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第2回国連障害者の権利条約特別委員会

仮訳 デイリー・サマリー第2巻第7号 2003年6月24日(火)

NGO 地雷生存者ネットワーク
監訳:長瀬修・川島聡

午前のセッション

開始時刻:午前10:15

終了時刻:午前11:18

議題 8: 条約検討の次の段階

特別委員会議長は、議事日程によれば、この議題の内容は非公式で協議される予定であったと述べるも、政府代表、NGO、オブザーバー、メディアが参加するほぼ完全なセッションとして開催されることを歓迎した。このセッションのため、以下の4つの文書が昨日午後に配られた。A/AC.265/CRP.3, A/AC.265/CRP.3/Ad 1, A/AC.265/CRP.3/Ad 2, A/AC.265/2003.W 1.

ギリシアは、欧州連合(EU)と加入準備国を代表して、この条約に含まれるべきであると考えられる不可欠な要素を記したステートメント(A/AC.265/CRP.3/Ad 2)を提出した。そこでは、次の基本原則が、この文書の本体に含められるべきであるとされた。すなわち、(1) 非差別、(2) 機会均等、(3) 自律、(4) 参加と統合である。これらの原則を実施するために、各分野別に、おおまかで最小限の不可欠な特定の措置が挙げられた。第1に、直接的および間接的な「障害を理由にした差別」の定義が必要とされた。第2には、障害者についての法令、法的その他の認識の下での平等の権利が含まれた。合理的配慮ならびに、最高水準の健康、教育、就労、良好な労働条件および科学技術を享受する権利は、ポジティブ・アクションと積極的な戦略を規定する条約には必要であると見なされた。第3は、障害者の公的生活および私的生活に影響を及ぼす意思決定に関して、障害者が平等の立場で完全に参加することを奨励した。第4は、障害者の平等な立場、アクセスへの障壁の識別と除去(NGOへの参加の権利を含む)を主張した。これらの不可欠な要素を記した文書では、モニタリング(監視)について詳しく扱っていないが、ギリシア代表は、それを後の段階で扱うべきものと見なしていた。同代表は、障害の定義を条約の目的にとって必要であると考えていなかったので、その定義を行おうとしなかった。最後に、ギリシアは次のように述べた。可能な限り幅広い支持を得られる、強力で実効的な条約を作成するために、EUは国連加盟国と建設的に作業していくことを期待している。

国際障害条約コーカスは、特別委員会の「決議と決定により、我々が特別委員会の作業にある程度参加できるものとなったが、それでもなお不完全である」と述べた。途上国の障害者の参加を支援する任意基金では、この会合に間に合うように十分な資金が提供されなかった。多くの国家は、その代表団に障害者団体代表をなお組み込んでいない。ドラフト・テキスト(条文案)を準備する作業部会に多数の障害者の代表を含めなければならない。国際障害条約コーカスは次のように提案した。12人の専門家は、国際的な障害コミュニティーにより選ばれ、その参加の際には任意基金に基づいて資金が提供されなければならない。「我々の参加と権利は、密室の中で決めることはできない」。障害者の人権条約の正当性は、障害者自身の参加しだいで決まる。この点に落ち度があるいかなる手続も、正当なものとして認められない」。国際障害条約コーカスは、非公式の討議を公開したという透明性のあるプロセスを評価し、さらに、パートナーシップ構想や地域会議において自らが専門家として協議したことも高く評価したが、「この時点での後戻りは受入れられない。我々は、ここ国連で岐路に立たされている。・・・我々はまたも排除されるのであろうか」と述べた。

キューバは、事務局の編纂した文書(NGOの提出した文書も含む)が、最初の条約案の基礎をなすとの見解を示した。この第2回特別委員会の結果、「見解と意見が表明され、特別委員会が重要と見なすいかなる提案や修正も提出されること」になり得るであろう。国連総会決議57/229および特別委員会勧告に沿ってこのテーマの条約を交渉する」のは間違いなくこの特別委員会の責任である。キューバは、「さまざまな国家機関の公式代表を含める」という提案を支持し、参加開放型の形態に合意した。この形態には、あらゆる国連加盟国の参加を可能にするのに必要な数の作業会合を含むであろう。

