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国連障害者の権利条約作業部会

仮訳 デイリー・サマリー第3巻第1号 2004年1月5日(月)

NGO 地雷生存者ネットワーク

午前セッション

開始時刻: 午前10:35
終了時刻: 午後1:00

手続上の問題

特別委員会(AHC)のガレゴス議長は、ニュージーランドのドン・マッカイ代表を作業部会のコーディネーターに指名した。議長はマッカイ代表に議長席を渡す前に、この過程を導くNGOの「道義的および倫理的義務」と責任を認識して議論を行うように求めた。

コーディネーターは、12月23日に代表たちに対して行った発表で提起した要点を繰り返した。その中には、作業プログラムで3つの部分を後回しにする提案も含まれていて、非常に柔軟な対処が必要だろうとつけ加えた。前文は後に続く内容を反映させる必要があるので最後にした方が良い。同じ理由で、この時点で定義に就いて議論するのは時間がかかりそうである。結びの部分は厳密な法解釈の分野で、障害の専門家の貴重な時間を必要としないので、後日に処理することができるかもしれない。作業部会(WG)に与えられた命令は最終文書について協議することではなく、与えられた大量の資料をいくつかの選択肢に絞り込んで、AHCが協議するたたき台を提示することである点を強調した。さらに、作業部会には定足数の要求はないとつけ加えた。ニュージーランドの使命は、その日の提案をまとめて、翌日に配布できるよう準備することである。第5項の「勧告」を「結論」に変更した後、議題が採択された。後者の方が堅苦しくなく聞こえ、WGの成果をより正確に表しているからである。

アイルランドは「中心となる事項」に焦点を当てて一般的な合意を引き出した後、あまり総意が得られていない問題に移るよう提案した。特定の権利は既に規約および世界人権宣言(UDHR)に規定されていて、書き直したり、他で扱われていない新たな権利を作成したりするのは避ける必要があるので、特定の権利について細かい話し合いをしないように注意した。

まとめに関する協議を後まわしにするというコーディネーターの判断について、タイは、テキストをアクセスしやすい形式に直すという同国の提案がこの部分に含まれ、障害者には重要であると懸念を示した。コーディネーターは、この問題はこの会合で対処することを保証した。

世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク(WNUSP)は、NGOは特定の障害問題で経験があるが、それが全ての障害者(PWD)の関心を代表しているかもしれないし、していないかもしれないので、彼らの意見は全部聴く必要があると述べた。世界盲人連合(WBU)は、コメントを草案の文言へ継続的に転換して文書作成することを考えて、感覚障害者が議事を理解するときに直面する困難について主張した。

目標および一般原則

コーディネーターは編纂文書を提出し、この中に含まれていないものも含めて全てのテキストは平等である点を強調した。

アイルランドは一般原則の案として24ページと26ページを引用した。PWDは他の人と同じ権利を有し、PWDがこれらの権利を行使することが条約の目的となるべきである。アイルランド代表は、他の提案ではこの節に関して「本条約に規定された」権利の享有または「PWDの権利」について書かれていることに懸念を表明した。しかし、どちらの場合も、PWDの権利は少ないということが暗に示されているのかもしれない。アイルランドは非差別、機会の平等、自治、参加およびインクルージョンなどの原則について「かなり合意」が見られることに満足し、明日の会合で提出されるテキストに反映されることを希望した。

WNUSPは、バンコク草案および議長草案では、単に原則を列挙するだけでなく、その定義にまで踏み込んだものになっていると述べた。WNUSPの代表は、多様性および違っている権利はPWDの権利の「中核」であり、彼らの生きた経験を表しているので、ここに反映するよう求め、この考えを最終テキストに反映したいと述べた。

日本は、非差別、自治、機会の平等、参加の原則が討議の立派な土台となると主張した。 「この条約の最終的な目標はノーマリゼーションの概念である・・・PWDが普通の生活ができるような環境を作る必要がある。」このことを念頭において、条約は「自立したライフスタイル」および経済、社会、文化的生活への完全参加を促進させるものでなければならない。さらに、差別撤廃のための特別措置を差別とみてはならないと述べた。

セルビア及びモンテネグロは、PWDは他の市民と同じように全ての人権を享有し、全ての責任も担っており、また、そうしなければならないことを強調した。モロッコは、条約の2つの目標(平等な権利の享有およびPWDに対するあらゆる形の差別の撤廃)を支持すると述べた。さらに、PWDの利益のための国家の努力を支えるために、既存および新しい形の国際協力の促進という「非常に重要な点」をテキストに含めるべきであると述べた。

ランドマイン・サバイバー・ネットワークは、条約名を単純に「PWDの権利条約」とするよう提案した。バンコク文書は作業のしっかりした土台となり、これをさらに発展させることができる。原則には拘束力を持たせ、義務と関連づけて、将来、条約を発展させることができるようにすべきである。環境の条約に加えてニュージーランドおよびメキシコの文書に示された国際協力の原則を含めるべきであると述べた。

コロンビアは持続可能な開発プログラムを通した平等および機会の平等の原則およびインクルーシブであることを条約に含めるべきであると提案した。障害の原因となる状況を軽減および除去する予防措置が必要であることを強く主張した。

タイは目標および原則(「生存」および「尊厳のある生活」)をつけ加えてバンコク(BKK)草案および議長の草案への支持を再確認した。タイは、自決権および自治は、既に自決能力のある者にのみ実現できると考えている。「自決能力を表現できない」PWD にも尊厳のある生活を送る権利がある。この点をBKK草案への「原則の追加」として加えるべきである。

中国は、中国に加えてメキシコ、ベネズエラ、EUなどの提案を全て考慮すべきであると述べた。我々は最終的な判断を下せないので、この段階では、条約のこの部分の「主な要素」および、条約の他の部分との関係でそれが果たす役割についての徹底的な討議に焦点を当てるべきであると述べた。

