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避難所運営ガイドライン

平成28年4月
内閣府(防災担当)

はじめに~避難者の健康を維持するために「避難所の質の向上」を目指す

 阪神・淡路大震災では、約31万人が避難所生活をした。東日本大震災では、岩手、宮城、福島の3県で約41万人、全国合計では約47万人が避難所生活をした。阪神・淡路大震災では避難所閉鎖までに6カ月を要し、東日本大震災では、避難所閉鎖まで岩手県で7カ月、宮城県で9カ月を要した。原発事故で福島県双葉町の住民が避難した埼玉県加須市の避難所の閉鎖は2年9カ月後だった。

 ひとたび災害が起こると、避難所は「住まいを失い、地域での生活を失った被災者の拠り所」となり、また「在宅で不自由な暮らしを送る被災者の支援拠点」となる。しかし、東日本大震災では、避難所における「生活の質」には課題が多く、水、食料、トイレ等は不十分で、暖房は限定的であり、狭い空間での生活によって、多くの避難者が体調を崩す恐れと隣り合わせの生活であった。

 阪神・淡路大震災以降、避難所の運営に関心が高まり、地域の主体的な活動を後押しする地方公共団体による避難所運営マニュアルには有用なものが散見される。それらを参照し、自助・共助の取り組みを行っている地域や組織・団体等が存在する。一方、避難所運営の業務全体を俯瞰するガイドラインやマニュアルは未整備といえる状況にあった。

 東日本大震災の教訓を受け、災害対策基本法が改正され、「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針(平成25年8月)」が策定された。本ガイドラインは、この「指針」に基づき、市町村が取り組むべき、災害発生時に必要となる基本的な対応を事前に確認し、災害対応の各段階(準備、初動、応急、復旧)において、実施すべき対応(19の項目)業務をチェックリスト形式で取りまとめたものである*

 市町村(特別区を含む、以下同じ)においては、本ガイドラインを積極的に活用し、地域防災計画や災害対応体制の構築・見直し、訓練や研修等の実施、発災時の対応の効率化・円滑化等、避難所の運営・管理体制の充実・強化に取り組んでいただきたい。

 また、災害への事前の備えや災害応急対応等は、地域の実情や対策の取組状況等に応じて追加・修正することが必要であることから、市町村において本ガイドラインに記載されている項目を参考に、対応項目を事前に検討しておくとともに、災害発生時には、臨機応変に活用できるよう、状況の変化を想定した準備も進めていくことが望まれる。

 避難所を開設するだけにとどまらず、その「質の向上」に前向きに取り組むことは、避難者の健康を守り、その後の生活再建への活力を支える基礎となる。発災後に取り組むことは当然であるが、発災前の平時からの庁内横断的な取り組みが欠かせない。併せて、避難者の健康を守るための人的資源の確保のために、「医療・保健・福祉分野」「ボランティア・NPO団体」等、また、物的資源の確保のために、「関係事業者団体」等と、平時より顔の見える関係を築くことも忘れてはならない。

*「地方都市等における地震対応のガイドライン(内閣府 平成25年8月)」の取りまとめ形式を参照

目次

はじめに

■前提となる事項の理解~「質の向上」の考え方~

■本ガイドラインの位置づけ

■本ガイドラインの使い方

◆災害フェーズにおける「避難所運営業務」の流れ

◆避難所運営業務のための連携協働体制

Ⅰ 運営体制の確立(平時)

(1)平時から実施すべき業務

1.避難所運営体制の確立

2.避難所の指定

3.初動の具体的な事前想定

4.受援体制の確立

5.帰宅困難者・在宅避難者対策

Ⅱ 避難所の運営(発災後)

(1)基幹業務

6.避難所の運営サイクルの確立

7.情報の取得・管理・共有

8.食料・物資管理

9.トイレの確保・管理

(2)健康管理

10.衛生的な環境の維持

11.避難者の健康管理

12.寝床の改善

(3)よりよい環境

13.衣類

14.入浴

Ⅲ ニーズへの対応

(1)要配慮

15.配慮が必要な方への対応

16.女性・子供への配慮

(2)安全安心

17.防犯対策

18.ペットへの対応

Ⅳ 避難所の解消

19.避難所の解消に向けて

■前提となる事項の理解 ~「質の向上」の考え方~

 避難所は、あくまでも災害で住む家を失った被災者等が一時的に生活を送る場所です。公費や支援を得ての生活であることから「質の向上」という言葉を使うと「贅沢ではないか」というような趣旨の指摘を受けることもあります。しかし、ここでいう「質の向上」とは「人がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送ることができているか」という「質」を問うものであり、個人の収入や財産を基に算出される「生活水準」とは全く異なる考え方であるため、「贅沢」という批判は当たりません。
 本ガイドラインは、避難所において「避難者の健康が維持されること」を目標に、その質の向上を目指すものです。しかし、発災直後の初動期においては、いくら平時から備えてきたとしても、避難者の健康に配慮した支援が最初から実現するとは限りません。例えば、避難所の寝床を例に挙げると、初動期は備蓄の毛布を提供する、応急期(発災から3日目まで)は、エアマットや段ボールなどを床に敷く、復旧期(4日目以降)は、簡易ベッドを確保すること等が期待されます。このように、時系列に避難所環境の改善を目指さなければ、避難者の健康を維持することはかないません。避難所生活が長期化するほど、健康への負担は増大し、避難者の心身に悪影響を及ぼし、その後の生活再建を大きく阻害する要因となりかねません。段階的かつ確実に、「質の向上」を目指すことは、避難所の運営のための支援・調整を担う市町村の責務といえるでしょう。
 東日本大震災後は、海外から多くの支援者が訪れました。我が国の応急・復旧の迅速さに称賛する声があった一方で、避難所の生活環境については、国際的な難民支援基準を下回るという指摘があったことは重く受け止めなければなりません。阪神・淡路大震災以降、避難所の確保については、一定の進展が見られたと評価できますが、次の目標は、その「質の向上」です。

■スフィアプロジェクト(参考)

 被災者にとって「正しい」支援とは被災者が安定した状況で、尊厳をもって生存し、回復するために、あるべき人道対応・実現すべき状況とはどのようなものか。この国際的なプロジェクトでは「人道憲章の枠組みに基づき、生命を守るための主要な分野における最低限満たされるべき基準」を「スフィア・ハンドブック」にまとめています。今後の我が国の「避難所の質の向上」を考えるとき、参考にすべき国際基準となります。

http://www.janic.org/activ/earthquake/drr/sphere/

■本ガイドラインの位置づけ

 本ガイドラインは、東日本大震災の教訓を受けて策定された「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」に記載された事項を、市町村業務に落とし込みやすい形として、具体的に説明するものです。市町村災害対策(本部)の業務の中で、避難所の指定から解消まで、具体的な対策や準備を行う際に役立ててもらうことを目的としています。

■本ガイドラインの使い方

 本ガイドラインでは、避難所運営に関連する業務を、3つの視点で整理しています。1つ目は、「平時の備え~避難所の設置・運営~質の向上~避難所の解消」へという避難所運営業務の大きな分類。2つ目は、「初動(発災当日)」「応急期(3日目まで)」「復旧期(1週間まで)」「復興期」の災害対応の各段階(以下、「災害フェーズ」という)における対応。3つ目は、避難所の円滑な運営のための、連携協働体制づくりです。以下において、それぞれのポイントを解説します。

1.避難所の運営業務の大項目

 避難所運営に関連する業務は「運営体制の確立(平時)」「避難所の運営(発災後)」「ニーズへの対応」「避難所の解消」の4項目に分類しました。この分類は、以下のような考え方を踏まえています。

○避難所の運営は、平時の備え、特に市町村内の部局を超えた連携体制ができていないと、円滑な支援はできないこと。

○要配慮者に対する避難所での支援の中で、例えば、妊産婦への支援など、女性や子供に対する支援はどうしたら良いか理解されにくいため、「避難所運営」の話し合いの場において、平時から共通の認識を持っておく必要があること。また、避難所生活で配慮すべき方に対するボランティアニーズの把握など、健康維持における質の向上を図ることなどから、「ニーズへの対応」として分けたこと。

○避難所を設置する時には、「解消」の時期についても考え、被災者への支援と合わせて、見通しを示すことが早期復旧に繋がること。

◆避難所運営業務における対策項目一覧

運営体制の確立(平時)

1.避難所運営体制の確立

2.避難所の指定

3.初動の具体的な事前想定

4.受援体制の確立

5.帰宅困難者・在宅避難者対策

避難所の運営(発災後)

6.避難所の運営サイクルの確立

7.情報の取得・管理・共有

8.食料・物資管理

9.トイレの確保・管理

10.衛生的な環境の維持

11.避難者の健康管理

12.寝床の改善

13.衣類

14.入浴

ニーズへの対応

15.配慮が必要な方への対応

16.女性・子供への配慮

17.防犯対策

18.ペットへの対応

避難所の解消

19.避難所の解消に向けて

2.災害フェーズにおける「避難所運営業務」の流れ(6ページ参照)

 避難所運営業務を19の業務ごとに、主な対策項目を災害フェーズにおいて整理し、一覧化しています。被災地域においては被害が甚大であるものの、「被災範囲は限定的な災害」をイメージしており、この場合、過去の事例においては、避難所解消には1カ月~1カ月半かかっています。
 一方、東日本大震災のような「甚大かつ広域な災害」になると、概ね避難所解消まで6カ月、阪神・淡路大震災のような「被災範囲は限定的であるものの都市であったために被害が甚大である災害」においては、避難所解消まで6カ月かかっています。このような事例もあるため、一概に災害フェーズの時期を特定することはできませんが、目安として( )内に日数を示しています。対策項目の業務の流れを把握し、業務全体がどのようにバランスをとって流れていくのかを確認しましょう。

3.避難所運営業務のための連携協働体制(19業務ごと)(7ページ参照)

 19の業務全体をどのような体制で実施すべきかについて、地方都市行政をイメージして作成しています。この担当が集って、災害対策本部に「避難所支援班」を組織してもらうことをイメージしています。班における★は主担当(課)、◎は担当(課)、○は支援担当(課)、そして、◆は庁外組織等を整理し、一覧表にまとめました。これは例示ですので、市町村の規模・組織構成等に応じて、担当欄・役割分担等を修正し、使用してください。
 この表における市町村災害対策本部・避難所支援班の担当は、市町村の通常業務の担当(課)をイメージしています。これは、災害対策本部設置時の所掌事務で担当を割り振ろうとすると、平時に用意しておくべき帳票の作成や管理等を、各担当職員が自分の役割として認識できない恐れがあるためです。

4.本文の構成(8ページ以降)

