[雇用]新しい「障害者雇用対策基本方針」

リハ協ブログ2018年4月16日より転載

「障害者雇用対策基本方針」は、「障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)」第7条「厚生労働大臣は、障害者の雇用の促進及びその職業の安定に関する施策の基本となるべき方針を策定するものとする。」を根拠にしています。

障害者雇用対策基本方針に定める事項は、①障害者の就業の動向に関する事項、②職業リハビリテーションの措置の総合的かつ効果的な実施を図るため講じようとする施策の基本となるべき事項、③その他、障害者の雇用の促進及びその職業の安定を図るため講じようとする施策の基本となるべき事項とされ、「障害者雇用対策基本方針を定めるに当たつては、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴くほか、都道府県知事の意見を求めるものとする。」とされています。

第1次方針(平成5から9年度)から始まり、今回は第6次になります。各方針の運営期間は4~6年で、今回は5年間の方針です。

平成30年3月12日に開催された第76回労働政策審議会雇用分科会で方針案が諮問され妥当との答申案が了承されました。

障害者の就業の動向では、次のような記述がありました。

○50人以上の常用労働者を雇用する事業所の平成29年6月1日現在の

  • 障害者の雇用者数はで49.6万人で14年連続で増加している。
  • 実雇用率は1.92%。規模の大きい企業のほうが高い。
  • 法定雇用率達成企業の割合は50.0%
  • 障害者の雇用義務のある企業の29.3%は一人も障害者を雇用していない。

○平成28年度の公共職業安定所における

  • 障害者の有効求職者数は24 万1千人(身体障害者は9万人、知的障害者4万3千人、精神障害者9万8千人)で、精神障害者の占める割合が年々増加している。
  • 障害者の就職件数は9万3千件(身体障害者2万7千件、知的障害者は2万件、精神障害者4万1千件)で、精神障害者の占める割合が年々増加している。
  • 届出られた障害者解雇数は1,335人

今回の方針で追加された内容で筆者が注目するのは次のとおりです。

①支援対象として、若年性認知症、各種依存症を追加記述
②障害のある大学生も取り上げた
③雇用だけでなく職場定着支援も行う
④個別性の高い支援を必要とする障害者への支援強化
⑤地域ニーズへの配慮
⑥ジョブコーチの研修体制の見直し
⑦IT機器の活用やテレワークの事例や支援策などの周知
⑧障害者雇用ゼロ企業への指導強化
⑨障害者雇用調停会議の活用
⑩統計データの収集・整理の推進

第76回労働政策審議会雇用分科会の資料は、下のサイトで見ることができます。(寺島)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000197307.html

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