快適生活・暮らしのヒント-小さな工夫で快適に暮らす

「新ノーマライゼーション」2023年3月号

北のポリオの会会員
小林美幸

私は生後7か月の時にポリオを発症しました。当時は呼吸困難と全身麻痺から医師に間もなく亡くなりますよ、と言われていましたが、小学校入学の頃には、片足に補装具を付けて歩いて養護学校に通えるまでに回復しました。

40歳頃から急に歩けなくなり、初めは老化現象だと思っていたのですが病院で診ていただいたところ、ポストポリオだと言われました。現在は、補装具を付けて車いすに乗って生活をしています。料理や洗濯物を干す時は立って作業をしています。

夫も車いすなので家の中は車いすで動きやすいように工夫しています。工夫するのが当たり前の生活になっていますが、その中からいくつか挙げてみたいと思います。

車いすで生活しているので、床に置いてあるものを取ったり、高いところや離れたところに手が届きません。そんな時に活躍するのが、マジックハンドやリーチャーです。いろいろな形状のものを用途に合わせて使い分けています。

マジックハンドでつかめるものは割と限られています。大きなものや複雑なものには使えません。落としてもダメージの少ないものに使っています。洋服や布類をつかんだり、洗濯物を洗濯機に入れる時に大活躍します。

リーチャーの鍵状になっている部分は、ハンガーを高いところに掛けたり、物を引き寄せたりする時に使います。反対側のゴムの部分は、離れたところにあるスイッチを押す時に使います。特にお風呂のスイッチは手元から遠いところにあるので便利です。また、家のカーテンのタッセルを外してカーテンホルダーに替えました。マジックハンドやリーチャーを使ってカーテンをかけられるようになりました。

そのほかにコインやクリップなどの小さなものは、ポケットリーチャー(先端に粘着性のゲルが付いたもの)を使っています。

マジックハンドやリーチャーのほかにトングも活用しています。トングは割と大きなものや割りたくないものをつかむ時に使っています。食器を棚の中にしまう時などに使っていますが、滑りやすいのでしっかりつかむためにトングの先にゴムシートを貼り付けています。

マジックハンドやリーチャー、トングはいろいろな場面で活躍してくれるので、家中に置いています。

このように小さな工夫をして少しでも快適に暮らしたいと思っていますが、一番失敗したくないのは家の新築やリノベーションの時だと思います。そんな時はぜひ『ポストポリオなんてこわくない』(全国ポリオ会連絡会発行)を参考にしていただきたいと思います。そこには全国の会員の工夫がたくさん書いてあります。

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