 19の業務ごとに「ポイント(留意すべき事項)」「解説(業務の概要)」「質の向上を目指すには(避難者の健康を害さないように心がけることとその考え方)」を示しています。
 チェックリストは、対策項目ごとに「誰が」「いつ(災害フェーズ)」「(どのような)仕事」をするかをリスト化しています。「仕事」は災害フェーズに応じて、最優先して実施すべきと想定されることに◎、その他実施すべきことには○をつけています。対応人員が不足し、手が回らない時には、優先するべき仕事を選択する際の参考にしてください。ただし「準備段階」については、平時から実施するべきことですから、発災前に仕事をやり遂げていただきたいとの思いから、ほとんどの仕事に◎をつけています。
 このチェックリストを活用し、市町村の地域特性や被害想定に合わせて、マニュアルを策定していただけることを期待しています。その際には「協働する団体等」を参考にし、それらの団体と相談し、より具体的なマニュアルを策定することが望まれます。

5.チェックリストの活用方法

○各対策項目の仕事が確実に実施されているか、チェックを行いながら進行管理を行ってください。

○チェックリストの対策項目や仕事が、市町村において該当しない、不足する場合については、適宜修正・補足し使用してください。

○チェックリストを参考に、災害対策本部の各班の事務分掌の項目のチェックを行い、その項目に記載された業務を達成するためには、「誰が」「いつ(災害フェーズ)」「(どのような)仕事」をするかを洗い出し、チェックリストを作成し直す等の活用をしてください。

○担当部署の欄には、仕事を担当すると想定される部署を記載してあります。市町村の実情に合わせて、適宜修正し、主担当となる部署には★、担当となるべき部署には◎、支援をする部署には○を記入し、主担当の主導により、その他の担当の協力を得ながら、その仕事の内容を具体的に話し合いましょう。

○「指示したか」の欄には、仕事の内容の実施について、関係部局や担当者に指示した場合にチェックを入れてください。(幹部や班長等が記載することを想定)

○「確認したか」の欄には、仕事の内容が実施されたことを確認した場合にチェックを入れてください。

○「指示したか」「確認したか」の欄は、準備段階では進行管理に使用し、発災時は「優先してやるべきこと」の確認と、進行管理の両面で活用できます。

○「協働する団体等」の欄には、情報の入手元や伝達先、活動内容の実施に当たって、協議や調整を行う相手方等の関係者を記載し、顔の見える関係を築きましょう。

項目番号仕事いつ★主担当
◎担当
○支援
を記入
指示したか確認したか協働する団体等
準備初動応急復旧
対策項目1 災害対策本部・避難所支援班を確保する
1-1庁内メンバー(防災、福祉、上下水道、・・・別表○○)の選定を実施する   防災担当 
1-2庁外メンバー(社協、NPO・・・)の選定を実施する   防災、福祉総括担当NPO、ボランティア、社会福祉協議会
1-3避難所支援班を地域防災計画等で確立する   防災、福祉総括担当 

○チェックリストの各対策項目について、WBSという手法を用いて整理をしました。
 WBS(Work Breakdown Structure:作業分解構成図)とは、プロジェクト全体を細かな作業(Work)に分解(Breakdown)した構成図(Structure)のことです。プロジェクト全体でやるべき作業を洗い出す際に役立つ手法です。
 例えば、「1.避難所運営体制の確立」を実施するために、①何をする必要があるかを洗い出します。チェックリストでは、「対策項目」となります。②対策項目を実現させるためには、どのような段取りで仕事を進めれば、達成できるかを洗い出します。チェックリストでは「仕事」がこれにあたります。

避難所運営業務チェックリスト

大項目中項目項目番号①対策項目何々するいつ誰が②仕事何々する協働する団体等
準備初動応急復旧
運営体制の確立平時から実施すべき業務1.避難所運営体制の確立
1災害対策本部・避難所支援班確保する          
1-1       防災担当庁内メンバー(防災、福祉、上下水道、・・・別表○○)の選定実施する 
1-2       防災担当、福祉総括担当庁外メンバー(社協、NPO・・・)の選定実現するNPO・ボランティア、社会福祉協議会
1-3       防災担当、福祉総括担当避難所支援会議の位置づけ確立する 
1-4      避難所支援班災害対策本部内で避難所支援会議実施する 
1-5      避難所支援班避難所支援会議には、必要に応じてNPO・ボランティア等の代表の参画の呼びかけ実現する 
2各避難所で避難所運営委員会設置する          
2-1       防災、福祉総括、保健担当各避難所に避難所運営委員会設置する 
2-2       防災、福祉総括、保健担当避難者の代表、施設管理者、避難所派遣職員等で避難所運営委員会の体制確立する 
2-3      避難所運営委員会女性がリーダーシップを発揮しやすい体制確立する 
2-4      避難所運営委員会避難所運営委員会で定期的な会議実施する 
2-5      避難所運営委員会運営会議に必要に応じNPO・ボランティア等の代表の参画の呼びかけ実施する 
2-6      防災担当行政職員の応援要領実施する 

 なお、このWBS方式により作成したチェックリストはエクセル形式で、内閣府・防災情報のホームページ中の本ガイドラインと同じページに掲載しており、ダウンロードが可能です。ぜひダウンロードして、市町村のマニュアルづくりに役立ててください。

◆災害フェーズにおける「避難所運営業務」の流れ

大項目中項目項目準備段階初動(発災当日)応急期(3日目まで) 復旧期(1週間まで)※対応の終了時期は、災害の規模や個々の市町村によって異なる
運営体制の確立平時から実施すべき業務1.避難所運営体制の確立

●避難所支援班メンバーの選定(庁内・庁外)

●災害対策本部と避難所の連絡体制の確立

●各避難所に運営委員会を設置する

●避難所派遣職員が、災害ボランティア本部への派遣要請・調整業務を理解する

●避難所派遣職員が災害対策本部との通信訓練

●避難所運営委員会で定期的な会議を実施する

●災害対策本部で避難所支援に関する話合いを開催(必要に応じNPO・ボランティア等の参画)

●食事数の把握・要請

●行政職員の応援要請

●ボランティアの派遣要請

2.避難所の指定

●災害想定に応じた避難所を確保

●福祉避難所 / スペースの確保

●被害想定に応じた備蓄物資計画を作成

●飲料水・食料・携帯トイレ・簡易トイレ等を確保

●指定避難所においてどの災害に適した避難所であるかの掲示

●協定等により支援専門職員を確保

●指定避難所以外の避難所の把握

●車避難者へエコノミークラス症候群防止の周知を実施

●日帰りサービス施設等を確保

3.初動の具体的な事前想定

●避難所における二次被災可能性の確認を実施

●避難所運営マニュアルを作成・訓練を実施

●避難所からの要請が無くても物資を届ける(プッシュ型)体制を実施

●特殊ニーズ聞き取り票を作成

●避難者、地域住民の役割分担を整理

●延焼火災の危険性・可能性の確認

●女性の能力や意見を生かせる場を確保

●備蓄物資を避難所へ配布

●避難所開設前に二次被災可能性を確認

4.受援体制の確立

●避難所の多様なニーズに応えられる組織との協定検討

●災害ボランティアセンター設置の必要性を確認

●救護・巡回のための医師・看護師の要請

●住民の受援力を高める施策を実施する

 

●多様なニーズに対応するためのボランティアを要請

●行政職員の応援要請

5.帰宅困難者・在宅避難者対策

●帰宅困難者対策の必要性を確認

●在宅避難者の安否確認の方法を検討

●帰宅困難者への対応を企業等に要請

●帰宅困難者の誘導

●在宅避難者の安否確認を実施

●在宅避難者への生活支援

大項目中項目項目準備段階初動(発災当日)応急期(3日目まで)復旧期(1週間まで)復興期
避難所の運営基幹業務6.避難所の運営サイクルの確立

●避難所運営の実施手順の確立

●避難所の被害状況確認

●危険個所のチェック

●立入禁止場所の表示

●避難所運営方針の決定

●避難所運営ルールの確立

●避難所運営会議(定例)を実施する(必要に応じNPO・ボランティア等の参画)

7.情報の取得・管理・共有

●無線・衛星携帯電話等通信設備を確保

●無線等情報機器のための電源を確保

●マスコミ取材対応方法を検討

●地域の被害状況の集約方法を検討

●避難所の周りの危険・被害を周知する

●避難者の安否照会対応(外部からの問合せ)

●避難所の開設状況を周知する

●災害対策本部からの情報周知

●マスコミ対応

●携帯電話・スマートフォンの充電手段確保

●ライフラインの復旧情報の確認・提供

●生活支援情報を仕分け、わかりやすい掲示をする

●在宅避難者への支援情報の発信

●見やすい掲示を心がける

●地域の被害状況を集約

8.食料・物資管理

●物資供給計画の作成

●在宅避難者用物資の配布体制を確保

●地域資源(食料)の活用

●備蓄物資の配布

●避難所・在宅避難者別に必要食数の報告

●食料の数量管理、衛生的な保管状態

●炊出し実施のための調理器具や食材

●暖かい食事の提供・栄養面に配慮

●在宅避難者への食料・物資配布

●個人属性に応じた栄養面への配慮

9.トイレの確保・管理

●災害用トイレの確保・管理計画を作成(※青字表記)

●災害時の水洗トイレの使用ルールを作成(※青字表記)

●汲み取り業者との協定締結(※青字表記)

●手洗い用の水・石鹸を確保(※青字表記)

●備蓄している災害用トイレを避難所に届ける手段を確保する

●既設トイレの使用可能な個室(便器)を確認

●生理用品等を確保する

●トイレの使用ルールの周知・掲示

●手指消毒液を確保

●防犯対策としてトイレの中と外に照明を設置

●トイレ責任者とトイレ掃除当番を決めて役割分担を実施する

●使用済み携帯トイレ(便袋)の保管場所を確保する(※青字表記)

●避難所の汲み取り計画(回収場所・順序・回数)を作成する(※青字表記)

●トイレに行くのに配慮が必要な人等の把握

●高齢者、障害者用トイレの動線の安全性を確保する

●感染症が出た時の専用トイレ確保

●人口肛門・人口膀胱保有者のための装具交換スペースを検討する

健康管理10.衛生的な環境の維持

●ゴミの集積場所を決める

●食品の管理方法・手洗い・調理前の健康チェック方法

●手洗い方法の周知徹底

 

●ハエ・蚊等の害虫対策

●トイレの衛生的な管理、汚物の回収

●炊出し等調理する人の健康チェック

11.避難者の健康管理

●避難者の健康管理シートの作成

●感染症予防の重要性を確認

●感染症への対応(感染症の予防)(インフルエンザ、ノロウイルス、食中毒)

●避難所の換気

●暑さ・寒さ対策

●心のケア専門職能ボランティアの巡回・派遣体制

●持病への対応(持病の悪化防止)

●健康相談窓口の確保(健康相談・管理)

12.寝床の改善

●床に直接寝ることで病気になる可能性を知る

●毛布の配布

●段ボールベッド等簡易ベッドの設置

よりよい環境13.衣類 

●避難者の属性に応じた下着類の確保

●体や季節に合った衣類の確保

●洗濯場(洗濯機・乾燥機)の確保

 
14.入浴

●旅館・銭湯など民間事業者との協定締結

●水害・土砂災害などで汚水に侵された時は汚れ落としを実施

●シャワーや風呂の確保

 
ニーズへの対応要配慮15.配慮が必要な方への対応

●避難者の滞在可能性の検討を実施する
(配慮が必要な人の避難所での滞在可能性検討)