メキシコは、この条約の目的はPWDの参加の達成および差別の撤廃なので、討議で触れられた差別、自治、参加およびその他の問題の原則は一般原則ではなく条約の目標として明記すべきであると主張した。メキシコ、ベネズエラおよび中国の提案にはこの点が示されていたが、その他の提案では目標はもっと簡潔で、一般原則はもっと長い傾向にあった。

リハビリテーション・インターナショナル(RI)は、PWDは少なくとも観念的には国際法の下で保護されているが、本質的には権利を享有していないと主張した。RI は、条約の中心の目的は、特定の原則に基づいて十分かつ平等に「実質的に」完全な人権を享有できるよう保証することであると述べた。RIの代表は、これらの原則のほとんどは提示された草案に含まれていて、それらの間には尊厳、自治、自決を基礎とした共通点が見つかる余地が十分にあると述べた。これに参加、インクルージョン、平等および非差別を基礎とすることに加えて、自立生活の権利も含まれている。RIはさらに「このことを表明する共通の地盤も十分」にあると述べた。

スウェーデンは、PWDは十分に人権を享有できるようにしなければならないという考えを強く主張した。この考えはEU草案によく表れている。スウェーデンは、これはPWDの権利が他の人の権利よりも少ないとか多いとかいう意味ではないと説明した。EU案では人権について長々と列挙せず、PWDが人権を享有できるよう保証するために取られる措置について各国に対して案内をすることに焦点を当てていると述べた。理由の一つとして、既存の権利を解釈することはPWDの権利を水準以下にしてしまうかもしれないので危険だと思うからであると認めた。何人かの代表が全ての人権の完全な享有の考えに差別も加えることを支持していると述べた。しかし、スウェーデンの見解では「差別」は人権の完全な享有という考えに既に含まれている。スウェーデンは、当面の差別問題は、女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(CEDAW)およびあらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(CERD)などの条約にそって、人権の享有という意味で差別はあってはならないということであると主張した。差別という考えと人権の完全な享有の間の密接なつながりについて指摘した。さらに、違っている権利についてバンコク草案に加えて作業部会のメンバーが直接言及したことについて触れ、そのような人権は存在しないと主張した。PWDの多様性の問題を扱うるEU草案の提案を示し、異なる措置を適用するときに多様性を考慮すべきであると述べた。予防措置の問題については、EU全体に加えてスウェーデンも、これらの問題を扱う人権の討論の場が他にたくさんあるので、この条約では全てのPWD関連の問題を取り扱うべきではないと考えていると強く主張した。スウェーデンの考えでは、条約ではPWDとそれぞれの政府との関係について対処すべきであるので、現在の障害者の権利について扱うべきであり、将来PWDとなる可能性のある人の権利について扱うべきではない。

条約の目標および一般原則の部分について、カナダは一般合意が得られている概念を使って意図を簡潔にはっきりと伝える考えを支持した。EU案が目標を明らかにしていると主張した。漏れがあるのを恐れて権利を列挙せず、PWDがこれらの権利を有するという重要な原則を適応および強化する方法として、既存の人権文書を引用する可能性を探った。さらに、必ずしも熟知していない概念を使うことについて各国に注意し、「自決」は国際法では特別な意味があるので「自治」と呼ぶだけで十分であると指摘した。違っている権利については、 おそらく議論では多様性の原則の方が扱いやすい概念だろうと述べた。

韓国は、PWDは障害者でない人と同様、全ての権利を完全に有し、国際条約に保証された全ての権利を平等で非差別的に享有すべきであると主張した。韓国は、最終的にこれらの権利を実現することが、障害者が「自分たちの可能性を完全に実現できる」ことであり、可能性の実現に基づいて、社会の全ての側面で完全参加できることであると提案した。既存の提案を検討した後、これらの目的に適した条約を作る作業を行う上で 共通の基盤は十分にあると判断した。テキスト全部を貫く共通の要素があると指摘し、作業部会が提出された案から無用なものを除去し、共通点を見つける必要があると述べた。作業部会がこれらの共通点に向けて作業するための十分な基盤が既にあるというRIの主張を支持した。

インドは議長の草案の目的には合意したが、独自の提案も行った。「発達の段階および入手できる資源の違いを認識し、国際協力および資源の共有を行うことが条約の成功にとって極めて重要のようだ。」インド は、この考え方、特に「国内」および「国家間」の資源の変化を考慮する必要を条約の目的に含めるよう提案した。PWDのために適切な配慮を行い、権利の実現の漸進的な促進が可能になると指摘した。

世界盲人連合(WBU)は、作業部会の作業方法が感覚障害者にとって困難であるという意見を繰り返した。合意が見られるテーマから対処していくよう提案した。これにより後のもっと難しいテーマの話し合いが容易になるかもしれないと述べた。予防原則を条約に載せるかどうかの問題を提起した。WBUは、PWDにとって解釈が異なったり、意味が少し違ったりしている権利もあるかもしれないが、PWDの権利について取り上げるべき条約が他にたくさんあると述べた。多くの国におけるPWDの生活への脅威と生存権の間の関連を強調した。この権利を文書に含めるよう求めた。子どもの権利条約(CRC)に規定されたリハビリテーションの権利について示し、この権利は全てのPWDに適用できるかもしれないと述べた。作業部会はPWDに関連した政府の措置に焦点を当てる必要がある点でスウェーデンと同意見で、これは、討議に加えることができるかもしれないと述べた。

