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CRPD/C/11/2

付録Ⅱ

障害者権利委員会の活動への障害者団体(DPO)および市民社会団体の参加に関するガイドライン

Ⅰ. はじめに

1. 障害者権利委員会(以下、委員会とする)は、委員会手続規則の規則30、規則52および作業方法の第41項から第53項に基づき委員会が実施するさまざまな手続への、障害者団体および市民社会団体の参加を大いに重視する。

2. 障害者権利条約(以下、条約とする)に示唆を与える基本原則に加えて、委員会は、条約第4条第3項に基づき、障害のある女性と障害のある子どもを代表する団体を含む障害のある人を代表する団体による委員会の活動への貢献の取り組みを特に高く評価し、民主主義と透明性を採用する。

3. 委員会は、障害のある人が構成員の大半(構成員の少なくとも半数)を占め、障害のある人によって運営され、主導され、監督されている団体を、障害者団体と理解する。

4. 委員会は、障害者団体および市民社会団体が、時宜を得た適切な貢献を確実にもたらすことができるよう支援するために、以下のガイドラインを採用する。

Ⅱ. 締約国に関する再検討の枠組みにおける報告手続への参加

書面による提出物

5. 委員会は、条約第35条に基づく締約国の報告の再検討に貢献する、各国固有の関連情報を伴う書面によるあらゆる提出物を歓迎する。委員会が、手続の適切な段階で当該提出物を確実に入手できるように、それらは以下の時期に、一回で、または数回に渡って、提出されなければならない。
(a) 締約国が報告を提出する前または後
(b) 事前質問事項の採択の前
(c) 締約国が事前質問事項に対する回答を提出した後で、建設的対話の前
(d) 簡易報告手続の枠組み内では、委員会が事前質問事項を採択する前

スケジュール

6. 委員会は、障害者団体と市民社会団体に対し、書面による提出物が委員会の専門家によって適切に考慮されることを確保するために、これらをタイミングよく作成することを要請する。したがって、提出物の作成には以下が求められる。
(a) 可能な限り早期に、また、会期開始の3週間前までに行う。
(b) 提出物は、会期前日まで受領される。しかし、時間的制約により、委員会の委員によるこれらの提出物の検討は保証されない。
(c) 簡易報告手続の枠組み内で事前質問事項が採択される場合、提出物は、事前質問事項が採択される会期の開始4カ月前までに、事務局によって受領されなければならない。

免責事項

7. 提出物には提出を行う団体のみが責任を負い、委員会による受領は、提出物の内容に関して、委員会がこれを支持すること、もしくは何らかの見解を有することを、決して意味するものではない。

委員会のホームページにおける公開

8. 提出物は、提出を行う団体がその守秘を明確に要請しない限り、自動的に掲載される。

語数制限

9. 委員会は、具体的かつ正確な文書を推奨し、提出物の語数を以下のように制限することを提案する。
(a) 締約国の報告に対する代替報告の場合、10,700語を上限とする。
(b) その他の提出物の場合、5,350語を上限とする。

構成

10. 委員会は、書面による提出物を以下の構成とすることを強く推奨する。
(a) 提出を行う団体の紹介、国際レベルおよび/または国内レベルでの活動に関する簡単な説明、ミッションステートメント/ビジョンステートメント、当該団体内で障害のある人が果たしている役割、当該提出物作成への障害のある人の包括・参加レベル
(b) エグゼクティブサマリー(1ページ以内)
(c) 当該提出物で取り上げられている、条約の特定の条文への言及
(d) 勧告の提案
本項の要件(a)および(b)は、本ガイドライン第9項で推奨されている語数制限の対象とはならない。

形式および言語

11. 書面による提出物は、ワード形式またはテキスト形式などの、アクセシブルなデジタル形式または電子形式で提供されなければならない。委員会は国際連合の緑化政策を全面的に採用しているため、ハードコピーは必要ない。
 提出物は、委員会の作業言語の1つで作成されなければならない。委員会は、英語によるエグゼクティブサマリーの提出を推奨する。会議サービス局は、各団体から提出された文書の翻訳は行わないことに注意する。

ブリーフィング

参加申請

12. ブリーフィング会議への参加を申請する障害者団体と市民社会団体は、会期4週間前までに要望を提出しなければならない。その際、以下を明記する。
(a) 団体名。団体連合の場合、ミッションステートメント/ビジョンステートメント、当該団体内で障害のある人が果たしている役割など、各構成団体の簡単な説明を記載することが奨励される。
(b) ブリーフィングイベントの名称
(c) 国別ブリーフィングで取り上げる論題の簡単な説明
(d) ブリーフィングイベントの希望日時。ブリーフィングが可能な唯一の時間帯は、会期開催週の午前9時から午前10時および午後1時45分から午後2時45分と、会期前作業部会開催中の、事前質問事項採択前である。
(e) 発言者の氏名と役職

リモート参加

13. 口頭発表は、テレビ会議などの通信技術を利用し、リモート参加により行うことができる。国際連合の財政上の制約から、各団体は、ブリーフィングの日の4週間前までにこの方式による参加を表明し、また、自らが提供する必要な通信技術についても知らせなければならない。

