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第6回国連障害者の権利条約特別委員会

短報  2005年8月11日(木)

崔栄繁
DPI(障害者インターナショナル)日本会議

川島聡
新潟大学大学

今日は25条のモニタリングと条約の構成などについて議論があった。

●25条

具体的で深くつっこんだ議論がなされていはいないが、条文では触れていない国際的モニタリングについても含めて議論があった。国内的モニタリングについては、国際的モニタリングと相互補完しながら条約を実施していくための重要なものという大方の合意があった。但し、具体的な組織・機関のあり方について具体的な議論やパリ原則との関係について問題提起した国はほとんどなかった。それに対してNGOからは機関の独立性や救済手続きを含めた組織であるべきだという意見が提起された。国際的モニタリングについては既存の条約のモニタリング機構についての改革論議が継続しているため、さまざまな問題が提起されている。共通の意見としては国内と国際レベルで当事者の参画を求める意見が多数を占めた。具体的議論は次回7回特別委員会以降であろう。

●条約の構成、見出しなど

 午後は条約の構成について議論がされた。一般的な条約の枠組みとしては従来、まず、前文、目的、定義、締約国の一般的義務などが前の部分に位置し、その後、具体的な条項が並び、最後にモニタリングおよび条約実施機関という順序となっている。この条約の特色は、自由権と社会権を含んだものといわれている。また、社会権的な場面における差別も射程範囲においたものだと言われている。問題の第一は、従来の自由権社会権という枠にしたがって分けることがこの条約の目的に沿うのか、そうすることによって条約を弱くしてしまうのではないか、この条約の基本的テーマである非差別と平等を達成できないのではないのか、という点であった。自由権といっても社会資源を必要とする場合もあるし、社会権といっても即時的に実行すべき要素を含んでいる。したがって一律に自由権は即時的実現義務、社会権は漸進的実現義務としてしてしまうのが、障害者の実質的平等を確保しようとするこの条約の目的に沿うのかどうかということが問題として挙げられる。また、アクセシビリティは一般的には社会権の範疇で捕らえられることもあるが、これはすべての前提になる権利である。アクセスが備わっていなければ投票所にもいけない、表現する機会さえない。これは憲法でいうならば、移動の自由の現代的意義として語られている部分の問題でもある。こういった論点のどこに重点を置くかで構成の意見が分かれた。例えば、19条「アクセス」を7条の非差別・平等の次におくという意見が出たのもこうした背景による。

 また、条文の見出しをつけるかどうかについて、従来の人権条約は見出しがないこともあって、つけるかつけないかの議論があったが、この条約はアクセシビリティを図る目的のものでもあるため、点字使用者に対する配慮という点からも、アクセスしやすいものにするというNGOからの意見もあり、ほぼ、見出しをつけることになったと思われる。

●サイドイベンド

 本日、昼休みにESCAP主催のサイドイベントが行われた。テーマは、国際協力である。詳しくは、別途報告する。

崔、川島