コーディネーターはこれらの問題は重複しているものが多いと述べ、一般原則に入れない問題は前文で取り上げるかもしれない点を強調した。

日本は、PWDの「完全参加」が活動の基盤であるべきなので、テキストにこの原則を含めたいと主張した。日本は、この文言はインドおよびEUのテキストに含まれていると指摘した。日本は、条約は「バリアフリーな社会」を実現するものであるべきだという意見を提示し、この文言はインドのテキストに記載されていると指摘した。それから、日本は既存の人権文書に関連した条約の役割の問題に触れ、そこに記載されている人権はPWDも享有すべきであり、この立場を前文に明確に示すべきであると述べた。日本はさらに、既存の人権文書との重複を避けるために、PWDに直接に関係している権利は、条約の主要な部分に入れるべきであると主張した。

世界ろう連盟(WFD)は、条約を作成する理由の1つは、PWDの人権の実施を保証することであると主張した。現在、各国政府はPWDの人権の平等な実施を保証していない。 PWDはその障害およびその必要で様々な経験をしている。従って、可能な解決策は多い。WFDは、この条約はPWDが人権を享有し、完全な市民となることができるように各国政府が環境を変えるようなものであるべきだと主張した。この条約にはおそらく、異なる障害を持つグループの人権(年齢の違いおよび性別についても考慮する)の実施方法についての各国政府への案内を含む、特定の権利に関する部分があるだろうと述べた。それから、違っている権利は権利ではないという主張に異議を唱え、ともかくこの条約がPWDの違いを認識するものとなって欲しいという希望を述べた。WBUの予防策に関するコメントを支持し、 障害者問題と予防策は関連があるという考えを示した。

世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク(WNUSP)は、全ての人間には自決権があると述べ、選択は基本的な人間の行為であると強く主張した。自治および自決は、自身の判断を下す権利という意味で、この条約で確認された原則であり権利であるべきだと主張した。条約の権利を既存の人権法に関連させる方法について、PWDは理論的に全ての人権の恩恵を受けるとし、物質および情報の障壁に加えて法律、社会、態度の障壁を通してこれらの権利からPWDを締め出すことから問題が生まれると繰り返した。「バリアフリーの社会」という文言を支持し、態度および法律が障壁を構成している場合があるとつけ加えた。条約は既存の基準を下回るものではならないと断言し、人権障害法は流動的な状態にあることを認識する必要があり、特定の新しい法律をこの条約で支持する必要があると主張した。条約は「我々が主導で、我々の命令によって通知される」べきであるとはっきり述べた。さらに、特に人権法が実際の非差別およびインクルーシブなPWDの観点を組み込んでいない場合、人権法の再解釈と適用の可能性について検討する必要がある点を強調した。条約の原則部分について、自決権(どんな形のものでも)を含める必要があると主張した。多様性および違っている権利の原則も含めるべきであると強く主張し、PWDには「我々には自分のままでいて排除されない権利がある」と言うことができる必要があると主張した。世界のどこにいるPWDも人権を完全に享有できることを保証する方法として、国際協力の原則を支持した。

アイルランドは、インドの草案は考慮に入れる必要があるので期待を寄せていた。国際協力を考慮する必要についてのインドおよびその他のコメントに関して、アイルランドは、EUテキストにはこの言葉は含まれていないと述べた。アイルランドの代表は、これは明白な判断であると主張した。アイルランドは、条約の目的を心に留めておくことの重要性を主張した。条約の目的はPWDが完全に平等に全ての人権を享有することである。従って、アイルランドは「追加」または「条件」を加えることについて懸念している。例えば、アイルランドは非差別または自治は国家の協力を受けるか受けないかによって左右されるべきだとは考えていない。アイルランドの見解では、経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約(ICESCR)では国際協力はこれらの権利を実現する方法の一つとして扱われている。アイルランドは、条約は既存の障害者に対処すべきで、予防策の問題にまで広げるべきではないと主張した。アイルランドは、自決には特別の意味があり、別の状況でこの言葉を使うのは混乱を招くというカナダの意見に同意した。

シエラレオーネは、原則の部分は目標とは分けるべきであると主張した。一般原則は簡潔にして、単に全ての権利に触れるのではなく「特定の権利」について触れるべきであると提案した。権利はそれを可能にする方法がなければ享有できないので、国際協力および進展について目標の中で触れるよう助言した。さらに、国際協力が一般原則に記載されないならば目標に記載されるべきであると述べた。原則および目標は二つの部分に分けるよう提案したのはこの理由からである。

ドイツは、作業グループの様々な原則に関する一般的な合意について述べた。これには、PWDが平等な立場で人権を完全に享有する権利、自治および非差別の原則、参加およびインクルージョン、ならびに平等の原則が含まれていた。ドイツは、作業部会は世界行動プログラムおよび標準規則などの国連がPWDの人権のために行った活動を超える必要があると主張した。予防の問題は障害に関する条約に含まれ、この条約は障害に関する条約ではなくPWDに関する条約であると明確に述べた。違っている権利の問題の難しさを強調し、中核的人権条約を見ると、この権利は人権ではないということを認め、UNESCOの人種差別宣言で言及されていると指摘した。このテキストでは障害を単なる医療問題だけでなく、人種または性別などの社会的な構造の問題としても見ているので、作業部会はこの権利も含めて検討するかもしれないと主張した。作業部会に与えられた権限は交渉ではなく「良い考えを集めること」であると述べ、違っている権利を目標に含めるべきかどうかをAHCが決定するためにテキストの草案に記載するよう提案した。

リハビリテーション・インターナショナル(RI)は、予防の概念を含めてはならない理由についてドイツと同じ意見だったが、リハビリテーションを自由および自立生活の道具として含めるべきではないという意味ではないことを強調した。RIは原則部分で権利の実現の漸進的な促進について触れることに懸念を示した。原則部分に含めると、この概念は公民権および政治的な権利に適用されると見られ、既存の規範が弱められてしまうかもしれないからである。RI は「漸進的な権利の実現」は社会および経済的なプログラムに基づいた権利の部分に含めるべきであり、原則の一般的な部分に含めるべきではないと考えている。

