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第2回国連障害者の権利条約特別委員会

仮訳 デイリー・サマリー第2巻第8号 2003年6月25日(水)

NGO 地雷生存者ネットワーク
監訳:長瀬修・川島聡

午前のセッション

開始時刻:午後12:30

中断時刻:午後13:00

再開時刻:午後13:15

休会時刻:午後13:17

非公開の非公式協議が、午前のセッションの大部分を用いて引き続き行われた。この非公開の非公式協議の後に、公開の非公式協議が午後12時30分に開始され、その際には、非公式協議でまとめられた文書が国家代表とNGOに配布される、と午後12時8分に告げられた。

午後12時56分に、フィリピン大使が全員の忍耐強さに謝意を表した。そして、昨日の非公式協議における実りある進展の結果、この会合において決定案に関する議論を一層進めるよう議長から依頼があった、と代表者全員に発表した。目下の予定は、これまでの議論に基づいて作業を続け、各国およびNGOによる多くの所見を盛り込んだより良い決定案をつくることにあるとされた。新たな決定案は印刷中で、このフィリピン大使のステートメントがなされてから10分から15分以内に入手できるとした。諸代表は、午後のセッションが再開される前に、つまり、このコピーを昼食の時間中に検討できるように、できればこのまま待ってコピーを受け取るよう依頼された。午後3時にセッションが再開した後に、この決定案に関する全般的な意見を受け入れるとされた。この会合は、しばらくの間中断し、決定案のコピーが配布された後に一時的に続けられた。この決定案の「第二回目の読会」は午後に行われる。

諸代表とNGOが昼食時に決定案の内容を吟味できるよう、第4会議室の後方で1ページの修正決定案を配布しており、この文書について議論するため本会合が午後3時に再開される、との通知が午後1時15分になされた。会議は休会した。

午後のセッション

開始時刻:午後 3:18

休会時刻:午後 4:54

特別委員会議長団の副議長フィリピンが、公開の非公式会合の議長を務め、この会合において、諸代表が6月25日付けの修正決定案(RDD25)について意見を述べた。

修正決定案の紹介(テキストの変更)

欧州連合(EU)メキシコおよびニュージーランドは、前回のセッションで提案された多くの意見を盛り込んだ25日付修正決定案を提示した。議長代理は、最新の修正決定案の変更箇所、明確にされた箇所、追加箇所を手短に指摘した([  ]内の文章については討議が必要とされる。)

  • パラグラフ1:「交渉」する場としての特別委員会の役割が特に言及された。作業部会が、その「第1回会合以前に提出された提案を考慮に入れる」という文言が追加された。
  • パラグラフ2:作業部会の地理的代表について二つの代替案(各地域グループに同数を割り当てるか、あるいは、衡平な地理的代表とするか)が提示され、その構成(25人の国家代表と12人のNGO代表)が記された。
  • パラグラフ3(間違って「4」と番号がつけられている):任意基金について記載されたが、変更はなかった。
  • パラグラフ4(間違って「3」と番号がつけられている):作業部会は、二つの会合をそれぞれ5日間の作業日をもって、会期間に開催すると記された。
  • パラグラフ5(間違って「4」と番号がつけられている):[「ドラフト・テキスト」に関する作業部会の作業成果を特別委員会に提示する点と、それが「最大限可能な程度まで」利用可能な形態で提示されるべきとする点についての変更を含む。また、国連文書として配布される期限として、第3回特別委員会の遅くとも3ヶ月前には国連文書として配布されるとした。]
  • パラグラフ6(間違って「5」と番号がつけられている):国連事務総長の支援を「要求」するとした。

手続上の問題

作業部会の構成と選出

タイは、この条約が人権の視点に照らした専門的知識と関心を取り入れるために、国内人権機関が作業部会のメンバーに含まれるべきである、と述べた。モロッコも、修正決定案において国内人権機関に言及することを求めた。韓国は、国内人権機関が作業部会の他の代表とは独立した分類の代表と見なされるべきかと尋ね、また、国連システムに参加する国内人権機関の前例と慣行について尋ねた。アイルランド人権委員会は、あらゆる国内人権機関を代表して発言し、国内人権機関の代表も作業部会に参加できるように第2パラグラフを修正することを求めた。アイルランド人権委員会代表は、国内人権機関が作業部会に参加することがNGO代表の参加を阻む結果になることを望まないが、国内人権機関も同じく作業部会に含まれるべきであるとした。さもなければ、国内人権機関は、作業部会には参加できない、特別委員会の唯一の参加者となってしまうからである。

