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CRPD/C/3
2016年11月17日
障害者の権利に関する条約
簡易報告制度**の下での報告を含む障害者権利委員会への定期報告に関するガイドライン(日本障害フォーラム仮訳)

1. 本文書は、簡易報告制度の下での報告を含む委員会への定期報告に関する改訂版ガイドラインを掲載したものである。本ガイドライン採択の論拠とその目的は以下の通りである。
(a)現在の報告ガイドライン(CRPD/C/2/3)は2009年に採択された。それ以降、条約実施における問題点に関する委員会の理解の深まりを可能にした、委員会による多数の締約国初回報告の検討、条約実施を評価するためのベースライン、ベンチマーク及び指標に関する地域及び国際段階でのいくつかのイニシアティブ、また、ごく最近では、持続可能な開発のための2030アジェンダと持続可能な開発目標の採択、さらには、委員会が定期報告に関する簡易報告制度の設立を2013年に決定して以来、この可能性を締約国に対し一貫して示してきたという事実等、多くの進展があった。
(b)委員会は締約国に対し、一般的意見とガイドラインの作成を通じて、ガイダンスを提供することに取り組んできた。本文書は、締約国に対し、特に一般的意見がまだ作成されていない分野におけるさらなるガイダンスを提供するものである。
(c)改訂版ガイドラインの目的は、締約国に対し、簡易報告制度の下での報告を含む定期報告を通じた委員会とのかかわりを援助することである。改訂版ガイドラインはまた、定期報告への市民社会団体、障害者団体、独立した監視の仕組み、国内人権機関その他のステークホルダーによる貢献を支援することも意図している。
(d)さらに、本ガイドラインは、障害のある人の多様性を考慮し、締約国が持続可能な開発目標を実施する取り組みにおいて、条約に即して人権に基づくアプローチを取り入れ、誰も取り残さないことを確保するよう援助することも目的としている。
(e)簡易報告制度の下での報告を含む定期報告には、過去の総括所見に記されている委員会勧告の実施と締約国における新たな進展に関する報告が伴う。過去の勧告の実施を評価する際、締約国その他のステークホルダーは、権利所有者による権利の行使と履行義務所持者による義務の遂行の妨げとなっている問題点に関する情報を提供することが推奨される。
(f)本ガイドラインは、締約国に要求すべき情報を完全に網羅したリストと理解されるべきではない。むしろそれは、各締約国の状況について照会する際に委員会が選択できるガイドライン集となることを意図している。事前質問事項を準備する際に、委員会は締約国の特定の状況にもっとも関係の深いガイドラインに特別な注意を払うことになる。委員会は、締約国に対する平等な取扱い、透明性及び客観性の原則に導かれる。簡易報告制度の下での報告を行わない締約国も、本ガイドラインを同様に使用することが奨励される。
(g)簡易報告制度の下での報告を含む定期報告に貢献する市民社会団体、障害者団体、独立した監視の仕組み、国内人権機関その他のステークホルダーは、委員会に報告を提出する際に、上記サブパラグラフ(e)及び(f)に留意しなければならない。
(h)総会決議68/268、特にパラグラフ1及び16に従い、委員会は、簡易報告制度の下での報告を含む定期報告に関する事前質問事項に含まれる質問の数に制限を設ける。
(i)初回報告を作成する締約国は、2009年のガイドライン(CRPD/C/2/3)を使用するべきである。
(j)本ガイドラインでは、国連人権高等弁務官事務所によって開発された指標 (注1)への人権に基づくアプローチを考慮に入れている。締約国は、委員会に報告するに当たり、法的・政策的枠組みに関連した措置、実施中のプロセス、それらのプロセスの結果及び成果を等しく検討することが求められる。

2. 可能な限り、締約国は、性別、年齢及び特定された障壁、民族的出身、都市/農村人口、その他の関連カテゴリー別に分類された情報を提供するべきである。

目的(第1条)

3. 締約国は、以下のことに関する情報を提供するべきである。
(a) 障害者手帳の発行と障害のある人のための支援計画を含む法律及び政策、特に障害状態の概念化と判定に関する法律及び政策が、障害への人権に基づくアプローチに根ざしていることを確保するための措置
(b) 医学又は慈善に関する専門用語を含む障害のある人に関する軽蔑的な専門用語及び言語の使用を廃止し、障害のある人の人権と尊厳を十分に尊重する専門用語及び言語に置き換えるためにとられた方策

定義(第2条)

4. 締約国は、以下のことに関する情報を提供するべきである。
(a)第2条に規定されている概念が、締約国の法律、規則及び政策においてどのように認識されているか、また、それらが条約とどの程度一致しているか。特定の障害のある人の集団のための補装具が必要な場合に、ユニバーサルデザインの導入によってそれが排除されないことを確保するためにとられた措置
(b)条約に明記されている権利を公的部門及び民間部門で実施する際に、第2条に定義されている概念が、実際にはどのように理解されているか

一般原則(第3条)

5. 締約国は、締約国によって採択された全ての法律、政策及び慣行における、第3条に定められている原則の効果的な実現を確保するためにとられた措置に関する情報を提供するべきである。

一般的義務(第4条)

6. 締約国は、以下のことに関する情報を提供するべきである。
(a)連邦、国、地方、州及び地域の各段階で、法案、法律並びに政策を条約とさらに調和させるためにとられた、障害を理由とした差別となる法律及び規則の廃止、政策及び計画の修正と慣行の根絶によるものを含む措置
(b)条約に明記されている権利を実現するために、また、障害のある人の人権の保護及び促進を、全ての政策及び計画、特に持続可能な開発目標の実施に関連した政策及び計画において主流とすることを確保するためにとられた立法措置、行政措置その他の措置
(c)いかなる個人、団体又は民間企業による障害に基づく差別も撤廃するためにとられた措置
(d)障害のある人特有のニーズを考慮し、特に製品、サービス、設備及び施設に関する「ユニバーサルデザイン」の概念に基づいた、情報通信機器を含む新たな機器の研究、開発及び標準化を促進し、障害のある人に対し、その利用可能性、最小限の調節並びに最小限の費用を保証するために導入され、実施された措置
(e)新たな機器とソフトウェアアプリケーションを含む移動補助具、補装具及び支援機器並びに他の形態の援助、支援サービス及び施設に関する情報であって、障害のある人にとって利用しやすいものを提供するためにとられた措置
(f)障害のある人と共に行動する専門家及び職員に対する、条約で認められている権利に関する研修を促進するためにとられた措置
(g)利用可能な手段を最大限用いることによる漸進的な実現を確保するために、明確なベンチマーク、ベースライン及び指標を伴う具体的な行動計画並びにプログラムの形式をとってとられた措置と、経済的、社会的及び文化的人権の実現における後退的措置を避けるためにとられた方策
(h)性別、年齢別、直面する障壁別及び居所別(施設内か施設外か)に分類された、障害に関連する予算の全額と国内総生産に占める割合
(i)障害のある女性の団体及び障害のある子どもの団体を含む障害のある人を代表する多様な団体を支援し、このような団体の存在を可能にし、また、これらの団体と緊密に協議し、条約並びに持続可能な開発目標の実施に関する意思決定過程にこれらの団体を積極的に関与させるためにとられた、資金提供を通じたものを含む措置。これらの団体の参加が、障害のある人を包容し、障害のある人にとって利用しやすい、かつ、他の影響を受けない独立したものであることを確保するための措置
(j)条約の規定を、いかなる制限又は例外もなしに、あらゆる政治・行政段階、農村及び都市、自治地域及び域外管轄地域を含む、締約国の全ての地域について適用することを確保するためにとられた措置

平等及び無差別(第5条)

7. 締約国は、以下のことに関する情報を提供するべきである。 (a)障害のある人が、他の者との平等を基礎として、法律の下で保護される権利を有することを確保するための措置
(b)既存の無差別法に、あらゆる部門及び生活分野における障害に基づく差別の明確な禁止を含めることを確保するための措置。無差別の枠組みに、合理的配慮の否定、及び障害のある人との関係、障害があるという認識、過去及び将来の障害を理由とした差別、並びに複合的で交差的な差別を含む、機能障害に基づくあらゆる形態の差別を含めることを確保するための措置
(c)無差別の枠組みに関して、特に障害のある人と障害のある人を代表する団体の間での適当な普及と意識向上を確保するための措置
(d)障害のある人に対するあらゆる形態の差別を防止し、調査し及び制裁するためにとられた措置、並びに障害のある人による、効果的で利用しやすい、かつ、費用の負担しやすい、救済策の利用の機会を確保するための措置
(e)障害のある人に対する差別事例の調査と制裁の任務を負う独立した仕組みを維持し、指定し及び強化するために、また、制裁が違反の深刻さに見合ったものであることを確保するためにとられた措置
(f)性別、年齢別、特定された障壁別及び差別が発生した部門別に分類された、障害に基づく差別に関する苦情申立ての件数と割合に関する統計、及び制裁措置がとられた事例の件数と割合に関する情報
(g)合理的配慮の否定が、無差別法を含むあらゆる法分野において、禁止されている差別形態として明確に認識されているかどうか、また、「合理的配慮」が公的部門及び民間部門で提供されることを確保するためにとられた措置
(h)障害のある人の事実上の平等を達成するための、十分な財源と人材の配分を伴う、積極的差別是正措置を含む政策及び計画
(i)法律上妊娠中絶が可能な期間について、障害に基づく差別を行わないことを確保するための措置