ベネズエラは、条約の性格に関する第1条の要素を明確にするよう作業部会に対し強く求めた。ベネズエラの提案は中国の草案と非常に似ているが、中国案では5つの分野に分かれていない。ベネズエラは中国の代表団に対して、社会生活、非差別および完全参加について言及するときにベネズエラが挙げた異なる分野を提案に含めることは可能かどうか尋ねた。

障害者インターナショナル(DPI)は、PWDの権利保護にテーマを絞った条約を作成する時が来たと断言した。7つの人権条約の監視過程でPWDは軽んじられているので、障害に限定した条約が必要であることを強調した。さらに、ミレニアム開発目標などの多くの国連の人権文書では具体的に障害について触れていないと指摘した。2002年に日本で開催された第6回DPI世界会議で、出席者が市民、政治、経済、文化、社会的権利を完全に網羅した条約の必要性を宣言したことを思い起こさせた。また、強力な監視機構の必要性も強調した。どの権利を適用するかだけでなく、どのように権利を適用するかを判断するのは難しいだろうと述べた。特にPWDの理解が確実に得られるように、条約の組み立ておよび言葉は分りやすくしなければならないと主張した。条約では「平等、尊厳、アクセス」について明確にしなければならないと主張した。

インクルージョン・インターナショナル(II)は知的障害者と呼ばれることが多い人々の代弁をした。障害に関わらず誰も人権を無視されてはならないと断言した。市民権は全ての人のためのものであり、前文で このことに触れるべきであると主張した。また、知的障害者は貧困者の中でも最も貧しい場合が多いと指摘し、従って国際協力について触れるべきであり、「貧困問題」を除外すべきではないと結論付けた。さらに、予防には生命倫理の次元で問題がある国もあるので、これは話し合うべきであると指摘した。

ディスアビリティ・オーストラリア・リミティッド(DAL)は、NGOおよび加盟国の発言の50%超がホリスティック(全体的)な視点を持つ条約、すなわち、経済、社会、文化的権利を含む全てを網羅する権利について詳しく述べた条約を支持していると述べた。協議の明確な目的の1つは、加盟国およびその他の利害関係者によって既に詳しく説明されていると指摘した。条約はPWDの権利についての正式な解釈を提供するものであるべきであると主張した。特定の権利については詳しく説明し、他の権利は除外してしまうことの危険については、権利は詳しく説明されなければ実現できないので、特定の権利を傷つける危険を犯す価値はあると指摘した。さらに、PWDは平等に効果的に権利を享有し、基本的な自由を持つべきであると単に言うのではなく、目標をもっと詳しく説明すべきであると主張した。

スロベニアは人権志向のテキストへの支持を繰り返し、協議の間、共通の合意がある多くの分野が既に明らかになったと指摘した。国際協力などの概念は既存の国際文書に詳しく説明されていると主張した。条約のこの原則/目標の部分は短く簡潔にし、PWDの権利の解釈が狭くならないように保証するため、編纂文書の27ページの議長草案第3条などの予防措置の条項を入れることを提案した。

ロシアは、この条約はPWDの権利に焦点を当て、これらの権利の詳細に焦点を当てるべきであるという見解を述べた。条約は既存文書と重複すべきでないと主張した。PWDが実際的な文書を期待していることと、条約の有効性は条約の具体性にかかっていることを忘れてはならないことを作業部会のメンバーに対して強く主張した。主要な原則および目標の要素を提案した。すなわち活動または休止に関する国家レベルの義務の定義、PWDのリハビリテーションのための現実的な条件の作成、PWDの労働を奨励するためのPWDの社会経済活動の支援、社会のPWDに対する理解の促進である。

米州障害インスティチュートは、原則および目標の区別で合意を得るための話し合いが進んでいると指摘した。十分で完全な参加の重要性について合意があり、これは原則に載せるべきであると述べた。貧困と障害については、一方がもう一方を引き起こし、貧しい国のPWDは社会政策や政府のプログラムにおける開発から引き続き除外されているので、両者の関係が強調された。歴史的に見て、国際機関はこの除外問題を考慮していない。同協会は、目標の部分に国際協力を含めることの重要性について述べた。

世界ろう連盟(WFD)は条約名は内容を反映したものでなければならない点を強調し、「PWDの権利条約」という案は受入れられると述べた。作業部会の作業が長くかからないことを希望すると述べた。作業部会の合意が「勧告」にならない点を指摘し、条約の作成過程が長引くかもしれないと述べた。 IIのコメントについて触れ、立法が技術の進歩に遅れている国もあるが、技術の進歩がPWDの権利を侵害している例もあると指摘した。

タイは違っている権利の問題について述べた。違っている権利は障害問題に限定したものであると主張し、さらに、多様性それ自体は違っている権利で強化されなければ価値がないと指摘した。

レバノンは、作業部会は最終合意に達することなく原則についての討議に時間をかけすぎるという危険を侵していると述べ、特定の権利に対処した後にこの問題に戻るよう提案した。

中国は同国の草案の中で、PWDに対するあらゆる形の差別の撤廃を規定していると述べた。その文言はCEDAWの文言と似ているので、作業部会はリストを作成する必要はなく、そのために何かを抜かしてしまう危険を冒すことはないと主張した。インドおよびその他の代表が提起した国際協力の問題については、PWDには特定の事情(社会的およびその他の)があると指摘した。貧困と障害の関係について繰り返して述べ、条約の目的にとって国際協力の強化はプラスの意義があるだろうと結論付けた。

ランドマイン・サバイバーズ・ネットワーク(LSN)は、作業部会は交渉する場ではないという点で中国と同意見だった。国際協力は新しい原則ではなく、この条約の原則として含めるべきであると述べた。この概念は目標の部分に入れて、国際協力の義務については特定の義務に関連した一般的枠組みに含めることを提案した。