アクセシビリティ

14. 参加申請団体は、翻訳、字幕、手話通訳、点字文書、読みやすいテキストおよび/または他のアクセシビリティツールを提供するか否かを表明しなければならない。

声明

15. 発言者は、ブリーフィングイベントの前日までに、介入に関する声明を事務局に提出することが求められる。

重複している会議

16. 委員会事務局は、委員会の委員長との協議の後、スケジュールを作成する。委員会が民主主義を基本原則としていることから、すべての参加申請団体に時間が配分される。ただし、書面でも情報を提出している参加申請団体が優先される。介入は、国を拠点とする障害者団体、国内連合体、国際的な障害者団体、その他の市民社会団体の順に行われる。

ブリーフィングの開催場所

17. すべてのブリーフィングは、委員会が会期を開催する会議室で実施される。

Ⅲ. テーマ別ブリーフィング

18. 障害者団体と市民社会団体は、委員会の注意喚起を望む特定のテーマに関するブリーフィングの時間を要求することができる。

Ⅳ. 一般的意見および一般的討議の日に関する草案作成への参加

一般的意見:

19. 障害者団体および市民社会団体は、問題の解釈の促進に貢献する関連情報を伴う書面による提出物を、自由に委員会に提出することができる。

20. 障害者団体および市民社会団体は、一般的意見の草案が読まれ、あるいは採択される委員会の会期中、オブザーバーとして自由に参加することができる。

一般的討議の日:

21. 障害者団体および市民社会団体は、一般的討議の日の論題の分析に貢献する関連情報を伴う提出物を、自由に提出することができる。

22. 口頭発表:障害者団体および市民社会団体を代表する発言者は、一般的討議の日の2日前までに、口頭発表のための発言時間を要求することができる。その申請には、発言者が代表する団体の名称、ミッションステートメント/ビジョンステートメント、当該団体内で障害のある人が果たしている役割、発言者の氏名と役職を含めるものとする。発言者は、介入に関する声明を提出することを求められる。

Ⅴ. 通報に関する手続への介入

23. 委員会は、通報に関する手続への障害者団体および市民社会団体の介入を歓迎する。特に、介入には以下を含むことができる。
(a) 被害者とされている者および/または通報者となる可能性のある者に対する、選択議定書の内容と、満たさなければならない基準、特に、委員会により通報が受理可能と見なされるためには、国内的な救済措置を尽くさなければならないことに関する研修の実施など、助言者としての役割
(b) 被害者とされている者の代表を務め、その一方で、代理通報の決定がなされた場合には、これを行うこと
(c) 委員会手続規則の規則72第3項に基づく第三者による介入
(d) 委員会の法的判断の普及への協力と、委員会の見解および勧告の実施に関するエビデンスベースの報告を委員会に行うことによるフォローアップの提供

Ⅵ. 調査

提出物

24. 障害者団体および市民社会団体は、調査を求める選択議定書第6条第1項の下で検討される関連情報を伴う提出物を、委員会に提出することができる。これらの提出物には、以下を含めなければならない。
(a) 提出を行う団体の紹介。障害者団体の場合は、そのミッションステートメント/ビジョンステートメントと、当該団体内で障害のある人が果たしている役割
(b) 選択議定書の締約国による、条約に定められている権利の重大かつ系統的な侵害の実証
(c) 提出物の根拠となる信頼できる情報
(d) 委員会に対する勧告

他の関連情報源

25. 手続規則の規則83第3項に従い、障害者団体、他の市民社会団体または要請を受けた団体は、手続に貢献する可能性のある調査事項に関して追加情報を得るための、他の照会先(大学、人権団体、女性および/または子どもの権利団体など、その他の地域団体)を示すことができる。

訪問およびフォローアップの際の協力

26. 委員会が訪問を行う場合、障害者団体および市民社会団体は、その実施に協力することが奨励される。

27. 委員会は、調査手続の一環としての訪問の際に、手続にかかわる守秘義務を尊重しつつ、調査を要請している団体以外の障害者団体と市民社会団体に対し、関連情報の提供と委員会への協力を要請することができる。

28. 委員会手続規則の規則90第1項に基づき、障害者団体と市民社会団体は、委員会にフォローアップ情報を提供することを奨励される。

Ⅶ. 条約第37条に基づく能力開発活動

29. 条約第37条に基づき、委員会は、条約の規定とその実施を促進するための手段のより深い理解に貢献する活動を通じて、締約国と協力することができる。この目的を掲げ、障害者団体と市民社会団体は、委員会によるそのような支援を締約国が必要としていると考えられる特定の分野に、委員会の注意を喚起することができる。

Ⅷ. 早期警告と緊急対策の手続

30. 障害者団体と市民社会団体は、委員会の作業方法の第26項から第29項に従い、これらの手続の始動を要請することができる。

Ⅸ. 委員会の活動に参加する人権擁護者に対する保障と保護

31. 委員会は、人権条約体システムの効果的な機能の強化と促進に関する総会決議A/RES/68/268を踏まえ、委員会の活動への個人および団体の貢献に対するあらゆる脅迫行為と報復行為を強く非難する。委員会は、これらの事例にかかわる事態について、フォローアップと助言の提供を行う報復担当のフォーカルポイントを、委員の中から任命する。


原文:
CRPD/C/11/2
Annex Ⅱ
Guidelines on the Participation of Disabled Persons Organizations (DPOs) and Civil Society Organizations in the work of the Committee
COMMITTEE ON THE RIGHTS OF PERSONS WITH DISABILITIES
http://www.ohchr.org/en/hrbodies/crpd/pages/crpdindex.aspx

仮訳:日本障害フォーラム(JDF)