また、各国代表は、第2パラグラフにおける、国家代表の選出に関する二つの代替案のうちどちらを支持するかを特に強調した。マレーシアチリは、「この件に関しては柔軟に考えたい」と発言したが、ギリシアブラジルは、地理的地域グループごとに同数を割り当てることを支持した。タイは、「アジアは障害者の3分の2を擁する広大な地域である」ため、衡平な地理的代表の原則に基づいて、各地域グループが選出することを支持した。インドネシアも、タイの見解と同じであった。モロッコイスラエル日本ヨルダンイランコロンビアネパールウガンダコスタリカインドおよび韓国は、衡平な地理的代表の原則が25人の代表選出にどのように作用するかを明確にすることを求めたが、この第2番目の代替案を支持した。パキスタンは、各地理的地域における相違点が考慮されなければならず、地域内の国家の数に基づいて代表の数が決められるべきである、と強く主張した。中国は、これら二つの選択肢について、「地域によっては他の地域よりも国連加盟国が多いところもある」ゆえに、とりわけ、衡平な地理的代表の原則が25人の代表選出にどのように反映するかを明確にすることを求めた。

例えば日本のように、25人以上の国連加盟国から構成されるより大規模な作業部会を設けるという考えに理解を示した国家もあった。コロンビアは、参加開放型の構造をとることに好意を示し、インド中国も、作業部会を設けることを決めないのであれば、この考えを支持するとした。ネパールは、参加開放型の作業部会という考えに理解を示した。なぜなら、これにより国連加盟国の最大限の参加が確保されて、「我々が扱っている問題の複雑性が考慮」されることになるからであるとした。マレーシアもまた、作業部会が191ヶ国の国連加盟国を完全に代表する構造を持つという提案を支持したが、これでは「あまりにも厄介なことになる」であろうと警告した。チリは、すべての国連加盟国から構成される参加開放型の作業部会について反対し、そのような考えを、「永久に最初のドラフト・テキスト(条文案)ができないであろう」から、「考慮に値しない」とした。

多くの国家代表はまた、それらの意見の中で、作業部会におけるNGOの役割を強調した。ジャマイカは、新たな修正決定案において、NGO代表の数が7人から12人に増えたことについて「元気づけられた」と述べた。モロッコは、とりわけ「南」あるいは途上国世界のNGOを考慮して、NGO代表の衡平な配分を要請した。この考えは、ジャマイカウガンダヨルダンブラジルイランおよびコロンビアからも支持された。パキスタンは、市民社会およびNGO(特に障害者団体)による貢献が作業部会に資するものであると考えているが、国家代表が25人止まりで、NGO代表が「7人から12人に増えたことを喜ばしいものとはしない」。というのは、「均衡性がとれていないからである」。

国家代表の中には、作業部会におけるNGOの参加形態を明確にするよう求めた者もいた。インドは、その参加形態を明確にすることを求めた。スイスは、どのように12人のNGO代表を選出するのか、12以上のNGOから要望があった場合にはどうなるのか、と質問した。中国は、認証を得たNGOのみが代表となるのか、と尋ねた。イランは、「国連の枠組内に新しい変革をもたらすこと」について警告し、NGOと国家が並存する作業部会がこれまで存在したのか、と問うた。また、イランは、特に特別委員会が「交渉を必要とする場」であるならば、NGOに国連加盟国と同じ地位を付与することは困難であるとしたものの、NGOの「支援と専門的知識」は作業部会に資するものであると繰り返した。マレーシアも、国連において作業部会に関する新たな手続を創ることに懸念を表明し、インドネシアもそれに同調した。しかし、両国ともNGOが含まれるべきであると強く主張した。ネパールは、このプロセスにおけるNGOの役割については疑問の余地がないとしながらも、我々は「国連の慣行から逸脱するべきではない」と述べた。

国家代表の中には、作業部会の構成について全般的な意見を表明した国もある。例えば、イスラエルは、作業部会をいくつかの小部会に分ければ、作業部会は一層効果的なものとなるのではないかと提案した。そして、認知障害者や、精神障害者を含むあらゆる分野の障害者の代表を作業部会に含めることを要請した。

日程

多くの国家代表は、この特別委員会の後で、作業部会第1回会合の前に提出される国家の貢献に関する日程の問題について取り扱った。とりわけ、この件について、モロッコベネズエラコロンビアマレーシアおよびチリが発言した。

モロッコは、作業部会の活動期間を明確にしたいとして、作業部会が5日間の会合を2回開催することが、第3回特別委員会の基礎となるようなドラフト・テキストを作成するのに十分であるか問いかけた。ウガンダも、5日間の会合を2回開催するのでは不十分であるとの懸念を示した。ベネズエラヨルダンは、作業部会の作業日を特定するよう求めた。イスラエルブラジルは、2回の会期間会合の予定日を明らかにするよう求めた。

作業部会の代表者を指名する期限についても、ベネズエラインド(NGOが認証を得る期限に関して)および韓国により検討された。

各国代表はまた、作業部会議長をどのように任命するかという点についても話し合った。イスラエルは、作業部会第1回会合に先立って、事務局が作業部会議長を任命すべきである、と提案した。チリは、作業部会議長を任命する必要性について賛同した。