午後セッション

開始時刻: 午後3:08
終了時刻: 午後6:08

目標および一般原則(続き)

南アフリカは、WGによる平等および非差別の原則を含む包括的文書の実現という目的に関して2003年に南アフリカで開催されたアフリカ地域協議で出されたコメントをさらに綿密に調査するよう求めた。地域および国際的な協力が最も重要であると力説した。

ニュージーランドは、前回の発言を修正して、EU草案の第I条に提示されたように、冒頭の声明は簡潔かつ適切なものとし、条約の目標を見落とす人がいないようにようにすべきだと述べた。条約では、全ての人間の持つ権利としてPWDの権利を強化すべきであるとし、予防措置の問題には触れるべきではないと述べた。矛盾したメッセージ、すなわち、障害は望まれないものである、PWD自身は価値がないというメッセージが伝わるかもしれないからである。従って、条約の本文では、確実に既存の人権がPWDに影響を与えるようにする方法について扱うべきである。

カナダは、自決の概念および違っている権利について既に出されている提案に対する代替案をいくつか提案した。PWDは自治および自立生活の権利(判断する権利を含む)を有するので、自決の概念に対処すべきである。カナダの代表は、違っている権利を含めることは新しい権利を作ることであり、草案のこの部分に国際協力についての原則を含めることは条約の目標を変え、締約国の可能性を狭めるかもしれないと懸念を表明し、前文に記載するよう提案した。焦点は障害者なので、予防措置は草案のこの部分の要素とはすべきではないという点で他の代表と同じ意見だった。世界宣言の第III条ニュージーランド・テキストを参照するよう求め、これが前文に適していると述べた。

コーディネーターは生存権についての話し合いで混乱することを警戒し、これを解決するのではなく回避する方法を探ることをWGに提案した。

世界盲人連合(WBU)は、PWDは差別および生存権の問題に関心を持っているので徹底的に話し合う必要があると述べた。CEDAWの差別への対処方法について触れ、これも選択肢の1つかもしれないと指摘した。既存の権利を言い換えることはできるかもしれないが、全ての場合で可能ではないかもしれない。WBU代表は、この部分では前向きかつ進歩的な言葉を使って差別に対処すべきであると述べた。また、完全参加、尊厳および多様性について対処する適切な表現を見つけることも必要であると述べた。また、世界には、PWDが完全な市民権を持っていない場所もある点を強調した。この権利は全ての人に与えられるべきで、一部の人のものではないと述べた。条約名については、もっと簡単に短縮することができるという点でランドマイン・サバイバーズ・ネットワークおよび世界ろう連盟と同じ意見で、現在の名前は前文の冒頭の文として使うことができると提案した。

セルビアおよびモンテネグロは、条約の目標はPWDの権利の享有であり、PWDを完全かつ平等な方法で社会参加させることであると述べた。自決に関する言葉の選択をさらに検討するよう求め、国際協力の概念はこの部分ではなく前文または冒頭の文に含めることを提案した。予防措置は社会的な対処方法ではなく医学的な対処方法であり、条約は障害問題に対する人権的対処方法であるから、予防措置をこれに含めるのは避けるべきであると述べた。

コーディネーターは、条約の目標および目的に関して語った代表の間に幅広い合意が見られる点を強調した。すなわち、PWDは障害の性質または原因に関わらず、基本的権利および自由を完全に享有すべきであるということである。また、自決権、生存権、違っている権利を含めることに加えて、原則と目標の分離、国際協力および予防措置を含めるかどうかで意見の相違があるという点も強調した。先ほど言及した自由形式の小グループが表現を検討し、明日の会議にあまり大まかな草案を提出して、さらに協議することを提案した。反対が無かったので、締約国の義務について(要約の44-58ページ)の議論に焦点を移すと述べた。

一般的な義務

アイルランドは、各草案、特にEU案の構成が異なるため、一般的な義務の項目の見方についての指導を求め、監視などの問題への対処に関する提案についてはもっと後の段階で検討すべきであると述べた。

コーディネーターは、提案の重複および構成の違いについてのアイルランドの意見に同意し、この分野に対処する上で柔軟性を求めた。この時点で国内の監視について討議するのは適当であるが、国際的な監視についての討議は後の段階にすべきであると述べた。

ディスアビリティ・オーストラリア・リミティッドは、EU草案もバンコク草案も差別について興味深い見解を示しているので、 WGがもっと早く作業を進めることができるようにするため、草案作成の小グループがこれらを要約するよう提案した。

メキシコは、各国の一般的な義務に関する同国の草案の第3条に注目するよう求め、第18条は「条約の国際協力」と題して別の部分に含めるべきであると述べた。同国のテキスト(第IV条)およびEUのテキストは積極的措置/補償措置に関して一致していると述べ、この条項はこの部分に含めるべきか、それとも他の部分に含めるべきか尋ねた。

日本は、作業プログラムでコーディネーターが提案した条約の構成を支持した。条約の中の締約国の義務の2つの要素を挙げた。すなわち、PWDに対する差別を非難すること、および差別の撤廃を追及する政策に賛成することである。これに関して、WGがCEDAW条約の第2条から差別に関する表現を引用することを提案した。また、実際に PWDの人権が侵害されたり、違反があったりした場合、 PWDが利用できる保証された法的および行政的措置について記載された条項を含めることも求めた。

スウェーデンは、条約全体を国家の義務の声明とするよう提案し、条約は「実際の行動に集中」すべきであり、問題を否定的に扱うべきではないので、非難に関する日本の発言には同意しないと述べた。国家レベルでの監視について検討することの妥当性についてアイルランドと同じ意見で、国連の監視の仕組みには限りがあると指摘した。PWDに関する統計およびデータの収集は正しいことではないのではないかと述べ、中央のデータベースに人種などを「登録すること」の危険を歴史が示しているので、この要素を条約に含めるのは適当か迷っていた。

