートは、条約案が次の一般原則を考慮すべきであると信じているとした。すなわち、

  1.  あらゆる障害者の立場を含めること。
  2.  あらゆる形態の差別を防止すること。
  3.  地方的および国内的条件を越えない制度的な国内枠組みが重要であることを認識すること。
  4.  あらゆる主体が関わる、開かれた包括的な条約となること。
  5.  障害者の人権を検討すること。
  6.  重複障害者に特別の注意を払うこと。
  7.  国と地域において明瞭で実際的な法令、政策、措置を適用すること。
  8.  戦争中、占領下および武力紛争下にある個人の状況を検討すること。クウェートは、十分に研究された条約に完全に参加することは、性急につくられた条約よりも良いものであるとの信念を表明し、この条約作成過程に真剣に参加することに取り組むとした。

ヨルダンは、この条約を起草する際に、次の要素を含めることが重要であると強調した。すなわち、

  1.  包括的で拘束力のある条約
  2.  障害の文脈で権利に基づくアプローチに依拠すること。
  3.  障害に関する包括的で進歩的な定義を用いること。
  4.  国連加盟国、地域的連合体、利害関係者、専門家およびNGOが含まれること。
  5.  人権モデルに類似したモニタリング・メカニズムを設けること。
  6.  国際規範を活用すること。
  7.  この条約で詳述されない問題について、手引きと援助を国連加盟国に提供するための技術的評議会を組織すること。

教皇庁は、「障害者の豊かさは、障害者が体現している生の意味の可能性に対して心を閉ざさないよう、私たちに絶え間なく問いかけている」と述べた。教皇庁は、国連が行うあらゆる活動の中心に、人間の安全と関心を据えることが重要であると強く主張した。また、それらの目標をメキシコ・ペーパーが支持しているので、教皇庁代表は、その提案が支持されることを期待した。国連が、障害者の権利宣言を公表してから27年で、多くの科学的・技術的な進歩がなされた。教皇庁は、あらゆる責任ある主体が、障害者の尊厳を効果的に保護するために共に活動することを奨励した。また、我々が共有する人間の尊厳について一層深い認識を備えた、万人のためのより良い将来がもたらされることを希望するとした。

インドは、特別委員会の作業に十分に協力すると表明し、その文書の提供に感謝した。同国の主たる関心事は、複合差別と障害の分野であった。インドにおける障害者の定義は、個人の病理学的なものから人権モデルへ移ったと述べた。障害者の十年において、同国は、バリアフリー社会における障害者の権利のインクルージョンを促進するための社会的態度を創出することに関心をもった。(この条約の)起草に関する問題に取り組むべきであると強調した。すなわち、

  1.  適切な資源の利用可能性、ニーズ間のギャップおよび資金調達を、発展途上国への資金の必要な移転を達成する内外の資源で満たすコミットメント。
  2.  遺伝子に関連する障害に取り組むための科学技術の最近の進歩を取り入れること。
  3.  よりよい補助的機器。
  4.  補償に関する広範なアプローチ。
  5.  アクセシビリティ。
  6.  金銭面に考慮した草案。
  7.  ハイブリッド・モデルの支持。
  8.  確立された基準を低めずに、個々の国家の背景に照らした障害者問題に取組むためのホリスティック(全体的)な法的文書。
  9.  あらゆる利害関係者との協力。インドの障害者に関する平等、尊厳および公正が、同国の目標であるとした。

 ニュージーランド人権委員会は、障害者の権利を含む、既存の人権と社会正義の原則とに基礎を置いて、特別委員会に参加する機会を歓迎した。ニュージーランドは、そのモデルを開発する初期段階にあるので、障害者の完全参加を妨げる無数の障壁が残されている。しかし、同国政府は、このアプローチを純粋にとることにより、すでに新たな展開を生じさせているという。「この条約の価値は、それがもたらす正当性にある」。ニュージーランド人権委員会は、「私たちのことは、私たち抜きで決めてはならない」(Nothing about us without us)との言を基礎にして、あらゆる主体とのインクルーシブな検討を行うことを支持した。同人権委員会は、次を強調した前文が必要であると主張した。すなわち、

