報告:特定非営利活動法人 難民を助ける会[AAR Japan] 野際 紗綾子、横尾 和磨
参加者:100人弱
概要:
Pakaratee Chaiyawat
- タイにおけるコロナの影響下における地域に根差した理学療法サービス、ヘルスケアと電話サービス
- コロナは障がいを選ばない。仕事を失った人も、心身に不調をきたした人もいた。ヘルスケアサービスの継続が困難な人も確認された。
- 理学療法士らのチームが、地域に根差したアプローチで障がい者と介護者・家族に対してICF調査を行った。
- この調査が、中所得国(Middle Income Countries)の持続可能な発展につながれば。
Eco Harsono
- インドネシアにおける法的に認可された精神障がい者のSHGによる回復、自分自身の許容、家族からの許容と地域におけるリハビリテーション
- Australian AidとCBMの助成を受けて実施。
- 精神障がい者の約10%しか十分なサービスを受けられておらず、多くのスティグマを抱えている。
- 課題:高額な治療・薬の費用、家族に集中する負担
- 解決策:SHGが家族のサポートも行う。メンバーには積極的に役割を担ってもらう、Work Planを設定する、グループセラピーを行う,
- SHGの法的認可 等
Alexandra Gartrell
- カンボジアにおける女性障がい者のリハビリテーションへのアクセス
- コロナの影響下におけるサポートの必要性
- WHOとUNICEFによると、5~15%の人々が補助具やリハビリサービスを必要としている。また、女性障がい者は男性障がい者と比較すると、リハビリ等に参加する割合が低くなっている。
- コロナの影響下にある期間中に調査を行った結果、各県で2名の女性障がい者を選択し、フォーカルパーソンとして、キャパシティビルディングを行い、インタビューを行うとともに、データ収集等を進めた。
- 調査の結果、女性障がい者は、外出の機会が乏しく、Self -Confidenceもあまりないように見受けられた。
- PRC(県立リハビリテーションセンター)のサービスにおける課題は、個人レベル、社会レベル、システムレベルにおいて確認された。
- 個人レベルでは、Self-Confidenceを高め、社会に参加し、様々な情報にアクセスできるようなサポートが重要。
- 社会&システムレベルでは、地域行政や地域社会からの理解促進し、女性障がい者の家族のサポート体制の構築も必要になる。
Net Chendra
- カンボジアのコミュニティーにおけるケアギバーとケアシーカーの態度
- 障がいの原因の調査や障がい児・者のケーススタディ等を実施した。
所感:
(横尾)
ひとえにCommunity-basedといっても、様々な分野やアプローチで地域住民へのサポートや主体性を育む取り組みが発表されており、大変勉強になったセッションであった。特に、インドネシアのEco Harsono氏の自助団体の公認化に関する発表が印象に残った。自助団体が地域の自治体や政府から団体として法的に認可されることで、地域社会への参加がより容易となることを訴えられていた。自身の携わる事業でもこの点を踏まえた活動を行っているが、重要なポイントであることを再認識した発表であった。
(野際)
最初のタイの発表の最後で「この発表が中所得国の持続可能な発展の参考になれば」というコメントが印象的だった。一つの成功事例について、経済的・社会的・政治的状況如何では、参考にしたくとも、環境が許さない国や地域もある。また同一の国や地域でも安定と不安定を繰り返している地域もある。そのような環境下で、どのようにCBID会議での学びをもとに、実現可能性を高めていくのかを考えていけたらと感じた。