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障害者権利条約および選択議定書発効記念特別イベントにおけるLex Grandia(レックス・グランディア)氏(IDA CPRDフォーラム代表)の声明

ニューヨーク国連本部
2008年5月12日

はじめに、障害者権利条約、略してCRPDの発効にかかわられたすべての関係者の皆様に、お祝い申し上げます。また、国連ならびに市民社会、特に障害者の皆様、おめでとうございます。この条約は、重大なパラダイムシフトを提起しています。それは、すべての障害者を、この社会の正式な、責任ある一員として参加させる、法的な手段です。

私は国際障害同盟、IDAを代表してお話ししております。IDAは、国際的な障害者団体や地域の障害者団体のネットワークです。IDAは国際障害コーカス、IDCの結成と活動に非常に積極的な役割を果たし、権利条約に関する協議のプロセス全体を通して、大きな成功を収めました。IDAは今でもさかんに活動しています。

耳が聞こえず、眼も見えなかったヘレン・ケラーは、かつてこう記しました。「見えないこと、聞こえないことよりも深刻なのは、見てもらえないこと、聞いてもらえないことである。」

この条約が、それを変えようとしています。

私たちは、ほかの人と同じように法の前で平等な人として、また尊厳と多くの資質を持った人として、認められるようになるでしょう。

私たちは、社会や環境、そして情報にかかわるすべての分野をアクセシブルにする方法を知る専門家として、意見を聞いてもらえるようになるでしょう。そして、社会に価値ある貢献をする人として、声を聞き入れてもらえるようになるでしょう。

私たちは、学校や大学、職場、社会で、あるいは文化生活や政治にかかわる場面で、また店やレストランで、人として見てもらえるようになるでしょう。

私たちは、家族の中で尊重されるべき一員として、一般市民が有するすべての権利と義務を同様に持つ市民として、商品やサービスの企画、設計、およびその開発に関する意見を聞いてもらえるようになるでしょう。

私たちは、さまざまな身体、精神、そして能力によって、自己と社会とを豊かにする人として見られるようになるでしょう。また、医学的介入を受け入れるとき、あるいは拒否するときに、意見を聞いてもらえるようになるでしょう。

私たちは、認めてもらえるのです。私たちの誰もが。なぜならこの条約では、あらゆるタイプの障害者全員を、人間の多様性の一部として認めているからです。障害を持つ女性、児童、高齢者、先住民族、また文化的少数派もこれに含まれます。

私たちは、ライフストーリーを聞いてもらい、私たちのことを理解してもらえるようになるでしょう。

私たちの姿はメディアで見られ、私たちの声はメディアで聞かれるようになるでしょう。そしてこれらのすべてのことが、社会をインクルーシブに変えていくでしょう。

この条約は私たちに法的な基盤を提供し、それは、この条約を批准した、あるいは今後批准するすべての国の法律に反映されていくでしょう。私たちは法的能力を持ち、自らの決断に従って行動することが許されるのです。

私たち、世界の障害者は、これから先、最も困難な仕事が待っていることを知っています。私たちはすべての国に、留保や解釈宣言をつけずに、この条約を批准していただきたいと望んでおります。

この条約は、あらゆる手話を含む、世界のすべての言語に翻訳されなければなりません。すべての批准国は、国内の行動計画、法律および制度に、この条約の解釈を盛り込み、実施していくことが期待されます。

私たち、世界の障害者は、この作業を実施するに当たり、国と地方自治体を支援していきたいと考えております。それだけでなく、私たち自身も、その作業にぜひ参加させていただきたいと思います。私たちは、現地レベル、国レベル、地域レベル、そして世界レベルの障害問題に関する専門家なのですから。

このために、IDAはIDA CRPDフォーラムを開設いたします。このフォーラムは、障害分野で活動している、現地レベル、国レベル、地域レベル、および国際レベルの、あらゆる種類の組織によって構成されます。そして、障害者問題全般に関する知識や技術を、障害者団体だけでなく、障害者とともに活動している組織からも収集します。このフォーラムは、障害者団体で構成されているIDAの主導のもとで活動していきます。フォーラムでは、国内および地域の法律や政策に権利条約を反映させていくよう支援します。また、条約の解釈や実施に関する資料を製作し、キャンペーンを開始して、世界中での条約の実施と批准の進展を見守っていきます。さらに、すべての国連機関における条約の実施も支援します。フォーラムはIDCの重要な活動を続けて行っていますが、今、条約発効後の新たな時代が始まったのです。フォーラムでは引き続き、このスローガンを掲げていきます。「私たち抜きで、私たちのことを決めないでください。」


この記事は、"Convention and Inclusive Society, Mr. Lex Grandia, Chair of International Disability Alliance CRPD Forum"(12 May 2008, United Nations Commemorative Event for Entry into Force of the Convention on the Rights of Persons with Disabilities and Optional Protocol, Unaited Nations)http://www.un.org/disabilities/default.asp?id=484を翻訳したものです。