●配慮が必要な人の把握

●避難者同士の見守り体制を確保する

●外国語の対応

●施設、病院への入院、入所の検討

●福祉避難所へ移動・専門施設への入所を検討

●ボランティアニーズの把握

●心のケアイベント・サロン活動等

16.女性・子どもへの配慮

●女性、妊産婦などが避難生活をする際に備えるべきことを確認

●授乳室/スペースの設置

●女性特有の物資(生理用品等)の確保

●安心して話せる場所の確保 
安全安心17.防犯対策

●地域の防犯対策を実施する

●自衛(夜間一人では行動しない)

●警察による警戒の要請

●警察の避難所巡回、犯罪相談窓口の開設

18.ペットへの対応

●ペットの滞在ルールの確立を検討する

  

●ペットの滞在ルールの確立

 
避難所の解消19.避難所の解消に向けて

●ホテル・旅館の二次避難所としての活用を検討

●ライフライン等事業者との連絡体制強化

  

●退所目途の把握

●生活再建支援情報の周知

●避難者の状態に応じて二次避難所(ホテル・旅館等)への移動

●学校の場合授業再開に向けた話合い

●避難所の解消日を検討・周知

※青字表示は本編のチェックリストでは「3.初動の具体的な事前想定」で明記

◆避難所運営業務のための連携協働体制(例)

役割分担凡例
★主担当 ◎担当 ○支援 ◆連携協働先

大項目中項目項目\担当市町村災害対策本部・避難所支援班各避難所の運営本部
防災担当福祉総括担当災害救助法所管担当障害者担当高齢者担当母子・乳児担当外国人担当男女共同参画担当保健担当医療担当上水道担当浄化槽・し尿処理担当下水道担当衛生(ゴミ処理)担当ペット対策担当商工担当(物資担当)防犯担当ボランティア担当営繕・建築担当教育委員会(施設の事務局)施設管理者避難所派遣職員他自治体からの応援職員都道府県警察避難者(在避難所)地域住民(支援者)医療・福祉事業者等NPO・ボランティア社会福祉協議会(災害ボランティア本部)
運営体制の確立平時から実施すべき業務1 避難所運営体制の確立     
2 避難所の指定               
3 初動の具体的な事前想定               
4 受援体制の確立               
5 帰宅困難者・在宅避難者対策                       
避難所の運営基幹業務6 避難所の運営サイクルの確立          
7 情報の取得・管理・共有              
8 食料・物資管理               
9 トイレの確保・管理         
健康管理10 衛生的な環境の維持           
11 避難者の健康管理               
12 寝床の改善                        
よりよい環境13 衣類                          
14 入浴                       
ニーズへの対応要配慮15 配慮が必要な方への対応        
16 女性・子どもへの配慮                 
安心安全17 防犯対策     
18 ペットへの対応                       
避難所の解消19 避難所の解消に向けて            

注意事項

○大規模災害時の市町村災害対策本部の業務の中で、避難所運営に関連する業務を19項目に分けて記載しました。市町村の規模・組織構成等に応じて、担当欄・役割分担等を修正し、使用してください。

○市町村災害対策本部・避難所支援班の担当は、市町村の通常業務の担当(課)をイメージしています。これは、災害対策本部設置時の所掌事務で担当を割り振ろうとすると、平時に用意しておくべき帳票の作成や管理等を、各担当職員が自分の役割として認識できない恐れがあるためです。

○各項目に、主担当、担当、支援に分けて記載することにより、その業務を行うためには、多数の部署(担当)が関わることが一目でわかります。また、支援担当となった担当は何を支援するべきかを考え、行動することも可能となります。

Ⅰ 運営体制の確立(平時)

(1)平時から実施すべき業務

1.避難所運営体制の確立

ポイント 平時より部局横断の取り組みが肝要

解説
 平時においては、災害対策本部体制が立ち上がっていないため、避難所の対策は防災担当に一任されているのが現状です。避難所生活は住民が主体となって行うべきものですが、その運営をバックアップする体制の確立は、市町村の災害対応業務の根幹の一つと言えます。全庁体制で取り組む気概を持って、防災担当だけではなく、要配慮者担当等の関係する複数の担当課が事前に横断的な体制を組み、それぞれの役割分担を明確にした上で、いざとなった時に備えるべきです。

質の向上を目指すには

 防災部局、福祉部局(要配慮者対応)のみで、避難所の運営に係る課題を考えることでは、避難所の「質の向上」は望めません。トイレをとってみても、上下水道、廃棄物、施設営繕、汲み取り、清掃等、様々な部署の参画が必要です。また、避難者の健康維持を考えると、行政職員だけでは、その支援は不十分です。「医療・保健・福祉」の専門職能団体との連携を図りましょう。また、避難者の生活を支えるためには、避難者の要望・希望に沿った支援を行ってくれるボランティア・NPO団体との協働も不可欠です。普段から顔の見える関係を構築しましょう。

避難所運営体制イメージ図

チェックリスト

1.避難所運営体制の確立

項目番号仕事いつ★主担当
◎担当
○支援
を記入
指示したか確認したか協働する団体等
準備初動応急復旧
対策項目1 災害対策本部・避難所支援班を確保する
1-1庁内メンバー(防災、福祉、上下水道、・・・別表○○)の選定を実施する   防災担当 
1-2庁外メンバー(社協、NPO・・・)の選定を実施する   防災、福祉総括担当NPO、ボランティア、社会福祉協議会
1-3避難所支援班を地域防災計画等で確立する   防災、福祉総括担当 
1-4避難所支援に関する話合い(平時・発災後)を実施する 防災担当、福祉総括担当、避難所支援班NPO、ボランティア、社会福祉協議会
1-5避難所支援に関する話合いには、必要に応じてNPO、ボランティア等の代表の参画の呼びかけを実施する  避難所支援班NPO、ボランティア、社会福祉協議会
対策項目2 各避難所で避難所運営委員会(仮称)を設置する
2-1各避難所に避難所運営委員会を設置する   防災、福祉総括、保健担当 
2-2避難者の代表、施設管理者、避難所派遣職員等で避難所運営委員会の体制を確立する   防災、福祉総括、保健担当 
2-3女性がリーダシップを発揮しやすい体制を確立する 防災担当、避難所運営委員会 
2-4避難所運営委員会で定期的な会議を実施する 避難所運営委員会 
2-5定期的な会議には、必要に応じてNPO、ボランティア等の代表の参画の呼びかけを実施する 避難所運営委員会NPO、ボランティア、社会福祉協議会
2-6行政職員の応援要請を実施する  防災担当 
対策項目3 災害対策本部と避難所の連絡体制を確立する
3-1災害対策本部との連絡(通信)手段に習熟する   避難所派遣職員応援職員
3-2避難所派遣職員の配備状況の報告を実施する   避難所派遣職員応援職員
3-3被害状況・避難者人数の把握、本部への報告を実施する   避難所派遣職員応援職員
3-4災害対策本部・避難所支援班との連絡方法を確保する  避難所派遣職員応援職員
3-5避難所の状況・物資要請等定時報告を実施する  避難所派遣職員応援職員
対策項目4 各避難所派遣職員の基本業務を確立する
4-1避難所内の避難者人数を把握する  避難所派遣職員応援職員
4-2避難所の必要食事数を把握する  避難所派遣職員応援職員
4-3避難所のトイレの状況を把握する   避難所派遣職員応援職員
4-4避難所内の情報管理・発信を実施する  避難所派遣職員応援職員
4-5災害ボランティア本部(社会福祉協議会)への派遣要請・調整を実施する 避難所派遣職員応援職員
4-6避難所派遣職員間の引き継ぎ体制を確立する  避難所派遣職員応援職員

2.避難所の指定

ポイント 被害想定に基づき、災害種別ごとに安全な避難所を指定

解説
 避難所の指定については、地域に想定される災害に応じた被害想定に基づいて、注意深く手続きを進める必要があります。水害の危険性のある地域においては、川沿いに避難所を設けないこと、土砂災害の危険性のある地域においては、土砂災害特別警戒区域内など、災害危険区域付近に避難所を設けないこと、津波の危険性がある地域においては、津波災害警戒区域内に避難所を設けないことを基本とし、想定される災害による影響が比較的少なく、災害救援物資等の輸送が比較的容易な場所にある施設を指定しましょう。また、避難者数の増加によって、指定されていない建物が避難所になる可能性があると想定しておくことも重要です。災害対応訓練等において、避難所が不足する事態についてシミュレーションを行い、備えておきましょう。

質の向上を目指すには

 避難所の備蓄としての毛布、非常食、飲料水の確保のほか、災害用トイレやその他必要物資等については、どのように物資を送り届けるかを入念に計画・準備する必要があります。また、洪水や津波または土砂災害の危険がある地域については、備蓄物資の保管場所を建物の上層階にする等、被害を受けにくい場所への備蓄に注意を払う必要があります。

チェックリスト

2.避難所の指定

項目番号仕事いつ★主担当
◎担当
○支援
を記入
指示したか確認したか協働する団体等
準備初動応急復旧
対策項目1 災害想定を考慮し避難所を確保する
1-1地域に想定される災害を確認する   防災担当、施設管理者 
1-2災害ごとの被害想定に基づいて被災地域を確認する   防災担当 
1-3想定される災害による影響が比較的少ない場所にある施設を確保する   防災担当 
1-4指定緊急避難場所と指定避難所が相互に兼ねている場合は、緊急避難場所と避難所の違いを明確に周知する   防災担当 
1-5指定避難所が特定の災害で使用できない場合は、使用できない災害の種類を事前に周知する   防災担当 
1-6避難所の指定について周知を実施する   防災担当 
対策項目2 福祉避難所/スペースを確保する
2-1要配慮者には二次的健康被害を受けやすいことを確認する   防災、福祉総括、障害者、高齢者、母子・乳児担当 
2-2日帰り(デイ)サービス施設を確保する   福祉総括、障害者、高齢者担当 
2-3入所施設における地域交流スペースを確保する   福祉総括、障害者、高齢者担当 
2-4バリアフリースペースを持つ公共施設を確保する   防災、福祉総括、障害者、高齢者担当 
2-5公民館や公共建物を確保する   防災、福祉総括、障害者、高齢者、母子・乳児担当 
2-6協定等により支援を実施する専門職員を確保する   防災、福祉総括、障害者、高齢者、母子・乳児担当 
対策項目3 機能別避難所を検討する
3-1母子(妊産婦、乳幼児専用)避難所、スペースの確保を検討する   防災、福祉総括、保健担当 
3-2お寺、神社等施設の利用を検討する   防災担当、地域住民 
3-3マンション避難所、ガレージ等の施設の利用を検討する   防災担当、地域住民 
3-4大規模避難所(アリーナ等)の活用を検討する   防災、商工担当 
対策項目4 指定避難所以外の避難所の対策を実施する
4-1指定以外に避難所活用が見込まれる施設・場所の洗い出し、リスト化を実施する   防災、外国人担当、地域住民 
4-2指定以外の避難所についての協議を実施する   防災、外国人担当、地域住民 
4-3避難所として使用する施設の把握と災害時の都道府県への報告を実施する  防災、災害救助法所管担当 
4-4車避難者へエコノミークラス症候群防止の周知を実施する 保健担当、避難者NPO・ボランティア
対策項目5 避難所として確保すべき備蓄を実施する
5-1被害想定に応じた備蓄物資の配備計画を作成する   防災、商工担当 
5-2障害者、外国人向けの案内掲示等を確保する   防災、障害者、外国人担当 
5-3毛布・飲料水・非常食を確保する   防災担当 
5-4携帯トイレ、簡易トイレ、衛生用品を確保する   防災担当 
5-5投光器、発電機等の明かり、電源と燃料の確保を検討する   防災担当、教育委員会(施設の事務局)避難所となる施設管理事務局
5-6雨除け、敷物、囲い等に活用可能なブルーシートの確保を検討する   防災担当 