障害のある女子(第6条)

8. 締約国は、以下のことに関する情報を提供するべきである。
(a)性別と障害の視点が、法律及び政策、あらゆる生活分野、並びに条約によって網羅されるあらゆる領域に盛り込まれること、また、それらの視点を通じて、特定のリスクと疎外化の要因に効果的に取り組むことを確保するためにとられた措置
(b)障害の視点が性別に基づく政策及び計画に盛り込まれること、また逆に、性別の視点が、障害に基づく政策及び計画に盛り込まれることを確保するためにとられた措置
(c)障害のある女性に対する複合的で交差的な形態の差別の防止を目的とした、このような差別を根絶し、差別を受けた女性による司法と救済の適当な利用を確保するための、積極的差別是正措置を含む立法上の措置
(d)積極的差別是正プログラムを含む、適当な財源を伴う、障害のある女性の完全な能力開発、向上及び自律的な力の育成を確保するためにとられた措置
(e)意思決定機関における障害のある女性の数を増やすための、積極的差別是正措置を含む措置

障害のある児童(第7条)

9. 締約国は、以下のことに関する情報を提供するべきである。
(a)家族生活及び地域社会生活を含むあらゆる生活分野、並びに障害のある子どものための地域に根ざしたプログラムとサービスへの、障害のある子どもの参加を確保するためにとられた、適当な予算配分を伴う措置
(b)障害のある子どもの遺棄、放置及び施設収容を防止するためにとられた具体的な立法措置及び行政措置
(c)脱施設化とそのイニシアティブを実行・監視し、障害のある子どもが地域社会において適当な支援と監護を受けることを確保するための取り組み
(d)障害のある子どもとその親及び親族、障害のある子どものために、また、障害のある子どもと共に行動する職員並びに地域社会全体の、障害のある子どもの権利に関する意識を高めるためにとられた具体的な措置
(e)障害のある子どもが、他の者との平等を基礎として、公的部門又は民間部門によって提供される地域に根ざしたプログラム及びサービスを利用する機会を有することを確保するためにとられた措置
(f)子どもの最善の利益の原則が、障害のある子どもに関する法律及び政策の策定、実施、監視及び評価に盛り込まれることを確保するためにとられた措置
(g)障害のある子どもが、自己に影響を及ぼす全ての事項について自由に自己の意見を表明できること、また、その意見が他の子どもとの平等を基礎として、その子どもの年齢及び成熟度に従って相応に考慮されることを確保するためにとられた措置と、これに関連して障害のある子どもを支援するための、年齢及び障害に適した措置
(h)障害のある子どもと障害のある子どもを代表する団体が、彼らに関係のある意思決定過程に有意義な参加をすることを確保するためにとられた措置

意識の向上(第8条)

10. 締約国は、以下のことに関する情報を提供するべきである。
(a)障害のある人の権利と尊厳、障害のある人の能力と社会貢献に関する社会の意識を定期的に向上させるためにとられた、公衆の意識の啓発活動及び戦略を含む措置。これらの戦略が、障害への人権に基づくアプローチにどの程度根ざしているか、条約に従って、障害のある人のイメージをどの程度広めているか、利用しやすい様式及び言語でどの程度実施されているか
(b)障害のある人と障害のある人を代表する団体が、意識向上を図る啓発活動と戦略の策定、実施、監視及び評価に、どの程度関与しているか
(c)年齢及び性に基づくものを含む、障害のある人に対するスティグマ、定型化された観念、偏見、有害な慣行、根の深い文化的信念、否定的な態度、いじめ、ネットいじめ、ヘイトクライム及び差別的言語と戦うためにとられた方策と、その有効性を監視し、評価するために設けられた仕組み
(d)民間が運営するメディアを含む民間部門によって実施される障害のある人に関する意識の啓発活動が、障害のある人に関する人権と尊厳を十分に尊重した認識を促進するものであることを確保するためにとられた措置
(e)幼年期からの全ての子どもに対する教育制度を含む教育制度の全ての段階において、障害のある人の権利を尊重する意識を向上させ、こうした態度を育成するためにとられた措置
(f)公共及び民間のメディアに対し、障害への人権に基づくアプローチに適合するように障害のある人を描写するよう奨励するためにとられた措置。メディア専門家に対し、倫理行動規範において、障害のある人の多様性を考慮するよう奨励するための措置と、障害のある人の尊厳がメディアによって尊重されることを確保するために、適当な研修と意識向上の機会をメディア専門家に提供するための措置

施設及びサービス等の利用の容易さ〔アクセシビリティ〕(第9条)

11. 締約国は、以下のことに関する情報を提供するべきである。
(a)国内のアクセシビリティ計画等、全ての既存の障壁を合理的な期間内に撤廃するためにとられた、効果的な監視と評価の仕組みを持ち、障害のある人を代表する団体との緊密な協議、違反に対する制裁及び十分な財源の配分を伴う措置。公共調達を通じて、アクセシビリティがどの程度促進されているか
(b)民間の団体によって提供されるものを含む、公衆に提供され、又は開放される新規及び既存の施設並びにサービスについて、以下のことを確保するためにとられた措置
(i)障害のある人にとって利用しやすいこと
(ii)ユニバーサルデザインの原則に従って設計されていること
(iii)点字の表示及び読みやすく、かつ、理解しやすい形式の表示を使用した、安全な方法で利用しやすいものであること
(c)障害のある全ての人に、障害のある人を包容する、安全な、かつ、負担しやすい費用の、持続可能な、利用しやすい輸送機関を利用する機会を保障するためにとられた立法上その他の措置
(d)公衆に提供され、又は開放される、印刷及び電子形態の情報通信、並びに情報通信機器及びサービスが、障害のある人にとって十分に利用しやすいものであり、国際的に合意された基準に合致していること、また、障害のある人が、利用しやすく、使用可能な様式及び言語によるそれらのサービスを、負担しやすい費用で利用する機会を有することを確保するためにとられた措置
(e)公共交通機関へ容易にアクセスできる人口の割合(性別、年齢層別、障害者別)(注2)
(f)各都市部の建物密集区域における公共スペースの割合の平均(性別、年齢層別、障害者別)(注3)
(g)関係のある専門家向けの、ユニバーサルデザイン及びアクセシビリティ基準に関する継続的な研修を促進し、その有効性を評価するためにとられた方策
(h)公衆に開放される建物、サービス及びその他の施設のアクセシビリティを促進するため、人又は動物による支援及び仲介する者(案内者、朗読者及び専門の手話通訳を含む)を提供するべくとられた措置

生命に対する権利(第10条)

12. 締約国は、以下のことに関する情報を提供するべきである。
(a)障害のある人が恣意的な生命剥奪の対象とならないことを確保することを含む、障害のある人の、他の者との平等を基礎とした生命に対する権利を承認し、保護するためにとられた立法上その他の措置
(b)障害のある人、特に今なお施設で生活している障害のある子どもと成人の放置、遺棄、隠匿、貧困及び生命を脅かす飢餓や、暴力による障害のある人の死、親による障害のある子どもの故殺、本人の同意なしに治療を終了又は中止することなど、障害のある人の生命に対する権利を侵害する慣行を早期発見し、これと戦い、これを根絶するためにとられた措置
(c)障害のある人の儀式殺人、「慈悲殺」、身体の一部の切断、臓器及び身体の一部の密売、障害のある子どもの間引き又は故殺を含む有害な慣行を根絶するためにとられた立法上その他の措置
(d)障害のある人の生命は他の人の生命と同等の価値を持つという理解を促進し、障害のある人としての人生は「生きる価値がない」という考えを普及しようとする試みを根絶するためにとられた措置
(e)障害のある人の生命が他の人の生命と同等と保障されること、また、生命を脅かす状況における治療に関する全ての決定が、事情を知らされた上での自由な同意を基礎として下されることを確保するための措置

