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第8回障害者権利条約締約国会議における
国際連合日本政府常駐代表吉川元偉大使によるステートメント

2015年6月9日
ニューヨーク

議長、

まず、この重要な会議の議長に就任されました呉俊大使にお祝いを申し上げます。我が国の代表団が議長を全面的にサポートいたしますことをお約束したいと思います。

現在、ポスト2015開発アジェンダに関する交渉が進められております。日本は、ポスト2015開発アジェンダが、「誰も取り残されることのない」、人中心のアプローチに基づいたものでなければならないという考えを強く支持しています。そして、このアプローチが、人間の安全保障という概念につながると信じております。このインクルーシブなアプローチは、持続可能な開発に欠かせません。今年の3月に仙台で開催されました第3回国連防災世界会議で、日本はこのような人中心のアプローチの重要性を強調いたしました。日本の安倍晋三内閣総理大臣は、障害のある人々に配慮し、その積極的な参加を得ることにより、防災に取り組んでいく意向を表明しました。また、仙台会議では、障害のある人々が防災分野において重要なステークホルダーであるという点で合意が得られました。

議長、

私たちは、議長によって選ばれました「ポスト2015開発アジェンダにおける障害者の権利の主流化」というテーマを歓迎いたします。また、昨年7月に合意が得られました、持続可能な開発目標に関するオープン・ワーキング・グループの報告全体を通じて、障害のある人々への言及が見られることを喜ばしく思っております。最近、ポスト2015開発アジェンダの採択を目的とする国連サミットの成果文書ゼロドラフトが、加盟国に回覧されました。これにも、障害のある人々への言及があります。私たちは、これらの言及を最終成果文書に残すことが重要であると信じています。開発において障害のある人々の主流化を実現するには、障害のある人々自身に、独立かつ自律した社会の一員となるための権利が与えられることが非常に重要です。さらに、障害のある人々は、地域レベル、国家レベル、そして国際レベルなど、あらゆるレベルのガバナンスに、貢献する主体者として参加しなければなりません。この考え方は、障害者権利条約と深く共鳴するものです。

議長、

ここで、障害のある人々による政策計画への参加の一例を紹介させてください。これは、障害のある人々の主流化を実現するために極めて重要なことです。今日、ご自身も全盲である石川准教授が、我が国の代表団の一員として参加してくださっています。彼は、障害者政策委員会の委員長で、この委員会は、障害者権利条約に基づく日本の監視機構です。日本の委員会の委員は、その約半数が、ご自身も障害がある方々か、あるいは、障害のある家族を持つ方々です。

議長、

障害のある人々が参加できるインクルーシブな社会の実現を求める声が、近年、高まってきています。これに応えて、我が国の代表団は今週、日本財団とともに、経験と教訓を締約国および市民社会と共有し、交換することを目的とした、さまざまなサイドイベントを共催しております。

議長、

ポスト2015開発アジェンダの採択後も、国際協力は引き続き重要となります。これに関連して、私は障害のある人々が単なる保護の対象ではないということを強調したいと思います。ここで、日本による国際協力の一例をご紹介いたしましょう。日本はコロンビアで、地雷の犠牲となり障害を持つようになった人々のための開発プロジェクトを実施し、障害のある日本人専門家の派遣と、コロンビア人専門家に対する研修などを行いました。このプロジェクトは、その後行われたリハビリテーションマニュアル編集の準備段階としての役割を果たしました。また、同じプロジェクトの一環として、障害のある人々自身が、社会への再統合や障害のある人々の権利などの問題に関するセミナーを開きました。このコロンビアの事例のような、障害のある人々の積極的な参加は、地域レベルでのインクルーシブな社会の実現に欠かせません。

議長、

最後に、日本は引き続き、努力を積み重ねることにより、着実に前進していくということを、改めて申し上げておきたいと思います。また、締約国と市民社会には、それぞれ独自の取り組みを増やしていただきますよう、お願い申し上げます。インクルーシブな社会では、地域レベル、国家レベル、そして国際レベルなど、いかなるレベルにおいても、誰も取り残されることはなく、このような社会は、すべてのステークホルダーによって強化される、人中心のアプローチを通じて実現されるものと、私は確信しております。

議長、ありがとうございました。


原文:
Statement by H.E. Mr. Motohide Yoshikawa
Permanent Representative of Japan to the United Nations
At the 8th Session of the Conference of States Parties
To the Convention on the Rights of Persons with Disabilities

New York
9 June 2015