音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

  

2015 防災世界会議日本CSOネットワーク 提言概要

2015 防災世界会議日本CSO ネットワーク(JCC2015)1)とそのメンバーは、「兵庫行動枠組2005-2015」の実践者として、第3 回国連防災世界会議(2015 年3 月、仙台開催)で採択される「ポスト2015 年防災枠組」に対し、下記を提言します。

1.技術的災害とそのリスク

  • 原子力災害とそのリスクが焦点

「ポスト2015年防災枠組」が自然災害と人為災害の両方に対応することは、JCC2015として前向きな兆しと捉えています。しかしながら、2011年の福島や1986年のチェルノブイリのような原子力災害を国際的に承認された防災枠組につなげるためには、さらなる努力が必要です。特に、既存のリスク、そして、これから多くの国で起こりうるリスクの要因を明確化する能力を強化することについて、提言する必要があります。

  • 原子力防災に関する実践ツールキット - 福島ブックレット

JCC2015は、原子力発電所のリスクを軽減およびモニタリングできるよう、福島において何が起きたのか、そして、その教訓は何かを、市民の視点で伝えるブックレット 『福島 10の教訓~原発災害から人びとを守るために~』の制作と配布を行なっています。モニタリング・メカニズムや定期的な評価は特に重要であり、このブックレットは、原子力の安全指標や評価チェックリストなどに貢献できます。

  • テクノロジーへの包括的なアプローチ

環境に配慮した技術、科学やイノベーションへのアクセスや移転が重要であることに疑いはありません。しかしながら、JCC2015は、より包括的な視点で環境に配慮した技術の導入を強く提言します。例えば、発電の際、二酸化炭素の排出レベルのみを考慮すると、廃棄物や事故やリスクが及ぼす環境へのその他の影響が軽視されてしまいます。

2.複合災害リスクの管理と連鎖的災害

  • 連鎖的災害、災害リスクの相互関連性

JCC2015は、ある災害が他の災害を直接引き起こすような「災害リスクの連鎖」に対応することが重要である、と考えています(例えば、東日本大震災では、地震が大規模な津波を引き起こし、それが福島第一原子力発電所の電源喪失に繋がり、放射能汚染をもたらしました)。それゆえ、災害リスクの連鎖に対する対応、そして、その困難さが、複合災害リスクの管理目的として「ポスト2015年防災枠組」に盛り込まれたことを歓迎します。

3.関係者の役割

JCC2015は、「ポスト2015年防災枠組」に「関係者の役割」というセクションが設けられたことに強く賛同し、すべての関係者とともに、その役割を明確化し、強化したいと考えます。

  • 科学者や管理者としての市民

「科学」や「研究」機関に加えて、市民は、コミュニティや草の根組織の一員として、経験的な情報に基づいたリスク評価に貢献することができます。例えば、福島の住人は、福島で実際に何が起きたのかを十分に理解しており、自身のコミュニティ内で放射線測定をし、汚染レベルを把握しています。このような社会科学型の調査は、市民が(データを集めるアシスタントではなく)まさに科学者の役割を果たしているという点で、地域的・地球規模での相互学習の努力の中に優先付けられるべきです。包摂的で、戦略的な役割が市民社会に与えられる「全社会型アプローチ」は、評価・計画・モニタリング・初動対応・復興など、すべてのプロセスにおいて強化され、組み込まれるべきです。

  • コミュニティ・リーダーシップ、特に女性のリーダーシップ

包摂的で強いコミュニティ・リーダーシップを持つコミュニティは、「ポスト2015年防災枠組」の目標や優先事項を達成するために不可欠です。コミュニティ・レベルでのエンパワーメントや防災政策を「自分のこと」として捉えるために、女性のリーダーシップのようなコミュニティのリーダーシップをいかに強化し、制度に組み込むかが、今後の重要な検討事項です。

4.アカウンタビリティ(説明責任)

  • 透明性

災害の危険や恐れがなく安全に生活することは、人間の安全保障の必須事項です。また、基本的な事項として、リスク評価の透明性およびリスクのタイムリーな開示が強調されるべきです。「ポスト2015年防災枠組」のターゲットとして、「透明性をもって災害リスクを開示するための法律を策定する国が増えること」を盛り込む必要があります。これは、リスク発生を予防しアカウンタビリティを果たすための国内法と同様に、必要不可欠なものです。

  • 説明責任を果たすモニタリング

グローバル・コミュニティおよびそれぞれの国が、現存するリスクや災害を軽減し、新たなリスクや災害の発生を阻止していかなければならないことは、すでに広く認識されています。市民社会とコミュニティは、現存するリスクと、これから発生しうる新たなリスクを理解するために、特別な位置にいます。それゆえ、リスクや災害をモニタリングする上で、市民社会とコミュニティが関わることは必要不可欠です。「ポスト2015年防災枠組」における目標、優先事項、関係者の役割、実施のすべてが繋がるよう、誰が、どのように、どの程度の頻度で達成状況をレビューしていくのか、明確な行程が必要です。説明責任を果たすシステムがあれば、モニタリング・メカニズムや定期的な評価は、「ポスト2015年防災枠組」の進捗を測る上で有用なツールとなるでしょう。

掲載者注

1)2015防災世界会議日本CSOネットワーク(Japan CSO Coalition for 2015 WCDRR:JCC2015)

連絡先: 2015防災世界会議日本CSOネットワーク(JCC2015)共同事務局
〒169-0051東京都新宿区西早稲田2-3-18-5F (特活)国際協力NGOセンター
Tel: 03-5292-2911 / Email: jcc_global@jcc2015.net

この提言概要は、2015防災世界会議日本CSOネットワーク(JCC2015) より転載させていただきました。

2015防災世界会議日本CSOネットワーク編.“2015 防災世界会議日本CSOネットワーク 提言概要”.2015防災世界会議日本CSOネットワーク.2015-03-11.
http://jcc2015.net/news/20150311_advocacy/
(参照 2015-03-20)