NGO を代表して、人権国際サービス(International Service for Human Rights)、フランシスコ・ザビエル医療・人権センター(the Francois Xavier Bagnoud Center for Health and Human Rights )およびヒューマンライツ・ウォッチの代表が発言した。人権の基本的教訓は、あらゆる人が例外なく、人間社会が普遍的と主張する諸権利を平等に主張することにある。これらの権利は、生成しつつある国際人権法体を通して承認され、適用されている。これらの権利の普遍性にもかかわらず、社会的および環境的な状況ゆえに、これらの権利の主張が認められず、否定されている集団が存在する。国際社会は、女性、子ども、難民、移住労働者、人種的マイノリティが、特に人権侵害を被りやすい人々であると認めている。このような傷つけられやすい状況は、社会の物の見方や法構造の根底にある差別的態度により生じる場合もある。他方で、より多くの人権侵害は、これらの人々に特有のニーズや、これらの差異を踏まえた権利の実施方法について理解が欠如していることから生じる場合もある。同代表は、障害者が社会のあらゆる集団に渡って存在し、各国において「貧困層の中で最も貧困」にあると述べた。同代表は、「強制監禁・拘束、強制治療、不妊手術その他の多くの品位を傷つける暴力的行為のような人権侵害に加えて、住居、交通、教育、雇用のような基本的ニーズへのアクセスの欠如をはじめとする、差別と人権侵害を障害者が経験している」ことを説明した。障害者が政治的および社会的な影響力を奪われていることは、国際人権機関のアジェンダにおいて優先されていないことを意味する。人権運動の主流には、その主たる関心分野として障害が含まれず、あるいは、その監視、報告、データ収集の対象として障害が含められていない。障害者は、政府間と市民団体の両者による人権枠組みにおけるサービスがまったく行き届いていないコミュニティーを象徴している。そのため、「我々の組織は、障害者の権利を国際人権法の枠組みに明確に含めることを強く支持して、国連加盟国が、障害者の権利を、国際法の下で認められたあらゆる範囲の人権を詳細に規定し、かつ、監視と実施の仕組みに関する規定を含む特別の条約の対象にすることを認めることを奨励した」。既存の人権条約体に障害を含める際には、障害者の権利の適用可能性について国連加盟国に助言する専門的知識が現在不足していることを認識すべきである。このプロセスには、障害者自身のリーダーシップと、人権コミュニティーの全面的な支援と関与を含めなければならない。

障害者権利条約の策定を開始するためのきわめて重要な一歩を踏み出すことについて、コンセンサスが生まれつつあることに大きな満足を示して、カナダは、今後の議事を進めるための参照文書として、これまでになされたあらゆる貢献を包括的に編纂した文書を提示する必要があると指摘した。カナダは、現在配布されている編纂文書の「第一次案」(とカナダ代表が考えている)ものを以下のように改訂するよう提案した。(1) 今春に仕上げられた、国連事務総長の質問票に対して提出した諸国の見解。(2) ここ2週間の特別委員会における国連加盟国、国際機関、NGOによる口頭および書面のステートメント。(3) 編纂文書の第一次案に間に合わなかった地域会合の文書。(4) 先週のパネルディスカッション。(5) メキシコと現在はベネズエラが提案した条約案(これらの国は、非常に具体的な提案を反映している一方、他のステートメントは条約に含まれる可能性のある要素に関する一般的な考慮事項を反映している)。カナダは、残された日程の間で先に進むための建設的なプロセスを確立することが必要であるとして、「昨年のように、進行役を任命することも一つの可能性としてある」と主張した。

