「あの日から変わってしまった、うちの子は…」

「新ノーマライゼーション」2023年9月号

高次脳機能障害の子どもを持つ家族の会 ハイリハキッズ 代表
中村千穂(なかむらちほ)

このタイトル「あの日から変わってしまった、うちの子は…」は、東京都の小児支援リーフレットの表紙に記載されていることばです。リーフレットの作成に協力し、当時大学生だった娘が考えました。我が子が中途障害である高次脳機能障害を負った家族は、以前とは変わってしまった子どもや生活を受け入れられず「もとに戻ってほしい」「治ってほしい」と願います。そして、時が経つにつれ「あの日から変わってしまった…」という痛恨の思いに苦しみます。また、簡単に消えることはありません。

ありがたいことに小児支援が年々各地で向上しており、早期診断がつくようになりました。しかし、目の前の我が子を簡単に受け入れられる親は一人もいないと思います。まだ自分の涙をぬぐうことに必死な家族の姿から、本障害を受容していく一番の早道は「ピア」の支え合いであると思い、共に泣き笑いしながら活動を続けています。

ハイリハキッズのあゆみ

2007年1月に発足し、参加対象となる当事者のお子さんは小学生までとなる本会は、会員数は11家族(OB家族を除く)です。2013年に「ハイリハジュニア」(中学生以上が参加)が発足。同年、全国の小児家族会の連絡会「キッズネットワーク」を組織し、当会が中核的な役割を担い、宿泊イベントなどを実施。また、家族会メンバーが他地域の家族会の発足や運営のお手伝いをし、2018年は「ハイリハキッズ埼玉」、2022年は東京の江戸川区で「高次脳機能障害の子どもと家族のピアサークル」が発足しています。

先輩家族が新しい家族の話を傾聴する、自身の経験を話す「ピア」の支え合いが見られるようになり、2019年から3年間、助成金を獲得して「ピアサポーター養成研修会」を全国の小児家族会のメンバーや支援者の先生方と行いました。また、東京都で行っている教員向け研修会など、家族会メンバーが講演する機会もいただけるようになりました。

家族みんなで参加!

定例会を奇数月の第3日曜に開催しています。活動内容は「親の話し合い」と「キッズタイム」(保育活動)。キッズタイムにはきょうだい児の参加も可能、中学生になると保育ボランティアとして活動するお子さんが多いです。家族全員で参加し続け、ほとんどの家族が小学校卒業とともにハイリハキッズを卒会します。長い間支え合ってきた家族同士、皆、かけがえのない大切な「仲間」です。

医療専門職の先生をはじめ、OB家族や学生さんが会の活動を支えてくださっています。今年3月に「ハイリハキッズ15周年感謝の会」を行い、メッセージ動画を作成しました。メッセージには「住んでいる場所も状況も違うけれど、同じ思いを抱えた仲間がいると思うと次の日も頑張れました」「泣いて笑い合った皆さんとの出会いに感謝しています」など、感謝の想いが多数寄せられました。

今後に向けて

これからのお子さんとご家族に私たちの経験を役立ててもらえるよう今後も小児支援に尽力します。お子さんが脳に障害を負って悩んでいる家族がいらしたら、ハイリハキッズを紹介してください。

ハイリハキッズのサイト
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