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質疑応答

質疑応答の様子

会場
 権利条約の批准後、日本の障害者団体の今後の活動についてどうしたらいいかということについて具体的なお話をありがとうございました。質問ですが、さっきそれぞれの国から権利条約の委員会に対して報告をするときに障害者団体も別の報告ができるというご説明がありました。その場合、ちょっと気になりましたのは、アジアだとかアフリカだとか発展途上国が報告する場合、さまざまな資料を集めたり人を派遣して報告するための費用がない国がたくさんあると思うんです。その場合、お金がなかったらあきらめてしまうのでしょうか? それともIDAの方で何か支援があるのでしょうか? その辺り、もしあれば教えてご説明ください。

ヴィクトリア・リー
 とても大変なプロセスで、パラレルレポートを作るためには本当に多くの労力とお金がかかります。障害者団体が集まってこの法律を分析するためには本当にすごい労力がかかります。ですので私たちはいつも障害者団体には早めに準備を始めるよう言っております。そしてパートナーシップを築くことによって自分たちで全部をしなくてもいいように、他の手段を通じて情報を得ることも別で勧めています。また、途上国においては障害者団体が参加するのが難しかったりします。また、一緒になる機会がなく障害者運動がそれほど活発でないところもあると思います。そこでIDAとしましても技術的な支援として人材育成のサポートをしています。それは主に発展途上国に対して向けられているものです。 私たちは既にこのトレーニングやそれ以外の人材育成について、特に途上国において提供しています。先ほど申し上げましたけれども、それ以外にもインドやエルサルバドル、パラグアイなど、難しい状況のアゼルバイジャン、それ以外にもモンゴル、トルクメニスタンといった国々に対してもアプローチしています。こうした国々は障害者団体が参加するのが非常に難しいです。そこで私たちは資金的な援助もしております。途上国の障害者がジュネーブに来てこの会議に参加するための資金的援助もしております。資金のない障害者団体が来ることができなくて情報を提供することができない、自分たちの状況を共有することができないというのはフェアではありません。ですので私たちはそのような機会を提供しております。すべての障害者団体が参加できるように。

会場
 委員のことで国別の比率はわかったんですが、障害者の種別の比率はどうなっておりますか?

ヴィクトリア・リー
 盲の方もいますし、委員長もそうです。チリの方なんですけれども。また、前回のマッカラムさんもオーストラリアの方でしたけれども、この方も盲の方でした。それ以外にも身体障害者の方、車いすを使っている方もいれば、難聴の方もいます。この方はハンガリーの方です。また、精神障害者の方もいました。それだけだったでしょうか。今のところはろう者が委員になったことはありません。そこで私たちは世界ろう連盟とともに推薦に関しての情報がろう者のコミュニティに対しても広がるように、そしてろうの方も当選するようにと働きかけています。

会場
 今日配布されている先生の印刷の資料の12ページのところで、実質的側面の中で法的能力のところの説明が早口だったのでよくわからなかったのですが。その中で二つあります。一つは後見制度と代理人による意思決定を許可する法律、政策及び慣習の撤廃。つまり代理決定を定める法律の撤廃ということが書かれています。それから3つ目の②、個人の権利に関してその後にさまざまな結婚、選挙、労働の権利等ありますが、そこに「その能力の範囲内で」というふうに日本語訳ではなっているのですが、その「能力の範囲内で」というのはどういうことでしょうか? 本来これらの権利は能力にかかわりなく与えられるべきところではないのかと疑問に思いました。後でまた述べますけれども、我が国の成年後見制度を具体的にどういうふうに変えていくか、非常に深刻かつ重大な問題でありまして、その点についてのご説明をお願いしたいと思います。

ヴィクトリア・リー
 質問に関してですけれども、スライドには確かにそのように書かれています。その点は、実は私もちょっとびっくりしていることでもあるんです。ご質問の趣旨は同感です。それは、自分たちの行動、自分たちの決定ということで、つまり権利条約委員会がここで強調しているのは、インフォームドコンセントや、司法にアクセスする権利、といったことです。オリジナルの文章を私も確認しないといけませんけれども、能力(の範囲内)ということでなく、それら(の権利)を本人が有しているという事実です。つまり、後見人制度は廃止されるべきであるということ。そして支援付きの意思決定が促進されるべきであるということ。そうすることによって、障害者が自ら意思決定を行い、自らの権利を行使べきだ、と委員会は言っているのです。

会場
 質問ですが、締約国が報告をして国連の審査を受けて勧告が出て、それを受けて締約国が権利条約の趣旨に従って非常に改善をしたという具体的な事例がありましたら少し教えていただきたいと思います。また、それがなかなかうまくいかない例もあるかと思うのですが、国連の勧告を受けて国内法の整備に向けてうまくいった事例を見ていると、どういうふうなことを工夫しているのかと思います。うまくいっているところとうまくいっていないところの比較において、どういう工夫をしたから進んだのか。今までの経験で何かおっしゃれることがあればお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。

質疑応答の様子

ヴィクトリア・リー
 今すぐ例を言えるかどうかわかりませんけれども、ちょっと頑張ってみます。例えばチュニジアの例です。委員会はいくつかの勧告をしました。それはある状況に関してかなり具体的なものでした。革命直後の状況でした。そこで委員会としては障害者団体を新たな憲法の草案委員会に参加させるべきだと言い、そして実際そういうふうになりました。障害者団体は他の専門家と一緒に憲法の草案委員会に参加しました。
 また、ペルーに関しましては委員会は投票する権利についてとても強く勧告しました。そして特に後見人のもとにいる知的障害のある人たち、電子投票の権利を外された人たちに対して、また権利が戻されたということがあります。確か20,000人ほどが電子投票から排除されることになりましたけれども、そういった人たちが勧告の後に戻されたと聞いております。
 さまざまな国でいくつかの取り組みが進められています。特に法的能力において後見人制度に関しての法を見直しているところ、例えばアルゼンチンとかハンガリー、そうした国々が見直しをしています。まだその取り組みは途上ですが、アルゼンチンにおいてはいい方向には進んでいます。けれどもその結果ちゃんと後見人制度が撤廃されるかどうかはまだわかりません。試験的なプロジェクトも行われています。意思決定支援に関しての試験的なプロジェクトで、どのように委員会の勧告に沿った形で実現することができるかを模索している状況です。それに関しましてはもうちょっと私の方でも調査をしなければいけませんが、私たちはそうした国々の障害者団体ともコンタクトをとっております。どのような変化があったのか、そして好事例や、また、障害者団体が勧告の実施をフォローアップするために、どのような方法を用いているのかについても情報を集めております。
 障害者団体はパラレルレポートの作成や、その審査について積極的に関わっています。ですが、よい勧告が出されたとしても、障害者団体はそれを十二分に活用できる方法が分からないかもしれませんので、そのためにも好事例を集めています。例えば香港においては障害者団体はとても積極的で活発で、定期的に政府と審議しています。委員会からの勧告がどのように実施されているかに常に目を光らせています。障害者団体が常に政府のプロセスに参加をすること、そしてちゃんとした役割、固定した位置を得ること、そして議論に参加して政府を案内する立場にいるということがとても重要だと思います。そのほかの例に関しましてはまた調べてきます。