危険な状況及び人道上の緊急事態(第11条)

13. 締約国は、以下のことに関する情報を提供するべきである。
(a)障害のある人と障害のある人を代表する団体が、武力紛争及び自然災害に関するものを含めた災害リスク削減と人道上の緊急事態に係る戦略、計画及び手順について、その策定、実施、監視及び評価、リスクアセスメントの実施と障害別の資料及び災害による損失に関する情報の組織的な収集を含む、あらゆる方策に関する有意義な情報提供を受け、これらについて協議し、積極的に関与することを確保するためにとられた措置
(b)仙台防災枠組(注4)に示されているように、リスクアセスメント、リスク情報の収集・利用可能性・普及、人の経済・社会・健康・文化面の強靭性を強化するための投資、ニーズアセスメント、緊急避難の手順、マルチハザード戦略、早期警報システムと復旧・復興・再建戦略等の災害リスク削減策と災害管理戦略の包摂性とアクセシビリティを確保するために、また、それらが災害リスク及び緊急事態発生時に障害のある全ての人に及び、障害のある人のニーズと権利に合わせて利用しやすい様式及び言語で開発されることを保証するためにとられた措置。これらの措置において、障害のある人の多様なニーズとユニバーサルデザインの原則の適用が、どの程度考慮されているか
(c)早期警報システムを含む、災害リスクと人道上の緊急事態に関する適切で利用しやすい、かつ、適時の情報を、障害のある人、特に疎外化のリスクが高い人に提供することを目的として、マスメディアの使用を最適化するためにとられた方策
(d)危険な状況における障害のある人の生命と安全の保護を確保するためにとられた、特に、必要な補装具及び利用しやすいモバイルアプリケーション、利用しやすい避難所、救助その他のサービス並びに施設、社会的支援及び医療サービス/治療、訓練を受けた救助チームと、障害のある人の多様なニーズを考慮した、利用しやすい意思疎通手段の提供を通じたものを含む措置
(e)緊急事態後の復興・再定住・再建の過程が、特にユニバーサルデザインとより良い復興の原則の適用を通じて、障害のある人を包容し、障害のある人にとって利用しやすいリスクアセスメントに基づいて進められることを確保するためにとられた方策
(f)民間防衛・救助・緊急事態担当職員及びその他の関係のある人道的行為主体に対し、危険な状況及び人道上の緊急事態において、人権と誰も取り残さないという原則に基づき、年齢と障害の視点を取り入れることについて、定期的かつ効果的に教育するためにとられた措置

法律の前にひとしく認められる権利(第12条)

14. 締約国は、以下のことに関する情報を提供するべきである。
(a)障害のある全ての人が法律の前に等しく認められることに関する意識を向上させ、教育啓発活動を実施するためにとられた方策
(b)障害のある人の、他の者との平等を基礎とした完全な法的能力を明確に認めるために、また、障害のある人の完全な法的能力を、実際の機能障害あるいは機能障害があるという認識に基づき、直接的若しくは間接的に制限する法律を廃止するためにとられた立法上の措置
(c)障害のある全ての人が、生活のあらゆる側面において、他の者との平等を基礎として法的能力を享有することを確保するために締約国によってとられた方策。特に、障害のある人がその心身をそのままの状態で維持することについての平等の権利、市民として完全参加し、財産を所有し、又は相続し、自己の会計を管理し、公的部門及び民間部門の両方において銀行貸付け、抵当その他の形態の金融上の信用並びに銀行手続を利用する均等な機会を有する権利と、その財産を恣意的に奪われない権利を確保するための措置
(d)後見人制度、禁治産制度及び/又は保佐人制度の実施及び/又は契約件数と、条約批准後に法的能力を取り戻した障害のある人の数
(e)障害のある人がその法的能力を行使するに当たって、個別化された支援を利用する機会を有すること、そのような支援が、障害のある人の自律、意思及び選好を完全に尊重するものであり、事情を知らされた上での本人の自由な同意に基づき、また、該当する場合には、法律の前にひとしく認められることに関する委員会の一般的意見第1号(2014)に従い、「意思と選好の最善の解釈」の検証に十分基づき、提供されることを確保するためにとられた措置
(f)提供される支援が、障害のある人の権利、自律、意思及び選好を尊重し、不当な影響、違法行為及び利益相反から障害のある人を保護するものであることを確保するための、支援付き意思決定の制度及び/又は取り決めの濫用に対する予防策の存在。障害のある人が、そのような状況に対する救済策を利用する機会を、どの程度有しているか

司法手続の利用の機会(第13条)

15. 締約国は、以下のことに関する情報を提供するべきである。
(a)障害のある全ての人の、法的手続のあらゆる段階において司法手続を利用する完全かつ無制限の効果的な機会と、代替的な論争解決策及び修復的司法の効果的な利用の機会を確保するためにとられた措置。そのような措置に、司法手続の利用の機会に関する国家行動計画の策定が含まれているかどうかに関する情報
(b)障害のある全ての人が、他の者との平等を基礎として法的支援を利用する機会を有することを確保するためにとられた措置
(c)障害のある全ての人の司法制度への効果的な参加を、彼らがどのような立場(原告、被上訴人、証人、陪審員、訴訟関係者又は被告など)に置かれたとしても確保するために、法的手続全般にわたり手続上の配慮及び年齢に適した配慮の利用可能性を確保するための措置
(d)障害のある人、特に今なお何らかの施設やグループホームで生活している障害のある人に対し、司法制度における法的支援、救済策、是正策、代替的な論争解決策及び修復的司法を含む司法手続の利用の機会に対する権利について、意識向上を図り、利用しやすい情報を提供するためにとられた方策
(e)弁護士、治安判事、裁判官、刑務所職員、手話通訳者及び警察官・刑務官を含むがこれらに限定されない職員を対象とした、障害のある人の権利に関する効果的な研修を確保するためにとられた措置

身体の自由及び安全(第14条)

16.締約国は、以下のことに関する情報を提供するべきである。
(a)自己又は他者にとって危険である、又は監護や治療が必要であるという推定など、単一の基準あるいは他の基準との併用による、実際の機能障害又は機能障害があるという認識、若しくは実際の知的能力又は知的能力が劣っているという認識に基づき、障害のある人の自由の剥奪を容認する精神保健法、法的能力・家族法を含むあらゆる法律及び政策を廃止し、またそのような慣行を根絶するためにとられた措置
(b)障害のある人、特に心理社会的障害のある人の、本人の意思に反した、又は強制的な施設収容、強制治療、制約あるいは隔離を容認し、義務付け、あるいは許容する、あらゆる法律又は政策を廃止するために、若しくはそのような慣行を根絶するためにとられた方策。入院治療を受けるか外来治療を受けるかという選択を含む、入院及び外来でのメンタルヘルスサービスの運営基準として、事情を知らされた上での本人による自由な同意という要件を法律に盛り込むためにとられた措置
(c)障害のある人が他の者との平等を基礎として、手続上の配慮及び年齢に適した配慮の提供を通じたものを含む、自由の剥奪の合法性評価に関する法的手続を利用する機会を有することを確保するためにとられた措置
(d)障害のある人が、あらゆる訴訟において、他の全ての者との平等を基礎として、手続保障を与えられることを確保するためにとられた措置
(e)保安処分及び/又はその他の形態の自由の剥奪につながる手続を含む、障害のある人が、「裁判に耐えられる状態ではない」、「答弁ができる状態ではない」、無能力、若しくは刑事告発及び/又は責任を免除されるとの判断を下されるよりどころとなるあらゆる手続を、法律から撤廃するためにとられた措置
(f)実際の機能障害又は機能障害があるという認識、若しくは自己又は他者にとって危険であるという推定に基づき、不法に、又は恣意的に自由を剥奪されてきた障害のある人、特に心理社会的障害のある人の、脱施設化を促進するための措置
(g)刑事司法制度とかかわったことがある障害のある人のためのダイバージョンプログラムに、本人の意思に反した、あるいは強制的な、服薬又は治療を含めないことを確保するために設けられた措置

拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰からの自由(第15条)

17.締約国は、以下のことに関する情報を提供するべきである。
(a)法律及び慣行において、いかなる者も、本人の意思に反した、あるいは強制的な施設収容、隔離又は身体的、化学的若しくは機械的拘束の使用、本人の意思に反した、あるいは強制的な治療、強制不妊手術及び去勢、若しくはその他の本人の同意なき治療又は処置、体罰、電気けいれん療法、及び本人の意思に反した、あるいは過剰な薬物治療の事例を含む、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けることがないことを確保するためにとられた方策
(b)公的機関で行われるか民間機関で行われるかを問わず、全ての医学研究、実験又は治療が、障害のある人の事前に十分に事情を知らされた上での自由な同意を得て実施されることを確保し、かつ、支援付き意思決定を確保するためにとられた措置
(c)自由を剥奪されている障害のある人が、虐待又は拷問を防ぐ手段として、適当な生活環境、アクセシビリティ及び合理的配慮を得ることを確保するためにとられた措置
(d)拷問を防止する効果的な国の仕組みを設置し、障害のある人が自由を剥奪される可能性がある、自宅及び全ての居住型施設を含むあらゆる状況を監視する責務をこれに課すためにとられた方策。こうした国の仕組みによる監視活動が、性別と年齢にどの程度配慮したものであるか
(e)虐待又は拷問という行為が捜査され、適当な場合には加害者が訴追され、また、そのような行為を受けた者が、公正かつ適切な補償、賠償及びリハビリテーションを受けることを確保するためにとられた措置 (f)メンタルヘルスサービス及び施設の職員を含む、障害のある人のために、また、障害のある人と共に行動している職員に対し、障害のある人の心身がそのままの状態で尊重される権利を含む障害のある人の権利に関して、定期的かつ効果的に研修を行うためにとられた措置。この事項に関する研修又は意識向上活動が、さらに家族、介護者及び地域社会を対象として、どの程度実施されてきたか

搾取、暴力及び虐待からの自由(第16条)

18.締約国は、以下のことに関する情報を提供するべきである。
(a)あらゆる形態の搾取、暴力及び虐待から障害のある人を保護し、かつ、これらに対応するためにとられた、年齢、性別及び機能障害を考慮した、政策及び計画を含む措置。これらの目的に向けて、あらゆる既存の法律、政策及び戦略において、障害がどの程度主流となっているか、また、性別及び障害に基づく暴力にどの程度取り組んでいるか
(b)障害のある人、特に障害のある女性と子ども、並びに公的及び私的領域において最も疎外されている人に対する、搾取、暴力又は虐待を防止するためにとられた、性別及び年齢に配慮した、利用しやすい意識向上・教育・情報啓発活動、法執行機関その他の官僚に対する研修、並びに社会的支援サービス及びネットワークの開発等の措置
(c)障害のある人に対する搾取、暴力又は虐待の事案の早期発見と、そのような事案を認識し、報告する方法に関する、利用しやすい様式による情報、援助及び支援の障害のある人への提供、並びに搾取、暴力又は虐待を受けた人のための利用しやすい保護施設を含む支援サービスの利用可能性とアクセシビリティを確保するためにとられた措置。それらの措置が、どの程度個別化されたものであり、性別と年齢に配慮したものであるか
(d)適当に資源提供された、利用しやすい苦情申立ての仕組みを通じて、障害のある人に対する搾取、暴力又は虐待の事案を効果的に捜査するため、また、適当な場合には、加害者を訴追し、搾取、暴力又は虐待を受けた人に対して、性別と年齢に配慮した身体的、認知的及び心理的な回復、リハビリテーション並びに社会復帰サービス及びプログラムを提供するためにとられた措置
(e)過去12か月における身体的又は性的ハラスメントの犠牲者の割合(性別、年齢、障害状況、発生場所別)(注5)
(f)障害のある人の家族、介護者、医療関係者その他の職員の間で、あらゆる形態の搾取、暴力及び虐待を認識し、その発生を回避・防止し、搾取や虐待を受けた障害のある人の特定と照会に関する手順を開発するためにとられた措置
(g)第16条(3)で想定されている独立した監視当局が設立され、その任務を実行するために十分な資源を提供されることを確保するためにとられた措置

個人をそのままの状態で保護すること(第17条)

19.締約国は、障害のある人の心身を、他の者との平等を基礎として、そのままの状態で保護するためにとられた措置に関する情報、特に、本人の意思に反した施設収容や、障害のある女性の場合は強制不妊手術及び強制妊娠中絶等、事情を知らされた上での本人の自由な同意を伴わない医療又はその他の取扱いに関する情報を、提供するべきである。

移動の自由及び国籍についての権利(第18条)

20.締約国は、以下のことに関する情報を提供するべきである。
(a)障害のある人が、他の者との平等を基礎として、国籍を取得し又は変更し、その国籍を機能障害に基づいて剥奪されない権利、また、居住地を選択し、自国に戻り、あるいは他国を離れる権利を含む、移動の自由を行使する権利を有することを確保するためにとられた措置
(b)法律及び慣行における障害に基づく差別を根絶し、移住、亡命、パスポート及び入国許可証並びに居住許可証の発行に関連した手続及び手順における障害のある人の平等な取扱いを確保するためにとられた措置
(c)障害のある移住者、難民及び亡命希望者が、移住手続において適当な支援と合理的配慮を提供されることを保障するためにとられた措置
(d)遠隔地や農村に住む障害のある人と、今なお施設で生活している障害のある人が、文書に記録され、身分証明書を所持することを保障するためにとられた行動
(e)障害のある全ての新生児が、出生時に登録され、氏名と国籍を与えられることを確保するためにとられた措置。障害のある子ども、特に遠隔地や農村に住んでいる子ども、国内避難民の子ども、あるいは難民キャンプで生活している子どもの早期登録を確保するために、出生登録制度への資源提供がどの程度適当に行われているか
(f)障害のある子どもの親に、その子どもが出生の後に登録され、国籍を取得し、父母を知り、かつ、その父母によって養育される権利に関する情報と支援を提供するためにとられた措置

自立した生活及び地域社会への包容(第19条)

21.締約国は、以下のことに関する情報を提供するべきである。
(a)年齢、性別及び機能障害のいかんを問わず、障害のある人が居住地を選択し、誰と生活したいかを選択し、その個別のニーズに基づき社会的支援及び保障を利用する機会を有する権利を認めるためにとられた立法上の措置 (b)障害のある全ての人が、居住地の選択及びどこで誰と生活するかの選択において、自律と自己決定を維持し、特定の生活施設で生活する義務を負わないこと、また、地域社会における障害のある人を包容する施設の選択に関して、自分自身で決定することを確保するためにとられた措置
(c)居住地のいかんを問わず、障害のある人がパーソナルアシスタンスを含む様々な在宅サービス、居住サービスその他の地域社会支援サービスを利用する機会を有すること、また、それが障害のある人自身によって管理・運営され(自立生活スキーム)、障害のある人の個別のニーズと選好を考慮したものであることを確保するためにとられた措置
(d)自立した生活のための、年齢、性別及び機能障害に配慮した支援及びサービスの利用可能性に関する障害のある人の認識を高めるために設けられた措置
(e)金融危機の際にとられるいかなる措置も、障害のある人に不当に影響を与えることがないように、また、そのような措置により、障害のある人に対する地域に根ざしたサービスと社会的支援が削減され、その結果、障害のある人が自立した生活をおくり、地域社会に包容される能力が低下すること、あるいは孤立又は隔離にさらされることを防止するためにとられた方策
(f)一般住民向けに提供される、住宅を含む地域に根ざした一般のサービス及び施設が、障害のある人にとって利用しやすく、負担しやすい費用の、利用可能なものであり、障害のある人の個別のニーズを考慮し、性別、年齢及び機能障害に配慮したものであることを確保するためにとられた措置
(g)障害のある人及び障害のある人を代表する団体を、地域に根ざしたサービスの提供に関する政策の策定、実施、監視及び評価に、他の者との平等を基礎として関与させるためにとられた措置
(h)ベースライン、指標、目標、ベンチマーク、期限及び十分な予算配分を伴う、採用され、実施された脱施設化戦略及び計画。これらの戦略及び計画が、どの程度持続可能であるか、障害への人権に基づくアプローチをどの程度統合したものか、誰もその機能障害に基づき、いかなる種類の施設での生活も、また施設に戻されることも強制されないことを、どの程度確保しているか、これらの戦略及び計画の策定及び実施に、障害のある人が障害のある人を代表する団体を通じて、どの程度完全かつ有意義に関与しているか
(i)長期滞在型居住施設の職員を再度訓練し、その後、地域に根ざしたサービスに従事させるためにとられた方策
(j)地域社会における脱施設化型の住居と監護及び個別化された個人向けの社会保障並びに支援へと移行するために実施された取り組みと方策を示す、特に性別及び年齢別に分類された資料。障害のある人が、居住地のいかんを問わず、自分には自己選択をする十分な能力があり、それゆえ日常生活に関する重要な選択をコントロールできると、どの程度認識しているか

個人の移動を容易にすること(第20条)

