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国連障害者の権利条約作業部会

仮訳 デイリー・サマリー第3巻第9号 2004年1月15日(木)

NGO 地雷生存者ネットワーク

午前セッション

開始時刻: 午前10:30
終了時刻: 午後1:03

教育を受ける権利

コーディネーターはこの議論ではA/AC.265/2004/WG/CRP.3/Add.12 を参照するようにメンバーに言った。

シエラレオーネは教育および訓練に関する包括的な条項を設ける選択肢について考察した。訓練が何であるかについては、仲間、生活支援、世間一般に障害問題に関する情報の提供なども含まれる。移動に関する条項のパラグラフdおよびアクセシビリティに関する条項の2(g)もこの条項に含めるべきである。

世界ろう連盟(WFD)はテキストは妥協案であり、聴覚障害児を含む全ての障害児には社会への完全参加ができるように教育を受ける権利が保証されていると述べた。インクルージョンは重要であるが教育を実現する方法は複数あり、テキストは選択の自由を制限してはならない。障害を持つ教師が障害児と非障害児の両方を教えることが可能になるから、脚注3はテキストに含めるべきである。これは、障害問題について一般に情報提供し、幼い子どもでも多様性を受入れられるようにするひとつの方法だろう。障害者に教えることを認めない立法上の障壁がある国もある。他の障害者グループがインクルーシブな教育を受けられないことを意味しているのではないので、脚注5はテキストに載せるべきである。条約では非障害児が障害について学ぶよう保証し、多様性の問題を反映しなければならない。

コーディネーターはこの脚注についてはAHCで議論すると述べた。

米州障害協会(IID)は幅広い取り組みの重要性を強調し、条約は障害児の学習および教育の必要性を含む全ての選択肢が取れるようなものにすべきだというWFDの意見に同意した。インクルーシブ教育は、障害児が隔離された環境に置かれないようにするために重要である。教育は障害についての固定観念を克服する1つの方法である。文化的環境に変化をもたらすためには、生徒に対して質の高い教育を行うだけでなく、多様性の価値を伝える責任を持つことが教師にとって重要である。

日本は2(i)の「アクセシブルな教育」の意味を尋ねた。その脚注にも関わらず、3(iv)では他より良い教育への取り組み方法があると考えている。この脚注には選択する権利の原則についての全体的な意見の一致がある。しかし、とうてい普通の学校ではその要求を満たすことのできない重度障害児または重複障害児の場合、選択する権利はあまり意味がないかもしれない。脚注はこのことを反映して修正する必要がある。

コーディネーターは脚注5には「選択する権利」の要素が含まれているが、実際的な問題が出てくると述べた。全てのメンバーがこの点にについて合意しているわけではないことを示すよう、言葉を和らげてもよいだろう。

世界盲ろう者連盟は、孤独で他の生徒と付き合えない視聴覚障害者にとってのインクルーシブな教育の個人的体験を説明した。ある部分はインクルーシブな教育、その他の部分は特別教育というように、創造的な解決策が必要である。視聴覚障害者はインクルーシブな教育を望んでいるが、社会からの無視という問題に直面しなければならない。テキストには、障害児が教育に関する選択を行うということを反映する必要があるが、たいていの場合、やっているのは親である。点字および手話についても、脚注だけでなくテキストで扱うべきである。

タイは、教育を受ける権利はこの条項の中で「何より大切なもの」と述べた。PWDにはできる限りインクルーシブな教育を受ける権利が与えられなければならないが現実問題がある。パラグラフ4の最初の文は「視覚障害を持つが生徒は点字を教わる権利を有し、聴覚障害を持つ生徒は手話を教わる権利を有することを締約国は保証する」と記載すべきである。点字と手話は違う。点字は書かれた原稿であるが、手話は言語である。個人教育計画(IEP)は「中間的な」教育方法を使って障害を持つ生徒の要求を認識し、これを満たすよう保証するために各国にとって良い道具となるので、パラグラフ2にはIEPについて記載しなければならない。

ベネズエラは、人生の後半で目が不自由になった人は正式な教育制度から取り残されてしまい、正式な教育ならびに職業および移動の訓練の両方へのアクセスが必要なので、タイトルを「教育および訓練」に変える案を支持した。これらの分野の専門家にはPWDを扱うための訓練を受けさせなければならない。聴覚障害者に「本物の世界」で気持ちを伝える機会が与えられるように、この条項では実行できる彼らのための3つの教育方法についても触れなければならない。ベネズエラは、この条文は子どものことだけを扱っているのではないので、前文(パラグラフ1)の2つ目の文を他の場所に置くことを提案し、「漸進的に」が何について言及しているのか尋ねた。