世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク(WNUSP) は、議長草案およびバンコク草案では法的な義務について取り組んでいるが、メキシコ草案および中国草案には国勢調査などPWDの権利を促進するために政府が採用する、もっとプログラムに基づいた要素が含まれているという点を指摘した。また、ベネズエラがその草案で指摘したように、強力な義務、法的平等の強化、尊重、認識、国際的監視および国家の障害に関する決定へのPWDの完全参加が重要である点も強調した。バンコク草案および議長草案では、特にPWDの参加に関する国家の実施について良い議論が行われていると述べた。編纂文書のどこにEU草案の固定観念の排除について記載されているのか示すようコーディネーターに求めた。

コーディネーターは、EUの関連した条項は61ページにあると述べ、複数のテキストを使って作業をするとこれらの困難は避けられないと語った。また、会合の前に、1つのテキストで合意する見込みがないと知らされたことについても述べた。

コロンビアは、各国が法的、司法的、行政的な責任を負うことの重要性および、国家の法律および裁判に平等および非差別の原則を含む必要があることに同意した。各国政府はPWDの自治および独立、ならびに社会、政治、経済生活への完全参加および統合を保証する義務を担い、プログラムおよび政策の制定を評価する上でPWDの組織の役割を高めるべきであると語った。特に保健および教育に関して国勢調査で障害者のデータを集める必要性については前の発言と同じ意見だった。

モロッコは、提案の大部分は1つのテキストに統合できるかもしれないと述べた。

セルビアおよびモンテネグロは非差別に関する提案に共通点がいくつかあり勇気づけられたと語り、差別されている人々のための法的救済手段の条項など、各国がこの問題に対処するための具体的措置の概念を含めることを求めた。

中国は各国の一般的な義務についてのパラグラフを要求し、既存の提案には大きく3つに分かれる一般的な義務の要素が反映されていると述べた。すなわち、立法の義務、特定の行動および行政措置をとる義務、司法措置を行う義務である。中国代表は、これらの義務は中国のテキストの第3条にあり、草案のテキストに入れるべきであると述べた。

リハビリテーション・インターナショナルはテキストの中の6つの共通点について取り上げた。すなわち、1-3は司法的な義務、4および5は政策的な義務、6は各国の教育の責任についてである。同代表は、政策決定で障害を主流化し、構想、実施、設計、見直しにPWDを参加させるよう求めた。固定観念に関するものを含む、障害についての世論を育てる各国の責任について指摘した。

韓国は、障害のデータをまとめることで生活の質の向上に役立つかもしれないが、PWDのプライバシーに抵触する可能性があると指摘した。これから数十年後にデータ収集が役立つかもしれないが、データ収集をPWDが拒否することに関して、この要素を後で修正する権利があるべきではないかと述べた。

レバノンはアイルランドの発言に同意し、障害の政策のための予算を準備する各国の義務 について指摘した。

アイルランドは各国の一般的な義務として含める多くの要素についてメンバーの間に幅広い合意がある点を強調した。EU案の第5A条(編纂文書の61ページ)を最終草案に反映させるよう求めた。バンコク草案の第5条、違反の救済手段に注目するよう求めた。

カナダは議長草案およびバンコク草案の内容は義務の履行方法について説明しているので、これに満足の意を表明した。EU草案第4条などにある特別措置の規定について提案し、経済的、社会的、文化的権利に関する規約(第2条)で確認されているように、権利の実現の漸進的な促進を含めることが必要であることを強調した。

世界ろう連盟(WFD)は国家の義務に関して、一般的な義務と特定の措置の両方の必要性について強調した。PWDの80%は発展途上国に住んでいて、PWDの要求が満たされるようにし、この点で政府が責任を担えるような方法を計画する必要があるため、EU草案の第4条を支持した。

インクルージョン・インターナショナルは、政府はPWDに完全な生活を与えるという声明を希望し、皆がテキストを理解できるようにして、この権利を行使できる(これはPWDにとって重要な部分である)ようにする必要がある点を指摘した。知的障害者がこの権利を行使できるような人権のインフラを求めた。

ディスアビリティ・オーストラリアはカナダの意見を繰り返し、バンコク草案第4条に概説されているインドの挙げた6番目の要素(経済的、社会的および文化的権利の実現の漸進的な促進)について強調した。

LSNは条約の重要な原則であり目標としてPWDの参加について力説した。各国が国家レベルで条項の実施に移るとき、参加を終了してはならないと述べた。ニュージーランド草案の28項を支持した。理由は、国家レベルで条約を実施する上で、立法的、行政的、その他の措置の作成過程にPWDの参加を求める一般的な義務の条項が必要なことをはっきりと認めているからである。

インドは、雇用、社会保障、教育に関して各国の差別撤廃措置の立法義務について強調し、違反があった場合の補償について規定する法的救済手段を求めた。これに関して、重度および/または複数の障害を持つ人々の特定の権利について強調した。

DPIは、社会への完全参加に対する障壁や障害物の除去を希望すると述べた。行政的および立法的過程ならびに国家の判断へのPWDの参加についてニュージーランドの草案に注目した。各国はPWDの要求および経験に敏感に反応するよう求めた。

南アフリカ人権委員会は人間の尊厳および機会の平等の原則を含めるよう求め、監視は国家の義務なので、その部分に入れるべきであると述べた。非難と言う言葉をもっと積極的な言葉である「撤廃」に置き換えるという点でスウェーデンと同意見だった。バリアフリーの社会を実現する国家の義務を強調した。議長草案のテキスト2cの公共部門についての説明を求めた。