3.初動の具体的な事前想定

ポイント 避難所業務には事前の備えが絶対的に不可欠

解説
 いざ避難所を立ち上げるためには、避難所運営のためのマニュアルや書式等を事前に準備しておき、関係者で共有し、訓練等でその実効性を検証しておく必要があります。また、初動では、避難所から物資の要請を実施することは現実的には困難な場合が多くなりますから、プッシュ型で、まずは最低限必要と思われる物資を避難所に送る体制を構築しておかなければなりません。さらに、災害用トイレの確保・管理の計画を事前に準備する必要があります。

質の向上を目指すには

 東日本大震災時の物資供給の教訓として、物資集積拠点の不足等により円滑な輸送活動ができなかったことから、物資集積拠点の計画的配置、確保が必要とされました。また、物資集積拠点での在庫・配送管理が不十分であったことから、物資に係る一連の流れを機能させるため民間事業者の協力や業務の委託等が必要であるとされています。さらに、発災直後、被災地からの要請がなくても国や他の地方公共団体が物資を確保し送る、いわゆる 「プッシュ型」の物資確保・輸送を円滑かつ確実に行う体制を構築することが必要です。

チェックリスト

3.初動の具体的な事前想定

項目番号仕事いつ★主担当
◎担当
○支援
を記入
指示したか確認したか協働する団体等
準備初動応急復旧
対策項目1 避難所における二次災害の可能性を確認する
1-1余震・津波・水害・土砂災害等での倒壊可能性の確認を実施する  防災担当、教育委員会(施設の事務局)、施設管理者避難所となる施設管理事務局
1-2津波・水害での水没/浸水可能性の確認を実施する  防災担当、教育委員会(施設の事務局)、施設管理者避難所となる施設管理事務局
1-3二次災害の恐れがあるようであれば、退避・垂直避難・がけの反対側への移動を実施する  防災担当、教育委員会(施設の事務局)、施設管理者避難所となる施設管理事務局
1-4延焼火災の危険性・可能性の確認を実施する  防災担当、教育委員会(施設の事務局)、施設管理者避難所となる施設管理事務局
対策項目2 必要な書式等を作成する
2-1建物構造被害チェックシートを作成する   営繕・建築担当 
2-2内部被害チェックシートを作成する   営繕・建築担当 
2-3ライフライン(電気、上下水道、ガス、電話、インターネット)被害チェックシートを作成する   営繕・建築担当 
2-4避難者名簿等の帳票を作成する   防災担当 
2-5医療・福祉・健康等特別なニーズを聞き取るための帳票を作成する   避難所支援班NPO・ボランティア、医療・福祉事業者等
2-6物資の要請票を作成する   商工担当 
2-7備蓄物資一覧表を作成する   防災担当 
対策項目3 避難所運営マニュアルを作成する
3-1防災担当、施設管理者、地域住民の代表、要配慮者等多様な意見を取り入れ作成する   防災担当、施設管理者、地域住民 
3-2施設管理者、避難所派遣職員、避難者の役割分担を整理する   防災担当、地域住民、施設管理者 
3-3避難所の運営において女性の能力や意見を生かせる場を確保する   防災担当、地域住民 
3-4マスコミ取材対応方法を検討する   防災担当、地域住民、施設管理者 
3-5避難所内の空間配置図を作成する   施設管理者、地域住民 
3-6避難所運営に必要な物品(ガムテープ、養生テープ、カラーコーン等)を確保する   防災担当、地域住民 
3-7避難所運営の為に必要な様式(避難者名簿は必要数を印刷して避難所に保管等)を作成する   防災担当、地域住民 
対策項目4 避難所運営マニュアルを用いた訓練を実施する
4-1避難所運営に必要な関係者にマニュアルの内容を周知する   防災担当、地域住民 
4-2マニュアルに基づく訓練計画を作成する   防災担当、地域住民 
4-3訓練計画に基づく訓練を実施する   防災担当、地域住民 
4-4避難所運営訓練実施後に結果をマニュアルに反映する   防災担当、地域住民 
4-5トイレの設置・運用訓練を実施する   防災担当、地域住民 
4-6HUG(避難所運営訓練)等の既存の訓練を実施する   防災担当、地域住民 
対策項目5 発災直後にプッシュ型で避難所に物資を届ける体制づくりを実施する
5-1避難所からの要請が無くても物資を届ける体制(プッシュ型)を確保する   商工担当 
5-2避難者数等に応じて避難所への備蓄物資配布を実施する   商工担当 
5-3国・県からプッシュ型で届いた物資の配布を実施する   商工担当 
対策項目6 災害用トイレの確保・管理計画を作成する
6-1各避難所の既設トイレの汚水処理方法を確認する   浄化槽・し尿処理、下水道担当、施設管理者 
6-2各避難所の想定される最大避難者数を確認する   浄化槽・し尿処理、下水道担当、施設管理者 
6-3災害時の水洗トイレの使用ルールを作成する   浄化槽・し尿処理、下水道担当 
6-4災害時のトイレ(便器)の必要数の見積もりを実施する   浄化槽・し尿処理、下水道担当、施設管理者 
6-5携帯・簡易・仮設トイレの備蓄、マンホールトイレの整備を検討する   浄化槽・し尿処理、下水道担当、防災担当、施設管理者 
6-6屋外トイレの設置場所を確保する   防災担当、施設管理者 
6-7トイレの衛生管理に必要な物資等を確保する   浄化槽・し尿処理、下水道、保健担当、施設管理者 
6-8手洗い用水を確保する   上水道担当、避難者 
対策項目7 汚水処理・使用済み携帯トイレ(便袋)の処理手段を確保する
7-1汲み取り業者等と災害時の協定締結を実施する   浄化槽・し尿処理、下水道担当汲み取り業者
7-2避難所の汲み取り計画(回収場所・順序・回数)を作成する 浄化槽・し尿処理、衛生担当汲み取り業者
7-3使用済み携帯トイレ(便袋)の保管場所を確保する 施設管理者、衛生担当 
7-4使用済み携帯トイレ(便袋)の回収方法、手段を確保する 衛生担当 

4.受援体制の確立

ポイント 地域と多様な主体が連携する避難所運営を想定

解説
 避難所は、被災者が一定期間生活を送る場所であるため、避難所を運営するための体制の確立が必要です。原則的には、「被災者自らが行動し、助け合いながら避難所を運営する」ことが求められます。発災後の運営体制をいち早く確立し、円滑な運営につなげるためには、市町村が主導し、避難所運営マニュアルの作成を推進し、さらに避難所運営訓練等の機会を通じて、避難者、地域住民、避難所派遣職員の役割について確認・周知しておきましょう。その際、女性の視点を取り入れることにより、より具体的な意見の反映が期待できます。

質の向上を目指すには

 市町村職員、一般ボランティア、NPO団体に加え、保健・福祉の関係者のほか、可能な限り警察や医療従事者等が支援者となって、地域を支える必要があります。災害時の避難所には、全国から災害ボランティアやNPO団体などの支援者が応援に駆けつけます。地域住民や市町村の職員では気付かないこと等、過去の災害の経験から知識と労力を提供してくれるありがたい存在です。平時から各団体と顔の見える関係を築き、災害時には円滑に連携を図り、避難所の運営等にあたることが被災地域の為になることを理解しましょう。発災後は、地域とボランティアとのパイプ役を市町村の職員が積極的に担うとともに、避難所及び被災地域の状況について、これら支援者との情報の共有に努めましょう。

チェックリスト

4.受援体制の確立

項目番号仕事いつ★主担当
◎担当
○支援
を記入
指示したか確認したか協働する団体等
準備初動応急復旧
対策項目1 帰宅困難者対策の必要性を確認する
1-1避難所派遣職員の応援要請手段を確立する   防災担当都道府県
1-2救護・巡回のための医師・看護師を要請する  医療担当都道府県、医療・福祉事業者等
1-3健康管理のための保健師を要請する  保健担当都道府県
1-4福祉ニーズに対応するための福祉関係者等を要請する  福祉総括担当医療・福祉事業者等
1-5治安維持のための警察官を要請する  防犯担当警察
1-6多様なニーズに対応するためのボランティアを要請する  ボランティア担当NPO・ボランティア、社会福祉協議会
対策項目2 必要な組織との協定を検討する
2-1避難所の多様なニーズに応えられる組織との協定を検討する   防災、ボランティア担当NPO・ボランティア、社会福祉協議会
2-2避難所の多様なニーズに応えられる組織との顔の見える関係づくりを検討する   防災、ボランティア担当NPO・ボランティア、社会福祉協議会
対策項目3 ボランティア受入れ体制を確立する
3-1災害ボランティアセンター設置・運営の必要性を確認する   防災、ボランティア担当NPO・ボランティア、社会福祉協議会
3-2災害ボランティアセンター活動の周知を実施する   防災、ボランティア担当NPO・ボランティア、社会福祉協議会
3-3住民の受援力を高める施策を実施する   防災、ボランティア担当、地域住民NPO・ボランティア、社会福祉協議会
対策項目4 医療・保健・福祉ボランティア受け入れ体制を検討する
4-1受け入れ窓口を検討する   医療、保健、福祉担当医療・福祉事業者等NPO・ボランティア、社会福祉協議会
4-2受け入れ後の業務フローを協働で作成を検討する   医療、保健、福祉担当医療・福祉事業者等NPO・ボランティア、社会福祉協議会

5.帰宅困難者・在宅避難者対策

ポイント 避難者は避難所の外にも存在する

解説
 平時に行うべき備えにおいては、地域で被災し、避難所へと避難してくる住民への対応が重要であることはもちろんですが、帰宅困難者(勤務先や外出先等で災害に遭遇し、自宅への帰還が困難になった者)や在宅避難者(被災者の中で「避難所に居場所を確保できず、やむを得ず被災した自宅に戻って避難生活を送っている者」、もしくは「ライフライン等が途絶した中で不自由な生活を送っている者」)の対応拠点としても、避難所は機能しなければなりません。地域特性に応じて、起こりうる事態を想定し、できるだけ事前準備に努めましょう。

