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第2回国連障害者の権利条約特別委員会

仮訳 デイリー・サマリー第2巻第10号 2003年6月27日(金)

NGO 地雷生存者ネットワーク
監訳:長瀬修・川島聡

開始時刻:午前10:30

中断時刻:午前10:35

非公開非公式協議の開始時刻:午前10:35

午前のセッションは、フィリピンのエンリケ・マナロ大使により開会された。同大使は、午前のセッションの始まりが1時間遅れたことについて、何人かの代表が、残された問題に関して、代表同士であるいは地域ごとに協議する時間をとるためであったと説明した。同大使は、第2回特別委員会は本日午後6時に終了しなければならず、その時までに本委員会は決定案、決議案、報告書を採択しなければならない、と指摘した。同大使は、特別委員会議長に代わって、国連加盟国に対し、残された問題に関して柔軟に対処するよう要請し、「これらの問題の重要性を考えると、我々が合意に達することができなければ、残念な結果になるであろう」が、最終的に妥協することは国連加盟国の責務である、と繰り返した。

2003年6月26日午後7時付けの最新の決定案によれば、国連加盟国およびオブザーバーによる特別委員会における交渉のたたき台として作成される「ドラフト・テキスト(条文案)を準備しかつ提示するための」作業部会を設けることになっている。ドラフト・テキストに関する貢献は、「作業部会の会合前に」、特別委員会に提出される。貢献をすることができる機関については制限を設けず、国連システムのすべての機関とともに、国内の障害者団体や人権団体、独立専門家を含むものとする。また、この決定案では、「代替的な複数のアプローチがある場合、作業部会はそれらのアプローチを反映した選択肢を提示する」としている。NGOの参加については、国連総会決議56/510が適用され、特にバランスと透明性をもって、障害者団体の中から選ばれた代表が含まれるとした。

26日午後7時付けの決定案で言及されている以下の論点は、非公開の非公式協議において解決された。ニュージーランドアメリカは、作業部会は政府代表により「構成される(comprise)」よりも、むしろ政府代表を「含む(include)」とすべきだと提案し、パキスタンは政府代表の数を25人から30人に増やすことを望んだ。パキスタンはまた、NGOの「助言権限」の条件を加えて、作業部会がNGOによって「構成される(comprise)」とするのではなく、むしろNGOを「含む(include)」とすべきであると提案した。地域グループに関する議論では、5つの地域すべてに同数の代表を平等に配分するか、それとも、「衡平な地理的代表」にするか、という問題が解決されないまま残された。モロッコは、作業部会が国内人権機関の代表をも含めることを提案した。中国は、資金に関する文言の訂正をいくつか挙げて、参加者に資金を「提供する(finance)」のではなく、単に「支援(support)」するという、任意基金の利用制限について提案した。その支援を受ける資格をNGOのみならず、政府にも広げるように求めた。また、その支援を受ける資格を、経済的移行期にある国家の「当該事案に関心を持つ」NGOに限定するよう求めた。作業部会のリーダーシップに関して、モロッコは、特別委員会議長が作業部会議長になるべきであると提案した。メキシコは、特別委員会議長あるいは議長団メンバーが作業部会議長になるべきであると提案した。ニュージーランドは、特別委員会議長と議長団メンバーとが協議して、作業部会がコーディネーターを任命するべきであると提案した。欧州連合(EU)は、作業部会の中でコーディネーターを選び、任命することを提案した。モロッコは、この決定の中で述べられている内容が国連総会の他の特別委員会の前例とならない、という但し書きを追加するよう求めた。

午後のセッション

本会議の開始時刻:午後 3:46

中断時刻:午後 3:49

非公式協議の開始時刻:午後 4:30

非公式協議の終了時刻:午後 4:42

本会議の再開時刻:午後 5:43

閉会時刻:午後 6:26

開会の辞

特別委員会議長は、昼食時の非公式協議の際に「実質的な進展」があり、午後のセッションでその成果が検討されるであろうと発表した。この会合は非公式協議を続けるために中断され、午後6時前に公式の本会議が再開され、最終的には決定と決議をまとめ、採択することになった。

