快適生活・暮らしのヒント-安心して楽しく暮らす私の生活

「新ノーマライゼーション」2021年5月号

自立生活夢宙センター スタッフ、ゆめ風基金 理事
内田瞳(うちだひとみ)

私は先天性の骨形成不全症という病気をもって生まれ、これまで39年間オリジナルのスタイルで生活してきました。骨がもろく、折れやすいという体の特徴がありながら、介助者と一緒に自立生活をつくり豊かな生活を送ってきました。骨折の原因は転倒や人と大きくぶつかってしまう衝撃だけでなく、疲れをためてしまうことによる体調不良にも関係するので、自分のペースでゆっくり作業する部分と介助者に委ねる部分のバランスを考えながら安心した生活につなげてきています。100センチという低身長や目線の低さはかなりの生きづらさにつながりますが、今回は私らしい生活を少しだけご紹介します。

自宅内では、おしり歩き(写真1、2)

※掲載者注:写真の著作権等の関係で写真1・2はウェブには掲載しておりません。

生まれた時から今まで、自宅ではずっとおしり歩きです。少しだけ四つん這いをすることもありますが、大抵はおしり歩き。工夫というよりはこれが私の自然の移動スタイルで、実は全身運動をしていて良いエクササイズになっているのかもしれません。時々立ち上がったりごくわずかな距離であれば伝い歩きをすることもありますが、バランスを崩すことも少なくないので、あまりしないようにしています。とにかく骨折のリスクを下げて生活したいので、狭い部屋の中で介助者とぶつからないように声をかけあったり、床に水滴が落ちていると滑ってこける可能性があるので、水気はこまめに拭き取ってもらうようにしています。移動はゆっくりと自分でできるので、介助者には安全を見守ってもらうことがとても大切で、このことが安心した生活につながっています。

大地震にも備え、重い物は上に置かず手の届く所に物を敷き詰める(写真3)

※掲載者注:写真の著作権等の関係で写真3はウェブには掲載しておりません。

26年前の阪神・淡路大震災で震度7の恐ろしさを経験しているので、現在の大阪の自宅でも大地震に備えて重い物は上に置かないように気をつけています。また介助者のいない時間もけっこうあるので、自分で無理なく手が届く範囲の場所に物を敷き詰めています。冷蔵庫や電子レンジ、洗濯機なども自分が届くように配置しました。最近は炊飯器や電子レンジ等でできる料理レシピもたくさんあるので、情報を活用し、主体性をもって楽しく暮らすことができています。

外出時は、昇降機能のついた電動車椅子で(写真4)

※掲載者注:写真の著作権等の関係で写真4はウェブには掲載しておりません。

外出時は安定感や重量のある電動車椅子に乗って移動しています。この車椅子は多機能で本当に革命的な優れものなのですが、昇降機能がついているのが一番気に入っています。以前は、低身長や目線の低さでとてもしんどくなっていましたが、目線が上がり他者とのコミュニケーションがとりやすくなったことで格段に生活しやすくなりました。車椅子は重量があってパワーもあるのでずっしりと安定感があり、それでいて小回りがきくので、街中を歩く時も軽快になりました。ただ、指のほんの少しの力で車椅子を動かせるので、体力が落ちたのは否めません。最近家ではYouTubeを観ながら座ったままできるダンスをしたり、お菓子作りで材料を混ぜる作業は自分でするなどして、なるべく体力を維持するように心がけています。

menu