質の向上を目指すには

 帰宅困難者は、住民サービスの範疇を超えて、他市町村からの通勤・通学者、観光客等が多く含まれます。市町村内の事業所や学校等には、組織内の備えの充実を呼びかけ、組織構成員の帰宅困難者対策をお願いし、避難所への帰宅困難者の流入人数の抑制に努めましょう。
 阪神・淡路大震災の被災地のうち、被害が大きかった地域では、約6割の被災者が在宅避難生活を余儀なくされており、ピーク時(1カ月半後)においては、避難所に暮らす被災者数の約2倍強の人々が食事を求めて、避難所を訪れています。在宅避難者においても、被災した家屋やライフラインが途絶した中で、不自由な「避難生活」を送っている人がおり、支援の対象であることを忘れてはなりません。
 また、寝たきりの家族を抱えている等の理由により、避難所に避難することができず、在宅避難生活を余儀なくされるケースも少なくありません。避難所は、在宅避難者支援の拠点としての役割も求められます。生活物資・食料支援など、地域との連携も視野に、支援の仕組みを検討しておきましょう。

チェックリスト

5.帰宅困難者・在宅避難者対策

項目番号仕事いつ★主担当
◎担当
○支援
を記入
指示したか確認したか協働する団体等
準備初動応急復旧
対策項目1 帰宅困難者対策の必要性を確認する
1-1昼間人口と夜間人口の差分を検討する   防災担当 
1-2帰宅困難者対応について企業等への要請を実施する   防災、商工担当 
1-3帰宅困難者の避難所における対応方針を検討する   防災担当 
1-4対応方針の周知を実施する   防災、商工担当 
1-5帰宅困難者の誘導を実施する   避難者支援班駅員、警察
対策項目2 在宅避難者対策を実施する
2-1在宅避難者の安否確認方法を検討する   防災担当 
2-2在宅避難者への対応方針を検討する   防災担当 
2-3在宅避難者の安否確認を実施する  防災担当 
2-4在宅避難者のニーズ把握を実施する   防災担当 
2-5在宅避難者への生活支援を実施する   防災担当 

Ⅱ 避難所の運営(発災後)

(1)基幹業務

6.避難所の運営サイクルの確立

ポイント 実動訓練で避難所の運営を経験しておくことが有効

解説
 災害が発生し、避難所を開設するにあたっては、最初に施設の被害状況を把握したうえで、被災者を受入れられる状態か否かを確認する必要があります。次に、災害対策本部では、各避難所の被害状況・避難者人数の把握を的確に行い、域内の避難所数に不足が無いかを判断することになります。そこで、災害時にいち早く避難所の運営サイクルを確立するため、避難者の受付・名簿の作成について実動訓練を行い、個人情報保護法・条例と災害時の安否確認対策についても知識の共有の機会をつくりましょう。

質の向上の実現のために

 避難所ではいったん被災者が流入し、「場所取り」が始まってしまうと、その人たちを再び再配置することは大変に難しいのが現実です。配慮が必要な方のためのスペースを確保したいところですが、事前に決めておかないと、後になって確保することは困難です。平時に避難所の空間配置地図をつくり、市町村、施設管理者、地域住民等で共有しておくことが重要です。必要とあれば、エリア分けを示す案内板を作成する等工夫しましょう。

チェックリスト

6.避難所の運営サイクルの確立

項目番号仕事いつ★主担当
◎担当
○支援
を記入
指示したか確認したか協働する団体等
準備初動応急復旧
対策項目1 災害対策本部・避難所支援班において避難所の運営管理を実施する
1-1避難所の被害状況把握を実施する   避難所支援班 
1-2被害を受けた避難所の応急修理を実施する   避難所支援班、営繕建築担当、教育委員会(施設の事務局)避難所となる施設管理事務局
1-3避難所の開設状況の確認を実施する   避難所支援班 
1-4避難所の数が不足していないかの確認を実施する   避難所支援班 
1-5余震等による爆発的な避難者数の増加への対応を実施する   避難所支援班 
対策項目2 避難所の被害状況確認を実施する
2-1施設の構造被害チェックを実施する   施設管理者、避難所派遣職員 
2-2施設の内部被害チェックを実施する   施設管理者、避難所派遣職員 
2-3危険箇所のチェックを実施する   施設管理者、避難所派遣職員 
2-4立入禁止場所の表示を実施する   施設管理者、避難所派遣職員 
2-5施設の被害チェック結果を災害対策本部に報告する   施設管理者、避難所派遣職員 
2-6備蓄品のチェックを実施する   施設管理者、避難所派遣職員 
2-7ライフラインの被害チェックを実施する   施設管理者、避難所派遣職員 
対策項目3 避難所運営会議(定例)を実施する
3-1避難所運営の方針決定を実施する   避難所運営委員会 
3-2方針に基づく各主体の役割分担の決定を実施する   避難所運営委員会NPO・ボランティア、社会福祉協議会等
3-3運営計画の策定を実施する   避難所運営委員会 
3-4必要物品、資機材の洗い出しを実施する   避難所運営委員会 
3-5不足物の確保・要請を実施する  避難所派遣職員応援職員
対策項目4 避難所の運営ルールを確立する
4-1避難所の生活ルールの確立を実施する  避難所運営委員会 
4-2避難所の生活ルールの周知、掲示を実施する  避難所運営委員会 
4-3避難所運営日誌を作成する  避難所運営委員会 
4-4避難者のニーズ把握を実施する  避難所運営委員会、保健担当NPO、ボランティア、社会福祉協議会
4-5NPO・ボランティアへの支援要請を実施する  避難所派遣職員応援職員
対策項目5 避難所運営の実施手順の確立を実施する
5-1避難者受付(名簿の作成含む)を実施する  避難所運営委員会 
5-2避難者人数の定期報告を実施する  避難所運営委員会 
5-3避難者(受付)名簿の作成を実施する  避難所運営委員会 
5-4避難者(受付)名簿の管理を実施する  避難所運営委員会 
5-5入・退所管理を実施する  避難所運営委員会 
5-6避難者の属性(年齢、性別、特殊ニーズ)の把握を実施する  避難所運営委員会 
5-7避難者台帳の作成を実施する  避難所運営委員会 

7.情報の取得・管理・共有

ポイント 避難者への情報提供に努める

解説
 避難所においては、避難者の情報ニーズが高まります。情報の取得、管理、共有手段について、被災の影響による現実の制約条件を踏まえながら対応することが必要になります。このために、市町村は、平時から各避難所に、無線機、衛星携帯電話等の通信設備の設置や、予備電源や発電装置の確保、テレビ、ラジオ、戸別受信機等、情報入手手段を確保しておきましょう。また、避難所に派遣される職員等がそれらを使いこなせるよう、訓練を定期的に実施しましょう。

質の向上の実現のために

 段階的に、防災行政無線、テレビ・ラジオ・インターネット等の媒体により、被災者向け広域情報の収集・発信」を行いましょう。可能であれば、避難所にテレビ・ラジオ・パソコンを設置し、被災者自らが情報収集できる手段を提供することは、被災者の自律的な再建意欲を高めます。地域の被害情報や復旧情報など様々な情報が、被災者に共有されることで、自然発生的な「避難所間の格差是正」「避難所の集約」「避難所の早期解消」「生活再建」への流れが生まれる効果が期待されます。

チェックリスト

7.情報の取得・管理・共有

項目番号仕事いつ★主担当
◎担当
○支援
を記入
指示したか確認したか協働する団体等
準備初動応急復旧
対策項目1 情報取得手段を確保する
1-1無線・衛星携帯電話等通信設備を確保する 防災担当 
1-2無線等情報機器のための電源を確保する 防災担当 
1-3戸別受信機(防災ラジオ)を確保する 防災担当、施設管理者 
1-4情報入手手段(テレビ、ラジオ等)を確保する 防災担当、施設管理者 
1-5携帯電話・スマートフォンの充電手段を確保する  商工担当 
1-6新聞等の情報入手手段を確保する   商工担当 
対策項目2 外部向けの広報活動を実施する
2-1避難所の開設状況を周知する  防災担当 
2-2避難所の使用可否を周知する   防災担当 
2-3避難所の代替施設開設を周知する   防災担当 
2-4マスコミ取材対応方法を検討する   災害対策本部、施設管理者、避難所運営委員会 
2-5避難者の安否照会対応(外部からの問合せ)を実施する  避難所派遣職員、避難所運営委員会応援職員
対策項目3 内部向けの情報共有を実施する
3-1災害対策本部からの情報周知を実施する  避難所派遣職員、避難所運営委員会応援職員
3-2地域の被害状況の集約方法を検討する   避難所派遣職員、避難所運営委員会 
3-3地域の被害・復旧状況等の情報周知を実施する  避難所派遣職員、避難所運営委員会応援職員
3-4支援情報の仕分けを実施する  避難所派遣職員、避難所運営委員会応援職員
3-5支援情報の掲示を実施する  避難所派遣職員、避難所運営委員会応援職員
3-6地域の復旧見込み等の説明会開催を検討する   避難所支援班 
対策項目4 内部向けの情報共有手段を確保する
4-1内部向け情報掲示板を設置する   施設管理者、避難所派遣職員 
4-2掲示情報の整理(見やすさの検討)を実施する  避難所派遣職員、避難所運営委員会応援職員
4-3支援情報の掲示板を設置する  避難所派遣職員、避難所運営委員会応援職員
4-4ライフラインの復旧情報の確認・提供を実施する  避難所派遣職員、避難所運営委員会応援職員
対策項目5 外部向けの広報手段を確保する
5-1外部向け掲示板を設置する  施設管理者、避難所派遣職員応援職員
5-2在宅避難者への情報発信を実施する  避難所支援班、避難所派遣職員応援職員
5-3支援者への情報発信を実施する  避難所派遣職員応援職員、ボランティア本部等

8.食料・物資管理

ポイント プッシュ型から要請型へ~物資の確保は重要業務

解説
 避難所に食料・飲料水等を置いておくスペースが無い場合等は、支援物資のプッシュ型配布(初動期において要請がなくとも最低限必要と思われる物資を供給側から避難所に送り届けること)への対応や、地域の備蓄拠点から各避難所への配布に対応できるよう、物資供給計画を作成しておきましょう。
 物資供給計画については、事前に流通事業者団体等と協定を結び、物資の調達、輸送、整理・梱包する「物資の拠点」を具体的に確保すること。さらに、各避難所までのルートを確保するとともに、避難所での物資保管場所等を決めておく必要があります。
 また、避難所における「食物アレルギー」「介護食」等、配慮が必要な者に対応した食料品等の特別ニーズへの対応は、被災者の命と健康を守るために必要不可欠です。

質の向上の実現のために

 発災直後においてはプッシュ型での物資配送、応急期以降は避難所からの要請や避難者ニーズに応じて、物資配送を行いましょう。要請がない場合は、ニーズ把握・発信の手段を別途設けることが必要です。避難所から物資を要請する際には、女性、子育て世代、介護をしている人、障害者や持病をもつ当事者などの意見を取り入れるよう工夫しましょう。併せて、在宅避難者への提供方法も検討しましょう。
 飲料水の確保が済んだら、生活用水(飲料水以外に生活に必要な水)の確保についても検討しましょう。トイレの水、清掃用の水、体を拭くための水、洗濯用の水など、飲料水以外にも生活には水が必要です。生活用水は要請物資に頼るのではなく、地域で確保することを目指しましょう。
 避難生活が長期化すれば暖かい食事の提供や栄養管理についても検討しましょう。できれば、地域やボランティアによる炊き出し等、具体的な方法を事前に考えておきましょう。

