快適生活・暮らしのヒント-身近なものを利用した私の工夫

「新ノーマライゼーション」2021年1月号

高橋摩衣子(たかはしまいこ)
横浜市在住

私は10年ほど前に脳卒中になり、左側の手足が不自由になりました。左手はほとんど動かない状態ですが、左足のほうは、杖と装具を使いながら、外出できるようになりました。日々の暮らしの中でストレスなくできる工夫を考えることが好きです。調理はほとんどが両手動作になりますが、片麻痺の私は次のような工夫をしています。

「切る」作業の工夫

かたまりの肉を切るのは難しく、退院した当初は「釘つきまな板」を使っていました。しかし、置き場所に困ったり、洗う時に釘が危険だったりと不便なことも多く、だんだん使わなくなりました。その代わりに考えたのは、肉をグリルで焼いてから切る方法です。グリルすると肉からでる油が下のトレーに落ちて、パリッと焼きあがり、包丁で簡単に切れるのでお薦めです。その他には、冷凍のものを半解凍にした状態で切ったり、あらかじめ切れているお肉を買ったりといろいろ工夫をしています。

野菜はいろいろな形状がありますが、特に丸くコロコロした玉ねぎなどは切りにくいです。そこで、100均で購入したブックスタンドを左手と食材の間に入れて両側から挟むようにして切る方法を考えました。玉ねぎを半分に切り、丸くなっている一方を切り落とします。この部分をブックエンドに当てて切ると玉ねぎがずれないし、誤って左手を切ってしまうこともないので安心です。

ペットボトルを片手で開ける

ペットボトルやびんのフタを開けるためのオープナーはよく知られています。私が使っているのはペットボトルだけでなくびんのフタも開けられる「万能タイプ」です。それをキッチンの吊戸棚の底の部分につけて、下から開けたいものを当ててひねります。この方法だと、ペットボトルなどを上下方向から押さえつける必要がなく、片手でできるのでとても便利です。

オープンキッチンに置台を設置して配膳を楽に

我が家のキッチンはオープンキッチンになっていて、ダイニングテーブルはキッチンの前に配置しています。料理をテーブルまで運ぶには一度キッチンを出る必要があります。片手で運べなくもないのですが、歩くのが不安定です。そこでカウンターのところに台を取り付けました。この台にキッチン側からお皿を置けるので、持ち運ぶ手間がなくなりました。家族がいる時は、置台にお皿を置いて取ってもらうことができるのでとても便利です。

コンロのグリルを置台にして活用

私のような片麻痺の人は、できるだけキッチンを広く使いたい人が多いと思います。そのため、キッチンのスペースを有効に使いたいです。たとえば、揚げ物をする時、揚げ物を一時的におく「油切り」の場所は移動しないですむところにしたいと考えました。そこでコンロのグリルを活用することにしました。魚焼き用のグリルを20cmほど出します。その網の上に使い終わった牛乳パックを広げたものを置き、その上にキッチンペーパーを敷いて、揚げ物を一時的に置く「油切り」の場所にしています。

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