  1.  条約の必要性。
  2.  既存人権文書の適用を承認すること。
  3.  先住民、ジェンダーその他の障害者問題を認めること。
  4.  その性質としてあらゆる範囲の権利をもった包括性。
  5.  一部の権利は漸進的に実現されること。
  6.  差別の禁止。
  7.  「合理的配慮が提供されないことは差別となる」との声明。
  8.  同様に、「国内的行動を支援するための国際的協力を促進すること」。神経的、感覚的および精神的な機能障害(インペアメント)を含むあらゆる機能障害を含めること。また、機能障害には恒常的、断続的または一時的なものが含まれることが望まれる。同人権委員会は、締約国の義務は条約の目的を実現するための立法的行動をとることにあると理解しており、これをアジェンダに置く際にメキシコが果たした指導的役割を認めることを望んでいる。同人権委員会は、そのステートメントの拡大文字版をこの会期で利用可能なものとした。

フィジーの憲法と政府は、障害者を支援するプログラムを促進しており、その社会正義法(2001年)は憲法上の障害者に関するマンデートを実施する基礎をなす。現在の法律的枠組があるにも拘わらず、フィジーの障害者は、アクセシビリティの欠如により、依然としてもっとも不利な立場にある。フィジーは、包括的で確実なホリスティック・モデルを求めており、その目標に向けて、将来の文書が国際金融制度を築き上げながら、地域協議モデルが相互作用を促進することは良いと考えているとした。

ヨーロッパ・ディスアビリティ・フォーラム(EDF)は、あらゆる国連加盟国の立場がこの条約について肯定的であることを確実にすることを望んだ。EDFは、この条約が障害者のための新しい権利を確立することについてではなく、2003年の欧州障害者年と一致する法的その他の仕組みを確立することによって、そうした権利を調整するものである、と述べた。EDFは、「この段階では言葉から行動へ移ることが必要である」と強調している。EDFは、あらゆる主体は迅速で質の高い条約検討過程の成果から利益を得るであろうと思っている。

「オーストラリア障害者」とコミュニティ・リーガル・センター協会は、オーストラリア代表の立場に賛成して、その記録を賞賛した。一方で、とりわけ移民、難民法、先住民の社会事業といった分野について、「オーストラリアにおいて障害者の福利を促す機会の多くが実現されておらず、その責任の多くも果たされていないままである」と述べた。かかる観点から、オーストラリアが条約に対して明瞭に支持していないのは遺憾とし、この点についてオーストラリア政府と協力することを期待しているとした。「多くが与えられた人々に、多くのことが期待されている」ので、これらのNGOは、あらゆる国家に参加するように要求した。

 国連地雷サービスは、市民や子どもの障害の主たる原因として、地雷の存在を証明した。治療とリハビリテーション・サービスにおけるジェンダーの不均衡、それがスティグマという結果をもたらし、雇用の機会を減らすことを伴うことが強調された。そのポジションペーパーと文書のコピーは、国連地雷アクション・サービスで入手可能である。また、それは障害者の地雷サバイバーの福利の向上に取り組み続けており、特別委員会の努力を全面的に支援している。

午後のセッション

開始時刻:午後 3:11

終了時刻:午後 4:28

初めに、特別委員会議長は、国連事務総長が出席しており、簡潔なステートメントを行うと発表した。事務総長コフィ・アナンは、国連への出席者全員を歓迎し、現在進行中の「重要な作業」に言及して、国連総会が決議を採択した時は喜ばしかったと語った。今は、「決議に意味を与える」ことが必要であり、条約という発想は「私がまさに支持するものである」とし、この問題に継続して取り組む意思を表明した。ステートメントの短さを謝罪し、午後のうちにアンマンに出張する予定だと語った。追加の事務総長のステートメントが代理から出される予定であることも語られた。

性質と構造に関する討議

南アフリカは、他の国家代表と同様、アナン事務総長の支持に対して謝意を表明した。同代表は、法的強制力のある枠組みへの発展的アプローチが必要であり、この問題が各国政府の主要なテーマとなることが必要だと述べた。6月に南アフリカで開催された地域会合について述べて、同代表は出席した48カ国が条約の策定に関する合意を示したこと、また、南アフリカ大統領がこの地域の「障害者の権利のチャンピオン」となる意思を持っていることを述べた。

コロンビアはメキシコの決議原案への支持を示し、紛争の問題を、同原案が反映することが必要であると表明した。条約はさらに強制力のあるもので、人種とジェンダーに関する国内文書のように、非差別条項に基づくべきである。条約は第1世代、第2世代の権利、社会開発の施策、実施を担保する監視・フォローアップ、また、貧困が障害者の状況を悪化させるという考えをカバーするべきである。歴史上のこの今の時点で、条約が策定される必要があり、この第2回特別委員会が委員会を設置し、作業の基本的な文書を策定する必要がある。