非公式協議

メキシコのデ・アルバ大使は、作業部会が条約起草過程を進めるためには、この第2回特別委員会において決定と報告を採択しなければならない、と強く主張した。他方で、同大使は、実際のところ、時間が限られていることを考えれば、決議については不可欠というわけではない、と指摘した。アメリカブラジルおよび韓国の支持を受けて、カナダは、諸代表が今の時点では草案の細かい部分に無駄な時間を費やすべきではなく、第3回特別委員会に向けて活動を続けられるように、決定を作成すべきであるという見解を示した。ブラジルは、今後の手続きはすべて民主的に透明性をもって進められるべきだと述べた。

本会議の再開

特別委員会議長は、通訳があと20分しか使えず、二カ国の政府代表が、自分たちの言語に通訳されなければ決定を承認しないとしているので、急がなければならないと強調した。前回括弧で囲まれていた部分を削除した、2003年6月27日付けの、作業部会設置に関する修正決定案が午後4時に配布された。また、特別委員会決定と国連総会による採択を勧告する決議とが空欄になっている報告案(A/AC.265/2003/2)も配布された。特別委員会議長は、その決定と報告を口頭で修正した。

口頭修正以前の決定案

「障害者の権利および尊厳の保護および促進に関する包括的かつ総合的な国際条約に関する特別委員会は、次のことを決定する。

  1. 国家、オブザーバー、地域的会合、関連国連機関、地域委員会、政府間機構ならびに市民社会(NGO、国内障害者機関、国内人権機関、独立専門家を含む)により作業部会の会合前に特別委員会に対して提供されるあらゆる貢献を考慮に入れて、国連加盟国およびオブザーバーが特別委員会において条約案について交渉するための基礎となるドラフト・テキストを準備しかつ提示する目的を持つ作業部会を設置すること。代替的な複数のアプローチがある場合、作業部会は、それらのアプローチを反映した選択肢を提示する。
  2. 作業部会は地域グループにより選ばれる27名の政府代表から構成されるものとする(アジア 7名、アフリカ 7名、ラテン・アメリカ、カリブ諸国(Grulac)5名、西ヨーロッパ等(WEOG)5名、東ヨーロッパ(EEG)3名)。また、作業部会は、障害および非政府組織の多様性、ならびに、途上国およびあらゆる地域の非政府組織が十分に代表される必要性を考慮に入れて、特別委員会の認証を得た非政府組織の代表12名を含むものとし、かつ、国際調整委員会の認証を得た国内人権機関の代表1名を含むものとする。国連総会決議57/229の関連規定は、非政府組織および国内人権機関参加(ママ)に適用する。選ばれた者は、この決定が採択されてから遅くとも45日以内に特別委員会議長団に通知されるべきである。
  3. 国連総会決議57/229により設置された任意基金は、途上国(とりわけ後発発展途上国)の非政府組織および専門家の参加を支援するために利用されることができる。
  4. 作業部会は、ニューヨークの国連本部で2004年初頭に10日の作業日を持つ会期を会期間に1回開催するものとし、かつ、ドラフト・テキストに関する作業成果を第3回特別委員会に提示する。
  5. 特別委員会に提示された、ドラフト・テキストに関する作業成果は、あらゆる国連公用語に翻訳され、最大限可能な程度まで障害者に利用可能な形態をもって発行されるものとし、かつ、第3回特別委員会の遅くとも3ヶ月前に国連文書として配布されるものとする。
  6. 特別委員会議長は、作業部会の作業を円滑に進めるため、特別委員会議長団と協議した上で、政府代表の中から作業部会のコーディネーターを任命する。
  7. 国連事務総長は、可能な限り迅速に、かつ、最大限可能な程度まで障害者に利用可能な形態をもって、あらゆる関連文書(第2回特別委員会の報告を含む。)を作業部会に提供すべきである。
  8. 作業部会の任務は、ドラフト・テキストに関する作業成果を特別委員会に提示することをもって終了するものとする。
  9. 上記の様式は、国連総会の他の特別委員会の前例となることは一切ない。」

決定案に関する口頭修正

NGO代表の基準に関して、第2パラグラフは、「考慮に入れて」が「確保しつつ」に修正された。加えて、「また、作業部会は・・・国内人権機関の代表1名を含む・・・」は、別の文の中に位置づけられた。その次の文は修正され、NGOの参加が、「作業部会のため」であることを明確にした。第6パラグラフについては、特別委員会議長と協議するという、特別委員会議長団の役割が、「作業部会のメンバー」の役割に修正された。

