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障害者に関する世界行動計画の実施:障害者に関するミレニアム開発目標の実現

2007年11月8日 最終版

決議草案
第62回国連総会
議題62(b):社会開発


国連総会は、

障害者に関する過去の決議、特に、ミレニアム開発目標の達成における、障害者に関する世界行動計画の重要な役割を認めた、2005年12月16日の国連総会決議60/131を想起し、

また、障害者の機会均等化に関する基準規則に関する決議を想起し、

2006年12月13日の障害者権利条約および選択議定書の採択を歓迎し、

さらに、国家および政府首脳が、ミレニアム開発目標を含む開発目標および目的の、時宜を得た完全な実現を確保する決意を特に表明した、2005年9月16日の2005年世界サミットを想起し、ミレニアム宣言に盛り込まれた開発目標を含む、国際的に同意された開発目標の達成という観点から、主要な国連会議およびサミットの成果の実施において、障害者の視点を取り入れることの重要性を認め、

世界には少なくとも6億5千万人の障害者がいることと、その大多数が貧困生活を送っていることに留意し、かつこれと関連して、貧困が障害者に与える悪影響の解決に向けた取り組みが緊急に必要であることを認め、

多くの障害者が経験する深刻な社会的、文化的および経済的不利の解決への取り組みと、開発のすべての局面における障害者の完全かつ効果的な参加への障壁の漸次的排除の促進が、機会均等化をさらに進め、21世紀の「万人のための社会」の実現に貢献することになると確信し、

ミレニアム開発目標の達成に向けた、国、地域および国際的なレベルにおける開発への取り組みに、障害者の権利を含める必要性を再確認し、またこれと関連して、経済、社会および関連分野の主要な国連会議およびサミットの成果に規定されている、期限付きで定量化が可能な責務の達成に向けた歩みにおいて、それぞれ重要な基盤を構成している、障害者権利条約、世界行動計画および機会均等化に関する基準規則という、3つの主要な国連メカニズムの実施における、相互補完性と相助作用の促進の必要性を強調し、

障害者に関する世界行動計画、障害者権利条約ならびに障害者の機会均等化に関する基準規則に盛り込まれた原則および政策ガイドラインが、障害者の機会均等化を促進するための国、地域および国際レベルでの政策、計画、プログラムならびに行動の促進、策定および評価に及ぼす影響における重要性を認め、

今後予定されている、世界的な進捗状況およびミレニアムサミットの成果を実施する際に直面する障害の定期的再検討に、ミレニアム開発目標の達成のために講じられる、障害者に影響を与える措置の評価を含めることが必要であると確信し、


1. 障害者に関する世界行動計画の実施に関する国連事務総長報告書に留意する。

2. 社会開発委員会の障害問題特別報告者の活動を歓迎し、

2bis. 障害者権利条約および選択議定書の署名と批准の検討を優先事項としてまだ行っていない政府に再度これを要求する。

3. ミレニアム開発目標の実現に向けた国連の活動に、障害者の権利と福祉とを含む視点を主流として盛り込むことに関する、政策と実践との間の根強い格差に懸念を表明し、

3bis. 特に障害者に関する戦略および計画の策定に、他の者との平等を基本として障害者を参加させるよう政府に対して奨励する。

4. 政府に対して、特に政府間機構、非政府組織、ならびに地域金融機関および国際金融機関、民間部門と必要に応じて連携し、世界行動計画、障害者権利条約ならびに障害者の機会均等化に関する基準規則の目的に従って活動し、ミレニアム開発目標を含む国際的な同意を得た開発目標の実施を目的とした開発戦略、政策およびプログラムに障害者の問題を盛り込み、すべての人の機会均等化を以下の手段によって促進することを検討し、確保するよう奨励する。


  • a. アクセシビリティを確保し、さらに合理的配慮により、障害者が自立した生活を送り、生活のすべての局面に完全に参加し、開発の実行者兼受益者として参加することができるようにする。
  • b. 障害者に対する適切な資源と、アクセシブルな社会サービスおよびセイフティーネットの提供により、すべての人のための福祉の向上を確保する。
  • b bis. 貧困および飢餓撲滅プログラムへのアクセス、質の高いインクルーシブな教育、特に無料の初等・中等義務教育、ならびに他の人に提供されるのと同範囲、同質、同水準の無料もしくは安価な医療、およびすべての人のための完全雇用と適切な就職の促進により、障害者の適正な生活水準と社会的保護を確保する。
  • c. 市民的、政治的、経済的、社会的および文化的生活における、障害者の完全かつ効果的な参加の機会均等化を促進する、参加型で民主的な、かつ責任の所在が明確なプロセスおよびメカニズムのための国内能力の向上および強化をはかる。

