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第8回国連障害者の権利条約特別委員会

短報 2006年8月15日(火)

玉村公二彦:奈良教育大/JD(日本障害者協議会)

JDF(日本障害フォーラム)条約委員会

●モニタリング(昨日の続き)

 モニタリングに関して昨日の議論を踏まえて、ファシリテーターのメキシコから疑問に応えての発言があった。その内容は、「モニタリング」ではなく「実施メカニズム」という用語を使用していること、政府報告のガイドラインについての説明、他の条約の条項の参照などについて説明があった。効果的なメカニズムの必要について各国からの支持があったことが強調された。
 マッケイ議長からは、条約体の設置については、多くの国は必要としたが、数カ国が留保ないし反対していること、報告の義務について、締約国の報告の遅れや審査処理の能力の問題もあり、新たな報告義務を課すことによって新たな負担が生ずること、個人通報や締約国会議、訪問への懸念への考慮(選択的議定書という形もあり得ること)などの問題点の指摘があり、モニタリングのメカニズムが必要かではなく、どのように行うかが問題であり、条約体を前提としてコンサルテーションを行うことが提起された。

●第32条国際協力

 議長より、条約が最大限効果を発揮するためには、国際協力が重要であり、そのために、独立した国際協力の条項をもつことに合意がなされてきたことが強調された。カッコ書きの第2パラグラフの条文については、インフォーマルな協議に任され、各国代表からの発言は求められなかった。その後、議事は「定義」に移ったが、ケニア、シリア、イエメン、スーダンなどから、国際協力の必要の指摘があった。議長からは、これまでの議論の中で条項が必要ないという意見を乗り越え、国際協力の条項を独立した条項とすることは合意がなされてきたことが説明された。 

●第2条定義について

 「障害」の定義についての議論については、定義を設けるべきであるという国と設けない立場の国に分かれた。定義を作るという立場には大きく分けて3つあるように思われる。真の意味でNGOを中心とする社会モデルをいれこみたいというグループと、障害を広げるというよりは各国の裁量を広げ、各国政府が解釈できるようにいろいろな要素を入れ込んで「広く作る」という解釈をする国、但書きをつけて「適用可能な国内法にしたがって」という形でつくるという意見を持つグループである。

 定義を設けることに否定論にも2種類ある。一つは国内裁量に任せるべき、一つはニュージーランドのようにあまりに狭義になると排除される障害者が出る可能性があり、本条約の主旨に反するのであえて定義を設けないという立場である。

●第12条「法の前の平等」

supported diction making(サポートモデル)に賛成が多かった。前回はパラダイムシフトが重要といわれ、多数の支持があった。サポートの程度については0%から100%までの可能性があるが、代理決定を認めるかは合意が得られていない。サポートを受ける際のセーフガードの必要性を規定する必要はあるが、どこまで書き込むかについては細かく書くべきではない、という意見が出された。12条については代替案に多くの支持があった。法的能力という言葉を含め、インフォーマルに委ねられる。

●第17条「個人のインテグリティ」

 全て削除すべきという国と一部削除すべきという国もあった。セーフガードについては、IDCから出された案にN.Zが賛成し、IDC案やN.Z案のように、この条文を簡潔したほうが良いという意見が多かった。他方、セーフガードを残すべきという意見もあった。インフォーマル会議に委任された。IDCから出された案について、N.Zが賛成した。