チェックリスト

8.食料・物資管理

項目番号仕事いつ★主担当
◎担当
○支援
を記入
指示したか確認したか協働する団体等
準備初動応急復旧
対策項目1 物資の受け入れ体制を整備する
1-1物資供給計画を作成する   商工担当等 
1-2物資の積み下ろし場所・ルートを確保する  商工担当等、避難所運営委員会 
1-3物資の保管場所を確保する 商工担当等、避難所運営委員会 
1-4物資の要請を実施する  避難所派遣職員、避難所運営委員会応援職員
1-5物資の管理を実施する  避難所派遣職員、避難所運営委員会応援職員
1-6在宅避難者用物資の配布体制を確保する 避難所派遣職員、避難所運営委員会応援職員、地域住民
対策項目2 食料等の確保を実施する
2-1地域の資源(食料等)の活用を実施する  避難者、地域住民 
2-2備蓄物資の配布を実施する   避難所派遣職員、避難所運営委員会 
2-3アレルギー対応等特別食の確保を実施する  商工担当 
2-4避難所・在宅避難者別に必要食数の報告を実施する  避難所派遣職員、避難所運営委員会応援職員
2-5食料の数量管理、衛生的な保管状態を確保する  避難所派遣職員、避難所運営委員会応援職員
2-6炊き出し実施のための調理器具や食材を確保する   商工担当等 
2-7個人属性に応じた栄養面への配慮を実施する  保健担当NPO・ボランティア

9.トイレの確保・管理

ポイント トイレの利用は人間にとって大切な生理現象

解説
 災害用トイレには大きく分けて4種類(携帯トイレ・簡易トイレ・仮設トイレ・マンホールトイレ)あり、それぞれの特性に応じて、使用が想定される時期や準備に必要なものが異なります。上下水道・浄化槽の復旧見込みに応じて、災害用トイレの確保に平時から努めましょう。そして、「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」を参考に、トイレの確保・管理計画を作成しましょう。
 災害用トイレを確保・配備すると同時に、トイレの衛生管理が重要なポイントになります。避難所のトイレは大勢の人が使用するため、普段以上に衛生面や使い勝手に配慮が必要になります。衛生的で快適なトイレ環境を維持することで、感染症を含む健康被害を防ぐことにつながります。感染症や衛生害虫、不快な臭いをできるだけ排除し、快適に利用するために、清掃体制の取り組みを実施しましょう。また、衛生環境の維持のために、手洗い水の確保や手洗い方法の周知、トイレ用の履物を別途用意することも重要です。

質の向上の実現のために

 トイレならびにトイレを支えるライフラインが機能停止に陥ると「排尿・排便を行う場所の確保」「し尿の保管」「し尿の処理・処分」等の手順の代替手段を確保する必要があります。加えて「衛生環境の保持」「臭いや環境汚染への配慮」「人間の尊厳の尊重」などに配慮する必要があり、大変な課題です。また、避難所のトイレは、避難所に避難している被災者、在宅避難者、避難所を拠点として活動している災害対応従事者等、様々な人が利用します。平時より、地域と十分に協議し、災害用トイレの確保と管理について、理解と協力を得ることが重要です。
 過去の災害においては、トイレ(便器)の数が足りず、衛生環境が悪化した例が見られました。快適なトイレ環境の確保のために、発災当初から約50人に1個のトイレを確保できるよう、災害用トイレの備蓄や整備を進めましょう。
 また、すべての被災者が安心してトイレを利用できるよう、障害者や女性等の意見を積極的に取り入れるとともに、障害者用のトイレを一般用とは別に確保するよう努めましょう。

チェックリスト

9.トイレの確保・管理

項目番号仕事いつ★主担当
◎担当
○支援
を記入
指示したか確認したか協働する団体等
準備初動応急復旧
対策項目1 多重的に災害用トイレを確保する
1-1備蓄している災害用トイレを避難所に届ける手段を確保する  防災担当・商工担当トラック協会等
1-2各避難所のトイレの不足数を把握する  浄化槽・し尿処理担当 
1-3簡易トイレ(段ボール式等の組立式を含む)の使用環境を確保する  浄化槽・し尿処理担当、施設管理者、避難所派遣職員、避難者 
1-4要配慮者専用トイレを確保する 浄化槽・し尿処理担当、施設管理者、避難所派遣職員、避難者 
1-5仮設トイレ(組立式トイレを含む)の使用環境を確保する  浄化槽・し尿処理担当、施設管理者、避難所派遣職員、避難者 
対策項目2 既設トイレの活用と不足するトイレの把握を実施する
2-1既設トイレの使用可能な個室(便器)を確認する   施設管理者、避難所派遣職員 
2-2既設トイレの水洗トイレの使用禁止等の措置を実施する   施設管理者、避難所派遣職員 
2-3備蓄してある携帯・簡易・組立式トイレを設置する   施設管理者、避難所派遣職員、避難者 
2-4マンホールトイレの使用環境を確保する  施設管理者、避難所派遣職員、避難者 
2-5避難者人数と使用できるトイレの数から、不足するトイレ(便器)数を把握し、要請を実施する  避難所派遣職員 
2-6トイレの利用状況(並んでいないか、待ち時間はあるのか等)を把握する   運営委員会、避難者 
対策項目3 トイレの使用ルールを確保する
3-1トイレの使用ルールの周知、掲示を実施する浄化槽・し尿処理、下水道担当 
3-2トイレ用の履物を確保する 商工担当 
3-3正しい手洗い方法の周知、掲示を実施する  保健担当、運営委員会NPO・ボランティア
3-4トイレの男女別をわかりやすくする表示を実施する  運営委員会 
3-5トイレの防犯対策の使用者への呼びかけを実施する  防犯担当、運営委員会、避難者、地域住民 
3-6女性や要配慮者に意見を求め、改善を実施する  運営委員会 
対策項目4 トイレの使用環境の改善を実施する
4-1高齢者、障害者用トイレの動線の安全性を確保する  運営委員会NPO、ボランティア、社会福祉協議会
4-2おむつや生理用品等を確保する 商工担当 
4-3ウェットティッシュ、消毒液(手指消毒用・環境整備用)、消臭剤を確保する商工担当 
4-4おむつや生理用品のサニタリーボックスを確保する  商工、浄化槽・し尿処理担当 
4-5防犯対策としてトイレの中と外に照明を確保する 商工担当等、施設管理者 
4-6仮設トイレ・マンホールトイレの防犯対策(施錠、防犯ブザー等)を実施する  防犯担当、避難所運営委員会 
4-7手すりの設置・段差の解消を実施する 商工、営繕担当、教育委員会(施設の事務局)避難所となる施設管理事務局
4-8子供用のトイレ(便座)を確保する  商工担当 
対策項目5 トイレの特別ニーズ対応を実施する
5-1トイレに行くのに配慮が必要な人等の把握を実施する 運営委員会、避難者 
5-2配慮が必要な方へのボランティアの要請を実施する  避難所派遣職員応援職員
5-3感染症患者が出たときの専用トイレを確保する  商工、浄化槽・し尿処理担当、運営委員会 
5-4装具交換やおむつ交換のための折り畳み台設置を検討する  商工、浄化槽・し尿処理担当 
5-5人工肛門・人工膀胱保有者のための装具交換設備とスペースの設置を検討する  商工、浄化槽・し尿処理担当 
5-6トイレの待合スペース・雨風日除けの確保を検討する   商工、浄化槽・し尿処理担当 
対策項目6 トイレの清潔な衛生環境を確保する
6-1手洗い用の水・石鹸を確保する 商工担当 
6-2手指消毒液を確保する商工担当 
6-3トイレ責任者とトイレ掃除当番を決めて役割分担を実施する  運営委員会、避難者、地域住民 
6-4トイレの掃除用具・使い捨て手袋・マスク・作業着等を確保する  商工、浄化槽・し尿処理担当 
6-5防虫・除虫対策を実施する  浄化槽・し尿処理担当、避難者 

(2)健康管理

10.衛生的な環境の維持

ポイント 健康維持は衛生への配慮から

解説
 ライフラインの途絶や集団生活といった条件の避難所では、様々な感染症、食中毒等のリスクが高まるため、発災直後から衛生管理に徹底して取り組む必要があります。衛生対策全般については、特に衛生部局を中心に、危機管理部局、避難所運営責任者がしっかりと連携し、専門的な指導も得ながら、万全の体制で取り組んでいけるよう、地域住民やボランティアの協力も得ながら、平時から準備しておくようにしましょう。また、食料(生鮮品、弁当等)の取り扱いには、十分注意し、食中毒の発生を防ぎましょう。

質の向上の実現のために

 災害時であってもゴミは分別収集し、決められた集積場所に排出し、防臭・防虫に気を付けましょう。炊き出しをする際には、調理前の手指及び調理器具の消毒を徹底し、衛生的な調理に配慮し、調理する人の体調管理も行う必要があります。また、食料品の保管にあたっては、冷蔵庫を使用しましょう。

チェックリスト

10.衛生的な環境の維持

項目番号仕事いつ★主担当
◎担当
○支援
を記入
指示したか確認したか協働する団体等
準備初動応急復旧
対策項目1 ゴミ集積場所を確保する
1-1ゴミの集積場所を確保する 施設管理者、避難所運営委員会 
1-2ゴミ袋の設置を実施する  避難所運営委員会 
1-3ゴミの集積場所を周知する  避難所運営委員会 
1-4避難所のゴミの収集体制を確保する  衛生担当 
1-5ゴミ袋、防臭・防虫剤を確保する  衛生担当 
対策項目2 避難所の掃除を実施する
2-1避難所の掃除を実施する  避難所運営委員会、避難者 
2-2寝具などの整理整頓を実施する  避難所運営委員会、避難者 
対策項目3 食品の管理を実施する
3-1食品の管理方法・手洗い・調理前の健康チェック方法を確立する 保健担当保健所
3-2食品の管理方法の徹底を実施する  保健担当、避難所運営委員会保健所
3-3手洗いの徹底を実施する 保健担当、避難所運営委員会保健所
3-4炊き出し等調理をする人の健康チェックを実施する  保健担当、避難所運営委員会保健所

11.避難者の健康管理

ポイント 避難者の二次被害を予防するための健康管理

解説
 災害時には、持病の悪化防止、新たな病気の発症防止、健康維持のために、市町村内外の「医療・保健・福祉専門職の巡回・派遣」による避難者の健康チェック・管理等を定期的に実施しましょう。これらの結果等に気を配りながら、巡回医師等の指導を仰ぎ、専門施設等へ適切に橋渡しできる体制を確保しましょう。