中国は、前文のこの言葉は子どもの教育について言及しているので同条の他の部分とは異なっていると指摘した。子どもに対する一般教育の重要性は明らかであり、CRCに書かれている事と同じ事が繰り返されている。3つのパラグラフには教育の目標が述べられている。全ての条項でこのことを強調するのは適切だろうか。また、その必要があるだろうか。脚注1は既存の基準および国際文書の意味を歪めてしまうかもしれない。パラグラフ2(全てのサブパラグラフを含む)は削除すべきである。

コロンビアはタイトルに教育概念に含める案を支持した。同条でインクルーシブな教育を支持すべきである。視聴覚障害児を無視すべきではなく、彼らを社会に完全に統合できるように3つの教育方法の全てを推進すべきである。パラグラフ1では子どもだけでなく、全てのPWDについて 言及すべきである。

カナダは「幼年期および就学前の教育へのアクセスを含む」を「適切な場合に、幼児教育へのアクセスを含む」に変えるべきだと提案した。カナダでは障害児を含む全ての子どもに就学前の教育が提供されているわけではない。

アイルランドは、テキストでは強い見解が考慮されていないと述べた。マラガ宣言(EU)についてもっと強く言及する必要がある。同条は子どもの利益を示す必要がある。例えば、子どもの利益のためならば主流の学校に通う機会を与えることについて示すべきである。

韓国 (ROK)は、必ずしも分離教育の方が良いわけではないが、インクルーシブ教育の環境におけるPWDの学力水準が低い場合がある点を指摘した。特殊教育は主流に入る機会の損失につながるかもしれない。同条でインクルーシブな教育の目的を修正すべきである。パラグラフ4では「選択した(chose)」を「選択する(choose)」に置き換えるべきである。

世界盲人連合は、同条は一般教育と特殊教育を一緒にしていると述べた。パラグラフ2では一般教育について明確に述べ、パラグラフ3では特殊教育について明確に述べなければならない。教育には常に選択の問題があり、それは生徒およびその親たちの掌中になければならない。「感覚障害」が知的障害者を意味する国があるので、パラグラフ4にはこの用語を含めるべきではない。知的障害者のほとんどは特殊教育に反対しているので、具体的に聴覚障害、視覚障害、視聴覚障害について言及すべきである。パラグラフ2では、支援を受けて一般教育制度での高等教育にアクセスすることについても言及すべきである。AHCが検討できるように脚注をもっと明確にすべきである。

労働の権利

韓国は、パラグラフ(a)の「開かれていてインクルーシブな労働市場」は曖昧すぎて、国家には本物の選択肢が提示されていないと述べた。中国は、前文に「保護する(safeguard)」ための国家の義務に加えて「促進する(promote)」を加えるよう提案した。

カナダは、例えばリストに挙げられた措置とそうでない措置との間に段階ができるなど、リスト作成は労働協約の面で特定の人々の権利を意図せずに制限してしまい逆効果かもしれないと懸念した。 

WNUSPは、もし特定の措置がこの条項に明確に示されているという事実がなかったら、これらは理解されないだろうと答えた。例えばPWDは同一の経歴の同一の労働をしても同一報酬をもらう権利が否定されることが多い。同条の前文には「を含むが、これに限定されない」を追加すべきである。

シエラレオーネはこの条項の草案に対する全面的な支持を表明した。

レバノンは「同一価値の労働についての同一報酬」に「同一機会」を付け加えた。

日本はパラグラフ(e)の「合理的配慮」の説明を求めた。例えば、雇用主と労働者の間の争議があったら、日本は影響を知る必要がある。

インクルージョン・インターナショナルは、この条項は曖昧であり、この点で教育を受ける権利に関する条項と対照的であるという点で韓国と同意した。これらの条項でのテーマの扱い方を一貫させるべきである。PWDを職場に統合させるために、インクルーシブな教育をインクルーシブな雇用という形で続ける必要がある。インクルーシブな雇用は知的障害者にとって重要で、実施には支援が必要である。それはこの条項に述べられているが規定はされていない。

WBUは、現在、世界の貧困者の中で最も貧しい者となっている「PWDの貧困を防止するために」労働の重要性について強調した。この文言は労働の権利の目標として前文に加えられた。