ジャマイカは、特別委員会が、「早急に」、あらゆる主要な関係者の参加を確保し、障害者に対して行われてきた歴史的過ちを是正するために作業することと、障害者の権利行使に関する措置を検討することを求めた。コロンビアは、作業の方法に関しては柔軟であったが、文書の編纂を可能とする効果的な仕組みをできるだけ早く設ける必要があると指摘した。コスタリカは、条約の交渉を一定の期限の中で開始するために、最初の草案を作成することが必要であると強く主張した。「世界中の障害者は、条約を緊急に必要としている。我々には、障害者から、その権利やこの条約を奪う権利はない」。メキシコと合意した上で、グアテマラは、条約の遵守と監視の仕組みが非常に重要であり、条約を遵守しないものは罰せられるべきであると述べた。このことは、国連が毎年作成する人間開発報告に反映すべきであると述べた。ブラジルは、条約を策定することと、その交渉の場が特別委員会であることについて一般的な合意が現在あることに満足している、と繰り返し述べた。作業文書を編纂し得るために、会期間の仕組みが必要であるというコンセンサスが生まれつつあると述べた。「我々は、この勢いを維持しなければならない。遅滞なく、あせらずに、この条約の実現を我々に導くプロセスに合意しなければならない」。メキシコは、各国代表が完全な文書を自国に持ち帰ることができるように、特別委員会が、残された時間を最大限に利用して文書をまとめ、その文書に提出されたあらゆる提案を盛り込むことを奨励した。メキシコ代表は、この点に関して割り当てられたいかなる作業にも取り組めると述べた。ベネズエラは、会議にかけられたさまざまな提案について指摘し、文書の作成に取り掛かり、何らかの具体的活動を達成するために残された時間を用いることが必要であると主張した。例えば、障害の定義が存在するか否かについて討議するよりも、直ちにこの定義に取り掛かる方が良いであろう。タイは、「参加、インクルージョン、パートナーシップ」に関するこの条約を作成するという歴史的な機会を我々が捉えることを心から願っていると述べた。中国は、この最終的な編纂文書に国や機関の貢献が盛り込まれるように、それらに合理的な時間を与えるようにと述べて、条約を策定すべき否かという問題が解決したことに満足していると表明した。エクアドルは、「さまざまな種類の障害の相違を基本的に反映し、かつ、それに適切に対処し、・・・特に途上国における障害者の機会を十分に高めるように、この条約を十分に広範かつ具体的なもの」にすることを提案した。同代表は、このプロセスにおいて市民社会が果たす重要な役割について指摘し、「交渉を進展できるような文書をできるだけ早く作成することが必要である」と繰り返した。さらに、ベネズエラは「特別な作業部会に多くの人が引き続き参加することを確保する際にかかる費用」について述べられた意見を想起した。ベネズエラは、一人の進行役があらゆる文書をとりまとめて、それを特別委員会に提示する任務を負うというカナダの提案を考慮するよう提案した。カナダは、その進行役に関する提案が、今後の3日間の討議のみに関するものであり、会期間とは無関係である、と説明した。

特別委員会議長は、現在行われている非公式協議は本日の午後も継続される、と発表した。コンセンサスを得るために、公開される非公式協議は、特別委員会副議長(フィリピン)を進行役として開催される。この副議長の助力により、前回の特別委員会では合意に達することができた。本日午後にコンセンサスが得られない場合は、その非公式協議に特別委員会議長も参加して発言することになろう。

文書の編纂が進められているが、特別委員会議長団は、さらなる貢献を歓迎する。そのため、その文書を配布することはできないであろう。事務局は、国連事務総長の質問票とともに、各種文書をウェブサイト上に掲載する。特別委員会議長は、特別委員会が手続に関するコンセンサスに本日達することを奨励し、できる限り早い時期にコンセンサスが得られるように最善の努力をするつもりであると繰り返した。

