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第5回障害者権利条約締約国会議における国際連合日本政府代表部久島直人公使の声明

2012年9月14日

大統領閣下、
各国大使の皆様、
各国代表の皆様、
ご列席の皆様、

このたび、第5回障害者権利条約締約国会議に、署名国代表として参加させていただき、光栄でございます。日本はこの条約の草案を作成する話し合いに積極的に参加し、2007年に署名しました。以来、日本は条約締結の完了に向けて、準備を進めております。今日はこの機会を利用し、過去数年間に渡り日本が講じてきた積極的な措置を、皆様にご紹介したいと思います。

まず、日本は2011年7月に障害者基本法を改正しました。改正法では、必要かつ合理的な配慮の確実な提供を怠ることは、障害を理由とした差別の一形態であるとしています。これは、「合理的配慮」という法的概念が国内法に盛り込まれた初めての例です。また、この改正法の下、「障害者政策委員会」が2012年5月に設立されましたが、その役割には、国内政策の実施状況の監視も含まれています。障害のある人々も、この委員会に委員として参加しています。

2012年6月には、障害のある人々に関連のある国内制度の改善に貢献する、いくつかの具体的な施策が発表されました。例えば、民間企業における障害のある人々の法定雇用率は、2013年4月以降、1.8%から新たに2.0%に引き上げられ、障害のある人々を1人以上雇用することを義務付けられる事業主は、「従業員56人以上」の事業主から「従業員50人以上」の事業主へと改正されました。また、今回の改正により、国及び地方公共団体における障害のある人々の法定雇用率も、2.1%から2.3%へと引き上げられることになっています。

この会議のラウンドテーブルで取り上げられるテーマの1つは、「障害のある子ども」ですが、教育面では、条約第24条の規定にある「インクルーシブ教育システム」の概念に基づく報告書が、2012年7月に文部科学省諮問委員会から提出されました。報告書には、生徒の就学先選択を支援するプロセスや、障害のある生徒に対する「合理的配慮」の改善など、障害のある子どもの教育を促進するための施策が盛り込まれています。政府は今後、この報告書に基づき、障害のある子どもの教育を促進する施策を検討していきます。

国際協力に関しては、日本は、開発途上国における障害のある人々と地域社会の共生を、政府開発援助(ODA)の一要素として非常に重視しております。日本政府は、アジア、アフリカ、中東、中南米及び太平洋諸国において、「バリアフリー」な鉄道施設や空港の普及、リハビリテーション・職業訓練施設の設立などに広く貢献してきました。また、海外からの研修生の受け入れと、海外への専門家の派遣も行ってきました。

最後になりますが、2012年4月には、情報通信技術(ICT)に関する国連専門家会議が、国連広報センター及び日本財団との共同で、国連経済社会局(UNDESA)により、日本で開催されました。この会議では、2011年の東日本大震災の時に、障害のある人々が情報から隔絶されていたことが報告されました。これを受けて、防災対策におけるICTアクセシビリティの開発の重要性が重く認識されました。

大統領閣下、

2013年には、障害のある人々に関するハイレベル会合が開催されます。障害のある人々をめぐる気運の高まりに乗じ、日本は今後も、国内及び国際レベルで障害のある人々の権利を保護し、促進するため、更なる努力を続けていきます。ご清聴ありがとうございました。


原文
Statement by Mr. Naoto Hisajima
Minister, Permanent Mission of Japan to the United Nations
at the Fifth Session of the Conference of State Parties
to the Convention on the Rights of Persons with Disabilities
14 September 2012
http://www.un.emb-japan.go.jp/jp/statements/hisajima091412.html