コロンビアは、(b)、(g)、(j)で「職業訓練」および「職業リハビリテーション」についての言及を、職場で事故に遭った人に適用するよう求めた。「認めた(recognized)」だけでは義務の説明には十分ではないかもしれないので、おそらく、PWDが有能な労働者であるという前提に加えて、このサービスを受ける者に対する証明についても述べるべきである。

LSNは(h)を修正して「保護する(protect)」を「の権利を差別なしに保証する(guarantee without discrimination the right of)」に置き換えるよう提案した。

南アフリカは、PWDが職場までの信頼できる交通手段を持つ必要の重要性を考えて、仕事へのアクセスについての考え方の統合を提案した。

リハビリテーション・インターナショナルは、(b)の「職業指導計画」に「一般的な」を加えるよう提案した。これは、特別な「指導計画」を求めることなくインクルージョンに向け、受身の労働市場政策に反対する選択を巧妙に提案するものである。PWDが市場に参加していないことを考慮して、 (c) では最初に次の目標を明記することができる。「積極的な労働市場政策を追及し、平等な雇用を推進する・・・」。コロンビアの職業訓練プログラムについての修正は教育に関する条項に組み込まれるべきである。

ウガンダは同条では各国政府についても対処するよう助言した。政府は主要な雇用主であり、例を示すことができるかもしれない。

アイルランドはパラグラフ(h)以外、この条項におおよそ合意している。雇用に関するPWDの保護は立法を通して行われるべきなので「個別的及び集団的な労働協約」という文言は削除する必要がある。

タイは、障害が仕事を探す人の差別に利用できるという意味にとられるものはこの条項の中にはないということを具体的かつ明確に述べるよう求めた。

社会保障及び十分な生活水準

ベネズエラは、同条では、現在のパラグラフ1(a)よりも詳しく技術的および機能的補助(視覚、聴覚、移動に関連したもの)の提供も保証するように助言した。これらがなければ、彼らは権利を行使することができないだろう。

カナダは、2番目のパラグラフはICESCRにならって起草されたもので「清浄な水へのアクセス」がその条項の規定に追加されていると述べた。新たな権利を作らないようにするためにこれは削除すべきである。

コーディネーターは、清浄な水へのアクセスは食糧を得る権利に含まれると考えられるかもしれないと述べた。

WNUSPは、この権利について触れている出典となった法律文書がESCRの他にもあるかもしれないと答えた。さらに、サブパラグラフ(c) は書き換えて、PWDの家族ではなくPWD自身が中心であるとすべきである。サブパラグラフ(d)は幅を広げて、アクセスが政府の住宅供給計画を越えて民間住宅まで差別なく保証されるようにすべきである。

中国は、サブパラグラフの 1(c) で強調されているのは全てのPWDに影響を与える貧困状況による困難であるので、1(c)の「重度障害及び重複障害」という文言の除去を求めた。様々な形の財政支援の資格だけでは十分ではなく、収入の創出および自営についてもこのリストに加えるべきである。このパラグラフの最後の節「これは自己を育成する意欲を阻害するものとなってはならない」は削除すべきである。

アイルランドはこのテキストに「多数の問題」を見つけた。このテキストの土台となっている経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(ICESCR)の第9条の長さが2行であることは暗示的である。理想的にはこの条項は1つ目のパラグラフから拡大すべきではない。拡大してしまったために以下の修正/懸念が出てきた。1(c) はこの条約のテーマの範囲を広げてしまい、それが「重大な困難」を引き起こすだろう。1(d)は規範的すぎて、既存のPWD向けの政府の住宅供給計画が除外されてしまいそうである。収入だけが税制上の優遇措置を決定する十分な基準ではないので、1 (e)は「必要を明らかにする」ために「妥当な」を加えて表現を和らげる必要がある。1 (f)は、一般的には生命保険および健康保険は民間部門が提供しているということを考慮していない。これは医療保障を提供する国家の義務とは異なる。「清浄な水」の規定に対するカナダの見解は既存の権利を書き換えることに対するアイルランドの懸念を反映している。例えば、この規定は健康の権利の一部として対処されていて、十分な生活水準の権利の実行手段であるが、別個の権利として記載すべきではない。これらの権利は通常「漸進的な実現という言葉に表れている」。