午後のセッション

開始時刻:午後 3:16

終了時刻::午後 5:06

メキシコEUニュージーランドは、公開の非公式協議を取り仕切り、修正(共同)決定案――手続事項に関する3カ国の提案を調整した成果(この文書は国連の公式文書ではない)――について諸代表団の意見を求めた。特別委員会の議長代理を務めたニュージーランドによれば、修正決定案は、作業部会とNGOの参加に関する構造を持つ。作業部会は会期間に会合を開き、その目的は第3回特別委員会に提示する文書を準備することにある。作業部会は、第3回特別委員会の会合の2ヶ月前に報告書を作成する。この修正決定案と以前の決定案との違いとして、前者は、25名の作業部会のメンバー(以前は27名)について、「衡平な地理的代表」として選ぶのではなく、地理的地域グループごとに「同数を振り分ける」ものとする。NGOの数は10名のまま変わらない。作業部会は、ニューヨークで計10日の作業日を持つ会合を開催する。また、議長代理は、途上国のNGOが参加する際に利用できる任意基金についても規定された、と述べた。ニュージーランド代表は、修正決議が目下検討されていると述べた。

以下のテーマについて、諸代表から質問と意見が寄せられた。

代表に関する問題

国家の衡平な地理的代表

日本は、「アジアは最大の地理的地域グループである」と述べた。中国は、「各地域グループの規模と国の数は異なる」と述べた。タイは、「各地域の国の数は異なる」と述べた。スーダンは、作業部会が「地域における国家代表に関する手続を採択」しなければならないと述べた。パキスタンは、「メキシコの提案は公正である」と述べた。クウェートインドネシアも、修正決定案におけるこの規定の重要性に関して意見を述べた。グアテマラは、25名の政府代表が国か個人のどちらであるか質問した。

NGO

多くの国は、NGOが主要な地理的地域を代表することが必要であると強調した。中国は、「10名のNGO代表をどのように決定するのか」、「国連協議資格を持つNGOと、国連総会で承認されたNGOに限定するのか」と質問した。ブラジルは、「南の声にも耳を貸さなければならない」と述べた。タイは、「地域のNGO代表を5名増やすことが必要である」と強く主張した。インドネシアは、「NGOは国連システムの外にいるため、地理的代表の仕組みをNGOにどのように適用するのかを検討するよう」、特別委員会に求めた。南アフリカは、もしNGO代表が国際組織から選ばれるのであれば、南に拠点を持つNGO代表の割当て数が少なくなるだろうと述べた。インドクウェートキューバも、これらの問題を検討することを支持した。

障害コーカスは、ニューヨークとジュネーブの両方で協議資格を持ち、かつ、国連の5つの地域すべてに関与している国際的障害者団体がある、と述べた。

インドは、作業部会を代表するNGOの数が修正された理由を説明するよう求めた(「以前は7名であったのに、なぜ現在は10名になったのか」)。ウガンダは、障害コーカスと同様、NGO代表の数を12名に増やす案を支持した。

モロッコカナダチリジャマイカは、タイの提案を支持し、NGOが代表される必要性を強調した。

国内人権機関

ニュージーランド人権委員会は、あらゆる国内人権機関を代表して、当該機関を含めることが、その「専門的知識」を考えると「きわめて適切」であるした、6月19日付けのステートメントについて言及した。タイは、国内人権機関を含めることが必要であると強調して、地理的地域ごとに一つの国内人権機関を割り当てて25名の国連加盟国代表のほかに5名の国内人権機関代表を加えるか、あるいは、5名の国内人権機関代表が参加できるように国連加盟国代表を20名に減らすよう求めた。チリは、作業部会に5名の人権専門家を加える考えを支持した。ウガンダも、人権専門家を含める考えを支持して、「適切な範囲に代表の」数を抑えるために、各国に対して「その代表を一人減らすよう」求めた。障害コーカスも、「作業部会に国内人権機関が参加することを歓迎した」。

途上国/任意基金

作業部会において途上国の声を反映させることが必要であると強調し、この会合にNGO(特に途上国のNGO)が参加できるように援助する任意基金を支持した国もあった。例えば、ヨルダンは、「途上国のNGOの参加を確保することを一層強調する必要がある」とした。スーダンは、「途上国のNGOを含めるべきである」とした。ジャマイカは、「先進国と途上国の力と代表のバランスという観点からの衡平」が必要であるとした。南アフリカバングラデシュインドネシアは、任意基金への支持を表明した。