質の向上の実現のために

 避難者の健康管理については「避難所生活を過ごされる方々の健康管理に関するガイドライン(厚生労働省)」によれば、以下の項目があげられており、配慮すべき事項は多岐にわたります。しかし、これらの配慮を欠くと、避難者の健康が悪化し、その影響が甚大な場合は死に至る可能性も否定できません。これらの配慮を避難所担当職員だけで実施することは、現実的ではありません。医療・保健・福祉の専門職能者に多角的に避難所の状況をチェックしてもらい、必要な対応については、ボランティア・NPO団体と協力し、実現しましょう。

  • ①生活・身の回り「居住環境、空調・換気の重要性」「水分・飲料水」「栄養管理」「食中毒予防」「入浴ができない場合」「避難所周りの環境」
  • ②病気の予防「感染症」「粉じん吸入」「慢性疾患の悪化」「エコノミークラス症候群」「生活不活発病」「熱中症」「低体温症」「口腔衛生管理」「一酸化炭素中毒」「アレルギー疾患の悪化」「健康診査等」「救急受診体制」
  • ③心の健康保持
  • ④ライフステージ等に応じた留意事項「妊婦、産後間もないお母さんと乳幼児」「子供」「高齢者」「慢性疾患」

チェックリスト

11.避難者の健康管理

項目番号仕事いつ★主担当
◎担当
○支援
を記入
指示したか確認したか協働する団体等
準備初動応急復旧
対策項目1 避難者の健康管理体制を確保する
1-1避難者の健康管理シートを作成する  保健、福祉担当   
1-2救護所や医療巡回受け入れスペースの設置を検討する 医療担当、避難所運営委員会NPO・ボランティア、医療・福祉事業者等
1-3医師・看護師の巡回・派遣体制を確保する 医療担当NPO・ボランティア、医療・福祉事業者等
1-4保健師・福祉専門職の巡回・派遣体制を確保する 保健、福祉担当NPO・ボランティア、医療・福祉事業者等
1-5心のケア専門職能ボランティアの巡回・派遣体制を確保する  保健、医療担当NPO・ボランティア、医療・福祉事業者等
1-6正しい口腔ケアの周知・指導を実施する  保健、医療担当NPO・ボランティア、医療・福祉事業者等
1-7妊婦健診、乳児健診の情報提供を実施する  保健、医療担当NPO・ボランティア、医療・福祉事業者等
1-8健康相談窓口を設置する   保健、医療、障害者、高齢者、母子担当NPO・ボランティア、医療・福祉事業者等
対策項目2 感染症対策(インフルエンザ、ノロウィルス等)を実施する
2-1感染症予防の重要性を確認する   保健、医療担当 
2-2避難所の換気を実施する     
2-3感染症予防を実施する  保健担当NPO・ボランティア、医療・福祉事業者等
2-4感染症患者が出た時の対応を検討する 保健担当、避難所運営委員会NPO・ボランティア、医療・福祉事業者等
2-5感染症患者が出た時の部屋を確保する  避難所運営委員会、施設管理者NPO・ボランティア、医療・福祉事業者等
対策項目3 その他病気対策を実施する
3-1食中毒対策を実施する  保健担当NPO・ボランティア、医療・福祉事業者等
3-2生活不活発病対策として体操等を実施する  保健担当NPO・ボランティア、医療・福祉事業者等
3-3持病の悪化防止を実施する  保健担当NPO・ボランティア、医療・福祉事業者等
3-4エコノミークラス症候群対策を実施する  保健担当NPO・ボランティア、医療・福祉事業者等
3-5エコノミークラス症候群防止のための弾性ストッキングの配布を検討する 保健担当、商工担当NPO・ボランティア、医療・福祉事業者等
3-6熱中症対策を実施する  保健担当NPO・ボランティア、医療・福祉事業者等
対策項目4 暑さ・寒さ対策を検討する
4-1必要と判断される時には防寒着を確保する 商工担当 
4-2採光量の調節(暑いときは日光の直射を避ける)を実施する  避難所運営委員会、避難者 
4-3冷暖房器具を確保する  商工担当 
4-4空調の早期復旧を検討する  営繕・建築担当 
4-5食料の温度管理に配慮を実施する  保健担当、避難所運営委員会、避難者 
4-6必要とあれば害虫対策を検討する  衛生担当 

12.寝床の改善

ポイント 継続的な避難者には、簡易ベッドの確保を目指す

解説
 災害やその避難生活による環境では、狭い避難所での寝泊りが続くことやストレス等により、静脈血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)を引き起こす可能性があります。その影響が甚大な場合は死に至る可能性も否定できません。寝床については、初動は毛布や通気を確保する等、寒さ暑さの緩和に努め、次いで、マットや段ボール仕様等の簡易ベッドの導入を目指しましょう。これは、床に長期的に横たわっていると、エコノミークラス症候群を引き起こすだけでなく、埃等を吸い込むことによる健康被害も心配されるからです。

質の向上の実現のために

 エコノミークラス症候群を引き起こす血栓の発生防止のため、定期的に体を動かす、弾性ストッキング(エコノミークラス症候群を防止するためのくつ下)を導入する等、寝床の充実と併せて、健康被害の抑制に努めましょう。また、生活不活発病防止のためにも、立ち上がりやすいベッドの導入は効果的です。

  • ①生活・身の回り「居住環境、空調・換気の重要性」「水分・飲料水」「栄養管理」「食中毒予防」「入浴ができない場合」「避難所周りの環境」
  • ②病気の予防「感染症」「粉じん吸入」「慢性疾患の悪化」「エコノミークラス症候群」「生活不活発病」「熱中症」「低体温症」「口腔衛生管理」「一酸化炭素中毒」「アレルギー疾患の悪化」「健康診査等」「救急受診体制」
  • ③心の健康保持
  • ④ライフステージ等に応じた留意事項「妊婦、産後間もないお母さんと乳幼児」「子供」「高齢者」「慢性疾患」

チェックリスト

12.寝床の改善

項目番号仕事いつ★主担当
◎担当
○支援
を記入
指示したか確認したか協働する団体等
準備初動応急復旧
対策項目1 寝床の改善を実施する
1-1床に直接寝ることでアレルギーや喘息等が悪化する危険性を認識する   防災担当、保健担当、医療担当 
1-2床に直接寝ることでエコノミークラス症候群発症の危険性を認識する   防災担当、保健担当、医療担当 
1-3寝具として毛布を確保する  商工担当 
1-4敷布としてのブルーシート、段ボールを確保する   商工担当、避難所運営委員会、避難者 
1-5間仕切りを確保する   商工担当、避難所運営委員会、避難者 
1-6布団・エアマットなどの寝具の設置を検討する   商工担当、避難所運営委員会、避難者 
1-7畳・カーペットの設置を検討する   商工担当、避難所運営委員会、避難者 
1-8段ボールベット等簡易ベッドの設置を検討する  商工担当、避難所運営委員会、避難者 

(3)よりよい環境

13.衣類

ポイント 自立して衣類を確保できる環境を目指す

解説
 着の身着のままで避難してきた被災者に対しては、衣類の配慮をしましょう。下着の確保に始まり、性別や年齢などに応じた衣類の確保に努めます。状況が落ち着けば、被災者自らが洗濯できる環境を整えることを目指しましょう。

質の向上の実現のために

 善意から「古着」等が避難所に送られてくることがありますが、衛生状態がわからなかったり、サイズがそろわなかったりと、現実的には活用できないことが多くなっています。自宅等の被災により衣服が持ち出せない、地域では購入できない状況に備え、地方公共団体が手配し、被災者に支給する方法も検討しておきましょう。
 また、過去の被災地では、衣料品販売事業者からの寄付に助けられた好事例があった一方で、妊婦用、介護用の下着や衣類が不足しがちでした。衣類を手配する際には、このようなニーズの把握にも努めましょう。

チェックリスト

13.衣類

項目番号仕事いつ★主担当
◎担当
○支援
を記入
指示したか確認したか協働する団体等
準備初動応急復旧
対策項目1 衣類確保のための留意点
1-1避難者の属性に応じた下着類を確保する  商工担当 
1-2体や季節に合った衣類を確保する   商工担当 
1-3仮設洗濯場(洗濯機・乾燥機)を確保する   商工担当 
1-4洗濯干し場を確保する   避難所運営委員会 
1-5洗濯洗剤等を確保する   商工担当 

14.入浴

ポイント 入浴は体を清潔にし、ストレス解消にも効果あり

解説
 特に水害等で汚水に侵された場合等は、感染症等の予防の為にも、シャワー等で汚れを落とす必要があります。また、既存の入浴施設の活用や仮設風呂の調達等、状況に応じて適切な対応を検討しましょう。仮設風呂等においては、水分補給や前後の健康チェックについても配慮しましょう。

質の向上の実現のために

 仮設風呂等については、手すりが無いものや、滑りやすい等の制約もあり、脆弱性の高い高齢者等には適さない物もあるため、入浴支援者の確保が必要になります。高齢者施設、旅館・ホテルなどの入浴施設の活用や、施設までの輸送手段(バス)等の確保も検討しましょう。

チェックリスト

14.入浴

項目番号仕事いつ★主担当
◎担当
○支援
を記入
指示したか確認したか協働する団体等
準備初動応急復旧
対策項目1 入浴対策を検討する
1-1旅館・銭湯等の民間事業者との協定締結を実施する   商工担当 
1-2汚水に侵された時は汚れ落としを実施する  地域住民 
1-3体を拭くための使い捨てタオル等を確保する   商工担当 
1-4シャワーを浴びることができる環境を確保する   商工担当、避難所運営委員会 
1-5風呂に入ることができる環境を確保する   商工担当 
1-6シャワー・風呂の前後の健康管理に留意できる環境を確保する   避難所支援班、保健担当等 

Ⅲ ニーズへの対応

(1)要配慮

15.配慮が必要な方への対応

ポイント 脆弱性の高い人々への配慮を欠かさない

解説
 避難所において配慮が必要な方、例えば高齢者、障害者、妊産婦、乳幼児、難病の方等の体調が悪くならないように、スペースの確保や、避難者全員で見守る体制づくりが重要です。
 また、外国人への配慮を含め、避難所の関係者間で、要配慮者の状態・ニーズについて情報共有を図り、体調管理を継続的に行いましょう。
 さらに、どのような困難に直面しているかは、本人や家族などから聞き取るなど当事者の方と話し合う機会を設けましょう。生活環境の改善及び福祉避難所や専門施設への移動を検討する際には、特に配慮する必要があります。

質の向上の実現のために

 災害時要配慮者については、発災直後の避難行動支援について、その重要性が認識されているところですが、応急期から生活再建までの避難生活についても、配慮が必要です。その対象は、平時は地域で暮らしている「在宅者」、そして平時から施設で暮らしている「入所者」です。施設が被災をし、機能しなくなってしまうと、暮らし続けることができても、ライフラインの途絶等から不自由な暮らしが続くため、この方たちもまた「避難生活者」と言えます。このような要配慮者全体の被災状況を念頭におきながら、避難所への資源配分等を考慮する必要があります。