レバノンは、もうひとつの重要な社会的弱者のグループである高齢者について1(b)に規定するよう提案した。

米州障害協会はベネズエラの機能的補助についての見解に共感し、社会保障は幅広い言葉なので、要素に分解することの重要性を強調した。PWDは家庭内を動き回れるように品位のある住宅に住むのは当然のことである。

韓国はこの条項を概ね支持したが、政府の住宅供給計画を「別勘定にすること」でさらに柔軟性がなくなるかどうか説明を求めた。サブパラグラフのほとんどは「アクセスを保証する」義務で始まっている。しかしPWDの多くはどのプログラムにアクセスできるのかを知らないので、PWDに「情報を与える」必要も明確にすべきである。

WBUは1 (c)のために「重度」障害の定義をするよう助言した。「清浄な水へのアクセス」はアクセスの問題なので別に言及することが必要である。PWDは食糧のために絶対に必要な清浄な水でさえ入手できないことが多い。清浄な水が不足すれば、例えば失明の原因となる。生命保険および健康保険に関するパラグラフ1(f) はそのままにしておくべきである。

タイは重度障害及び重複障害に関する中国の見解を支持した。生命保険および健康保険はたいてい民間部門が提供していることを考慮して、「強力に支持している」パラグラフ 1(f)の修正を提案した。しかし、これを「規制するための手段が各国にはある」。どんな保険も障害に基づく差別をすることはできないことを各国は「立法措置を通して」保証すべきである。この規定はこの条項か健康に関する条項に残すべきである。税控除に関しては、PWDに税負担を課すことを保証するよう、このサブパラグラフを修正して「そして、PWDの独立の強化を目指した援助技術の購入」を加えるべきである。

シエラレオーネは、この条約は関係各国の大多数、すなわち発展途上国に合わせなければならないという一般的なコメントを述べた。発展途上国にとって、実施の現実は大きな問題である。この条項の義務と各国の実施能力の間には大きな隔たりがある。例えば、シエラレオーネでは、そもそも政府の住宅自体がない。この会合の目的は、見解をなんらかの形にまとめることである。

エクアドルは社会経済的状況に関して前の発言に同感し、水へのアクセスを含めるという意見を支持し、「基本的サービス」という文言を追加することを提案した。

インクルージョン・インターナショナルは「重度」という言葉が知的障害者に適用されることが多いので、これについて疑問を投げかけ、この条項の「効力を弱め」ようとするEUの立場との関係を強調し、貧困の中で生活するPWDを助ける必要について強調した。

文化的生活、レクリエーション、余暇、スポーツへの参加

コーディネーターはこの議論ではA/AC.265/2004/WG/CRP.3/Add.21を参照するように代表たちに言った。

ランドマイン・サバイバーズ・ネットワーク(LSN)はパラグラフ4を「締約国は、PWDがレクリエーション、余暇、スポーツ活動に他の人と対等な立場で参加する権利を認めるものとする」に置き換えるよう提案した。同条が障害者と非障害者が同じ試合で競うことを要求するものではないということを明確にするために、4(a)では「の主流に」を「に可能な限り完全に」に置き換えるべきである。

障害者インターナショナル(DPI)は、障害児が学校でスポーツ、余暇、レクリエーション活動に参加する機会を持つことの必要についてテキストで具体的かつ直接的に言及しなければならないと述べた。このことが、若い頃から障害を受入れる心を育てるだろう。

アイルランドはメンバーにEU草案の第5条(a) を参照させた。パラグラフ3が及ぼす影響を考えなければならないからである。問題は、パラグラフ3を教育に関する条項に入れるべきか、法の前の平等に関するもっと一般的な条項にいれるべきかである。

中国は、4(a)の「国際的レベル」の後に「および特にPWDのために計画されたスポーツ活動」を加えるよう提案した。全てのPWDがオリンピックに参加できると考えるのは合理的ではない。障害者向けの競技会も重要である。

コーディネーターは、パラグラフ4は主流化について言及していて、これは少し異なる概念であると指摘した。

日本は、同条は規範的過ぎると述べた。テレビ番組、劇場、映画会社は通常、商業的に運営されている。営利企業に対して1(c)の要素の提供を求めるように締約国に要求するのは可能か。パラグラフ3は聴覚障害者だけに特定している。手話の文化に加えて点字の文化についても議論しなければならない。この条約は全てのPWDのためのものである。

ディスアビリティ・オーストラリア・リミティッドは、PWDには非障害者とほとんど対等に競争する者もいるので、主流のスポーツについても言及するべきであると述べた。同条では特別なスポーツと支援を受けている人を主流に組み込むアクセスの両方を促進しなければならない。日本の問いに答えて、点字は書かれた原稿であり、言語ではないと述べた。