決定案に関する国家代表の追加発言

モロッコは、アフリカグループを代表し、作業部会に参加する資格を持つNGOについて言及した第2パラグラフに見られる「深刻な問題」について発言し、これは特別委員会の認証を得たNGOのみに限定されているように思われると述べた。アフリカグループは、特別委員会の認証を現在得ている15のNGOの中には、その地域のNGOがいないことに懸念を表明した。特別委員会議長は、作業部会への参加の基準には、国連経済社会理事会の協議資格を持つすべての「障害関連」NGOが含まれ、その数は国連経済社会局によれば150ほどである、と答えた。

キューバは、国内人権機関の参加形態が定義されておらず、ドラフト・テキストにこの「新たな」要素を含めることが手続的または法的問題を将来もたらすのではないか、という「技術的問題」について懸念を表明した。

特別委員会議長は、キューバとモロッコの代表に対し、この最終セッションの議題を進める間に、上記の問題に関して自分たちで協議するための時間を与えた。

それから特別委員会議長は、国連事務総長を代表し、事務局が設定した会期間の予定について口頭で述べた。作業部会は可能性としては2004年1月6日から17日まで計10日間の会合を持つ。1日に2回のセッションを開き、セッション中に100頁を作成し、セッション後の期間中に100頁を作成する。この会期間にかかる総費用は562,300ドルと予想される。国連総会の作業量が多いことから、作業部会は、特にその会期前の時期に、文書作成に関して一時的な支援を必要とするであろう。

その後、特別報告者がその声明を求められた。特別報告者は、その声明の中で、作業部会および事務局と調整して、「共通の作業方法」を見いだすよう最大限の努力をするつもりであることを確認し、また、第2回特別委員会全体を通して唱われたテーマを繰り返した。

特別委員会議長は、モロッコキューバの代表に関する問題に戻って、通訳サービスの終了が差し迫っているので特別委員会が合意に達することができるよう、それぞれの問題を解決するに当たって妥協をすることを求めた。決定案の承認は英語でのみ行われるが、このことは前例となるものではなく、それを条件とすれば受け入れることができるであろう、と強く主張した。この目下の決定案が受け入れられなければ、別の日にもう一度特別委員会を開催する必要があろうとした。キューバは、国内人権機関に関する懸念があるものの、「柔軟性の精神」をもって、この文言をそのまま受け入れると述べた。モロッコは、現在認証を得ている15のNGOに加えて、国連経済社会理事会の協議資格を持つNGOもまた参加資格があることと、その他のNGOについても作業部会に向けて認証を得る機会が残されていることを明示した文言を第2パラグラフに追加するよう求めた。モロッコ代表は、途上国を含む世界のあらゆる地域のあらゆる国家、NGO、障害者が、作業部会に完全に参加することについての自身のコミットメントを再確認した。

マレーシアは、第6パラグラフには「あまり満足していない」と述べた。というのは、特別委員会から「少し距離を置くことを確保する」ために、作業部会がその中からみずからその議長を任命する、という非公式協議の際にマレーシアが支持していた見解が盛り込まれていなかったからである。

特別委員会報告案(A/AC.265/2003/L.4)を承認することを提案する前に、この報告案について、特別委員会議長は以下の訂正を行った。第19パラグラフに関して、特別委員会は、この条約が特別委員会の下で「取り組まれる」ことを国連総会に「勧告する」という考えを反映させる。第20パラグラフに関して、時間が限られていたため、特別報告者がその報告を読むという「通常の手続きを踏むことが不可能」であったという事実を説明するために、手続面での訂正を入れる。

特別委員会議長は、通訳がなく、マイクもない状況で、特別委員会に対し、その決定案と報告案を承認するよう提案した。反対がないことから、特別委員会議長は、その報告と決定が採択されたと宣言した。


ディスアビリティ・ネゴシエーションズ・デイリー・サマリーは、ランドマイン・サバイバーズ・ネットワークが発行する。このネットワークは、地雷の被害を受けた6つの途上国において手足を失った者の支援網を持った、米国に拠点を置く国際組織である。このサマリーのスタッフには、ジャグディシュ・チェンダー、マーガレット・ホールト、ジェニファー・ペリー、マーシャル・タラスター、およびザハビア・アダマリー(編者)が含まれる。このサマリーは、翌日の正午までにwww.rightsforall.orgwww.worldenable.netのオンラインに掲載され、スペイン語、フランス語(ハンディキャップ・インターナショナル)および日本語(日本障害者リハビリテーション協会)に翻訳される。質問については、ザハビア・アダマリー宛て(Zahabiaadamaly@hotmail.com)にメールを頂きたい。