22.締約国は、以下のことに関する情報を提供するべきである。
(a)障害のある人が、負担しやすい費用かつ受け入れ可能な質の、ユニバーサルデザインに基づく、個別化されたニーズに対応した、障害のある人の自律を高める、必要な個人用移動補助具、補装具その他の支援機器、人又は動物による支援及び仲介する者を利用する機会を有することを確保するためにとられた、公的調達を通じたものを含む措置
(b)移動補助具、補装具その他の支援機器について調査研究し、これらを開発し、設計し、及び生産する事業体に対し、障害のある人の移動のあらゆる側面を考慮するよう奨励するためにとられた措置
(c)子どもを含む障害のある人及び専門職員に対して、移動のための技能に関する研修を提供するためにとられた措置
(d)自発的な、かつ、自立した移動を行う能力をもたらす移動補助具、補装具その他の支援機器を、障害のある人が入手できるよう支援するための公共予算の割合

表現及び意見の自由並びに情報の利用の機会(第21条)

23.締約国は、以下のことに関する情報を提供するべきである。
(a)障害のある人が、他の者との平等を基礎として、あらゆる形態の意思疎通であって自ら選択するものにより、表現及び意見の自由についての権利を行使することができることを確保するためにとられた立法上その他の措置
(b)一般公衆に提供される情報が、様々な種類の機能障害に相応した利用しやすい様式及び機器により、適時に、かつ、追加の費用を伴わず、障害のある人にも利用可能であることを確保するためにとられた立法上その他の措置
(c)一般公衆に対してインターネットによるものを含むサービスを提供する民間の団体及び情報を提供するマスメディアが、最新のウェブ・アクセシビリティ・イニシアティブ基準の使用及び順守を確保することを通じたものを含め、障害のある全ての人にとって利用しやすい形態及び様式により、これらを行うことを確保するためにとられた立法上その他の措置 (d)手話を公式な言語として認めるためにとられた措置、及び手話の学習、専門の手話通訳の利用可能性並びにあらゆる場面、特に教育、職場及び地域社会での手話の使用を促進するためにとられた、予算配分を含む措置
(e)最新のウェブ・コンテンツ・アクセシビリティ・ガイドラインを順守している公開ウェブサイトの割合 (f)公共テレビチャンネル、民間チャンネル及びウェブプラットフォームにおける、字幕(サブタイトル)/キャプション/質の高い手話通訳/質の高い音声解説が提供されている初回(生)放送(時間)の割合及び再放送(時間)の割合

プライバシーの尊重(第24条)

24.締約国は、以下のことに関する情報を提供するべきである。
(a)機能障害、性別、年齢、居住地又は生活施設のいかんを問わず、障害のある全ての人のプライバシー、家族生活、通信、名誉及び信用を尊重する権利を、他の者との平等を基礎として保護するためにとられた措置
(b)障害のある人のプライバシーの権利に対する恣意的な及び/又は不法な干渉があった場合にとられる、適当な、かつ、利用しやすい苦情申立ての仕組み及び手続を含む措置、並びにプライバシーの権利の侵害があった場合にとられる、効果的な、かつ、利用しやすい救済策
(c)サービス提供者、介護を専門としている者及び障害のある人に支援を提供しているその他の人が、恣意的な干渉を回避し、倫理行動規範に対する説明責任を果たせるように、障害のある人の私生活及び家族生活に対する権利を認め、これに関する研修を適切に受けることを確保するためにとられた措置
(d)居住地のいかんを問わず、カルテ及びリハビリテーション関連情報を含む、障害のある人の個人資料、デジタル化されたデータベース及び記録のプライバシーを、不法な及び恣意的な干渉から保護するためにとられた措置

家庭及び家族の尊重(第23条)

25.締約国は、以下のことに関する情報を提供するべきである。
(a)障害のある全ての人が、婚姻、家族、親子関係及び個人的な関係に係る権利を、差別なしに、他の者との平等を基礎として、自由かつ完全な合意に基づいて行使することを確保するためにとられた立法上その他の措置
(b)婚姻をすることができる年齢の障害のある全ての人が、他の者との平等を基礎として、自由かつ完全な合意に基づいて婚姻をし、かつ、家族を形成する権利を確保するためにとられた措置
(c)性及び生殖に係る保健サービスに関する情報が、障害のある人に利用しやすい様式で、かつ、プライバシーを尊重する方法で提供されることを確保するためにとられた措置、並びに性及び生殖に係る健康に関する、性別及び年齢に適した情報、教育及びサービスの効果的な利用の機会を確保するためにとられた措置と、このような措置に、家族の尊重、家族計画・介助出産・養子縁組又は養育プログラムの利用の機会に関する権利の行使に必要な支援の提供が含まれるかどうか。医療従事者その他の専門家並びに障害のある人の支援者が、このような事案について、定期的に、かつ、適切に研修を受け、敏感に反応するようになることを確保するためにとられた措置 (d)特に障害のある女性と、今なお後見人制度又はその他の代替的意思決定の取り決めの下にある人に対して、子どもを含む障害のある人の生殖能力を保持する権利を保護するためにとられた、強制的な、本人の意思に反した不妊手術及び中絶の禁止を通じたものを含む措置
(e)障害のある人が、子の後見、養子縁組又はこれらに類する制度に係る権利と責任を、他の者との平等を基礎として行使すること、並びにあらゆる場合において、子の最善の利益が至上であることを確保するためにとられた措置
(f)障害のある親が要求した場合には、利用しやすく、かつ、障害のある人を包容する地域社会による支援を含む、養育責任に対する適切な支援が提供されることを確保するためにとられた措置
(g)障害のある子どもの隠匿、遺棄、放置又は隔離を防止するため、障害のある子どもの父母及び家族に対し、様々な在宅サービス、居住サービス及び地域に根ざした質の高い支援サービスを提供するためにとられた措置
(h)いかなる子どもも、自己又は父母の一方若しくは双方の機能障害を理由に、親から分離されないことを確保するためにとられた措置
(i)親が監護することができない障害のある子どもの施設収容を防止し、このような子どもに一層広い範囲の家族による代替的な監護を提供し、またこれが可能でない場合には、一層広い地域社会の中の家庭的な環境における代替的な監護を提供するためにとられた措置。ベースライン指標、ベンチマーク及び期限を伴う脱施設化戦略並びに計画が、障害のある子どもが家族生活に対する権利を行使するための適切な支援と共に、どの程度採用されてきたか

教育(第24条)