世界ろう連盟(WFD)も手話は言語であると述べた。文化的およびリクリエーションの状況の通訳するのは、そのアクセスを保証するひとつの方法である。通訳の提供は聴覚障害者にさらに権利を与える方法ではない。UNESCOは少数者集団の言語を奨励および保護すべきだという「文化の多様性の保護および促進」に関する新たな報告を発表した。手話は少数者集団の言語として挙げられており、この報告書も同条に関連づけるべきである。

タイはPWDが主流のスポーツに参加する平等な権利を支持したが、中国が表明した懸念も支持した。多くのスポーツは主流のスポーツとして提供されているのではなく、障害者に限定されたものとなっている。これらのスポーツも振興すべきである。パラグラフ3では、手話は他の言語と同等であるが、点字は印刷物と同等である。どちらも認められるべきだが、そのやり方は同じでははない。民間部門が提供している演劇や映画もあるので、1(c) にはもっと柔軟性を持たせるべきである。しかし、アメリカの連邦通信委員会( FCC)の規制は、アクセスの保証のための国家による規制の実施方法の良い例である。そのようなアクセスは法的には可能であるが、熱心な取り組みと理解が必要である。

アイルランドは、パラグラフ3に対して支持も反対もしないが、その影響と、条約のどこに入れるべきかを研究したいと説明した。

生命に対する権利

コーディネーターはこの議論ではA/AC.265/WG/CRP.3/Add.18を参照するようにメンバーに言った。

DPIは生命に対する権利は基本的権利であると述べた。問題が重大であることと多くの国で頻繁に起きていることを考えて、同条では安楽死、生命倫理、PWDに対する強制的中絶の実施について扱わなければならない。

LSNは、危険に曝されることがより多くなる武力衝突における障害者の状況についての条項を別に設けるよう提案した。CRCの第38条ではこの問題を扱っている。

中国は、生命に対する権利は基本的な人権であると述べたが、その定義については様々な当事者の間で意見が一致していない。これが生まれた後に備わる権利について言っているのであれば、ほとんど全ての国がこの権利を守るだろう。生まれる前の生命に対する権利のことを言っているのであれば、全ての国がこの権利を認め、守るということにはならないかもしれない。まだ生まれていない子どもには生まれてくる権利があるが、母親にも自由に選択する権利がある。この問題には安楽死、遺伝子技術、特定の価値観および宗教も関わっている。この問題に関する様々な国の対処は一様ではなく、AHCはこの権利を条約に含めるべきかどうかについて検討すべきである。

コーディネーターは、この問題について述べた脚注があると述べた。南アフリカは同条および、武力衝突に関する別の条項を設けるというLSNの提案を支持した。WFDBは生命に対する権利には生き残る権利も含まれるのかどうか尋ねた。コーディネーターは、多くの人にとってこれは非常に悩まされる質問であると述べた。タイは同条を支持し、もしかしたら、メンバーは同条の中で、どこで生命が始まるのかという問題に関して妥協点を見つけることができるかもしれないと述べた。多くのPWDは生まれた後も生命を奪われている(家族に殺されたり、第二次世界大戦では他の人に殺されたりしている)。ほとんどの人権文書で生命に対する権利を扱っているように同条でも生命を支えるべきである。

午後セッション

開始時刻: 午後3:34
終了時刻: 午後6:00

生命に対する権利(続き)

レバノンは午前セッションのLSNの提案を支持し、占領下のPWDについても関連した別の条項に含めることができるだろうと述べた。

シエラレオーネは「生き残る(survival)」という言葉をこのテキストに載せるべきだと主張した。これは新しい権利ではないが、生命に対する権利を延長したものである。さらに、「生き残る」という言葉には付加的な利益があり、はっきりと言及しないでも武力衝突や難民でさえも含まれる。

RIは生命に対する権利を脅かす特定の脅威に留意するのがPWDにとって極めて重要である点を強調した。優生学的な法律、政策および慣行の禁止に言及しなければならない。RIは、紛争後の復興および国づくりのテーマを加え、戦争の状態に関する表現を含めるというLSNの提案に同意した。