障害者の代表

とりわけジャマイカは、作業部会の構成に関するそのステートメントにおいて、障害者から成る多くのNGOの見解を繰り返して、「私たちのことは、私たち抜きに決めてはならない」と述べた。ヨルダンクウェートウガンダは、これらの分野における専門的知識を持つ者を含む障害者の参加が必要である、と強く主張した。障害コーカスは、「自身が障害者である人権専門家と弁護士」をはじめとする専門家が関与することは作業部会に資するものとなろう、と述べた。

クウェートは、障害者の「法的な公民権/市民権」について注意を払って、作業部会への障害者の参加を確保することが必要であると強く主張した。

作業部会と特別委員会の任務と作業

モロッコキューバ韓国バングラデシュおよびスーダンは、修正決定案のテキストに含まれる作業部会の任務について、さらに明確化することを求めた。アルゼンチンは、諸概念をテキスト化するために、作業部会の広範な任務を求めた。中国は、作業部会の任務は明確――条約文を起草すること――であると述べた。

特別委員会の役割について懸念も示された。カナダは、修正決定案の第5パラグラフに関して、作業部会が「その検討のために国家により提出されるあらゆる提案」を考慮するという箇所を明確にするべきであろう、と指摘した。というのは、特別委員会があらゆる提案を最終的に検討する機関であるところ、「その」という文言が作業部会に該当していると思われるからである、と述べた。

パキスタンは、ここからどう前進するのかと述べた。つまり、書面で意見を提出する必要があるのか、それとも、今日の意見に照らして「テキストの修正」がなされるのか。

多くの国が、修正決定案の第5パラグラフに記載されている「新たなドラフト・テキスト」という用語を明らかにすることを求めた。例えば、インドは、「これを明らかにすることは、作業部会の任務にとって重要である」とした。韓国は、「これを明らかにすることは、作業部会の任務と関連するものである」とした。タイは、「新たなということは、古いものと比較されるので、古いドラフト・テキストとは、メキシコの決議のことを指すのか」と述べた。スーダンは、「メキシコとニュージーランドのドラフト・テキストの地位はどのようなものか」、「撤回されたのか」と述べた。パキスタンは、「ベネズエラのテキストは、まだ事務局の手元にあるのか」と質問した。また、「『新たなドラフト・テキスト』から『別の予備テキスト』への変更可能性を求めた」。ウガンダは、「以前のテキストは差し替えられたことを含意するのか」と述べた。インドネシアバングラデシュも、この用語を明らかにすることについて関心を示した。

メキシコは、作業部会とは特別委員会の作業を「支援」するものであって、作業部会が「諸提案を選別」して、特別委員会が「交渉する場」であることを「強調することが重要であると述べた。

インドネシアは、国連事務総長が作業部会を支援するよう提案した。

手続上の質問

クウェートは、目的の決定に至るために用いられる「規則と手続」が「国家に知らされるべきである」との一般的な懸念を述べた。

作業部会のメンバー/議長の指名と選定

ジャマイカは、25人の国家代表を選定する基準を求め、国家が専門家を任命できると述べた。スーダンも、各地域の国家代表の数を決定する手続を採択することが――とりわけ途上国にとって――重要であると主張し、かかる指名について「明確な期限」を設けることが「きわめて重要」であると強く主張した。中国は、10人のNGO代表をどのように決めるのか、また、そのNGO代表には協議資格を持つNGOのみが含まれるのか、と述べた。スーダンは、この主張を繰り返し、国連経済社会理事会の協議資格を持たないNGOを含める場合、そのようなNGOの実績に関する「基本的情報」が配布されるよう提案した。グアテマラも、NGOの任命に関する手続についての懸念を表明した。スーダンも、誰が作業部会の議長になるかを一層明確にする必要があると指摘して、特別委員会議長が作業部会議長も兼任するかという点について尋ねた。さらに、ウガンダは、作業部会議長は作業部会の中から選ばれるのか、と質問した。アルゼンチンも、作業部会の「議長に誰がなるのかという点について指摘することは良い考えかも知れない」と付け加えた。グアテマラは、「X国、Y国、Z国と明示する」のが手続上は「普通のやり方」であろうが、5つの地域グループがそれぞれ5つの国家を任命する可能性も「あり得るだろう」。また、グアテマラは、「その他の多くの二次的問題」についても言及したが、問題の詳しい説明は今のままで十分であると述べた。ウガンダは、指名に関する時間的枠組みについて質問した。