26.締約国は、以下のことに関する情報を提供するべきである。
(a)障害のある全ての人の、インクルーシブ教育に対する実質的な、かつ、法的強制力のある権利と、全ての学校で適用される明白な「拒絶禁止」条項、並びに合理的配慮を提供される権利を含む、障害のある人を包容する質の高い教育について、教育に関する法律で、インクルーシブ教育を明確に理解した上で規定することを確保するための措置。機能障害に基づき教育から排除された場合、効果的な救済策が施されることを確保するためにとられた措置
(b)実現に必要な状況を生み出すために関連省庁による合意を得、かつ、十分な予算を配分された、差別のない、機会均等を基礎とし、条約に従った、教育制度改革のための漸進的かつ総合的な政策と、インクルーシブ教育を実施するための戦略の存在。そのような戦略の策定、実施、監視及び評価に、障害のある人が障害のある人を代表する団体を通じて、どの程度有意義に関与しているか
(c)障害のある全ての子どもがインクルーシブ教育の場に参加することを可能にする、すなわち、学校に通っていない障害のある子どもや、分離された学校に通っている障害のある子ども、又は短時間のみ学校に通っている障害のある子どもの数を減らすための措置、並びに利用しやすいカリキュラム、物理的アクセス及び利用しやすい意思疎通の手段及び形態を基礎とする普通の就学前学校、初等・中等学校に通う障害のある子どもの数を増やすための措置
(d)障害のある人に関する教育政策の実施及び評価の責任が教育省にあることを確保するためにとられた措置
(e)障害のある人のインクルーシブ教育に対する権利を実施するためにとられた積極的差別是正措置に関する情報
(f)利用しやすいカリキュラム、物理的なアクセス及び利用しやすい意思疎通の手段と形態等、障害のある人にとって利用しやすい、障害のある人を包容する教育施設の数と割合
(g)今なお分離された環境に置かれている障害のある生徒と、分離された環境から適切な個別化された支援を伴う普通のインクルーシブ教育の環境へと移された生徒の数と割合
(h)インクルーシブな普通教育機関に入学し、初等教育を修了した障害のある生徒の数と全生徒数に対する割合、並びに中等・高等教育機関に入学した障害のある生徒・学生の数と全生徒・学生数に対する割合。初等・中等・高等教育における全生徒・学生の退学率と比較した障害のある生徒・学生の退学率。教育及び職業訓練の全ての段階を利用する機会を有する障害のある女性の割合(注6)
(i)電気、教育を目的としたインターネット、教育を目的としたコンピュータ、障害を持っている学生のための適切な施設や道具、男女別の基本的なトイレ、基本的な手洗い場(「全ての人のための水と衛生」指標の定義に従ったもの)が利用可能な学校の割合 (注7)
(j)障害のある人が障害に基づいて通常の教育制度から排除されないこと、及び障害のある子どもが機能障害に基づいて、無償の、かつ、義務的な初等教育から、又は中等教育から、排除されないことを確保するためにとられた措置
(k)学校を選定(割り当て)することを目的とした、障害のある人の機能障害に基づくアセスメントを廃止し、その代わりに、普通のインクルーシブ教育の環境に障害のある人が効果的に参加できるよう、障害のある人の支援ニーズの早期発見を行うためにとられた措置
(l)障害のある人が、他の者との平等を基礎として、自己の生活する地域社会において、障害のある人を包容し、質が高く、かつ、無償の、就学前教育、初等教育及び中等教育を享受することができることを確保するための措置
(m)障害のある人に合理的配慮が提供されることを確保するためにとられた立法上その他の措置
(n)個別化された支援計画を通じたものを含む、障害のある生徒が通常の教育制度の中で必要とする、彼らの意見、意思及び選好を十分に考慮した支援を利用する機会を有することを確保するためにとられた措置、並びに障害のある人、特に高レベルの支援を必要としている人に対する効果的な教育を容易にするための措置
(o)障害のある人及びその教育並びに言語/意思疎通のニーズの早期発見を確保するためにとられた、障害への人権に基づくアプローチに従った、かつ、差別的でない措置
(p)点字、その他の代替的な文字、意思疎通の補助的及び代替的な形態、多様な手段及び様式、発話及び口話の技能と、定位及び移動のための技能の習得を容易にするためにとられた方策、並びに障害のある人相互による支援及び助言を容易にするためにとられた方策
(q)幼児期からの手話の習得及びろう社会の言語的な同一性の促進を容易にするためにとられた方策
(r)盲人、ろう者又は盲ろう者、特に盲人、ろう者又は盲ろう者である子どもの教育が、その個人にとって最も適当な言語並びに意思疎通の形態及び手段で、かつ、学問的及び社会的な発達を最大にする環境において行われることを確保するためにとられた方策
(s)公的部門及び民間部門の両方における、学習支援アシスタント及び専門の支援スタッフを含む全ての教員及び学校職員を対象とした、インクルーシブ教育の発展を支援する計画を確保するためにとられた措置
(t)インクルーシブ教育についての研修を受けた、通常の教育及び特別支援教育に従事する教員の割合
(u)普通教育制度において、手話及び/又は点字について能力を有する、障害のある教員を含む教員を雇用するためにとられた、積極的差別是正措置を含む措置
(v)障害のある人が、差別なしに、かつ、他の者との平等を基礎として、一般的な高等教育、職業訓練、成人教育及び生涯学習を効果的に享受することを確保するための、予算配分及び合理的配慮の提供を含む、立法上の措置及び政策

健康(第25条)

27.締約国は、以下のことに関する情報を提供するべきである。
(a)障害のある全ての人が、他の者との平等を基礎として、負担しやすい費用の、利用しやすく、質の高い、かつ、文化に配慮した、支援機器及び適応技術を含む、公私の場面での、性及び生殖に係る健康並びにメンタルヘルス及び心理社会的支援の各分野におけるものを含めた保健サービスを利用する機会を有することを確保するためにとられた措置
(b)医療サービス、介入及び治療に関する全ての情報と、一般公衆向けの健康啓発活動を含む健康増進イニシアティブが、障害のある人のニーズを認めるものであり、様々な様式及び言語による、障害のある人が利用しやすいものであることを確保するための立法上その他の措置
(c)保健サービス及び施設のアクセシビリティを改善するための予算配分。農村・都市別に分類された、一般保健予算に占める割合
(d)二次障害の発現を防止し、最小限に抑えるための、子ども、女性及び高齢者に特別な注意を払う保健サービス、早期発見及び介入プログラムが、農村も含めて利用可能であり、適当であることを確保するための措置
(e)障害のある全ての人、特に障害のある女性が、農村を含む自己が生活する地域社会において、様々な保健サービス及びリハビリテーションサービスを利用する機会を有することを確保するためにとられた措置
(f)全ての保健サービス及び治療、特に性と生殖に係る保健サービスが、障害のある人に、事情を知らされた上での自由な同意に基づき提供されることを確保するためにとられた立法上その他の措置
(g)障害への人権に基づくアプローチと、障害のある人の尊厳、自律及びニーズの尊重が、地域社会における保健医療従事者を含むあらゆる医療及び保健専門家の研修課程、並びに締約国の全領土における公的医療及び民間医療の倫理基準に取り入れられることを確保するためにとられた措置
(h)健康保険、生命保険その他の関連保険の利用の機会における障害に基づく差別からの保護を確保するためにとられた措置
(i)障害に基づく医療サービスの差別的な拒否を防止するためにとられた措置。障害のある高齢者が、加齢に関連した保健サービスを利用する機会を得るに当たって差別されないことを確保するための措置。障害のある女性が、障害のない女性と平等な、性と生殖に係る健康についての情報を利用する機会を有することを確保するためにとられた措置

ハビリテーション(適応のための技能の習得)及びリハビリテーション(第26条)

28.締約国は、以下のことに関する情報を提供するべきである。
(a)障害のある人のためのハビリテーション及びリハビリテーションサービス並びにプログラムが、最大限の自立、十分な身体的、精神的、社会的及び職業的な能力、並びに生活のあらゆる側面への完全な包容及び参加を達成し、及び維持することを可能とするために策定され、実施されることを確保するためにとられた措置。それらのサービス及びプログラムが、障害への人権に基づくアプローチをどの程度考慮して策定され、実施されているか、早期介入及び分野横断的な介入をどの程度含んでいるか、年齢及び性別の視点と障害のある人相互による支援をどの程度取り入れているか、どの程度負担しやすい費用の、かつ、利用しやすいものであるか、適当な支援機器及び適応技術をどの程度採用しているか
(b)障害のある人のハビリテーション及びリハビリテーションサービス並びにプログラムへの参加が、利用しやすく、包括的・分野横断的な、かつ、人権に基づくものであることを確保するためにとられた措置及び手続と、プログラムが自発的な性格のものであり、障害のある人を代表する団体との緊密な連携の下に策定されることを確保するためにとられた措置
(c)リハビリテーション及びハビリテーションサービス並びにプログラムが、農村を含む地域社会の可能な限り近くにおいて提供されることを確保するためにとられた措置。障害のある人が属する地域社会で利用可能な、地域に根ざしたハビリテーション及びリハビリテーションの選択肢の数と割合
(d)障害への人権に基づくアプローチが、障害のある人のためのハビリテーション及びリハビリテーションプログラムに従事する専門家及び職員に対する研修課程並びにガイドラインに盛り込まれることを確保するためにとられた措置
(e)障害のある人のために設計された補装具、移動補助具及び現代技術であって、ハビリテーション及びリハビリテーションに関連するものの利用可能性、知識及び使用を促進するためにとられた、国際協力を通じたものを含む措置
(f)リハビリテーションのイニシアティブが、分野横断的な、かつ、満足のいく質のものであると考えている障害のある人の数と割合

労働及び雇用(第27条)