IIはこの条項に詳細が欠けていることについて懸念を表明した。このテキストは他の条項と比べて非常に短い。中国は先ほど、胎児の権利については議論を呼ぶテーマであると主張したが、AHCは少なくとも、障害(多くの場合、ダウン症)を考慮した妊娠後期の中絶などの行為について対処すべきである。この行為から助かっている赤ん坊もいる。これに加えて嬰児殺しがある。これは、生まれる寸前に赤ん坊を医師が殺すことを認める行為である。IIは、RIが述べたように優生学的な行為は禁止するよう求めた。IIは最後に「着床前診断」と呼ばれる医療行為に注目するよう求めた。これは健康と思われる胚のみ着床させる行為である。他の胚は捨てられるか、幹細胞の研究に使われている。

アイルランドは、EUテキストには生命に対する権利に関する条項が含まれていないことを思い出させた。理由の1つは、その内容を定義しようとすると、この権利を損なってしまう危険があるからである。どの問題がこの議論と関係があるかについての合意が明らかに欠けている。この問題に関するテーマの協議では、グループが合意することはないことは明らかだった。しかし、テキストについては現在の状態で合意されている。テキストでは、PWDが生命に対する権利を享有することを「保証するために必要な全ての措置」 をとるよう各国に求めている。そのやり方については間違いなく意見が分かれるだろうが、このテキストにはWGで出された意見を除外していないという長所がある。従って、このテキストは生き残りの問題をはっきりと記載せずに含めようとしている。アイルランドの代表は、「生き残り」は唯一CRCで言及されていると指摘した。WGのテキストの中でこの権利について示すことは、ある程度受入れられているようである。アイルランドは、「生命に対する権利に関する条項を含めるべきかどうかについて作業部会の中で様々な意見が出た」と明記した現在の脚注をつけてこれをAHCに送るよう強く求めた。

カナダは提示されたテキストを承認するようWGに強く求め、テーマを絞った協議でWG向けの提案を決められることに満足の意を表明した。議論されているWGのテキストはICCPRの第6条の表現に倣って作られている。カナダは合意を覆してしまうという理由から、さらなる提案(「生き残り」を挿入する提案を含む)に反対した。

ドイツはアイルランドの発言には同意したが、PWDの大虐殺などの歴史があることから、生命に対する権利に関する条項に強い関心を持っている。条項が短いことは妥協を意味するが、条約に含むことが極めて重要である。

シエラレオーネはこの問題に関して、意見が異なる点を両方とも(生命に対する権利の内容および、そもそも条約に生命に対する権利に関する条項を載せるべきかどうか)脚注に反映させるよう求めた。

ウガンダはIIの見解と同じだった。妥協案として、脚注にはこれらの意見を反映させるよう拡大できるかもしれない。そうすればAHCは「全容」を把握し、全ての要素を認識して議論できるかもしれない。

合理的配慮

RIはテキストに関して重要な点をいくつか挙げた。条約には上記の概念が必要だという点で意見は全体的に一致していた。テキストが様々な法的な慣例を反映し、いくつかの状況で役に立つように一般的で柔軟なままにしておくという点でも一致していた。さらに「合理的配慮」の意味を決定する過程は「個別的に扱い」(個人の必要に焦点を当てる)かつ「双方向にする」(PWDと影響を受ける団体)という点でも合意していた。また、団体にはPWDに合理的配慮を受入れさせる力はないが、同時に、利用できる配慮が全て合理的だと思われる場合、PWDには必ずしもどれがいいかを選ぶ権利はないという点でも合意があった。団体が国家の支援および資源を利用できる場合、負担が不均衡だという考えは持つべきでないという点でも合意している。

南アフリカは、この脚注が草案全体にどのように当てはまるのか明確にするよう求めた。コーディネーターの草案の最初にある合理的配慮の定義に注目するよう求め、脚注として定義を示す意図は何なのか尋ねた。RIは草案のテキストは変更されないが、説明のために脚注をつけると答えた。

タイは、合理的配慮の水準は「希望する水準」ではなく「必要な水準」で定義されると述べた。提供された配慮が適切であると考えられる場合、その人は他の配慮を選ぶ権利を持たない。

ウガンダは合理的配慮という言葉は条約で2度以上使われていると述べ、この説明を定義として扱うのは適切かどうか考察した。従って「合理的配慮」という言葉がどこにあろうと、議論されているテキストは受入れられた定義となる。この方が単に「平等および非差別に関する条項」の脚注としてこれを含めるよりも良い。