日程

例えば、バングラデシュブラジルチリ韓国南アフリカのように、日付、時間的枠組、期限が全般的に不明瞭である、と批判する国もあった。南アフリカは、プロセスを「迅速に」進めることを強く望んだ。バングラデシュは、会期間における作業部会の会合について言及している修正決定案の第4パラグラフが、時間的枠組を「明示すること」を求めた。

ヨルダンスーダンおよびベネズエラは、いつ作業部会が設けられるのか、と尋ねた。スーダンは、国連加盟国からの「貢献」をこれから受け取ってから作業部会はその作業を開始すべきである、と述べた。また、スーダンは、特別委員会への提出期限がいつになるかと尋ねた。

ベネズエラは、第7パラグラフで言及されている第3回特別委員会の具体的な開催日を尋ねた。コスタリカも、同意見であった(「この問題について、より明確にしながら取り組むようにと」)。カナダは、第3回特別委員会が2004年6月に開催されると想定していた。

タイは、修正決定案の第4パラグラフが、「10日間の作業日」としている点を不正確とした。これでは会合が合計何回行われるのかが不明確である、と述べたのである(例えば、各会合につき10日間か、あるいは、両方の会合を合わせたものか)。

ベネズエラは、修正決定案の第4パラグラフについて言及し、ドラフト・テキストを作成する者が、何回の会期間会合を予定するか(あるいは、予定しているか)を尋ねた。

作業部会による検討のための諸提案の提出

ヨルダンは、諸提案を提出するための時間的枠組について質問した。モロッコは、作業部会に加わらない国家/主体が、それらの提案をどのように作業部会において「検討」してもらうことになるか、と問うた。パキスタンは、第5パラグラフにおける、貢献する可能性があるリストは「開かれたもの」とする方が良いと述べた。

インドは、国連事務総長に対して文書の提供を要求することの「妥当性」について異議を唱えた。バングラデシュは、このパラグラフで言及されている「迅速に」という文言が不明瞭であるとした。

本国政府との協議

政府代表団の中には、修正決定案の第7パラグラフが規定している2ヶ月という期間は、政府代表団がその本国政府と協議するのには十分でないと述べるものがいた。アルゼンチンブラジルインドネシアパキスタンスーダンカナダ(「最低3ヶ月を提案」)、インド(「最低」3ヶ月)、ナミビア(「最低6ヶ月」)。追加的な協議時間を必要とする理由の中には、次のものが含まれる。連邦政府システム(オーストラリア, タイの提起)、統治する領域が広大な国(タイの提起)、視覚障害者を含み、文書が完全にアクセスできることを確保する必要性(ナミビアの提起)などである。

アクセシビリティ

一部の国は、修正決定案の第7パラグラフについて言及し、作業部会の文書を別の形態で作成する必要があると主張した。ナミビアは、作業部会が特別委員会に提示した文書をあらゆる国連公用語に翻訳する際には、視覚障害者も排除すべきでなく、「視覚障害者が参加できるように点字に翻訳する機会」を提供すべきであると述べた。タイは、このことが「あらゆるプロセスを通じて行われる」べきであるとした。カナダは、「いかなる最終的な成果文書あるいは配布文書も」利用可能な形態にすべきであると述べた。タイは、手話、点字、音声、電子フォーマット(に限定されないが)を含むべきであるとした。アルゼンチンも、あらゆる文書を利用可能なものにすることが必要である、と強く主張した。