5. 個人情報の適切な保護を念頭に置き、障害者の視点を含めた政策の立案、分析および評価を目的として、障害者の状況についての年齢および性別ごとの統計および調査データを含む適切な情報を収集し、分析することを、政府に対して奨励し、またこれと関連して、国連事務局統計部の技術的なサービスを利用することを、政府に勧める。

6. 開発協力ならびに開発金融活動において、アクセシビリティに必要な要件を含む、障害者の視点を取り入れる具体的な措置を講じることを、国連システムの機関、基金およびプログラムを含む関連組織に対して要請し、また国際開発機関および地域開発金融機関に、これを勧める。

7. 障害に関する国連自発的基金の役割を再確認し、政府、政府間機構、関連非政府組織および民間部門に対して、特別報告者の活動を含む、世界行動計画、基準規則および障害者権利条約の開発目標および目的を完全に実施するための触媒的かつ革新的活動を支援する能力を強化するという観点から、当該基金への支援を継続するよう奨励し、本決議に示された活動の優先事項に重点を置いた国内能力の構築を含む国際協力を促進する。

8. 国連システム内での一貫した議論の成果が損なわれることがないよう、当該議論において障害者の状況に留意することを、すべての関係者に対して奨励する。

9. 今後予定されているミレニアム開発目標達成の進捗状況の定期的再検討に関するカントリーレポートに、障害者の人権、福祉および生活に関する開発努力の影響の再検討と評価を含めるよう、政府に要求する。

10. 障害のある先住民族の権利を差別することなく、尊重し、促進する政府の責務を再確認し、その経済的および社会的状況の改善に継続して取り組むための効果的な措置を講じるよう、政府に対して要請する。

11.障害者の問題および課題、ならびに国連システムの活動プログラムおよび既存の資源に障害者を含めることに、より高い優先順位を与え、国連システムの活動において、以下の手段により、障害問題を主流に組み込み、障害者の視点を取り入れる際に、国連とその開発プログラム、および開発機関の役割を強化することを、国連事務総長に要求する。


  • a. 社会開発、人権および非差別の分野で実施されている活動に見られる全体的アプローチに基づき、国連事務局ならびにその他の国連機構および機関の政策、プログラムおよびプロジェクトに、より大規模に、かつより高い優先順位をもって、障害者の視点を含めることを促進し、これと関連して、2010年世界人口・住宅センサス計画に障害者の視点を取り入れることを確保する。
  • b. すべての国において、さらに活動を強化し、発展途上国、特に後発発展途上国に対して、弱い立場にある障害者に特に留意しつつ、支援を提供する。
  • c. 加盟各国の、包括的かつ一貫した政策および行動計画と、特に国際協力および技術支援を促進するパイロットプロジェクトを含むプロジェクトの策定を支援し、特に政府機関、障害者組織を含む市民社会の、障害に関するプログラムの実施能力を強化する。

12.2008年の国連総会において実施される予定の、世界行動計画の第5回再検討および評価で、本決議で提起された問題に特に注意を向けることを決定する。

13.さらに、毎年12月3日に祝うInternational Day of Disabled Persons(国際障害者デー)の名称を、International Day of Persons with Disabilitiesと変更することを決定する。

14.国連事務総長に以下のことを要求する。


  • a. 第63回国連総会において、世界行動計画の第5回再検討および評価に関する分析的かつ政策志向の報告書を、今後予定されている進捗状況の定期的再検討に貢献するものとして、またミレニアムサミットの目標、特にミレニアム開発目標の実施の際に直面する障害を示すものとして、提出すること。
  • b. 世界行動計画第201項に従い、世界の障害者の現状に留意し、14(a)で要求されている報告書の付録として、世界行動計画の修正案、ならびに障害者の権利条約を含む、障害者に関する世界的政策の枠組みにおける開発案を提出すること。