コーディネーターは「平等および非差別に関する条項」のコーディネーターの提案のパラグラフ4には合理的配慮の定義が含まれていると指摘した。脚注をつけるなら、恐らく、合理的配慮の定義をしようとする限りにおいてパラグラフ4の部分を削除するのが適切だろう。合理的配慮を提供する締約国の義務への言及は残るが、それを定義する試みはなくなる。

レバノンは、脚注では定義を行っていないが、「平等および非差別に関する条項」のパラグラフ4には合理的配慮の定義の概略が示されていると説明した。

統計およびデータ収集

シエラレオーネは、テキストの内容、特に脚注をつけることについて問題はないと述べた。他の条項と一貫させるよう、「べき(should)」という言葉は「ものとする(shall)」に変えるべきである。これは単にデータ収集の問題ではなくデータの利用の問題であり、従ってデータ収集の過程およびその使用法はテキストの中で明確に分けるべきだと指摘するのが重要である。また、前文には各国が自発的にデータ収集をすることを示すべきである。

韓国は、これらの要求事項が国家方針と矛盾しないように保証するよう注意を促した。データ収集に関する憲法上の問題があり(プライバシーに関して)、条約で憲法違反となる活動をするように各国に義務づけたら問題が起こるかもしれない。

インドは統計およびデータ収集の必要およびこれを条約に含めることを支持した。データがなければ、PWDに必要なサービス、プログラム、支援を提供するのは不可能である。データは専門的に神経を使って収集する必要がある。

WFDBは、デンマークでは、誰が視聴覚障害者かなどの障害に関するデータ収集は禁止されていると述べた。このテキストでは、各国が自らデータ収集をすべきであると言っているのではなく、「各国に・・・するよう勧める」と言っている。基準規則に示されているように、NGOにデータ収集を依頼することが可能で、また、自発的に行われるべきである。

スウェーデンは、このテーマに関しては気がかりな点が多いと述べた。特に脚注のパラグラフ2で「この条項を含めることを強く支持した者もいる・・・」と言明されていることについて懸念を表明した。ある条項を含めるという意見があるとしても、この条項を含めることを支持しているかは明らかではない。

コーディネーターは、このテーマは他の全てのテーマと同じ手順で扱われると述べた。明らかなことは、この条項はまだ未決定で、この条項を含めることについては賛否両論があるということである。これについての決定は議論次第であるが、ここに示された全ての予防措置が行われることで議論はこの条項を含める方に傾いているようである。

モロッコはこの条項を含める意見を支持した。政府がPWDの必要に対処し、適切な資源を配分するためには、データおよび統計が必要である。

コロンビアはシエラレオーネの提案に関して、「べきである(should)」という言葉の使用はいくつかの代表の要求であり、維持すべきであると述べた。

アジア太平洋障害フォーラムは、条約の実施の関係で、この条項を含める意見を支持し、PWDの権利およびプライバシーを守るための予防措置を実施しなければならないと述べた。アジア太平洋地域のPWD組織のほとんどは、苦労して障害を国勢調査に含めさせた。全ての国で資源に対する競争的需要があり、この種の情報はPWDが障害問題への適切な資源配分および彼らの懸念に対処する国家の方針の開発を主張するための貴重な道具となっている。これは性差の問題の分野で行われていて影響が大きい。 これは各国の報告活動の助けにもなるだろう。

中国は、留保の多くは不適切な収集方法、乱用の可能性およびプライバシーの懸念に関したもののようだと述べた。データおよび統計の収集自体に対する全面的な反対はない。明らかなのは、国家がPWDの人数および状況を知らなければ、特に大きな国では十分なサービスを提供できないということである。これに基づき、条約には統計およびデータに関する条項を入れるべきである。

ベネズエラは統計およびデータを条約に入れる必要を強く支持し、国連にでさえもデータ収集部門があると指摘した。

RIは、この条約の各国およびNGOの共通の目的は、PWDの人権の完全な享有に対する障害に取り組むことであると主張した。合理的な政策開発および改革には統計などの合理的な政策ツールが必要である。政策の策定、実施および評価は、状況の正確な評価および関係者の必要に基づかなければならない。これは欧州評議会の閣僚委員会が言っていることであり、政策目的で 統計およびデータを収集することの重要性がEUの人権制度における障害政策の責任を担う閣僚のマラガ宣言で強く繰り返されている。