南アフリカは、あらゆるNGOが利用できるように、任意基金に関する情報も利用可能な形態とすべきである、と指摘した。

一般的な意見

モロッコは、アフリカグループを代表して、あらゆるNGOに感謝の意を表明して、あらゆる代表団と地域グループが、さらに提案をすることによって、このプロセスを「充実」させることができると思われる、と述べた。ブラジルは、国家代表団が、(その政府と協議した後)次のセッションにおける「交渉のために準備」をすべきである、と述べた。クウェートは、このプロセスにおいて市民的政治的権利が確保され「なければならない」が、この条約には、経済的、社会的および文化的権利(例えば、教育、衛生、開発)も含められる「べきである」と宣明する一方で、特別報告者と協議する可能性についても言及した。

ジャマイカは、その2回目の発言で、「人権」文書として文書を作成する場合には、「バランス」がとられなければならないという「懸念(反対ではない)」を表明した。その際、ジャマイカは、「投票所へ行くための車椅子を購入する資金がなければ」、投票権は意味をなさないという例を挙げて、我々は「左足と右足の両方を使って動かなければ」ならないと述べた。ブラジルは、その2回目の発言で、条約に含むべき要素を盛り込んだEUの提案に沿った決議案と、条約作成機関としての特別委員会とを、「依然として」検討中の課題とすることを望んだ。ノルウェーは、問題とされている事案に関する合意が「協力の精神」の下で得られるであろう、との自信を示した。

閉会の辞

特別委員会の議長代理(ニュージーランド)は、提示された考え、質問、提案を「反映する機会」を持つことを求め、おそらく別の修正テキストを作成するためにさらなる作業に取り組むことになるだろう、と述べた。議長代理は、国家代表の決定については、地域グループに任されており、NGOも「自分自身で選定」してほしい、と繰り返し述べた。議長代表は、NGOの「代表の人数を増やすこと」に対して「相当の支持」があると述べた。作業部会がいつ作業を開始するかという質問に対する答えは、「できるだけ早い時期に」というものだった。もっとも、第2回特別委員会が終わるまでに、作業部会に参加する可能性のある国と参加する日を決めることは「可能かもしれない」と述べた。「我々は勢いを維持したい」が、修正決定案の内容は、「現時点ではそれほど規定的なもの」でないことを望むとした。「新たなテキスト」の文言に関する複数の質問に答えて、議長代理は、国連のファイルには「長年にわたり多くのテキスト」があると説明した。日程については検討する必要がある、と認めた。

議長代理は、「新たな貢献」に関する日程を決めるべきという意見に同意した。この3つの代表団がプロセスを前進させていることを指摘し、改善に向けて全てが「非常にうまく」いくだろうと楽観視したが、「議場外での」批判もいつでも歓迎するとした。議長代表は、修正について検討する「この種の」会合をまた開くかどうかについては確実に言えないとしながらも、それが必要であることは明らかであるとした。例えば、議長代理は、第5パラグラフは、作業部会のみに対して貢献が向けられている「印象を与える」と述べた。

EU代表は、自身が「プロセスを前進させるための柔軟性と、熱心に取り組む姿勢を既に示している」と述べ、「このテキストに既にあるもので十分である」と付け加えつつ、最終的な解決策への期待を表明した。

ニュージーランド代表は、もし「役に立つ」ならば、「さらなるテキストを提示する」ことも可能であるが、「この点については特別委員会議長と確認したい」と述べた。


ディスアビリティ・ネゴシエーションズ・デイリー・サマリーは、ランドマイン・サバイバーズ・ネットワークが発行する。このネットワークは、地雷の被害を受けた6つの途上国において手足を失った者の支援網を持った、米国に拠点を置く国際組織である。このサマリーのスタッフには、ジャグディシュ・チェンダー、マーガレット・ホールト、ジェニファー・ペリー、マーシャル・タラスター、およびザハビア・アダマリー(編者)が含まれる。このサマリーは、翌日の正午までにwww.rightsforall.orgwww.worldenable.netのオンラインに掲載され、スペイン語、フランス語(ハンディキャップ・インターナショナル)および日本語(日本障害者リハビリテーション協会)に翻訳される。質問については、ザハビア・アダマリー宛て(Zahabiaadamaly@hotmail.com)にメールを頂きたい。