タイは、(条約)策定における成功を保証するためには、利害関係者と綿密に協議しながら、開かれた参加型アプローチを用いて、ある種の国際文書の可能性を探るべく、時間を有効に使うことが必要である、と述べた。

ニカラグアは こうした法的強制力のある文書に加わる締約国が増える可能性について述べた。また、独立したメカニズムは、そうした機関の専門家の数を徐々に増やして、増大する作業量に対処するという形で、国家の条約遵守を確保しなければならないと述べた。同代表は、監視機関のメンバーを選び、問題に対処し、NGOの参加を可能にするために、定期的に開催される締約国会議の設置を求めた。特別委員会議長は、このセッションの焦点は議題7a、すなわち条約の性質および条約の構造であることを各国代表団に再度、注意を喚起した。

欧州連合(EU)を代表して、ギリシア代表は、EUが決議案をすでに準備済みであり、今すぐにでも非公式協議を始めるべきであると述べた。同代表は、障害者の多様な経験のみならず、障害者全員が経験する共通の差別についても条約は考慮する必要がある、と強く主張した。広範な支持を得られない危険性があるため、明細なテキストではなく、基本的な原則を含んだ人権条約が我々にとって「最も望ましい」。

特別委員会議長は、発言をすでに求めた国家がこれ以上ないと述べた。発言を求める国際機関がなかったため、特別委員会議長はNGOに発言を求めた。

障害コーカスは、この条約は「何よりも」人権条約であることが必要である、と指摘した。障害者のための新しい権利を作り出しはしないが、6つの中核的人権条約および世界人権宣言が保障している権利が、障害の文脈で理解され、適用される人権条約である。国家が行動を起こさないこと自体が差別の形態であるので、国家は障壁を除去し、アクセシビリティを保障するために積極的な措置を講ずる必要があるため、非差別条項あるいは一般原則の簡潔な声明では十分でない。障害コーカスは基準規則と世界行動計画を条約モデルに合わせることも、既存の条約の選択議定書、付属文書を作り出す選択肢も支持しないと語った。この可能性は昨年既に放棄されている。障害コーカスは、条約には平等、開発、自律、参加、尊厳という包括的な原則が含まれる必要があること、また、「私たちのことは、私たち抜きで決めてはならない」という観点から、障害者が過半数を占める監視機関が設置されるべきである、と強く主張した。

特別委員会議長は、2ヶ国が発言を希望していると述べた。

カナダは、条約が人権原則、既存の機構に「しっかりと結びついている」べきであり、条約がレッテルと類型を越えるという確信を再び述べた。とりわけ、女性差別撤廃条約が特定のテーマを持った条約のよい例である。既存の条約提案をまとめた文書に関して、かかる文書は、人間としての尊厳、インクルージョン、平等、参加、自律という核心的な価値を反映しなければならない。また、地域会議、とりわけバンコク会議の成果、特別委員会での議論の成果も含まなければならない。カナダは、以下のように条約の性質のついても述べた。条約は人権の平等な保護を再確認すべきである。また、障害者の政治的、市民的、経済的、社会的および文化的権利を確保するための国家の義務に関しても、実質的平等の意味を解釈すべきである。条約は、合理的配慮についての権利、差別を構成する内容についての定義を含むべきであり、国家が差別を除去するためにとる適切で必要な措置を列挙するべきである。条約は十分な正確性をもって起草され、権利に基づいたものであり、原則に則ったものでなければならない。全ての国家がそれぞれ異なる自国の構造内で実施できるようにするためである。障害者がすべての段階で透明性をもったプロセスに関与することが必要である、と述べて、そのような参加を保証するために、障壁の除去を呼びかけた。

特別委員会議長は二つの発表のために事務局に発言を許可した。1) メキシコは、このセッションに続いて、ただちにNGOブリーフィングを行う。2) ランドマイン・サバーバーズ・ネットワーク、南アフリカ、国連の女性開発基金は、金曜日にデリゲイト・ダイニングルームでのランチブリーフィングを共催する。

ニュージーランドは、条約が拘束力を持つこと、あらゆる既存の人権文書に基づくこと、権利が存在するとの「単純なステートメントを超えたものであること」という自身の立場を繰り返した。また、条約の構造という観点から、国際人権章典その他の文書に基づく既存の諸権利の保障を表明しているバンコク勧告への支持を繰り返した。ニュージーランドは、「まさに最良の」条約を得る方法についての「議論を継続させること」を期待しているとした。

