主催者挨拶

松井 亮輔
公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 副会長

 ただいまご紹介いただいた、(公財)日本障害者リハビリテーション協会副会長の松井亮輔です。当協会の炭谷茂会長が、先約があり、残念ながらいらっしゃれないため、わたしがかわってご挨拶させていただきます。

 第44回総合リハビリテーション大会を、会場である「障害者スポーツ文化センター横浜ラポールとウェビナーによるハイブリッド方式で、9月30日と10月1日の2日間にわたり開催できること、主催者として大変うれしく思います。コロナ禍という厳しい状況のなかで、この大会を準備・実施してくださる高岡徹本大会実行委員会委員長・横浜市総合リハビリテーションセンターセンター長をはじめ、実行委員会の皆様、およびこの大会に対面またはリモートで各地から参加してくださる多くの方々、また、本大会を共催くださる社会福祉法人横浜市リハビリテーション事業団、ならびに本大会を助成くださる全国生活協同組合連合会および埼玉県民共済生活協同組合にも心から御礼申し上げます。

 日本ではじめて「リハビリテーション」という名称の会議が開かれたのは、いまから57年ほどまえの1965年です。その会議の名称は、第3回汎太平洋リハビリテーション会議で、国際リハビリテーション協会(略称、RI。当時の名称は、国際肢体不自由者リハビリテーション協会。)と日本障害者リハビリテーション協会(略称、リハ協。当時の名称は、日本肢体不自由者リハビリテーション協会。同会議前年の1964年に設立)が共催しました。テーマは、「リハビリテーションの具体的実施」。障害種別を超えた、分野横断的な同会議には、海外からの参加者約300名を含め、全体で1,000名近いリハビリテーション関係者が参加しました。

 この会議が国内で注目された要因のひとつは、前年の1964年、東京オリンピックに続いて開催された東京パラリンピックに参加した日本の選手の多くが身体障害者更生援護施設や療護施設の利用者、労災病院などの患者だったのに対し、欧米諸国など海外からの選手のほとんどは職業人だったという、まさに対照的ともいえる違いに、マスコミ関係者をはじめ多くの国内関係者が大きなショックを受けたことが挙げられます。

 そのため、この会議で海外とのギャップの要因を見極め、そのギャップを埋めるためにリハビリテーション分野でどのような取組みをすすめる必要があるのか、その方策を検討する上で参考になることを学びたい、と考えた関係者が少なくなかったと思われます。

 この会議およびその後世界各地で開かれたRIの世界会議や地域会議などに参加した有志などによって、1977年に手弁当ではじめられたのが、現在の総合リハビリテーション研究大会の原型ともいえる、リハビリテーション交流セミナー(1977年~1990年。なお、1980年の第4回リハビリテーション交流セミナーからはリハ協が主催)です。そして、それをさらに発展させたのが、総合リハビリテーション研究大会(1991年から現在まで)です。

 本来であれば、リハ交流セミナーと総合リハ研究大会をあわせ、今年は46年目で、第46回大会となるはずですが、1988年には第16回RI世界会議(東京)として開催されたこと、また2020年はコロナ禍で開催が見送られたことから、今年は第44回大会となっています。

 この大会は、もともと昨年の東京オリンピック/東京パラリンピックに続いての開催が予定されていましたが、昨年はコロナ禍で対面での開催ができなかったため、「コロナ危機の下での障害のある人―総合リハビリテーションの視点から」というテーマで、オンラインで開催されました。

 開催が1年ずれたとはいえ、今回「リハビリテーション・スポーツの果たす役割」をテーマにハイブリッド方式でこの大会が開催できることには、東京パラリンピックのレガシーを継承するだけでなく、「リハビリテーション・スポーツは、医療の段階から社会参加までをつなぐ懸け橋と位置づけられ、まさに総合リハビリテーションそのものといえる」という意味でも大変意義があると思われます。

 本大会では、シンポジウムI「パラリンピック・レガシー」、鼎談「スポーツによる社会参加の実現~電動車いすサッカーとの出会い」、シンポジウムII[地域展開するための環境整備]などが行われ、選手として昨年の東京パラリンピックに参加された、大日方邦子・日本パラリンピアンズ協会会長などにもシンポジストなどとしてこの大会を盛り上げていただけること、本当に感謝です。厚くお礼申し上げます。

 昨年の東京パラリンピックは、はじめの部分でご紹介させていただいた1964年の東京パラリンピックと比べ、選手の方々およびそれらの方々をとりまく社会環境などは、大きくポジティブに変わった―もちろんよいことだけではないかもしれませんが―ことは十分評価できることでしょうから、そうした側面にも思いを寄せていただければ幸いです。

 この2日間の大会が、参加してくださったみなさん、おひとりおひとりにとって有意義なものとなるよう祈念して、あいさつとさせていただきます。ありがとうございました。

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