ドイツは立法、司法、政策および法的措置における各国の義務について繰り返した。マスコミと協力して差別と戦う措置をとるよう各国に求めた。他の条約を制限すべきではないという点でカナダと同意見だった。経済的、社会的および文化的権利には権利の実現の漸進的な促進を適用すべきであるが、市民的および政治的権利には適用すべきでないと述べた。

コーディネーターは、公共部門対民間部門への適用の問題は議長テキストで起草中であり、検討する必要があると述べた。

スウェーデンは公共部門/国家の活動と民間部門または個人から要求される可能性のあることの区別を要求した。経済的、社会的および文化的権利の実現の漸進的な促進に触れるべきかどうかの問題を取り上げ、この点で土台は既存の条約であることを明らかにしているのでEU草案を支持した。この点で、経済的、社会的および文化的権利に関する規約の原則を支持し、他の権利を損なってはならない。

アイルランドは条約名は事実上条約全体を対象とするので「締約国の一般的な義務」という名前をこれに含めることに懸念を示した。

ベネズエラは仕事、健康、休養、法的な時間に関してPWDの状態を知ることが重要なので、国家にデータ収集の義務を求めたが、プライバシーの侵害については警告した。

世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク(WNUSP)は差別禁止に関連して経済的、社会的および文化的権利に関する規約に概略が示されている一般原則を引用した。PWDの中に貧困が多いことから、貧困に関するものを含んだ国家政策の全分野においてPWDの参加およびこの観点の主流化を主張した。単に国際的な人権に関する義務だけでなく、国家レベルの非差別および政策策定に関する各国の義務について強調した。

日本は民間部門における非差別の違反(すなわち、PWDの民間アパートの利用)に対処する必要について論じ、前のスウェーデンの発言に同意した。議長テキストの第4条2dに言及した。EUテキストにも同様の記載がある。

ディスアビリティ・オーストラリア・リミティッドは既に対処が行われている多くの差別は国家当局によるものではないことを認め、EU草案のアクセシビリティおよび交通の問題に触れた。家庭内の女性に対する個人による暴力にCEDAWがどう対応したかについて挙げ、民間による差別の撤廃は地域的にプログラムに基づく措置によって既に対処されているのではないかと述べた。既存の基準を損なうことなくこれを土台とし、民間に適切に対処した明確な規定を含むことを求めた。

コーディネーターは、この条約で民間の差別を扱ってはならないという主張はされていないという点を明らかにした。

リハビリテーション・インターナショナルは3つの意見を示した。ヨーロッパ条約の第12条の通り、人権条約で非差別の問題をはずす例がないというわけではない。また、この問題に関して、国家は民間に委ねる責任がある。RIはまた、WGが市民的および政治的権利と経済的および社会的権利とを混ぜこぜにしないよう懸念を表明し、権利の実現の漸進的な促進の前向きな雰囲気をとらえる必要を強調した。

ヨーロッパ・ディスアビリティ・フォーラム(EDF)は国家の基本的な義務は過程および政策を作成する上でPWDと協力する権利であると述べた。この点で、PWDの組織が条約の実施に熱心に参加することが必要である。国家には、この作業を行う上でこれらの組織を全面的に支援する基本的な義務がある。EDFは、非差別に関しては民間部門も公共部門も支援の対象に含むべきであり、国家には権利侵害がないことを保証する義務があると述べた。

スロベニアは非差別についてのコーディネーターの発言を支持し、この点でCERD第6条は役に立つのではないかと述べた。PWDの組織との協力の原則を国家の義務とすることに対して支持を表明し、偏見との戦い、意識の高揚、漸進的および積極的行動の問題についてのEUの文書に対しても支持を表明した。

平等および非差別の保証

アイルランドは、特別委員会の前回の会合で配布した同国のエレメント・ペーパーには、直接的および間接的差別を定義する必要があることを強調している点を指摘した。これは編纂文書61ページ、EU案の第3条に記載されていて、雇用の平等に関するEU令に基づいていたものである。

世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク(WNUSP)は直接的差別と間接的差別との見分け方について注目するよう求め、それらを分ける必要について疑問を投げかけた。議長草案およびバンコク草案には、目的が正当であれば間接的差別が行われる可能性があり、差別の逃げ道となるので問題があると指摘した。言葉のごまかしの問題は、知的または精神的な障害者には特に懸念される。

コーディネーターはこの問題に対するコメントをさらに求め、編纂文書の32ページ、21項では表現は非常に制限されている点を指摘した。前述の発言者に対してバンコク草案(草案8ページ、第2条)の問題点について明らかにするよう求めた。

世界盲人連合(WBU)は間接的差別の意味を明確にする必要があると述べた。このWGならびに、以前になかった文書および2つのヘッドセットを使用しなければならないことが視覚障害者に対する間接的差別である点を強調した。

これに対して、コーディネーターは、メンバーが1つのテキストで合意に達することができない限り、このやり方で進めていくより他に方法がないと指摘し、程度の差はあるが、誰もが差別を受けているのではないかと述べた。

世界ろう連盟(WFD)は、人権条約の中には非差別が禁止されているものがあるそうで、また、編纂文書の中では言葉に基づいたPWDの差別についての言及がなく、これが直接的な差別の形態の1つであると述べた。このことは、バンコク草案の中で取り上げられ、テキストの中で言語の差別を禁止するよう要求されている。そうしなければ、全ての聴覚障害者に対する差別になるだろう。

アイルランドは同国の提案では直接的および間接的差別を認識している点を指摘し、間接的差別はそれを正当化する理由がない限り禁止され、正当化される場合も例外は限られたものになるだろうと述べた。全ての提案があらゆる形の差別を廃絶するものであると指摘した。