WNUSPは最終的にはこの条項を含めることに反対するかもしれないと警告した。障害に関する情報の収集とPWDによる人権の享受に関する情報の収集とは違う。前者は人権条約に含めることに関係している。WNUSPがこれを支持できるようにするためには、集めるデータは障害自体ではなく、アクセスおよび権利に関するものに焦点を当てるべきである。最後に、政府とPWDの協力の範囲を広げて他の利害関係者を幅広く含めるべきではない。

IIはこの条項は人権条約に分類されるものかどうかについて懸念を表わした。含めるとすれば、タイトルは「データおよび統計の保護」に変えるべきである。これがテキストに実際に示されるものである。

セルビア・モンテネグロはこれは人権条約に関係がないというスウェーデンの意見を支持した。そして、プライバシーの問題についての深刻な懸念を表明している。

エクアドルはこの条項を条約に含めることを支持した。統計およびデータは各国政府が行う全ての仕事、特に市民の必要に答えることに関する仕事の計画に使う基本的な道具である。

コーディネーターは、タイトルを変えるというIIの提案によって、支持しやすくなる代表が出てくるほど重点が変わるのかどうか尋ねた。

コロンビアは、現在のタイトルの方が一般的であり、条項の範囲を狭めるためにタイトルを変えることが本当に役に立つのか明らかでないと述べた。もしかしたら「データおよび統計の収集および保護」に変更できるかもしれない。

シエラレオーネは、IIが提案した新しいタイトルに関して脚注を付け、PWDに関して集めたいかなるデータも、その形式はどうあれ、PWDの人権を侵害してはならないということもはっきり述べるよう提案した。データ(その使用法または保管)の濫用の可能性がある。

ジャマイカは、いかなるデータ収集にも確立された調査の倫理を適用する必要を示す言葉を加えるよう提案した。

アイルランドは、タイトルに関して条項にはタイトルよりも数字を使う条約もあると指摘した。

国家の実施措置

カナダは、パラグラフ1および2に関しては、小グループの討議で全体的な合意が得られたが、その他については得られていないと述べた。理由の1つには、最初の2つのパラグラフよりも詳しい説明をしてはならない、つまり、規範的すぎてはいけないと考える国があった(カナダを含む)からである。各国がやるべきことをもっと説明すべきだと考える国もあった。どちらの見解も脚注に示されているが、合意が得られた項目または反対の程度を表す脚注の正確性についてカナダは不満を感じる部分があり、特定の要素に対する支持の程度についての表現が過剰であると主張した。カナダ はいくつか提案した。小グループの中の意見の相違がもっと大きいことを示すこと。テキストの規範主義を軽減すること。そして、もっと大きくすべきだという意味になるかもしれないので「強力な」監視の仕組みの推進を防止すること。また、議論されているこのテキストは小グループの議長によって作成された点も指摘した。AHCを支援するためにNGOが文書を作成することには合意してい

アイルランドは、監視の問題はもっと後の段階で、条約の内容および範囲に関連し、他の条約の監視について見直すための他の会議の場での作業を考慮して検討すべきだというEUの文書の提案に言及した。基本的に、最初の2つのパラグラフは支持できるだろう。脚注のbについては、EUは特に支持をするともしないとも意見を述べていないのに、強力で効果的な監視の仕組みを支持することへの「合意」が得られたとどうして主張できるのか理解できない。AHCのための文書を作成するなら、事実に基づいたものにして、監視のための「好ましいモデル」を明らかにしようとするものであってはならない。

日本はある種の実施措置が必要だが、全ての国が使えるように表現は非常に簡単なものが良いと述べた。従って、パラグラフ1および2は受入れられるかもしれないが、脚注に示された見解は規範的過ぎる。脚注a、b、cを削除して、AHCに指針を与えようとしない方が望ましいだろう。

南アフリカ人権委員会は小グループの会議で合意は得られていないが、これらの問題をAHCに提案してさらに議論すべきだという強い意見があったと述べた。脚注は重要なので、議論されたとおりに問題をAHCに認識させる。

中国は監視についてはできるだけ柔軟にすべきだと述べた。パラグラフ1および2は徹底的な協議の結果であり、さらなる議論の良い土台となる。しかし、脚注は長すぎる。要素の多くが権利および国家の義務に関する規定であり、重要な条項に似ている。脚注はa、b、cを削除して簡単にすべきである。他の発言者が述べたように、パラグラフ3bについては合意は得られていない。

コーディネーターは休会を宣言したが、リストにある残りの発言者は明日、発言することができると述べた。


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翻訳:(財)日本障害者リハビリテーション協会 情報センター