コロンビアは、作業部会の進捗状況を議論するための地域会議を断続的に開催することが重要であると指摘した。

国家代表の中には、一般的な意見をたんに述べるというよりも、今はむしろ議論を先に進めて、新たな決議案の細目について話し合うことが必要であると強く主張した者もいた。例えば、ブラジルは、より迅速に進めるため、テキストをパラグラフごとに検討する段階へ移るよう提案し、キューバがこれに賛成した。

その他の問題

国家代表の中には、特定の文言について実質的な意見を寄せる者がいた。タイは、任意基金の資金源と、特に途上国に関して、その資金を受けて参加できる者を決定する根拠とを明らかにするよう求めた。モロッコは、特別委員会の任務と作業部会の任務との間に混乱が生じないように、第1パラグラフにおいて作業部会の任務を特定するよう求めた。イランは、作業部会にNGOが参加することから考えると、作業部会が、交渉する権限または「少なくとも、交渉する黙示的権限」を持つことには問題があると述べた。パキスタンは、作業部会の成果文書のかたちが不明瞭であるため(編纂されたテキストになるのか、あるいは、最良の諸提案を「選定」することになるのか、もし「選定」する場合には、それはどのように行われるのか)、作業部会の任務も明確に特定されていないと述べた。それゆえ、パキスタンは、作業部会の責任の範囲を決定するように、このパラグラフを修正することを望んだ。インドは、第1パラグラフで作業部会の作業成果が交渉用のテキストとなることが明示されている事実に照らすと、パキスタンが指摘した「見方」はきわめて重要であると述べた。

キューバは、25日付修正決定案にはいくつかのニュアンスを加えることにより改善され得る余地があるという一般的な意見を述べた。ウガンダは、専門家による支援の可能性が触れられておらず、「迅速に」という文言も明確でないと述べた。

EUは、みずから作成した決議案が当初より簡潔になっているものの、まだ議論の俎上に載せられているとし、できる限り早くそれを提供すると述べた。コスタリカは、本日配布予定の決議に照らして、修正決定案を検討すること、また、その決議には特定の日程も記述されていると、昨日の時点で話があったとした。

その他の声明(NGO、議長代理の断続的な回答)と結論

障害コーカスは、障害者が作業部会において十分に代表されることは、作業部会が正当性を持つと見なされるための不可欠な条件である、と表明した。そして12人のNGO代表を含めるよう提案したタイ代表と、その提案を支持したあらゆる国家代表に感謝の意を表した。この12の席のうち、国際的障害者団体によって7席が、地域的組織によって5席が占められることが保証されたとした。基準規則の規則18において、国際的障害者団体が障害者に関する国連の活動に参加する権利を持つことが特に言及されていることを想起して、国連総会決議57/229を「更新することがきわめて重要である」と述べた。

議長代理は、諸代表の意見に対して断続的に回答した。しばしば繰り返された回答の一つは、多くの事柄が会議を進めていく中でしか特定され得ないというものであった(例えば、日程)。議長代理は、決議に関する質問に次のように答えた。まず我々は、決定について決定することが必要であるが、これについては現在諸代表が取り組んでいるところである。もし本日午後に特別委員会が決定案を仕上げることができるならば、明日には決議に取り掛かれるであろう。代表選出の方法に関して考えられることについては、既に適当な手続きがとられていると答えた。第2パラグラフに関する質問への回答については、議長代理は、二つの括弧内のフレーズが二つの選択肢を表しているとして、どちらの方でコンセンサスを得られるかが問題であると説明した。議長代理は、決定案ができるだけ早く準備され得るように、諸代表が具体的な文言を提案することを奨励した。

閉会に当たり、議長代理は、25日付修正決定案の「具体的な文言」について議論するために、会議室Dで開かれる非公開の非公式協議(informal informals)に関心のある代表すべてが参加するよう告げた。


ディスアビリティ・ネゴシエーションズ・デイリー・サマリーは、ランドマイン・サバイバーズ・ネットワークが発行する。このネットワークは、地雷の被害を受けた6つの途上国において手足を失った者の支援網を持った、米国に拠点を置く国際組織である。このサマリーのスタッフには、ジャグディシュ・チェンダー、マーガレット・ホールト、ジェニファー・ペリー、マーシャル・タラスター、およびザハビア・アダマリー(編者)が含まれる。このサマリーは、翌日の正午までにwww.rightsforall.orgwww.worldenable.netのオンラインに掲載され、スペイン語、フランス語(ハンディキャップ・インターナショナル)および日本語(日本障害者リハビリテーション協会)に翻訳される。質問については、ザハビア・アダマリー宛て(Zahabiaadamaly@hotmail.com)にメールを頂きたい。