チェックリスト

15.配慮が必要な方への対応

項目番号仕事いつ★主担当
◎担当
○支援
を記入
指示したか確認したか協働する団体等
準備初動応急復旧
対策項目1 配慮が必要な方への対応を検討する
1-1配慮が必要な人の状況を把握するため、本人や家族からの聞き取りを実施する  避難所運営委員会、避難者、地域住民社会福祉協議会、NPO・ボランティア
1-2段差の解消など環境整備を検討する  営繕・建築担当、避難所運営委員会社会福祉協議会、NPO・ボランティア
1-3避難者同士の見守り体制を確保する 避難所運営委員会、避難者 
1-4外国語による避難所内情報の提供を検討する  外国人担当 
1-5心のケア専門職能ボランティアの巡回・派遣体制を確保する   保健、ボランティア担当NPO・ボランティア、医療・福祉事業者等、社会福祉協議会
1-6心のケアイベント・サロン活動等を検討する   保健、ボランティア担当NPO・ボランティア、医療・福祉事業者等、社会福祉協議会
対策項目2 避難者の滞在可能性の検討を実施する
2-1福祉避難所への移動を検討する 保健、ボランティア担当医療・福祉事業者等、NPO・ボランティア
2-2福祉避難所への移動手段を確保する 保健、ボランティア担当医療・福祉事業者等、NPO・ボランティア
2-3施設・病院への入院・入所を検討する  保健、ボランティア担当医療・福祉事業者等、NPO・ボランティア
2-4施設・病院への入院・入所手続きを手配する  保健、ボランティア担当医療・福祉事業者等、NPO・ボランティア
対策項目3 ボランティアニーズの把握を実施する
3-1避難者のボランティアニーズの把握を実施する  避難所運営委員会社会福祉協議会、NPO・ボランティア
3-2在宅避難者のボランティアニーズの把握を実施する  保健、ボランティア担当社会福祉協議会、NPO・ボランティア
3-3ボランティアの要請を実施する  避難所運営委員会 
3-4ボランティア受入を実施する  避難所運営委員会 
3-5受入れ済みボランティアが一目でわかる目印を検討する  ボランティア担当、避難所運営委員会社会福祉協議会、NPO・ボランティア

16.女性・子供への配慮

ポイント 女性や子供の視点から避難所を考えよう

解説
 女性や子供は特別なニーズを持った存在です。例えば、生理用品や更衣室、授乳室の必要性等に配慮することで、多くの人が安心して過ごすことができる環境が維持できます。災害時であっても、最大限考慮するよう心配りをすることが重要です。また、女性自身の視点から、避難所運営を実施するために、避難所運営委員会への女性の参画も促しましょう。具体的には、少なくとも行政の審議会等において一般に目標とされている、委員の3割以上は女性の参画があることが望ましいと考えらえます。

質の向上の実現のために

 女性は家庭的責任を負っていることも多く、家族全員のニーズ、特に育児・介護・衛生・栄養等に関する細かい困りごと・要望や対応方法に関する知識・経験を、より多く持っている傾向にもあります。しかし、過去の災害時には、女性たちが意見を言う機会が限られていました。女性たちが避難所運営の意思決定に加わることができるよう配慮することで、特に高齢者や障害者、子供たちの命・健康のリスクの見守り体制が強化されることになり、避難所の質の向上につながることが期待されます。

チェックリスト

16.女性・子供への配慮

項目番号仕事いつ★主担当
◎担当
○支援
を記入
指示したか確認したか協働する団体等
準備初動応急復旧
対策項目1 女性における衛生面・保安面に配慮を実施する
1-1女性、妊産婦等が避難生活をする際に備えるべきことを確認する   防災、男女共同参画、母子、保健担当、地域住民 
1-2女性特有の物資(生理用品等)の確保を実施する 施設管理者、避難所運営委員会 
1-3女性用更衣室/スペースの設置を実施する  施設管理者、避難所運営委員会NPO・ボランティア
1-4授乳室/スペース等の設置を実施する  施設管理者、避難所運営委員会医師・看護師、NPO・ボランティア
1-5母子(妊婦・乳児)避難スペースの設置を検討する  施設管理者、避難所運営委員会医師・看護師、NPO・ボランティア
1-6キッズスペース(子供の遊び場)の設置を検討する  施設管理者、避難所運営委員会NPO・ボランティア
対策項目2 女性の活躍環境を確保する
2-1性別配慮について意見が反映できる環境を確保する 避難所運営委員会、避難者 
2-2困りごと相談窓口の設置(女性やボランティアの協力を得る)を実施する  避難所支援班、避難所運営委員会NPO・ボランティア
2-3家庭的ニーズの積極的な掘り起しを実施する  避難所支援班、避難所運営委員会NPO・ボランティア
2-4安心して話せる女性だけの場の確保を検討する  避難所運営委員会NPO・ボランティア

(2)安全安心

17.防犯対策

ポイント 災害後の治安悪化の傾向の把握に務める

解説
 災害時においては、治安の維持が課題の一つとなります。被災地外から窃盗団が入り込むことも、残念ながら珍しいことではないといわれているため、消防団・自警団等による地域の見守り体制の強化、警察の巡回要請、女性・子供に対する性犯罪防止策、相談体制強化等の検討が必要となります。

質の向上の実現のために

 東日本大震災時に警察が実施した活動には、①生存者の救出・救助、②被災者の避難誘導、③関係道路の交通規制、④避難所等での被災者相談、⑤御遺体の身元確認、⑥生活の安全と秩序の維持等がありました。地域の正常化に向けて、これらの活動を視野にいれて、連携することが必要です。

チェックリスト

17.防犯対策

項目番号仕事いつ★主担当
◎担当
○支援
を記入
指示したか確認したか協働する団体等
準備初動応急復旧
対策項目1 避難所・地域の防犯対策を実施する
1-1平常の防犯活動を確認する   地域住民、施設管理者 
1-2避難者同士の見守り体制を確保する  避難者、避難所運営委員会 
1-3仮設トイレ・マンホールトイレの防犯対策(施錠、防犯ブザー等)を実施する  防犯担当、避難所運営委員会 
1-4特に女性においては、トイレ・入浴施設付近での性犯罪発生防止を実施する  防犯担当、避難所運営委員会 
1-5地域の防犯・見守り体制を確保する   防犯担当、避難者、地域住民警察、消防団
1-6警察の巡回・派遣体制を確保する   防犯担当警察
1-7自警団等の結成を実施する   避難者、地域住民警察、消防団

18.ペットへの対応

ポイント ペット同伴避難のルールづくりを検討

解説
 ペットは飼い主にとってはとても大切な存在ですが、動物が苦手な人や動物に対してアレルギーを持っている人が共同生活を送る避難所では、ペットの鳴き声や毛の飛散、臭い等への配慮が必要です。避難所のペット対策については、事前にペット同伴避難のルールを決めておくことが重要です。飼い主が責任をもって避難所でペットを飼育するための居場所の確保や、ゲージ等を用意する等、具体的な対応を検討しましょう。

質の向上の実現のために

 ペットを飼っている人もそうでない人も、動物好きの人もそうでない人も、共生できる環境に配慮しましょう。

チェックリスト

18.ペットへの対応

項目番号仕事いつ★主担当
◎担当
○支援
を記入
指示したか確認したか協働する団体等
準備初動応急復旧
対策項目1 ペットの滞在ルールの確立を検討する
1-1ペット同伴避難のルールを確認する   ペット対策担当、施設管理者、地域住民、教育委員会(施設の事務局)都道府県、避難所となる施設管理事務局
1-2ペット滞在ルールの確立を検討する ペット対策担当、施設管理者、地域住民、教育委員会(施設の事務局)都道府県、避難所となる施設管理事務局
1-3ペット滞在ルールの周知、掲示を実施する  ペット対策担当、施設管理者、地域住民 
1-4ペット滞在場所の設置を検討する  ペット対策担当、施設管理者、地域住民NPO・ボランティア

Ⅳ 避難所の解消

19.避難所の解消に向けて

ポイント 被災者の仮住まいへの移行を推進

解説
 地域にライフラインの復旧がもたらされた段階は、避難所の解消の一つの目安となります。一定の期間が経過した段階で、避難者に落ち着き先の要望を聞きましょう。できるだけ要望に沿う形で支援し、避難所の解消につなげることが求められます。避難所はその役目を終え、元の施設としての役割を取り戻すことを目的として解消に努めましょう。

質の向上の実現のために

 避難所を出られない被災者には、様々な理由があります。避難所を解消するためには、避難者に対して早くから見通しを示しつつ、事情を聴きながら解決する姿勢が必要です。過去の被災地においては、避難者数が減少するにつれ、避難所を統廃合したい行政と、暮らしなじんだ避難所を離れがたい被災者の間で、あつれきが生まれたこともありました。また、避難所の解消目標期限までに、避難者の落ち着き先が決まらず、ホテル・旅館の借り上げが実施された事例もありました。被災者の立場を考慮したきめの細かい対応を早い段階から準備する必要があります。

チェックリスト

19.避難所の解消に向けて

項目番号仕事いつ★主担当
◎担当
○支援
を記入
指示したか確認したか協働する団体等
準備初動応急復旧
対策項目1 避難所生活が長期化した場合の対応を実施する
1-1二次避難所として、ホテル・旅館等の活用を検討する  商工、災害救助法所管担当 
1-2避難者の状態に応じて別の避難所への移動を検討する  避難所支援班、避難所運営委員会 
1-3避難者の状態に応じて二次避難所(ホテル・旅館等)への移動を検討する  避難所支援班、災害救助法所管担当都道府県
1-4住まいの選択肢についての情報提供を実施する  住宅部局等 
1-5避難者台帳の作成準備を実施する  防災、福祉総括担当 
1-6生活再建支援情報の周知を実施する  避難所支援班、避難所運営委員会都道府県
対策項目2 避避難所の解消に向けた話合いを実施する
2-1ライフライン事業者との連絡体制強化を実施する   防災担当  ライフライン事業者
2-2ライフラインの復旧目安についての周知を実施する   避難所支援班、上水道、下水道・浄化槽担当 
2-3退所目途の把握を実施する  避難所支援班、避難所運営委員会NPO・ボランティア
2-4避難所生活以降の落ち着き先意向調査を実施する  避難所支援班、避難所運営委員会NPO・ボランティア
2-5意向調査の結果に応じて仮設住宅・公営住宅・その他住宅等の確保支援を実施する  住宅部局等都道府県
2-6引っ越しの見守りを実施する  障害者、高齢者担当NPO・ボランティア
対策項目3 避難所の解消を検討する
3-1施設管理者との事前協議を実施する  教育委員会(施設の事務局)、運営委員会 
3-2解消の目安を検討する  教育委員会(施設の事務局)、運営委員会 
3-3避難所の解消予定日を内外に周知を実施する  運営委員会 
3-4避難所解消後の在宅者支援体制を検討する  避難所支援班 

出典

内閣府.防災情報のページ:避難所の生活環境対策.
http://www.bousai.go.jp/taisaku/hinanjo/ (参照 2016-05-06)

内閣府.避難所運営ガイドライン 平成28年4月 内閣府(防災担当)(PDF版)
http://www.bousai.go.jp/taisaku/hinanjo/pdf/1605hinanjo_guideline.pdf (参照 2016-05-06)