スーダンは、本会合における自身初の発言として、その文書があらゆる国家の見解を反映すべきであると述べた。スーダンは、この条約に関する(アフリカとアラブの)地域文書を支持することを再確認した。このセッションで特定の決議を採択することが必要であると強調したが、そのような文書を起草する方法について合意を得る必要があるとした。そして、そのような取り組みは、急いてなされるべきではないとした。同様に、この段階では交渉に入るべきではないとした。スーダンは、交渉を始める時期について合意が得られる前に、諸代表が協議をする機会を持つことを要求した。スーダンは、広く協議をする必要があり、また、途上国に財源と技術を支援し提供することにより、途上国の障害者のニーズを強調する必要がある、と要請した。

オーストラリアは、法的拘束力のある文書が必要であると述べて、それが「既存の権利の重複と報告メカニズムの増加とを避け」、その「ギャップを埋める」ために、既存文書の議定書または付属文書という形態をとりうることを示唆した。いかなる文書も、たとえば「合理化された報告」を含む「最良の実行の原則」を伴わなければならないという。オーストラリアは、障害者のために「実際的な結果」がもたらされるように取り組むとした。

特別委員会議長は、発言したい国があるかを尋ねたが、そのような国はなかった。国際障害同盟(IDA)は、この条約が、既存の人権規範および原則(例えば、尊厳、自己決定、平等、社会正義など)に基づいて、社会福祉そして医学的問題としての障害から、人権問題としての障害に転換することを反映すべきであると信じていると述べた。この条約は「強力な監視」のための仕組みを具えるべきであるとした。障害者がその侵害に直面している市民的・政治的権利とは、生命、拷問からの自由、尊厳、自由、平等、結社、家族/プライバシー、表現の自由、投票、市民権(シティズンシップ)についての権利である。そして、マイノリティ・グループとして障害者を認めることが強調された。また同じく、教育、労働、健康、アクセス、生活水準、文化についての経済的・社会的・文化的権利の侵害にも障害者は直面しているとされた。IDAは、いわゆる第3世代の人権、すなわち発展の権利を含めることをも歓迎していた。「私たちのことは、私たち抜きで決めてはならない」。

アラブNGO同盟は、既存の国連条約は「基線」として役立つと述べた。また、この条約は、たとえば、サービスへの障壁を除去する「国内的計画」に焦点をあて、独立したモニタリング・メカニズムを設けて、そして障害者が参加する委員会を設置するべきであると述べた。

チュニジアは、専門家は障害者と「同じ仕方で物事を感じることが」できないため、おそらくどのような専門家よりも、「障害者がより良い専門家」であるという概念を示した。この条約が明確に述べるべき最初の項目は、あらゆる事柄は障害者とともに決定されるということである。

サポート・コーリション・インターナショナルは、世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク(WNUSP)の提案、ならびに先の障害NGOの声明に賛成すると述べた。精神病は「法的なカテゴリー」であるとされた。医原病の治療がもたらし得る神経学上の損失が、次のような原則と同様、言及された。すなわち、「精神薬の代わりに、その他のあらゆる措置が最初の治療として用いられる」必要性と、人が「疲弊されることなしに」サービスにアクセスする必要性である。「私たちのことは、私たち抜きで決めてはならない」。

国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)は、手続きを明らかにすることを求めた。事務局は、提示された諸提案を現在整理しているのか、あるいは、この数日中にそのような作業を行う予定があるのか。ESCAP代表は、模範的なNGOによる参加の例として、DPI日本会議のポジションペーパーを引用した。「私たちのことは、私たち抜きで決めてはならない」。

タイは、多くの代表団がさまざまな提案を配布していると述べた上で、次の二つが適当なものであろうとした。すなわち、そのような諸提案は障害者が利用できるように電子文書として配布されること、そして、その電子文書を利用するためのURLを公表することを求めた。

それから、特別委員会議長は、電子文書として配布できるように、あらゆる発言を事務局に提出するよう求めた。また、電子文書を利用できるURLを公表するよう事務局に求めた。

事務局は、次のURLを公表した。www.un.org/esa/enable.(編集者注:公表されたサイトにはアクセスできない。国連の障害者に関するウェブサイトは次のとおりである。http://www.un.org/esa/socdev/enable/ また、特別委員会のウェブサイトは次のとおりである。http://www.un.org/esa/socdev/enable/rights/adhoccom.htm