29.締約国は、以下のことに関する情報を提供するべきである。
(a)障害のある人が他の者との平等を基礎として、障害のある人に対して開放され、障害のある人を包容し、及び障害のある人にとって利用しやすい労働環境において、労働を自由に選択し、又は承諾する権利、特に、労働市場において自由に選択された労働についての権利を行使することを、法律及び慣行で認め、確保するためにとられた、積極的差別是正措置を含む措置
(b)障害のある人が障害のある人を代表する団体を通じて、開かれた労働市場への障害のある人の包容を促進する政策及び計画の策定と実施に、どの程度積極的に関与してきたか
(c)障害のある人に福祉作業所以外の労働の機会を提供し、今なおこうした環境で働いている障害のある人が、同一価値の労働についての同一報酬を含む公正な労働条件を享受することを確保するためにとられた措置
(d)障害のある人、特に障害のある女性の、公的部門における雇用及びあらゆる形態の自由に選択された雇用における差別を含む、募集、採用、雇用の継続及び昇進等の全ての雇用段階における差別からの保護を確保するためにとられた措置、並びに障害のある人の、他の者との平等を基礎とした労働についての権利、特に、同一価値の労働についての同一報酬の権利を認めるためにとられた措置
(e)障害のある人、特に障害のある女性のための、均等な機会及び同一価値の労働についての同一報酬を含む、平等、公正かつ良好な労働条件、嫌がらせからの保護を含む、安全かつ健康な作業条件及び苦情に対する救済を確保するためにとられた措置
(f)雇用と労働条件に係る全ての事項における差別に取り組むために設けられた、障害のある人を対象とした仕組みと手続。苦情申立ての件数とその結果に関する統計資料
(g)障害のある人が他の者との平等を基礎として労働及び労働組合についての権利を行使することができることを確保するためにとられた措置
(h)障害のある人が技術及び職業の指導に関する一般的な計画、職業紹介サービス並びに職業訓練及び継続的な訓練を利用する効果的な機会を有することを確保するためにとられた立法上の措置、予算措置、行政上その他の措置
(i)開かれた労働市場における、障害のある人、特に障害のある女性の、雇用機会及び昇進、並びに職業を求め、これに就き、これを継続し、及びこれに復帰する際の支援を促進するためにとられた措置。公企業及び民間企業の民営化、人員削減及び/又は財政再建の結果、解雇された障害のある人の再雇用を容易にするためにとられた措置とその影響
(j)起業家精神の促進に向けて、自営業及び自己雇用プログラムを奨励するためにとられた措置
(k)公的部門における障害のある人の雇用に関する、性別で分類された資料
(l)積極的差別是正措置を含む、民間部門における障害のある人の雇用促進に関する措置の影響
(m)職場において合理的配慮が障害のある人に提供されること、障害のない雇用主及び労働者が合理的配慮に関する定期的な研修を利用できること、及び合理的配慮の否定があった場合、制裁措置がとられることを確保するために設けられた措置
(n)雇用の過程で障害を有することとなった人を含む障害のある人が、専門的な職業リハビリテーション、職業の保持及び職場復帰計画の利用の機会を有することを確保するためにとられた措置
(o)公的部門及び民間部門の両方における、経済活動人口全体に対する障害のある人の経済活動人口の、性別、職種別その他の関連要因別に分類された、雇用に関する統計資料。障害のない男女の雇用率との比較
(p)女性及び男性労働者の平均時給(職業、年齢層、障害者別)(注8)
(q)失業率(性別、年齢層、障害者別(注9)
(r)障害のある人が強制労働、搾取又は奴隷の対象とならないことを確保するためにとられた、意識向上の取り組み、監視及び苦情申立ての仕組みを含む措置

相当な生活水準及び社会的な保障(第28条)

30.締約国は、以下のことに関する情報を提供するべきである。
(a)障害のある人、特に障害のある女性と子どもが、他の者との平等を基礎として、相当な食糧、衣類及び住居を含む、適当な、利用しやすく、かつ、費用の負担しやすい一般の社会的な計画及びサービスを利用する機会を有することを確保するためにとられた措置
(b)金融危機の際にとられる措置により、障害のある人、特に障害のある女性、子ども、高齢者及び低所得層向けの住宅に住む障害のある人の権利、若しくは彼らが一般の社会的な計画及び障害に応じた社会的な計画を利用する機会を獲得する能力に、不利かつ差別的な影響が及ぶことはないという保証
(c)一般の社会的な計画及び障害に応じた社会的な計画における障害のある人の適格基準並びに支援水準が、障害のある人が直面する障壁と障害に関連する追加費用を考慮することによるものを含む、人権に基づくアプローチに従ったものであることを確保するためにとられた措置
(d)障害のある人を対象とした給付金及び手当が、本人に直接支払われることを確保するために設けられた法的措置又は政策措置、若しくは規則
(e)中位所得の半分未満で生活する人口の割合(年齢、性別、障害者別)(注10)
(f)障害のある人が一般の社会的な保障に関する計画及び障害に応じた社会的な保障に関する計画を利用する機会(物理的な利用の機会及び情報を利用する機会)を十分に有することを確保するためにとられた措置。そのような計画の存在についての認識を高めるためにとられた措置の詳細
(g)公共スペースにおける水及び衛生施設が、障害のある人にとって利用可能であり、かつ、完全に利用しやすいことを確保するためにとられた措置
(h)条約に従い、障害のある人に割り当てられた社会保障予算の、社会保障予算全体に占める割合
(i)特に障害の問題に取り組み、社会的保護の床アプローチにおいて障害を主流とするために設けられた措置
(j)社会保障制度によって保護されている人口の割合(性別、子供、失業者、年配者、障害者、妊婦、新生児、労務災害被害者、貧困層、脆弱層別)(注11)
(k)貧困削減に関連する戦略において障害を主流とすることを確保するための、障害のある人、特に女性及び高齢者に対する特別な措置を含む措置
(l)先住民、移民、貧困の状況において生活している人、農村在住の人など、特に排除されている人を含む障害のある人による、社会的な保障、特に性別と年齢に適した、かつ、障害に関連する追加費用をまかなう貧困削減に関する計画並びに戦略の利用の機会を確保するためにとられた措置
(m)障害のある人に対する援助及び支援に、適当な研修、カウンセリング、現金給付及び現物支給等の財政的援助、並びに介護者の休息のための一時的な介護(レスパイトケア)を含めて、地域社会における自立した生活を容易にすることを確保するためにとられた措置及び配分された予算
(n)障害のある人の公営住宅計画を利用する機会を確保するために設けられた、アクセシビリティ基準及びユニバーサルデザインの原則を満たす調達を通じたものを含む措置
(o)障害のある人が、障害のある人を対象とした、退職に伴う拠出制・無拠出制の給付及び計画を利用する機会を有することを確保するための措置

政治的及び公的活動への参加(第29条)

31.締約国は、以下のことに関する情報を提供するべきである。
(a)意思決定が包括的かつ反映されるものであると考えている人の割合(性別、年齢、障害者、人口グループ別)(注12)
(b)障害のある人、特に心理社会的障害又は知的障害のある人の政治的権利を保障するための、法律又は慣行における政治的権利の行使に対するあらゆる制限の撤廃によるものを含む、立法上その他の措置
(c)国全体と比較して、公的機関(国及び地方議会、行政事務、司法)におけるポジション(年齢層別、性別、障害者別、人口グループ別)の割合(注13)
(d)障害のある全ての人が、自力で、あるいは自らが選択する者による援助を受けて、自己の意思の自由な表明を十分に尊重され、秘密投票による投票を行う権利を確保するためにとられた措置
(e)投票の手続、投票の環境、施設及び資料の完全なアクセシビリティを確保するためにとられた措置
(f)障害のある人が選挙に立候補し、選挙され、政府のあらゆる段階において実質的に在職し、及び公務を遂行するためにとられた、積極的差別是正措置を含む措置
(g)障害のある全ての人、特に障害のある女性と子どもの、国内、地域及び地方の各段階の公的活動における意思決定過程への、差別のない、かつ、他の者との平等を基礎とした有意義な参加を促進し、奨励するためにとられた、このような過程が利用しやすく、かつ、障害のある人を包容するものであることを確保することによるものを含む措置
(h)障害のある人の、国の公的及び政治的活動に関係のある非政府機関及び非政府団体への参加、並びに政党の活動及び運営への参加を促進するためにとられた措置
(i)地方、地域、国内及び国際の各段階において、障害のある人の権利と利益を代表するための組織を設立し、維持するために、障害のある人に提供された支援

文化的な生活、レクリエーション、余暇及びスポーツへの参加(第30条)