世界盲ろう者連盟は言葉の差別に関する前の発言に同意し、作業のやり方が簡単になるので、発言者は特定の条項を引用するときに文書の一部を読むことは可能かどうか尋ねた。

世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク(WNUSP)は自らの前言に触れ、編纂文書の一般的なコメントではなく特定の提案についての発言であると述べた(これは会議室のスクリーンに映し出された)。バンコク草案の差別および勧告の部分に関する第2条は間接的差別の点で「EU提案に劣る」のではないかと述べた。CEDAW およびCERDについて、間接的差別を含むと解釈されるのかどうか説明を求めた。

コーディネーターは、前の発言の趣旨は理解し難いと述べ、バンコク草案は「それを予防している」(間接的差別)と思うと述べた。それから、この問題を解決するために、議論は「非公式ベース」で「代表たちと廊下で議論する」のが最も好ましいかもしれないと述べた。

タイは、差別について取り扱うときに、積極的または特別の措置に関して用語を作る必要があると述べた。このことを表現する明確な方法を見つける必要がある。そうしなければ、選択する単語が中立的か否定的か長々と議論が行われることになるだろう。非英語国民として「差別」という言葉は否定的な言葉のように感じると述べ、それが中立的な意味を持つのか、否定的な意味を持つのか明らかにする必要がある点を強調した。

コーディネーターは逆差別または差別撤廃措置についての規定がないのなら、他の状況でそれは差別と思われるかもしれないと述べた。

警告は間接的差別にのみ適用されるため、カナダは直接的および間接的差別の説明を求め、この2つを分けることへの注意を呼びかけた。また、バンコク草案の第3条は姿勢の問題を扱っていて各国は保証するのが難しいので「各国が克服するには困難が大きい」と述べ、要求の優先順位付けが求められるかもしれないので予算に柔軟性を持たせることが必要であると強調した。この部分の一般的概念には同意した。

シエラレオーネはEU草案について言及し、PWDや全ての人が「我々がやろうとしていること」を理解できるように、できるだけ簡単にするよう起草者に求めた。60ページの差別に関する中国の定義について触れ、差別の定義の選択肢の1つであると述べた。定義は一般的なものにして、「意味を示すために特定の措置」を使う必要があることを強調した。

中国は35ページ(前の発言者が示した60ページではなく)の中国のテキストにある差別の定義について説明した。定義が長すぎると違った見方に行き着いてしまうかもしれないので簡潔にするよう求めた。バンコク草案の定義は長すぎて「教科書みたいだ」と述べた。EUおよびバンコク草案にある定義と中国、メキシコ、ベネズエラの草案の定義を合わせることを提案した。

ディスアビリティ・オーストラリア・リミティッドは、差別および非差別の原則については全ての利害関係者が重要視しているのではないかと述べ、2003年6月の特別委員会では過半数は全体的な条約を希望したが、CEDAWおよびCERDを手本とした非差別条約を希望したのは過半数を僅かに越えただけだったことを思い起こさせた。予防策と促進策のバランスをとり、積極策を導入するよう求めた。この非差別原則の議論が「望んだよりも」条約のスペースを取ることになるかもしれないが、これが中心の問題であると警告した。

リハビリテーション・インターナショナルは、差別は実はあからさまに直接的に行われることはまれで、普通はもっと間接的であると述べた。これはEUのテキストで扱われている。RIは直接的な差別を正当とする理由はないと述べ、EUに対して適切な配慮の問題の説明に加えて、EUテキストの特別措置に別の用語を使うよう求めた。

スウェーデンはバンコクおよび議長のテキストの中の政府およびその他の関係者の活動についてのカナダの前の発言について述べた。テキストでは各国政府に対し全ての種類の措置を取るよう求められていて、それは直接的な人権侵害と見てはならない。この点でEUの草案と、この点で各国政府に予想される政策、立法、適切な配慮の面の違い擁護した。この問題は条約の中でWGが時間の大部分をさくべき部分なので、これにもっと時間を費やすよう求めた。

ドイツは発言する前に、アイルランドがRIの質問に答えられるか尋ねた。

アイルランドはRIの提示した質問はEUで十分に討議してきたと述べた。適切な配慮は差別を克服する手段であり、言い換えると、目的に達する手段であると述べた。これは法的に拘束力のある文書では重要である。

ドイツは条約は既存の人権文書を損なうものであってはならないと述べ、この条約の定義は経済的、社会的および文化的権利に関する規約の権利の水準に達しないものであってはならないと述べた。適切な配慮という概念はEU草案に非常にうまく取り込まれていると述べた。

モロッコはできるだけ幅広い概念に関心があるので、差別に関する詳細は追及しないと述べた。態度を変える過程は時間がかかっても必要であり、その重要性を考えると開始しなければならないという点でカナダと同じ意見だった。

タイは「障害に対して積極的および生産的態度」を持つバンコク草案(第9条)に同意した。従って、態度の変化は消極性を無くすだけでなく、積極的措置も意味している。タイ代表は草案のテキストの中で、重度の障害者に加えて、特に都市部のスラム街の少数部族や少数民族など、十分に扱われていない集団があると述べた。


ディスアビリティ・ネゴシエーションズ・デイリー・サマリーは、ランドマイン・サバイバーズ・ネットワークが発行する。このネットワークは、地雷の被害を受けた6つの途上国において手足を失った者の支援網を持った、米国に拠点を置く国際組織である。このサマリーでは障害者の人権に関する特別委員会の政府間の議事録を扱っている。作業部会の会合のリポーターは、エリザベス・キッサム、ジェニファー・ペリー、およびザハビア・アダマリー(編者)である。このサマリーは、翌日の正午までにwww.worldenable.netに掲載される。日本語の翻訳(日本障害者リハビリテーション協会(dinf-j@dinf.ne.jp.))もある。作業部会の会合のサマリーの翻訳および配布に関心のある方、連絡先の情報の配信を希望する方、コメント/質問がある方は、Zahabia@landminesurvivors.orgにメールを頂きたい。

翻訳:(財)日本障害者リハビリテーション協会 情報センター