32.締約国は、以下のことに関する情報を提供するべきである。
(a)公的部門及び民間部門の文化、余暇、観光及びスポーツの施設並びにサービスが、障害のある子どもに配慮した、障害のある人にとって利用しやすいものであることを確保するためにとられた、公共調達及び公的資金の条件付き利用を通じたものを含む措置
(b)文化的な作品及びコンテンツが障害のある人にとって利用しやすいものであることを確保するためにとられた、情報通信機器の利用を通じたものを含む措置
(c)障害のある人が、利用しやすい様式を通じて、テレビジョン番組、映画、演劇その他の文化的な活動を享受する機会を有することを確保するためにとられた措置
(d)障害のある人が自己の創造的、芸術的及び知的な潜在能力を開発し、活用することを可能とする機会を含む、障害のある人が他の者との平等を基礎として文化的な生活に参加する権利を認め、促進するためにとられた措置
(e)知的財産権法が、障害のある人が文化的な作品を享受する機会を妨げる障壁とならないことを確保するためにとられた、「盲人、視覚障害者その他の印刷物の判読に障害のある者が発行された著作物を利用する機会を促進するためのマラケシュ条約」(注14) などの関連のある国際的な取り組みへの参加を含む措置
(f)障害のある人の手話及びろう文化を含む、ろう独自の文化的及び言語的同一性を承認し、及び支援するためにとられた措置
(g)障害のある人が他の者との平等を基礎として、あらゆる水準の一般のスポーツ活動に可能な限り参加することを奨励し、及び促進するためにとられた措置
(h)障害のある人が、障害に応じたスポーツ及びレクリエーションの活動を組織し、及び発展させ、並びにこれらに参加する機会を有することを確保するために、また、このため、適当な指導、研修及び資源が他の者との平等を基礎として提供されるよう奨励するためにとられた措置
(i)障害のある子どもが遊び、レクリエーション、余暇及びスポーツの活動(学校制度におけるこれらの活動を含む)への参加について他の子どもと均等な機会を有することを確保するためにとられた措置
(j)障害のある人がレクリエーション、観光、余暇及びスポーツの活動の企画に関与する者による、公衆に開放され、又は提供されるサービスを利用する機会を有することを確保するために取られた措置
(k)障害のある人が組織し、及び発展させた、障害に応じたスポーツの活動に割り当てられた予算の、スポーツ関連の公共予算全体に占める割合

統計及び資料の収集(第31条)

33.締約国は、以下のことに関する情報を提供するべきである。
(a)障害への人権に基づくアプローチに従い、かつ、障害のある人が経験する障害をもたらす障壁に焦点を絞った、資料収集ツールを開発するためにとられた方策
(b)特に人権及び基本的自由、倫理、法的な保障措置、資料の保護、秘密の保持及びプライバシーを尊重した、人権に基づく指標を資料の収集及び分析に盛り込むためにとられた方策
(c)資料収集及び研究の全過程(企画/計画、実施、分析及び普及)に、障害のある人を代表する団体が、特にその能力構築を通じて、完全かつ有意義に参加することを確保するためにとられた方策
(d)障害のある人に関する資料の収集を行っている全ての事業体の間で調整された、〔資料の〕信頼性を確保し、矛盾を軽減するシステムを設立するためにとられた方策
(e)条約を実施するための政策の策定及び実行を目的として、障害のある人がその権利を行使する際に直面する障壁を特定し、及び当該障壁に対処するべく、年齢、性別その他の関連要因別にさらに資料を分類するためにとられた方策
(f)障害のある人にとって利用しやすい様式による統計の普及を確保するためにとられた方策

国際協力(第32条)

34.締約国は、以下のことに関する情報を提供するべきである。 (a)持続可能な開発目標を実施するための政策及び計画が、障害への人権に基づくアプローチに根ざしていることを確保するためにとられた措置
(b)国際協力の取り組みの中で開発された計画及びプロジェクトにおいて障害を主流とすることを確保するためにとられた方策と、それらが性別と年齢にどの程度配慮したものであるか
(c)持続可能な開発目標の実施を目的とした、フォローアップ及びレビュープロセス等の計画を含む国際協力計画、プロジェクト及び政策の、障害のある人に対する影響を評価するための監視と説明責任の枠組みを確立するためにとられた方策
(d)国際開発協力を含む国際協力が、障害のある人を包容し、かつ、障害のある人にとって利用しやすいものであること、また、障害への人権に基づくアプローチに完全に従ったものであることを保証するためにとられた措置
(e)障害のある人が障害のある人を代表する団体を通じて、地方、国内、地域及び国際の各段階において、国際協力の取り組みの中で開発された計画及びプロジェクトの策定、実施、監視及び評価に有意義な参加をすることを確保するためにとられた措置
(f)情報、経験、研修計画及び最良の実例の交換及び共有を通じたものを含む、障害のある人を代表する団体の関与と参加を伴う、国際協力と障害に関連のある能力の開発を容易にし、及び支援することに向けた行動
(g)利用しやすい支援機器に関するものを含む、障害のある人を援助するための技術的ノウハウと専門知識の交換のための計画の開発、進捗状況及び有効性に関連してとられた措置
(h)後発開発途上国及び小島嶼開発途上国を含む開発途上国に対する能力構築支援を強化し、所得、性別、年齢、人種、民族、居住資格、障害、地理的位置及びその他各国事情に関連する特性別の質が高く、タイムリーかつ信頼性のある非集計型データの入手可能性を向上させるためにとられた措置(注15)

国内における実施及び監視(第33条)

35.締約国は、以下のことに関する情報を提供するべきである。
(a)政府組織内に適切に設置された、十分な権限を伴う1又は2以上の中央連絡先を指定し、全ての政策及び計画、並びに中央連絡先として指定された省庁において、障害を主流とすることを確保するためにとられた措置
(b)異なる部門及び段階、並びに調整のための仕組みに参加する省庁又は部局における関連のある活動を容易にするため、政府組織内における調整のための仕組みの設置又は指定に十分な考慮を払うべくとられた措置
(c)条約の実施を促進し、保護し、及び監視するための1又は2以上の独立した仕組みを含む、監視の枠組みの設立及び機能を確保するためにとられた措置と、特に国内機構の独立性、自律性、人材並びに財源に関して、人権の保護及び促進のための国内機構の地位に関する原則(パリ原則)がどの程度考慮されてきたか
(d)市民社会、特に障害のある人及び障害のある人を代表する団体を、条約実施の監視の過程に十分に関与させるためにとられた、性別及び年齢に配慮した措置

36.本ガイドラインは、委員会による総括所見、一般的意見及び声明に反映される、条約の適用との関連で進化しつつある委員会の慣行を考慮に入れるために、今後更新される。

(注1)www.ohchr.org/EN/Issues/Indicators/Pages/HRIndicatorsIndex.aspxから入手可能

(注2)持続可能な開発目標指標案(E/CN.3/2016/2/Rev.1, annex IV)の最終リスト、指標11.2.1を参照〔訳注 参考:http://www.soumu.go.jp/main_content/000470374.pdf〕

(注3)同リスト、指標11.7.1〔訳注 参考:http://www.soumu.go.jp/main_content/000470374.pdf〕

(注4)総会決議69/283

(注5)持続可能な開発目標指標案(E/CN.3/2016/2/Rev.1, annex IV)最終リスト、指標11.7.2を参照〔訳注 参考:http://www.soumu.go.jp/main_content/000470374.pdf〕

(注6)同書、指標4.5.1〔訳注 参考:http://www.soumu.go.jp/main_content/000470374.pdf〕

(注7) 同書、指標4.a.1〔訳注 参考:http://www.soumu.go.jp/main_content/000470374.pdf〕

(注8) 同書、指標8.5.1〔訳注 参考:http://www.soumu.go.jp/main_content/000470374.pdf〕

(注9) 同書、指標8.5.2〔訳注 参考:http://www.soumu.go.jp/main_content/000470374.pdf〕

(注10) 同書、指標10.2.1〔訳注 参考:http://www.soumu.go.jp/main_content/000470374.pdf〕

(注11) 同書、指標1.3.1〔訳注 参考:http://www.soumu.go.jp/main_content/000470374.pdf〕女子差別撤廃委員会による女子差別撤廃条約第2条に基づく締約国の主要義務に関する一般勧告第28号(2010年)パラグラフ31参照

(注12) 同書、指標16.7.2〔訳注 参考:http://www.soumu.go.jp/main_content/000470374.pdf〕障害者権利委員会による一般的意見第3号パラグラフ12参照

(注13) 同書、指標16.7.1〔訳注 参考:http://www.soumu.go.jp/main_content/000470374.pdf〕

(注14) www.wipo.int/treaties/en/ip/marakesh.より入手可能

(注15) 持続可能な開発目標指標案(E/CN.3/2016/2/Rev.1, annex IV)最終リスト、ターゲット17.18を参照〔訳注 参考:http://www.soumu.go.jp/main_content/000470374.pdf〕


原文:
United Nations
CRPD/C/3
Convention on the Rights of Persons with Disabilities
Distr.: General
17 November 2016
Original: English
Committee on the Rights of Persons with Disabilities
Guidelines on periodic reporting to the Committee on the Rights of Persons with Disabilities, including under the simplified reporting procedure**
Office of the High Commissioner for Human Rights.United Nations Human Rights.
https://www.ohchr.org/EN/HRBodies/CRPD/Pages/DraftGuidelinesSimplifiedreportingprocedure.aspx

日本障害フォーラム仮訳

訳者:石川ミカ